JP4897586B2 - 形状測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は,半導体ウェハ等の被測定物の厚みを非接触で測定する形状測定装置に関するものである。
薄板状の半導体ウェハ(被測定物の一例,以下,ウェハという)の形状測定において,干渉計を用いた非接触型の形状測定装置が普及している。これは,2つに分岐された一方の光線を被測定物の表面に反射させた反射光である測定光と,もう一方の光線を所定の参照面に反射させた反射光である参照光とを含む干渉光を受光し,その干渉光により形成される干渉画像から被測定物の表面形状(相対的な表面高さの分布)を求めるものである。これにより,非接触でウェハの表面形状を測定できるので,触針式の形状計で測定する場合のように,ウェハ表面に傷等を生じさせることなくその表面形状を測定できる。ウェハの形状測定では,その表面全体に渡る形状を測定する必要があるため,一般に,ウェハ周辺のエッジ部を支持(通常は3点支持)した状態で測定がなされる。
ところで,ウェハ等の被測定物の表面ほぼ全体の形状(相対的な厚みの分布)を連続的に(支持位置の変更なしに)測定するためには,その被測定物をエッジ部のみ或いはごく狭い1箇所の部分のみ(例えば,中央部のみ)で支持した状態で形状測定を行う必要がある。一方,ウェハのような薄板状(例えば,厚みが1mm未満)の被測定物をそのエッジ部のみ或いは中央部のみで支持した場合,わずかな風圧や他の機械の振動等によってウェハが振動する。この振動は,非常に高い測定精度(例えば,誤差20nm以下(10nm程度))が要求されるウェハの形状測定においては,無視できない振幅の振動となる。このようなウェハの振動を防止するため,特許文献1には,透明な剛体をウェハに近接して配置することにより,ウェハの振動を抑制する方法が示されている。しかし,この方法では,透明な剛体を光路に挿入することによって干渉光に乱れが生じるおそれがあるという問題点があった。
また,特許文献2には,光をウェハ1の主面及び主面側の参照面のそれぞれに照射するよう分光するとともに,それらの反射光である測定光及び参照光による干渉光を,プリズム等によりウェハの裏面側へ導き,その干渉光に含まれる測定光及び参照光それぞれを,再度ウェハの裏面及び裏面側の参照面それぞれへ分光し,それらの反射光による干渉光を,干渉画像を検出するための受光器に出射する形状測定装置が示されている。
特許文献2に示される発明によれば,振動によって生じる被測定物の変位分が主面側と裏面側とで相殺され,被測定物の振動の影響を受けずに高精度な厚み測定が可能となる。
特開2002−5640号公報 特開2003−329422号公報
しかしながら,特許文献2に示される発明においても,より高い測定精度が要求された場合に,干渉光を主面側から裏面側へ導く光の伝送経路(空気,プリズム,光ファイバなど)において,測定光及び参照光それぞれの経路のずれが生じないよう光学機器を高精度で調整することが手間であるという課題が生じ得る。
また,干渉光を主面側から裏面側へ導く光の伝送経路の状態(温度や湿度等)によって測定光及び参照光の位相の揺らぎが生じる場合があり,より高い測定精度が要求された場合に,そのような位相の揺らぎが測定誤差として無視できなくなるという課題も生じ得る。例えば,測定対象物の一方の面から他方の面へ波長633nmの観測光(干渉光)を長さ1mの光ファイバによって伝送する場合,その光ファイバの温度が0.1K変化するだけで,光伝播媒体の屈折率変化により,その観測光の位相が,主面側から裏面側へ伝送される間に約半波長分(約300nm)変化することになり,これが大きな測定誤差の原因となる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,被測定物の振動の影響を受けず,また,干渉光の乱れや揺らぎを生じさせることなく,被測定物の厚みを簡易に高精度で測定できる形状測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,例えば薄板状の半導体ウェハ等の被測定物の厚みを非接触で測定するために用いられ,以下の(1)〜(5)に示す各構成要素を備えた形状測定装置である。
(1)半導体レーザに対する注入電流を一定周期で所定の電流値範囲において線形変化させる注入電流変調手段。
(2)前記半導体レーザから出射される測定光を分岐させて前記被測定物の表裏相対する部位である主面の測定部位及び裏面の測定部位の各方向へ導く導光手段。
(3)前記主面の測定部位の方向へ導かれた前記測定光を第1の物体光及び第1の参照光に2分岐させて前記第1の物体光を前記主面の測定部位に照射させるとともに,前記第1の参照光を第1の参照面に照射させ,前記主面の測定部位に反射した前記第1の物体光と前記第1の参照面に反射した前記第1の参照光とを干渉させ,その干渉光のビート信号を出力する主面側の干渉計。
(4)前記裏面の測定部位の方向へ導かれた前記測定光を第2の物体光及び第2の参照光に2分岐させて前記第2の物体光を前記裏面の測定部位に照射させるとともに,前記第2の参照光を第2の参照面に照射させ,前記裏面の測定部位に反射した前記第2の物体光と前記第2の参照面に反射した前記第2の参照光とを干渉させ,その干渉光のビート信号を出力する裏面側の干渉計。
(5)前記主面側の干渉計及び前記裏面側の干渉計のそれぞれから出力される2つのビート信号に基づいて該2つのビート信号の位相差を検出し,その検出信号を前記被測定物の厚みに相当する測定値として出力する位相検波手段。
