JP2013203409A - プラスチックボトル - Google Patents

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Abstract

【課題】ボトルの上下方向から荷重が加わった際、底部が変形してボトルの座屈強度を高めるとともに、ブロー成形性が良好なプラスチックボトルを提供する。
【解決手段】容量が900ml〜2000mlであるプラスチックボトル10は、口部11と、首部12と、肩部13と、胴部20と、底部30とを備えている。底部30は、中央部31と、接地部32と、傾斜部33とを有している。傾斜部33は、底部30の周縁から中央部31側に向かって上昇するとともに水平面に対して第1角度αをもつ第1傾斜部33aと、第1傾斜部33aと中央部31との間に位置するとともに水平面Sに対して第2角度αをもつ第2傾斜部33bとを有し、第1角度αは第2角度αより小さい。プラスチックボトル10の上下方向から荷重が加わった際、第1傾斜部33aが接地して、プラスチックボトル10の座屈強度を高めることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、口部と、首部と、肩部と、胴部と、底部とを備えたプラスチックボトルに関する。
近年、ボトルに使用されるプラスチック材料の使用量を減らし、プラスチックボトルを軽量化することが望まれている。しかしながら、プラスチックボトルを軽量化した場合、座屈強度が低下することにより積載時の荷崩れが発生するおそれがある。また、ボトル側面の強度が低下することにより、内容液を充填したボトルを開栓する際ハンドリング適性が低下する事により液零れが発生したりするおそれがある。さらに、ボトルのバリア性が低下することにより、内容液の味覚が劣化するおそれもある。
これに対して、従来の軽量化ボトルにおいて、ボトルの側面の強度低下を補うために、胴部の周方向に複数の溝を設けた、いわゆる蛇腹構造の胴部を有するものが存在する。また、このようなボトルにおいては、その蛇腹構造がバネとしての役割を果たし、永久変形し難い構造となる。しかしながら、その一方で、上下方向に荷重を加えた場合、例えば変位が5mm以内の領域では、一般のボトルと比較して座屈強度が低下するという問題が生じている。
特開2009−255926号公報
これに対して、例えば特許文献1には、ボトルの上下方向から荷重が加わった際に底部が可逆的に変形し、これによりボトルの座屈強度を高める機能(以下、このような機能を自己陽圧機能ともいう)を有するボトルが開示されている。しかしながら、このようなボトルにおいては、底部の凹凸が激しく複雑な形状であるため、特に薄肉ボトルを作製する際、ボトルを作製する際、ブロー成形性が良好ではないという問題がある。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ボトルの上下方向から荷重が加わった際、底部が可逆的に変形してボトルの座屈強度を高めるとともに、ブロー成形性を良好にすることが可能なプラスチックボトルを提供することを目的とする。
本発明は、口部と、首部と、肩部と、胴部と、底部とを備えた、容量900ml〜2000mlのプラスチックボトルにおいて、底部は、中央部と、底部周縁に位置する接地部と、中央部と接地部との間に位置する傾斜部とを有し、傾斜部は、底部周縁から中央部側に向かって上昇するとともに水平面に対して第1角度をもつ第1傾斜部と、第1傾斜部と中央部との間に位置するとともに水平面に対して第2角度をもつ第2傾斜部とを有し、第1傾斜部の第1角度は、第2傾斜部の第2角度より小さく、上下方向から荷重が加わった際、少なくとも第1傾斜部が接地して、ボトルの座屈強度を高めることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、胴部に複数の周方向溝を設けたことを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、底部の肉厚が、0.09mm〜0.30mmであることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、底部の接地部と第1傾斜部との間に、ボトル内方に凹む段部が形成されていることを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、底部に、中央部から底部周縁に向けて放射状に延びる複数の第1の補強溝を設けたことを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、各第1の補強溝間に、第1の補強溝より短い第2の補強溝を設けたことを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明は、第1傾斜部の第1角度をαとし、第2傾斜部の第2角度をαとしたとき、第1角度αと第2角度αとの間で、1<α/α<11という関係が成り立つことを特徴とするプラスチックボトルである。
