JP5407878B2 - 回転軸用物理量測定装置 - Google Patents

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Description

この発明は、フライス盤、マシニングセンタ等の各種工作機械の主軸の如く、荷重を受けつつ高速で回転する回転軸に加わる荷重、或はこの回転軸の変位量等の物理量を精度良く測定できる装置を、低コストで実現すべく発明したものである。
工作機械の主軸は、先端部に刃物等の工具を固定した状態で高速回転し、加工台上に固定した被加工物に、切削等の加工を施す。前記主軸を回転自在に支持したヘッドは、この被加工物の加工の進行に伴って、所定方向に所定量だけ移動し、この被加工物を、所定の寸法及び形状に加工する。この様な加工作業時、前記ヘッドの移動速度を適正にする事が、加工能率を確保しつつ、前記工具の耐久性及び前記被加工物の品質を確保する為に必要である。前記移動速度が速過ぎると、前記工具に無理な力が加わり、この工具の耐久性が著しく損なわれるだけでなく、前記被加工物の表面性状が悪化したり、著しい場合にはこの被加工物に亀裂等の損傷が発生する。逆に、前記移動速度が遅過ぎると、前記被加工物の加工能率が徒に悪化する。
前記ヘッドの移動速度の適正値は一定ではなく、工具の種類(大きさ)、被加工物の材質や形状により大きく変わる為、前記移動速度を一定としたまま、この移動速度を適正値に維持する事は難しい。この為、前記工具を固定した回転軸に加わる荷重を測定する事により、前記移動速度を適正値に調節する事が、従来から知られている。即ち、工具により被加工物に切削等の加工を施す際には、加工抵抗により、この工具及びこの工具を固定した回転軸に荷重が加わる。この加工抵抗、延いてはこの回転軸に加わる荷重は、前記移動速度が速くなる程大きくなり、逆に、この移動速度が遅くなる程小さくなる。そこで、前記荷重が所定範囲に収まる様に、前記移動速度を調節すれば、この移動速度を適正範囲に収める事ができる。
又、この移動速度等、他の条件を同じとした場合に前記荷重は、前記工具の切削性(切れ味)が劣化する程大きくなる。そこで、前記移動速度との関係で前記荷重の大小を観察すれば、前記工具が寿命に達した事を知る事ができて、寿命に達した不良工具で加工を継続する事による、歩留まりの悪化を防止できる。又、前記荷重を、前記移動速度等、他の加工条件と関連付けて継続的に観察する事により、最適な加工条件を見出して、省エネルギ化や工具の長寿命化に繋げる事もできる。更に、継続的観察により、工具破損等の事故発生時に、その原因を特定する事もできる。
この様な目的で、工作機械の主軸等の回転軸に加わる荷重を測定する為の装置として、特許文献1に記載された発明装置が従来から知られている。この特許文献1に記載された発明装置は、水晶圧電式の荷重センサを複数個、荷重の作用方向に対して直列に配置し、この荷重センサの測定信号に基づいて、切削工具を支持固定した回転軸(スピンドル)に加わる荷重(切削抵抗)を測定する様に構成している。この様な特許文献1に記載された発明装置の場合、高価な水晶圧電式の荷重センサを使用する為、荷重測定装置全体としてのコストが嵩む事が避けられない。
一方、特許文献2〜4には、水晶圧電式の荷重センサに比べて低コストで調達できる、磁気式のエンコーダとセンサとにより構成する、荷重測定装置付転がり軸受ユニットに関する発明が記載されている。図10〜12は、前記特許文献2〜4に記載される等により、従来から知られている荷重測定装置付転がり軸受ユニットの1例を示している。この従来から知られている荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、使用時にも回転しない外輪1の内径側に、使用時に車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転するハブ2を、複数個の転動体3、3を介して回転自在に支持している。これら各転動体3、3には、互いに逆向きの(図示の場合には背面組み合わせ型の)接触角と共に、予圧を付与している。
又、上記ハブ2の内端部には、円筒状のエンコーダ4を、上記ハブ2と同心に支持固定している。又、上記外輪1の内端開口を塞ぐ有底円筒状のカバー5の内側に、1対のセンサ6a、6bを支持すると共に、これら両センサ6a、6bの検出部を、上記エンコーダ4の被検出面である外周面に近接対向させている。このうちのエンコーダ4は、磁性金属板製である。被検出面である、このエンコーダ4の外周面の先半部(軸方向内半部)には、透孔7、7と柱部8、8とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これら各透孔7、7と各柱部8、8との境界は、上記エンコーダ4の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、上記エンコーダ4の軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。従って、上記各透孔7、7と上記各柱部8、8とは、軸方向中間部が円周方向に関して最も突出した「く」字形となっている。そして、上記境界の傾斜方向が互いに異なる、上記被検出面の軸方向外半部と軸方向内半部とのうち、軸方向外半部を第一の特性変化部9とし、軸方向内半部を第二の特性変化部10としている。