但し,前記第1の物体光の光路長L1wに対する前記第1の参照光の光路長M1wの差が,前記第2の物体光の光路長L2wに対する前記第2の参照光の光路長M2wの差に対して絶対値が略等しく正負が逆である。即ち,本発明に係る形状測定装置は,(L1w−M1w)≒−(L2w−M2w)かつ|L1w−M1w|>0となるように,前記参照面が形成された参照板及び前記被測定物,並びに前記測定光を分岐,導光する光学機器のそれぞれを支持する支持手段を備えている。なお,各光路長L1w,M1w,L2w,M2wの関係は,前記被測定物の表面形状(相対的な厚みの分布)及び前記被測定物の振動に起因する光路長L1w,L2wの変動分は無視したものである。
本発明に係る形状測定装置において,前記注入電流変調手段は,レベル(電流値)がノコギリ波状に変化する電流を前記半導体レーザに対して注入(供給)する(後に説明する図2参照)。その電流値の変化範囲を前記半導体レーザに応じた特定の範囲に設定すると,その注入電流の線形変化(一定の変化率での変化)に同期して,前記半導体レーザの発振周波数(出力光の周波数)もほぼ線形に変化する(後に説明する図3参照)。そのため,前記第1及び第2の物体光の光路長L1w,L2wに対する前記第1及び第2の参照光の光路長M1w,M2wに差を設ければ,それらが重なって干渉光を形成する段階において,物体光と参照光との間でわずかな周波数差が生じる。従って,その干渉光のビート信号は,周知のヘテロダイン干渉計の出力信号(ビート信号)と同様に取り扱うことができる。即ち,周知のヘテロダイン干渉計の原理により,前記主面側の干渉計のビート信号は,前記被測定物における前記主面の測定部位の表面位置(高さ)に応じてその位相が定まる。同様に,前記裏面の測定部位の表面位置(高さ)に応じて,前記裏面側の干渉計のビート信号の位相が定まる。
ここで,前記主面側の干渉計のビート信号の位相には,前記主面の測定部位自体の形状の成分と,その被測定物の振動による変位量の成分とが反映される。同様に,前記裏面側の干渉計のビート信号の位相には,前記裏面の測定部位自体の形状の成分と,その被測定物の振動による変位量の成分とが反映される。
また,前記主面側の干渉計と前記裏面側の干渉計とでは,物体光の光路長と参照光の光路長との大小関係が逆になっている。
このため,前記位相検波手段により検出される位相差は,後述するように前記被測定物の振動による変位量ΔNの成分が相殺され,前記主面の測定部位自体の形状の成分及び前記裏面の測定部位自体の形状の成分のみが反映された変位量,即ち,前記被測定物における前記主面の測定部位及び前記裏面の測定部位の位置の厚みに相当する測定値となる。
しかも,本発明においては,観測光(干渉光)を主面側から裏面側へ伝送する必要がないため,観測光を主面側から裏面側へ導く光の伝送経路の状態(温度や湿度等)によって生じる観測光の揺らぎが測定精度の悪化を招くという問題も生じない。
ところで,前記測定光について,前記半導体レーザから前記導光手段により前記主面及び前記裏面のそれぞれへ導かれる経路において揺らぎが生じた場合,その揺らぎの影響が前記位相検波手段により検出される位相差に反映され,それが測定誤差となり得る。
そこで,本発明に係る形状測定装置が,さらに次の(6)〜(11)に示す各構成要素を備えることが考えられる。
(6)前記主面の測定部位の方向へ導かれた前記測定光を前記主面側の干渉計に入力される主光とそれ以外の副光とに分岐させる主面側の主副分光手段。
(7)前記主面側の主副分光手段により分岐された前記副光を受光してその強度信号を出力する主面側の副光強度検出手段。
(8)前記主面側の干渉計から出力されるビート信号を,前記主面側の副光強度検出手段により検出された前記副光の強度信号に基づいて補正する主面側のビート信号補正手段。
(9)前記裏面の測定部位の方向へ導かれた前記測定光を前記裏面側の干渉計に入力される主光とそれ以外の副光とに分岐させる裏面側の主副分光手段。
(10)前記裏面側の主副分光手段により分岐された前記副光を受光してその強度信号を出力する裏面側の副光強度検出手段。
(11)前記裏面側の干渉計から出力されるビート信号を,前記裏面側の副光強度検出手段により検出された前記副光の強度信号に基づいて補正する裏面側のビート信号補正手段。
但し,この場合,前記位相検波手段が,前記主面側のビート信号補正手段及び前記裏面側のビート信号補正手段による補正後の2つのビート信号の位相差を検出する。
前記(6)〜(11)に示される各構成要素をさらに備えた形状測定装置においては,前記測定光について,前記主面及び前記裏面のそれぞれへ導かれる経路において揺らぎが生じた場合,その揺らぎの成分が,前記主面側のビート信号補正手段及び前記裏面側のビート信号補正手段によって除去(補正)される。従って,その補正後のビート信号に基づいて前記第1の位相検波手段により検出される位相差は,前記揺らぎの影響が除去された測定値となる。
なお,前記主面側のビート信号補正手段及び前記裏面側のビート信号補正手段の具体例としては,前記ビート信号を前記副光の強度信号により除算するものが考えられる。
また,本発明に係る形状測定装置が,さらに,次の(12)に示される構成要素を備えることも考えられる。
(12)複数箇所の前記主面の測定部位及び前記裏面の測定部位について前記位相検波手段により得られた前記測定値に基づいて,前記被測定物の厚み分布(基準位置の厚みに対する相対的な厚みの分布)を算出してその算出値を出力する厚み分布算出手段。
なお,本発明に係る形状測定装置が,前記厚み分布算出手段を備える外部装置と接続され,本発明に係る形状測定装置がその外部装置に対して前記測定値を出力することも考えられる。
本発明によれば,前記主面の測定部位自体の形状の成分及び前記裏面の測定部位自体の形状の成分のみが反映された前記被測定物の厚みに相当する測定値が得られる。即ち,ヘテロダイン干渉計とみなせる前記主面側の干渉計と前記裏面側の干渉計とにおいて,物体光と参照光との対応関係が逆になっているため,その測定値において,被測定物の振動による変位量の成分は相殺されている。しかも,本発明に係る形状測定装置は,干渉光(観測光)を被測定物の主面から裏面へ伝播させないため,その伝播経路における光路調整(光学機器の調整)を必要とせず,また,その伝播経路において干渉光の揺らぎが生じることもない。さらに,光路に光学系以外のものが挿入されないので,干渉光に乱れを生じさせることもない。
