(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における部品実装装置の斜視図、図2及び図3は本発明の実施の形態1における部品実装装置の要部正面図、図4は本発明の実施の形態1における部品実装装置の制御系統を示すブロック図、図5及び図6は本発明の実施の形態1における部品実装装置が備える移動テーブル及び移動テーブル移動機構の斜視図、図7、図8、図9及び図10は本発明の実施の形態1における部品実装装置の要部正面図である。
図1及び図2において、部品実装装置1は、基台2の前後方向(Y軸方向とする)に部品供給ステージ3及び基板保持ステージ4が並んで設けられており、基台2の一方の側部には、Y軸方向に延びたY軸フレームが基台2の上面に前後に並んで立設された2本の支柱5aに支持されて設けられている。以下、この実施形態1では、基台2の前後方向のうち部品供給ステージ3側を前方、基板保持ステージ4側を後方とする。また、Y軸方向と直交する水平方向をX軸方向とし、Y軸フレーム5が設けられている側を右方、その反対側を左方とする。
図2において、基台2の前方領域には部品供給ステージ移動機構6が設けられており、部品供給ステージ3はこの部品供給ステージ移動機構6に取り付けられている。部品供給ステージ移動機構6はXYテーブル装置で構成されており、部品供給ステージ移動機構6を駆動することによって部品供給ステージ3を水平方向へ移動させることができる。部品供給ステージ3には複数の部品(チップ)7に裁断された半導体ウェハ8がシート状部材9の上面に貼り付けられた状態で支持されており、半導体ウェハ8の下方には、部品7を下方から上方に突き上げるエジェクタ10が設けられている。
図2において、基台2の後方領域には、部品供給ステージ3の一部(後部)を上方から覆う水平な載置部11を備えた棚部材12が立設されている。棚部材12の載置部11の後部には基板保持ステージ移動機構13が設けられており、基板保持ステージ4はこの基板保持ステージ移動機構13に取り付けられている。基板保持ステージ4はXYテーブル装置で構成されており、基板保持ステージ移動機構13を駆動することによって基板保持ステージ4を水平方向へ移動させることができる。基板保持ステージ4には部品供給ステージ3から供給される部品7の搭載対象となる基板14が保持される。
図2において、棚部材12の載置部11の前方領域11aは部品供給ステージ3と基板保持ステージ4の間に位置している。載置部11の前方領域11aにはX軸方向に移動自在な移動テーブル15が設けられており、この移動テーブル15上には中継ステージ16と撮像面17aを上方に向けた部品認識カメラ17が設けられている。
図1において、Y軸フレーム5の下面にはピックアップヘッド移動機構20が設けられている。ピックアップヘッド移動機構20はX軸方向(左方)に突出して水平に延びたピックアップヘッド保持アーム21を備えており、ピックアップヘッド保持アーム21の先端(左端)部にはピックアップヘッド22が設けられている。ピックアップヘッド22に
は吸着ノズルから成るピックアップツール23が着脱自在に取り付けられている。
ピックアップヘッド移動機構20は、ピックアップヘッド保持アーム21をXY方向(水平方向)及び上下方向(Z軸方向とする)に移動させ、またピックアップヘッド保持アーム21をX軸回りに回転させてピックアップヘッド22を(すなわちピックアップツール23を)上下反転させる。ピックアップヘッド22内にはピックアップツール23を介して部品7の吸着動作を行うピックアップヘッド吸着機構24(図4)が設けられている。
図1及び図2において、Y軸フレーム5の左面にはリニアモータの固定子であるヘッド移動ガイド25がY軸方向に延びて設けられている。このヘッド移動ガイド25の左面には水平に延びた上下2本のレール部26が形成されており、この2本のレール部26にはリニアモータの可動子である前方移動プレート27と後方移動プレート28がそれぞれレール部26に沿って(ヘッド移動ガイド25に沿って)水平方向(Y軸方向)に移動自在に設けられている。ヘッド移動ガイド25の前端部は部品供給ステージ3の上方位置を超えて前方(すなわち基板保持ステージ4と反対の側)に延びており、ヘッド移動ガイド25の後端部は基板保持ステージ4よりも後方に延びている。