本発明によれば、傾斜部は、底部周縁から中央部側に向かって上昇するとともに水平面に対して第1角度をもつ第1傾斜部と、第1傾斜部と中央部との間に位置するとともに水平面に対して第2角度をもつ第2傾斜部とを有し、第1傾斜部の第1角度は、第2傾斜部の第2角度より小さくなっている。このことにより、上下方向から荷重が加わった際、少なくとも第1傾斜部が接地して、ボトルの座屈強度を高めることができる。また、上記構成により、ブロー成形によりプラスチックボトルを作製する際、底部の中央部又は傾斜部に樹脂が集中してこの部分が必要以上に肉厚となることを防止することができ、ブロー成形性を良好にすることができる。
図1は、本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルを底部側から見た斜視図。 図2は、本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルを示す正面図。 図3は、本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルの底部における端面図(図1のX−X線断面図)。 図4は、本発明の一実施の形態によるプラスチックボトルの底部における端面図であって、上下方向から荷重が加わった際の状態を示す図(図3に対応する図)。 図5は、プラスチックボトルの変形例を示す正面図。 図6(a)、(b)は、比較例によるプラスチックボトルの底部を示す端面図。 図7は、比較例によるプラスチックボトルを示す正面図。 図8は、比較例によるプラスチックボトルを示す正面図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図4は本発明の一実施の形態を示す図である。
まず、図1乃至図4により本実施の形態によるプラスチックボトルの概要について説明する。なお、本明細書中、「上方」および「下方」とは、それぞれプラスチックボトル10を正立させた状態(図2)における上方および下方のことをいう。
図1乃至図3に示すように、プラスチックボトル10は、口部11と、口部11に連接する首部12と、首部12に連接する肩部13と、肩部13に連接する胴部20と、胴部20に連接する底部30とを備えている。
このうち胴部20は略円筒形状からなり、その表面には複数の周方向溝21が設けられている(いわゆる蛇腹構造となっている)。各周方向溝21は、胴部20の周方向全域に形成されており、その水平断面はそれぞれ円又は多角形状からなっている。また、これらの周方向溝21は、上下方向に沿って配置されている。さらに、各周方向溝21間には、それぞれ周方向凸部22a〜22dが形成されている。
また、底部30は、底部30の中央に位置する中央部31と、底部30の周縁に位置する接地部32と、中央部31と接地部32との間に位置する傾斜部33とを有している。
このうち中央部31には、底面方向から見て円形状からなる凹部34が形成されている。なお凹部34は、円形状に限らず多角形状でも良い。また接地部32は、プラスチックボトル10を正立させた際(図2および図3)、水平面Sに接触する部分であり、底面方向から見て円環形状を有している。なお接地部32の周方向外側には、胴部20の下端に連接するヒール部38が設けられている。
さらに、傾斜部33は、底部30の周縁から中央部31側に向かって上昇する第1傾斜部33aと、第1傾斜部33aと中央部31との間に位置し、第1傾斜部33aより急な角度で中央部31に向かって上昇する第2傾斜部33bとを有している。
図3に示すように、第1傾斜部33aは、水平面Sに対して第1角度αをもっており、第2傾斜部33bは、水平面Sに対して第2角度αをもっている。この場合、第1傾斜部33aの第1角度αは、第2傾斜部33bの第2角度αより小さなっている(α<α)。具体的には、第1傾斜部33aの第1角度αを1°〜14°(A以上かつB以下であることを「A〜B」という。以下同様)とすることが好ましく、かつ第2傾斜部33bの第2角度αを15°〜40°とすることが好ましい。さらに、第1角度αと第2角度αとの間で、1<α/α<11という関係が成り立つことが好ましい。第1角度αおよび第2角度αを上記範囲内とすることにより、ブロー成形性を良好に維持することができる。
