JP4899628B2 - 転がり軸受ユニットの荷重測定装置とその製造方法及び製造装置 - Google Patents

転がり軸受ユニットの荷重測定装置とその製造方法及び製造装置 Download PDF

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この発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、複数個の転動体を介して相対回転自在に組み合わされた静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に加わる荷重(ラジアル方向の変位量とアキシアル方向の変位量との一方又は双方)を検出するものである。そして、検出した荷重を表す信号を、自動車等の車両の走行安定性確保を図る為に利用する。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型の玉軸受ユニット等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、例えば非特許文献1に記載されている様な、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等の信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(ラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、ラジアル荷重を測定自在な、荷重測定装置付転がり軸受ユニットが記載されている。この従来構造の第1例の場合には、非接触式の変位センサで、回転しない外輪と、この外輪の内径側で回転するハブとの径方向に関する変位を測定する事により、これら外輪とハブとの間に加わるラジアル荷重を求める様にしている。求めたラジアル荷重は、ABSを適正に制御する他、積載状態の不良を運転者に知らせる為に利用する。
又、特許文献2には、転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を測定する構造が記載されている。この特許文献2に記載された従来構造の第2例の場合、外輪の外周面に設けた固定側フランジの内側面複数個所で、この固定側フランジをナックルに結合する為のボルトを螺合する為のねじ孔を囲む部分に、それぞれ荷重センサを添設している。上記外輪を上記ナックルに支持固定した状態でこれら各荷重センサは、このナックルの外側面と上記固定側フランジの内側面との間で挟持される。この様な従来構造の第2例の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、車輪と上記ナックルとの間に加わるアキシアル荷重は、上記各荷重センサにより測定される。更に、特許文献3には、一部の剛性を低くした外輪相当部材に動的歪みを検出する為のストレンゲージを設け、このストレンゲージが検出する転動体の通過周波数から転動体の公転速度を求め、更に、転がり軸受に加わるアキシアル荷重を測定する方法が記載されている。
前述の特許文献1に記載された従来構造の第1例の場合、変位センサにより、外輪とハブとの径方向に関する変位を測定する事で、転がり軸受ユニットに加わる荷重を測定する。但し、この径方向に関する変位量は僅かである為、この荷重を精度良く求める為には、上記変位センサとして、高精度のものを使用する必要がある。高精度の非接触式センサは高価である為、荷重測定装置付転がり軸受ユニット全体としてコストが嵩む事が避けられない。
又、特許文献2に記載された従来構造の第2例の場合、ナックルに対し外輪を支持固定する為のボルトと同数だけ、荷重センサを設ける必要がある。この為、荷重センサ自体が高価である事と相まって、転がり軸受ユニットの荷重測定装置全体としてのコストが相当に嵩む事が避けられない。又、特許文献3に記載された方法は、外輪相当部材の一部の剛性を低くする必要があり、この外輪相当部材の耐久性確保が難しくなる可能性がある他、十分な測定精度を得る事が難しいと考えられる。
この様な事情に鑑みて本発明者等は先に、複列アンギュラ型の玉軸受ユニットを構成する回転側軌道輪にエンコーダを、この回転側軌道輪と同心に支持固定し、このエンコーダの被検出面の変位を検出する事で、この回転側軌道輪と静止側軌道輪との相対変位量を測定し、更にこの相対変位量に基づいてこれら両軌道輪同士の間に加わる荷重を求める発明(先発明)を行なった(特願2005−147642)。この先発明に係る構造の場合、上記エンコーダの被検出面の特性が円周方向に関して変化するパターン(位相と、ピッチと、検出信号のデューティ比に結び付く、各特性の割合とのうちから選択される1乃至複数)は、検出すべき荷重の作用方向に一致する、上記被検出面の幅方向に関して連続的に変化している。そして、上記静止側軌道輪等の固定部分に支持したセンサの検出部を、上記エンコーダの被検出面に近接対向させて、このセンサの出力信号が、上記相対変位量に応じて変化する様にしている。
図3〜4は、この様な先発明に係る構造の第1例を示している。この先発明の第1例の転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、車輪支持用転がり軸受ユニット1と、回転速度検出装置としての機能を兼ね備えた、荷重測定装置2とを備える。
このうちの車輪支持用転がり軸受ユニット1は、図3に示す様に、外輪3と、ハブ4と、複数個の転動体5、5とを備える。このうちの外輪3は、使用状態で懸架装置に支持固定される静止側軌道輪であって、内周面に複列の外輪軌道6、6を、外周面にこの懸架装置に結合する為の外向フランジ状の取付部7を、それぞれ有する。又、上記ハブ4は、使用状態で車輪を支持固定してこの車輪と共に回転する回転側軌道輪であって、ハブ本体8と内輪9とを組み合わせ固定して成る。この様なハブ4は、外周面の軸方向外端部(懸架装置への組み付け状態で車体の幅方向外側となる端部)に車輪を支持固定する為のフランジ10を、軸方向中間部及び内輪9の外周面に複列の内輪軌道11、11を、それぞれ設けている。上記各転動体5、5は、これら各内輪軌道11、11と上記各外輪軌道6、6との間にそれぞれ複数個ずつ、互いに逆方向の(背面組み合わせ型の)接触角を付与した状態で転動自在に設け、上記外輪3の内径側に上記ハブ4を、この外輪3と同心に回転自在に支持している。