また,本発明においては,光源から被測定物の近傍(主面側及び裏面側)まで導く測定光が,一般的なヘテロダイン干渉計のように周波数の異なる2つの測定光(物体光と参照光)ではなく1つの単波長光である。そのため,本発明においては,測定光を被測定物の近傍まで導く過程において物体光と参照光とに位相のずれが生じて測定精度の悪化を招くこともない。
以上より,本発明に係る形状測定装置を用いれば,被測定物の振動の影響を受けず,また,干渉光の乱れや揺らぎを生じさせることなく,被測定物の厚みを簡易に高精度で測定できる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る形状測定装置Xの主要部の構成図,図2は形状測定装置Xにおける電流変調電源の半導体レーザに対する注入電流の変化を表すグラフ,図3は形状測定装置Xにおける半導体レーザの発振周波数の変化を表すグラフ,図4は形状測定装置Xにおいて干渉光を構成する物体光及び参照光の周波数の変化を表すグラフ,図5は形状測定装置Xによるウェーハの形状測定の状況を模式的に表した図,図6は形状測定装置Xに採用し得る斜入射式の干渉計の一例を表す構成図である。
以下,図1に示す構成図を参照しながら,本発明の実施形態に係る形状測定装置Xについて説明する。
形状測定装置Xは,例えば半導体ウェハなどの薄板状の被測定物1の厚みを非接触で測定するために用いられる測定装置である。
図1に示すように,形状測定装置Xは,半導体レーザ2と,ビームスプリッタ3(以下,BS3と記載する)と,複数のミラーa11〜a13,b11,b12と,A面側干渉計a20及びB面側干渉計b20と,A面側補正信号検出器a30及びB面側補正信号検出器b30と,A面側除算器a4及びB面側除算気b4と,位相検波器5と,計算機6とを備えている。
以下,便宜上,被測定物1の一方の面(図1における上側の面)をA面(前記主面に相当),これと表裏の関係にある他方の面をB面(前記裏面に相当)という。また,被測定物1の厚みの測定位置におけるA面側の表面部分をA面測定部位1a(前記主面の測定部位に相当),そのA面測定部位1aと表裏相対するB面の表面部分をB面測定部位1b(前記裏面の測定部位に相当)という。
なお,図1には示されていないが,形状測定装置Xは,被測定物1の周辺のエッジ部を支持(例えば3点支持)する支持部と,その支持部を2次元方向(被測定物1の両測定面に平行な2次元方向)に移動させることにより被測定物1を2次元方向に移動させる移動機構とを備えている。そして,形状測定装置Xは,その移動機構により被測定物1を移動させることにより,被測定物1における前記A面測定部位1a及び前記B面測定部位1bの位置を変更しつつ複数の測定部位についての測定値を得る。
前記半導体レーザ2は,所定の周波数(波長)の単波長ビーム光を測定光として出射するレーザ光源である。前記測定光の周波数は,特に限定されるものではないが,例えば,5×108MHz程度(可視光のレーザ光源を採用した場合の例)である。
図2に示すグラフは,前記電流変調電源10の前記半導体レーザ2に対する注入電流I(t)(供給電流)の変化を表す。また,図3に示すグラフは,前記半導体レーザ2の発振周波数の変化を表す。
図2に示すように,前記電流変調電源10は,前記半導体レーザ2に対する注入電流(供給電流)を一定周期(1/fm(秒))で予め定められた電流値範囲IL〜IHにおいて線形変化(一定の変化率で変化)させる電源である(前記注入電流変調手段の一例)。即ち,前記電流変調電源10は,レベル(電流値)がノコギリ波状に変化する電流を前記半導体レーザ2に対して注入(供給)する。その電流値の変化範囲IL〜IHを前記半導体レーザ2に応じた特定の範囲に設定すると,図3に示すように,その注入電流I(t)の線形変化に応じて,前記半導体レーザ2の発振周波数f(t)(出力光の周波数)も線形変化するため,注入電流I(t)と同様に発振周波数f(t)がノコギリ状に変化する。
なお,前記半導体レーザ2において,注入電流I(t)の線形変化に応じてその発振周波数f(t)が線形変化する電流値の範囲IL〜IHは,採用する半導体レーザの種類ごとに実験的に求める。
前記BS3は,半導体レーザ2から出射される測定光を2分岐させる。以下,前記BS3により2分岐された各測定光を第1測定光P1及び第2測定光P2という。そして,前記BS3により分岐された一方の前記第1測定光P1は,3つのミラーa11,a12,a13により,被測定物1の前記A面測定部位1aの方向へ導かれる。また,BS3により分岐された他方の前記第2測定光P2は,2つのミラーb11,b12により,被測定物1の前記B面測定部位1bの方向へ導かれる。なお,前記BS3及び各ミラーa11〜a13,b11,b12が,前記導光手段の一例である。
ここで,前記第1測定光P1及び前記第2測定光P2を前記A面測定部位1a及び前記B面測定部位1bのそれぞれへ導く光学機器としては,ミラーの他,光ファイバ等も考えられる。
前記A面側干渉計a20(前記主面側の干渉計の一例)は,図1に示すように,偏光ビームスプリッタa21(以下,A面側PBS(a21)という),2つの4分の1波長板a22及びa23,A面側参照板a24,偏光板a25(以下,A面側偏光板という)及び光検出器a26(以下,A面側第1光検出器a26という)を備えている。一方の4分の1波長板a22は,前記A面側PBS(a21)と前記A面測定部位1aとの間に配置され,他方の4分の1波長板a23は,前記A面側PBS(a21)と前記A面側参照板a24との間に配置されている。
