JP4899862B2 - 非水電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
しかしながら、電池のサイクル特性及び電気容量などの電池特性について、さらに優れた特性を有する二次電池が求められている。
また、負極として、例えば天然黒鉛や人造黒鉛などの高結晶化した炭素材料を用いたリチウム二次電池は、非水電解液中の溶媒が充電時に負極表面で還元分解し、非水電解液溶媒として一般に広く使用されているエチレンカーボネート(EC)においても充放電を繰り返す間に一部還元分解が起こり、電池性能の低下が起こる。
すなわち、本発明は、非水溶媒に電解質塩が溶解されているリチウム二次電池用非水電解液において、該非水電解液中に下記一般式(I)〜(IV)で表されるギ酸エステル化合物が、非水電解液に対して、0.01〜10重量%含有されていることを特徴とする非水電解液を提供する。
本発明の非水電解液を用いることにより、電池のサイクル特性、電気容量、保存特性などの電池特性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。
本発明の具体的な実施の形態を以下に説明する。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ギ酸フェニル、ギ酸o−フルオロフェニル、ギ酸m−フルオロフェニル、ギ酸p−フルオロフェニル、ギ酸p−クロロフェニル、ギ酸p−ブロモフェニル、ギ酸p−ヨードフェニル、ギ酸ペンタフルオロフェニル、ギ酸ペンタクロロフェニル、ギ酸ペンタブロモフェニル、ギ酸o−トリル、ギ酸m−トリル、ギ酸p−トリル、ギ酸o−クメニル、ギ酸m−クメニル、ギ酸p−クメニル、ギ酸4−シクロヘキシルフェニル、ギ酸ビフェニルなどが挙げられる。これらの中では、ギ酸フェニル、ギ酸o−フルオロフェニル、ギ酸m−フルオロフェニル、ギ酸p−フルオロフェニル、ギ酸ペンタフルオロフェニル、ギ酸ペンタクロロフェニル、ギ酸4−シクロヘキシルフェニル、ギ酸ビフェニルが特に好ましい。
前記R1の炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基などが挙げられる。また、炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。
主鎖のメチレン鎖が2〜6の直鎖飽和炭化水素基としては、好ましくは、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。主鎖のメチレン鎖が2〜6で、側鎖として炭素数1〜4のアルキル基を少なくとも1つ有する飽和炭化水素基としては、直鎖又はイソプロピル基、イソブチル基のような分枝鎖を有する炭素数1〜4のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチルエチレン基、エチルエチレン基、プロピルエチレン基、ブチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基、1−プロピル−2−エチルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、1−メチルヘキサメチレン基、2−メチルヘキサメチレン基、3−メチルヘキサメチレン基などが挙げられる。
また、炭素炭素二重結合を有する不飽和炭化水素基としては、2−ブテニレン基、1,4−ジメチル−2−ブテニレン基などが挙げられ、炭素炭素三重結合を有する不飽和炭化水素基としては、2−ブチニレン基、2,5−ジメチル−3−ヘキシニレン基、1,1,4,4−テトラメチル−2−ブチニレン基、2,4−ヘキサジイニレン基、1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイニレン基などが挙げられる。
これらの中では、エチレングリコールジホルメート、1,3−プロパンジオールジホルメート、1,4−ブタンジオールジホルメート、1,2−プロパンジオールジホルメート、1,3−ブタンジオールジホルメート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジホルメート、1,1,3−トリメチル−1,3−プロパンジオールジホルメートが特に好ましい。
また、Rが水素原子、Zが炭素炭素三重結合を有する不飽和炭化水素基である化合物の具体例としては、2−ブチン−1,4−ジオールジホルメート(Z=2−ブチニレン基)、3−ヘキシン−2,5−ジオールジホルメート(Z=1,4−ジメチル−2−ブチニレン基)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールジホルメート(Z=1,1,4,4−テトラメチル−2−ブチニレン基)、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールジホルメート(Z=2,4−ヘキサジイニレン基)、1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールジホルメート(Z=1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイニレン基)などが挙げられる。
これらの中では、2−ブテン−1,4−ジオールジホルメート、2−ブチン−1,4−ジオールジホルメート、3−ヘキシン−2,5−ジオール ジホルメート、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールジホルメート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールジホルメート、1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールジホルメートが特に好ましい。