又、上記1対のセンサ6a、6bはそれぞれ、永久磁石と、検出部を構成する磁気検知素子とから成る。これら両センサ6a、6bは、上記カバー5の内側に支持固定した状態で、一方のセンサ6aの検出部を上記第一の特性変化部9に、他方のセンサ6bの検出部を上記第二の特性変化部10に、それぞれ近接対向させている。これら両センサ6a、6bの検出部が上記両特性変化部9、10に対向する位置は、上記エンコーダ4の円周方向に関して同じ位置としている。又、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用しない状態で、上記各透孔7、7及び柱部8、8の軸方向中間部で円周方向に関して最も突出した部分(境界の傾斜方向が変化する部分)が、上記両センサ6a、6bの検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材の設置位置を規制している。
上述の様に構成する荷重測定装置付転がり軸受ユニットの場合、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用し、これら外輪1とハブ2とがアキシアル方向に相対変位すると、上記両センサ6a、6bの出力信号が変化する位相がずれる。即ち、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用していない、中立状態では、上記両センサ6a、6bの検出部は、図12の(A)の実線イ、イ上、即ち、上記最も突出した部分から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、上記両センサ6a、6bの出力信号の位相は、同図の(C)に示す様に一致する。
これに対して、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図12の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ6a、6bの検出部は、図12の(A)の破線ロ、ロ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ6a、6bの出力信号の位相は、同図の(B)に示す様にずれる。更に、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図12の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ6a、6bの検出部は、図12の(A)の鎖線ハ、ハ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが、前述の場合と逆方向に互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ6a、6bの出力信号の位相は、同図の(D)に示す様にずれる。
上述の様に、特許文献2〜4に記載される等により従来から知られている構造の場合には、上記両センサ6a、6bの出力信号の位相が、上記外輪1とハブ2との間に加わるアキシアル荷重の作用方向(これら外輪1とハブ2とのアキシアル方向の相対変位の方向)に応じた向きにずれる。又、このアキシアル荷重(相対変位)により上記両センサ6a、6bの出力信号の位相がずれる程度は、このアキシアル荷重(相対変位)が大きくなる程大きくなる。従って、上記両センサ6a、6bの出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその向き及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ2とのアキシアル方向の相対変位の向き及び大きさ、並びに、これら外輪1とハブ2との間に作用しているアキシアル荷重の作用方向及び大きさを求められる。
上述の図10〜12に示した従来構造の様な荷重測定装置付転がり軸受ユニットの構造を、工作機械の主軸等の回転軸と、ハウジング等の回転しない部分との間に組み込めば、切削工具を支持固定した回転軸に加わる荷重を測定し、最適な加工条件を見出して、省エネルギ化や工具の長寿命化に繋げたり、工具破損等の原因を特定できる。但し、前記従来構造の場合には、複数個のセンサ6a、6bが必要になる為、コスト面からも、小型化の面からも不利になる。特願2009−37075、同2009−37076、同2009−225792に開示されている様に、1対のセンサ素子を1個のホルダに組み付ける事も可能であるが、コスト低減の面から不十分であるだけでなく、センサユニットの径が大きくなり、小型化の面からも不十分になる。
この様な事情に鑑みて、特許文献2の図8〜10、15及び明細書中でのこれら各図の説明部分に記載されている様に、エンコーダの被検出面に複数の被検出用特性変化組み合わせ部を、周方向に関して等間隔に、それぞれ測定すべき荷重の作用方向に一致する、前記被検出面の幅方向に形成する事が考えられる。この点に就いて、本発明の実施の形態を含む、図1〜9を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜2は、前記特許文献2の図8〜10及び明細書中でのこれら各図の説明部分に記載されている回転軸用物理量測定装置に関する構造を、工作機械の主軸11に加わるアキシアル荷重を測定するのに適用すべく、先に考えた構造(先発明構造)を示している。工作機械のハウジング(主軸頭)12の内径側に前記主軸11を、多列転がり軸受ユニット13により回転自在に支持すると共に、電動モータ14により、前記主軸11を回転駆動自在としている。前記多列転がり軸受ユニット13を構成する複数個の転がり軸受15a〜15dのうち、先端寄りに配置した2個の転がり軸受15a、15bと、基端寄りに配置した2個の転がり軸受15c、15dとには、互いに逆向きの接触角を付与すると共に、これら各転がり軸受15a〜15dに、予圧を付与している。そして、前記主軸11を前記ハウジング12に対して、ラジアル荷重及び両方向のスラスト荷重を支承する状態で、がたつきなく、回転自在に支持している。前記工作機械の運転時には、前記主軸11の先端部(図1の左端部)に固定した工具(図示省略)を、高速で回転しつつ被加工物に押し付け、この被加工物に、切削等の加工を施す。この様にして加工を施す際に、前記主軸11には、この被加工物に前記工具を押し付ける事の反作用として、各方向の荷重が加わる。図1に示した先発明構造では、このうち、前記主軸11の軸方向に一致する、アキシアル方向の荷重を求められる様にしている。
