JP4861281B2 - ヘテロダイン干渉測定方法,ヘテロダイン干渉装置,厚み測定装置,厚み測定方法 - Google Patents

ヘテロダイン干渉測定方法,ヘテロダイン干渉装置,厚み測定装置,厚み測定方法 Download PDF

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Description

本発明は,ヘテロダイン干渉法により被測定物の特性を測定するヘテロダイン干渉測定方法,その実行に用いるヘテロダイン干渉装置及びそのヘテロダイン干渉装置により被測定物の厚みを測定する厚み測定装置及びその方法に関するものである。
被測定物の特性,例えば,表面形状(表面変位の分布)や励起光の照射(加熱)によって生じる屈折率変化などを被接触かつ高精度で測定する手法として,ヘテロダイン干渉法に基づく測定が広く採用されている。
ヘテロダイン干渉法は,僅かに周波数が異なる2つのレーザ光(測定光)の一方を物体光として被測定物の測定部位に反射させるとともに,他方を参照光として所定の基準面に反射させ,物体光と参照光との干渉光のビート信号であるビート信号に基づいて,物体光と参照光との位相差(以下,目的位相差という)を測定する手法である。通常,ヘテロダイン干渉法では,偏波面が相互に直交する2つのレーザ光が用いられる。前記目的位相差は,参照光の光路長と物体光の光路長との差を表すため,被測定物の表面形状(表面高さ分布)や,励起光の照射(加熱)による測定部位の屈折率の変化量等を高い精度で表す測定値となる。
また,ヘテロダイン干渉法では,物体光と参照光とに分かれる前に,2つのレーザ光の組を分岐させ,その一方の組を物体光及び参照光の組としてその干渉光のビート信号(以下,検出ビート信号という)を検出するとともに,その他方の組を干渉させた干渉光のビート信号(以下,参照ビート信号という)を検出し,それら2つのビート信号に基づいて,前記目的位相差が算出される。
ところで,光源から出射された周波数の異なる2つの測定光(レーザ光)を,前記参照ビート信号の検出位置から前記検出ビート信号の検出位置まで個別の経路で伝播させると,両検出位置の間で2つの測定光の伝播経路に予期せぬ変動(温度変動や光伝送媒体の位置ずれ等)が生じ,それが2つの測定光における予期せぬ位相差となって測定誤差が生じる。
一方,前記2つの測定光(レーザ光)を,前記参照ビート信号の検出位置から前記検出ビート信号の検出位置まで1本の光ファイバ(偏波面保持ファイバ)により導光した場合,その間における2つの測定光の光路長をほぼ等しくできる。しかしながら,その場合でも,光ファイバが直交方位における屈折率の差を有するため,光ファイバの位置ずれや温度変化等によって2つのレーザ光に位相差が生じ,それが測定誤差となる。
そこで,非特許文献1には,前記2つの測定光を,光源に近い位置から被測定物の測定部位に近い位置まで1本の光ファイバ(偏波面保持ファイバ)により導き,その光ファイバの後段(光進行方向における上流側)のレーザ光に基づいて,前記参照ビート信号及び前記検出ビート信号を検出するとともに,その参照ビート信号と検出ビート信号との位相差に基づいて前記目的位相差を測定(算出)する技術が示されている。これにより,前記参照ビート信号の検出位置に至るまでに生じた前記2つの測定光の位相差が相殺され,測定精度が高まる。
B.A.W.H. Knarren et al., "Validation of a single fibre-fed heterodyne laser interferometer with nanometre uncertainty", Precision Engineering 29(2005) PP.229-236
しかしながら,非特許文献1に示されるように,周波数が異なる2つの測定光を同じ経路で伝播させると,その2つの測定信号それぞれに互いの信号成分が混入する現象(いわゆるクロストークと呼ばれる現象)が生じ,また,そのクロストークに起因するノイズ成分は,前記検出ビート信号と前記参照ビート信号との位相差を検出してもその検出結果になお残存し,これが測定誤差の原因となるという問題点があった。
また,クロストークは,前記2つの測定光の光源としてゼーマンレーザが採用され,2つの測定光の分離が完全でない場合にも生じる。このため,2つの測定光を個別の経路で導光することにより,どの導光経路におけるクロストークの発生を防止しても,光源からの出射時点で既に生じているクロストーク成分による測定誤差を回避できないという問題点もあった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,周波数の異なる2つの測定光を用いるヘテロダイン干渉法により被測定物に反射させる物体光と基準面に反射させる参照光との位相差を測定するにあたり,2つの測定光の伝播経路の状態変動に起因する誤差成分と,2つの測定光のクロストークに起因する誤差成分とを除去して高精度での位相差測定を行うことができるヘテロダイン干渉測定方法,その実行に用いるヘテロダイン干渉装置及びそのヘテロダイン干渉装置により被測定物の厚みを測定する厚み測定装置並びに厚み測定方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明に係るヘテロダイン干渉装置は,周波数の異なる2つの測定光が入力され,その2つの測定光の一方を物体光として被測定物の測定部位に反射させるとともに他方を参照光として所定の基準面に反射させ,前記物体光と前記参照光とを干渉させるものであり,次の(1−1)〜(1−)に示す各構成要素を備えている。(1−1)入力された前記2つの測定光の組を第1の主測定光の組及び第1の副測定光の組に分岐させ,その第1の副測定光の組を干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第1のビート信号を検出する第1の干渉計。
(1−2)前記第1の主測定光の組を前記第1の干渉計から前記測定部位の方へ前記2つの測定光それぞれについて個別の経路で導く導光手段。
(1−3)前記導光手段により前記測定部位の方へ導かれた前記第1の主測定光の組を第2の主測定光の組及び第2の副測定光の組に分岐させ,その第2の副測定光の組を干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第2のビート信号を検出する第2の干渉計。(1−4)前記第2の主測定光の組における測定光の一方を物体光として前記測定部位に反射させるとともに他方を参照光として前記基準面に反射させ,前記物体光と前記参照光とを干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第3のビート信号を検出する第3の干渉計。
(1−5)前記物体光又は前記参照光の光路長を少なくとも3段階以上調節する光路長調節手段。
(1−6)前記第1のビート信号と前記第3のビート信号の位相差である第1の位相差を検出する第1の位相差検出手段。
(1−7)前記第1のビート信号と前記第2のビート信号の位相差である第2の位相差を検出する第2の位相差検出手段。
(1−8)前記光路長調節手段により前記物体光又は前記参照光の光路長が3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号と前記第3のビート信号と前記第1の位相差とに基づいて,前記第2のビート信号及び前記第3のビート信号に含まれる前記2つの測定光のクロストークに起因するノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数を算出するクロストーク係数算出手段。