ヘッド移動ガイド25と前方移動プレート27は、ヘッド移動ガイド25を固定子、前方移動プレート27を可動子とするリニアモータを構成しており、このリニアモータは、前方移動プレート27の磁極切り替えを行うことによって前方移動プレート27をヘッド移動ガイド25に沿って水平方向(Y軸方向)に移動させる搭載ヘッド水平移動機構30(図4)となっている。
前方移動プレート27の左面には搭載ヘッド昇降機構31を介して搭載ヘッド昇降プレート32が取り付けられており、搭載ヘッド昇降プレート32の下部の左面には搭載ヘッド33が取り付けられている。搭載ヘッド昇降機構31が駆動されると搭載ヘッド昇降プレート32は前方移動プレート27に対して上下方向に移動し、搭載ヘッド昇降プレート32に取り付けられた搭載ヘッド33が昇降する。
搭載ヘッド33には吸着ノズルから成る搭載ツール34が下方に延びた状態で着脱自在に取り付けられている。搭載ヘッド33内には搭載ツール34を介して部品7の吸着動作を行う搭載ヘッド吸着機構35(図4)が設けられている。
ヘッド移動ガイド25と後方移動プレート28は、ヘッド移動ガイド25を固定子、後方移動プレート28を可動子とするリニアモータを構成しており、このリニアモータは、後方移動プレート28の磁極切り替えを行うことによって後方移動プレート28をヘッド移動ガイド25に沿って水平方向(Y軸方向)に移動させる塗布ヘッド水平移動機構40(図4)となっている。
後方移動プレート28の左面には塗布ヘッド昇降機構41を介して塗布ヘッド昇降プレート42が取り付けられている。塗布ヘッド昇降プレート42の下部の左面には複数(ここでは2つ)の塗布ヘッド43が取り付けられており、各塗布ヘッド43は接着剤を収容した容器44aとこの容器44aから下方へ延びる塗布ノズル44bから成るディスペンサ44を保持している。塗布ヘッド昇降機構41が駆動されると塗布ヘッド昇降プレート42は後方移動プレート28に対して上下方向に移動し、塗布ヘッド昇降プレート42に取り付けられた塗布ヘッド43が昇降する。
各々の塗布ヘッド43に保持される容器44aには種類の異なる接着剤が充填されており、塗布ヘッド43別に種類の異なる接着剤を塗布できるようになっている。また、塗布
作業を行う一方の塗布ヘッド43は図示しない機構により塗布作業を行わない他方の塗布ヘッド43よりも下方に位置するようになっており、これによりいずれか一方の塗布ヘッド43による接着剤の塗布作業を可能にしている。各塗布ヘッド43内にはディスペンサ44による基板14への接着剤の塗布動作を行う塗布機構45(図4)が設けられている。
図3において、ピックアップヘッド22は、部品供給ステージ3に供給された部品7をピックアップすることができ、かつそのピックアップした部品7を中継ステージ16に移載し、或いは部品供給ステージ3からピックアップした部品7を部品認識カメラ17の直上で(かつ上下反転させた状態で)搭載ヘッド33の搭載ツール34に受け渡すことができるY軸方向の領域R1を移動可能領域としている。このピックアップヘッド22の移動可能領域R1内には、部品供給ステージ3に供給された部品7をピックアップするポイント(以下、ピックアップポイントP1と称する)、ピックアップした部品7を移動させて中継ステージ16に載置するポイント(以下、中継ポイントP2と称する)及びピックアップした部品7を部品認識カメラ17のX軸方向の移動軌跡の直上で搭載ヘッド33に受け渡すポイント(以下、受け渡しポイントP3と称する)が含まれている。これらピックアップポイントP1、中継ポイントP2及び受け渡しポイントP3はそれぞれ基台2を基準とする座標系上の定点として部品供給ステージ3上、中継ステージ16上及び部品認識カメラ17のX軸方向の移動軌跡の上方に定められている。