この為に先発明構造の場合には、前記主軸11の中間部先端寄り部分で、前記多列転がり軸受ユニット13を構成する転がり軸受15b、15c同士の間に、図3に示す様なエンコーダ4aを外嵌固定すると共に、前記ハウジング12に、図2、4、5に示す様なセンサユニット16を支持固定している。このうちのエンコーダ4aは、内輪間座を兼ねるもので、鋼等の磁性金属により造り、全体を円筒状としている。そして、被検出面である前記エンコーダ4aの外周面に前記センサユニット16の検出部を近接対向させ、このセンサユニット16の出力信号中に含まれる、位相に関する情報に基づいて、前記主軸11に作用するアキシアル荷重を求める様にしている。
本発明の対象となる回転軸用物理量測定装置の場合には、コスト低減及び小型化の面から、単一のセンサ6cの出力信号のタイミング比A/L(出力信号が1回変化する周期/出力信号が2回変化する周期)により、前記エンコーダ4a(を固定した前記主軸11)に関する物理量(軸方向に関する変位量とアキシアル荷重との一方又は双方)を求める様にしている。この為に使用する前記センサ6cは、前記エンコーダ4aの被検出面の性状に基づき、出力信号が1周期の途中で変化するもので、ホールIC、磁気抵抗素子等の磁気検出素子である前記センサ6cの背面(前記エンコーダ4aの外周面と対向する検出部と反対側の面)に、永久磁石19を配置し、これらセンサ6cと永久磁石19とを、合成樹脂製のホルダ20の先端部に包埋保持して成る。この永久磁石19の着磁方向は、前記センサ6cが前記エンコーダ4aの被検出面に対向している方向とする。そして、これらセンサ6cとエンコーダ4aとの相対変位に伴って、前記1周期の間で変化するタイミング(1周期の初めから途中で変化する瞬間迄の時間)がずれるものとする。
この為に、前記エンコーダ4aの外周面に、複数の被検出用特性変化組み合わせ部17、17を、周方向に関して等間隔に、それぞれ前記物理量の測定方向に一致する前記被検出面の幅方向である、前記エンコーダ4aの軸方向に形成している。前記各被検出用特性変化組み合わせ部17、17は、この軸方向に対する傾斜方向が互いに異なる1対の特性変化部である、それぞれが直線状の凹溝18a、18bを、前記エンコーダ4aの周方向に離隔した状態で設けている。この様な凹溝18a、18bを形成した、このエンコーダ4aの外周面に検出部を近接対向させた、前記センサ6cの出力信号は、このセンサ6cの検出部が対向する部分(検出部の直前部分)を前記各凹溝18a、18bが通過する(前記センサ6cの検出部がこれら各凹溝18a、18bを形成した、前記エンコーダ4aの外周面を走査する)のに伴って変化する(パルス信号を出力する)。又、この変化のタイミング(パルスが発生する位相)は、前記センサ6cの検出部が、前記エンコーダ4aの外周面のうち、軸方向に関して何れの部分を走査するかによって変化する。そして、この変化に基づいて、前記エンコーダ4a(を外嵌した前記主軸11)の軸方向変位量を求められる。この点に就いて、図9により説明する。
例えば、前記エンコーダ4aを外嵌した前記主軸11にアキシアル荷重が加わらず、このエンコーダ4aが軸方向中立位置に存在する場合、前記センサ6cの検出部は、図9の(A)に実線aで示す様に、前記エンコーダ4aの外周面のうちで、ほぼ軸方向中央部を走査する。この結果、前記センサ6cの出力信号は、例えば、図9の(B)に示す様に変化する。
これに対して、前記エンコーダ4a(を外嵌固定した前記主軸11)に、図9の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用し、前記エンコーダ4aが、この図9の(A)で上方に変位すると、前記センサ4aの検出部は、図9の(A)に鎖線bで示す様に、このエンコーダ4aの外周面のうちで、軸方向片側{図9の(A)の下側}に偏った部分を走査する。この結果、前記センサ6cの出力信号は、例えば、図9の(C)に示す様に変化する。アキシアル荷重の作用方向が逆向きの場合には、前記出力信号は、逆方向に変化する。尚、工作機械用の主軸11の場合、アキシアル荷重の作用方向は一定である場合が多い。そこで、アキシアル荷重が加わらない状態で、前記センサ6cの検出部が前記エンコーダ4aの外周面の軸方向一端側を走査し、前記アキシアル荷重が大きくなるに従って、前記センサ6cの走査位置が軸方向他端側に変位する事にしても良い。