前記A面側PBS(a21)は,ミラーa11〜a13によって前記A面測定部位1aの方向へ導かれた第1測定光P1を2分岐させ,その一方を物体光(以下,第1物体光という)として前記A面測定部位1aに対してほぼ垂直に照射させるとともに,他方を参照光(以下,第1参照光という)として前記A面側参照板a24の表面(前記第1の参照面に相当)に照射させる。このとき,前記第1測定光P1は,前記A面側PBS(a21)に対して45°斜め偏光状態で入射し,そのA面側PBS(a21)によって前記A面測定部位1aに向かうP偏光(前記第1物体光)と,前記A面参照板a24に向かうS偏光(前記第1参照光)とに分岐される。
ここで,4分の1波長板a22の存在により,前記A面側PBS(a21)から前記A面測定部位1a側へ出射される前記第1物体光の偏光の状態が変化し(P偏光から円偏光へ),また,前記A面測定部位1aに反射して前記A面側PBS(a21)に入射される前記第1物体光の偏光の状態が変化する(円偏光からS偏光へ)。同様に,4分の1波長板a23の存在により,前記A面側PBS(a21)から前記A面測参照板a24側へ出射される前記第1参照光の偏光の状態が変化し(S偏光から円偏光へ),また,前記A面測参照板a24に反射して前記A面側PBS(a21)に入射される前記第1参照光の偏光の状態が変化する(円偏光からP偏光へ)。
これにより,前記A面側PBS(a21)は,前記A面測定部位1aに反射した前記第1物体光と,前記A面側参照板a24に反射した前記第1参照光との両方を重ねて前記A面側第1光検出器a26の方向へ導く。
前記A面側偏光板a25は,前記A面側PBS(a21)と前記A面側第1光検出器a26との間において,所定方向(物体光及び参照光それぞれの偏波面の方向の中間方向)の偏波面の光のみを透過させることにより,前記第1物体光と前記第1参照光とを干渉させ,その干渉光(以下,A面干渉光という)を前記A面側第1光検出器a26に入射させる。
前記A面側第1光検出器a26は,前記A面干渉光を受光して光電変換を行うことにより,前記A面干渉光の強度信号(電気信号)であるA面側ビート信号Sig1を出力する。
また,前記B面側干渉計b20(前記裏面側の干渉計の一例)も,前記A面側干渉計a20と同様に,偏光ビームスプリッタb21(以下,B面側PBS(b21)という),2つの4分の1波長板b22及びb23,B面側参照板b24,偏光板b25(以下,B面側偏光板という)及び光検出器b26(以下,B面側第1光検出器b26という)を備えている。一方の4分の1波長板b22は,前記B面側PBS(b21)と前記B面測定部位1bとの間に配置され,他方の4分の1波長板b23は,前記B面側PBS(b21)と前記B面側参照板b24との間に配置されている。
前記B面側PBS(b21)は,ミラーb11及びb12によって前記B面測定部位1bの方向へ導かれた第2測定光P2を2分岐させ,その一方を物体光(以下,第2物体光という)として前記B面測定部位1bに対してほぼ垂直に照射させるとともに,他方を参照光(以下,第2参照光という)として前記B面側参照板b24の表面(前記第2の参照面に相当)に照射させる。このとき,前記第2測定光P2は,前記B面側PBS(b21)に対して45°斜め偏光状態で入射し,そのB面側PBS(b21)によって前記B面測定部位1bに向かうP偏光(前記第2物体光)と,前記B面参照板b24に向かうS偏光(前記第2参照光)とに分岐される。
ここで,4分の1波長板b22の存在により,前記B面側PBS(b21)から前記B面測定部位1b側へ出射される前記第2物体光の偏光の状態が変化し(P偏光から円偏光へ),また,前記B面測定部位1bに反射して前記B面側PBS(b21)に入射される前記第2物体光の偏光の状態が変化する(円偏光からS偏光へ)。同様に,4分の1波長板b23の存在により,前記B面側PBS(b21)から前記B面測参照板b24側へ出射される前記第1参照光の偏光の状態が変化し(S偏光から円偏光へ),また,前記B面測参照板b24に反射して前記B面側PBS(b21)に入射される前記第2参照光の偏光の状態が変化する(円偏光からP偏光へ)。
これにより,前記B面側PBS(b21)は,前記B面測定部位1bに反射した前記第2物体光と,前記B面側参照板b24に反射した前記第2参照光との両方を重ねて前記B面側第1光検出器b26の方向へ導く。
前記B面側偏光板b25は,前記B面側PBS(b21)と前記B面側第1光検出器b26との間において,所定方向(物体光及び参照光それぞれの偏波面の方向の中間方向)の偏波面の光のみを透過させることにより,前記第2物体光と前記第2参照光とを干渉させ,その干渉光(以下,B面干渉光という)を前記B面側第1光検出器b26に入射させる。
前記B面側第1光検出器b26は,前記B面干渉光を受光して光電変換を行うことにより,前記B面干渉光の強度信号(電気信号)であるB面側ビート信号Sig2を出力する。
また,形状測定装置Xにおいて,前記A面側干渉計a20における前記第1物体光の光路長L1wに対する前記第1参照光の光路長M1wの差は,前記B面側干渉計b20における前記第2物体光の光路長L2wに対する前記第2参照光の光路長M2wの差に対し,絶対値が等しく,かつ,正負が逆である。即ち,形状測定装置Xは,(L1w−M1w)=−(L2w−M2w)かつ|L1w−M1w|>0となるように,各参照板a24,b24及び前記被測定物1,並びに前記測定光P1,P2を分岐,導光する各PBSa21,b21のそれぞれを支持する不図示の支持機構を備えている。なお,各光路長L1w,M1w,L2w,M2wの関係は,前記被測定物1の表面形状(相対的な厚みの分布)及び前記被測定物1の振動に起因する物体光の光路長L1w,L2wの変動分は無視したものである。
図4は,干渉光を構成する物体光及び参照光の周波数の変化を表すグラフである。
