まず、本発明が適用された実施例としてのスロットマシンを図1に基づいて説明する。図1は、本発明が適用された実施例のスロットマシンを示す正面図である。本実施例のスロットマシン1は、前面が開口する筐体1a(図3参照)と、この筺体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。
本実施例のスロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
リール2L、2C、2Rの外周部には、特に図示はしないが、それぞれ「赤7(図中黒7)」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図2参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示すようになっている。
また、前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数(本実施例では後述の通常遊技状態においては3、後述のレギュラーボーナスにおいては2)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rが設けられている。
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、後述するビッグボーナス中のメダルの獲得枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、入賞の発生により払い出されたメダル枚数が表示されるペイアウト表示器13が設けられている。
また、前面扉1bには、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
また、MAXBETスイッチ6の内部には、1枚BETスイッチ5及びMAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図2参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図2参照)がそれぞれ設けられている。
前面扉1bの裏面側には、図3に示すように、所定のキー操作によりRAM異常エラー及び異常入賞エラーを除くエラー状態及び後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24(図2参照)、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述するメダルホッパー134のホッパータンク134a側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30(図2参照)及びメダル投入部4から投入され、ホッパータンク134a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31a〜31c(図2参照)を有する投入メダルセレクタ131が設けられている。
投入メダルセレクタ131では、投入されたメダルの真偽(形状、大きさ、厚み等)が判別されるようになっており、真正なメダルはその通過が投入メダルセンサ31a〜31cにて検出された後、投入メダルセレクタ131の本体側面に形成された流出口142(図7参照)から流出されるとともに、偽メダルはその通過が投入メダルセンサ31a〜31cにて検出される前に、投入メダルセレクタ131の本体下部に形成された返却部から下方に向けて流出されるようになっている。また、投入メダルセレクタ131の流出口142から流出したメダルは、該投入メダルセレクタ131の側方に設けられる後述するメダルシュート160によりホッパータンク134aに誘導され、返却部から流出したメダルは、該投入メダルセレクタ131の下方に設けられたメダル返却通路132を介してメダル払出口9から下皿に返却されるようになっている。尚、投入メダルセレクタ131及びメダルシュート160の詳細な構造に関しては後述することとする。
筐体1a内部には、図3に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33からなるリールユニット60、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク134aと、該ホッパータンク134aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34(図2参照)及びホッパーモータ34の駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ35(図2参照)を備えるメダルホッパー134、ホッパータンク134aからオーバーフローしたメダルが貯留されるオーバーフロータンク135、電源ボックス136が設けられている。
電源ボックス136の前面には、後述のビッグボーナス終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36、起動時に設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ37、ビッグボーナス終了時にクレジットの精算を行う自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ29、通常時においてはRAM異常エラー及び異常入賞エラーを除くエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更モードにおいては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するには1枚BETスイッチ5、またはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。尚、本実施例では、規定数の賭数として後述する通常遊技状態においては3枚が定められており、後述するレギュラーボーナス中においては、2枚が定められている。尚、遊技状態に対応する規定数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1〜L5上に予め定められた図柄の組み合わせ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組み合わせが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組み合わせそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では、15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化されたいずれかの入賞ラインL1〜L5上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組み合わせが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組み合わせに応じた遊技状態に移行するようになっている。
