第1の発明は、圧縮機、放熱器、減圧手段および空気−冷媒熱交換器を順次接続して閉回路を構成し、冷媒を循環させる冷媒回路と、前記放熱器に接続され、前記放熱器によって加熱された温水を貯湯する貯湯タンク、前記貯湯タンクから給湯端末へ通水するように接続した給湯管からなる給湯回路と、前記空気−冷媒熱交換器と熱交換するための空気風を発する送風ファンと、機器の動作を制御し、放熱部を有する冷媒回路用制御基板と給湯回路用制御基板とから構成された制御基盤とを備え、一体の筐体内に、前記冷媒回路を一側方側に、前記給湯回路を他側方側に配設するとともに、前記制御基盤は前記冷媒回路の上方に配設され、前記冷媒回路用制御基板、前記給湯回路用制御基板を分割して、前記冷媒回路用制御基板を前記給湯回路用制御基板よりも前記空気−冷媒熱交換器に近い位置に配設し、かつ、前記冷媒回路用制御基板の放熱部を、前記空気−冷媒熱交換器を通過した後の空気流路内に配設したことを特徴とするもので、本体をコンパクトにしつつ、冷媒回路の大きさも十分に確保することが可能となり、使用性が高く、設置性にも優れたヒートポンプ式給湯装置とすることができる。
また、夏季の運転の際に、冷媒回路制御基板のインバータ回路の冷却効率を高めることができ、夏季などの高温の環境下で運転を行った際も、インバータ回路の温度上昇を防ぐことができ、連続運転することが可能となる。
第2の発明は、第1の発明のヒートポンプ式給湯装置において、冷媒回路用制御基板と給湯回路用制御基板とを電源ボックスに収納し、前記電源ボックスを前記空気流路内に配設するとともに、放熱部を前記電源ボックスより突出させて設けたことを特徴とするものであり、送風ファンによる運転で、蒸発器として冷却された空気−冷媒熱交換器を通過した気流を、効率よく冷媒回路制御基板の放熱板に当てることが可能となり、インバータ回路の冷却効率を高めることができ、夏季などの高温の環境下で運転を行った際も、インバータ回路の温度上昇を防ぐことができ、連続運転することが可能となる。
第3の発明は、第2の発明のヒートポンプ式給湯装置において、電源ボックスは突出部を有する形状とし、放熱部を前記電源ボックスの突出していない部分に設けるとともに、前記突出部には各種電子制御部品を配したことを特徴とするもので、突出部の容積の大きな部分に電子部品を収納することにより、そのレイアウトを効率的に使用でき、本体ユニットをコンパクトにすることが可能となる。また、放熱部を前記電源ボックスの突出していない部分に設けることで、空気−冷媒熱交換器の流通経路を拡大することができ、熱交換効率を高め、湯切れ耐力を向上させることが可能となり、使用性を増すことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明のヒートポンプ式給湯装置の概略斜視図、図2は回路構成図、図3は正面詳細内観図、図4は平面詳細内観図、図5、図6は側面詳細内観図を示す。
図1より、本体ユニット1内には、冷媒回路2と給湯回路3が一体に収納して構成され、主に冷媒回路2は本体ユニット1の略左方に、給湯回路3は本体ユニット1の略右方に配設されている。
この冷媒回路2は、圧縮機、放熱器、減圧手段および空気−冷媒熱交換器を順次接続して閉回路が構成されており、本体ユニット1の底部にある基板4に、縦置き形の圧縮機5と、放熱器6が載置されている。また、減圧手段である電動膨張弁7が、圧縮機5と放熱器6の間に配置されており、圧縮機5、放熱器6、膨張弁7は本体ユニット1の左下方に配置されている。そして、放熱器6の上方には、上方から見てL字状であり、後方が幅広の形状となっている中間基板8があり、基板3とは一定の間隙が設けられている。この間隙を設けるために、中間基板8は、同じく略L字状となっている中間基板支え板9で支えられている。圧縮機5は、中間基板支え板9の略L字状の内方に配されていることになる。中間基板支え板9により、基板4と中間基板8は一定の間隙が設けられており、放熱器6を、略L字状の中間基板支え板9の外方、中間基板8の下方に配しており、放熱器6の位置規制と固定を行っている。
