JP4899303B2 - 合成樹脂製容器 - Google Patents
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さらに、容器を薄肉に成形するには、プリフォームに二軸延伸ブロー成形を施す際の延伸倍率を高くするが、延伸倍率を高くすると、過延伸による白化や、破裂などの問題が生じてくる。
このため、相対的に厚肉になり易い胴部の側面の肉厚を減らそうとして、単純にプリフォームの肉厚を薄くしたり、延伸倍率を高くしたりしただけでは、コーナー部などでの延伸倍率が局所的に高くなり、これに伴って肉厚が薄くなり過ぎてしまい、過延伸による白化や、強度不足などの問題が顕著になってしまう。
特許文献1に開示された減圧吸収構造は、横方向の溝(横ビード)を含むものであり、この溝に薬液が溜まるなどして、薬液の排出を遮ってしまうという問題も有している。
また、高さ方向に沿って稜線を形成することにより、特に、縦方向の荷重に対する耐荷重強度が向上するとともに、成形時のひけ防止にもなる。さらに、アセプティック充填に供される場合であっても、薬液を排液する際に、稜線部内面側の谷溝に沿って薬液が流れていくため、排液性が向上する。
また、隣接する減圧吸収面が、胴部の横断面において135〜163.7度の角度で交わるようにすることにより、容器を薄肉に形成するに際して、稜線及びその近傍での過延伸による白化が発生するのを有効に回避することができる。このとき、隣接する前記減圧吸収面は、144〜162度で交わるとより好適である。
さらに、横方向の荷重に対する耐荷重強度も向上するとともに、縦方向の荷重に対しては、胴部が周方向にねじれるようにたわみ変形し易くなり、縦方向の荷重を弾性的に受けることによって座屈を有効に回避することができる。
さらに、前記下側胴部の縦断面形状を、容器の中心線に平行な直線部分又はほぼ直線状の部分を含むように形成することで、この直線部分を他の容器とのあたり面とすることができる。
図1は、本発明に係る合成樹脂製容器の一実施形態の概略を示す正面図である。また、図2(a)は、図1のA−A横端面図、図2(b)は、同B−B横端面図、図2(c)は、同C−C横端面図であり、図3は、同D−D縦断面図である。なお、作図上、図2及び図3では、容器1の肉厚を誇張している。
ここで、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に置いたときに、水平面に直交する方向に沿った方向をいうものとする。
下側胴部32の最大径φcは、90〜130mmであるのが好ましく、特に好ましくは100〜120mmであり、下側胴部32の最大径φcに対する上側胴部31の最大径φbの比(φb/φc)は、0.9〜1であるのが好ましく、特に好ましくは0.95〜0.99である。
また、他の部位の剛性や、デザイン上のバランスなどを考慮しつつ、ウェスト部5の延伸量を抑えて肉厚を確保して、ウェスト部5の剛性を得るためには、胴部3の最大径φMAXに対するウェスト部5の最小径φdの比(φd/φMAX)が、0.5〜0.8となるような範囲でウェスト部5を絞り込むのが好ましく、特に好ましくは0.6〜0.7である。
このように、本実施形態に係る容器1では、高さ方向に沿って形成された稜線311により画成される減圧吸収面312が、上側胴部31の周方向に沿って形成されている。
この結果、減圧吸収面312の総面積が大きくなり、容器1の減圧吸収性能を向上させることができる。さらに、高さ方向に沿って形成された稜線311が、柱状の構造部位として機能するため、特に、縦方向の荷重に対する耐荷重強度を向上させることができる。
減圧吸収面312の面数は八〜十六面とするが、例えば、上型胴部31の最大径φbが、95〜115mm程度である場合、好ましくは十〜十四面である。
これにより、容器1のいびつな形状変化を回避することができ、容器1の外観変化を目立たなくすることができる。このとき、正多角形状は、ほぼ円形状と見なせる程度に円形状に近似しているほどよい。
なお、上側胴部31の横断面形状を正多角形状に形成する場合、隣接する減圧吸収面312が交わる角度は、正八角形で135度、正十角形で144度、正二十角形で162度、正二十二角形で約163.636度である。
上型胴部31の形状をこのように形成することで、特に、横方向の荷重に対する耐荷重強度を向上させることができる。
ここで、図示する例では、上側胴部31に形成される稜線311とは異なり、下側胴部32に形成される稜線321が、高さ方向に沿って螺旋状に延びている。このように、下側胴部32にあっては、高さ方向に沿って螺旋状に延びる稜線321により画成された減圧吸収面322が形成されている。
