JP3873082B2 - 被測定対象物によるファラデー回転角を測定する偏光計及び方法 - Google Patents

被測定対象物によるファラデー回転角を測定する偏光計及び方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光計及び偏光を測定する方法に関し、詳細には被測定対象以外の物によるファラデー回転が測定の際含まれる場合に被測定対象のファラデー回転を測定することができる偏光計及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トカマク装置の運転では、電子密度を常時信頼性高く測定することが必要不可欠である。この目的で、一般に干渉法による密度測定が多数のトカマク装置で行われてきている。大型トカマクの電子密度測定用レーザー干渉計は、その測定原理から来る弱点、即ち、干渉条件がある理由で壊れたとき「フリンジ跳び」と呼ばれる現象を有する。一旦「フリンジ跳び」が生じると、密度信号の信頼性はその後低減されることになる。トカマクの運転では、プラズマの電子密度をフィードバック制御し所定の値に維持することが通常行われる。このとき、多くの場合レーザ干渉計やマイクロ波干渉計がフィードバックの参照信号を生成する電子密度モニタとして用いられている。一般に干渉計ではプラズマ生成時よりの時間発展を追うため、途中、何らかの理由でフリンジ跳びが発生したり、ノイズが混入したりした場合、それ以降のデータの信頼性が低下してしまう。電子密度の信頼性のあるフィードバック制御は正確な密度信号を必要とするので、一層安定なシステムが開発されるべきである。
【0003】
干渉計においては、問題とする時制までの位相シフト信号の時間履歴がその時制に関するデータを得るため通常必要とされる。これと対照的に、偏光計においていずれのサンプリング時間に測定されたファラデー回転角は、個々にデータ、即ち電子密度とレーザー・ビームに平行な磁界との積を提供することができる。垂直コードに沿ったCO2レーザー偏光測定を指向した2、3の研究があるにも拘わらず、予備的なデータのみしか得られなかった。更に、現在のトカマクにおける実際の接線コード偏光測定に関する研究はなかった。従って、トロイダル接線ファラデー回転の有効性を実地で立証することが、国際熱核融合実験炉(ITER)についての密度測定を確立するために必要とされていた。なお、参考として図7にトカマク装置の一つであるJT−60Uの接線コードを示す。
【0004】
トカマク装置におけるレーザ光を光源とする偏光測定の方法としては、従来、ヘテロダイン光干渉検出で偏光角の直交成分強度を計測するもの、レーザ光として右回りと左回りの円偏光レーザを用いるもの、レーザ光の偏光角を電気光学変調器で変調するもの、などがある。しかし、大型トカマクで想定されるようなレーザ光軸の変位による入射レーザ光強度変化や光学部品の劣化によるレーザ光品質の低下などが大きい条件下では、上記の方法では、信頼性の高い計測は困難であると考えられ、また干渉計測との両立が難しくなることが考えられる。
【0005】
また、実際のトカマク装置では、レーザ光のファラデー回転はプラズマによるものの他に真空窓、即ち真空封じきり窓によるものが加算されると考えられ、しかも真空窓によるファラデー回転は計測上無視できないほどの大きさを有する場合がある。この場合、従来の偏光計ではプラズマによるもののみのファラデー回転を測定できないことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、被測定対象物以外の偏光角回転させる物がある場合にも被測定対象物により生じる偏光角回転を測定できる偏光計及び方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に従った偏光計は、波長依存性を有するファラデー回転角を生じさせる被測定対象物であるトカマク装置のプラズマによる当該ファラデー回転角を測定する偏光計であって、2つの異なる波長の光を発生する光源であって、前記被測定対象物と、当該被測定対象物以外の不要物である真空窓であって当該被測定対象物によって生じるファラデー回転角が有