これらの中では、エチレングリコールホルメートアセテート、1,3−プロパンジオールホルメートアセテート、1,4−ブタンジオールホルメートアセテート、1,2−プロパンジオールホルメートアセテート、1,2−ブタンジオールホルメートアセテート、1,3−ブタンジオールホルメートアセテート、2−メチル−1,3−プロパンジオールホルメートアセテート、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジオールホルメートアセテートが特に好ましい。
また、Rがアルキル基、Zが炭素炭素三重結合を有する不飽和炭化水素基である化合物の具体例としては、2−ブチン−1,4−ジオールホルメートアセテート(Z=2−ブチニレン基)、3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートアセテート(Z=1,4−ジメチル−2−ブチニレン基)、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールホルメートアセテート(Z=2,4−ヘキサジイニレン基)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートアセテート(Z=1,1,4,4−テトラメチル−2−ブチニレン基)、1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールホルメートアセテート(Z=1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイニレン基)などが挙げられる。
これらの中では、2−ブチン−1,4−ジオールホルメートアセテート、3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートアセテート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールホルメートアセテート、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートアセテート、1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールホルメートアセテートが特に好ましい。
また、Rがシクロアルキル基、Zが炭素炭素三重結合を有する不飽和炭化水素基である化合物の具体例としては、2−ブチン−1,4−ジオールホルメートシクロプロパンカルボキシレート(Z=2−ブチニレン基)、2−ブチン−1,4−ジオールホルメートシクロブタンカルボキシレート(Z=2−ブチニレン基)、3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートシクロプロパンカルボキシレート(Z=1,4−ジメチル−2−ブチニレン基)、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールホルメートシクロプロパンカルボキシレート(Z=2,4−ヘキサジイニレン基)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートシクロプロパンカルボキシレート(Z=1,1,4,4−テトラメチル−2−ブチニレン基)、1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールホルメートシクロプロパンカルボキシレート(Z=1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイニレン基)などが挙げられる。
これらの中では、2−ブチン−1,4−ジオールホルメートシクロプロパンカルボキシレート、2−ブチン−1,4−ジオールホルメートシクロブタンカルボキシレート、3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートシクロプロパンカルボキシレートが特に好ましい。
また、Rがアリール基、Zが炭素炭素三重結合を有する不飽和炭化水素基である化合物の具体例としては、2−ブチン−1,4−ジオールホルメートベンゾエート(Z=2−ブチニレン基)、3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートベンゾエート(Z=1,4−ジメチル−2−ブチニレン基)、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールホルメートベンゾエート(Z=2,4−ヘキサジイニレン基)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートベンゾエート(Z=1,1,4,4−テトラメチル−2−ブチニレン基)、1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールホルメートベンゾエート(Z=1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイニレン基)などが挙げられる。
これらの中では、2−ブチン−1,4−ジオールホルメートベンゾエート、3−ヘキシン−2,5−ジオールホルメートベンゾエートが特に好ましい。
これらの中では、トリメチロールエタントリホルメート、1,2,3−プロパントリオールトリホルメート、1,2,4−ブタントリオールトリホルメート、1,2,3,4−ブタンテトロールテトラホルメートが特に好ましい。
前記R7〜R9のアルキル基は、炭素数が1〜20、好ましくは4〜15のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基のほか、前記R2の具体例の中で、炭素数4〜20のものと同様のものが挙げられる。
前記R7〜R9のアルケニル基は、炭素数が1〜20、好ましくは2〜12のアルケニル基であり、例えばビニル基、アリル基、クロチル基などが挙げられる。
前記R7〜R9のアルキニル基は、炭素数が1〜20、好ましくは2〜12のアルキニル基であり、例えばエチニル基、2−プロピニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基などが挙げられる。
これらの中では、ギ酸ペンチル、ギ酸ヘキシル、ギ酸ヘプチル、ギ酸オクチル、ギ酸デシルが特に好ましい。