(1−9)前記第1の位相差と前記第2の位相差と前記ノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数とに基づいて前記物体光と前記参照光との位相差を算出する目的位相差算出手段。
以上に示した構成を備えたヘテロダイン干渉装置により前記被測定物を測定すれば,その測定値である前記第1のビート信号のレベル,前記第3のビート信号のレベル,前記第1の位相差及び前記第2の位相差に基づく演算を行うことにより,前記2つの測定光の伝播経路のずれに起因する誤差成分と,前記2つの測定光のクロストークに起因する誤差成分とを除去して高精度で目的とする位相差(前記物体光と前記参照光との位相差)を算出することができる。
記導光手段における伝播経路において,2つの測定光(前記第1の主測定光の組)にクロストークが生じない,或いは無視できる程度のクロストークしか生じないとすると,前記第1の干渉計の位置と前記第3の干渉計の位置とで,2つの測定光におけるクロストークに起因する誤差成分は変化しない(同じである)とみなせる。従って,前記物体光又は前記参照光の光路長を変化させた複数の状態において検出された前記第1のビート信号と前記第3のビート信号と前記第1の位相差とに基づいて,その光路長の変化にかかわらず変化しない信号成分に関する係数(大きさ及び位相に関する係数)を求めれば,その係数は,クロストークに起因する誤差成分に関する係数(以下,クロストーク係数という)となる。
また,前記2つの測定光が光源付近から前記測定部位の付近まで伝播する間に生じるその2つの測定光の位相差,即ち,2つの測定光の伝播経路の状態変動に起因する誤差成分は,前記第1の位相差及び前記第2の位相差の両方に等しく含まれる。そのため,前記第1の位相差と前記第2の位相差との差に基づいて前記目的位相差を算出すれば,2つの測定光の伝播経路の状態変動に起因する誤差成分を除去できる。
従って,前記クロストーク係数算出手段により,クロストークに起因する誤差成分に関する係数を予め算出しておき,さらに,前記目的位相差算出手段により,前記第1の位相差と前記第2の位相差との差分に基づき算出される前記物体光と前記参照光との位相差(クロストークに起因する誤差を含む位相差)から,前記クロストーク係数に基づく誤差成分を除去すれば,測定対象である本来の位相差を高精度で算出(測定)することができる。
例えば,前記クロストーク係数算出手段が,前記光路長調節手段により前記物体光又は前記参照光の光路長が3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号を参照信号とした,前記第3のビート信号についての位相検波信号におけるCOS成分とSIN成分とで描かれるリサージュ曲線を,円若しくは楕円で近似したときのその円又は楕円の中心座標を算出し,その中心座標に基づいて前記ノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数を算出することが考えられる。
また,前記導光手段が,前記第1の主測定光の組における2つの測定光を個別に伝播させる2本の光ファイバを有するものであれば,複数のミラーを配置する場合に比べて取り扱い(装置のセッティング等)が容易となる。
また,本発明は,以上に示した本発明に係るヘテロダイン干渉装置を用いたヘテロダイン干渉測定方法として捉えることもできる。
即ち,本発明に係るヘテロダイン干渉測定方法は,周波数の異なる2つの測定光の一方を物体光として被測定物の測定部位に反射させるとともに他方を参照光として所定の基準面に反射させ,前記物体光と前記参照光との干渉光のビート信号に基づいて,前記物体光と前記参照光との位相差を測定する方法であり,次に(2−1)〜(2−6)に示す各工程を実行する方法である。
(2−1)所定の第1の干渉計により,前記2つの測定光の組を第1の主測定光の組及び第1の副測定光の組に分岐させ,その第1の副測定光の組を干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第1のビート信号を検出する第1のビート信号検出工程。
(2−2)所定の導光手段を通じて前記第1の干渉計から前記測定部位の方へ前記2つの測定光それぞれについて個別の経路で導かれた前記第1の主測定光の組を,所定の第2の干渉計により,第2の主測定光の組及び第2の副測定光の組に分岐させ,その第2の副測定光の組を干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第2のビート信号を検出する第2のビート信号検出工程。
(2−3)所定の第3の干渉計により,前記第2の主測定光の組における測定光の一方を物体光として前記測定部位に反射させるとともに他方を参照光として前記基準面に反射させ,前記物体光と前記参照光とを干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第3のビート信号を検出する第3のビート信号検出工程。
(2−4)所定の第1の位相差検出手段により前記第1のビート信号と前記第3のビート信号の位相差である第1の位相差を検出する第1の位相差検出工程。
(2−5)前記物体光又は前記参照光の光路長が少なくとも3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号に対する前記第3のビート信号の比と前記第1の位相差とに基づいて,前記第2のビート信号及び前記第3のビート信号に含まれる前記2つの測定光のクロストークに起因するノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数を算出し,その算出結果を所定の記憶手段に記録するクロストーク係数算出工程。
(2−6)所定の演算手段により,前記第1の位相差と前記第2の位相差と前記ノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数とに基づいて前記物体光と前記参照光との位相差を算出する目的位相差算出工程。
また,より具体的には,前記クロストーク係数算出工程において,次に示す処理を実行することが考えられる。
即ち,前記クロストーク係数算出工程において,前記演算手段により,前記物体光又は前記参照光の光路長が3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号を参照信号とした,前記第3のビート信号についての位相検波信号におけるCOS成分とSIN成分とで描かれるリサージュ曲線を,円若しくは楕円で近似したときのその円又は楕円の中心座標を算出し,その中心座標に基づいて前記ノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数を算出する。
以上に示した本発明に係るヘテロダイン干渉測定方法によれば,2つの測定光の伝播経路の状態変動に起因する誤差成分と,2つの測定光のクロストークに起因する誤差成分とを除去して高精度での位相差測定(前記目的位相差の測定)を行うことができる。
また,本発明は,前述の本発明に係るヘテロダイン干渉装置を備えた厚み測定装置として捉えることもできる。
即ち,本発明に係る厚み測定装置は,被測定物の厚みを測定する装置であり,次の(3−1)〜(3−3)に示す各構成要素を備えるものである。
(3−1)所定の光源から出射された周波数の異なる2つの測定光それぞれを分岐させる基幹光分岐手段。
