JP3953698B2 - 薄肉のブロー成形ボトル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄肉ボトルの肩部、とくにボトルの肩部に設けた補強リブの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチック成形材料の節減とともに再利用が奨励され、廃棄ボトルの押潰し回収ということからもボトルの薄肉化が求められるようになっており、手で簡単に押潰して廃棄することができる薄肉ボトルは周知となっている。
【0003】
PETボトルの場合には、押潰しがきわめて容易にできる薄肉ボトルとして、単位容量あたりの樹脂重量が0.033〜0.045g/mlの範囲、胴部の厚さが約0.1mmであるボトルが従来より市販されている。
PPの延伸成形による薄肉ボトルの場合には、単位容量あたりの樹脂重量が0.024g/ml、胴部の厚さが0.1mmのボトルが従来より市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の容器は、PET、PPその他のいずれの場合でも、容器口部、とくにネックリングを改善して、キャップの開閉に対して補強していた。
しかしながら、一般の消費者は、キャップの開閉にあたって、容器口部をつかむとは限られず、普通には胴部の上端部から肩部をつかんでキャップを開閉していた。
そのため、肩部がよじれ、ねじ締め力、ねじ緩め力が有効に働かないという問題があった。
【0005】
また、成形材料の節減のため、ボトル口部の肉厚を薄くすると、肩部自体の肉厚も薄くなるので、ねじを開閉する力が働かず、うまく開閉できないという問題が生じるようになった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決することを課題として、胴部の補強とともに肩部を補強した薄肉ボトルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため、薄肉のブロー成形ボトルとして、口部と肩部、胴部と底部とからなる薄肉の二軸延伸ブローボトルであって、肩部には、肩壁全周に複数の螺旋リブが等間隔に配設され、該螺旋リブは頂部と谷部と曲面とから形成され、谷部から隣り合う螺旋リブの頂部に接続する曲面によって肩部の壁面が形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
また別実施形態の薄肉のブロー成形ボトルとして、口部と肩部、胴部と底部とからなる薄肉の二軸延伸ブローボトルであって、肩部が、肩壁全周に等間隔をおいて湾曲方向を反対として交差する二つの円弧状の曲線を稜線とし、曲線の交点から横方向と縦方向に延びる直線を谷線とする範囲内に浅い四角錐状の凹部が上下左右に連続するように配設されていることを特徴とする構成を採用する。
さらに、上記各構成に付加して、胴部が、補強リブによって補強されていることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
ブロー成形ボトルの素材樹脂と単位容量あたりの樹脂重量として、ブロー成形ボトルが、PETまたはPPを素材樹脂として単位容量あたりの樹脂重量が、0.004〜0.025g/mlであることを特徴とする構成を採用し、さらにまたPETまたはPPを基材として、EVOHまたはNyを積層したことを特徴とする構成を採用する。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、2に示すように、ボトルAは、口部1と肩部2、断面円形の胴部3と底部4とからなり、PET、PPその他の硬質の樹脂によって成形されている。
口部1の外周には、ねじ5とネックリング6が形成されている。
【0011】
肩部2外周には、上面からみて等間隔をおいて、渦巻き状に放射するように延びる円弧状の曲線上に螺旋リブ7が配設されている。
図3に示すように、螺旋リブ7は、頂部8と谷部9とから形成され、谷部9から隣り合う螺旋リブ7aの頂部8aに接続する曲面によって肩部2の壁面が形成されている。
【0012】
胴部3は、断面円形であって、図1に示すように、全周にわたって横方向に延びる複数の凹リブ10が、上下に等間隔に配設されている。
底部4は、底端壁11と上方に凹んだ底壁とからなっており、放射状に複数個のリブが設けられている(図示しない)。
【0013】
次に、ボトルのブロー成形と樹脂量について説明する。
PETの場合は、公知の方法のように、プリフォームを用いて二軸延伸ブロー成形した。
口部の外径を20mmとし、500mlのボトルを、プリフォームの重量を2〜12.5gの範囲として成形した。
【0014】
ボトルの単位容量あたりの樹脂重量は、0.025〜0.004g/mlであるが、単に保形性を保ち押潰しが簡単にできるだけであれば、従来のもののように、0.04g/ml前後の重量でもよいが、本発明は、樹脂をさらに節約するため、口部の外径、厚さを少なくし、その単位重量を、0.025g/ml以下としたものである。
樹脂重量が2g近くになると、壁面はフィルムと同様となったが、ボトルとしての保形性は保たれ、肩部がよじれてキャップの開閉が出来ないということはなかった。
【0015】
PPの場合も、PETと同様にプリフォームを用いて二軸延伸ブロー成形される。
プリフォームの重量を2〜10g(単位容量あたりの重量は0.004〜0.02g/ml)として、500mlのボトルを成形した。
従来の単位容量あたりの重量0.024g/mlのPP延伸ブロー容器と比較して、口部の外径、厚さを少なくすることができ、実施例の範囲では、ボトルとしての保形性は保たれ、肩部がよじれてキャップの開閉が出来ないということはなかった。