前述したように,前記半導体レーザ2の発振周波数,即ち測定光P1,P2の周波数f(t)は,図3に示したように周期的に線形変化する。そのため,各物体光の光路長L1w,L2wに対する各参照光の光路長M1w,M2wに差を設ければ,図4に示すように,物体光及び参照光が重なって干渉光を形成する段階(前記A面側第1光検出器a26及び前記B面側第1光検出器b26それぞれに入射される段階)において,物体光の周波数fb(t)と参照光の周波数fr(t)とにわずかな周波数差Δfが生じる。従って,その干渉光のビート信号Sig1,Sig2は,周知のヘテロダイン干渉計の出力信号(ビート信号)と同様に取り扱うことができる。即ち,周知のヘテロダイン干渉計の原理により,前記A面側干渉計a20のビート信号Sig1は,前記被測定物1における前記A面側測定部位1aの表面高さに応じてその位相が定まる。同様に,前記B面測定部位1bの表面高さに応じて,前記裏面側干渉計b20のビート信号Sig2の位相が定まる。
例えば,物体光の光路長L1w,L2wに対する参照光の光路長M1w,M2wの差は,その光路長の差によって生じる物体光の周波数fb(t)と参照光の周波数fr(t)との差Δfが数十kHz程度となるように設定する。
ところで,周知のヘテロダイン干渉計の原理により,前記A面側ビート信号Sig1の位相には,前記A面側測定部位1a自体の形状(凹凸)の成分と,その被測定物1の振動による変位量(ΔN)の成分とが反映される。同様に,前記裏面側ビート信号Sig2の位相には,前記裏面測定部位1b自体の形状(凹凸)の成分と,その被測定物1の振動による変位量(−ΔN)の成分とが反映される。
また,前述したように,前記A面側干渉計a20と前記B面側干渉計b20とでは,物体光の光路長L1w,L2wと参照光の光路長M1w,M2wの関係が逆になっている。
このため,両ビート信号Sig1,Sig2の位相差は,前記被測定物1の振動による変位量の成分が相殺され,前記A面測定部位1a自体の形状の成分及び前記B面測定部位1b自体の形状の成分のみが反映された変位量,即ち,前記被測定物1における前記A面測定部位1a及び前記B面測定部位1bの位置の厚みに相当する測定値となる。
しかも,本発明においては,観測光(干渉光)をA面側からB面側へ伝送する必要がないため,観測光をA面側からB面側へ導く光の伝送経路の状態(温度や湿度等)によって生じる観測光の揺らぎが測定精度の悪化を招くという問題も生じない。
なお,光路長L1w,L2w,M1w,M2wを定める光学機器は,位相検波器5により,被測定物1の両面それぞれで生じる周波数差Δfを検波できる程度の精度で位置決めされていればよく,その位置決めの要求精度は位相検波器5の特性等により異なる。
以上より,形状測定装置Xにおいて,前記位相検波器5(前記位相検波手段の一例)により,前記A面側干渉計a20及び前記B面側干渉計b20のそれぞれから出力される2つのビート信号Sig1,Sig2の位相差ΔΦ’を検出し,その検出信号を被測定物1の厚みに相当する測定値として出力することが考えられる。これにより,被測定物1の振動の影響を受けずに,被測定物1の厚みを簡易に高精度で測定できる。
しかしながら,2つのビート信号Sig1,Sig2の位相差ΔΦ’を前記位相検波器5によって直接的に検出した場合,前記半導体レーザ2に対する注入電流の変調によって測定光の強度も周期的に変化し,その変化が測定誤差となり得る。さらに,測定光P1,P2が前記半導体レーザ2から被測定物1のA面及びB面のそれぞれへ導かれる経路においてその測定光P1,P2に揺らぎが生じると,その揺らぎの影響が前記位相検波器5により検出される位相差ΔΦ’に反映され,それも測定誤差となり得る。
そこで,形状測定装置Xは,前記注入電流の変調及び測定光P1,P2に生じ得る揺らぎに起因する強度変化の影響を除去するため,前記A面側補正信号検出器a30,前記A面側除算器a4,前記B面側補正信号検出器b30及び前記B面側除算器b4を備えている。
前記A面側補正信号検出器a30は,図1に示すように,ビームスプリッタa31(以下,A面側BS(a31)という)及び光検出器a33(以下,A面側第2光検出器a33という)を備えている。
前記A面側BS(a31)は,前記A面測定部位1aの方向へ導かれた前記第1測定光P1を,前記A面側干渉計a20に入力される直前の位置において,そのA面側干渉計a20に入力される測定光(以下,主光という)と,それ以外の測定光(以下,副光という)とに分岐させる(前記主面側の主副分光手段の一例)。
前記A面側第2光検出器a33は,前記A面側BS(a31)により分岐された前記副光(前記第1測定光P1の一部)を受光して光電変換を行うことにより,その副光の強度信号Ref1(以下,A面側補正用信号という)を出力する(前記主面側の副光強度検出手段の一例)。
そして,前記A面側除算器a4は,前記A面側干渉計a20から出力される前記A面側ビート信号Sig1を前記A面側補正用信号Ref1によって除算することにより,前記A面側ビート信号Sig1を補正したビート信号Sig1’(以下,A面側補正後ビート信号という)を出力する(前記主面側のビート信号補正手段の一例)。
また,前記B面側補正信号検出器b30及び前記B面側除算器b4は,被測定物1のB面側において,前記A面側補正信号検出器a30及び前記A面側除算器a4と同様の構成を備えるものである。
即ち,前記B面側補正信号検出器b30は,図1に示すように,ビームスプリッタb31(以下,B面側BS(b31)という)及び光検出器b33(以下,B面側第2光検出器b33という)を備えている。
前記B面側BS(b31)は,前記B面測定部位1bの方向へ導かれた前記第2測定光P2を,前記B面側干渉計b20に入力される直前の位置において,そのB面側干渉計b20に入力される測定光(前記主光)と,それ以外の測定光(前記副光)とに分岐させる(前記裏面側の主副分光手段の一例)。
前記B面側第2光検出器b33は,前記B面側BS(b31)により分岐された前記副光(前記第2測定光P2の一部)を受光して光電変換を行うことにより,その副光の強度信号Ref2(以下,B面側補正用信号という)を出力する(前記裏面側の副光強度検出手段の一例)。