図3において、搭載ヘッド33は、ヘッド移動ガイド25の前端側の限界位置まで移動した前方移動位置(一点鎖線で示す搭載ヘッド33参照)と、後端側の限界位置まで移動した後方移動位置(実線で示す搭載ヘッド33参照)との間のY軸方向の領域R2を移動可能領域としている。この搭載ヘッド33の移動可能領域R2内には、上記のピックアップポイントP1、中継ポイントP2及び受け渡しポイントP3が含まれるほか、中継ポイントP2若しくは受け渡しポイントP3においてピックアップした部品7を実装するポイント(以下、実装ポイントP4)が含まれている。この実装ポイントP4も基台2を基準とする座標系上の定点として基板保持ステージ4上に定められている。
前述のように、部品供給ステージ3と基板保持ステージ4の間の(ピックアップポイントP1と実装ポイントP4の間の)Y軸方向の領域R0(図3)内には棚部材12の載置部11の前方領域11aが位置しており、この載置部11の前方領域11aには部品供給ステージ3と基板保持ステージ4が並ぶ水平方向(すなわちY軸方向)と直交する水平方向(すなわちX軸方向)に延びたレール部材51がフレーム部材52に支持されて設けられている。前述の移動テーブル15の下面にはスライダ部15aが形成されており、このスライダ部15aがレール部材51に係合して移動テーブル15全体がX軸方向に移動自在になっている。
図5及び図6において、フレーム部材52の左右端部には螺子支持部材53,54が立設されており、これら両螺子支持部材53,54にはレール部材51と平行に(すなわちX軸方向に)延びた送り螺子55の両端部が回転自在に支承されている。移動テーブル15の下面には送り螺子55と螺合したナット部15b(図2)が設けられており、右側の螺子支持部材54に取り付けられたテーブル移動モータ56により送り螺子55をX軸回りに回転させると、移動テーブル15がレール部材51に沿ってX軸方向に移動する。このようにスライダ部15a、ナット部15b、レール部材51及びテーブル移動モータ56は部品供給ステージ3と基板保持ステージ4の間に位置する移動テーブル15をX軸方向に移動させる移動テーブル移動機構57を構成している。
図5及び図6において、移動テーブル15の上面には左方から順に前述の中継ステージ16、基準ステージ61、部品廃棄部62及びツール保持部材63が設けられている。ま
た、移動テーブル15の後方には前述の部品認識カメラ17が撮像面17aを上方に向けた姿勢で設けられている。基準ステージ61はその上面に基準マーク61aを備えており、部品廃棄部62の上面には廃棄部品投入口62aが開口している。ツール保持部材63には、ピックアップヘッド22が備えるピックアップツール23の交換用のピックアップツール(符号を23aとする)と、搭載ヘッド33が備える搭載ツール34の交換用の搭載ツール(符号を34aとする)が保持されている。ここで基準マーク61aは、送り螺子55の熱膨張等による移動テーブル15の位置ずれを補正(キャリブレーション)するためのものである。
図1及び図2において、ヘッド移動ガイド25の左上方には、前方から順に、部品供給ステージカメラ71、中継ステージカメラ72及び基板保持ステージカメラ73がそれぞれ撮像面を下方に向けた姿勢で設けられている。図3に示すように、部品供給ステージカメラ71の光軸L1は部品供給ステージ3上に設定されたピックアップポイントP1を通っており、中継ステージカメラ72の光軸L2は中継ステージ16上に設定された中継ポイントP2を通っている。また、移動テーブル15がX軸方向に移動したときの部品認識カメラ17の光軸L3は部品認識カメラ17の上方に設定された受け渡しポイントP3を通るようになっており、基板保持ステージカメラ73の光軸L4は基板保持ステージ4上に設定された実装ポイントP4を通っている。
図4において、この部品実装装置1に備えられる制御装置80は、部品供給ステージ移動機構6の作動制御を行って部品供給ステージ3を基台2に対して水平方向に移動させ、基板保持ステージ移動機構13の作動制御を行って基板保持ステージ4を基台2に対して水平方向に移動させ、移動テーブル移動機構57の作動制御を行って移動テーブル15をレール部材51に沿ってX軸方向に基台2に対して移動させる。
また、制御装置80は、前述のピックアップヘッド移動機構20の作動制御を行ってピックアップヘッド22をY軸方向、Z軸方向に移動及びX軸回りに回転させ、ピックアップヘッド吸着機構24の作動制御を行って、ピックアップツール23を介してピックアップヘッド22に部品7を吸着させる。