【0016】
その他の樹脂として、PEN(ポリエチレンナフタレート)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PAN(ポリアクリロニトリル)、COC(環状オレフィン・コポリマー)、COP(環状オレフィンポリマー)も上記と同様に樹脂重量0.004〜0.025g/mlの範囲で成形できる。
【0017】
また、PET、PPその他を素材樹脂として、EVOH(エチレン・ビニールアルコール共重合体)またはNy(ナイロン)を積層し、樹脂重量を0.004〜0.025g/mlの範囲で成形することもできる。
【0018】
次に第2実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、前実施形態において肩部のリブ形状を変更したもので、その他は同一であるので、肩部を中心に説明し、口部と胴部については同一の符号に添字aを付して簡単に説明する。
【0019】
図4,5に示すように、ボトルAaは口部1aと肩部2a、胴部3aと底部4aとからなり、前実施形態と同様にPET、PPその他の硬質の樹脂によって成形されている。
肩部2aの外周には、上面からみて等間隔をおいて、渦巻き状に放射するように延び、湾曲方向を反対として交差する二つの円弧状の曲線20,21を稜線として、曲線20,21の交点から横方向と縦方向に延びる直線22,23を谷線とする浅い四角錐状の多数の凹部24が上下左右に連続するように配設されている。
【0020】
本実施形態のボトルAaも、前記実施形態のボトルAと同様にプリフォームを用いて二軸延伸ブロー成形によって成形され、単位容量あたりの樹脂重量を前実施形態と同様に少なくしているが、ボトルとしての保形性とキャップの開閉の容易性は保持される。
【0021】
次に、肩部の強度に関する試験結果について説明する。
肩部に各実施形態のリブを配設したPETボトルを作成し、リブなしのボトルとの強度を比較したところ、次のとおりの実験結果を得られた。
実験は、胴部上部と口部を挟持してトルクをかけ、肩部が変形したときの力を測定した。
リブなしボトルの変形時のトルクを100とし、実施形態のボトルと比較すると、次表のとおりであった。
【0022】
【表1】
【0023】
上記の表からも明らかなように、肩壁に螺旋状リブを形成した第1実施形態の場合には、肩壁の強度がねじ締めに対して約20%、ねじ緩めに対して約39%も増加することが判った。
また第2実施形態の場合には、周方向左右に同形であるので、トルクの方向によって強度が変わらないが、約20%増加した。
これらの結果は、PPボトルの場合、PETまたはPPを基材樹脂としてEVOHまたはNyを積層ブローとした場合にも大差はなかった。
【0024】
上記各実施形態では、胴部の補強リブとして、全周にわたって横方向に延びる凹リブを採用したが、横凹リブを二分するようにしてもよく、また左右に二分した横凹リブの間に縦リブを配設してもよい。
さらにまた波形の凹リブ、または螺旋状に延びる凹リブ、凸リブを用いることもでき、実施形態の横方向に延びる凹リブに限定されない。
また、胴部の断面形状についても角形、楕円形でもよく円形ボトルに限定されない。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成されているから、次の効果を奏する。
胴部の補強とともに、肩部に螺旋状のリブ、または上下左右に連続するよう凹部を配設したことによって肩部が補強され、口部を小径にかつ薄肉にすることによって、樹脂量を節減することができ、さらにまたキャップの開閉にあたって強度をもたせることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態ボトルの正面図である。
【図2】同ボトルの上面図である。
【図3】図1のA−A線における肩部の断面図である。
【図4】第2実施形態ボトルの正面図である。
【図5】 同ボトルの上面図である。
【符号の説明】
A、Aa ボトル
1、1a 口部
2、2a 肩部
3、3a 胴部
4、4a 底部
5 ネジ
6 ネックリング
7、7a 螺旋リブ
8、8a 頂部
9 谷部
10 凹リブ
11 底端壁
20、21 曲線
22、23 直線
24 凹部
Claims (5)
- 口部と肩部、胴部と底部とからなる薄肉の二軸延伸ブローボトルであって、
肩部には、肩壁全周に複数の螺旋リブが等間隔に配設され、該螺旋リブは頂部と谷部と曲面とから形成され、谷部から隣り合う螺旋リブの頂部に接続する曲面によって肩部の壁面が形成されていることを特徴とする薄肉のブロー成形ボトル。 - 口部と肩部、胴部と底部とからなる薄肉の二軸延伸ブローボトルであって、
肩部が、肩壁全周に等間隔をおいて湾曲方向を反対として交差する二つの円弧状の曲線を稜線とし、曲線の交点から横方向と縦方向に延びる直線を谷線とする範囲内に浅い四角錐状の凹部が上下左右に連続するように配設されていることを特徴とする薄肉のブロー成形ボトル。 - 胴部が、補強リブによって補強されていることを特徴とする請求項1または2記載の薄肉のブロー成形ボトル。
- ブロー成形ボトルが、PETまたはPPを素材樹脂として単位容量あたりの樹脂重量が、0.004〜0.025g/mlであることを特徴とする請求項1または2記載の二軸延伸された薄肉のブロー成形ボトル。
- PETまたはPPを基材として、EVOHまたはNyを積層したことを特徴とする請求項4記載の二軸延伸された薄肉のブロー成形ボトル。
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