する波長依存性と異なる波長依存性を有するファラデー回転を生じさせる不要物とに2つの異なる波長の光を入射する光源と、前記被測定対象物及び不要物を伝搬して出射された前記2つの異なる波長の光の偏光を別々に検出して、前記被測定対象物及び不要物の両方によるファラデー回転角を前記2つの異なる波長のそれぞれについて別々に測定する検出・測定手段と、前記の別々に測定された2つのファラデー回転角を用いて、前記被測定対象物によるファラデー回転角を算出する演算手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に従った方法は、波長依存性を有するファラデー回転角を生じさせる被測定対象物であるトカマク装置のプラズマによる当該ファラデー回転角を測定する方法であって、前記被測定対象物と、当該被測定対象物以外の不要物である真空窓であって当該被測定対象物によって生じるファラデー回転角が有する波長依存性と異なる波長依存性を有するファラデー回転を生じさせる不要物とに2つの異なる波長の光を入射するステップと、前記被測定対象物及び不要物を伝搬して出射された前記2つの異なる波長の光の偏光を別々に検出して、前記被測定対象物及び不要物の両方によるファラデー回転角を前記2つの異なる波長のそれぞれについて別々に測定するステップと、前記の別々に測定された2つのファラデー回転角を用いて、前記被測定対象物によるファラデー回転角を算出するステップとを備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
初めに、本発明の2波長偏光計(2色光偏光計ともいう。)についてトカマク装置におけるプラズマによる偏光を測定する事例で説明する。
【0011】
プラズマにおいて直線偏光レーザー・ビームのファラディー回転角αpはほぼ次のとおり表される。
【0012】
【数1】
Figure 0003873082
ここで、eは電子の電荷、meは電子の質量、ε0は真空の誘電率、cは真空における光の速度、kはレーザー・ビームの波数(2π/λ)、λはレーザーの波長、neは電子密度、B‖(以下この記号はBに‖を下付きとした記号を表すものとする。)はビーム伝搬方向に対して平行な磁界強度をそれぞれ表し、積分はレーザー・ビームの伝搬経路に沿って実行される。
【0013】
通常、測定された回転角は、プラズマによるばかりでなく真空窓によるファラデー回転を含む。
【0014】
【数2】
Figure 0003873082
ここで、Vは窓材料のベルデ定数、B‖wは窓でのビーム伝搬に対して平行な磁界強度、dwは窓の実効的厚さをそれぞれ表す。αwが重大なオフセット成分として無視し得ない場合、αwは測定された回転角から排除されねばならない。この目的のため、異なる波長レーザを有する2つの偏光計により測定し、以下のように書ける回転角α1及びα2のため2波長レーザー偏光計を案出した。
【0015】
【数3】
Figure 0003873082
ここで、下付き文字1及び2は異なる波長を示す。式(3)における積分は容易に以下のように得られる。
【0016】
【数4】
Figure 0003873082
ここで、RVはベルデ定数の比RV=V1/V2である。こうして、真空窓でのファラデー回転成分は2波長偏光計の構成を用いて排除される。ベルデ定数の波長依存性、即ちV2≒(k2/k121が使用のため有効であるとき、式(4)は次のように書き得る。
【0017】
【数5】
Figure 0003873082
上記の2波長構成における実効的な分解能は、信号対雑音比S/Nを考慮することにより評価される。式(5)から、S/Nは、以下のように最後の括弧の精度により決定される。
【0018】
【数6】
Figure 0003873082
ここで、rαは各偏光計の回転角の元の分解能であり、xは波長の比k2/k1であり、rα effは2波長偏光計における回転角の実効的な分解能である。従って、実効的な分解能は元の分解能より(1−1/x2)のファクタだけ小さくなる。
【0019】