一方、上記荷重測定装置2は、図3に示す様に、エンコーダ12と、センサ13と、図示しない演算器とを備える。
このうちのエンコーダ12は、軟鋼板等の磁性材製で、図4に示す様に、それぞれがスリット状である複数の透孔14a、14bを、交互に形成している。これら各透孔14a、14bは、上記エンコーダ12の中心軸の方向に対し傾斜している。又、円周方向に隣り合う透孔14a、14b同士の間で、傾斜方向は互いに逆になっている。又、円周方向に隣り合う透孔14a、14b同士のピッチは、交互に大小を繰り返している。この様なエンコーダ12は、上記ハブ4の中間部に外嵌固定している。一方、上記センサ13は、永久磁石と、ホール素子或いは磁気抵抗素子等の磁気検出素子とを組み込んだ、アクティブ型の磁気センサで、上記外輪3の中間部に形成した取付孔15に、径方向外方から内方に挿通する状態で設けている。そして、上記センサ13の先端部を上記外輪3の内周面から径方向内方に突出させて、この先端部に設けた検出部を、被検出面である、上記エンコーダ12の外周面に近接対向させている。
上述の様に構成する先発明の荷重測定装置の第1例の場合、アキシアル荷重に基づいて上記ハブ4と上記外輪3とが軸方向に相対変位すると、上記センサ13の検出信号が変化するパターン(ピッチ及び位相)が変化する。そこで、このパターンの変化に基づいて、上記相対変位の大きさ、更には上記アキシアル荷重の大きさを求められる。尚、同方向に傾斜した透孔14a、14a(14b、14b)に基づいて上記検出信号が変化する周期は、上記相対変位に拘らず変化しない。従って、この周期に基づいて、上記ハブ4の回転速度を求める事もできる。
次に、図5〜6は、先発明に係る構造の第2例を示している。本例の場合には、重量の嵩む自動車の駆動輪を支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットを対象としている為に、転動体5a、5aとして円すいころを使用している。又、回転側軌道輪であるハブ4aの中心部に、等速ジョイントに付属のスプライン軸を挿通する為のスプライン孔18を形成している。そして、上記ハブ4aの中間部に、磁性金属材製で円環状のエンコーダ12aを外嵌固定している。このエンコーダ12aの外周面には、図6に示す様に、凹部19、19と凸部20、20とを、円周方向に関して交互に配置している。これら各凹部19、19と凸部20、20との円周方向に関する幅寸法は、軸方向に関して漸次変化している。
一方、静止側軌道輪である外輪3の中間部に形成した取付孔15に、上述した第1例の場合と同様の、磁気検知式のセンサ13を挿通し、このセンサ13の先端部に設けた検出部を、上記エンコーダ12aの外周面に近接対向させている。このセンサ13の検出信号は、上記検出部の近傍を上記各凹部19、19と上記各凸部20、20とが交互に通過する事に伴って変化するが、この変化のパターン(検出信号のデューティ比=高電位継続時間/1周期)は、上記検出部が対向する、上記エンコーダ12aの外周面の軸方向位置によって変化する。そこで、上記変化のパターンに基づいて、上記外輪3と上記ハブ4aとの間に作用するアキシアル荷重を求められる。
次に、図7〜8は、先発明に係る構造の第3例を示している。本例の場合には、静止側軌道輪である外輪3の一部に1対のセンサ13a、13bを、回転側軌道輪であるハブ4の回転方向に関する位相を一致させ、且つ、このハブ4の軸方向にずらせた状態で配置している。そして、上記両センサ13a、13bの検出部を、上記ハブ4の中間部に外嵌固定したエンコーダ12bの外周面に近接対向させている。このエンコーダ12bは、磁性金属板により円筒状に形成されたもので、幅方向片半部と他半部とに、それぞれスリット状の透孔14c、14dを、それぞれ上記エンコーダ12bの中心軸の方向に対し傾斜させた状態で、円周方向に関して等間隔に形成している。幅方向片半部の透孔14c、14cの傾斜方向と、他半部の透孔14d、14dの傾斜方向とは互いに逆で、傾斜角度は互いに等しい。又、上記外輪3と上記ハブ4との間にアキシアル荷重が作用していない状態(中立状態)で、上記両列の透孔14c、14dの間に存在するリム部21が、上記両センサ13a、13bの検出部の丁度中央位置に存在する。
上述の様なエンコーダ12bを含んで構成する、先発明の荷重測定装置の第3例の場合、上記中立状態では、上記両センサ13a、13bの検出信号の位相が互いに一致する。これに対して、上記外輪3と上記ハブ4との間にアキシアル荷重が作用すると、これら外輪3とハブ4とが軸方向に相対変位する結果、上記1対のセンサ13a、13bの検出信号の位相がずれる。そこで、このずれの方向及び大きさ(実際の場合には、上記両センサ13a、13bの検出信号の1周期に対するずれの大きさの比)に基づいて、上記アキシアル荷重の方向及び大きさを求められる。尚、上記ハブ4の回転速度は、何れかのセンサ13a(13b)の検出信号の周期或いは周波数に基づいて求められる。
次に、図9〜10は、先発明に係る構造の第4例を示している。この先発明の第4例の場合には、ハブ4の内端部に外嵌固定した内輪9の内端部に、図10に示す様なエンコーダ12cの基端部を外嵌して、このエンコーダ12cを上記ハブ4に対し、このハブ4と同心に支持固定している。このエンコーダ12cは、磁性金属板製で、先半部に設けた円筒状部に、それぞれが「く」字形でスリット状の透孔14e、14eを、円周方向に関して等間隔に形成している。又、外輪3の内端部に嵌合固定したカバー16に支持したセンサホルダ17内に1対のセンサを、軸方向に離隔した状態で保持している。そして、これら両センサの検出部を、上記エンコーダ12cの内周面に近接対向させている。
上述の様な先発明の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の第4例の場合も、アキシアル荷重に基づいてハブ4と外輪3とが軸方向に相対変位すると、上記1対のセンサの検出信号の位相がずれる。そこで、このずれの大きさに基づいて、上記相対変位の大きさ、更には上記アキシアル荷重の大きさを求められる。尚、上記ハブ4の回転速度は、何れかのセンサの検出信号に基づいて求められる。