前記一般式(VI)〜(VIII)で表されるギ酸エステル化合物の中では、ギ酸ビニル、ギ酸アリル、ギ酸プロピニル、ギ酸ブチニル、ギ酸2−ペンチニル、ギ酸1−メチル−2−プロピニル、ギ酸1−メチル−2−ブチニル、ギ酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、ギ酸1,1−ジエチル−2−プロピニル、ギ酸1,1−エチルメチル−2−プロピニルが特に好ましい。
上記環状カーボネート類の中では、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネートから選ばれる少なくとも2種を使用することが好ましく、特にエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート(VC)から選ばれる少なくとも2種が含有されていることが最も好ましい。また、環状カーボネート類を2種以上使用する場合には、最も多い環状カーボネートを除く環状カーボネートの合計の割合が、非水溶媒に対して0.05〜15容量%が好ましく、0.1〜10容量%がより好ましい。
また、上記鎖状カーボネート類の中では、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネートなどの非対称カーボネートを使用することが好ましく、特に、低温で液体であり、比較的沸点が高いために蒸発が少ないメチルエチルカーボネート(MEC)を使用することが好ましい。
また、鎖状カーボネート類のうち、非対称な鎖状カーボネートであるメチルエチルカーボネート(MEC)と、対称な鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)及び/又はジエチルカーボネート(DEC)との容量比は、100/0〜51/49であることが好ましく、100/0〜70/30がより好ましい。
例えば、カーボネート類とラクトン類の割合は、容量比率で10:90〜40:60が好ましく、特に20:80〜35:65が好ましい。
これらの中でも、特に好ましい電解質塩は、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2であり、最も好ましい電解質塩はLiPF6である。これらの電解質塩は、1種類で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
これらの電解質塩の好ましい組み合わせとしては、LiPF6とLiBF4との組み合わせ、LiPF6とLiN(SO2CF3)2との組み合わせ、LiBF4とLiN(SO2CF3)2との組み合わせ等が挙げられる。特に好ましいのは、LiPF6とLiBF4との組み合わせである。
電解質塩は任意の割合で混合することができるが、LiPF6と組み合わせて使用する場合の他の電解質塩が全電解質塩に占める割合(モル比)は、好ましくは0.01〜45%、より好ましくは0.03〜20%、さらに好ましくは0.05〜10%、最も好ましくは0.05〜5%である。
また、全電解質塩は、前記非水溶媒中に、通常0.5〜3M、好ましくは0.7〜2.0M、さらに好ましくは0.8〜1.6M、最も好ましくは0.8〜1.2Mの濃度で溶解して使用することができる。
非水電解液中に二酸化炭素又は空気を含有(溶解)させる方法としては、(1)あらかじめ非水電解液を電池内に注液する前に空気又は二酸化炭素含有ガスと接触させて含有させる方法、(2)注液後、電池封口前又は後に空気又は二酸化炭素含有ガスを電池内に含有させる方法のいずれでもよく、またこれらを組み合わせて使用することもできる。空気や二酸化炭素含有ガスは、極力水分を含まないものが好ましく、露点−40℃以下であることが好ましく、露点−50℃以下であることが特に好ましい。
これらの中では、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2のような、満充電状態における正極の充電電位がLi基準で4.3V以上で使用可能なリチウム複合酸化物が好ましく、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi1/2Mn3/2O4のような4.4V以上で使用可能なリチウム複合酸化物がより好ましい。また、リチウム複合金属酸化物の一部が他元素で置換されていてもよい。例えば、LiCoO2のCoの一部をSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cuなどで置換されていてもよい
導電剤の正極合剤への添加量は、1〜10重量%が好ましく、特に2〜5重量%が好ましい。
これらの中では、炭素材料が好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm以下、特に0.335〜0.340nmである黒鉛型結晶構造を有するグラファイト類を使用することがより好ましい。これらの負極(負極活物質)は、1種類だけを選択して使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、炭素材料のような粉末材料はエチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの結着剤と混練して負極合剤として使用される。負極の製造方法は、特に限定されず、上記の正極の製造方法と同様な方法により製造することができる。
本発明で使用される電池用セパレータは、製造条件によっても異なるが、その透気度が50〜1000秒/100ccが好ましく、100〜800秒/100ccがより好ましく、300〜500秒/100ccが最も好ましい。透気度が高すぎるとリチウムイオン伝導性が低下するために電池用セパレータとしての機能が十分でなく、低すぎると機械的強度が低下するので上記範囲とするのが好ましい。また、その空孔率は30〜60%が好ましく、35〜55%がより好ましく、40〜50%が最も好ましい。特に空孔率をこの範囲とすると、電池の容量特性が向上するので好ましい。さらに、電池用セパレータの厚みはできるだけ薄い方がエネルギー密度を高くできるため好ましいが、機械的強度、性能などの両面から5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましく、15〜25μmが最も好ましい。