さらに、稜線321を螺旋状に形成することにより、縦方向の荷重に対して、下側胴部32が周方向にねじれるように、たわみ変形し易くなる。このため、下側胴部32は、縦方向の荷重を弾性的に受けることになり、下側胴部32が座屈するのを有効に回避することができる。
一方、下側胴部32に形成する稜線321は螺旋状に形成されている。接地側に位置し、縦方向の荷重を下方に逃がすことができない下側胴部32において、稜線321を螺旋状に形成するのが、たわみ変形による効果が得られ易く、座屈を回避する上でも好ましい。また、内容物の重さで胴部3が外方に膨らむのを防止する上でも、容器の下方に位置する下側胴部32に形成する稜線321を螺旋状にするのが好ましい。
稜線321を螺旋状に形成するにあたり、その螺旋角は、5〜45度であるのが好ましく、特に好ましくは10〜30度である。
図示する例において、下側胴部32には、十六面の減圧吸収面322が形成されているが、下側胴部32に形成する減圧吸収面322の面数は、例えば、下型胴部32の最大径φcが、100〜120mm程度である場合、十〜二十二面であるのが好ましく、より好ましくは十二〜二十面である。
なお、この場合には、前述した範囲で上側胴部31に形成する減圧吸収面312の面数を設定して組み合わせるのが好適であり、上側胴部31に形成する減圧吸収面312の面数を十〜十四面とし、下側胴部32に形成する減圧吸収面322の面数を十二〜二十面とした組み合わせが特に好適である。
なお、下側胴部32に螺旋状の稜線321が形成される場合、当該部分323は厳密な意味での直線状にはならないが、螺旋状の稜線321により画成される減圧吸収面322が円筒面に近づくほど、すなわち、正多角形状とする下側胴部32の横断面形状が円に近似するほど、より直線に近くなっていく。
そして、平面部43と接地部42とは、凹部41の近傍から径方向外側に向かって放射状に形成される複数の傾斜溝44により、周方向に沿って分断されている。
底部4の形状をこのようなものとすることで、底部4の剛性を確保して、内容物の重さで底面が膨らむのを防止することができる。これによって、容器1の座りが悪くなるのを回避することができる。
なお、底部4に形成する傾斜溝44と、下側胴部32に形成する稜線321とを同数とし、それぞれの稜線321の延長線上に一対一で傾斜溝44を形成すようにしてもよいが、荷重分散の程度や、下側胴部32に形成する減圧吸収面322の面数を考慮すると、稜線321の本数は、傾斜溝44の本数の1〜4倍であるのが好ましい。
さらに、接地部42の外周面は、下側胴部32に連続する傾斜面としているが、これは、成形時における接地部42の延伸を極力抑えて肉厚を確保することで、接地部42の耐荷重強度を向上させるためである。
なお、特に図示しないが、上絞り部51と下絞り部52の横断面形状も、最絞り部53と同様に、円形状になっている。
また、下絞り部52の径φfを絞り込むにあたり、下絞り部52の最大径φfMAXに対する最小径φfMINの比(φfMIN/φfMAX)は、0.7〜0.95であるのが好ましく、特に好ましくは0.8〜0.9であり、同最大径φfMAXに対するウェスト部5の最小径φdの比(φd/φfMAX)は、0.6〜0.85であるのが好ましい。
そして、上側胴部31の上絞り部51と連続する部分は、その断面形状が容器1の外方に凸となる曲率半径50mmの曲線を形成するような曲面にて形成されており、下側胴部32の下絞り部52と連続する部分は、その断面形状が容器1の外方に凸となる曲率半径120mmの曲線を形成するような曲面にて形成されている(図3参照)。
このとき、正立状態で容器1を把持したときに手のひらがあたる下絞り部52が、上記したような容器1の内方に凸となる曲面にて形成されていれば、容器1を正立状態で把持したときのホールド感をよくすることができるが、容器1を倒立状態で把持したときのことを考慮すると、ウェスト部5は、図示するように、高さ方向上下でほぼ対称となるように形成するのが好ましい。
このような段部55を形成することで、ウェスト部5の剛性を高めることができる。これに加え、容器1を把持する際に、剛性の高い段部55に指を引っ掛けて容器1を把持することで容器1の把持性が向上するとともに、ウェスト部5を掴む指に力が入りすぎても、容器1の変形を防止することができる。
なお、段部55は、必要に応じて接続部511,521の一方に形成するようにしてもよい。
また、幅が変化する割合は、容器1の寸法にもよるが、最小幅に対して最大幅が1.5〜6倍であるのが好ましく、特に好ましくは2.5〜4倍である。
また、アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン−エチレン共重合体,ポリエチレン等も使用することができる。