尚、上述の先発明の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の第1〜4例は何れも、エンコーダ12〜12cとして単なる磁性材製のものを使用し、センサの側に永久磁石を組み込む事を意図している。これに対して、前記特願2005−147642号には、永久磁石製のエンコーダを使用し、センサの側の永久磁石を省略する構造に就いても記載されている。何れの場合でも、エンコーダの被検出面が円周方向に関して変化するパターンは、検出すべき荷重の作用方向に一致する、この被検出面の幅方向に関して連続的に変化している。
何れにしても、上述の様な先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置により求めたアキシアル荷重は、路面と車輪(タイヤ)との接触面で生じている荷重と等価である。従って、上記求めた荷重に基づいて車両の走行状態を安定化させる為の制御を行なえば、車両の姿勢が不安定になる事を予防する為のフィードフォワード制御が可能になる等、車両の走行安定性確保の為の高度な制御が可能になる。
上述の様な先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置により、前記外輪3等の静止側軌道輪と、前記ハブ4等の回転側軌道輪との間の相対変位量を求め、更にこれら両軌道輪同士の間に加わる荷重を求める為には、前記エンコーダ12〜12cの被検出面の特性が変化するパターン(に基づいてセンサ13、13a、13bの出力信号が変化するパターン)の変化程度と、上記アキシアル荷重との関係(零点及びゲイン特性)を、正確に把握しておく必要がある。しかしながら、上記センサ13、13a、13bの出力信号のパターンが上記アキシアル荷重に基づいて変化する程度は、上記転がり軸受ユニットの転動体5、5に付与した予圧の値等によって微妙に変化する。この為、総ての転がり軸受ユニットの零点及びゲイン特性を一致させる事は困難である。
この様な事情に鑑みて、特願2005−5133には、個々の転がり軸受ユニットの荷重測定装置に就いて、組立後、出荷前に、転がり軸受ユニットに加わる荷重とセンサの出力信号が変化するパターンとの関係である、零点及びゲイン特性を求める、出荷検査方法に関する発明が開示されている。又、特願2005−43498には、回転側軌道輪の回転速度(自動車の走行速度)の変化に基づく上記ゲイン特性の変化(速度依存性)を補正する発明が開示されている。これら各先発明により、各センサの検出信号が変化するパターンにより、上記転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確に求める事ができる。
但し、ゲイン特性や速度依存性は、自動車の懸架装置への組み付け位置(左右何れの車輪に関する転がり軸受ユニットであるか)により異なる場合がある。この為、上記零点及びゲイン特性を求める作業を、上記回転側軌道輪を一方向に回転させただけで行なっただけでは、転がり軸受ユニットの荷重測定装置のコスト低減を図りつつ荷重測定の信頼性を確保する面から不十分になる。この理由に就いて、以下に説明する。一般的に、車輪支持用転がり軸受ユニットは、前輪用と後輪用とで仕様が異なる場合が多いが、前輪、後輪共、左右両輪に関しては、仕様は同じである。従って、本発明の対象となる転がり軸受ユニットの荷重測定装置に就いても、左右両輪に関して同じ仕様のものを使用する事が、部品の共通化によりコスト低減を図る面からは好ましい。
一方、左右の車輪に同じ仕様の転がり軸受ユニットの荷重測定装置を組み付けた場合、これら両輪に関する転がり軸受ユニットの荷重測定装置の構造は、これら両輪の中央位置を中心として、180度点対称となる(鏡面対称ではない)。従って、上記荷重測定装置に組み込んだエンコーダの被検出面の特性が円周方向に関して変化するパターン、延ては、このパターンに基づいて変化するセンサの出力信号の変化のパターンが、左右両輪同士の間で逆になる。この結果、転がり軸受ユニットの剛性等が同じであるとしても、これら両輪に関して、上記ゲイン特性が異なってしまう。この点に就いて、前述の図7〜10に示した先発明に係る構造の第3〜4例に則した構造(に関するエンコーダと出力信号の変化のパターン)を表した、図11〜12により説明する。
図11に示す様に、エンコーダEの被検出面の特性変化の境界の傾斜方向が、この被検出面の幅方向中央部で変化しており、中立状態(アキシアル荷重0の状態)で、1対のセンサA、Bの出力信号の位相が180度逆である場合に就いて考える。この様な特性は、これら両センサA、Bの設置位置を円周方向にずらせたり、或いはこれら両センサA、Bの出力信号を電気的に処理する事で容易に得られる。又、磁性材製のエンコーダと永久磁石を組み込んだセンサとを組み合わせる場合には、両センサ同士の間で永久磁石の設置方向を(着磁方向に関して)互いに逆にする事によっても得られる。
何れにしても、中立状態で1対のセンサA、Bの出力信号の位相が180度逆である場合には、この中立状態で、これら両センサA、Bの出力信号の位相は、図11の下半部に示す様に互いに逆になる。言い換えれば、これら両センサA、Bの出力信号同士の間の位相差(センサAの出力信号の立上りの瞬間からセンサBの出力信号の立上りの瞬間迄)は、これら両センサA、Bの出力信号の周期の1/2となる。この状態から、アキシアル荷重が作用し、これら両センサA、Bに対して上記エンコーダEが図11〜12の下方に変位した状態に就いて、このエンコーダEの回転方向毎に考える。
図12の(A)(B)は、何れもこのエンコーダEが下方に、同じ量だけ変位した状態を示しているが、このうちの(A)はこのエンコーダEが右から左に、(B)は同じく左から右に、それぞれ回転している場合に就いて示している。図12の(A)と(B)の中段には、センサA、Bの出力信号の変化状況を示している。これら図12の(A)と(B)の中段に示すセンサA、Bの出力信号の変化状況は、一見同じに見えるが、変化の方向が異なる点を考慮しなければならない。即ち、図12の(A)の中段に示したセンサA、Bの出力信号の時間軸は右から左に経過し、同じく(B)では左から右に経過する。この事を考慮しつつ、上記センサAの出力信号が立上ってから上記センサBの出力信号が立上る迄の時間(位相差)を求めると、図12の(A)ではδA となり、(B)ではδB (δA >δB )となる。