また、圧縮機5は中間基板支え板9上方、つまり中間基板8よりも上方まで飛び出しており、その飛び出した圧縮機5や、冷媒回路2を構成する部品を覆うように、箱状の圧縮機ボックス10が、中間基板8に載置されている。略L字状の中間基板8の上方には、冷媒回路3を構成する空気−冷媒熱交換器11が載置されており、同じく略L字状で構成されている。空気−冷媒熱交換器11の内方には、送風手段である送風ファン12があり、空気−冷媒熱交換器11から、風を吸引し、蒸発能力を高め、ヒートポンプ加熱能力を高めるようになっている。その際に、空気−冷媒熱交換器11は蒸発器となるために、冷風が排出されることになる。
13は送風ファン12を回転させるためのファンモータであり、14は送風ファン12、ファンモータ13を保持している送風ファン支持台であり、この送風ファン支持台14は圧縮機ボックス10上に載置されている。15は、送風ファン支持台14の上方に保持されている電源ボックスであり、正面から見てT字状となっており、送風ファン12をほぼ中心として、左右が低い形になっている。16は電源ボックス15の内方に配された給湯回路3を制御するための給湯回路制御基板であり、17は同じく電源ボックス15の内方に配された冷媒回路2を制御するための冷媒回路制御基板であり、冷媒回路2と給湯回路3を制御する基板は別個に配されている。また、電源ボックス15内で見ると、給湯回路制御基板16は前方に、冷媒回路制御基板17は後方に配されており、空気−冷媒熱交換器11に近く、送風ファン12に対して遠い方向に、冷媒回路制御基板が配されていることになる。
18は本体ユニット1の端部に配された給湯回路3に含まれる水−冷媒熱交換器(放熱器)であり、放熱器6と水−冷媒交換器18は一体形状となっている。この水−冷媒熱交換器18の右方には、中間基板支え板9があり、上方には中間基板8があり、前方、左方、後方には本体ユニット1を構成する筐体があり、水−冷媒熱交換器18は位置決めされており、保持されている。
本体ユニット1の右方には、水−冷媒熱交換器18を除く、主となる給湯回路3を構成する部品が設けられており、19は水−冷媒熱交換器18で加熱された水道水を貯めておくための貯湯タンクであり、缶体状になっている。この貯湯タンク19には保温性能を高めるために、タンク断熱材19aが巻かれている。特に今回の発明では、本体ユニット1のサイズをよりコンパクトにするために、高圧縮性真空断熱材を巻き付けてあり、その厚みは10mm程度に抑えている。その高圧縮性真空断熱材で巻かれた貯湯タンクの19の前方には、給湯回路20が配されている。21は貯湯タンク19や水−冷媒熱交換器18に水道水を入水する入水管、22は貯湯タンク19や水−冷媒熱交換器18から温水を給湯端末(蛇口30aや風呂44、図2で図示)に給湯する給湯管である。
23は、空気−冷媒熱交換器14および送風ファン15と、高圧縮性真空断熱材で巻かれた貯湯タンク19、つまりは冷媒回路2と給湯回路3を仕切るための仕切板であり、後方は空気−冷媒熱交換器14に接続され、前方は本体ユニット1に接続されており、上方は電源ボックス15に接続されている。そして、貯湯タンク19を外部にさらさない様に仕切っている。
24は風呂のお湯を追い炊きするための風呂熱交換器であり、風呂と接続された浴槽入湯管25を介して、圧縮機5の前方に配された風呂循環水ポンプ26で風呂からお湯を引き込み、そのお湯と、貯湯タンク19から追炊きポンプ27で引き込んだ貯湯タンク19内の高温水とを熱交換して、浴槽出湯管28で風呂へ戻すことにより、風呂の追炊きを行う。