これら図9の(B)(C)に記載した各周期A、B、Lのうち、全周期Lは、円周方向に隣り合う1対の被検出用特性変化組み合わせ部17、17に関する、前記センサ4aの出力信号の周期である。具体的には、回転方向前側(図9の左側)の被検出用特性変化組み合わせ部17に関する所定部分(図示の例では、この被検出用特性変化組み合わせ部17を構成する1対の凹溝18a、18bのうち、回転方向前側の凹溝18aの回転方向後端縁)での、前記出力信号の立ち上がり部から、回転方向後側(図9の右側)の被検出用特性変化組み合わせ部17に関する同等部分での前記出力信号の立ち上がり部までの時間である。又、第一部分周期Aは、回転方向前側の被検出用特性変化組み合わせ部17を構成する1対の凹溝18a、18bのうち、回転方向前側の凹溝18aに関する(前記所定部分での)前記出力信号の立ち上がり部から、回転方向後側の凹溝18bに関する前記出力信号の立ち上がり部までの時間である。更に、第二部分周期Bは、回転方向前側の被検出用特性変化組み合わせ部17を構成する1対の凹溝18a、18bのうち、回転方向後側の凹溝18bに関する前記出力信号の立ち上がり部から、回転方向後側の被検出用特性変化組み合わせ部17を構成する1対の凹溝18a、18bのうち、回転方向前側の凹溝18aに関する(前記同等部分での)前記出力信号の立ち上がり部までの時間である。
前記各周期A、B、Lのうちの全周期Lは、前記第一部分周期Aと前記第二部分周期Bとの和(L=A+B)になる。又、前記タイミング比は、A/L(又はB/L)となる。尚、前記各周期のうちの全周期Lが、出力信号が2回変化する周期(2パルス分の周期)であり、前記エンコーダ4aの回転速度が一定である限り、一定である。又、前記第一部分周期A及び前記第二部分周期Bが、前記出力信号が1回変化する周期(1パルス分の周期)であり、前記エンコーダ4aの回転速度が一定であっても、このエンコーダ4aの軸方向位置が変化すると変化する。
図9から明らかな通り、前記タイミング比A/L(出力信号が1回変化する周期/出力信号が2回変化する周期)は、前記エンコーダ6cの軸方向位置に伴って変化し、このタイミング比A/Lの変化量は、この軸方向位置の変化量(軸方向変位量)が大きくなる程大きくなる。又、この軸方向変位量は、前記エンコーダ4aを外嵌固定した、前記主軸11に加わるアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。又、このアキシアル荷重に基づく前記軸方向変位量は、前記多列転がり軸受ユニット13を構成する前記各転がり軸受15a〜15dのうち、前記アキシアル荷重を支承する転がり軸受の剛性が大きくなる程小さくなる。又、このアキシアル荷重と前記軸方向変位量との関係は、この剛性を勘案した計算により、或は既知のアキシアル荷重と軸方向変位量との関係を測定する実験により、予め求めておく事ができる。従って、図1〜5、9に示す様な構造を採用すれば、低コストで、しかも小型に構成できる構造で、工作機械の主軸11に加わるアキシアル荷重を求められる。
但し、上述の様な先発明構造で、測定結果の信頼性を確保する為には、次の(1)(2)の様な問題を解決する必要がある。
(1) 前記タイミング比としては、前述した様に、A/LとB/Lとの2通りのものがある。例えば前記主軸11に加わるアキシアル荷重を求める場合には、これら2通りのタイミング比のうちの何れかを採用し、演算器は、採用したタイミング比(A/LとB/Lとのうちの何れか一方のみ)に基づいて、前記アキシアル荷重を算出する。この場合に、前記演算器に取り入れたタイミング比が、この演算器が採用しているタイミング比である事が必要である。過って、採用していないタイミング比に基づいて前記アキシアル荷重を算出すると、算出結果に大きな誤差を生じる。
(2) 外乱ノイズ等、何らかの原因で、前記センサ6cの出力信号に異常パルスが混入した場合に、この出力信号が異常である事を検知する為の手段を設ける必要がある。前述の図10〜12に示した様な、1対のセンサ6a、6bを使用する従来構造の場合には、これら両センサ6a、6bの出力信号を相互監視して、これら両センサの出力信号中に異常パルスが混入しているか否かを判定できる。これに対して、前記先発明構造の場合には、単一のセンサ6cしか使用しない為、相互監視に基づいては、異常パルスの有無を判定する事ができない。
このうちの(1) の問題点に就いて、図9を参照しつつ更に詳しく説明する。前記センサ6cが図9の(B)(C)に示した様なパルス信号を出力する場合に、前記主軸11に作用するアキシアル荷重を求める為のタイミング比として、前記第一部分周期Aを分子とするタイミング比A/Lを採用する場合と、前記第二部分周期Bを分子とするタイミング比B/Lを採用する場合とが考えられる。何れを採用しても、これら両タイミング比A/L、B/Lを混同しなければ(取り違えなければ)、採用したタイミング比に応じた計算式、マップ等を採用する事により、前記アキシアル荷重を正しく求められる。但し、これら両タイミング比A/L、B/Lは、このアキシアル荷重に関する変化の傾向が互いに逆である為、これら両タイミング比A/L、B/Lを混同した(取り違えた)場合には、前記アキシアル荷重の測定結果に、到底許容できない程に大きな誤差を生じる。これらを考慮した場合に、前記両タイミング比A/L、B/Lを混同しない(取り違えない)様にする為の考慮が必要である。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、各種工作機械の主軸の如く、荷重を受けつつ高速で回転する回転軸に加わる荷重、或はこの回転軸の変位量等の物理量を、十分な信頼性を確保しつつ、精度良く測定できる装置を、低コストで実現すべく発明したものである。
本発明の回転軸用物理量測定装置は、ハウジングと、回転軸と、エンコーダと、1個のセンサと、演算器とを備える。
このうちのハウジングは、回転しない。