この様に、エンコーダEの軸方向に関する変位量が同じであっても、このエンコーダEの回転方向が異なれば、1対のセンサA、Bの出力信号同士の間の位相差δA 、δB は互いに異なる。要するに、右車輪に装着する場合と左車輪に装着する場合とで、エンコーダEの軸方向変位に基づいて上記両センサA、Bの出力信号同士の間に存在する位相差が変化する傾向は互いに逆になる。そして、アキシアル荷重の大きさと位相差比(位相差/1周期)との関係に就いても、図12の(A)(B)の下段に示す様に、右車輪に装着する場合と左車輪に装着する場合とで、互いに逆になる。従って、同じ転がり軸受ユニットの荷重測定装置を使用する場合でも、右車輪に組み付ける場合と左車輪に組み付ける場合とで、前記零点及びゲイン特性を異ならせる必要がある。又、このうちのゲイン特性は、遠心力による、エンコーダ等の構成各部材の弾性変形、転がり軸受ユニットの潤滑状態、パルス波形特性等により、速度によって変化する(ゲイン特性に速度依存性がある)が、この速度依存性に基づく変化に就いても、右車輪の場合と左車輪の場合とで異なる。この様な状況は、前述の図3〜6に示した先発明の第1〜2例の様に、1個のセンサの出力信号の変化のパターンの変化、或はデューティ比によりアキシアル荷重を求める構造の場合も同様である。
従って、同一仕様の転がり軸受ユニットの荷重測定装置であっても、右車輪に装着する場合と左車輪に装着する場合とで、上記零点及びゲイン特性を異ならせる必要がある。但し、転がり軸受ユニットの荷重測定装置を、右車輪用と左車輪用とで別々に用意する事は、この転がり軸受ユニットの荷重測定装置の製造作業、部品としての管理作業、自動車の懸架装置への組み付け作業の煩雑さによるコスト上昇の原因となる為、好ましくない。尚、特願2005−256752、特願2006−19989には、前述の図8に示した様なエンコーダ12bと、4個乃至6個のセンサとを組み合わせる事で、各方向の荷重を求める構造が開示されているが、この様な構造の場合も、同様の問題を生じる。
特開2001−21577号公報 特開平3−209016号公報 特公昭62−3365号公報 青山元男著、「レッドバッジスーパー図解シリーズ/クルマの最新メカがわかる本」、p.138−139、p.146−149、株式会社三推社/株式会社講談社、平成13年12月20日
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、個々の転がり軸受ユニットに関して、エンコーダの被検出面の特性が変化するパターン(に基づいてセンサの出力信号が変化するパターン)の変化程度とアキシアル荷重との関係(零点及びゲイン特性)が異なる場合で、しかも左右何れの車輪に装着した場合にも、上記転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確に求められる荷重測定装置を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となる転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、転がり軸受ユニットと荷重測定装置とを備える。
このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に接触角を付与された状態で設けられた複数個の転動体とを備える。
又、上記荷重測定装置は、上記回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪に対し固定されてこの回転側軌道輪と共に回転及び変位する部材の一部に、この回転側軌道輪と同心に支持された、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、その検出部をこの被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるセンサと、このセンサの出力信号に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に加わる荷重を算出する演算器とを備える。
更に、上記被検出面の特性が円周方向に関して変化するパターンは、検出すべき荷重の作用方向に対応(例えば一致)して、上記被検出面の幅方向に関して連続的に変化している。
又、請求項1〜4に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合には、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に荷重を加えない状態、及び、既知の荷重を付与した状態で、それぞれこれら静止側軌道輪と回転側軌道輪とを両方向に相対回転させ、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に荷重が加わらない状態、及び、既知の荷重が加わった状態での上記センサの出力信号が変化するパターンを、上記両方向の回転に関してそれぞれ測定する事により、これら荷重と出力信号が変化するパターンとの関係である零点とゲイン特性とを、上記両方向の回転に関して、それぞれ回転方向と関連させて求めている。
そして、これら求めた上記零点とゲイン特性とを、上記荷重を算出する為の情報として、回転方向と関連させて記録している。
又、請求項2に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合には、上記構成に加えて、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に一定の荷重を加えた状態のままこの回転側軌道輪の回転速度を変化させ、この回転速度の変化に対応した零点の変化を、荷重を算出する為の情報として記録している。