つまり、風呂熱交換器24は、水−水熱交換器となっているわけである。また、この風呂熱交換器24は、仕切板23の上方に取り付けられており、貯湯タンク19のタンク断熱材とは間隙を設けて配されており、貯湯タンク19とはタンク配管19aだけで、つながっていることになっている。また、仕切板23の上方に取り付けられているのは、貯湯タンク19の上方の高温のお湯を、追炊きポンプ27で引き込むことにより、短時間で追炊きが行えるようにするためである。追い炊きポンプ27は、風呂循環水ポンプ26の上方であり、風呂熱交換器24の近傍に配されている。また、浴槽出湯管28からは、貯湯タンク19からのお湯も供給され、風呂のお湯はりも行う。
次に、図2で、図1で示した各要素部品の回路構成図について詳しく説明する。図2に付与している番号は、図1と同じである。
図2において、本実施の形態のヒートポンプ式給湯装置は、本体ユニット1内に冷媒回路2と給湯回路3とを一体に収納して構成されている。
冷媒回路2は、本体ユニット1内部に配設された圧縮機5と、放熱器6と、例えば電動膨張弁から成る減圧手段7と、L字形状の空気−冷媒熱交換器14とが冷媒配管29で接続されて構成されている。また、空気−冷媒熱交換器14に風を当て、蒸発能力を高めるための送風ファン15が設けられている。
一方、給湯回路は、放熱器6と熱交換を行って水道水などを温水に変える水−冷媒熱交換器18(例えば、放熱器6と一体形状となっている二重管構造の熱交換器)と、水−冷媒熱交換器18にて得た温水を貯める貯湯タンク19と、貯湯タンク19や水−冷媒熱交換器18に水道水を入水する入水管21と、貯湯タンク19や水−冷媒熱交換器18から温水を蛇口30aやシャワー30bの給湯端末に給湯する給湯管22と、貯湯タンク19内の低温の水を送水する給湯循環水ポンプ31から構成されている。
更に、上記給湯回路の構成について説明する。
タンク入水管32は、入水管21から水道水を貯湯タンク19に送る配管であり、途中にタンク入水逆止弁33が設けられている。水道水供給管34は、入水管21から放熱器6(水−冷媒熱交換器18)に水道水を直接供給する配管であり、この水道水給水管34に逆止弁35が設けられている。熱交給水管36は、貯湯タンク19から水−冷媒熱交換器18に、給湯循環水ポンプ26の運転により、貯湯タンク19内の下方に貯まった低温水を送る配管であり、貯湯管37は、水−冷媒熱交換器18で暖めた水道水を、貯湯タンク19や、元混合弁38に送る配管であり、貯湯タンク側配管37aの途中には貯湯三方弁39が、また元混合弁側配管37bの途中には逆止弁A40が設けられている。
また、タンク給湯管41は、貯湯タンク19から高温水(通常は60℃〜90℃)を元混合弁38へ給湯する配管であり、元混合弁38は、貯湯管37(元混合弁側配管37b)とタンク給湯管41とから来る温水や水を混合させる弁であり、逆止弁A40は、元混合弁38手前に設けられた弁である。また、給湯混合弁42は、元混合弁33を通過した温水と、入水管21から供給される水道水とを混合し、適切な給湯温度を得、蛇口30aやシャワー30bに供給する弁であり、給湯混合弁42と入水管21の間には逆流防止の逆止弁B42a、42bが設けられている。
そして、給湯混合弁42にて最適温度となった温水が、給湯管22を介して、蛇口30aやシャワー30bに給湯される。