(3−2)前記基幹光分岐手段により分岐された前記2つの測定光の組がそれぞれ入力され,前記被測定物の表裏相対する部位であるおもて面の測定部位及びうら面の測定部位それぞれについて設けられた前記本発明に係るヘテロダイン干渉装置。なお,当該ヘテロダイン干渉計は,前記(1−1)〜(1−9)の各構成要素を備えたものである。
(3−3)前記おもて面及び前記うら面の測定部位それぞれについて前記ヘテロダイン干渉装置により算出された前記目的位相差の和に基づいて前記被測定物の厚みを算出する厚み算出手段。
本発明に係る厚み測定装置は,被測定物のおもて面及びうら面について,測定光の光源として同じ光源を用いるものである。
本発明に係る厚み測定装置によって被測定物のおもて面及びうら面について算出される前記目的位相差それぞれには,そのおもて面及びうら面の測定部位それぞれにおける突出方向の変位量が同じ方向の位相差(前記物体光の光路長が短くなる方向の位相差)として反映される。そのため,前記おもて面及びうら面それぞれについて算出される前記目的位相差の和は,被測定物の厚みを表す。
また,本発明に係る厚み測定装置においては,前記被測定物が,例えば薄板状の半導体ウェハ等のように空気の流れや測定装置の振動等によって振動する場合,その振動による測定部位の変位量の成分は,前記おもて面及びうら面それぞれの前記目的位相差に同じ量だけ逆方向に反映される。そのため,前記おもて面及びうら面それぞれについて算出される前記目的位相差の和において,被測定物の振動の影響は除かれている。
従って,本発明に係る厚み測定装置によれば,2つの測定光の前記おもて面及びうら面それぞれへの伝播経路の状態変動に起因する誤差成分と,2つの測定光のクロストークに起因する誤差成分と,被測定物の振動に起因する誤差成分とを除去して高精度での被測定物の厚み測定を行うことができる。
また,本発明は,前述の本発明に係るヘテロダイン干渉測定方法に基づく厚み測定方法として捉えることもできる。
即ち,本発明に係る厚み測定方法は,被測定物の厚みを測定する方法であり,所定の光分岐手段により周波数の異なる2つの測定光それぞれを分岐させ,分岐後の前記2つの測定光の組それぞれを入力光として,前記被測定物の表裏相対する部位であるおもて面の測定部位及びうら面の測定部位それぞれについて,前記本発明に係るヘテロダイン干渉測定方法による測定を実行し,さらに,前記おもて面及び前記うら面の測定部位それぞれについて前記ヘテロダイン干渉測定方法の実行により算出された前記目的位相差の和に基づいて,前記被測定物の厚みを算出する厚み算出工程を実行する方法である。
本発明に係る厚み測定方法の実行によっても,前述の本発明に係る厚み測定装置と同様の作用効果が得られる。
本発明によれば,周波数の異なる2つの測定光を用いるヘテロダイン干渉法により被測定物に反射させる物体光と基準面に反射させる参照光との位相差を測定するにあたり,2つの測定光の伝播経路の状態変動に起因する誤差成分と,2つの測定光のクロストークに起因する誤差成分とを除去して高精度での位相差測定を行うことができる。また,本発明を被測定物の厚み測定に適用することにより,2つの測定光の前記おもて面及びうら面それぞれへの伝播経路の状態変動に起因する誤差成分と,2つの測定光のクロストークに起因する誤差成分と,被測定物の振動に起因する誤差成分とを除去して高精度での被測定物の厚み測定を行うことができる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係るヘテロダイン干渉装置Aの構成図,図2はヘテロダイン干渉装置Aにおいてクロストークノイズ成分の係数算出の際に特定されるリサージュ曲線及びその座標系の説明に関する図,図3はヘテロダイン干渉装置Aによる位相差測定処理の手順の一例を表すフローチャート,図4は本発明の実施形態に係る厚み測定装置Bの構成図である。
以下,図1に示す構成図を参照しながら,本発明の実施形態に係るヘテロダイン干渉装置Aについて説明する。
ヘテロダイン干渉装置Aは,二偏波光源2から出射されるわずかに周波数の異なる2つの測定光P1,P2(レーザビーム光)が入力され,それら2つの測定光の一方(図1では,P1)を物体光として被測定物1の測定部位1aに反射させるとともに,他方(図1ではP2)を参照光として所定の基準板24の表面(基準面)に反射させ,前記物体光と前記参照光とを干渉させるとともに,その干渉光のビート信号に基づいて,前記物体光と前記参照光との位相差Δθ(以下,目的位相差Δθという)を測定するものである。
図1に示すように,ヘテロダイン干渉装置Aは,二偏波光源2と,第1の干渉計Q1と,2本の光ファイバ20と,第2の干渉計Q2と,第3の干渉計Q3と,2つの位相検波器(第1位相検波器4及び第2位相検波器5)と,計算機6とを備えている。
前記二偏波光源2は,周波数がわずかに異なる2つのレーザビーム光である測定光P1,P2を同軸で出射するレーザ光源である。この二偏波光源2は,一般に,ゼーマンレーザと称される。以下,一方の測定光を第1測定光P1,他方の測定光を第2測定光P2という。なお,図1においては,便宜上,両測定光P1,P2が異なる軸に沿って出射されているように記載されているが,実際は,両測定光P1,P2は同じ軸(同じ光路)に沿って出射される。第1測定光P1及び第2測定光P2は,単波長光であり,それぞれの周波数は,特に限定されるものではないが,例えば,一方の測定光の周波数ωは5×108MHz程度(可視光のレーザ光源を採用した場合の例)であり,両測定光の周波数の差Δfは数十kHz程度である。また,二偏波光源2が出射する第1測定光P1及び第2測定光P2は,それぞれ偏波面の方向が異なる。ここでは,2つの測定光P1,P2の偏波面は直交しているものとする。これら第1測定光P1及び第2測定光P2が,それぞれ周波数が異なる前記第1の測定光及び前記第2の測定光の一例である。
また,前記第1の干渉計Q1は,前記二偏波光源2の近くに配置され,ビームスプリッタ3と,偏光板12と,光検出器13(以下,第1の光検出器13という)とを備える干渉計である。
前記第1の干渉計Q1には,前記二偏波光源2から2つの測定光P1,P2が入力され,その2つの測定光P1,P2の組を前記ビームスプリッタ11によって2分岐させる。以下,2分岐させた一方の測定光の組を第1の主測定光の組,他方の測定光の組を第1の副測定光の組と称する。なお,前記第1の主測定光の組は,測定部位1aの方向へ導かれる測定光であり,前記第1の副測定光の組は,当該第1の干渉計Q1において干渉させるための測定光である。
さらに,前記第1の干渉計Q1において,前記偏光板12が,前記第1の副測定光の組のうち,所定方向(両測定光の偏波面の方向の中間方向)の偏波面の光のみを透過させることにより,前記第1の副測定光の組を干渉させる。さらに,前記第1の光検出器13が,その第1の副測定光の組の干渉光(以下,第1の干渉光という)を受光して光電変換を行うことにより,前記第1の干渉光のビート信号(以下,第1のビート信号Sg1という)を検出する。この第1の光検出器13の検出信号Sg1は,前記第1位相検波器4,前記第2位相検波器5及び前記計算機6へ伝送される。
2本の前記光ファイバ20は,前記第1の主測定光の組(前記ビームスプリッタ11による分岐光の組の一方)における2つの測定光P1,P2を個別に伝播させ,それら測定光P1,P2を前記第1の干渉計Q1から測定部位1aの付近に配置された前記第1の干渉計Q2へ導く導光手段の一例である。