又、請求項3に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合には、上記構成に加えて、別体とされた転がり軸受ユニットと演算器とが通信手段(有線又は無線)により結ばれるものである。そして、求めた零点及びゲイン特性をICタグに記録した状態で、このICタグを転がり軸受ユニットに結合している。
更に、請求項4に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合には、上記構成に加えて、転がり軸受ユニットと演算器とが一体に結合されている。そして、求めた零点及びゲイン特性を、直接上記演算器のメモリ中に記録している。
一方、請求項5に記載した荷重測定装置を製造する為の製造方法は、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に荷重を加えない状態、及び、既知の荷重を付与した状態で、それぞれこれら静止側軌道輪と回転側軌道輪とを両方向に相対回転させる。そして、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に荷重が加わらない状態、及び、既知の荷重が加わった状態での上記センサの出力信号が変化するパターンを、上記両方向の回転に関してそれぞれ測定する事により、これら荷重と出力信号が変化するパターンとの関係である零点とゲイン特性とを、上記両方向の回転に関して、それぞれ回転方向と関連させて求める。更に、これら求めた上記零点とゲイン特性とを、上記荷重を算出する為の情報として、回転方向と関連させて記録する。
更に、請求項6に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置の製造装置は、支持手段と、駆動手段と、荷重付与手段と、演算装置とを備える。
このうちの支持手段は、上記静止側軌道輪を支持する。
又、上記駆動手段は、上記回転側軌道輪を両方向に回転駆動する。
又、上記荷重付与手段は、この回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との間に既知の荷重を付与する。
更に、上記演算装置は、上記荷重付与手段が付与する荷重の大きさ及び前記センサから送り込まれる、このセンサの出力信号と、上記駆動手段から送り込まれる上記回転側軌道輪の回転方向を表す信号とに基づいて、上記センサの出力信号が変化するパターンと上記荷重の大きさとの関係である零点とゲイン特性とを、上記回転方向に対応して求める。
上述の様に構成する本発明の転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、前述した先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置と同様に、エンコーダの被検出面の特性変化に対応してセンサの出力信号が変化するパターンを検出する事により、転がり軸受ユニットに付加される荷重を測定できる。
更に、本発明の転がり軸受ユニットの荷重測定装置とその製造方法及び製造装置によれば、個々の転がり軸受ユニット同士の間に存在する、エンコーダの被検出面の特性変化に対応してセンサの出力信号が変化するパターンと荷重(例えばアキシアル荷重)との関係(零点及びゲイン特性)の相違に拘らず、しかも左右何れの車輪に装着した場合にも、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する荷重を正確に求められる。
先ず、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合には、転がり軸受ユニットに関する零点とゲイン特性とが、回転側軌道輪の回転方向に対応して記録され、演算器は、この記録された(回転方向に応じた)2種類の零点とゲイン特性とのうちで、その時点での回転方向に応じた零点とゲイン特性に基づいて上記荷重を算出する。この為、この荷重を正確に求める事ができる。
又、請求項2に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合には、回転側軌道輪の回転速度の変化に基づく上記ゲイン特性の変化を補正する為、この回転速度の変化に拘らず、上記荷重を正確に求められる。
尚、上記2種類の零点とゲイン特性とを記録するのは、請求項3に記載した様にICタグでも、或いは請求項4に記載した様に演算器のメモリでも良い。ICタグに記録する場合には、当該転がり軸受ユニットの荷重測定装置を右車輪か左車輪かの何れに装着した後、当該車輪に対応した零点とゲイン特性とを、別途設けた演算器に記憶させる。これに対して、演算器自体に記録した場合には、当該転がり軸受ユニットの荷重測定装置を右車輪か左車輪かの何れに装着した後、当該車輪に対応した零点とゲイン特性とを選択する。具体的には、不要な零点とゲイン特性とをキャンセルする。但し、回転方向に関しては、実際に懸架装置に組み付けた後の状態でも判定できるので、回転方向に応じて何れかの零点とゲイン特性とを採用する様に、実際に荷重を算出する為の演算器に、上記2種類の零点とゲイン特性とのうちの何れかを選択する機能を持たせる事もできる。この様に構成すれば、自動車が前進している場合だけでなく、後退している場合にも、荷重を求められる。
そして、請求項5、6に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置の製造方法及び製造装置によれば、上述の様な転がり軸受ユニットの荷重測定装置を造るべく、上記零点とゲイン特性とを求める作業を、容易且つ能率良く行なえる。