図2は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図2に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板100が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板100によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
電源基板100には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。また、電源基板100には、前述したホッパーモータ34、払出センサ35、打止スイッチ36、設定キースイッチ37、自動精算スイッチ29、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
遊技制御基板40には、前述した1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、投入メダルセンサ31a〜31c、リールセンサ33が接続されているとともに、電源基板100を介して前述した払出センサ35、打止スイッチ36、設定キースイッチ37、自動精算スイッチ29、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED10、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板100を介して前述したホッパーモータ34が接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
遊技制御基板40には、CPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施例では0〜65535)の乱数を発生させる乱数発生回路42、乱数発生回路から乱数を取得するサンプリング回路43、遊技制御基板40に直接または電源基板100を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはCPU41aからの初期化命令が入力されないときにCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
CPU41aには、処理を実行するのに必要なデータの読み出し及び書き込みが行われる複数のレジスタ(記憶領域)が設けられている。詳しくは、主に演算用データが格納されるA、Fレジスタ(フラグレジスタ)、汎用データが格納されるB、C、D、E、H、Lレジスタ、実行中のプログラムの位置を示すデータが格納されるPCレジスタ、スタックポインタ(後述するスタック領域の現在の位置を示すアドレス)が格納されるSPレジスタ、後述するリフレッシュ動作を行うRAM41cのメモリブロックを示すデータが格納されるRレジスタ、RAM41cの格納領域を参照する際の基準となる位置を示すデータが格納されるIX、IYレジスタ、割込発生時に参照する割込テーブルの位置を示すデータが格納されるIレジスタが設けられている。
CPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、CPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、CPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
メイン制御部41は、信号入力端子DATAを備えており、遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態がこれら信号入力端子DATAを介して入力ポートに入力される。これら信号入力端子DATAの入力状態は、CPU41aにより監視されており、CPU41aは、信号入力端子DATAの入力状態、すなわち各種スイッチ類の検出状態に応じて段階的に移行する基本処理を実行する。
また、CPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっている。本実施例では、割込1〜4の4種類の割込を実行可能であり、各割込毎にカウンタモード(信号入力端子DATAとは別個に設けられたトリガー端子CLK/TRGからの信号入力に応じて外部割込を発生させる割込モード)とタイマモード(CPU41aのクロック入力数に応じて内部割込を発生させる割込モード)のいずれかを選択して設定できるようになっている。
本実施例では、割込1〜4のうち、割込2がカウンタモードに設定され、割込3がタイマモードに設定され、割込1、4は未使用とされている。トリガー端子CLK/TRGは、前述した電断検出回路48と接続されており、CPU41aは電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて割込2を発生させて後述する電断割込処理を実行する。また、CPU41aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定時間間隔毎に割込3を発生させて後述するタイマ割込処理を実行する。また、割込1、4は、未使用に設定されているが、ノイズ等によって割込1、4が発生することがあり得る。このため、CPU41aは、割込1、4が発生した場合に、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
また、CPU41aは、割込1〜4のいずれかの割込の発生に基づく割込処理の実行中に他の割込を禁止するように設定されているとともに、複数の割込が同時に発生した場合には、割込2、3、1、4の順番で優先して実行する割込が設定されている。すなわち割込2とその他の割込が同時に発生した場合には、割込2を優先して実行し、割込3と割込1または4が同時に発生した場合には、割込3を優先して実行するようになっている。
また、CPU41aは、割込1〜4のいずれかの割込の発生に基づく割込処理の開始時に、レジスタに格納されている使用中のデータをRAM41cに設けられた後述のスタック領域に一時的に退避させるとともに、当該割込処理の終了時にスタック領域に退避させたデータをもとのレジスタに復帰させるようになっている。
RAM41cには、DRAM(Dynamic RAM)が使用されており、記憶しているデータ内容を維持するためのリフレッシュ動作が必要となる。CPU41aには、このリフレッシュ動作を行うための前述したR(リフレッシュ)レジスタが設けられている。Rレジスタは、8ビットからなり、そのうちの下位7ビットが、CPU41aがROM41bから命令をフェッチする度に自動的にインクリメントされるもので、その値の更新は、1命令の実行時間毎に行われる。