前記第2の干渉計Q2は,測定部位1aの近くに配置され,ビームスプリッタ31と,偏光板32と,光検出器33(以下,第2の光検出器33という)とを備える干渉計である。
前記第2の干渉計Q2には,前記光ファイバ20を通じて伝播されてきた2つの測定光P1,P2の組(前記第1の主測定光の組)が入力され,その2つの測定光P1,P2の組を前記ビームスプリッタ31によって2分岐させる。以下,2分岐させた一方の測定光の組を第2の主測定光の組,他方の測定光の組を第2の副測定光の組と称する。なお,前記第2の主測定光の組は,測定部位1aの方向へ導かれる測定光であり,前記第2の副測定光の組は,当該第2の干渉計Q2において干渉させるための測定光である。
さらに,前記第2の干渉計Q2において,前記偏光板32が,前記第2の副測定光の組のうち,所定方向(両測定光の偏波面の方向の中間方向)の偏波面の光のみを透過させることにより,前記第2の副測定光の組を干渉させる。さらに,前記第2の光検出器33が,その第2の副測定光の組の干渉光(以下,第2の干渉光という)を受光して光電変換を行うことにより,前記第2の干渉光のビート信号(以下,第2のビート信号Sg2という)を検出する。この第2の光検出器33の検出信号Sg2は,前記第2位相検波器5へ伝送される。
前記第3の干渉計Q3は,前記第2の干渉計Q2と測定部位1aとの間に配置され,偏光ビームスプリッタ(以下,PBSと記載する)21と,4分の1波長板22,23と,基準板24と,偏光板25と,光検出器26(以下,第3の光検出器26という)とを備える干渉計である。
前記第3の干渉計Q3において,前記PBS21には,前記第2の干渉計Q2を通じて伝播されてきた2つの測定光P1,P2の組(前記第2の主測定光の組)が入力される。
前記PBS21は,一方の測定光P1を測定部位1a方向へ導くことによってその測定光P1を物体光として測定部位1aに反射させるとともに,他方の測定光P2を前記基準板24の方向へ導くことによってその測定光P2を参照光として前記基準板24の表面(基準面)に反射させる。
ここで,前記PBS21と測定部位1aとの間に配置された4分の1波長板22の存在により,物体光が前記PBS21から前記測定部位1a側へ出射されるときと前記測定部位1a側から入射されるときとで偏光の状態(P偏光かS偏光か)が入れ替わる。同様に,前記PBS21と前記基準面との間に配置された4分の1波長板23の存在により,参照光が前記PBS21から前記基準面側へ出射されるときと前記基準面側から入射されるときとで偏光の状態(P偏光かS偏光か)が入れ替わる。さらに,前記PBS21は,前記測定部位1a及び前記基準面それぞれからの反射してきた前記物体光及び前記参照光を同じ方向(前記偏光板32の方向)へ導く。
また,前記偏光板25は,前記物体光及び前記参照光の組のうち,所定方向(両光の偏波面の方向の中間方向)の偏波面の光のみを透過させることにより,前記物体光と前記参照光とを干渉させる。さらに,前記第3の光検出器26が,前記物体光及び前記参照光の干渉光(以下,第3の干渉光という)を受光して光電変換を行うことにより,前記第3の干渉光のビート信号(以下,第3のビート信号Sg3という)を検出する。この第3の光検出器26の検出信号Sg3は,前記第1位相検波器4及び前記計算機6へ伝送される。
また,前記第3の干渉計Q3は,前記基準板24を支持するとともに,その支持位置を前記参照光の光軸方向において任意に調節することにより,前記参照光の光路長を任意に(少なくとも3段階以上)調節する位置調節機構(不図示)を備えている。
前記第1位相検波器4は,前記第1のビート信号Sg1と前記第3のビート信号Sg3の位相差(以下,第1の位相差Δθ1と称する)を検出し,その検出値を電気信号(検出信号)として出力するものである(前記第1の位相差検出手段の一例)。
また,前記第2位相検波器5は,前記第1のビート信号Sg1と前記第2のビート信号Sg2の位相差(以下,第2の位相差Δθ2と称する)を検出検出し,その検出値を電気信号(検出信号)として出力するものである(前記第2の位相差検出手段の一例)。例えば,前記第1位相検波器4及び前記第2位相検波器5として,ロックインアンプを採用することができる。
また,前記計算機6は,不図示のCPU,ROM,RAM及び各種の信号を入力する信号入力インターフェース等を備え,前記CPUが所定のプログラムを実行することにより各種の演算や制御を行うコンピュータである。例えば,この計算機6は,前記第1のビート信号Sg1の信号レベルL1,前記第3のビート信号Sg3の信号レベルL3,前記第1の位相差Δθ1及び前記第2の位相差Δθ2に基づいて各種の演算を実行することにより,前記目的位相差Δθ(前記物体光と前記参照光との位相差)を算出する。
また,前記計算機6は,前記位置調節機構(不図示)を制御することにより,前記参照光の光路長を調節する。
なお,以下に示す前記計算機6による処理は,その計算機6が備えるCPUが所定のプログラムを実行することにいよって実現される。
以上に示したヘテロダイン干渉装置Aにより,被測定物1の測定が実行されると,以下に示すステップS11〜S13の処理が自動的に実行される。
(S11):前記第1の干渉計Q1において,前記ビームスプリッタ11によって2つの測定光P1,P2の組を第1の前記主測定光の組及び前記第1の副測定光の組に分岐させ,さらに,前記偏光板12によって前記第1の副測定光の組を干渉させるとともに,その干渉光のビート信号である前記第1のビート信号Sg1を前記第1の光検出器13によって検出する処理(前記第1のビート信号検出工程の一例)。
(S12):前記第2の干渉計Q2において,前記光ファイバ20を通じて前記第1の干渉計Q1から測定部位1aの付近へ導かれた前記第1の主測定光の組を,前記ビームスプリッタ31によって前記第2の主測定光の組及び前記第2の副測定光の組に分岐させ,さらに,前記偏光板32によって前記第2の副測定光の組を干渉させるとともに,その干渉光のビート信号である前記第2のビート信号Sg2を前記第2の光検出器33によって検出する処理(前記第2のビート信号検出工程の一例)。
(S13):前記第3の干渉計Q3において,前記第2の主測定光の組における測定光の一方P1を物体光として測定部位1aに反射させるとともに,他方P2を参照光として前記基準面に反射させ,さらに,前記偏光板25によって前記物体光と前記参照光とを干渉させるとともに,その干渉光のビート信号である第3のビート信号Sg3を前記第3の光検出器26によって検出する処理(前記第3のビート信号検出工程の一例)。
次に,ヘテロダイン干渉装置Aによる前記目的位相差の測定原理について説明する。
2つの測定光P1及びP2それぞれの周波数をf及び(f+Δf),時間をt,一方の測定光P1の初期位相をφs,2つの測定光P1及びP2の初期位相差をΔφ0,2つの測定光P1及びP2それぞれのノイズを除く本来の電界強度振幅をas及びarとすると,クロストークノイズ成分を考慮しない(含まない)2つの測定光P1及びP2それぞれの電界強度Es0及びEr0は,次の(1)式及び(2)式により表される。
Figure 0004861281
また,電界強度がEs0及びEr0で表される2つの測定光の干渉光(重ね合わせた光)を受光する光検出器で検出される強度I0は,次の(3)式により表される。なお,一般的な光検出器では,高周波数で変化する光の電界強度をそのまま検出することができず,(3)式に示されるように,その電界強度の2乗値の時間平均値となる光強度I0が検出される。
Figure 0004861281