[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例を含む各実施の形態は、前述の図9〜10に示した、先発明の第4例の転がり軸受ユニットの荷重測定装置に関して、本発明を適用する場合に就いて示している。この為に本例の場合には、静止側軌道輪である外輪3と回転側軌道輪であるハブ4との間に加わるアキシアル荷重と、1対のセンサ13a、13bの出力信号の位相差との関係に関し、零点とゲイン特性とを求める様にしている。尚、本例の特徴は、上記先発明の第4例の構造で、上記ハブ4の回転方向に関係なく、上記両センサ13a、13bの出力信号の位相差に基づいて、車輪支持用転がり軸受ユニット1に加わる荷重を正確に求められる転がり軸受ユニットの荷重測定装置を実現すべく、個々の転がり軸受ユニット同士の間に存在する特性の差の影響を小さく抑えると共に、上記零点及びゲイン特性を回転方向毎に求める点にある。その他の部分の構成及び作用は、上記先発明の第4例の場合と同様であるから、同等部分に関する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴である、上記特性の差の影響を小さく抑えると共に、上記零点及びゲイン特性を回転方向毎に求める点に就いて説明する。
上記零点とゲイン特性とを求める場合、上記外輪3を、支持手段である支持フレーム22に支持固定する。そして、駆動・負荷装置23により、上記ハブ4を回転させつつ、このハブ4に既知のアキシアル荷重を付与する。この為に本例の場合には、上記駆動・負荷装置23に、駆動手段であるモータと、荷重付与手段である油圧シリンダ等のアクチュエータとを組み込んでいる。そして、上記駆動・負荷装置23と上記ハブ4とを、荷重センサ24と駆動・負荷用カップリング25を介して連結し、このハブ4を回転駆動しつつ、このハブ4に対しアキシアル荷重を負荷自在としている。又、上記駆動・負荷装置23によりこのハブ4に負荷するアキシアル荷重の大きさを、上記荷重センサ24により測定自在としている。
更に、本例の場合には、上記荷重センサ24が検出する、上記ハブ4に加えられるアキシアル荷重と、上記駆動・負荷装置23に組み込んだモータの回転速度を表す信号とを、前記1対のセンサ13a、13bの出力信号(或いはこれら両センサ13a、13bの出力信号同士の位相差を表す信号)と共に、演算回路26に入力している。この演算回路26は、上記各信号に基づいて、上記アキシアル荷重と、上記1対のセンサ13a、13bの出力信号の位相差と上記ハブ4の回転速度との比(位相差比)との関係である、零点とゲイン特性とを求める。尚、上記ハブ4の回転速度は、上記両センサ13a、13bのうちの何れかのセンサ13a(13b)の信号によっても知る事ができる。従って、上記モータの回転速度を表す信号は、必ずしも必要ではない。
上述の様な製造装置により、上記両センサ13a、13bを組み込んだ転がり軸受ユニットの荷重測定装置の零点とゲイン特性とを求める。これら零点とゲイン特性とを求める場合、先ず、上記駆動・負荷装置23により、上記ハブ4に荷重を付加しない状態でこのハブ4を回転させて、上記両センサ13a、13bの出力信号同士の位相差を測定し、この測定値を零点とする。荷重を付加しない状態での位相差は、理論上は0である事が好ましいが、構成各部材の製造誤差や組み付け誤差に基づいて、完全に0にする事は難しい。そこで、上述の様に、上記ハブ4に荷重を付加しない状態で上記両センサ13a、13bの出力信号同士の間の位相差を測定し、この位相差(実際には、これら両センサ13a、13bの検出信号の1周期に対する位相差の比)を零点とする。
次いで、上記駆動・負荷装置23に内蔵したアクチュエータにより上記ハブ4に、既知のアキシアル荷重を付加しながらこのハブ4を回転させて、上記両センサ13a、13bの検出信号同士の間の位相差を測定する。そして、この測定結果と上記零点とから、上記ゲイン特性を求める。このゲイン特性に就いては、線形の特性は勿論、非線形の特性であっても、上記既知のアキシアル荷重を複数種類用意し、この複数種類の荷重を時間的に前後して付与する事で求められる。尚、上記ゲイン特性を精度良く求める為には、上記既知のアキシアル荷重を、荷重測定装置の測定全範囲に亙って連続的に変化させる。何れにしても、それぞれが既知である複数種類のアキシアル荷重を負荷しつつ、上記両センサ13a、13bの検出信号同士の間に存在する位相差を測定する事で、この位相差と上記アキシアル荷重との関係を表す零点及びゲイン特性を、上記ハブ4の両回転方向に就いて、それぞれ求める。即ち、このハブ4を所定方向に回転させつつ、この所定方向に関しての上記零点及びゲイン特性を求めた後、上記ハブ4を逆方向に回転させて、この逆方向に関しての上記零点及びゲイン特性を求める。そして、この様にして求めた、2種類の零点及びゲイン特性を演算器に、回転方向との関連で記録する。
上記演算器への記録方法に就いては、特に問わない。例えば、転がり軸受ユニットの荷重測定装置の製造工場で零点及びゲイン特性を読み取ってから、適切な記録媒体に記録する。そして、自動車の組立工場で、車輪支持用転がり軸受ユニット1を懸架装置に組み付けた後、当該車輪支持用転がり軸受ユニット1に関する荷重測定装置2の演算器のメモリ中に、(自動車が前進する状態での)この車輪支持用転がり軸受ユニット1に関する零点及びゲイン特性を、上記記録媒体から読み込ませる。即ち、上記演算回路26により求めた零点及びゲイン特性と、回転方向と、回転速度との関係を、実際に自動車に搭載して上記アキシアル荷重を算出する為の演算器に記憶させる。この為に例えば、上記演算回路26で求めた、上記零点及びゲイン特性と、回転方向と、回転速度との関係を、上記記録媒体の一種である、ICタグに記憶させておく。
この場合には、上記ICタグを当該車輪支持用転がり軸受ユニット1を構成する外輪3の外周面に接着等により固定したり、或いは荷札の如く結び付けておき、自動車の組立工場で上記ICタグから上記関係を読み取って、車体側に設けた上記演算器に、無線(無線ICタグを使用する場合)又は有線で送信する。或いは、単一の通箱中に収納する複数の車輪支持用転がり軸受ユニット1に関して、この通箱に付属の1個のメモリ中に、上記関係を記憶させておく事もできる。この場合には、これら車輪支持用転がり軸受ユニット1と上記関係とを1対1で対応させる為、この関係を各車輪支持用転がり軸受ユニット1の製造番号或いは個別ID等と組み合わせて、上記1個のメモリ中に記憶させておく。自動車の組立工場では、各車輪支持用転がり軸受ユニット1の製造番号或いは個別IDに基づいて取り出した上記関係を、当該車輪支持用転がり軸受ユニット1に加わるアキシアル荷重を求める為の関係として、車体側に設ける演算器中のメモリに記憶させる。