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、CPU41aによりリフレッシュ動作が行われてRAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
乱数発生回路42は、後述するように所定数のパルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路43は、乱数発生回路42がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路42は、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められており、本実施例では、その範囲として0〜65535が定められている。CPU41aは、その処理に応じてサンプリング回路43に指示を送ることで、乱数発生回路42が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。後述する内部抽選用の乱数は、ハードウェア乱数機能により抽出した乱数をそのまま使用するのではなく、ソフトウェアにより加工して使用するが、その詳細については詳しく説明する。また、CPU41aは、前述のタイマ割込処理により、RAM41cの特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。
CPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成されているとともに、演出中継基板80を介して接続されており、遊技制御基板40と演出制御基板90とが直接接続されない構成とされている。
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の駆動制御を行う液晶駆動回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うランプ駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはCPU91aからの初期化命令が入力されないときにCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、その他の回路等、が搭載されており、CPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
CPU91aは、メイン制御部41のCPU41aと同様に、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子(図示略)は、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、CPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、CPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定時間間隔毎に割込を発生させてタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、CPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
また、CPU91aは、CPU41aとは異なり、ストローブ信号(INT)の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を実行し、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を最優先で実行するようになっている。
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、CPU91aによりリフレッシュ動作が行われてRAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
本実施例のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものであり、後述する内部抽選の当選確率は、設定値に応じて定まるものとなる。以下、設定値の変更操作について説明する。
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24に設定値の初期値として1が表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更モードに移行する。設定変更モードにおいて、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された設定値が1ずつ更新されていく(設定6から更に操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納される。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、遊技の進行が可能な状態に移行する。
本実施例のスロットマシン1においては、メイン制御部41のCPU41aが電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理を実行する。電断割込処理では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、メイン制御部41のRAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ(本実施例では、5AH)、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはRAM41cの該当する領域(本実施例では、全ての領域)の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。
そして、CPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。尚、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更モードにおいて新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
また、CPU41aは、後述する内部抽選処理において内部抽選に用いる設定値が適正な値であるか否かを判定するとともに、設定された賭数が遊技状態に応じた賭数であるか否かを判定する。
そして、内部抽選に用いる設定値が適正な値でない場合、または設定された賭数が遊技状態に応じた賭数ではない場合にも、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。尚、前述のようにRAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更モードにおいて新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