又、前記回転軸は、それぞれが予圧を付与された複数の転がり軸受により、このハウジングの内側に回転自在に支持されている。
又、前記エンコーダは、前記回転軸と同心の被検出面を有し、この回転軸の一部に支持固定されている。
又、前記センサは、検出部をこの被検出面に対向させた状態で前記ハウジングに、(直接又は他の部材を介して)支持されている。
更に、前記演算器は、前記センサの出力信号を処理するもので、この出力信号の位相に関する情報に基づいて、前記回転軸に関する物理量を求める機能を有する。
又、前記エンコーダの被検出面は、複数の被検出用特性変化組み合わせ部を、周方向に関して等間隔に、それぞれ前記物理量の測定方向に一致する前記被検出面の幅方向に形成している。又、前記各被検出用特性変化組み合わせ部は、この幅方向に対する傾斜方向が互いに異なる1対の特性変化部を、前記エンコーダの周方向に離隔した状態で設けたものである。
又、前記センサは、前記各被検出用特性変化組み合わせ部を構成する前記各特性変化部が前記検出部が対向する部分を通過する瞬間に出力信号を変化させるものである。
そして、前記演算器は、この出力信号が1回変化する周期と2回変化する周期との比であるタイミング比に基づいて、前記物理量を求めるものである。
特に、本発明の回転軸用物理量測定装置に於いては、前記被検出面の幅方向に関する、前記センサの検出部が前記各被検出用特性変化組み合わせ部に対向する位置に関係なく、前記エンコーダの回転に伴って順次発生する前記タイミング比の大小が、隣り合うタイミング比同士の間で常に逆転する様に、前記各被検出用特性変化組み合わせ部を構成する前記1対ずつの特性変化部の周方向に関するピッチと、周方向に隣り合うこれら各被検出用特性変化組み合わせ部同士のピッチとを規制している。
具体的には、請求項2に記載した発明の様に、前記エンコーダの周方向に関して、前記各被検出用特性変化組み合わせ部を構成する1対の特性変化部が最も遠くなった部分のピッチを、隣り合う被検出用特性変化組み合わせ部が最も近付いた部分のピッチよりも小さくする。
上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、タイミング比に関して、閾値を設定する。又、前記エンコーダの回転に伴って順次取得するタイミング比をこの閾値と比較する比較器及びこの比較器の判定結果に基づいて異常の有無を判定する判定器を備える。そして、この判定器は、前記タイミング比が2回以上連続して前記閾値未満の場合、及び、2回以上連続して閾値以上の場合に、異常ありと判定する。
或は、請求項4に記載した発明の様に、前記出力信号が2回変化する周期が変化する割合に関して第二の閾値を設定する。又、この周期が変化する割合を求めてその求めた結果をこの第二の閾値と比較する比較器及び判定器を備える。そして、この判定器は、前記周期が変化する割合が前記第二の閾値を超えて大きい場合に異常ありと判定する。
この様な請求項3〜4に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した発明の様に、前記判定器が異常ありと判定した場合に、前記演算器から物理量に関する信号の出力を停止する。
或は、請求項6に記載した発明の様に、前記判定器が異常ありと判定した場合に、前記演算器から物理量に関する信号の出力を継続しつつ、異常がある事を表す信号を出力する。
或は、請求項7に記載した発明の様に、判定器が異常ありと判定した場合に、前記演算器から物理量に関する信号の出力を停止すると共に、異常がある事を表す信号を出力する。
上述の様に構成する本発明の回転軸用物理量測定装置によれば、荷重を受けつつ高速で回転する回転軸に加わる荷重、或はこの回転軸の変位量等の物理量を精度良く測定できる装置を、低コストで実現できる。
即ち、本発明の回転軸用物理量測定装置の場合には、エンコーダの回転に伴って順次発生する前記タイミング比の大小が、隣り合うタイミング比同士の間で常に逆転する。この為、出力信号が2回変化する周期(全周期)の間に長短2種類存在する、出力信号が1回変化する周期を分子とする、大小2種類のタイミング比のうちの、例えば常に小さい方のタイミング比を選択できる。即ち、常に、前述した第一部分周期Aを分子とするタイミング比A/Lを採用して、前記物理量を正しく求める事ができる。過って、前記第二部分周期Bを分子とするタイミング比B/Lを採用し、不正な物理量を求める事を防止できる{前述した(1) の問題を解決できる}。
又、請求項3に記載した発明の様に、隣り合うタイミング比に関して閾値を設定し、前記エンコーダの回転に伴って順次取得するタイミング比をこの閾値と比較すれば、前記センサの出力信号に異常パルスが混入した場合に、この出力信号が異常である事を検知できる。言い換えれば、単一のセンサしか使用しない構造で、異常パルスの有無を判定できる{前述した(2) の問題を解決できる}。
或は、請求項4に記載した発明の様に、前記出力信号が2回変化する周期を第二の閾値と比較する事でも、単一のセンサしか使用しない構造で、異常パルスの有無を判定できる{前述した(2) の問題を解決できる}。