以上説明したように、異なる2つの波長レーザを用いることにより、トカマク装置における真空窓により生じる偏光は測定結果から排除され、プラズマによる偏光のみが測定できる。本発明は、上記の説明から明らかなように、用いる光源はレーザに限定されず、いずれの種類の光源でも良い。また、被測定対象物及びそれ以外の偏光させる物もそれぞれプラズマや真空窓に限定されず、偏光を生じさせる物であれば良いことは明らかである。
【0020】
次に、本発明によるトカマク装置の電子密度測定用偏光計の好適な実施形態を説明する。
【0021】
本発明の2波長偏光計に関する上記に示された結果に従って、2波長レーザー偏光計をJT−60U及びITERに対して検討した。表1は、真空窓の数個のパラメータを含むJT−60U及びITERの典型的なパラメータを示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003873082
【0023】
表1の見方は次のとおりである。R0は真空容器の中心の主半径であり、αpはプラズマの副半径である。neは電子密度であり、Bt0はR0でのトロイダル磁界である。Rwは真空窓の位置の主半径であり、B‖wはRwでのレーザー・ビームに平行のトロイダル磁界であり、dwはレーザー・ビームがそこを通るのを経験する真空窓の厚さである。JT−60Uの場合、典型的なプラズマ・パラメータと、現在の2波長CO2レーザー干渉計の幾何学的形状とが選択される。ITERにとって、R0に対する接線を有するトロイダル接線コードが考慮される。Rw及びdwは、JT−60Uにとって適切な半径及び及び同じ厚さであるようそれぞれ選択される。
【0024】
ここで、真空窓の法線が接線ビーム経路に殆ど平行であるように真空窓が向けられている場合を議論する。この場合、トロイダル磁界が、水平磁界よりむしろ真空窓でのファラデー回転に対して検討されるべきである。トロイダル磁界成分が無視し得るにも拘わらず真空窓がそれらの法線が半径方向であるように向けられる場合は議論されない。それは、接線コードを実現するため折り返しミラーが真空容器の内部に設置されねばならないからである。実際の装置においては、トカマク運転によりこれらのミラーの損傷は重大であり得る。偏光計の波長の組み合わせの考慮のため、表2は、可視から遠赤外までの範囲にある波長の幾つかのレーザーに対して評価されたファラデー回転角を示す。
【0025】
【表2】
Figure 0003873082
【0026】
表2において、λはレーザー光の波長であり、αpはプラズマ内でのレーザー伝搬の往復経路に対するプラズマによるファラデー回転角であり、αwは真空窓の材料によるファラデー回転角である。αpの評価に対して、プラズマの空間一様な密度分布が仮定されている。αwの評価に対して、硫化鉛(ZnS)が真空窓の材料であると仮定されている。ここで、ZnSのベルデ定数はλ-2に比例することが仮定されている。
【0027】
JT−60Uにおける2波長CO2レーザー干渉計の経験に基づいて、CO2レーザーの10.6及び9.27μmの2つの異なる波長が考慮される。表2を用いて、YAG緑色レーザー及びYAG−近赤外レーザーが除外される。それは、プラズマ内でのそれらのファラデー回転角が実質的に小さく、一方真空窓でのそれらのファラデー回転角は大き過ぎて容易に測定することができないからである。CH3OHレーザーも、プラズマ内のそのファラデー回転が測定するには大き過ぎるので除外される。COレーザーは使用の可能性があるが、しかしCOガスを取り扱う危険は好ましくない。プラズマ内及び真空窓内の双方における中庸の回転角が、10.6及び9.27μmの2つの異なるCO2波長に対して示されている。従って、それらは、偏光計にとって最も好ましい組み合わせを提供する。当然に、この偏光計は2波長CO2レーザー偏光計と呼ばれるべきであるが当該偏光計は2波長CO2レーザー干渉計と互換性がある。2波長CO2偏光計の〜100のS/NがITERにとって必要とされるとき、式(5)を用いることにより、rα effが0.42°より良くあるべきであり、又はrαは0.1°より良くあるべきである。
【0028】