また図3に示すように、第1傾斜部33aの(水平面Sに投影した)長さをLとし、第2傾斜部33bの(水平面Sに投影した)長さをLとしたとき、長さLが長さLより長いことが好ましい(L>L)。具体的には、第1傾斜部33aの長さLを8mm〜20mmとするとともに、第2傾斜部33bの長さLを3mm〜8mmとすることが好ましい。長さLおよび長さLを上記範囲内とすることにより、容量が900ml〜2000mlであって、胴径が大きいプラスチックボトル10においても、賦形不良の発生を防止することができる。
さらに、図1乃至図3に示すように、接地部32と第1傾斜部33aとの間に、プラスチックボトル10の内方に凹む段部35が底部30の全周に亘って形成されている。このように、接地部32と第1傾斜部33aとの間に段部35を形成したことにより、首部12を把持してプラスチックボトル10に内容液を充填する際、内容液の重量およびプラスチックボトル10の自重により底部30が下方へ変形し、プラスチックボトル10の全高が高くなる不具合を防止することができる。なお、段部35の高さh(図3)は1.0mm〜5.0mmとすることが好ましい。段部35の高さhを上記範囲内とすることにより、容量が900ml〜2000mlであって、充填される内容液の自重が重いプラスチックボトル10においても、底部30の反転を防止するとともに賦形不良の発生を防止することができる。
また図1に示すように、底部30には、中央部31から底部30の周縁に向けて放射状に延びる複数の第1の補強溝36が設けられている。また、各第1の補強溝36間に、接地部32からヒール部38に向けて延びるとともに、第1の補強溝36より短い第2の補強溝37が設けられている。第1の補強溝36および第2の補強溝37は、それぞれ周方向等間隔に配置されている。このように第1の補強溝36および第2の補強溝37を設けたことにより、プラスチックボトル10が落下して衝撃が加わった際や、プラスチックボトル10に縦方向に荷重が加わった際、ヒール部38が変形することを防止することができ、自己陽圧機能を発現することが出来る。また、縦荷重を取り除いた際にヒール部38の永久変形を防止することができ、形状を復元することが出来る。又、首部12を把持してプラスチックボトル10に内容液を充填する際、内容液の重量およびプラスチックボトル10の自重により底部30が下方へ変形し、プラスチックボトル10の全高が高くなる不具合を防止することができる。
なお、圧力を分散するために、第1の補強溝36および第2の補強溝37は、それぞれ奇数本ずつ設けられていることが好ましく、具体的には、3本〜8本設けられていることが好ましい。第1の補強溝36および第2の補強溝37の本数を3本以上とすることにより、底部30の永久変形を防止する効果が得られやすい。一方、第1の補強溝36および第2の補強溝37の本数を8本以下とすることにより、底部30のブロー成形性が悪化することを防止することができる。
ところで、このようなプラスチックボトル10のサイズは限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良い。例えばプラスチックボトル10の容量が900ml〜2000ml、とりわけ約900ml、約1500ml、または約2000mlとなっていても良い。
また底部30の厚み(接地部32における厚みをいう。以下同様)は、これに限定されるものではないが、例えば0.09mm〜0.30mmとすることができる。底部30の肉厚を0.30mm以下としたことにより、プラスチックボトル10に上下方向から荷重が加わった際、底部30を可逆的に変形させることができ、自己陽圧化を図ることができる。一方、底部30の肉厚を0.09mm以上としたことにより、プラスチックボトル10を縦方向に積載した時や、プラスチックボトル10が落下した時に、底部30が永久変形することを防止することができる。
さらに、プラスチックボトル10の重量についても、これに限定されるものではないが、その容量が2000ml以下のプラスチックボトル10に関しては14g〜38gとすることができる。このように、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。