さらに,前記B面側除算器b4は,前記B面側干渉計b20から出力される前記B面側ビート信号Sig2を前記B面側補正用信号Ref2によって除算することにより,前記B面側ビート信号Sig2を補正したビート信号Sig2’(以下,B面側補正後ビート信号という)を出力する(前記裏面側のビート信号補正手段の一例)。
以上のようにして補正された前記A面側補正後ビート信号Sig1’及び前記B面側補正後ビート信号Sig2’は,前記半導体レーザ2に対する注入電流の変調に起因する測定光P,P2の強度変化の影響が除去されている。さらに,前記A面側補正後ビート信号Sig1’及び前記B面側補正後ビート信号Sig2’は,測定光P1,P2が前記A面及び前記B面それぞれへ導かれる経路においてそのその測定光P1,P2に揺らぎが生じた場合でも,その揺らぎの成分が除去(補正)された信号となる。
そして,前記位相検波器5(前記位相検波手段に相当)は,前記A面側補正後ビート信号Sig1’及び前記B面側補正後ビート信号Sig2’の位相差ΔΦを検出し,その検出信号(電気信号)を出力するものである。例えば,前記位相検波器5として,ロックインアンプを採用することができる。ここで,前記位相検波器5の出力信号の値(位相差ΔΦ)は,被測定物1における前記A面測定部位1aの表面位置と前記B面測定部位1bの表面位置との差,即ち,被測定物1における両測定部位1a,1bの位置の厚みに相当する測定値である。
ところで,図2に示すように,前記半導体レーザ2に対する注入電流が周期的に不連続(非線形)に変化するため(図2におけるQ1の部分),図4に示すように,物体光の周波数fb(t)及び参照光の周波数fr(t)の大小関係が逆転する期間(図4に示すQ2の期間)が周期的に生じる。
そこで,前記位相検波器5は,例えば,前記電流変調電源10から注入電流変調の同期信号を入力し,その同期信号に基づいて補正後のビート信号Sig1’,Sig2’の検波タイミングを制御すること等により,前記周波数の逆転期間Q2を除いたタイミングで位相差検出を行う。なお,前記周波数の逆転期間Q2が全期間に占める比率はごく小さいため,前記周波数の逆転期間Q2を含めてビート信号の位相差検出を行っても,ヘテロダイン干渉計の原理に基づく形状測定への影響は小さい。
また,前記計算機6は,不図示のCPU,ROM,RAM,位相差ΔΦの信号を入力する信号入力インターフェース等を備え,所定のプログラムを実行することにより各種の演算を行うものである。
形状測定装置Xにおいては,前記計算機6は,前記位相検波器5から出力される測定値である位相差ΔΦに基づいて,被測定物1における前記A面測定部位1a及び前記B面測定部位1bの位置の厚みを算出し,その算出値を出力する(前記第2の厚み算出手段の一例)。
複数箇所の前記A面測定部位1a及び前記B面測定部位1bについて前記位相検波器5から出力される測定値である位相差ΔΦに基づいて,被測定物1の形状(厚み分布)を算出し,その算出値を出力する(前記厚み分布算出手段の一例)。なお,算出値の出力とは,例えば,前記計算機6が備える記憶部(ハードディスク等)へ書き込むこと,所定の通信インターフェースを通じて外部装置へ送信すること,又は液晶表示装置等の所定の表示部に算出値の情報を表示させること等を意味する。
次に,数式を用いて,形状測定装置Xの測定原理について説明する。
まず,数式で用いられる符号について説明する。
L1:A面側PBS(a21)から基準となるA面測定部位1aまでの物体光の光路長。
L2:B面側PBS(b21)から基準となるB面測定部位1bまでの物体光の光路長。
M1:A面側PBS(a21)からA面側参照板a24表面までの参照光の光路長。
M2:B面側PBS(b21)からB面側参照板b24表面までの参照光の光路長。
Δd:A面側における物体光の光路長L1に対する参照光の光路長M1の差
ΔL1:A面測定部位1aの形状に基づく表面変位量(表面高さ)。
ΔL2:B面測定部位1bの形状に基づく表面変位量(表面高さ)。
ΔN:被測定物1の振動による変位量。
C :測定光P1,P2の進行速度[m/s]
fm:半導体レーザに対する注入電流の変調周波数[Hz]
Δi:半導体レーザに対する注入電流の変調幅(変化範囲)[A]
β :半導体レーザにおける注入電流の変化に対する発振周波数の変化率[Hz/A]
α :測定光P1,P2の単位時間当たりの周波数の変化率[Hz/s]
Δf:干渉光における物体光と参照光の周波数差[Hz]
ω(t):測定光P1,P2の角周波数。
Δω:物体光と参照光の光路長差Δdにより生じる測定光の角周波数の差。
λ :物体光及び参照光の波長。なお,Δω/ωの値はごく小さいので,物体光及び参照光それぞれの波長は等しいと近似する。
なお,tは時間,iは自然数の変数を表す。また,光路長L1,L2,M1,M2それぞれの2倍の長さが,前述した光路長L1w,L2w,M1w,M2wそれぞれに相当する。
まず,測定光P1,P2の単位時間当たりの周波数の変化率αは,次の(1)式により表される。
Figure 0004897586
また,物体光と参照光の周波数差Δfは,(1)式に基づく次の(2)式により表される。
Figure 0004897586
また,形状測定装置Xにおいては,前述したとおり,A面側とB面側とで物体光及び参照光の光路長の関係が逆になっているので,次の(3)式の関係が成立する。
Figure 0004897586
そして,(2)式と(3)式とに基づいて,次の(4)式が成立する。
Figure 0004897586
また,前記A面側補正後ビート信号Sig1’の強度I1は,次の(5)式により表される。
Figure 0004897586
同様に,前記B面側補正後ビート信号Sig2’の強度I2は,次の(6)式により表される。
Figure 0004897586