大型トカマク用の偏光測定は検出器での測定用レーザー・ビームにおけるいずれの変化に対しても感応すべきでない。しかしながら、大型の装置においては、検出器での測定用レーザー・ビームの強度は、幾つかの理由のため、例えば、プラズマ内のレーザー・ビームの屈折、ミラー取り付け構造体の変位及び振動、レーザー・ガイド光学系の伝送低減、発振器の出力パワーの揺らぎ等のため変化する場合がある。ミラー取り付け構造体の変位及び振動はまた測定用レーザーの伝搬ビーム軸のシフトを生じる。これらの問題を考慮し、且つフリンジ跳びのようなエラーを避けるため、干渉信号の偏光面の2つの直交成分を測定する通常の偏光計は適切でない。電気光学変調器を用いる偏光変調技術はまたこの状況においては不利であるように見える。上記技術により得られる回転角は測定用レーザー・ビームの強度に直接関係するので、データの正確さは、レーザー・ビームの強度が著しく変化するとき低減される。従って、本発明者は、大型トカマクについての安定な偏光測定のため1対の光弾性変調器(PEM)を用いる偏光検出を案出した。図1は、本発明の好適な1実施形態によるPEMを用いるCO2レーザー偏光計の概略図を示す。偏光計は、2つの光弾性変調器(PEM1及びPEM2)10及び12、偏光子14、及びHgCdTe検出器16を備える。なお、偏光計としては、光源、この場合はCO2レーザーを有するが、図1には図示していない。各PEM 10及び12はf1(37kHz)及びf2(50kHz)の異なる駆動周波数により駆動され、双方のPEM 10及び12は入射CO2レーザー・ビームの偏光面に対して45°と0°との異なる偏光配位角に整列されている。このように、駆動周波数の異なる2つの光弾性変調器を光軸の回りに45度回転して組み合わせ、1つの検出器で偏光角の2つの直交成分を計測できることが本実施形態の特徴の1つである。検出された信号は、PEM1及びPEM2の駆動周波数に対して2倍にされた周波数、即ち2f1(74kHz)及び2f2(100kHz)に対応する異なるロックイン周波数により2つのロックイン増幅器18及び19により分析される。
【0029】
入射CO2レーザー・ビームの偏光面の回転角は、単純に以下のとおり決定される。
【0030】
【数7】
Figure 0003873082
ここで、αは入射レーザーの偏光面の回転角であり、Vout1及びVout2は2つのロックイン増幅器の出力電圧である。偏光計のこの構成は、光の検出可能な波長を除いて、トカマクにおけるプラズマ電流分布測定のためのモーショナルシュタルク効果偏光計に使用されるものと大部分同じである。即ち、この方式は可視領域ではモーショナルシュタルク効果測定などに実績があるが、炭酸ガスレーザの赤外波長領域(〜10μm)における性能については新たに評価する必要がある。そこで、偏光角検出部の較正試験を行ったところ、ITERで想定されるファラデー回転角〜40度程度までの範囲では、適当な近似関数を用いることにより0.1度以内の偏光角分解能が得られることが分かった。図1に示す構成により、十分な精度でファラデー回転角測定を行えることが期待できる。単一の検出器がレーザー・ビームの偏光角の2つの直交成分を提供するので、偏光計は、PEM1の変調周波数内で測定用レーザー・ビームの伝搬軸及び強度の変化に基本的に感応しない。1対の偏光計は、2波長CO2レーザー偏光計に用いられる。
【0031】
従って、本発明の偏光計は、光弾性変調器を採用することにより、次のとおりの効果を生じる。即ち、
(1)偏光計測において光干渉プロセスが無いので、光干渉に要求される高いレーザ光品質が不要となる。
【0032】
(2)レーザ光の変調が不要なので、構成が簡単になり、また後述するように、干渉計との両立を容易に達成できる。
【0033】
(3)光弾性変調器を1対にした場合には、更に1つの光検出器で偏光角の2つの直交成分を検出し、その信号比により偏光角を測定することができ、これにより入射レーザ光強度及び伝搬軸の変動の影響を受けないようにすることができる。即ち、レーザ出力の揺らぎやミラーの機械的振動変位などによるレーザ受光強度変動及び伝搬軸の変動に影響されない安定した回転角を検出できる。
【0034】
(4)トカマク装置に使用した場合、トロイダル接線方向に伝搬するレーザ光のプラズマによるファラデー回転角を偏光計測することによりプラズマ電子密度を測定できる。特に、ITERにおいては、炭酸ガスレーザ光を光源とした偏光計は、電子密度モニタとして一般的な干渉計より安定な計測が可能である。