この(3)式において,第1項はオフセット成分であり,第2項がビート信号の成分を表す。
一方,2つの測定光P1及びP2それぞれのクロストークノイズ成分の電界強度振幅をas0及びar0とすると,クロストークノイズ成分を含む2つの測定光P1及びP2それぞれの電界強度Es及びErは,次の(4)式及び(5)式により表される。
Figure 0004861281
これら(4)式及び(5)式により表される測定光P1,P2の干渉光(重ね合わせた光)の電界強度におけるビート信号成分Ibx(オフセット成分を除いたもの)は,次の(6)式により表される。
Figure 0004861281
この(6)式における第1項は(3)式の第2項と同じであり,クロストークノイズ成分を除く本来の信号成分である。また,(6)式における第2項〜第4項は,クロストークノイズ成分である。ここで,振幅as及びarは同程度の大きさであり,クロストークノイズ成分の振幅as0及びar0は,振幅as及びarに比べて10%程度以下と期待できる。従って,(6)式において,第1項に対し,第2項及び第3項は10%程度以下の大きさ,第4項は1%程度以下の大きさとなる。また,(6)式の第2項及び第3項におけるΔφ1,Δφ2は,同じ光路を通る2つの測定光P1,P2の干渉により生じるものであるため時間的に安定している。よって,(6)式において,第4項を無視し,また,正弦波と正弦波との和は正弦波であることを考慮して第2項と第3項とを併せると,クロストークノイズ成分を含むビート信号のレベル(強度)Ibcrossは,次の(7)式により表される。
Figure 0004861281
なお,(7)式において,Ibはクロストークノイズ成分を含まない(ゼロである)ビート信号の振幅,Icはクロストークノイズ成分のビート信号の振幅,Δφはクロストークノイズ成分を含まない本来の2つの測定光P1,P2の位相差, Δφcは2つの測定光P1,P2におけるクロストークノイズ成分の位相差である。
ところで,所定の変数x,r,aが存在し,変数rが1に比べて十分小さい(例えば,r≦0.1)場合,それら変数を含む近似式である次の(8)式が成立する。この(8)式の詳細については後述する。
Figure 0004861281
また,前述したように,クロストークノイズ成分の大きさがそれ以外の信号成分の大きさに対して10%程度以下である,即ち,(Ic/Ib≦0.1)であると期待されるので,この(8)式が成立することを前提に(7)式を変形すると,次の(9)式を導くことができる。
Figure 0004861281
この(9)式におけるコサイン(余弦)関数内部の第3項が,クロストークノイズ成分を含む部分である。
ここで,前記光ファイバ20による伝播経路(前記第1の干渉計Q1から前記第2の干渉計Q2までの光路)において生じる2つの測定光P1及びP2の位相差をΔψとすると,(Δφ=Δφ0+Δψ)と表すことができる。
そして,前記目的位相差(前記物体光の光路長と前記参照光の光路長との差に起因する前記物体光及び前記参照光の位相差)をΔθとすると,前記第1のビート信号Sg1のレベルL1(前記第1の干渉光のビート信号の強度),前記第2のビート信号Sg2のレベルL2(前記第2の干渉光のビート信号の強度)及び前記第3のビート信号Sg3のレベルL3(前記第3の干渉光のビート信号の強度)は,それぞれ次の(10)式〜(12)式により表される。
Figure 0004861281
なお,(8)式において,I1,I2,I3は,それぞれ第1〜第3のビート信号Sg1〜Sg3の振幅である。
また,(10)式〜(12)式より,前記第1の位相差Δθ1及び前記第2の位相差Δθ2は,それぞれ次の(13)式及び(14)式により表される。
Figure 0004861281
また,(13)式及び(14)式より,,前記第1の位相差Δθ1及び前記第2の位相差θ2の差(Δθ1−Δθ2)は,次の(15)式により表すことができる。
Figure 0004861281
これら(10)式〜(12)式において,(Ic/Ib)及び(Δφc−Δφ0)は,それぞれクロストークノイズ成分の振幅及び位相を表すパラメータである。
次に,図2を参照しつつ,クロストークノイズ成分の振幅及び位相について説明する。
図2は,前記クロストークノイズ成分の係数(前記クロストーク係数Rct,αct)算出の際に特定されるリサージュ曲線Cr及びその座標系の説明(一点鎖線の枠内)に関する図である。
なお,図2に示すリサージュ曲線は,図1に示す第1位相検波器4の検波信号に基づくリサージュ曲線の一例,即ち,第1位相検波器4の検波信号(第1ビート信号Sg1を参照信号とした第3ビート信号Sg3についての位相検波信号)のCOS(余弦)成分の信号値及びSIN(正弦)成分の信号値を,2次元座標における直交する座標軸(X軸及びY軸)それぞれの座標値とすることにより描かれる曲線の一例である。
前記第1の干渉計Q1から前記第3の干渉計Q3に至る2つの測定光P1,P2の伝播経路において,それら測定光P1,P2にクロストークが生じない,或いは無視できる程度のクロストークしか生じないとすると,前記第1の干渉計Q1の位置と前記第3の干渉計Q2の位置とで,2つの測定光P1,P2における前記クロストークノイズ成分は変化しない(同じである)とみなせる。
また,図2の一点鎖線の枠内に示すように,前記参照光の光路長を複数段階に変化させた各状態において,前記第1のビート信号Sg1のレベルL1,前記第3のビート信号Sg3のレベルL3及び前記第1の位相差Δθ1を測定した場合を考える。この場合,その測定により得られた前記第1のビート信号Sg1のレベルL1に対する前記第3のビート信号Sg3のレベルL3の比(L3/L1)を,二次元座標(X−Y座標)における原点を基点とするベクトルの大きさRとし,同測定により得られた前記第1の位相差Δθ1を,前記ベクトルのX軸に対する角度αとすると,その(L3/L1)及びΔθ1に基づき特定されるリサージュ曲線Crは,図2に示すグラフのように概ね円又は楕円状となる。
そして,前記リサージュ曲線Crを円又は楕円で近似したときに,原点からその円又は楕円の中心Octまでのベクトルの大きさRct及びX軸に対する角度αctは,前記参照光の光路長の変化にかかわらず変化しない信号成分の大きさ及び位相,即ち,前記クロストークノイズ成分の大きさ及び位相を表すパラメータ(係数)となる。即ち,原点からその円又は楕円の中心Octまでのベクトルの大きさRct及びX軸に対する角度αctは,それぞれ前述した(10)式〜(12)式における(Ic/Ib)及び(Δφc−Δφ0)を表し,次の(16)式及び(17)式が成立する。
Figure 0004861281
従って,前記計算機6により,前記中心OctまでのベクトルにおけるRct及びαctを算出することによって(Ic/Ib)及び(Δφc−Δφ0)が既知となる。また,それらが既知となれば,それと前記第2位相検波器5によって検出される前記第2の位相差Δθ2とを(14)式に適用することにより, Δψ(光ファイバ20による伝播経路で生じる位相差)を算出することができる。さらに,そのようにして算出したΔψと,測定値であるL1とL3とΔθ1とに基づき算出した(Ic/Ib)[=Rct]及び(Δφc−Δφ0)[=αct]と,前記第1位相検波器4及び前記第2位相検波器5によって検出される位相差Δθ1及びΔθ2とを(15)式に適用することにより,前記目的位相差Δθを算出することができる。このようにして算出される目的位相差Δθは,2つの測定光P1,P2の伝播経路の状態変動に起因する誤差成分Δψと,2つの測定光P1,P2のクロストークに起因する誤差成分とが除去された精度の高い測定値である。