また、制御装置80は、搭載ヘッド水平移動機構30の作動制御を行って前方移動プレート27に取り付けられた搭載ヘッド33を水平方向(Y軸方向)に移動させ、搭載ヘッド昇降機構31の作動制御を行って搭載ヘッド33を昇降させ、搭載ヘッド吸着機構35の作動制御を行って、搭載ツール34を介して搭載ヘッド33に部品7を吸着させる。
また、制御装置80は、塗布ヘッド水平移動機構40の作動制御を行って後方移動プレート28に取り付けられた塗布ヘッド43を水平方向(Y軸方向)に移動させ、塗布ヘッド昇降機構41の作動制御を行って塗布ヘッド43を昇降させ、塗布機構45の作動制御を行って、塗布ヘッド43に(ディスペンサ44に)接着剤の塗布を行わせる。
また制御装置80はエジェクタ10を駆動し、ピックアップポイントP1に位置した部品供給ステージ3上の部品7を上方に突き上げさせる。
また制御装置80は、部品供給ステージカメラ71の作動制御を行ってピックアップポイントP1を含む領域の撮像動作を行わせ、中継ステージカメラ72の作動制御を行って中継ポイントP2を含む領域の撮像動作を行わせ、基板保持ステージカメラ73の作動制御を行って実装ポイントP4を含む領域の撮像動作を行わせ、部品認識カメラ17の作動制御を行って受け渡しポイントP3を含む領域の撮像動作を行わせる(但し、部品カメラ17の撮像視野内に受け渡しポイントP3が含まれるようにするには、移動テーブル15のX軸方向の位置調整が必要)。これら部品供給ステージカメラ71、中継ステージカメ
ラ72、基板保持ステージカメラ73及び部品認識カメラ17の各撮像画像は制御装置80に入力される。
また制御部80は、中継ステージカメラ72で基準マーク61aを定期的に或いは所定のタイミングで撮像してその位置を認識し、移動テーブル15のX軸方向への位置ずれを補正するキャリブレーションを行う。
次に、この部品実装装置1において、部品供給ステージ3上の部品7を基板保持ステージ4に保持された基板14に搭載する3通りの実装手順について説明する。
先ず、図2を参照し、部品供給ステージ3上の部品7(ここではフェイスアップで基板14に搭載されるタイプの部品とする)を中継ステージ16経由で基板保持ステージ4に保持された基板14上の実装対象部位に実装する第1の実装手順について説明する。これには先ず、制御装置80は図示しないウェハ搬送機構の作動制御を行って、複数の部品7に裁断された半導体ウェハ8を部品供給ステージ3に保持させるとともに、図示しない基板搬送機構の作動制御を行って、実装対象となっている基板14を基板保持ステージ4に保持させる(準備工程)。この準備工程が終了した時点では、部品供給ステージ3上の各部品7は回路形成面が上を向いた状態となっている。
準備工程が終了したら、制御装置80は中継ステージ16をX軸方向に移動させて、中継ステージ16上の所定位置(例えば中継ステージ16の中心位置)を中継ポイントP2に位置させる(中継ステージ位置合わせ工程)。
中継ステージ位置合わせ工程が終了したら、制御装置80は部品供給ステージ3上の半導体ウェハ8を水平面内で移動させ、部品供給ステージカメラ71の撮像画像を参照しながら、実装対象となっている部品7をピックアップポイントP1に位置させる(部品位置合わせ工程)とともに、基板保持ステージ4上の基板14を水平面内で移動させ、基板保持ステージカメラ73の撮像画像を参照しながら、基板14上の実装対象部位を実装ポイントP4に位置させる(基板位置合わせ工程)。
上記の部品位置合わせ工程及び基板位置合わせ工程が終了したら、制御装置80はピックアップヘッド22をピックアップポイントP1に位置させて部品7をピックアップツール23に吸着させる(ピックアップヘッドピックアップ工程。図2中に示す矢印A1)。このピックアップヘッドピックアップ工程では、部品7が容易にピックアップツール23に吸着されるようにするために、制御装置80はエジェクタ10を作動させて、部品7がエジェクタ10により下方から上方に付き上げられるようにする。
ピックアップヘッドピックアップ工程が終了したら、制御装置80はピックアップヘッド22をピックアップ位置P1から中継ポイントP2に移動させて部品7を中継ステージ16に移載する(部品移載工程。図2中に示す矢印A2)。中継ステージ16に部品7を移載したピックアップヘッド22は、次のピックアップヘッドピックアップ工程を行うためにピックアップポイントP1へ移動される。