【0035】
(5)本発明の偏光計は干渉法によるものと比べて、外来ノイズに影響されにくい。
【0036】
次に、本発明のトカマク装置の電子密度測定用偏光計が干渉計との共用に適したものであることを説明する。
【0037】
従来の技術によれば、前述のように、偏光と干渉を同時に測定する方法としては次の3つが大きく考えられる。1つは、偏光角が互いに直交している2つの干渉計を用い、干渉を計ると共に、干渉させて偏光をも計るものである。2つめは、直線偏波を右回りと左回りの円偏波変調して干渉させて干渉と同時に偏光を計るものである。3つめは、直線偏波の偏光角を時間と共に変えて干渉させ、干渉と同時に偏光を計るものである。これらの方法においては、干渉させること、又は円偏波変調、あるいは偏光角を時間と共に変えることが大変で、偏光と干渉を同時に測定することは容易ではなかった。
【0038】
本発明のトカマク装置の電子密度測定用偏光計を用いて、2つの波を干渉させること、円偏波変調させること、偏光角を時間と共に変えることのいずれもしないで干渉と偏光とを同時に測定することができるようにした本発明の好適な一実施形態を図2に示す。なお、干渉測定系は既知のものである。図2において、参照番号20及び22は、光源である炭酸ガスレーザであり、2つの炭酸ガスレーザは異なる波長、9.27μmと10.6μmとを有する。炭酸ガスレーザ20は干渉と偏光の両方の測定用光源として用いられ、炭酸ガスレーザ22は干渉測定用の光源として用いられている。参照番号24は偏光検出部を示し、該偏光検出部24は、2つの光弾性変調器(PEM1及びPEM2)50及び52、偏光子(P)54、フィルタ56及び検出ユニット58を含む。光弾性変調器50及び52は、図1に示す実施形態における光弾性変調器10及び12のそれぞれと同じである。検出ユニット58は、図1に示す実施形態におけるHgCdTe検出器16及び2つのロックイン増幅器18及び20と同じ構成要素を含む。フィルタ56は、9.27μmのレーザ・ビームを透過し、10.6μmのレーザ・ビームを遮断する。参照番号26は干渉検出部であり、該干渉検出部26は、2つの検出器60及び62、2つのフィルタ64及び66、複数の全反射ミラーTM、9.27μmのみ用の反射器として作用する複数のダイクロイック・ミラーDM、及び複数の半反射ミラーHMを有する。フィルタ64は10.6μmのレーザ・ビームを透過し、9.27μmを遮断し、一方フィルタ66はその逆である。炭酸ガスレーザ20及び22と偏光検出部24及び干渉検出部26との間に設けられた構成要素はそれぞれ次のとおりである。参照符号BE1〜BE3で示される構成要素は遅延光学部に伝搬されるようにレーザ・ビーム・パラメータを変更するためのビーム・エクスパンダーであり、参照符号AOM1〜AOM2は、ヘテロダイン検出のための周波数シフターとして用いられる音響−光学変調器であり、参照符号TMは全反射ミラーであり、参照符号HMは半反射ミラーであり、参照符号MDは9.27μmのみ用の反射器として作用する複数のダイクロイック・ミラーであり、参照符号Lはレンズである。そして、レンズLの後に設けられたビーム・スプリッタ(BS)28は、偏光と干渉とを同時に測定するために特に設けられたものであり、図2に示す本発明の実施形態を特徴付けるものの1つである。該ビーム・スプリッタ28の透過と反射の割合は2:8にされている。参照符号Vis−HeNeは可視HeNeレーザであり、該可視HeNeレーザは光学部品を整列させるため用いられるが、偏光及び干渉を測定するのに直接用いるものではない。
【0039】