また、プラスチックボトル10は、合成樹脂材料を射出成形して作製したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォームすなわちプラスチックボトル10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PLA(ポリ乳酸)等を使用することができる。
なお、胴部20の形状は、図1および図2に示す蛇腹構造からなるものに限られない。例えば、炭酸飲料用ボトルのように、胴部20が全体として平坦な円筒面からなっていてもよい。また、胴部20は、自己陽圧機能が減殺されることを防止するため、圧力吸収構造(例えば圧力吸収パネル)を有さないことが好ましい。ただし、胴部20が小型のパネルを有する場合は自己陽圧機能を発現することも可能である。具体的には、胴部20に、上下方向に延びる小型のパネルを周方向に沿って複数配置し、各パネル内に縦スリットを設けても良い。
また、胴部20の形状は、必ずしも円筒形状に限られるものではなく、四角形等の多角筒形状(図5参照)からなっていても良い。図5に示すプラスチックボトル10Aにおいて、胴部20Aは四角筒形状からなっている。また胴部20Aには、複数の周方向溝21Aが形成されており、胴部20の形状は蛇腹構造となっている。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、空のプラスチックボトル10を準備し、このプラスチックボトル10内に例えば飲料水等の内容液を空寸部(ヘッドスペース(HS)量)が30mlになる様に充填する。なお、空寸部(ヘッドスペース(HS)量)が小さいほど座屈強度を高める効果が大きくなる。続いて、口部11を図示しないキャップにより閉栓する。このようにして閉栓されたプラスチックボトル10は、複数個まとめて段ボール等に詰められ、その後、例えば倉庫内で段ボールを積載することにより保管される。
このとき、積載されたプラスチックボトル10にはその上下方向から荷重が加えられ、これによりプラスチックボトル10の底部30が可逆的に変形する。すなわち、プラスチックボトル10の上下方向から荷重が加わった際、底部30の第1傾斜部33aが水平面Sに接地するよう変形し、更に荷重が加わった場合には、第2傾斜部33bも水平面Sに接地するよう変形する(図4参照)。この結果、プラスチックボトル10の内容積が小さくなることにより、その内部の圧力が高められ、プラスチックボトル10の座屈強度を高めることができる(すなわち自己陽圧機能を発現する)。一方、プラスチックボトル10に対する上下方向の荷重を取り除いた場合、底部30の形状は元に戻り(図3)、底部30に永久変形が生じることはない。
このように本実施の形態によれば、プラスチックボトル10に上下方向から荷重が加わった際、底部30の第1傾斜部33aおよび第2傾斜部33bが接地して、その内部の圧力が高められ、プラスチックボトル10の座屈強度を高めることができる。これにより、プラスチックボトル10に永久変形が生じて外観不良が生じることを防止することができる。また、プラスチックボトル10が保管中に荷崩れを起こすことを防止することができる。なお、上下方向から加わる荷重が小さい場合には、傾斜部33のうち第1傾斜部33aのみが接地し、第2傾斜部33bが接地しなくても良い。
また、本実施の形態によれば、傾斜部33は、底部30の周縁から中央部31側に向かって上昇するとともに水平面Sに対して第1角度αをもつ第1傾斜部33aと、第1傾斜部33aと中央部31との間に位置するとともに水平面Sに対して第2角度αをもつ第2傾斜部33bとを有する。この場合、第1傾斜部33aの第1角度αは、第2傾斜部33bの第2角度αより小さい。このことにより、ブロー成形によりプラスチックボトル10を作製する際、底部30の中央部31又は傾斜部33に樹脂が集中してこの部分が必要以上に肉厚となることを防止することができるので、底部30のブロー成形性を高めることができるとともに、底部30が自己陽圧機能を発現しやすくなっている。
これに対して、比較例として、図6(a)に示すように、底部30cの周縁と中央部31cとの間に傾斜が急な角度からなる傾斜部33cが設けられている場合、ブロー成形時に中央部31cにプリフォーム(図示せず)の未延伸部の樹脂が溜り、肉厚となってしまう。この場合、中央部31cとは反対に、底部30cの周縁の肉厚が薄くなり、この部分の強度が不足するおそれがある。また、他の比較例として、図6(b)に示すように、底部30dの周縁と中央部31dとの間に傾斜が緩やかな角度からなる傾斜部33dが設けられている場合、ブロー成形時に傾斜部33d全体が肉厚となる。この場合、ボトルの上下方向から荷重が加わった際、傾斜部33dが変形しにくいため、底部30dが自己陽圧機能を発現することが難しくなるおそれがある。又、傾斜部33dが厚肉になるので接地部32が薄肉化し接地不良となるおそれがある。