43は風呂注湯混合弁であり、同じく元混合弁38を通過した温水と、入水管21から供給される水道水とを混合し、適切な給湯温度を得、風呂44に注湯する弁であり、風呂注湯混合弁43と入水管21の間には逆流防止の逆止弁C43bが設けられている。風呂注湯混合弁43にて最適温度となった温水が、風呂注湯管45を介し、逆流防止弁45aを通過して、風呂44に注湯され、風呂に湯をはることになる。
24は風呂熱交換器であり、風呂注湯混合弁43から風呂44へとお湯が向かう際に通過することになる。風呂熱交換器24は、風呂44内のお湯を追炊きする際に用いる熱交換器であり、風呂44から、浴槽出湯管25を介して、風呂循環水ポンプ26で風呂からお湯を引き込み、そのお湯と、貯湯タンク19から追炊きポンプ27で引き込んだ貯湯タンク19内の高温水とを熱交換して、浴槽入湯管28で風呂へ戻すことにより、風呂44の温度を一定に保つ保温運転や、風呂44の湯量を足さなくても湯温を上昇させる追炊き運転を行う。つまり、風呂熱交換器24は、水−水熱交換器となっているわけである。
また、46は入水流量計であり、入水流量を測定する計器であり、給湯流量計47は給湯流量を測定する計器である。排出弁48は、寒冷地等にて長期間使用しない場合に、凍結防止等でタンク内の水を抜くために用いる弁であり、制御弁49は入水流量を制御する弁である。50aは貯湯タンク19の圧力逃がし弁、50bは貯湯タンク19の缶体保護弁である。
また、冷媒回路制御基板17は、冷媒回路2の高圧側の冷媒温度を検出し、その温度の高低から冷媒回路2の立ち上がり状態を判定し、元混合弁38や給湯混合弁42、風呂注湯混合弁43の開度を制御する手段である。
圧縮機5や電動膨張弁7などの冷媒回路を制御しているのが、冷媒回路制御基板17であり、給湯循環水ポンプ31や入水流量計46などの給湯回路のアクチュエーターやセンサーを制御しているのが、給湯回路制御基板16であり、冷媒回路制御基板17と給湯回路制御基板16は別個に配されているが、それぞれが連動して動作するように制御線でつながっている。
そして、これらの部品を本体ユニット内に配したのが図1の概略斜視図である。
図3は、図1、図2で示したヒートポンプ式給湯装置の正面詳細内観図であり、図3に付与している番号は、図1、図2と同じである。
本体ユニット1内の左方には、冷媒回路2が配されており、圧縮機5と、放熱器6(水−冷媒熱交換器18)が載置されており、その圧縮機5と放熱器6と、減圧手段である電動膨張弁7と、L字状の空気−冷媒熱交換器11が環状に結ばれ、冷媒回路2を構成している。放熱器6と一体化された水−冷媒熱交換器18の上方には、略L字状の中間基板8があり、この中間基板に空気−冷媒熱交換器11が載置されている。
また、圧縮機5は中間基板8よりも上方まで飛び出しており、その飛び出した圧縮機5や、冷媒回路2を構成する部品を覆うように、箱状の圧縮機ボックス10が、中間基板8に載置されている。そして、この圧縮機ボックス10には、送風ファン支持台14が載置されており、この送風ファン支持台14に、ファンモータ13が取り付けられ、このファンモータ13に送風ファン12が取り付けられている。また、送付ファン支持台14の上方には電源ボックス15があり、送風ファン支持台は、圧縮機ボックス10と電源ボックス15を支持するの間に挟まれており、電源ボックス15を支持している形となっている。この電源ボックス15は正面から見てT字状となっており、中央の長くなっている部分に、送風ファン支持台14が固定されている。
17aは電源ボックスの内部に載置されている冷媒回路制御基板17に付随している放熱板であり、圧縮機5をインバータ回路で駆動させるためのインバータ回路を冷却させるためのものである。この放熱板17aは、給湯回路3が配されている方向とは、送風ファン13を中心に見ると反対側に配されていることになる。また、電源ボックス15から見ると、T字状の電源ボックス15の中で、低くなっている部分に配されていることになり、電源ボックス15の中央の長くなっている部分には、冷媒回路制御基板17内の大きな部品を配するように制御基板のパターンを形作っている。