本発明の対象となる構造の1例を示す断面図。 図1のX部拡大図。 エンコーダを取り出して示す斜視図。 センサユニットを取り出して、先端のセンサ装着部を被覆していない状態(A)と被覆した状態(B)とで示す斜視図。 センサの模式図。 本発明の技術的範囲に属するエンコーダを使用した場合に於ける、アキシアル荷重に基づくエンコーダの変位により1個センサの出力信号のタイミング比が変化する状況を説明する為の模式図。 同じく外乱等による異常が発生した状況を説明する為の模式図。 本発明の技術的範囲からは外れるエンコーダを使用した場合に適切なタイミング比を採用できなくなる理由を説明する為に使用する、図6と同様の模式図。 本発明に先立って考えた構造を説明する為に使用する、図6と同様の模式図。 車輪支持用転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を測定する為に考えられた、従来構造の1例を示す断面図。 エンコーダの被検出面の一部を径方向から見た図。 アキシアル荷重に基づくエンコーダの変位により1対のセンサの出力信号同士の間に位相差が生じる状況を説明する為の模式図。
図1〜8を参照しつつ、本発明の実施の形態の1例に就いて説明する。尚、本例の特徴は、エンコーダ4aの被検出面である、このエンコーダ4aの外周面に設けた複数の被検出用特性変化組み合わせ部17、17の、このエンコーダ4aの周方向に関するピッチを、これら各被検出用特性変化組み合わせ部17、17を構成する1対ずつの凹溝18a、18bの同方向に関するピッチとの関係で規制する事により、単一のセンサ6cのみを使用しても、主軸11に加わる荷重等の物理量を、十分な信頼性を確保した状態で測定できる様にする点にある。その他の点に就いては、前述の先発明構造の場合と同様であるから、同等部分に関する説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、前述した(1)(2)の課題を解決する為、図6、7の(A)に示す様に、各被検出用特性変化組み合わせ部17、17を構成する1対の凹溝18a、18b同士の間隔よりも、周方向に隣り合うこれら各被検出用特性変化組み合わせ部17、17同士の間隔を十分に大きくしている。即ち、これら各被検出用特性変化組み合わせ部17、17を構成する1対の特性変化部18a、18bが最も遠くなった部分のピッチP18を、隣り合う被検出用特性変化組み合わせ部17、17が最も近付いた部分のピッチP17よりも小さく(P18<P17)している。
従って、前記エンコーダ4aの外周面に検出部を対向させたセンサ6cの出力信号が変化する周期のうち、前記両特性変化部18a、18bが最も遠くなった部分のピッチP18に対応して変化する周期{前述の図9の(B)に示した第一部分周期Aの最大値}が、前記隣り合う被検出用特性変化組み合わせ部17、17が最も近付いた部分のピッチP17に対応して変化する周期{前述の図9の(B)に示した第二部分周期Bの最小値}よりも大きくなる事はない。言い換えれば、前記第一部分周期Aは、常にこの第二部分周期Bよりも小さく、前述したタイミング比の分子として前記第一部分周期Aを採用した{タイミング比=A/L=A/(A+B)とした}場合には、タイミング比A/Lは、常に0.5(50%)未満の値となる。これに対して、前記タイミング比の分子として前記第二部分周期Bを採用した{タイミング比=B/L=B/(A+B)とした}場合には、タイミング比B/Lは、常に0.5(50%)を超えた値となる。
この為、前記エンコーダ4aの軸方向変位量、延いてはこのエンコーダを外嵌固定した主軸11に加わるアキシアル荷重を求める為のタイミング比の分子として、前記第一部分周期Aと前記第二部分周期Bとの何れを採用しても、採用したタイミング比に応じた計算式、マップ等を採用する事により、前記アキシアル荷重を正しく求められる。即ち、前記第一部分周期Aを採用した場合には、0.5未満のタイミング比に基づいて、前記第二部分周期Bを採用した場合には、0.5を超えるタイミング比に基づいて、前記アキシアル荷重を算出すれば、これら2種類のタイミング比(A/L、B/L)を混同する(取り違える)事がなくなり、前記アキシアル荷重を、大きな誤差を生じる事なく求められる。
これに対して、前記第一部分周期Aが常に前記第二部分周期Bよりも小さくならない場合(これら両部分周期A、Bの大小関係が逆転する事がある場合)には、前記2種類のタイミング比(A/L、B/L)の混同(取り違え)防止を図る事は難しい。即ち、前記各被検出用特性変化組み合わせ部17、17を構成する1対の特性変化部18a、18bのうちの一方の特性変化部18aに基づくパルスと、他方の特性変化部18bに基づくパルスとを、前記タイミング比によっては見分けられない。従って、本発明とは異なる、何らかの手段により、一方の特性変化部18aに基づくパルスと、他方の特性変化部18bに基づくパルスとを見分ける様にしない限り、前記2種類のタイミング比(A/L、B/L)の混同(取り違え)防止を図れない。この点に就いて、図8を参照しつつ、以下に説明する。
例えば、図8の(A)に示す様に、互いに傾斜方向が逆である2種類の特性変化部18a、18bを、円周方向に関して等間隔に配置{各被検出用特性変化組み合わせ部17、17を構成する1対の特性変化部18a、18bが最も近くなった部分のピッチp18と、隣り合う被検出用特性変化組み合わせ部17、17が最も近付いた部分のピッチp17とを、互いに等しく(p18=p17)}した場合、図8の(B)に示す様に、第一部分周期Aが前記第二部分周期Bよりも小さくなる場合と、同図(C)に示す様に、前記第一部分周期Aが前記第二部分周期Bよりも大きくなる場合とが生じる。この様に、これら第一、第二両部分周期A、B同士の大小関係が逆転する可能性がある場合には、前述した様に、本発明とは異なる手段を採用しない限り、一方の特性変化部18aに基づくパルスと、他方の特性変化部18bに基づくパルスとを見分けられない。例えば、前記2種類の特性変化部18a、18bの、円周方向に関する幅寸法を互いに異ならせ、一方の特性変化部18a、18aに基づくパルス幅と他方の特性変化部18b、18bに基づくパルス幅とを互いに異ならせれば、これら両特性変化部18a、18bに基づくパルスを見分けられる。但し、この様な構成を採用した場合には、パルスが発生するタイミングだけでなく、パルス幅を求める必要があり、演算器の処理が複雑化する為、この演算器として、特に高速処理が可能なものを使用する必要が生じ、コストが嵩む原因となる。