炭酸ガスレーザ20及び22からそれぞれの波長で放射されたレーザ・ビームは、ビーム・エクスパンダーBE1及びBE2を介して複数の全反射ミラーTM、半反射ミラーHM及びダイクロイック・ミラーDMに入射され、これらミラーにより2つのレーザ・ビームに分けられ、それぞれ周波数シフターAOM1及びAOM2を介して遅延光学部及びプラズマを通過する測定光と参照光として用いられる。図2において、実線で示すレーザ・ビームの流れは測定光を、破線で示すレーザ・ビームの流れは参照光を示す。遅延光学部及びプラズマを通過した2つの波長のレーザ・ビームはレンズLの後ろのビーム・スプリッタ(BS)28でその約80%が反射されて干渉検出部26に入射され、一方2つの波長のレーザ・ビームである参照光はレンズLの手前の全反射ミラーTMにより干渉検出部26に入射される。干渉検出部26に入射された測定光と参照光とはフィルタ64及び66により一方のみの波長のレーザ・ビームにされて、検出器60及び62に入射され、各検出器で各波長の測定光と参照光の干渉信号が検出され、その結果に基づいて干渉フリンジ量が求められる。なお、異なる2つの波長を用いて測定するのは、被測定系の測定中の位置の変動等による干渉への影響を排除するためであり、原理的には、例えばこのような変動がない又は無視できる場合には1つの波長、即ち1つの光源と1つの検出器でよい。
【0040】
偏光測定においては、プラズマを通過した測定光のみを用いるので、レンズLの手前の全反射ミラーTMにより参照光は全て干渉検出部26に入射させ、測定光のみがレンズLの後のビーム・スプリッタ28で約20%を通過させ、更にダイクロイック・ミラーDMにより測定光のうちの9.27μmの波長のレーザ・ビームが反射されて偏光検出部24に入射される。偏光検出部24においては、図1に示す実施形態と同様にして、偏光が測定される。上述の動作により、従来の方法における容易でない2つの波を干渉させること、円偏波変調すること、時間と共に偏光角を変えることのいずれをも用いることなく、偏光と干渉とを同時に容易に測定できる。
【0041】
なお、図2に示す実施形態においては、偏光測定については1つの波長を用いる例を示したが、2つの波長を用いる場合は偏光検出部24に更に例えば10.6μm用について図示の9.27μmと同様のものを一系列設ければよいことは明らかである。
【0042】
図2に示される測定系で測定されるべきトカマク装置のプラズマによるファラデー回転角を試算した結果を表3に示す。なお、プラズマについては空間一様な密度分布を仮定している。
【0043】
【表3】
Figure 0003873082
【0044】
偏光検出部24単体で較正を行った結果を図3及び図4に示す。図3は、直線性を確認するためのもので、フィッティング関数1として次式が得られ、良好な直線性を示していることが分かる。
【0045】
【数8】
測定角=0.99×設定角+0.53(度)
図4は、精度の確認のためで、フィッティング関数2として次式が得られ、この適切なフィッティング関数により0.1度以下の精度を期待できる。
【0046】
【数9】
測定角=0.95×設定角+6.7×10-4×設定角2
+9.2×10-6×設定角3+0.74 (度)
【0047】
図5は、図2に示される測定系で測定された接線ファラデー回転角(偏光角の変化)の測定結果を示す。この図から、偏光角の変化は同一視線の接線炭酸ガスレーザ干渉計の線密度波形と良く一致しており、従って電子密度を反映し、プラズマによるファラデー回転が正しく測定されていることが分かる。また、図から分解能はほぼ0.1度程度であると言え、目標値を達成している。
【0048】
図6は、図2に示される測定系で測定された各種測定波形を示す。図の(e)は、接線炭酸ガスレーザ光の偏光角検出に初めて成功したこと、また真空窓によると思われるファラデー回転を検出できることを示している。また、入射レーザ光強度が変動しても安定した測定が行えることを確認し、更に偏光を干渉と同時計測することができることを確認し、従って精度の高いプラズマの電子密度測定を行うことが可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明の2波長偏光計は、光源の波長として2つの異なる波長を用いることにより、被測定対象物以外の偏光させる物がある場合にも被測定対象物により生じる偏光を測定できる。
【0050】
本発明のトカマク装置の電子密度測定用偏光計は、偏光検出のため光弾性変調手段を用いることにより、次のとおりの効果を奏する。
【0051】
(1)偏光計測において光干渉プロセスが無いので、光干渉に要求される高いレーザ光品質が不要となる。