なお,前記A面側補正後ビート信号Sig1’及び前記B面側補正後ビート信号Sig2’のそれぞれは,前記半導体レーザ2から被測定物1のA面及びB面までの光路において測定光P1,P2にほとんど揺らぎが生じない状況において,前記半導体レーザ2に対する注入電流の変調による測定光P1,P2の強度変化がないと仮定したときの前記A面側ビート信号Sig1及び前記B面側ビート信号Sig2それぞれに相当する。
ここで,被測定物1の振動に起因する変位量ΔNは,前記A面側と前記B面側とで正負が逆となって影響し,さらに,前記A面側と前記B面側とで,干渉計における物体光及び参照光の光路長の関係が逆になっているため,この(5)式及び(6)式において,変位量ΔNの項の符号が同じとなっている。
前記(5)式及び(6)式(最終行に記載の式)において,"4π/λ"以降の項が,角周波数差Δωの周期変化の位相を決定する。そして,補正後のビート信号Sig1’,Sig2’の位相差ΔΦは,次の(7)式により表される。
Figure 0004897586
この(7)式において,被測定物1の厚みを表す(ΔL1−ΔL2)の項のみが変動量であり,位相差ΔΦにおいて,A面側及びB面側の相殺効果により,被測定物1の振動に起因する変位量ΔNが除去(相殺)されていることがわかる。
前記(7)式において,ΔΦは測定値であり,その他における(ΔL1−ΔL2)以外の数値は既知の不変量又は不変量とみなせる量である。そのため,計算機6によって測定値ΔΦを前記(7)に適用する(ΔΦの部分に代入する)計算を行うことにより,被測定物1の厚み(ΔL1−ΔL2)を算出できる。
なお,(ΔL1−ΔL2)は,被測定物1の厚みの絶対値を表すものでなく,他の測定部位の厚みに対する相対値を評価する指標(相対的な厚みを表す値)であるが,半導体ウェハ等の被測定物の形状測定においては,相対的な厚みを表す値の分布を得ることに重要な意味がある。
以上に示したように,形状測定装置Xにおいては,その測定値ΔΦにおいて,被測定物1の振動による変位量ΔNの成分が相殺され,A面測定部位1a自体の形状の成分及びB面測定部位1b自体の形状の成分のみが反映された被測定物1の厚みに相当する測定値が得られる。しかも,形状測定装置Xは,観測光(干渉光)を被測定物1のA面(主面)からB面(裏面)へ伝播させないため,その伝播経路における光路調整(光学機器の調整)を必要とせず,また,その伝播経路において干渉光の揺らぎが生じることもない。さらに,光路に光学系以外のものが挿入されないので,干渉光に乱れを生じさせることもない。
なお,被測定物1の振動により生じる変位ΔNは,測定光P1,P2の波長λに比べて十分に大きいため,もし,変位ΔNの影響が除去されないとすると,被測定物1の厚みを実質的に測定できない状態となる。
例えば,位相検波器により,前記A面側第1光検出器a26の検出信号Sig1と,前記A面側第2光検出器a33の検出信号Ref1との位相差ΔΦaを検出した場合,各測定部位における位相差ΔΦaの分布において,いわゆる位相とびが多数回生じるため,被測定物1の厚み分布を表す連続した値の分布を正確に求めることが困難となる。
図5は,形状測定装置Xと被測定物の一例であるウェーハ1の移動機構(不図示)とを組み合わせて,ウェーハ1の表面ほぼ全域の表面形状(厚み分布)を測定する状況を模式的に表した図である。
図5に示す例では,形状測定装置Xを固定し,ウェーハ1の中心部1xを例えば吸引式支持機構等の支持部により支持する。さらに,その支持部をウェーハ1の表面にほぼ直交する回転軸R1を中心に回転させる回転機構及びその支持部を前記回転軸R1に直行する方向R2(即ち,前記回転軸R1の方向から見てウェーハ1の半径方向)に直線移動させる直線移動機構により,測定部位1a,1bの位置をウェーハ1の表面ほぼ全域に渡って変化させる。
そして,形状測定装置Xは,測定部位の位置が移動されるごとに,前記位相検波器5によって位相差ΔΦを検出するとともに,前記計算機6により,(7)式に基づいて各測定部位の厚みを算出し,最初の測定部位の厚みに対するその他の測定部位それぞれの厚みの差をその記憶部に記録する。このようにして記録された厚みの相対値(差)の分布がウェーハ1の厚さ形状を表す。
なお,図5に示す例の他,被測定物1を移動可能に支持する(被測定物1を移動させて位置決めする)移動機構は,例えば,被測定物1を二次元方向(X軸方向及びY軸方向)に移動させる機構なども考えられる。
ところで,図1に示した形状測定装置XにおけるA面側干渉計a20及びB面側干渉計b20は,被測定物1の表面(A面,B面)に対してほぼ垂直に物体光を入射させるものである。
これに対し,形状測定装置Xが,図1に示すA面側干渉計a20及びB面側干渉計b20の代わりに,図6に示すような斜入射式の干渉計(A面側干渉計a20’及びB面側干渉計b20’)を備えることも考えられる。なお,図6において,図1に示す構成要素と同じものについては同じ符号を付している。
図6に示すA面側干渉計a20’(前記主面側の干渉計の一例)は,2つの偏光ビームスプリッタa211,a212,前記A面側参照板a24,前記A面側偏光板a25及び前記A面側第1光検出器a26を備えている。
一方の前記A面側PBS(a211)は,前記第1測定光P1を2分岐させ,その一方を前記第1物体光として前記A面測定部位1aに対して斜め入射させるとともに,他方を前記第1参照光として前記A面側参照板a24の表面に照射させる。
また,他方の前記A面側PBS(a212)は,前記A面測定部位1aに正反射した前記第1物体光と,前記A面側参照板a24に反射した前記第1参照光との両方を重ねて,前記A面側偏光板a25及び前記A面側第1光検出器a26の方向へ導く。
また,前記B面側干渉計b20’も,A面側における前記偏光ビームスプリッタa211,a212,前記A面側参照板a24,前記A面側偏光板a25及び前記A面側第1光検出器a26のそれぞれに相当する2偏光ビームスプリッタb211,b212,前記B面側参照板b24,前記B面側偏光板b25及び前記B面側第1光検出器b26を備える。