本実施例のスロットマシン1は、前述のように遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。本実施例では、遊技状態として、レギュラーボーナス、通常遊技状態があり、このうちレギュラーボーナスに対応する賭数の規定数として2が定められており、通常遊技状態に対応する賭数の規定数として3が定められている。このため、遊技状態がレギュラーボーナスにあるときには、賭数として2が設定されるとゲームを開始させることが可能となり、遊技状態が通常遊技状態にあるときには、賭数として3が設定されるとゲームを開始させることが可能となる。尚、本実施例では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、全ての入賞ラインL1〜L5が有効化されるようになっており、遊技状態に応じた規定数が2であれば、賭数として2が設定された時点で全ての入賞ラインL1〜L5が有効化され、遊技状態に応じた規定数が3であれば、賭数として3が設定された時点で全ての入賞ラインL1〜L5が有効化されることとなる。
本実施例のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ライン(本実施例の場合、常に全ての入賞ラインが有効化されるため、以下では、有効化された入賞ラインを単に入賞ラインと呼ぶ)上に役と呼ばれる図柄の組み合わせが揃うと入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技状態の移行を伴う特別役と、がある。以下では、小役と再遊技役をまとめて一般役とも呼ぶ。
本実施例のスロットマシンにおいては、特別役としてビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)が、小役としてチェリー、ベルが、再遊技役としてリプレイが定められている。このうちレギュラーボーナスの遊技状態では、小役であるチェリー及びベルが、入賞となる役として定められており、通常遊技状態では、特別役であるビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、再遊技役であるリプレイ、小役であるチェリー、ベルが入賞となる役として定められている。
チェリーは、いずれの遊技状態においても左リールについて入賞ラインのいずれかに「チェリー」の図柄が導出されたときに入賞となり、15枚のメダルが払い出される。ベルは、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「ベル−ベル−ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、通常遊技状態においては8枚、レギュラーボーナスにおいては15枚のメダルが払い出される。
リプレイは、通常遊技状態において入賞ラインのいずれかに「リプレイ−リプレイ−リプレイ」の組み合わせが揃ったときに入賞となるが、レギュラーボーナスでは、この組み合わせが揃ったとしてもリプレイ入賞とならない。リプレイ入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数(レギュラーボーナスではリプレイ入賞しないので必ず3)に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
ビッグボーナス(1)は、通常遊技状態において入賞ラインのいずれかに「赤7−赤7−赤7」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、ビッグボーナス(2)は、通常遊技状態において「白7−白7−白7」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)が入賞すると、遊技状態が通常遊技状態からビッグボーナスに移行する。更に、ビッグボーナスに移行すると同時に後述する内部抽選において通常遊技状態よりも高い確率で小役に当選するレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、12ゲームを消化したとき、または8ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したとき、のいずれか早いほうで終了する。レギュラーボーナスが終了した際に、ビッグボーナスが終了していなければ再度レギュラーボーナスに移行し、ビッグボーナスが終了するまで繰り返しレギュラーボーナスに制御される。すなわちビッグボーナス中は、常にレギュラーボーナスに制御されることとなる。そして、ビッグボーナスは、当該ビッグボーナス中において遊技者に払い出したメダルの総数が345枚を超えたときに終了する。この際、レギュラーボーナスの終了条件が成立しているか否かに関わらずレギュラーボーナスも終了する。遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグが、レギュラーボーナスにある間は、レギュラーボーナス中フラグが、それぞれRAM41cに設定される。尚、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)をまとめて、単に「ボーナス」と呼ぶ場合があるものとする。
次に、投入メダルセレクタ131の構造及び前面扉1bへの取り付け構造を、主に図3〜図7に基づいて説明する。図3は、投入メダルセレクタが前面扉の裏面に取り付けられた状態を示す斜視図であり、図4は、投入メダルセレクタが前面扉の裏面に取り付けられた状態を示す側面図であり、図5は、(a)は投入メダルセレクタを示す斜視図であり、(b)はメダルセレクタ取付部材を示す斜視図であり、図6は、投入メダルセレクタ及びメダルシュートを示す正面図であり、図7は、投入メダルセレクタ及びメダルシュートを示す右側面図である。尚、以下の説明において、前面扉1bの裏面側から投入メダルセレクタ131を見た状態を、投入メダルセレクタ131の正面側として説明する。つまり、図6の手前側及び図7の左側を投入メダルセレクタの正面側として説明する。
メダル判別装置としての投入メダルセレクタ131は、図5〜図7に示すように直方体形状に構成されており、その本体部内には、正面視略L字状のメダル流下通路133が形成されている(図6中斜線領域)。本体部の上面には、メダル流下通路133の上流側に連通するとともに、上方に配置される投入メダルガイド部材140に形成された投入口140a(図4中拡大図参照)から落下されたメダルが流入される流入口141が形成され、また、本体部の側面には、メダル流下通路133の下流側に連通するとともに、メダルを流出させるための流出口142(図7参照)が形成されている。