本体ユニット1の右方には、主となる給湯回路3を構成する部品が設けられており、19は貯湯タンク、20は給湯回路、21は入水管、22は給湯管、23は仕切板、24は風呂熱交換器、25は浴槽入湯管、26は風呂循環水ポンプである。電源ボックス15は右方では、T字状の低くなった部分が仕切板23の仕切板支え部23aに固定されている。27は追い炊きポンプ、28は浴槽出湯管である。また、給湯回路3の部品である、貯湯三方弁39、給湯混合弁42、風呂注湯混合弁43、逆流防止弁45aなども図の様に配されている。また、制御装置51は、本体ユニット1の上方、ファンモータ台17で支えられるように配されている。冷媒温度を検出し、その温度の高低から冷媒回路の立ち上がり状態を判定し、元混合弁38や給湯混合弁42、風呂注湯混合弁43の開度を制御する手段である。52は本体ユニット1の脚であり、基板4に取り付けられ、下方に配管スペースを確保するようになっている。
図4は、図3において断面A―Aを示した平面詳細内観図あり、図4に付与している番号は、図1、図2、図3と同じである。
本体ユニット1内の左方、冷媒回路の上部には電源ボックス15が配されており、その内部には給湯回路制御基板16、冷媒回路制御基板が別個に配されており、電源ボックス15内で見ると、給湯回路制御基板16は前方に、冷媒回路制御基板17は後方に配されており、空気−冷媒熱交換器11に近く、送風ファン12に対して遠い方向に、冷媒回路制御基板が配されていることになる。また、冷媒回路制御基板の放熱板17a(電源ボッ
クス15の下面に飛び出ている形なので点線で記載している)は、貯湯タンク19の反対側になるような位置になるようにしている。
図5は、図3において断面B−Bを示した側面詳細内観図であり、図5に付与している番号は、図1、図2、図3、図4と同じである。放熱器6(水−冷媒熱交換器18)の上方に、中間基板8があり、その上方に圧縮機ボックス10、送風ファン支持板14があり、送風ファン支持板14に支えられて、電源ボックス15がある。そして、電源ボックス15の、送風ファン14側、つまり前方には給湯回路制御基板16があり、後方には冷媒回路制御基板17があり、この冷媒回路制御基板のインバータ回路を冷却するための放熱板17aが取り付けられており、正面から見てT字状の電源ボックス15の高さの低い部分に配されており、電源ボックス15の外方に飛び出ている。
そのため、空気−冷媒熱交換器11から、送風ファン12で吸引された気流で冷却されるようになっている。そのため、放熱板17aは、本体の後方から前方へ空気が流通するように、図5でいえば左右に向かって、図3でいえば奥から手前に向かって、フィンが並んでいる形状をしている。
図6は、図3において断面C−Cを示した側面詳細内観図であり(矩形状にカットしている)、図6に付与している番号は、図1、図2、図3、図4と同じである。本体ユニット1の下方に圧縮機5が配され、その圧縮機を覆うように、圧縮機ボックス10があり、この圧縮機ボックス10上方に送風ファン支持板14、その送風ファン支持板14に支えられて、電源ボックス15がある。そして、電源ボックス15の、送風ファン14側、つまり前方には給湯回路制御基板16があり、後方には冷媒回路制御基板17が配されており、正面から見てT字状の電源ボックス15の長さの長い部分に、それぞれの制御基板16、17の電子部品が配されている。
以下、図面に基づいて、上記ヒートポンプ式給湯装置の動作を説明する。