ここで,前述した(8)式が成立することについて簡単に説明する。
所定の変数x,a,rを含む三角関数である(8)式の左辺は,次の(18)式のように変形できる。
Figure 0004861281
また,変数rが1に比べて十分に小さく(例えば,r≦0.1),1+r・cos(a)≒1とみなせるとき,(18)式におけるdも十分に小さいので,sin(d)≒dとみなせることから,次の(19)式及び(20)式が成立するとみなせる。
Figure 0004861281
従って,変数rが1に比べて十分小さい(例えば,r≦0.1)場合,これら(19)式及び(20)式に基づけば,(18)式を前述した(8)式に変形することができる。
次に,図3に示すフローチャートを参照しつつ,ヘテロダイン干渉装置Aによる位相差測定処理の手順の一例について説明する。なお,以下に示すS1,S2は,前記計算機6により実行される処理の手順(ステップ)の識別符号を表す。
まず,前記計算機6は,前記位置調節機構(不図示)を通じて,前記参照光の光路長を所定長さに設定(調節)する(S1)。
さらに,前記計算機6は,ステップS1において前記参照光の光路長を設定するごとに,当該ヘテロダイン干渉装置Aによる被測定物1の測定(前述のステップS11〜S13の処理)を実行させるとともに,前記第1のビート信号Sg1のレベルL1(前記第1の干渉光の強度),前記第3のビート信号Sg3のレベルL3(前記第3の干渉光の強度)及び前記第1の位相差Δθ1の入力(測定)及びその測定値の記憶部への記録を行う(S2)。
さらに,前記計算機6は,ステップS1における前記参照光の光路長の調節範囲が,測定光P1,P2の波長λと概ね等しい範囲に至ったか否かを判別する(S3)。
このように,前記計算機6は,前記参照光の光路長を,その調節範囲が概ね測定光P1,P2の波長λとほぼ等しい範囲となるまで予め定められた長さずつ変化させ(S1),前記参照光の光路長が少なくとも3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号Sg1のレベルL1,前記第3のビート信号Sg3のレベルL3及び前記第1の位相差Δθ1をその記憶部に記録する(S2)。例えば,前記測定光P1,P2の波長λが0.63μm程度である場合,前記計算機6は,前記参照光の光路長を初期状態から0.026μmずつ変化させ(即ち,前記基準板24を初期位置からその半分の0.013μmずつ移動させる),24通り(24段階)の前記参照光の光路長それぞれについて測定値L1,L3,Δθ1を記録する。なお,その際の前記物体光の光路長は固定されている。
次に,前記計算機6は,ステップS1〜S3の処理によって検出及び記録された3通り以上の前記参照光の光路長それぞれについての前記第1のビート信号のレベルL1,前記第3のビート信号のレベルL3及び前記第1の位相差Δθ1に基づいて,前記第2のビート信号Sg2及び前記第3のビート信号Sg2に含まれる前記2つの測定光P1,P2のクロストークに起因するノイズ成分(以下,クロストークノイズ成分という)の大きさ及び位相に関する係数である前記クロストーク係数Rct,αctを算出し,その算出結果を記憶部に記録する(S4,前記クロストーク係数算出手段の一例)。
このステップS4において,前記計算機6は,まず,ステップS1〜S3の処理によって検出及び記録された3通り以上の前記参照光の光路長それぞれについての前記第1位相検波器4の検波信号に基づくリサージュ曲線Cr(図2参照)を,周知のフィッティング処理によって円若しくは楕円で近似する。このようにリサージュ曲線Crを円若しくは楕円で近似するためには,少なくとも前記物体光に対する前記測定光の光路長の差を少なくとも3通り(3段階)以上に変化させた各状態で測定値L1,L3,Δθ1を得る必要があるが,近似精度を高めるためには,3通りよりも多くの状態での測定値を得ておくことが望ましい。なお,図2には,24通りの測定値に基づくリサージュ曲線Crが示されている。
さらに,前記計算機6は,前記フィッティング処理により得られた円又は楕円の中心Oct(図2参照)の座標を算出する。
さらに,前記計算機6は,前記円又は楕円の中心Octの座標に基づいて,前記クロストーク係数Rct,αctを算出する。なお,図2に示したように,前記クロストーク係数Rct,αctは,原点から前記リサージュ曲線Crを近似する円又は楕円の中心Octまでのベクトルの大きさ(Rct)及びX軸に対する角度(αct)である。
なお,以上に示したステップS1〜S4の処理は,被測定物1を測定する処理ではなく,当該ヘテロダイン干渉装置Aが用いる2つの測定光P1,P2の特性を測定する処理であるため,被測定物1それぞれについて実施する必要はない。例えば,1日に複数の被測定物1を測定する場合,ステップS1〜S4の処理をその日に1回だけ行う程度でよい。
次に,前記計算機6は,前記位置調節機構(不図示)を通じて,前記参照光の光路長を所定長さに設定(調節)する(S5)。
次に,被測定物1の測定条件の設定を行う(S6)。例えば,被測定物1の表面形状(表面変位の分布)を測定する場合,このステップS6において,前記計算機6が不図示のX−Yステージを制御することにより,前記第3の干渉計Q3に対する被測定物1の位置決め(測定部位1aの位置決め)を行う。また,測定部位1aの励起による屈折率変化を測定する場合,このステップS6において,前記計算機6が,不図示の光源を制御することにより,測定部位1aに対して励起光を照射する制御を行う。
そして,ステップS6で設定された条件下において,前記計算機6は,当該ヘテロダイン干渉装置Aによる被測定物1の測定(前述のステップS11〜S13の処理)を実行させるとともに,前記第1の位相差Δθ1及び前記第2の位相差Δθ2の入力(測定)及びその測定値の記憶部への記録を行う(S7)。
次に,前記計算機6は,ステップS4で算出した前記クロストーク係数Rct[=Ic/Ib],αct[=Δφc−Δφ0]と,ステップS8で検出された前記第1の位相差Δθ1及び前記第2の位相差Δθ2とに基づいて,(14)式及び(15)式に基づく計算を実行することにより,前記目的位相差Δθを算出し,その算出結果を記憶部に記録する(S8,前記目的位相差算出手段の一例)。
そして,前記計算機6は,所定の測定終了条件が成立したと判別(S9)するまで,ステップS6〜S8の処理を繰り返す。
ヘテロダイン干渉装置Aを用いて以上の処理を実行することにより,2つの測定光P1,P2の伝播経路の状態変動に起因する誤差成分Δψと,2つの測定光P1,P2のクロストークに起因する誤差成分とを除去して高精度で前記目的位相差Δθの測定を行うことができる。
次に,図4を参照しつつ,以上に示したヘテロダイン干渉装置Aを備えた本発明の実施形態に係る厚み測定装置Bについて説明する。なお,図4において,図1に示したヘテロダイン干渉装置Aと同じ構成要素については同じ符号が付されている。
薄板状の半導体ウェハのように厚みが薄い(例えば,厚みが1mm未満)被測定物1は,そのエッジ部のみで支持された場合,わずかな風圧や他の機械の振動等によってが振動する。この振動は,非常に高い測定精度(例えば,誤差20nm以下)が要求されるウェハの形状測定等においては,無視できない振幅の振動となる。本発明の実施形態に係る厚み測定装置Bは,例えば,薄板状の半導体ウェハ等,厚みが非常に薄い(例えば,厚みが1mm未満)ために測定中に振動が生じる被測定物1の厚みを高精度で測定したい場合に好適な装置である。