詳しくは、図6に示すように、メダル流下通路133は、本体内部に略L字状に凹設される凹溝(図示略)と、該本体部の正面側に、軸部材143を中心に揺動自在に設けられるとともに、バネ144により本体部方向に付勢される揺動板145との間に形成されており、揺動板145は、前面扉1bに設けられるメダル詰まり解除ボタン146(図1参照)により押圧されることでメダル流下通路133を開放するようになっており、これによりメダル流下通路133内に詰まったメダルを本体部下方に排出することができるようになっている。すなわち、揺動板144及び前記凹溝が形成された本体部にて、メダル流下通路133の側面を形成する流下側壁が形成されている。
また、流入口141は、横長長方形状をなし、本体部上面に左右方向に向けて形成され(図5参照)、流出口142は、縦長長方形状をなし、本体部側面に上下方向に向けて形成されている(図7参照)。つまり、メダル流下通路133の前後の流下側壁は、流入口141から流出口142まで鉛直方向を向いており、図6に示すように、メダル投入部4を構成する投入メダルガイド部材140の投入口140aから起立姿勢で投入され、流入口141から流入したメダルが、その起立姿勢を維持したまま通路内を流下して流出口142から右側方に流出されるように構成されている。
メダル流下通路133の下方には、本体部の前面側に設けられる流路切替ソレノイド107(図2参照)の励磁に連係して、メダル流下通路133を流下するメダルがメダル流下通路133の下流側に設けられる投入メダルセンサ31a〜31c(図6参照)に検出される直前にてメダル流下通路133から下方に向けて強制的に落下させる流路切替板147が揺動自在に設けられている。また、揺動板145には、メダル流下通路133内を流下するメダルの逆流を防止するための逆流防止部材148がバネを介してメダル流下通路133方向に付勢された状態で回動自在に設けられている。この逆流防止部材148を設けることで、メダル流下通路133内における投入メダルセンサ31a〜31cの近傍でメダルを逆流させること等によりメダルを検出させるといった不正が行われることを防止している。
本体部の左右側面における上部には、係止ピン154がそれぞれ外向きに突設されているとともに、本体部の左右側面における下部には軸ピン155がそれぞれ外向きに突設されている。
投入メダルセレクタ131は、前面扉1bの裏面所定箇所に固定されるメダルセレクタ取付部材150に着脱できるように構成されている。具体的に説明すると、メダルセレクタ取付部材150は、図5(b)に示すように、金属板を折曲げ形成することにより構成され、前面扉1bの裏面所定箇所に、図示しないネジにより固定される。
メダルセレクタ取付部材150の左右の側板151下部には、投入メダルセレクタ131の軸ピン155を回動自在に受支する上向きに開放する軸受部152が形成されている。また、側板151の上部には、投入メダルセレクタ131の係止ピン154が係脱される合成樹脂製の係止部材153が取り付けられており、該係止部材153の下方には、係止ピン154が係合される、上向きに開放する半円形状の位置決め凹部156(図7参照)が形成されている。
投入メダルセレクタ131をメダルセレクタ取付部材150に装着する場合、投入メダルセレクタ131の本体を斜めに傾けた状態で、メダルセレクタ取付部材150の軸受部152に軸ピン155を上方から軸支させた状態で、本体上部を、軸ピン155を中心にメダルセレクタ取付部材150側に向けて押し当てるように回転させて押し込むと、係止部材153が変形して上方の係止ピン154が係止部材153と位置決め凹部156との間に入り込んで挟持されるとともに、係止部材153の弾性復帰力にて係止ピン154が位置決め凹部156に入り込んだ状態で保持される。
また、取り外したい場合には、軸ピン155を中心に、本体上部を手前側に引き出すように回転させるだけで、係止部材153及び位置決め凹部156による係止ピン154の係止作用が解除されるとともに、本体を上昇させるだけで軸ピン155を軸受部152から簡単に離脱させることができるため、メダルセレクタ取付部材150から簡単に取り外すことができる。
メダルセレクタ取付部材150の上部に取り付けられる投入メダルガイド部材140は、ネジ157(図4中拡大図参照)を介してメダルセレクタ取付部材150と一体化された状態で前面扉1bの前面側に配置されるため、それぞれを別々に配置する場合に比べて、このメダルセレクタ取付部材150に取り付けられる投入メダルセレクタ131の流入口141とその直上に配置される投入口140aとの対向位置関係に狂いが生じにくいので、投入メダルガイド部材140と流入口141との間でのメダル詰まりの発生が防止される。
メダルセレクタ取付部材150における右側の側板151の外面には、前述したメダルシュート160がネジN1を介して固着されている。メダルシュート160は、金属板を屈曲形成することにより構成され、流出口142から流出したメダルを筐体1a内に配置されたホッパータンク134a内に誘導する。このようにメダルシュート160がメダルセレクタ取付部材150に固着されることで、メダルシュート160をメダルセレクタ取付部材150以外の場所に配設する場合に比べて、投入メダルセレクタ131の本体との位置関係に狂いが生じにくいので、メダル流下通路133の流出口142から流出したメダルを落下させることなくメダルシュート160に確実に流出させることができる。
また、図4に示すように、前面扉1bの裏面に固定されたメダルセレクタ取付部材150に投入メダルセレクタ131を取り付け、前面扉1bにより筐体1aの前面開口を閉塞した状態、つまり、使用状態において、メダル流下通路133の側面を構成する流下側壁(揺動板145及び図示しない凹溝の内面)の内面が、鉛直方向を向く軸線Pに対してほぼ平行な状態となるように構成されている。すなわち、投入メダルセレクタ131がメダルセレクタ取付部材150に取り付けられた状態において、薄型円盤状に形成されたメダルは、前記流下側壁により略鉛直方向を向く姿勢に維持された状態で、メダル流下通路133を円周面により回転流下(転動)するように構成されているため、メダル流下通路133を流下するメダルが揺動板145や前記凹溝の内面に摺接した状態のまま流下し続けることが回避される。これにより、例えばメダルに付着したゴミ、あるいは流入口141から入り込んだゴミや塵等が前記流下側壁に付着しにくくなり、摩擦抵抗によるメダル流下速度の低下や、メダル流下通路でのメダル詰まりの発生等を効果的に防止することができるため、投入メダルセンサ31a〜31cによる投入メダルの検出に悪影響が及ぶことを回避される。
次に、メダルシュート160の構造を、主に図8〜図10に基づいて説明する。図8は、(a)はメダルシュートを示す平面図であり、(b)はメダルシュートを示す左側面図であり、(c)はメダルシュートを示す正面図であり、図9は、(a)はメダルシュートによりメダルが誘導される状況を示す平面図であり、(b)はメダルシュートにおけるメダルの転動軌跡を示す平面図であり、図10は、(a)は図9(a)のA−A断面図であり、(b)は図9(a)のB−B断面図であり、(c)は図9(a)のC−C断面図である。