上記演算回路26により求めた上記関係を、上記実際に自動車に搭載して上記アキシアル荷重を算出する為の演算器に記憶させる為には、上記ICタグ以外にも、レーザマーカやインクジェットプリント等の方法で、車輪支持用転がり軸受ユニット1そのものに、上記関係を記載(記録)しても良い。この際、上記関係を、バーコード形式(QRコード)で記載すると、読み取りが容易になるので好ましい。尚、無線ICタグや車輪支持用転がり軸受ユニット1そのものに記録する際は、同時にロット番号や製造日等も記載する事ができる。更に、上記演算器を車輪支持用転がり軸受ユニット1と一体に組み付ける場合には、上記演算回路26からこの演算器に、直接上記関係を送信する。要するに、この演算回路26により求めた上記零点及びゲイン特性と回転速度と回転方向との関係を、上記実際に自動車に搭載して上記アキシアル荷重を算出する為の演算器に記憶させる方法は問わない。
何れにしても、上記実際に自動車に搭載して上記アキシアル荷重を算出する為の演算器は、この記録された(回転方向に応じた)2種類の零点とゲイン特性とのうちで、その時点での回転方向に応じた零点とゲイン特性に基づいて上記アキシアル荷重を算出する。この為、このアキシアル荷重を正確に求める事ができる。
尚、本例の場合には、上記両センサ13a、13b及びエンコーダ12cを、ハブ4の内端部に配置した構造を示しているが、これらセンサ13a、13b及びエンコーダ12cの設置場所は、この様な部分に限定するものではない。例えば、前述の図3〜8に示した先発明の第1〜3例の様に、複列の転動体の間に設置する事もできる。又、エンコーダは、S極とN極とを円周方向に亙り交互に且つ等間隔で配置した、永久磁石を使用する事もでき、この場合には、センサ13a、13bの側の永久磁石は不要になる。この場合に使用する永久磁石としては、フェライト磁石やネオジム磁石、又は、これらの磁性材料をゴムやプラスチックに混入させたゴム磁石やプラスチック磁石でも良い。又、多極磁石の代わりに、磁性材製のギヤ等を使用したエンコーダとしても良い。但し、永久磁石ではない、磁性材製のエンコーダを使用する場合には、速度検出用センサ側に永久磁石を設ける。又、これら速度検出用センサは、磁気検出素子を利用したアクティブ型のものに限らず、磁性材の周囲にコイルを巻回した、パッシブ型のものを使用する事もできる。更には、実施対象となる転がり軸受ユニットに関しても、使用時に回転するハブが内径側に設けられた内輪回転型のものに限らず、ハブが外径側に設けられた、外輪回転型のものも利用できる。
[実施の形態の第2例]
図2は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、ハブ4を回転駆動する為の駆動装置27と、このハブ4にアキシアル荷重を負荷する為の荷重負荷装置28とを別体とし、このハブ4の軸方向両側に振り分けた状態で設けている。この為、この荷重負荷装置28に付属の、負荷用カップリング29は、アキシアル荷重を伝達するが、回転力を伝達しない構造としている。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。 同第2例を示す断面図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第1例の断面図。 この第1例に組み込むエンコーダの斜視図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第2例の断面図。 この第2例に組み込むエンコーダの斜視図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第3例を示す断面図。 この第3例に組み込むエンコーダの斜視図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第4例の断面図。 この第4例に組み込むエンコーダの断面図。 エンコーダと出力信号の変化のパターンとを説明する為の図。 回転方向に応じて変化のパターンが異なる事を説明する為の、図11と同様の図。
符号の説明
1 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 荷重測定装置
3 外輪
4、4a ハブ
5、5a 転動体
6 外輪軌道
7 取付部
8 ハブ本体
9 内輪
10 フランジ
11 内輪軌道
12、12a、12b、12c エンコーダ
13、13a、13b センサ
14a、14b、14c、14d、14e 透孔
15 取付孔
16 カバー
17 センサホルダ
18 スプライン孔
19 凹部
20 凸部
21 リム部
22 支持フレーム
23 駆動・負荷装置
24 荷重センサ
25 駆動・負荷用カップリング
26 演算回路
27 駆動装置
28 荷重負荷装置
29 負荷用カップリング

Claims (6)

  1. 転がり軸受ユニットと荷重測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に接触角を付与された状態で設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    上記荷重測定装置は、上記回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪に対し固定されてこの回転側軌道輪と共に回転及び変位する部材の一部に、この回転側軌道輪又はこの部材と同心に支持された、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、その検出部をこの被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるセンサと、このセンサの出力信号に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に加わる荷重を算出する演算器とを備えたものであり、
    上記被検出面の特性が円周方向に関して変化するパターンは、検出すべき荷重の作用方向に対応して、上記被検出面の幅方向に関して連続的に変化している
    転がり軸受ユニットの荷重測定装置であって、