圧縮機5を運転すると、高圧まで圧縮されて吐出された冷媒は、放熱器6(水−冷媒熱交換器18)に送られ、水道水供給管34を通ってきた水道水と熱交換して放熱する。
これにより、貯湯管37、元混合弁38に流れる水道水は高温に加熱される。放熱器6(水−冷媒熱交換器18)から流出する冷媒は、減圧手段7にて減圧膨張され、空気−冷媒熱交換器11に送られ、送風ファン12にて送られた空気と熱交換して、空気−冷媒熱交換器11を通過する間に、蒸発してガス化する。このガス化した冷媒は、再度圧縮機5に吸入され、再度圧縮される過程を繰り返し、徐々に加熱された水道水は、元混合弁側配管37b、元混合弁31を通り、蛇口30a、シャワー30bに給湯したり、風呂44に注湯される。そのため、送風ファンで送られる気流は、冷媒が蒸発された空気−冷媒熱交換器11を通過するために、冷却された気流となる。
そして、冷媒回路2は立ち上がりが遅く、速湯性に劣っているため、貯湯タンク19によってその立ち上がりの悪さを補っている。すなわち、冷媒回路2が立上り、所定の給湯温度となるまでの間は、高温に保たれた貯湯タンク19からタンク給湯管41を通過してきた温水と、まだ立ち上がっていない水−冷媒熱交換器18を通過してきた水(徐々に温度が上がり高温となる水)とを、元混合弁38で混合し、さらに給湯混合弁42、風呂注湯混合弁43で入水管21を通ってきた水道水と混合して、所定の温度の給湯あるいは注湯を行う。
次に冷媒回路2が立ち上がってくると、元混合弁38の開度を調整し、貯湯タンク19からの高温の温水と、水−冷媒熱交換器18からの温水を適温に混合し、給湯混合弁42や、風呂注湯混合弁43に送り、給湯混合弁42や風呂注湯混合弁43で入水管21を通
ってきた水道水と混合して給湯する。
最終的には、元混合弁38の開度を調整して、タンク給湯管31側を閉じて、貯湯タンク19からタンク給湯管41を通過してきた温水は用いず、入水管21、水道水供給管34、逆止弁35を通ってきた水道水を冷媒回路2の水−冷媒熱交換器18で加熱して得た温水を、元混合弁38を介して、給湯混合弁42、風呂注湯混合弁43へ送り、入水管21を通ってきた水道水と、混合し、所定の温度を得て、蛇口30a、シャワー30bへの給湯や、風呂44への注湯を行う。即ち、制御装置51によって、冷媒回路2の立ち上がり状態を把握し、元混合弁38や給湯混合弁42、風呂注湯混合弁43の開度を調整し、所定温度の温水を給湯端末に供給する制御が行われる。
また、使用者が、蛇口30a、シャワー30bを閉じるか、あるいは風呂44に適量のお湯が溜まって給湯する必要がなくなると、給湯循環水ポンプ31を駆動させ、三方弁39を開き、次回の給湯運転のために、貯湯タンク19に高温の温水を貯湯する貯湯運転が行われる。
このように冷媒回路2の立ち上がり状態に応じて、貯湯タンク19に貯めた温水を用いて給湯端末(蛇口30a、シャワー30b、風呂44)へ給湯、注湯したり、貯湯タンク19を介さずに水−冷媒熱交換器18で加熱して得た温水を給湯端末へ直接給湯したりすることができる構成としている。これにより本実施の形態では、リアルタイム給湯を可能とし、使用者が給湯したいときに給湯ができる速湯性能を確保することができ、使い勝手の良いヒートポンプ式給湯装置を提供することができる。
換言すれば、この速湯性能の確保によって、貯湯タンク19の容量を貯湯式のヒートポンプ式給湯装置のそれよりも小さいものとすることができ、設置性の大幅な向上、コストダウン、使用性の向上を実現できることにもなる。そのため、昼間に運転を行う時もあり、連続して出湯ができる事は、その本体ユニット1をコンパクトにすることも可能となる。また、冬季などの低音の環境下では、貯湯タンク19の貯湯量を多くすることができれば、ヒートポンプ加熱能力が減じたとしても、湯切れすることがなくなり、使用性の良いヒートポンプ式給湯装置とすることが可能となる。