部品移載工程が終了したら、制御装置80は中継ステージカメラ72の撮像画像を参照し、中継ステージ16上の部品7の中継ポイントP2からの位置ずれを算出する(位置ずれ算出工程)。ここで、部品7の中継ポイントP2からのX軸方向のずれ量が求められた場合には、制御装置80は移動テーブル15をX軸方向に移動させて、そのX軸方向のずれ量が補正されるようにする(X軸方向位置補正工程)。
位置ずれ算出工程とX軸方向位置補正工程が終了したら、制御装置80は搭載ヘッド3
3を中継ポイントP2の上方に位置させ、上記の部品移載工程で中継ポイントP2に載置された部品7を搭載ツール34に吸着させて部品7をピックアップする(搭載ヘッドピックアップ工程。図2中に示す矢印A3)。この際、位置ずれ算出工程で求められた部品7の中継ポイントP2からのY軸方向のずれ量が補正されるように中継ポイントP2の上方での搭載ヘッド33のY軸方向の位置を調整する。
そして、この搭載ヘッドピックアップ工程とほぼ同時期に、制御装置80は塗布ヘッド43を待機位置(ヘッド移動ガイド25の後端部領域。図2に示す塗布ヘッド43の位置参照)から実装ポイントP4の上方に位置させ、塗布ヘッド43により実装ポイントP4(すなわち基板14上の実装対象部位)に接着剤を塗布させる(接着剤塗布工程。図2中に示す矢印A4)。
接着剤塗布工程が終了したら、制御装置80は塗布ヘッド43を実装ポイントP4から待機位置に退避させる(塗布ヘッド退避工程)。そして、塗布ヘッド退避工程の終了の直後に、制御装置80は搭載ヘッド33を中継ポイントP2から実装ポイントP4の上方へ移動させ、搭載ヘッドピックアップ工程でピックアップした部品7を実装ポイントP4に搭載させる(部品搭載工程。図2中に示す矢印A5)。これにより部品供給ステージ3上のピップアップポイントP1に供給された部品7が中継ステージ16経由で基板14上の実装対象部位に実装される。
このようにして一つの部品7が基板14上の実装対象部位に実装されたら、引き続き上述の準備工程より後の工程(中継ステージ位置合わせ工程→部品位置合わせ工程・基板位置合わせ工程→・・・→部品搭載工程)を繰り返す。
なお、上記の部品搭載工程では、搭載ヘッド33により中継ポイントP2からピックアップされた部品7が部品認識カメラ17の上方を通過する際、制御装置80は搭載ヘッド33の移動を一時停止させて搭載ツール34に吸着されている部品7が部品認識カメラ17の撮像視野内に静止するようにし、部品認識カメラ17により部品7の撮像(認識)を行ってその部品7の位置情報を入手する。これにより制御装置80は搭載ツール34に対する部品7の吸着ずれを算出することができ、部品7を基板14上に搭載する際にその吸着ずれが修正されるように搭載ヘッド33の移動量を調節することによって、部品7が正確に基板14上の実装対象部位に実装されるようにすることができる。
次に、図7を参照し、部品供給ステージ3上の部品7(ここではフェイスダウンで基板14に搭載されるタイプの部品とする)を、中継ステージ16を経由することなく基板14上の実装対象部位に実装する第2の実装手順について説明する。
先ず、制御装置80は中継ステージ16をX軸方向に移動させて、部品認識カメラ17の撮像視野内に受け渡しポイントP3が入るようにしておく。次に、制御装置80は、第1の実装手順で説明した準備工程を行う。この準備工程が終了した時点では、部品供給ステージ3上の各部品7は回路形成面が上を向いた状態となっている。準備工程が終了したら、制御装置80は部品供給ステージ3上の半導体ウェハ8を水平面内で移動させ、第1の実装手順で説明した部品位置合わせ工程及び基板位置合わせ工程を行う。
部品位置合わせ工程及び基板位置合わせ工程が終了したら、制御装置80はピックアップヘッド22をピックアップポイントP1に位置させて部品7をピックアップツール23に吸着させる(ピックアップヘッドピックアップ工程。図7中に示す矢印B1)。
ピックアップヘッドピックアップ工程が終了したら、制御装置80はピックアップヘッド22を受け渡しポイントP3の直下位置(部品認識カメラ17の直上位置でもある)に