メダルシュート160は、流出口142から流出したメダルが転動するとともに、該流出口142からメダルの誘導方向、つまり、ホッパータンク134a側に向けて漸次下方に傾斜する転動路面161a(図8(a)(c)中斜線領域)及びその内側縁(他側縁)から連設される補助転動路面161b(図8(a)(c)中網線領域)を構成する底板162と、転動路面161aの外側縁(一側縁)に立設され、該転動路面161a上を転動するメダルの周縁上部をホッパータンク134a側に向けて摺接誘導する誘導立面163を構成するガイド板164と、補助転動路面161bの内側端縁に立設され、該補助転動路面161b上を流下(転動)するメダルをホッパータンク134a側に向けて誘導する補助誘導立面165を構成する補助ガイド板166と、ガイド板164の上流側端部から連設される取付片167と、から主に構成されている。
具体的に説明すると、本実施例におけるメダルシュート160は、展開された1枚の金属板を屈曲及び湾曲させることにより、底板162、ガイド板164、補助ガイド板166、取付片167をそれぞれ形成している。底板162は、図8(a)に示すように、平面視略扇状に形成され、その上面には転動路面161a及び補助転動路面161bが形成されている。
転動路面161aは、所定の路面幅L1(本実施例ではメダルの半径L2(図6参照)よりも小寸、L1<L2)を有し、底板162の円弧状の外縁に沿うように延設される帯状の通路であり、転動方向に向けて平坦状に形成されている。投入メダルセレクタ131の本体部側面に形成された流出口142から右側方に向けて流出したメダルを、正面側、つまり筐体1aに設置されたホッパータンク134a側に向けて約90度右方向に方向変換させる円弧状の方向変換部168を有している。尚、図8(a)において、方向変換部168を挟んで、転動路面161aの左側端部が上流部175、下側端部が下流部176とされている。
補助転動路面161bは、平面視略円弧状に湾曲する帯状の転動路面161aの内側に向けて、該転動路面161aから連設され、平面視略扇状に形成されている。転動路面161aと補助転動路面161bとの間(連設部)、つまり転動路面161aの内側縁には、僅かな規制段部169(特に図10参照)が形成されており、転動路面161aよりも補助転動路面161bの方が高くなっている。この規制段部169は、本実施例では約1mm程度の段差とされており、転動路面161a上を転動するメダルが転動路面161aから補助転動路面161bに乗り上がり可能であり、かつ、補助転動路面161b上から転動路面161a上に復帰可能な高さとされている。
また、本実施例における規制段部169は、特に図10(a)に示すように、1枚の底板162における転動路面161aの領域を補助転動路面161bの領域に対して上方から押圧して凹ませることにより、転動路面161aの内側縁に沿って延びるように形成されており、転動路面161a側から補助転動路面161b側に向けて僅かに傾斜する傾斜段部とされている。よって、規制段部169の外側には、平坦状の転動路面161aが該規制段部169の下部から連設され、規制段部169の内側には、平坦状の補助転動路面161bが該規制段部169の上部から連設されている。尚、このような規制段部169は、例えば転動路面161aを構成する板材と補助転動路面161bを構成する板材とを、互いに高さを異ならせるように突き合せることで形成してもよい。
底板162における補助転動路面161bの内側の前後辺部には、補助誘導立面165を構成する補助ガイド板166が、前後方向に延びるように立設されている。この補助ガイド板166は、メダルが補助転動路面161b上を流下する際に、該流下するメダルの落下を防止しつつ、メダルを正面側、つまり、ホッパータンク134a側に向けて誘導するようになっている。
また、底板162における左右方向を向く前端縁の長さL5(図8(a)参照)、つまり、転動路面161a及び補助転動路面161bにおける下流側の左右幅(補助ガイド板166の内面である補助誘導立面165と誘導立面163との離間幅)は、メダルMの直径L3(約250mm)よりも大寸(L3<L5)とされているため、メダルが倒伏したとしても確実に滑らせて流下させることができる。
ガイド板164は、底板162の外側端縁に沿うように湾曲形成される1枚の金属板にて構成され、転動路面161aから上方に向けて立設される。本実施例におけるガイド板164は、転動路面161aの上流部175付近において底板162から連設されており、底板162に対して上方に屈曲させることにより立設されている。ガイド板164の高さL4は、長手方向にわたってメダルMの直径L3(図6参照)よりも大寸に形成され、後述するように、転動するメダルMの周縁上部が内側の誘導立面163に当接(摺接)されるようになっている。
ガイド板164の上流側端部からは、メダルセレクタ取付部材150の側板151に取り付けるための取付片167が後方に向けて連設されており、該取付片167の上下に形成されたネジ取付孔170に前述したネジN1を取り付けて、側板151に形成されたネジ孔(図示略)に螺入することで、側板151に取り付けできるようになっている。また、取付片167には、前述した軸ピン155の軸受部152が貫通形成されている(図8(b)参照)。
次に、このように構成されたメダルシュート160が、前面扉1bの裏面に固定されたメダルセレクタ取付部材150に取り付けられた状態、つまり、使用状態における底板162、ガイド板164、補助ガイド板166の配設状況を説明する。
メダルシュート160は、図8(b)(c)に示すように、取付片167の左右側面及びガイド板164の誘導立面163が、鉛直方向を向く軸線Pに対して平行、つまり鉛直方向を向くように配設される。この鉛直方向を向く誘導立面163に対して、底板162は、図8(b)に示すように、後側(図8(b)中左側)から前側(図8(b)中右側)に向けて下方に傾斜するように、かつ、図8(c)に示すように、投入メダルセレクタ131が配設される左側(図8(c)中左側)から右側(図8(c)中右側)に向けて下方に傾斜するように配設される。
つまり、底板162は、流出口142側から右側及び前側に向けて下方に傾斜するように配設されているため、転動路面161a上を転動するメダルを、該メダルシュート160の手前側に配設されるホッパータンク134aに向けて自然流下(転動)により誘導するようなっている。