【0052】
(2)レーザ光の変調が不要なので、構成が簡単になり、干渉計との両立を容易に達成できる。
【0053】
(3)光弾性変調器を1対にした場合には、更に1つの光検出器で偏光角の2つの直交成分を検出し、その信号比により偏光角を測定することができ、これにより入射レーザ光強度及び伝搬軸の変動の影響を受けないようにすることができる。即ち、レーザ出力の揺らぎやミラーの機械的振動変位などによるレーザ受光強度変動及び伝搬軸の変動に影響されず安定した回転角検出ができる。
【0054】
(4)トカマク装置に使用した場合、トロイダル接線方向に伝搬するレーザ光のプラズマによるファラデー回転角を偏光計測することによりプラズマ電子密度を測定できる。特に、ITERにおいては、炭酸ガスレーザ光を光源とした偏光計は、電子密度モニタとして一般的な干渉計より安定な計測が可能である。
【0055】
(5)本発明の偏光計は干渉法によるものと比べて、外来ノイズに影響されにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な1実施形態による光弾性変調器PEMを用いるCO2レーザー偏光計の概略図である。
【図2】干渉と偏光とを同時に測定することができるようにした本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図3】図2に示す偏光検出部24単体で直線性を確認するため較正を行った結果を示す図である。
【図4】図2に示す偏光検出部24単体で精度の確認のため較正を行った結果を示す図である。
【図5】図2に示される測定系で測定された接線ファラデー回転角(偏光角の変化)の測定結果を示す図である。
【図6】図2に示される測定系で測定された各種測定波形を示す図である。
【図7】トカマク装置の一つであるJT−60Uの接線コードを示す図である。
【符号の説明】
10、12、50、52 光弾性変調器
14、54 偏光子
16 HgCdTe検出器
18、19 ロックイン増幅器
20、22 炭酸ガスレーザ
24 偏光検出部
26 干渉検出部
28 ビーム・スプリッタ
56、62、64 フィルタ
58 検出ユニット

Claims (2)

  1. 波長依存性を有するファラデー回転角を生じさせる被測定対象物であるトカマク装置のプラズマによる当該ファラデー回転角を測定する偏光計であって、
    2つの異なる波長の光を発生する光源であって、前記被測定対象物と、当該被測定対象物以外の不要物である真空窓であって当該被測定対象物によって生じるファラデー回転角が有する波長依存性と異なる波長依存性を有するファラデー回転を生じさせる不要物とに2つの異なる波長の光を入射する光源と、
    前記被測定対象物及び不要物を伝搬して出射された前記2つの異なる波長の光の偏光を別々に検出して、前記被測定対象物及び不要物の両方によるファラデー回転角を前記2つの異なる波長のそれぞれについて別々に測定する検出・測定手段と、
    前記の別々に測定された2つのファラデー回転角を用いて、前記被測定対象物によるファラデー回転角を算出する演算手段と
    を備える偏光計。
  2. 波長依存性を有するファラデー回転角を生じさせる被測定対象物であるトカマク装置のプラズマによる当該ファラデー回転角を測定する方法であって、
    前記被測定対象物と、当該被測定対象物以外の不要物である真空窓であって当該被測定対象物によって生じるファラデー回転角が有する波長依存性と異なる波長依存性を有するファラデー回転を生じさせる不要物とに2つの異なる波長の光を入射するステップと、
    前記被測定対象物及び不要物を伝搬して出射された前記2つの異なる波長の光の偏光を別々に検出して、前記被測定対象物及び不要物の両方によるファラデー回転角を前記2つの異なる波長のそれぞれについて別々に測定するステップと、
    前記の別々に測定された2つのファラデー回転角を用いて、前記被測定対象物によるファラデー回転角を算出するステップと
    を備える方法。
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