これらの樹脂には、成形品の品質を損なわない範囲内で種々の添加剤、例えば、着色剤,紫外線吸収剤,離型剤,滑剤,核剤,酸化防止剤,帯電防止剤等を配合することができる。
エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が耐圧性,耐熱性,耐熱圧性等の点で特に優れているが、エチレンテレフタレート単位以外にイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸等の二塩基酸とプロピレングリコール等のジオールからなるエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用することができる。
このようにバリヤー層,酸素吸収層を備えることにより、容器内への外部からの酸素の透過を抑制し、容器内の内容物の外部からの酸素による変質を防止することができる。
ここで、酸素吸収層としては、酸素を吸収して酸素の透過を防ぐものであれば任意のものを使用することができるが、酸化可能有機成分及び遷移金属触媒の組合せ、あるいは実質的に酸化しないガスバリヤー性樹脂,酸化可能有機成分及び遷移金属触媒の組み合わせを使用することが好適である。
2 口部
3 胴部
31 上側胴部
311 稜線
312 減圧吸収面
32 下側胴部
321 稜線
322 減圧吸収面
4 底部
41 凹部
42 接地部
43 平面部
44 傾斜溝
5 ウェスト部
51 上絞り部
52 下絞り部
53 最絞り部
X 中心線
Claims (13)
- 口部、胴部及び底部を備えた合成樹脂製容器であって、
前記胴部が、前記胴部の高さ方向ほぼ中央に設けられたウェスト部により、上側胴部と下側胴部とに分けられており、
前記上側胴部及び下側胴部が、高さ方向に沿って形成された稜線により画成される複数の減圧吸収面を備え、
隣接する前記減圧吸収面が、前記胴部の横断面において135〜163.7度の角度で交わって前記稜線を形成しており、
前記上側胴部に形成される前記稜線が、高さ方向に沿って延びるように形成されて正面視したときに直線状に観察されるとともに、当該稜線により前記減圧吸収面が八〜十六面に画成されて、前記上側胴部の横断面形状が正多角形状に形成されていることを特徴とする合成樹脂製容器。 - 前記下側胴部に形成される前記稜線が、高さ方向に沿って螺旋状に延びる請求項1に記載の合成樹脂製容器。
- 前記下側胴部に、十〜二十二面の減圧吸収面が形成されている請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器。
- 前記下側胴部の横断面形状が、正多角形状に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記ウェスト部が円筒形状であり、前記正多角形状が円形状にほぼ近似する請求項4に記載の合成樹脂製容器。
- 前記上側胴部の縦断面形状が、容器外方に凸となる曲線であって、曲率半径が異なる複数の連続する曲線にて形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記上側胴部の高さ方向ほぼ中央における曲率半径が最大となる請求項6に記載の合成樹脂製容器。
- 前記下側胴部の縦断面形状が、容器の中心線に平行な直線部分又はほぼ直線状の部分を含むように形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記上側胴部の最大径に対する前記口部の開口径の比が、0.2〜0.34である請求項1〜8のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記底部が、前記底部の中央に設けられた凹部、前記凹部に連なる実質的に平坦な平面部、前記底部の周縁に沿って凸状に形成された接地部、及び前記平面部と前記接地部とを周方向に分断する複数の傾斜溝を備えるとともに、
前記傾斜溝が、前記凹部から径方向外側に向かって放射状に形成されている請求項1〜9のいずれかに記載の合成樹脂製容器。 - 前記下側胴部に形成される稜線の本数が、前記底部に形成される傾斜溝の本数の1〜4倍である請求項1〜10のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
- 前記傾斜溝が、前記下側胴部に形成された稜線のうち最も近接する稜線の延長線上に位置する請求項11に記載の合成樹脂製容器。
- 前記接地部の外周面が、前記下側胴部に連続する傾斜面となっている請求項1〜12のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
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