より詳しくは、誘導立面163と転動路面161aとの内角θ1(図8(b)参照)、つまり、軸線Pに対する底板162の前後方向の傾斜角度は、特に図10(a)に示すように、転動路面161aの上流部においては、内角θ1は90度以上(θ1≧90度)の鈍角となっている。つまり、転動路面161aは、上流部175において、誘導立面163から規制段部169に向けて下方に傾斜する傾斜面を構成しているため、流出口142から起立姿勢で流出したメダルは、図9(b)中実線で示すように、転動路面161aの上流部175に流出した際に、規制段部169側、すなわち、誘導立面163から離れる方向に向けて誘導される。
また、図10(b)に示すように、転動路面161aの中流部、すなわち、方向変換部168付近においては、内角θ1は約90度(θ1≒90度)となっており、図10(c)に示すように、転動路面161aの下流部176においては、内角θ1は90度以下(θ1≦90度)の鋭角となっている。
また、軸線Pと転動路面161aとの内角θ2(図8(c)参照)、つまり、軸線Pに対する底板162の左右方向の傾斜角度である内角θ2は90度以上(θ2≧90度)の鈍角となっている。
このように、転動路面161a及び補助転動路面161bを構成する底板162は、投入メダルセレクタ131から右側方に向けて流出するメダルを、右側方及び手前側に向けて流下させるように傾斜させて配設される。よって、平面視略円弧状に形成される帯状の転動路面161aは、上流部175から下流部176に向けて漸次下方に傾斜する傾斜面とされている。
次に、投入メダルセレクタ131から流出したメダルがメダルシュート160によりホッパータンク134aに誘導される際の状況を、図9及び図10に基づいて説明する。尚、図9(a)において、メダルM1〜M4は同一のメダルを示す。
前述したように、図9(a)に示すように、投入メダルセレクタ131のメダル流下通路133内を流下してきたメダルは、上下方向を向く流出口142から起立姿勢のまま、投入メダルセレクタ131の右側方に向けて流出する(図6参照)。流出口142から起立姿勢で流出して転動路面161aの上流部175に乗り移ったメダルM1は、メダルシュート160の右側に向けて転動しようとするが、転動路面161aの上流部175は、前述したように、誘導立面163側から規制段部169側、つまり、後側から前側に向けて下方に傾斜する傾斜面であることで、誘導立面163から離れる方向にスムースに誘導されるため、メダルが誘導立面163に強く接触して摩擦抵抗が大きくなって失速することが防止される。また、メダルの転動方向の後側が流出口142から完全に抜け出た後は、メダルM2の転動方向の前部が、傾斜する転動路面161aにより前側に傾けられ、右側にカーブ(方向変換)することにより、メダルM2の周縁上部が遠心力により誘導立面163側に傾倒する。
そして、方向変換部168に差し掛かったときに、メダルM3の周縁上部が誘導立面163に接触し、該誘導立面163に摺接した状態で転動する。これにより、メダルが誘導立面163との摺接により右側に向けて方向変換(誘導)される。このようにメダルの周縁上部が誘導立面163側に傾倒して摺接する傾倒姿勢となった場合において、該メダルM3の周縁下部が規制段部169によりガイド(当接)されて横滑り(転動方向に対して直交する方向、すなわち、メダルの表裏面方向への滑り)が規制され、該傾倒姿勢が維持されるため、方向変換部168において、メダルM3の周縁下部が内側の補助転動路面161b側に向けて滑ってメダルが倒伏して該メダルが底板162上に滞留し、後続するメダルによりメダル詰まりが発生してしまうことが防止される。
また、方向変換部168にて方向変換されたメダルM3は、その周縁下部が規制段部169により当接して横滑りが規制され、周縁上部が誘導立面163側に傾倒して摺接する前後方向を向く傾倒姿勢のまま転動する。下流部176まで到達したメダルM4は、底板162の前辺部から落下して、その下方に配設されるホッパータンク134a内に貯留される。
図9(b)には、流出口142から起立姿勢で流出し、転動路面161a上を転動するメダルM1〜M4の周縁が通過する軌跡が太実線で示されている。このように、上流部175における幅方向の略中央位置に流出したメダルは、上流部175から方向変換部168に向けて、方向変換部168の内側、つまり規制段部169側に向けてスムースに誘導された後、該方向変換部168を通過して下流部176まで傾倒姿勢で転動するため、周縁の軌跡は規制段部169に沿って描かれることになる。すなわち、メダルは、平面視円弧状に形成される所定幅の転動路面161aから逸脱することなく、転動路面161aに沿ってスムースに、かつ安定して誘導される。
また、図9(b)中1点鎖線で示すように、メダルが流出口142から起立姿勢で流出した時点で、何らかの要因(例えばメダルに付着したゴミ等によりメダル流下通路133内で発生した摩擦抵抗や、遊技者による1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7等の操作あるいは身体の接触等により生じる前面扉1bの振動等)により、通常速度よりも失速している、または失速してしまった場合は、右側への流下よりも前側への流下が促進され、転動路面161aに沿って転動せずに、規制段部169側に向けて急速に誘導されることになるが、前述したように規制段部169は乗り上がり可能な高さに形成されていることから、失速したメダルは規制段部169を乗り上がって補助転動路面161bに乗り移り、方向変換部168をショートカットするように該補助転動路面161b上を転動し、最終的に転動路面161aの下流部175付近で復帰して落下することができる。
このように、転動路面161aにおける方向変換168の内側には、乗り上がり可能な規制段部169を介して、平坦状の補助転動路面161bが形成されているため、メダルが失速した場合でも、メダルを転動によりホッパータンク134aに向けて誘導することができる。
以上説明してきたように、本発明の実施例としてのメダルシュート160にあっては、流出口142から起立姿勢で流出して、転動路面161aにおけるメダルの流入路部である上流部175を転動するメダルは、転動路面161aが規制段部169側に向けて下方に傾斜していることにより、該規制段部169側、つまり誘導立面163から離れる方向にスムースに誘導されて転動するため、メダルが誘導立面163に強く接触して摩擦抵抗が大きくなって失速することが防止されるばかりか、メダルの周縁上部が誘導立面163側に傾倒して摺接する傾倒姿勢となった場合には、メダルの周縁下部が規制段部169によりガイドされて横滑りが規制され、これにより傾倒姿勢が維持された状態で規制段部169に沿って転動するため、メダルが安定した姿勢で誘導されるとともに、該傾倒姿勢で維持されることでメダルが倒伏しにくくなるため、メダルを確実に、かつスムースにホッパータンク134aに誘導することができる。
また、規制段部169は、前述したように高さが約1mm程度の段差とされており、転動するメダルが、転動路面161aから補助転動路面161bに乗り上がり可能に、かつ、補助転動路面161bから転動路面161aに復帰可能に構成されていることで、例えば上流部175付近でメダルが失速した場合等においては、転動路面161aから逸脱しても、補助転動路面161b上を転動して下流部176側に向けて誘導される。