次に、本実施の形態における具体的実施例について説明する。
以下に挙げる6種類のプラスチックボトル(実施例1〜4および比較例1〜2)を作製した。
(実施例1)
図1乃至図4に示す構成からなる、900ml用のプラスチックボトル10(実施例1)を作製した。この場合、28gのプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより、プラスチックボトル10(実施例1)を作製した。このプラスチックボトル10(実施例1)の底部30の接地厚みは0.19mmであり、従来一般に用いられるプラスチックボトルよりも薄肉化されたものである。また、第1傾斜部33aの第1角度αと第2傾斜部33bの第2角度αとの間で、α/α=5.00という関係が成り立っている。又、段部高さhを2.0mmとした。プラスチックボトル10に空寸部(ヘッドスペース(HS)量)が30mlとなる様に内容液を充填しキャップを閉栓した。
(実施例2)
底部30の接地厚みを0.25mmとしたこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ形状を有する900ml用のプラスチックボトル10(実施例2)を作製した。
(実施例3)
α/α=10.00としたこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ重量および肉厚を有する900ml用のプラスチックボトル10(実施例3)を作製した。
(実施例4)
ヘッドスペース(HS)量を40mlとしたこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ重量を有する900ml用のプラスチックボトル10(実施例4)を作製した。
(比較例1)
底部30cが図6(a)に示す形状からなる(すなわちα=αとなる)こと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ重量を有する900ml用のプラスチックボトル(比較例1)を作製した。
(比較例2)
図7に示す構成からなる、900ml用のプラスチックボトル100(比較例2)を作製した。図7において、プラスチックボトル100の胴部120には、周方向に沿って複数の圧力吸収パネル121が配置されている。この場合、プラスチックボトル100の底部130の形状は、第1の補強溝36および第2の補強溝37が設けられていないこと、以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ重量を有する900ml用のプラスチックボトル(比較例2)を作製した。
上記6種類のプラスチックボトル(実施例1〜4および比較例1〜2)について、それぞれブロー成形性および座屈強度について評価した(表1)。このうち座屈強度は、プラスチックボトルを3段に積載し、各ボトルの全高が3mm変位したときの座屈強度について、比較例2を100としたときの値(%)で評価した。また、3段に積載した時に、最下段に位置する全プラスチックボトルのうち、永久変形が生じたプラスチックボトルの本数の割合(%)を測定した。
Figure 2013203409
この結果、実施例1のプラスチックボトル10は、自己陽圧機能が発現し、座屈強度が向上した為、全てのプラスチックボトル10が永久変形しなかった(0%)。
実施例2のプラスチックボトル10は、底部30が厚かったため、底部30が変形し難く、一部のプラスチックボトル10は自己陽圧化機能が発揮できず、永久変形したものも存在したが(12%)、多くのプラスチックボトル10には永久変形が生じなかった。
実施例3のプラスチックボトル10は、第1傾斜部33aの第1角度αに対して第2傾斜部33bの第2角度αが大きいため、底部30に樹脂が溜り、ブロー成形が若干困難であった。また、一部(21%)のプラスチックボトル10には永久変形が生じた。
実施例4のプラスチックボトル10は、空寸部(ヘッドスペース量)が40mlであるため、一部のプラスチックボトル10は自己陽圧化機能が十分に機能せず、永久変形したものも存在したが(7%)、多くのプラスチックボトル10には永久変形が生じなかった。
比較例1のプラスチックボトルは、底部30cの中心部31cに樹脂が溜り接地部に過延伸による白化が発生した為、ブロー成形が困難であった。