〔非水電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC):メチルエチルカーボネート(MEC)(容量比)=30:5:65の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPF6を1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、さらに非水電解液に対して2−ブチン−1,4−ジオールジホルメートを0.1重量%となるように加えた。
LiCoO2(正極活物質)を94重量%、アセチレンブラック(導電剤)を3重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を3重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して正極を調製した。格子面(002)の面間隔(d002)が0.335nmである黒鉛型結晶構造を有する人造黒鉛(負極活物質)を95重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加え、混合したものを銅箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して負極を調製した。そして、ポリエチレン微多孔性フィルムのセパレータ(厚さ20μm)を用い、上記の非水電解液を注入後、電池封口前に露点−60℃の空気を電池内に含有させて18650サイズの円筒電池(直径18mm、高さ65mm)を作製した。電池には、圧力開放口及び内部電流遮断装置(PTC素子)を設けた。この時、正極の電極密度は、3.5g/cm3であり、負極の電極密度は1.6g/cm3であった。正極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は70μmであり、負極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は60μmであった。
この18650電池を用いて、25℃下、2.2A(1C)の定電流で4.2Vまで充電した後、終止電圧4.2Vとして定電圧下に合計3時間充電した。次に2.2A(1C)の定電流下、終止電圧3.0Vまで放電し、この充放電を繰り返した。初期放電容量(mAh)は、ギ酸エステル化合物を添加しない1M LiPF6−EC/PC/MEC(容量比30/5/65)を非水電解液として用いた場合(比較例1)とほぼ同等であり、200サイクル後の電池特性を測定したところ、初期放電容量を100%としたときの放電容量維持率は84.7%であった。18650電池の作製条件及び電池特性を表1に示す。
添加剤として、2−ブチン−1,4−ジオールジホルメートを非水電解液に対して、それぞれ0.5重量%、1重量%、5重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表1に示す。
添加剤として、ギ酸フェニル、ギ酸ビフェニル、ギ酸4−シクロヘキシルフェニル、ギ酸ペンタフルオロフェニル、エチレングリコールジホルメート、エチレングリコールホルメートアセテート、2−ブテン−1,4−ジオールジホルメート、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールジホルメート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールジホルメート、トリメチロールエタントリホルメートを非水電解液に対して、各1重量%ずつ使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表1に示す。
正極(正極活物質)として、LiCoO2に代えてLiMn2O4を使用したほかは、実施例3と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表1に示す。
添加剤を使用しなかったほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表1に示す。
添加剤として、2−ブチン−1,4−ジオールジアセテートを非水電解液に対して1重量%使用したほかは、実施例1と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表1に示す。
〔非水電解液の調製〕
エチレンカーボネート(EC):ビニレンカーボネート(VC):γ−ブチロラクトン(GBL)(容量比)=20:2:78の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPF6及びLiBF4をそれぞれ0.9M、0.1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、さらに非水電解液に対してギ酸ペンチルを1重量%となるように加えた。
LiCoO2(正極活物質)を90重量%、アセチレンブラック(導電剤)を5重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して正極を調製した。格子面(002)の面間隔(d002)が0.336nmである黒鉛型結晶構造を有する人造黒鉛(負極活物質)を95重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加え、混合したものを銅箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して負極を調製した。そして、ポリプロピレン微多孔性フィルムのセパレータを用い、上記の非水電解液を注入後、電池封口前に露点−60℃の二酸化炭素を電池内に含有させて18650サイズの円筒電池(直径18mm、高さ65mm)を作製した。電池には、圧力開放口及び内部電流遮断装置(PTC素子)を設けた。この時、正極の電極密度は、3.4g/cm3であり、負極の電極密度は1.4g/cm3であった。正極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は70μmであり、負極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は75μmであった。