移動させる(部品移動工程。図7中に示す矢印B2)。そして、ピックアップヘッド22をX軸回りに180度回転させ、ピックアップツール23に吸着した部品7を上下反転させた状態で受け渡しポイントP3に位置させる(部品反転工程。図7中に示す矢印B3)。
部品反転工程が終了したら、制御装置80は搭載ヘッド33を受け渡しポイントP3の上方(部品認識カメラ17の直上位置でもある)に位置させ、上記の部品反転工程で受け渡しポイントP3に位置された部品7を搭載ツール34に吸着させる(搭載ヘッドピックアップ工程。図7中に示す矢印B4)。これにより部品7はピックアップヘッド22から搭載ヘッド33に受け渡され、搭載ヘッド33に部品7を受け渡したピックアップヘッド22は、次のピックアップヘッドピックアップ工程を行うためにピックアップポイントP1へ移動される。
この搭載ヘッドピックアップ工程とほぼ同時期に、制御装置80は、第1の実装手順で説明した接着剤塗布工程(図7中に示す矢印B5)と塗布ヘッド退避工程を行い、塗布ヘッド退避工程の終了の直後に、搭載ヘッド33によりピックアップしている部品7を実装ポイントP4に搭載する(部品搭載工程。図7中に示す矢印B6)。これにより部品供給ステージ3上のピップアップポイントP1に供給された部品7が中継ステージ16を経由することなく基板14上の実装対象部位に実装される。
このようにして一つの部品7が基板14上の実装対象部位に実装されたら、引き続き上述の準備工程より後の工程(部品位置合わせ工程・基板位置合わせ工程→・・・→部品搭載工程)を繰り返す。
なお、上記の部品搭載工程では、ピックアップヘッド22から受け渡された部品7を搭載ヘッド33によりピックアップした後、次のピックアップヘッドピックアップ工程を行うためにピックアップヘッド22がピックアップポイントP1に(すなわちY軸方向前方に)移動されたところで、部品認識カメラ17により、搭載ヘッド33が吸着している部品7の認識(撮像)を行ってその部品7の位置情報を入手し、部品7を基板14上に搭載する際に、搭載ツール34に対する部品7の吸着ずれが修正されるようにする。
次に、図8を参照し、部品供給ステージ3上の部品7(ここではフェイスアップで基板14に搭載されるタイプの部品とする)を搭載ヘッド33によりピックアップし、中継ステージ16を経由することなく、直接、基板14上の実装対象部位に搭載する第3の実装手順について説明する。これには先ず、制御装置80は、第1の実装手順で説明した準備工程、部品位置合わせ工程及び基板位置合わせ工程を行う。
部品位置合わせ工程及び基板位置合わせ工程が終了したら、制御装置80は搭載ヘッド33をピックアップポイントP1の上方に位置させ、ピックアップポイントP1に位置している部品7を搭載ツール34に吸着させて部品7をピックアップする(搭載ヘッドピックアップ工程。図8に中に示す矢印C1)。そして、この搭載ヘッドピックアップ工程とほぼ同時期に、制御装置80は、第1の実装手順で説明した接着剤塗布工程(図8中に示す矢印C2)と塗布ヘッド退避工程を行い、塗布ヘッド退避工程の終了の直後に、搭載ヘッド33によりピックアップしている部品7を実装ポイントP4に搭載する(部品搭載工程。図8中に示す矢印C3)。これにより部品供給ステージ3上のピップアップポイントP1に供給された部品7が中継ステージ16を経由することなく、直接、基板14上の実装対象部位に実装される。基板14に部品7を搭載した搭載ヘッド33は、次の搭載ヘッドピックアップ工程を行うためにピックアップポイントP2に移動される。
このようにして一つの部品7が基板14上の実装対象部位に実装されたら、引き続き上
述の準備工程より後の工程(部品位置合わせ工程・基板位置合わせ工程→・・・→部品搭載工程)を繰り返す。
なお、上記の部品搭載工程では、搭載ヘッド33によりピックアップポイントP1からピックアップされた部品7が部品認識カメラ17の上方を通過する際、制御装置80は搭載ヘッド33の移動を一時停止させて搭載ツール34に吸着されている部品7が予め所定位置に位置させておいた部品認識カメラ17の撮像視野内に静止するようにし、部品認識カメラ17により部品7の撮像(認識)を行ってその部品7の位置情報を入手し、部品7を基板14上に搭載する際に、搭載ツール34に対する部品7の吸着ずれが修正されるようにする。