これに対して本発明の場合には、元々前記アキシアル荷重を求める為に必要な、前記タイミング比と、予め設定した閾値(例えば0.5)との大小関係を比較するだけで済むので、演算器の処理が複雑化する事はなく、この演算器として、特に高速処理が可能なものを使用する必要がなく、コストを抑えられる。
尚、採用した部分周期以外の部分周期で前記アキシアル荷重の算出を行わない様にする為に採用する前記閾値の値は、上述の様な0.5に限る必要はない。例えば、第一部分周期Aを分子とするタイミング比A/Lで前記アキシアル荷重を求める場合、前記閾値として、例えば0.4、0.3等、0.5よりも小さい値にする事もできる。又、第二部分周期Bを分子とするタイミング比B/Lで前記アキシアル荷重を求める場合には、前記閾値として、例えば0.6、0.7等、0.5よりも大きい値にする事もできる。この場合には、前記各被検出用特性変化組み合わせ部17、17を構成する1対の特性変化部18a、18bが最も遠くなった部分のピッチP18よりも、隣り合う被検出用特性変化組み合わせ部17、17が最も近付いた部分のピッチP17を、十分に大きく(P18≪P17)する。又、前記演算器の演算誤差等による誤判定を防止する為に、設定した閾値に不感帯を設ける事が望ましい。例えば、この閾値として0.5なる値を設定した場合に、0.45〜0.55を不感帯とし、上述した2種類のタイミング比A/L、B/Lのうちのタイミング比A/Lを0.45以下とし(このタイミング比A/Lの最大値を0.45とし)、タイミング比B/Lを0.55以上とする(このタイミング比B/Lの最小値を0.55とする)。
次に、前述の(2) の課題を解決できる、即ち、前記センサ6cの出力信号に異常パルスが混入した場合に、この出力信号が異常である事を検知できる理由に就いて、図7を参照しつつ説明する。上述の様に本例の場合には、前記2種類のタイミング比A/L、B/Lの大小関係が逆転する事はないので、前記アキシアル荷重を求める為のタイミング比として何れのタイミング比A/L(B/L)を採用した場合でも、前記出力信号が正常である限り、当該タイミング比A/L(B/L)と閾値との大小関係が、図7の(C)に正常として表した部分の様に、交互に逆転する。即ち、正常時には、タイミング比が、常に「閾値以上→閾値未満→閾値以上→閾値未満→・・・」の繰り返しとなる。これに対して、図7の(B)の中間部左寄り部分に示す様に、ノイズ等の外乱により異常パルスが発生すると、図7の(C)に異常として表した部分の様に、タイミング比が、「閾値以上→閾値未満→閾値未満→閾値以上→閾値未満→・・・」となり、閾値未満が2回連続する。この様に、閾値に対する大小関係が逆転しない状態(閾値以上が2回以上、又は、閾値未満が2回以上続く)場合に、前記センサ6cの出力信号が異常であると判定できる(請求項3に係る発明)。
但し、前記閾値に関して、誤判定を防止する為に、前記(1) の課題を解決する為に設定した閾値に不感帯を設けたり、この閾値を0.5以外の値を採用した場合には、前記各凹溝18a、18bが前記センサ6cの検出部を通過する事に伴って発生する正常のパルス以外の異常パルスが、正常パルスに近いタイミングで発生すると、この異常パルスの存在に拘らず、異常の有無の判定基準である、タイミング比と閾値との大小関係が、正常の場合と同じ(閾値以上→閾値未満→閾値以上→閾値未満→・・・)ままとなる可能性がある。この様な場合には、請求項3に係る発明によっては、異常パルスの存在を検出できない。
そこで、この様な状態での異常を検出する為に、前記タイミング比と閾値との大小関係を比較するだけでなく、このタイミング比を算出する際の分母(正常状態での全周期L)となる、出力信号が2回変化する周期(2パルス分の周期)の変化を見張る。この2パルス分の周期は、前記主軸11の回転速度に応じて変化するが、この回転速度の変化に基づく変化が急激になる事はない。これに対して、前記異常パルスの出現に伴う、前記2パルス分の周期の変化は、急激な変化として発生する。そこで、隣り合う2パルス分の周期(L)が変化する割合に就いて第二の閾値を設け、見張っていた前記2パルス分の周期の変化がこの第二の閾値を超えて大きくなった場合に異常ありと判定すれば、上述した請求項3に係る発明によっては判定できない、異常パルスの有無の判定を行って、前記アキシアル荷重測定の信頼性をより向上させられる(請求項4に係る発明)。
尚、上述した請求項4に係る発明は、前述した請求項3に係る発明と共に実施しても良いが、単独で実施(請求項3に係る発明を省略)しても、異常パルスの有無の判定を行える。何れにしても、判定器が異常ありと判定した場合には、演算器から物理量に関する信号の出力を停止する(請求項5に係る発明の場合)か、演算器から物理量に関する信号の出力を継続しつつ、異常がある事を表す信号を出力するか(請求項6に係る発明)、演算器から物理量に関する信号の出力を停止すると共に、異常がある事を表す信号を出力する(請求項7に係る発明)。尚、前記第二の閾値としては、前記主軸11にアキシアル荷重が加わる可能性がある(被加工物を加工している)状態で、最もこの主軸11の回転速度が大きく変化する場合に、前記2パルス分の周期が変化する割合よりも少しだけ大きめの値として設定する。一般的な工作機械の主軸11に加わるアキシアル荷重を測定する場合で、例えば、前記割合が1.05以上になったり、0.95以下になった場合に、異常パルスありと判定できる。そして、前記第二の閾値として、この程度の値(1.05、0.95)を設定すれば、異常パルスの存在に基づく、前記アキシアル荷重の測定誤差を、例えば凡そ5%以下に抑えられる。この程度の誤差であれば、工作機械の運転に特に問題を生じる事はない。