図4に示すように,厚み測定装置Bは,ビームスプリッタ3と,被測定物1の一方の面(以下,おもて面という)について設けられたおもて側ヘテロダイン干渉装置Aaと,被測定物1の他方の面(以下,うら面という)について設けられたうら側ヘテロダイン干渉装置Abとを備えている。
前記ビームスプリッタ3は,前記二偏波光源2から出射された前記2つの測定光P1,P2(わずかに周波数の異なる2つの測定光)それぞれを分岐させるものである(前記基幹光分岐手段の一例)。
前記おもて側ヘテロダイン干渉装置Aaは,前記ビームスプリッタ3により分岐された2つの測定光P1及びP2の組の一方が入力され,被測定物1の表裏相対する部位の一方であるおもて面の測定部位1aについて,前記目的位相差Δθを測定する装置である。同様に,前記うら側ヘテロダイン干渉装置Abは,前記ビームスプリッタ3により分岐された2つの測定光P1及びP2の組の残りの一方が入力され,被測定物1の前記おもて面の測定部位1aに対して表裏相対する部位であるうら面の測定部位1bについて,前記目的位相差Δθを測定する装置である。これら2つのヘテロダイン干渉装置Aa,Abは,それぞれ前記ヘテロダイン干渉装置Aと同じ構成を備えている。但し,計算機6’は,2つのヘテロダイン干渉装置Aa,Abについて共用され,前記おもて面の測定部位1a及び前記うら面の測定部位1bそれぞれについての前記目的位相差Δθの測定に関わる演算及び制御(前記計算機6が実行する処理)を実行する。以下,各信号及び測定値を表す符号に添字”a”を付したものは前記おもて側ヘテロダイン干渉装置Aaにおける信号及び測定値を,添字”b”を付したものは前記うら側ヘテロダイン干渉装置Abにおける信号及び測定値を表す。
また,前記計算機6’は,前記おもて面及び前記うら面の測定部位1a,1bそれぞれについて,2つのヘテロダイン干渉装置Aa,Abの測定結果に基づき算出した前記目的位相差の和(Δθa+Δθb)に基づいて,被測定物1の厚み(測定部位1a及び1bの表面間の距離)を算出し,その算出結果をその記憶部に記録する処理を実行する(前記厚み算出手段の一例)。
当該厚み測定装置Bは,被測定物1のおもて面及びうら面について,2つの測定光P1,P2の光源として同じ光源2(前記二偏波光源)を用いるものである。
前記計算機6’によって被測定物1のおもて面及びうら面について算出される前記目的位相差Δθa及びΔθbそれぞれには,そのおもて面及びうら面の測定部位1a,1bそれぞれにおける突出方向の変位量が同じ方向の位相差(前記物体光の光路長が短くなる方向の位相差)として反映される。そのため,前記おもて面及びうら面それぞれについて算出される前記目的位相差の和(Δθa+Δθb)は,被測定物1の厚みを表す。ここで,(Δθa+Δθb)そのものを被測定物1の厚みの指標値として算出することの他,(Δθa+Δθb)を予め定められた換算式に基づいて他の厚みの指標値に換算することも考えられる。
なお,(Δθa+Δθb)は,被測定物1の厚みの絶対値を特定できる測定値ではなく,測定部位1a,1bを変化させたときの相対的な厚み(厚み分布)を特定できる測定値である。このような測定値を算出することは,半導体ウェーハのように厚み分布の均一性を高精度で評価することが重要となる測定対象において有効である。
また,厚み測定装置Bにおいては,被測定物1が振動する場合,その振動による測定部位の変位量の成分は,前記おもて面及びうら面それぞれの前記目的位相差Δθa,Δθbに同じ量だけ逆方向に反映される。そのため,前記おもて面及びうら面それぞれについて算出される前記目的位相差の和(Δθa+Δθb)において,被測定物1の振動の影響は除かれている。
従って,厚み測定装置Bによれば,2つの測定光P1,P2の前記おもて面及びうら面それぞれへの伝播経路の状態変動に起因する誤差成分と,2つの測定光P1,P2のクロストークに起因する誤差成分と,被測定物1の振動に起因する誤差成分とを除去して高精度での被測定物1の厚み測定を行うことができる。
以上に示したヘテロダイン干渉装置A,Aa,Abでは,ゼーマンレーザを光源として周波数の異なる2つの測定光P1,P2を得る構成を示したが,2つの測定光P1,P2は,1つの測定光を出射する光源と,出射された測定光を2分岐させるビームスプリッタと,2分岐された一方の測定光の周波数を変換する音響光学素子等により生成されることも考えられる。
また,1つの半導体レーザに対する注入電流を周期的に線形変化(ノコギリ状に変化)させることにより,その半導体レーザの出力光の周波数を線形変化させるとともに,その出力光をビームスプリッタ等によって2分岐させ,分岐後の一方の測定光を遅延させることにより,周波数のわずかに異なる2つの測定光P1,P2を得る光源も考えられる。
また,以上に示したヘテロダイン干渉装置A,Aa,Abにおいて,ミラー等によって前記第1の主測定光の組を前記第1の干渉計Q1から測定部位1aの付近へ導くことも考えられる。但し,2つの測定光P1,P2を重ねて(同一光路で)導光する距離を長くすると両測定光P1,P2のクロストークの影響が大きくなる。そのため,ミラー等により導光する場合であっても,前記第1の主測定光の組における2つの測定光を前記第1の干渉計Q1から前記第2の干渉計Q2まで個別の経路(同軸ではない光路)で導くことが望ましい。
また,以上に示したヘテロダイン干渉装置A,Aa,Abは,測定光P1,P2の分岐手段としてビームスプリッタ11,31を備えているが,これらの代わりに偏光ビームスプリッタによって測定光P1,P2を分岐させることも考えられる。但し,偏光ビームスプリッタを用いる場合,分岐後の測定光の偏光を制御する偏光板が必要となる場合がある。
また,以上に示したヘテロダイン干渉装置A,Aa,Abは,前記物体光と前記参照光との光路長の差を任意に(3段階以上)設定するために,前記基準板24の位置を調節する機構を備えるものであった。しかしながら,その代わりに,被測定物1を支持するとともに,その支持位置を前記物体光の光軸方向において任意に調節することにより,前記物体光の光路長を任意に(少なくとも3段階以上)調節する位置調節機構(不図示)を設けることも考えられる。
本発明は,ヘテロダイン干渉装置及びそれを備えた厚み測定装置に利用可能である。
本発明の実施形態に係るヘテロダイン干渉装置Aの構成図。 ヘテロダイン干渉装置Aにおいてクロストークノイズ成分の係数算出の際に特定されるリサージュ曲線及びその座標系の説明に関する図。 ヘテロダイン干渉装置Aによる位相差測定処理の手順の一例を表すフローチャート。 は本発明の実施形態に係る厚み測定装置Bの構成図。
符号の説明
A,Aa,Ab:本発明の実施形態に係るヘテロダイン干渉装置
B :本発明の実施形態に係る厚み測定装置
Q1:第1の干渉計
Q2:第2の干渉計
Q3:第3の干渉計
1 :被測定物
1a,1b:測定部位
2 :二偏波光源
3,11,31:ビームスプリッタ
4 :第1位相検波器
5 :第2位相検波器
6,6’:計算機
20:光ファイバ
P1,P2:測定光
Cr:リサージュ曲線
S1,S2,…:処理手順(ステップ)

Claims (5)

  1. 周波数の異なる2つの測定光が入力され,該2つの測定光の一方を物体光として被測定物の測定部位に反射させるとともに他方を参照光として所定の基準面に反射させ,前記物体光と前記参照光とを干渉させるヘテロダイン干渉装置であって,