図6に示す斜入射方式の干渉計a20’,b20’は,図1に示した垂直入射方式の干渉計a20,b20に対し,偏光ビームスプリッタの数が増えるものの,物体光及び参照光の偏光方向を調整するための波長板(前記4分の1波長板a22,a23,b22,b23)が不要となる。
なお,いずれの干渉計a20,b20,a20’,b20’においても,測定光の分岐及び物体光と参照光との重ね合わせを行う光学機器として,偏光ビームスプリッタを採用しているため,測定光のほぼ全てを無駄なく観測光(干渉光)として位相検波器へ導くことができる。
また,,図1に示した形状測定装置Xにおける測定光P1,P2は,比較的スポット径の小さなビーム光である場合(測定部位が小さな点である場合)の例を示した。これに対し,本発明の実施形態において,レンズ等の光学機器により比較的スポット径の大きな平行光を測定光P1,P2とし,1回の測定によって被測定物1の一定範囲を占める面の形状(厚み)を測定することも可能である。
本発明は,半導体ウェハ等の被測定物についての形状測定装置に利用可能である。
本発明の実施形態に係る形状測定装置Xの主要部の構成図。 形状測定装置Xにおける電流変調電源の半導体レーザに対する注入電流の変化を表すグラフ。 形状測定装置Xにおける半導体レーザの発振周波数の変化を表すグラフ。 形状測定装置Xにおいて干渉光を構成する物体光及び参照光の周波数の変化を表すグラフ。 形状測定装置Xによるウェーハの形状測定の状況を模式的に表した図。 形状測定装置Xに採用し得る斜入射式の干渉計の一例を表す構成図。
符号の説明
X :本発明の実施形態に係る形状測定装置
1 :被測定物(ウェーハ)
1a:A面測定部位
1b:B面測定部位
2 :半導体レーザ
3 :ビームスプリッタ
5 :位相検波器
6 :計算機
10:電流変調電源
a11〜a13,b11,b12:ミラー
a4,b4:除算器
a20,b20,a20’,b20’:干渉計
a30,b30:補正信号検出器
P1:第1測定光
P2:第2測定光

Claims (4)

  1. 被測定物の厚みを非接触で測定するために用いられる形状測定装置であって,
    半導体レーザに対する注入電流を一定周期で所定の電流値範囲において線形変化させる注入電流変調手段と,
    前記半導体レーザから出射される測定光を分岐させて前記被測定物の表裏相対する部位である主面の測定部位及び裏面の測定部位の各方向へ導く導光手段と,
    前記主面の測定部位の方向へ導かれた前記測定光を第1の物体光及び第1の参照光に2分岐させて前記第1の物体光を前記主面の測定部位に照射させるとともに,前記第1の参照光を第1の参照面に照射させ,前記主面の測定部位に反射した前記第1の物体光と前記第1の参照面に反射した前記第1の参照光とを干渉させ,その干渉光のビート信号を出力する主面側の干渉計と,
    前記裏面の測定部位の方向へ導かれた前記測定光を第2の物体光及び第2の参照光に2分岐させて前記第2の物体光を前記裏面の測定部位に照射させるとともに,前記第2の参照光を第2の参照面に照射させ,前記裏面の測定部位に反射した前記第2の物体光と前記第2の参照面に反射した前記第2の参照光とを干渉させ,その干渉光のビート信号を出力する裏面側の干渉計と,
    前記主面側の干渉計及び前記裏面側の干渉計のそれぞれから出力される2つのビート信号に基づいて該2つのビート信号の位相差を検出し,その検出信号を前記被測定物の厚みに相当する測定値として出力する位相検波手段と,
    前記第1の物体光の光路長をL1w,前記第1の参照光の光路長をM1w,前記第2の物体光の光路長をL2w,前記第2の参照光の光路長をM2wで表したときに,
    (L1w−M1w)≒−(L2w−M2w)かつ|L1w−M1w|>0
    となるように,前記第1の参照面が形成された第1の参照板,前記第2の参照面が形成された第2の参照板,及び前記被測定物,並びに,前記主面側の干渉計及び前記裏面側の干渉計のそれぞれを支持する支持手段と,を具備することを特徴とする形状測定装置。
  2. 前記主面の測定部位の方向へ導かれた前記測定光を前記主面側の干渉計に入力される主光とそれ以外の副光とに分岐させる主面側の主副分光手段と,
    前記主面側の主副分光手段により分岐された前記副光を受光してその強度信号を出力する主面側の副光強度検出手段と,
    前記主面側の干渉計から出力されるビート信号を,前記主面側の副光強度検出手段により検出された前記副光の強度信号に基づいて補正する主面側のビート信号補正手段と,
    前記裏面の測定部位の方向へ導かれた前記測定光を前記裏面側の干渉計に入力される主光とそれ以外の副光とに分岐させる裏面側の主副分光手段と,
    前記裏面側の主副分光手段により分岐された前記副光を受光してその強度信号を出力する裏面側の副光強度検出手段と,
    前記裏面側の干渉計から出力されるビート信号を,前記裏面側の副光強度検出手段により検出された前記副光の強度信号に基づいて補正する裏面側のビート信号補正手段と,を具備し,
    前記位相検波手段が,前記主面側のビート信号補正手段及び前記裏面側のビート信号補正手段による補正後の2つのビート信号の位相差を検出してなる請求項1に記載の形状測定装置。
  3. 前記主面側のビート信号補正手段及び前記裏面側のビート信号補正手段が,前記ビート信号を前記副光の強度信号により除算するものである請求項2に記載の形状測定装置。
  4. 複数箇所の前記主面の測定部位及び前記裏面の測定部位について前記位相検波手段により得られた前記測定値に基づいて,前記被測定物の厚み分布を算出してその算出値を出力する厚み分布算出手段を具備してなる請求項1〜3のいずれかに記載の形状測定装置。
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