以上の説明は、本発明をアキシアル荷重を測定する構造に適用した場合に就いて行ったが、本発明は、アキシアル荷重に限らず、ラジアル荷重を測定する構造に適用する事もできる。ラジアル荷重を測定する場合には、例えば前述した特許文献2の図7〜9に示した様に、円輪状のエンコーダの軸方向側面を被検出面とし、この被検出面に除肉部を形成すると共に、センサの検出部をこの被検出面に、軸方向に対向させる。
又、エンコーダの被検出面に設ける各被検出用特性変化組み合わせ部を構成する各特性変化部は、図示の例の様な凹溝に限らず、土手状(但しエッジ部分が尖った)の突条とする事もできる。
1 外輪
2 ハブ
3 転動体
4、4a エンコーダ
5 カバー
6a、6b、6c センサ
7 透孔
8 柱部
9 第一の特性変化部
10 第二の特性変化部
11 主軸
12 ハウジング
13 多列転がり軸受ユニット
14 電動モータ
15a〜15d 転がり軸受
16 センサユニット
17 被検出用特性変化組み合わせ部
18a、18b 凹溝
19 永久磁石
20 ホルダ
特開2002−187048号公報 特開2006−317420号公報 特開2008−39155号公報 特開2008−64731号公報

Claims (7)

  1. 回転しないハウジングと、それぞれが予圧を付与された複数の転がり軸受により、このハウジングの内側に回転自在に支持された回転軸と、この回転軸の一部に支持固定された、この回転軸と同心の被検出面を有するエンコーダと、検出部をこの被検出面に対向させた状態で前記ハウジングに支持された1個のセンサと、このセンサの出力信号を処理する演算器とを備え、この演算器は、この出力信号の位相に関する情報に基づいて、前記回転軸に関する物理量を求める機能を有するものであり、
    前記エンコーダの被検出面は、複数の被検出用特性変化組み合わせ部を、周方向に関して等間隔に、それぞれ前記物理量の測定方向に一致する前記被検出面の幅方向に形成しており、前記各被検出用特性変化組み合わせ部は、この幅方向に対する傾斜方向が互いに異なる1対の特性変化部を、前記エンコーダの周方向に離隔した状態で設けたものであり、
    前記センサは、前記各被検出用特性変化組み合わせ部を構成する前記各特性変化部が前記検出部が対向する部分を通過する瞬間に出力信号を変化させるものであり、
    前記演算器は、この出力信号が1回変化する周期と2回変化する周期との比であるタイミング比に基づいて前記物理量を求めるものである回転軸用物理量測定装置に於いて、
    前記被検出面の幅方向に関する、前記センサの検出部が前記各被検出用特性変化組み合わせ部に対向する位置に関係なく、前記エンコーダの回転に伴って順次発生する前記タイミング比の大小が、隣り合うタイミング比同士の間で常に逆転する様に、前記各被検出用特性変化組み合わせ部を構成する前記1対ずつの特性変化部の周方向に関するピッチと、周方向に隣り合うこれら各被検出用特性変化組み合わせ部同士のピッチとを規制した事を特徴とする回転軸用物理量測定装置。
  2. エンコーダの周方向に関して、各被検出用特性変化組み合わせ部を構成する1対の特性変化部が最も遠くなった部分のピッチが、隣り合う被検出用特性変化組み合わせ部が最も近付いた部分のピッチよりも小さい、請求項1に記載した回転軸用物理量測定装置。
  3. タイミング比に関して閾値を設定すると共に、エンコーダの回転に伴って順次取得するタイミング比をこの閾値と比較する比較器及びこの比較器の判定結果に基づいて異常の有無を判定する判定器を備え、この判定器は前記タイミング比が2回以上連続して前記閾値未満の場合、及び、2回以上連続して閾値以上の場合に異常ありと判定する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した回転軸用物理量測定装置。
  4. 出力信号が2回変化する周期が変化する割合に関して閾値を設定すると共に、この周期が変化する割合を求めてその求めた結果をこの閾値と比較する比較器及び判定器を備え、この判定器はこの割合がこの閾値を超えて大きい場合に異常ありと判定する、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した回転軸用物理量測定装置。
  5. 判定器が異常ありと判定した場合に、演算器から物理量に関する信号の出力を停止する、請求項3〜4のうちの何れか1項に記載した回転軸用物理量測定装置。
  6. 判定器が異常ありと判定した場合に、演算器から物理量に関する信号の出力を継続しつつ、異常がある事を表す信号を出力する、請求項3〜4のうちの何れか1項に記載した回転軸用物理量測定装置。
  7. 判定器が異常ありと判定した場合に、演算器から物理量に関する信号の出力を停止すると共に、異常がある事を表す信号を出力する、請求項3〜4のうちの何れか1項に記載した回転軸用物理量測定装置。
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