比較例2のプラスチックボトル100は、その上下方向から荷重が加わった際、胴部120の圧力吸収パネル121が圧力を吸収したため、自己陽圧化が不十分であり、50%のプラスチックボトル100に永久変形が発生した。
次に、以下に挙げる3種類のプラスチックボトル(実施例5および比較例3〜4)を作製した。
(実施例5)
図5に示す構成からなる、900ml用のプラスチックボトル10A(実施例5)を作製した。図5において、胴部20Aの形状が異なること、以外は、実施例1と同様である。なお、プラスチックボトル10Aにおいて、上述したように胴部20Aは四角筒形状からなっている。
(比較例3)
底部が図6(a)に示す形状からなる(すなわちα=αとなる)こと、以外は、実施例3と同様にして、実施例5と同じ重量および肉厚を有する900ml用のプラスチックボトル(比較例3)を作製した。
(比較例4)
図8に示す構成からなる、900ml用のプラスチックボトル150(比較例4)を作製した。図8において、プラスチックボトル150の胴部170には、周方向に沿って複数の圧力吸収パネル171が配置されていること、以外は、実施例1と同様にして、実施例5と同じ重量を有する900ml用のプラスチックボトル(比較例4)を作製した。
上記3種類のプラスチックボトル(実施例5および比較例3〜4)について、それぞれブロー成形性および座屈強度について評価した(表2)。その評価方法は上述した実施例1〜4および比較例1〜2の場合と同様である。
Figure 2013203409
この結果、実施例5のプラスチックボトル10Aは、自己陽圧機能を発現し、座屈強度が向上した為、全てのプラスチックボトル10Aに永久変形が生じなかった(0%)。
比較例3のプラスチックボトルは、底部の中心部に樹脂が溜り、接地部に過延伸による白化が発生した為、ブロー成形が困難であった。
比較例4のプラスチックボトル150は、その上下方向から荷重が加わった際、胴部170の圧力吸収パネル171が圧力を吸収したため、自己陽圧化が不十分であり、50%のプラスチックボトル150に永久変形が発生した。
10 プラスチックボトル
11 口部
12 首部
13 肩部
20 胴部
21 周方向溝
22a〜22d 周方向凸部
30 底部
31 中央部
32 接地部
33 傾斜部
33a 第1傾斜部
33b 第2傾斜部
34 凹部
35 段部
36 第1の補強溝
37 第2の補強溝

Claims (7)

  1. 口部と、首部と、肩部と、胴部と、底部とを備えた、容量900ml〜2000mlのプラスチックボトルにおいて、
    底部は、中央部と、底部周縁に位置する接地部と、中央部と接地部との間に位置する傾斜部とを有し、
    傾斜部は、底部周縁から中央部側に向かって上昇するとともに水平面に対して第1角度をもつ第1傾斜部と、第1傾斜部と中央部との間に位置するとともに水平面に対して第2角度をもつ第2傾斜部とを有し、
    第1傾斜部の第1角度は、第2傾斜部の第2角度より小さく、
    上下方向から荷重が加わった際、少なくとも第1傾斜部が接地して、ボトルの座屈強度を高めることを特徴とするプラスチックボトル。
  2. 胴部に複数の周方向溝を設けたことを特徴とする請求項1記載のプラスチックボトル。
  3. 底部の肉厚が、0.09mm〜0.30mmであることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチックボトル。
  4. 底部の接地部と第1傾斜部との間に、ボトル内方に凹む段部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のプラスチックボトル。
  5. 底部に、中央部から底部周縁に向けて放射状に延びる複数の第1の補強溝を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載のプラスチックボトル。
  6. 各第1の補強溝間に、第1の補強溝より短い第2の補強溝を設けたことを特徴とする請求項5記載のプラスチックボトル。
  7. 第1傾斜部の第1角度をαとし、第2傾斜部の第2角度をαとしたとき、第1角度αと第2角度αとの間で、1<α/α<11という関係が成り立つことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載のプラスチックボトル。
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