この18650電池を用いて、常温(25℃)下、0.6A(0.3C)の定電流で4.2Vまで充電した後、終止電圧4.2Vとして定電圧下に合計6時間充電した。次に0.6A(0.3C)の定電流下、終止電圧2.8Vまで放電し、この充放電を繰り返した。初期放電容量(mAh)は、ギ酸エステル化合物を添加しない1M LiPF6−EC/VC/GBL(容量比20/2/78)を非水電解液として用いた場合(比較例3)とほぼ同等であり、200サイクル後の電池特性を測定したところ、初期放電容量を100%としたときの放電容量維持率は77.1%であった。18650電池の作製条件及び電池特性を表2に示す。
添加剤として、ギ酸ヘキシルを非水電解液に対して、1重量%使用したほかは、実施例16と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表2に示す。
実施例18〜20
添加剤として、ギ酸オクチルを非水電解液に対して、それぞれ0.1重量%、1重量%、5重量%使用したほかは、実施例16と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表2に示す。
実施例21
添加剤として、ギ酸デシルを非水電解液に対して、0.5重量%使用したほかは、実施例16と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表2に示す。
添加剤を使用しなかったほかは、実施例16と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表2に示す。
比較例4
添加剤として、ギ酸エチルを非水電解液に対して1重量%使用したほかは、実施例16と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表2に示す。
〔非水電解液の調製〕
EC:PC:MEC(容量比)=30:5:65の非水溶媒を調製し、これに電解質塩としてLiPF6を1Mの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した後、さらに非水電解液に対してギ酸ビニルを0.5重量%となるように加えた。
LiCoO2(正極活物質)を90重量%、アセチレンブラック(導電剤)を5重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加えて混合したものをアルミニウム箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して正極を調製した。格子面(002)の面間隔(d002)が0.335nmである黒鉛型結晶構造を有する人造黒鉛(負極活物質)を95重量%、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)を5重量%の割合で混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン溶剤を加え、混合したものを銅箔上に塗布し、乾燥、加圧成型、加熱処理して負極を調製した。そして、ポリプロピレン微多孔性フィルムのセパレータを用い、上記の非水電解液を注入後、電池封口前に露点−60℃の空気を電池内に含有させて、18650サイズの円筒電池(直径18mm、高さ65mm)を作製した。電池には、圧力開放口及び内部電流遮断装置(PTC素子)を設けた。この時、正極の電極密度は3.6g/cm3であり、負極の電極密度は1.7g/cm3であった。正極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は60μmであり、負極の電極層の厚さ(集電体片面当たり)は60μmであった。
この18650電池を用いて、常温(25℃)下、2.2A(1C)の定電流で4.2Vまで充電した後、終止電圧4.2Vとして定電圧下に合計3時間充電した。次に2.2A(1C)の定電流下、終止電圧2.8Vまで放電し、この充放電を繰り返した。初期放電容量は、ギ酸ビニルを添加しない1M LiPF6−EC/PC/MEC(容量比30/5/65)を非水電解液として用いた場合(比較例5)とほぼ同等であり、200サイクル後の電池特性を測定したところ、初期放電容量を100%としたときの放電容量維持率は81.7%であった。18650電池の作製条件及び電池特性を表3に示す。
添加剤として、ギ酸アリルを非水電解液に対して、1重量%使用したほかは、実施例22と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表3に示す。
実施例24
添加剤として、ギ酸2−プロピニルを非水電解液に対して、1重量%使用したほかは、実施例22と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表3に示す。
実施例25
添加剤として、ギ酸1−メチル−2−プロピニルを非水電解液に対して、5重量%使用したほかは、実施例22と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表3に示す。
実施例26
添加剤として、ギ酸1,1−ジメチル−2−プロピニルを非水電解液に対して、1重量%使用したほかは、実施例22と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表3に示す。
正極(正極活物質)としてLiMn2O4を使用し、添加剤としてギ酸2−プロピニルを1重量%使用したほかは、実施例22と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表3に示す。
添加剤を使用しなかったほかは、実施例22と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表3に示す。