    入力された前記2つの測定光の組を第1の主測定光の組及び第1の副測定光の組に分岐させ,該第1の副測定光の組を干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第1のビート信号を検出する第1の干渉計と,
    前記第1の主測定光の組を,前記第1の干渉計から前記測定部位の方へ前記2つの測定光それぞれについて個別の経路で導く導光手段と,
    前記導光手段により前記測定部位の方へ導かれた前記第1の主測定光の組を第2の主測定光の組及び第2の副測定光の組に分岐させ,該第2の副測定光の組を干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第2のビート信号を検出する第2の干渉計と,
    前記第2の主測定光の組における測定光の一方を物体光として前記測定部位に反射させるとともに他方を参照光として前記基準面に反射させ,前記物体光と前記参照光とを干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第3のビート信号を検出する第3の干渉計と,
    前記物体光又は前記参照光の光路長を少なくとも3段階以上調節する光路長調節手段と,
    前記第1のビート信号と前記第3のビート信号の位相差である第1の位相差を検出する第1の位相差検出手段と,
    前記第1のビート信号と前記第2のビート信号の位相差である第2の位相差を検出する第2の位相差検出手段と,
    前記光路長調節手段により前記物体光又は前記参照光の光路長が3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号と前記第3のビート信号と前記第1の位相差とに基づいて,前記第2のビート信号及び前記第3のビート信号に含まれる前記2つの測定光のクロストークに起因するノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数を算出するクロストーク係数算出手段と,
    前記第1の位相差と前記第2の位相差と前記ノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数とに基づいて前記物体光と前記参照光との位相差を算出する目的位相差算出手段と,を具備し、
    前記クロストーク係数算出手段は,
    前記光路長調節手段により前記物体光又は前記参照光の光路長が3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号を参照信号とした前記第3のビート信号についての位相検波信号におけるCOS成分とSIN成分とで描かれるリサージュ曲線を,円若しくは楕円で近似したときの該円又は楕円の中心座標を算出し,該中心座標に基づいて前記ノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数を算出してなることを特徴とするヘテロダイン干渉装置。
  2. 前記導光手段が,前記第1の主測定光の組における2つの測定光を個別に伝播させる2本の光ファイバを有してなる請求項に記載のヘテロダイン干渉装置。
  3. 周波数の異なる2つの測定光の一方を物体光として被測定物の測定部位に反射させるとともに他方を参照光として所定の基準面に反射させ,前記物体光と前記参照光との干渉光のビート信号に基づいて,前記物体光と前記参照光との位相差を測定するヘテロダイン干渉測定方法であって,
    所定の第1の干渉計により,前記2つの測定光の組を第1の主測定光の組及び第1の副測定光の組に分岐させ,該第1の副測定光の組を干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第1のビート信号を検出する第1のビート信号検出工程と,
    所定の導光手段を通じて前記第1の干渉計から前記測定部位の方へ前記2つの測定光それぞれについて個別の経路で導かれた前記第1の主測定光の組を,所定の第2の干渉計により,第2の主測定光の組及び第2の副測定光の組に分岐させ,該第2の副測定光の組を干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第2のビート信号を検出する第2のビート信号検出工程と,
    所定の第3の干渉計により,前記第2の主測定光の組における測定光の一方を物体光として前記測定部位に反射させるとともに他方を参照光として前記基準面に反射させ,前記物体光と前記参照光とを干渉させるとともにその干渉光のビート信号である第3のビート信号を検出する第3のビート信号検出工程と,
    所定の第1の位相差検出手段により前記第1のビート信号と前記第3のビート信号の位相差である第1の位相差を検出する第1の位相差検出工程と,
    前記物体光又は前記参照光の光路長が少なくとも3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号に対する前記第3のビート信号の比と前記第1の位相差とに基づいて,前記第2のビート信号及び前記第3のビート信号に含まれる前記2つの測定光のクロストークに起因するノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数を算出し,その算出結果を所定の記憶手段に記録するクロストーク係数算出工程と,
    所定の演算手段により,前記第1の位相差と前記第2の位相差と前記ノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数とに基づいて前記物体光と前記参照光との位相差を算出する目的位相差算出工程と,を備え、
    前記クロストーク係数算出工程において,
    前記演算手段により,前記物体光又は前記参照光の光路長が3段階以上調節された各状態において検出された前記第1のビート信号を参照信号とした,前記第3のビート信号についての位相検波信号におけるCOS成分とSIN成分とで描かれるリサージュ曲線を,円若しくは楕円で近似したときの該円又は楕円の中心座標を算出し,該中心座標に基づいて前記ノイズ成分の大きさ及び位相に関する係数を算出してなることを特徴とするヘテロダイン干渉測定方法。
  4. 被測定物の厚みを測定する厚み測定装置であって,
    周波数の異なる2つの測定光それぞれを分岐させる基幹光分岐手段と,
    前記基幹光分岐手段により分岐された前記2つの測定光の組がそれぞれ入力され,前記被測定物の表裏相対する部位であるおもて面の測定部位及びうら面の測定部位それぞれについて設けられた請求項1または2に記載のヘテロダイン干渉装置と,
    前記おもて面及び前記うら面の測定部位それぞれについて前記ヘテロダイン干渉装置により算出された前記目的位相差の和に基づいて前記被測定物の厚みを算出する厚み算出手段と,
    を具備してなることを特徴とする厚み測定装置。
  5. 被測定物の厚みを測定する厚み測定方法であって,
    所定の光分岐手段により周波数の異なる2つの測定光それぞれを分岐させ,分岐後の前記2つの測定光の組それぞれを入力光として,前記被測定物の表裏相対する部位であるおもて面の測定部位及びうら面の測定部位それぞれについて請求項に記載のヘテロダイン干渉測定方法による測定を実行し,前記おもて面及び前記うら面の測定部位それぞれについて前記ヘテロダイン干渉測定方法の実行により算出された前記目的位相差の和に基づいて前記被測定物の厚みを算出する厚み算出工程を実行してなることを特徴とする厚み測定方法。
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