    上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に荷重を加えない状態、及び、既知の荷重を付与した状態で、それぞれこれら静止側軌道輪と回転側軌道輪とを両方向に相対回転させ、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に荷重が加わらない状態、及び、既知の荷重が加わった状態での上記センサの出力信号が変化するパターンを、上記両方向の回転に関してそれぞれ測定する事により、これら荷重と出力信号が変化するパターンとの関係である零点とゲイン特性とを、上記両方向の回転に関して、それぞれ回転方向と関連させて求め、
    これら求めた上記零点とゲイン特性とを、上記荷重を算出する為の情報として、回転方向と関連させて記録している、
    転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  2. 静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に一定の荷重を加えた状態のままこの回転側軌道輪の回転速度を変化させ、この回転速度の変化に対応した零点の変化を、荷重を算出する為の情報として記録している、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  3. 別体とされた転がり軸受ユニットと演算器とが通信手段により結ばれるものであり、求めた零点及びゲイン特性をICタグに記録した状態で、このICタグを転がり軸受ユニットに結合している、請求項1又は請求項2に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  4. 転がり軸受ユニットと演算器とが一体に結合されており、求めた零点及びゲイン特性を、直接上記演算器のメモリ中に記録している、請求項1又は請求項2に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  5. 転がり軸受ユニットと荷重測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に接触角を付与された状態で設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    上記荷重測定装置は、上記回転側軌道輪の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持された、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、その検出部をこの被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるセンサと、このセンサの出力信号に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に加わる荷重を算出する演算器とを備えたものであり、 上記被検出面の特性が円周方向に関して変化するパターンは、検出すべき荷重の作用方向に対応して、上記被検出面の幅方向に関して連続的に変化している、
    転がり軸受ユニットの荷重測定装置を製造する為の製造方法であって、
    上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に荷重を加えない状態、及び、既知の荷重を付与した状態で、それぞれこれら静止側軌道輪と回転側軌道輪とを両方向に相対回転させ、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に荷重が加わらない状態、及び、既知の荷重が加わった状態での上記センサの出力信号が変化するパターンを、上記両方向の回転に関してそれぞれ測定する事により、これら荷重と出力信号が変化するパターンとの関係である零点とゲイン特性とを、上記両方向の回転に関して、それぞれ回転方向と関連させて求め、
    これら求めた上記零点とゲイン特性とを、上記荷重を算出する為の情報として、回転方向と関連させて記録する、
    転がり軸受ユニットの荷重測定装置の製造方法。
  6. 転がり軸受ユニットと荷重測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に接触角を付与された状態で設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    上記荷重測定装置は、上記回転側軌道輪の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持された、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、その検出部をこの被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるセンサと、このセンサの出力信号に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に加わる荷重を算出する演算器とを備えたものであり、 上記被検出面の特性が円周方向に関して変化するパターンは、検出すべき荷重の作用方向に対応して、上記被検出面の幅方向に関して連続的に変化している
    転がり軸受ユニットの荷重測定装置を製造する為の製造装置であって、
    上記静止側軌道輪を支持する為の支持手段と、上記回転側軌道輪を両方向に回転駆動する駆動手段と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に既知の荷重を付与する荷重付与手段と、この荷重付与手段が付与する荷重の大きさ及び上記センサから送り込まれる、このセンサの出力信号と、上記駆動手段から送り込まれる上記回転側軌道輪の回転方向を表す信号とに基づいて、上記センサの出力信号が変化するパターンと上記荷重の大きさとの関係である零点とゲイン特性とを、上記回転方向に対応して求める演算装置とを備える、
    転がり軸受ユニットの荷重測定装置の製造装置。
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