この際に、図1、図3で分かるように、本発明のヒートポンプ式給湯装置は、冷媒回路2を構成する本体ユニット1左上方の電源ボックス15内に、給湯回路3を制御するための給湯回路制御基板を前方に、冷媒回路2を制御するための冷媒回路制御基板を後方に配していることにより、冷媒回路2内の特に空気−冷媒熱交換器11の大きさと、給湯回路3内の、冷媒回路で加熱された温水を貯めるための、貯湯タンク19の大きさで本体ユニット1のサイズが概略決まってしまっているが、それらと干渉しない位置にあることとなり、本体ユニット1内で、貯湯タンク19を極限まで大きくすることが可能となり、実使用における貯湯量を多くすることが可能となり、湯切れしにくく、使用性の向上を図ることができる。
また、電源ボックス15を、本体頂部に配し、その内部に給湯回路制御基板16と冷媒回路制御基板17を収めていることにより、制御基板の修理や交換などを行う際に、上方からそれを触ることができるために、容易に作業ができ、メンテンス性の向上を図ることができる。
また、給湯回路3を制御するための給湯回路制御基板を前方に、冷媒回路2を制御するための冷媒回路制御基板を後方に配していることにより、冷媒回路制御基板17と空気−冷媒熱交換器11とは近接することとなる。ヒートポンプ式給湯装置を運転すると、空気−冷媒熱交換器11は蒸発器となり、空気と熱交換して蒸発熱を奪うことにより、冷却さ
れ、冷風が流れる。送風ファン12を回転させると、空気−冷媒熱交換器11から、気流が吸引され、本体ユニット1外方へ排出される。
その際に、冷却された気流が放熱板17aに当接することにより、放熱板17aは冷却され、その内部にある冷媒回路制御基板17の主として圧縮機5を駆動制御するインバータ回路の冷却が行われ、圧縮機5を高温下で連続運転を行っても、インバータ回路の温度上昇により、運転が停止することを防ぎ、湯切れしそうになった際にも、圧縮機が停止せず、安定してお湯を作り出すことが可能となり、使用性が向上する。特に、夏季の昼間に運転する際には、その効果を発揮する。
これは図5で見ればわかるように、送風ファン12と離れた方向で、空気−冷媒熱交換器11に近い方向に、冷媒回路制御基板17を配しているために、効果が顕著になっているわけである。また、図3でわかるように、電源ボックス15はT字状になっており、その長さの短い部分に、冷媒回路用制御基板17のインバータ回路冷却用の放熱板17aを配していることにより、送風ファン12による運転で、蒸発器として冷却された空気−冷媒熱交換器11を通過した気流を、効率よく冷媒回路制御基板の放熱板に当てることも可能となっている。
さらに、電源ボックス15の内部に配した、冷媒回路用制御基板17のインバータ回路の冷却用の放熱板17aは、送風ファン12から見て、貯湯タンク19の反対側に配していることにより、貯湯タンク19の輻射熱を受けて、放熱板17aが温度上昇することを防ぐことができる。この場合は、貯湯タンク19から、仕切板23を通って、空気−冷媒熱交換器11のある部分に熱が伝わることになるので、仕切板23と、放熱板17aを離すことが必要となるのである。
またT字状の電源ボックス15の長さの長い中央部には、送風ファン支持台14で保持する構成とし、その下方に、圧縮機ボックス10を配していることにより、送風ファン支持台14が、圧縮機ボックス10と電源カバー15で挟み込まれた形となり、送風ファン支持台14を保持できるために、送風ファン12が回転しても、その回転に伴うトルクが送風ファン支持台14にかかっても、変形することを防ぎ、異常な音が発生することを防ぐことが可能となる。また、電源ボックス15の右方は仕切板23に保持しているので、電源ボックス15の保持力も高めることが可能となっている。