ところで、このような部品実装装置1では、部品実装の途中等において、ピックアップヘッド22が備えるピックアップツール23や搭載ヘッド33が備える搭載ツール34を、基板14に実装する部品7の形状等に応じて交換する必要が生じる。これらの交換用のツール(交換用のピックアップツール23a及び交換用の搭載ツール34a)は前述のようにツール保持部材63に保持されているが(図5、図6及び図9)、このツール保持部材63は部品供給ステージ3と基板保持ステージ4の間の(ピックアップポイントP1と実装ポイントP4の間の)Y軸方向の領域R0(図3)内の、更にピックアップヘッド22のY軸方向の移動可能領域R1と搭載ヘッド33のY軸方向の移動可能領域R2の重複領域R(図3)内に(重複領域R内に設けられた移動テーブル15上に)設けられているため、ピックアップヘッド22及び搭載ヘッド33の双方からツール(ピックアップツール23及び搭載ツール34)の交換のためにツール保持部材63にアクセスすることができる(図9中に示すピックアップヘッド22の移動径路D1及び搭載ヘッド33の移動径路D2参照)。
なお、本実施の形態では、ツール保持部材63がピックアップヘッド22の移動可能領域R1と搭載ヘッド33の移動可能領域R2の重複領域R内に設けられているためにピックアップヘッド22と搭載ヘッド33のツールの交換が可能であるが、ピックアップヘッド22と搭載ヘッド33の一方のツールの交換のみができればよいのであれば、ツール保持部材63は必ずしもピックアップヘッド22の移動可能領域R1と搭載ヘッド33の移動可能領域R2の重複領域R内に設けられている必要はない。この場合、ピックアップヘッド22及び搭載ヘッド33のうち、その移動可能領域内にツール保持部材63を有している側のヘッドのツールの交換のみが可能となる。
また、前述したように、移動テーブル15上には部品廃棄部62(図5、図6及び図6)が設けられており、この部品廃棄部62も中継ステージ16及びツール保持部材63と同様に、ピックアップヘッド22の移動可能領域R1と搭載ヘッド33の移動可能領域R2の重複領域R内に設けられているので、ピックアップヘッド22及び搭載ヘッド33はともに移動テーブル15上の部品廃棄部62にアクセスすることができ、基板14に搭載される前に搭載不適と判断された部品7を廃棄部品投入口62aから廃棄することができる。
また、この部品実装装置1において、搭載ヘッド33や塗布ヘッド43のメンテナンス作業を行う場合には、図10に示すように、搭載ヘッド33及び塗布ヘッド43を、ヘッド移動ガイド25に沿ってY軸方向前方へ可能な限り移動させる。ここで、前述したように、ヘッド移動ガイド25の前端部は部品供給ステージ3の上方位置を超えて前方(基板保持ステージ4と反対の側)に延びているので、搭載ヘッド33はもとより、塗布ヘッド43も、部品供給ステージ3の上方位置まで移動させることができ、オペレータは非常に容易に搭載ヘッド33と塗布ヘッド43のメンテナンス作業を行うことができる。
また、中継ステージ16では部品7の載置とピックアップが繰り返し行われることからその表面がシリコン屑などによって汚れ、定期的にクリーニングする必要が生じる。この中継ステージ16のクリーニングには、図5及び図6においてフレーム部材52の左方に設けられた中継ステージクリーナー90が用いられる。
この中継ステージクリーナー90は、図5及び図6に示すように、フレーム部材52から上方に延びて設けられた垂直部91、垂直部91の上端部からフレーム部材52を横切るように(すなわちY軸方向に)水平に延び、下面に下方に延びる多数のブラシ繊維92が植設されたブラシ部93を有しており、制御装置80からテーブル移動モータ56の作動制御を行って移動テーブル15をレール部材51に沿ってX軸方向に繰り返し移動させると、中継ステージ16の表面がブラシ繊維92により掃かれてクリーニングされるようになっている(図6)。ブラシ部93の下面(ブラシ繊維92の植設面)には図示しない吸引口が設けられており、この吸引口はブラシ部93の内部を通って延びる図示しない内部吸引管路及び垂直部91に固定されたコネクタ94に接続されてブラシ部93の外部に延びる外部吸引管路95を介して図示しない真空吸引機構に繋がっている。制御装置80はこの真空吸引機構の作動制御を行って外部吸引管路95及び上記の内部吸引管路から空気を吸引することにより、ブラシ繊維92によって取り除かれた中継ステージ16上のごみや埃等を吸引孔から外部に吸い出すことができる。