さらに、規制段部169は、メダルが内側の補助転動路面161b側に向けて倒伏可能な高さであるため、例えば上流部175においてメダルが失速して該メダルが補助転動路面161b側に向けて倒伏してしまった場合でも、ホッパータンク134a側に向けて下方に傾斜する補助転動路面161bにより、メダルは倒伏したまま滑り落ちる(流下する)ことができる。よって、上流部175付近において、メダルが規制段部169に傾倒した状態で滞留してしまうことがないので、メダル詰まりの発生が効果的に防止される。
このように規制段部169は、傾倒したメダルの周縁下部と当接して横滑りを規制して該傾倒姿勢を維持可能であるとともに、メダルが転動路面161aから補助転動路面161bに乗り上がり可能に、かつ、補助転動路面161bから転動路面161aに復帰可能に構成されていることが好ましい。尚、本実施例では、段差は約1mm以下に形成されているが、上述のようにメダルを当接規制及び乗り上がり可能な高さであれば、1mm以上であってもよい。但し、規制段部169は、メダルの周縁下部に当接して横滑りを規制して該傾倒姿勢を維持可能な段差であり、ガイド板164のように、メダルの側面や該メダルの上部を係止可能な高さ以下であることが好ましく、少なくともメダルの半径L2以下の高さであることが好ましい。
また、転動路面161aの内側に、規制段部169の上部から連設される平面視略扇状の補助転動路面161bが連設されているとともに、規制段部169も極めて高さが低いことで、転動路面161aは所定深さを有する細凹溝状(U字状)の通路ではなく、上方に広く開放されているため、転動路面161a及び補助転動路面161b上に付着するゴミ等の清掃を容易に行うことができる。
また、転動路面161aは単一の板材である1枚の底板162にて構成されるとともに、誘導立面163は単一の板材であるガイド板164にて構成されることで、転動路面161aや誘導立面163に、部材同士の継ぎ目等による段差を生じさせることなく、平坦状に形成することができるので、メダルとの摩擦抵抗によるメダルの失速を極力低減できる。
尚、本実施例では、転動路面161aと誘導立面163とは、1枚の金属板を屈曲及び湾曲形成することにより形成されていたが、それぞれの面を、転動方向に向けて平坦状に形成できれば、例えば転動路面161aを構成する底板162と誘導立面163を構成するガイド板164がそれぞれ別個の板材にて構成されていてもよい。
また、メダルシュート160は、使用状態において、誘導立面163が鉛直方向を向くように配設されることで、傾倒姿勢となったメダルとの摺接時における安定性が向上する。
また、転動路面161aの幅寸法L1は、メダルの直径L3及び半径L2よりも小寸(L1<L2,L3)であるため、メダルが傾倒姿勢となった際に、確実にメダルの周縁上部が誘導立面163に接触し、かつ該メダルの周縁下部が規制段部169に当接して横滑りが規制されるため、メダルの倒伏が防止される。特に転動路面161aの幅寸法L1が、メダルの半径L2よりも小寸とすることで、メダルがより起立した姿勢で維持されるため、誘導立面163との摩擦抵抗が効果的に低減される。
また、メダルシュート160は、転動路面161aの内側に、誘導立面163とは別個に立設される補助誘導立面165をさらに備え、誘導立面163と補助誘導立面165との間の幅寸法L5は、メダルの直径L3よりも大寸であるため(L5>L3)、仮にメダルが流下途中で倒伏しても、補助誘導立面165により確実にホッパータンク134aに誘導できる。
以上、本発明の実施例を説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
例えば、前記実施例では、底板162は、正面から見て左側から右側に向けて下方に傾斜するように配設されていたが、転動路面161aの上流部175において、後側から前側に向けて下方に傾斜するように配設されていれば、左右方向にほぼ水平に配設されていてもよい。
また、前記実施例では、底板162の上面における転動路面161aの内側に補助転動路面161bが形成されていたが、転動路面161aにおける誘導立面163と反対側の側縁に規制段部169が形成されていれば、補助転動路面161bは必ずしも形成されていなくてもよい。
また、前記実施例では、メダルシュート160は投入メダルセレクタ131を正面から見て右側に配設されていたが、流出口142が左側面に形成されている場合には、左側に配設されていてもよい。すなわち、投入メダルセレクタ131における流出口142の形成位置に対応して設けられていればよい。
また、前記実施例では、ガイド板164の内面に形成される誘導立面163は、軸線Pに対して平行に立設され、かつ、転動路面161aの上流部との内角θ1が90度以上となるとともに、その高さL4がメダルの直径L3よりも大寸となるように形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、メダルを摺接誘導可能に立設されていれば、例えば図11に示される変形例としての誘導立面163’のように、軸線Pに対して傾斜して立設され、かつ、転動路面161aの上流部との内角θ1が90度または90度未満となるとともに、その高さL4がメダルの直径L3よりも小寸となるように形成されていてもよい。
また、前記実施例では、補助転動路面161bよりも転動路面161aが低位置に凹設されていたが、図12に示すように、転動路面161a及び補助転動路面161bをそれぞれ同一平面上に構成していてもよい。さらにこの場合、規制段部169を、転動路面161aと補助転動路面161bとの境界線上に延設した凸条180の誘導立面163との対向側面等にて形成してもよく、この場合でも、凸条180の高さを約1mm以下とすれば、規制段部169によりメダルを傾倒姿勢に維持することができる。
また、前記実施例では、転動路面161aが、平面視略円弧状に形成され、メダルの転動方向を変換させる方向変換部168を有していたが、本発明にあっては、転動路面161aは必ずしも円弧状の方向変換部168を有していなくてもよく、例えば図13に示される本発明の変形例としてのメダルシュート160’ように、流出口142から起立姿勢で流出したメダルを、平面視直線状に形成された転動路面161a’にてホッパータンク134aに向けて直線的に誘導するものも含まれる。
尚、前記実施例では、上下方向を向く誘導立面163は所定の曲率を有していたため、メダルの周縁上部(周縁の上端または周縁上部の前後の2箇所)が誘導立面163に当接するようになっていたが、誘導立面163は、メダルの上部(中心位置よりも上方の部分)を摺接により誘導しうるものであればよく、例えば特に図示はしないが、直線状をなすとともに、メダルの直径よりも低い誘導立面とした場合、該誘導立面はメダルの表裏面上部を摺接により誘導するものとなる。