さらに、図5、図6でわかるように電源ボックス15のT字状の長さの長い部分に、各種電子制御部品を配していることにより、電子制御部品をコンパクトに納めることが可能となり、本体ユニットのコンパクト化を図ることができる。また、電源ボックス15の左右方向はT字状の長さの短い部分となり、この部位からは送風ファン12の吸引で空気−冷媒熱交換器11を流通する空気量を多くすることが可能となり、熱交換効率を高めることにより、ヒートポンプ能力の向上を実現し、湯量を早期に溜め込むことが可能となり、コンパクトであるにもかかわらず、湯切れのしにくいヒートポンプ式給湯装置とすることができる。
また、水−冷媒熱交換器18で暖められた温水は、最初は、高温な温水を貯めている貯湯タンク19内の温水と、水道水を混ぜて、給湯、貯湯を行うが、冷媒回路2が立ちあがった後は、元混合弁38の開度を調整し、貯湯タンク19からの高温の温水と、水−冷媒熱交換器18からの温水を適温に混合し、給湯混合弁42や、風呂注湯混合弁43に送り、給湯混合弁42や風呂注湯混合弁43で入水管21を通ってきた水道水と混合して給湯、貯湯し、最終的には、元混合弁38の開度を調整して、タンク給湯管41側を閉じて、貯湯タンク19からの温水は用いず、入水管21、水道水供給管34、逆止弁35を通ってきた水道水を冷媒回路2の水−冷媒熱交換器18で加熱して得た温水を、元混合弁38
を介して、給湯混合弁42、風呂注湯混合弁43へ送り、入水管21を通ってきた水道水と、混合し、所定の温度を得て、蛇口30a、シャワー30bへの給湯や、風呂44への注湯を行う。
即ち、冷媒回路制御基板17によって、冷媒回路2の立ち上がり状態を把握し、元混合弁38や給湯混合弁42、風呂注湯混合弁43の開度を調整し、所定温度の温水を給湯端末に供給する制御が行われる。このように貯湯手段である貯湯タンク19を介さないで、給湯、貯湯するようなりアルタイム給湯を可能とし、使用者が給湯したいときに給湯ができる速湯性能を確保することができ、使い勝手の良いヒートポンプ式給湯装置を提供することができる。この速湯性能の確保によって、貯湯タンク19の容量を貯湯式のヒートポンプ式給湯装置のそれよりも小さいものとすることができ、本体ユニット1のコンパクト化、ひいては設置性の大幅な向上、コストダウン、使用性の向上を実現できることにもなる。
特に夏季にこのような高温の環境下で、連続して出湯された場合には、運転を連続して行うことが必要である。この際に、前述したように、蒸発器である冷媒回路制御基板17の冷却効果を高めていることが、途中で圧縮機5が停止してしまうようなことを防ぐことができ、使用性は大きく向上する。
また、本実施の形態では、冷媒として炭酸ガスを用いたヒートポンプ式給湯装置としている。これにより冷媒循環回路は、冷媒の圧力が臨界圧力以上となる超臨界冷媒循環回路であり、臨界圧力以上に昇圧された冷媒により冷媒−水熱交換器の水流路の流水を加熱する構成となり、冷媒−水熱交換器の放熱器を流れる冷媒は、圧縮機で臨界圧力以上に加圧されているので、冷媒−水熱交換器の水流路の流水により熱を奪われて温度が低下しても蒸発することがなく、冷媒−水熱交換器全域で冷媒と水とに温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くできる。
加えて、炭酸ガスであるので、万一冷媒が外部に漏れたとしても、地球温暖化に及ぼす影響を、一般的エアコンに用いられているR−410Aの冷媒に比して大幅に低減することができ、環境に優しいヒートポンプ式給湯装置とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。