比較例6
添加剤として、酢酸2−プロピニルを非水電解液に対して1重量%使用したほかは、実施例22と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表3に示す。
正極(正極活物質)としてLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2を使用し、添加剤としてギ酸2−プロピニル又は2−ブチン−1,4−ジオールジホルメートを1重量%使用したほかは、実施例22と同様に非水電解液を調製して18650サイズの円筒電池を作製し、充放電サイクルを繰り返した。結果を表4に示す。
Claims (11)
- 非水溶媒に電解質塩が溶解されているリチウム二次電池用非水電解液において、該非水電解液中に下記一般式(I)、(II)、(V)又は(VIII)で表されるギ酸エステル化合物、トリメチロールエタントリホルメート、1,2,3−プロパントリオールトリホルメート、1,2,4−ブタントリオールトリホルメート、及び1,2,3,4−ブタンテトロールテトラホルメートから選ばれる1種又は2種以上が、非水電解液に対して、0.01〜10重量%含有されていることを特徴とする非水電解液。
- 一般式(I)で表されるギ酸エステル化合物が、ギ酸フェニル、ギ酸o−フルオロフェニル、ギ酸m−フルオロフェニル、ギ酸p−フルオロフェニル、ギ酸ペンタフルオロフェニル、ギ酸4−シクロヘキシルフェニル、及びギ酸ビフェニルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の非水電解液。
- 一般式(II)で表されるギ酸エステル化合物が、エチレングリコールジホルメート、1,3−プロパンジオールジホルメート、1,4−ブタンジオールジホルメート、1,2−プロパンジオールジホルメート、1,3−ブタンジオールジホルメート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジホルメート、及び1,1,3−トリメチル−1,3−プロパンジオールジホルメートから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の非水電解液。
- 一般式(II)で表されるギ酸エステル化合物が、2−ブテン−1,4−ジオールジホルメート、2−ブチン−1,4−ジオールジホルメート、3−ヘキシン−2,5−ジオールジホルメート、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールジホルメート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールジホルメート、及び1,1,6,6−テトラメチル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールジホルメートから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の非水電解液。
- 一般式(II)で表されるギ酸エステル化合物が、エチレングリコールホルメートアセテート、1,3−プロパンジオールホルメートアセテート、1,4−ブタンジオールホルメートアセテート、1,2−プロパンジオールホルメートアセテート、1,2−ブタンジオールホルメートアセテート、1,3−ブタンジオールホルメートアセテート、2−メチル−1,3−プロパンジオールホルメートアセテート、及び1,3−ジメチル−1,4−ブタンジオールホルメートアセテートから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の非水電解液。
- 一般式(V)で表されるギ酸エステル化合物が、ギ酸ヘキシル、ギ酸ヘプチル、ギ酸オクチル、及びギ酸デシルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の非水電解液。
- 一般式(VIII)で表されるギ酸エステル化合物が、ギ酸プロピニル、ギ酸ブチニル、ギ酸2−ペンチニル、ギ酸1−メチル−2−プロピニル、ギ酸1−メチル−2−ブチニル、ギ酸1,1−ジメチル−2−プロピニル、ギ酸1,1−ジエチル−2−プロピニル、及びギ酸1,1−エチルメチル−2−プロピニルから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の非水電解液。
- 非水電解液が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、メチルエチルカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、及びγ−ブチロラクトンから選ばれる1種又は2種以上の非水溶媒を含有する請求項1に記載の非水電解液。
- 非水溶媒中の環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の割合が、容量比率で20:80〜40:60である請求項8に記載の非水電解液。
- 正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム二次電池において、正極がリチウム複合酸化物を含む材料であり、負極がリチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、該非水電解液中に下記一般式(I)、(II)、(V)又は(VIII)で表されるギ酸エステル化合物、トリメチロールエタントリホルメート、1,2,3−プロパントリオールトリホルメート、1,2,4−ブタントリオールトリホルメート、及び1,2,3,4−ブタンテトロールテトラホルメートから選ばれる1種又は2種以上が、非水電解液に対して、0.01〜10重量%含有されていることを特徴とするリチウム二次電池。
- 負極が炭素材料であり、電解質塩がLiPF6及び/又はLiBF4である請求項10に記載のリチウム二次電池。
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