(実施の形態2)
図11は本発明の実施の形態2における部品実装装置の要部斜視図、図12及び図13は本発明の実施の形態2における部品実装装置の要部正面図である。
図11及び図12において、実施の形態2における部品実装装置101は前述の実施の形態1における部品実装装置1と塗布ヘッド102の構成が異なる。この部品実装装置101の塗布ヘッド102は実施の形態1における部品実装装置1のようなディスペンサ44ではなく、スタンプ(ピン)状の塗布ツール103を着脱自在に保持しており、塗布ヘッド102の上下動により塗布ツール103の下端面に付着させたペースト容器104内のペースト(例えば半田ペースト)を基板保持ステージ4に保持された基板14上の実装対象部位に塗布(転写)する。
この部品実装装置101による部品実装の手順は実施の形態1において説明したものと同様であるが、塗布ツール103はピックアップヘッド22が備えるピックアップツール23及び搭載ヘッド33が備える搭載ツール34と同様に、基板14に実装する部品7の形状等に応じて交換する必要が生じる。この塗布ツール103の交換用のツール(交換用の塗布ツール103a)は、図12に示すように、ピックアップヘッド22及び搭載ヘッド33の交換用のツール(交換用のピックアップツール23a及び交換用の搭載ツール34a)と同様にツール保持部材63に保持されている。
この実施の形態2では、ツール保持部材63は部品供給ステージ3と基板保持ステージ4の間の(ピックアップポイントP1と実装ポイントP4の間の)Y軸方向の領域R0(図13)内の、更にピックアップヘッド22のY軸方向の移動可能領域R1、搭載ヘッド33のY軸方向の移動可能領域R2及び塗布ヘッド102のY軸方向の移動可能領域R3の重複領域R内に(重複領域R内に設けられた移動テーブル15上に)設けられているため、ピックアップヘッド22、搭載ヘッド33及び塗布ヘッド102の三者からツール(ピックアップツール23、搭載ツール34及び塗布ツール103)の交換のためにアクセスすることができる(図12中に示すピックアップヘッド22の移動径路D1、搭載ヘッド33の移動径路D2及び塗布ヘッド102の移動径路D3参照)。
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置1(101)では、基板14
に接着剤を塗布する塗布ヘッド43(102)と接着剤が塗布された基板14に部品7を搭載する搭載ヘッド33が水平方向(Y軸方向)に移動自在に設けられるヘッド移動ガイドの部品供給ステージ3側の端部は、部品供給ステージ3の上方位置を超えて前方(基板保持ステージ4と反対の側)に延びており、メンテナンス時には搭載ヘッド33はもとより、塗布ヘッド43(102)も、部品供給ステージ3の上方位置まで移動させることができるので、水平に延びて設けられた同一のヘッド移動ガイド25上に塗布ヘッド43(102)と搭載ヘッド33を配置したコンパクトな構成を有しつつ、メンテナンス作業性を向上させることができる。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、部品を供給する部品供給部として複数の部品7に裁断された半導体ウェハ8を支持する部品供給ステージ3を例示したが、部品供給部はこのようなステージ状のものに限られず、テープフィーダやトレイフィーダ等のステージ状のもの以外のものであってもよい。また、上述の実施の形態では、移動テーブル15上に設けられているものとして中継ステージ16やツール保持部材63、部品認識カメラ17のほか、基準ステージ61や部品廃棄部62を例示したが、移動テーブル15上に設けられるものとしてはこれらの例示のものに限定されず、作業性を向上させ得る他のものを設けることができる。