JP4894818B2 - 無線通信装置及び車車間通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信装置、及び、無線通信装置が搭載された車両の複数からなる車車間通信システムに関する。
近年、自動車等の車両に無線通信装置を搭載し、無線通信装置を通じて車両間で、車両の位置情報等を交換することにより、車両の安全性を高めたり、交通の流れを円滑にする技術の開発が行われている。
例えば、従来技術としては、先行車両から後続車両に、車両の走行状況に関する情報を転送したり、後続車両から先行車両に、車両の走行状況に関する情報を転送することによって、車両の走行状況に関する情報を車両間で共有し、車間距離の短縮や走行速度の向上を図り、渋滞の解消や道路の利用効率の向上を図る技術が知られている(特許文献1参照)。
この他、従来技術としては、直接通信することができない車両に対してデータを送信する場合に、他車両を中継装置として利用することで通信可能エリアを拡張し、当該車両に対してデータを送信する技術が知られている(特許文献2参照)。
交差点では、高層建造物等が電波障害物となって交差する道路間を走行する車両間で、直接通信を行うことができず、直接通信では互いの存在を認識することができない場合があるが、この場合に、他車両に搭載された無線通信装置を中継装置として活用すると、直接通信では通信することができない車両間でデータ交換をすることができて、互いの車両の存在を認識することができ、車両の安全確保に大変役立つ。
特開平7−115405号公報 特開2007−258898号公報
ところで、他車両の無線通信装置を中継装置として利用して、ある車両から送信されたデータを別の車両に送信する場合には、直接通信と比較して、データの中継をしなければならない分、無線通信装置間でのデータ送受信の回数が増えて、通信トラフィックが増大する。
このような通信トラフィックの増大は、過度になると、データ伝送の遅延を招くため、車両間で互いの車両の認識が遅れがちになり、車両の安全性が低下するといった問題が生じる。
例えば、CSMA(Carrier Sence Multiple Access)方式による無線通信では、複数の無線通信装置間で、共通する回線(チャンネル)を用いて無線通信を行うため、ある車両がデータを送信している場合、他の車両は、その車両のデータ送信が終わるまで、自身の送信対象データを外部に送信することができない。換言すると、このような通信方式においては、単位時間当たりに送受信できるデータの量に、一定度の限界がある。
このため、各車両の無線通信装置が中継装置として機能して、データ転送動作の回数が増大すると、その影響を受け、各車両において円滑にデータを送受信することができなくなってしまうのである。
このような問題は、当然のことながら無線通信装置によるデータ転送動作を減らすことで解消することができるが、やみくもにデータの転送動作を減らすと、直接通信することのできない車両間でのデータ交換が円滑に行われず、互いの認識が遅れたり、認識そのものができなり、車両の安全性を確保することが難しくなってしまう。
特に、車両の衝突回避のためには、衝突の危険性のある直接通信することのできない車両間での通信を適切に行うことが重要であるのに対し、従来技術では、このような衝突の危険性のある車両に対して、通信トラフィックの増大を抑えつつ、適切にデータを転送するのが難しいといった問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、通信トラフィックの増大によるデータ伝送の遅延を抑えつつも、直接通信できない車両間の通信を、他の無線通信装置を中継装置として利用することで実現し、これによって、車両の安全を確保することが可能な技術を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、車載型の無線通信装置であって、予め定められた周期的に到来する複数のタイムスロットの中から、現在時刻に対応するタイムスロットを判別するタイムスロット判別手段と、タイムスロット判別手段の判別結果に従い、自装置を発信源とする送信対象のデータを、予め定められた直接通信用のタイムスロットに対応する時刻に送信するデータ送信手段と、タイムスロット判別手段の判別結果に従い、外部の無線通信装置から受信した外部の無線通信装置を発信源とする転送対象のデータを、直接通信用のタイムスロットとは異なるタイムスロットとして予め定められた中継通信用のタイムスロットに対応する時刻に送信する中継手段と、を備え、自装置を発信源とする送信対象のデータ及び外部の無線通信装置を発信源とする転送対象のデータの夫々を、各データに対して個別に設けられたタイムスロットを通じて送信する構成にされたものである。
更に、本発明の無線通信装置は、当該装置の搭載された自車両が予め定められた中継可能エリアに存在するか否かを判定するエリア判定手段と、エリア判定手段によって自車両が中継可能エリアに存在すると判定されている期間には、中継手段による転送対象のデータの送信動作を許可し、エリア判定手段によって自車両が中継可能エリアに存在しないと判定されている期間には、中継手段による転送対象のデータの送信動作を禁止する転送制御手段と、を備え、転送対象のデータの送信動作(転送動作)を自車両が中継可能エリアに存在すると判定された場合に限って実行する構成にされている。
このように構成された無線通信装置によれば、自装置を発信源とする送信対象のデータ及び外部の無線通信装置を発信源とする転送対象のデータの夫々を、各データに対して個別に設けられたタイムスロットを通じて送信するので、無線通信装置を搭載した車両が密集して、直接通信用のタイムスロットを通じた送信動作の回数が増大しても、それによって、転送動作が遅延することがなく、転送動作を円滑に行うことができる。
即ち、本発明の無線通信装置では、自装置を発信源とする送信対象のデータ及び外部の無線通信装置を発信源とする転送対象のデータの送信タイミングをタイムスロットによって制御しない従来装置と比較して、転送動作を優先的に実行することができるので、直接通信による通信トラフィックの増大により、直接通信することのできない車両間で送受信されるべきデータの中継が滞ることがなく、直接通信することのできない視覚的にも電波的にも死角となっている車両間のデータ通信が遅れることで、車両の衝突危険性が高まるのを防止することができる。
また、本発明の無線通信装置では、中継通信用のタイムスロットにおける通信トラフィックが増大するのを抑えるために、中継手段による転送動作を車両が中継可能エリアに存在する場合に限って許可するようにした。
例えば、交差点に異なる方向から進入する二つの車両A,Bがあり、車両A,Bでは、電波障害物等の影響により直接通信することができない状況を考える。このとき、車両Aに隣接する車両Cに、車両Aから送信されたデータを転送させても、車両Cと車両Aとの位置は、さほどかわらないことから、車両Cによって転送されたデータが車両Bに届く可能性は低い。よって、この場合には、車両Cにデータを転送させても、無駄に通信トラフィックが増大することになる。一方、見通しのいい交差点の中心付近に車両Dが存在する場合、車両Dは、車両Cと比較して、車両Bと通信できる可能性が高いと言える。
即ち、衝突回避を目的として、交差点に異なる方向から進入する車両間のデータ授受を可能とするには、交差点中心付近に存在する車両にデータを中継させたほうが、車両A,B間でのデータ授受が成功する可能性が高まり、効率的に、データを転送することができる。
そこで、本発明では、このような効率的にデータを転送できるエリアを「中継可能エリア」として設定することで、直接通信することのできない死角に位置する車両に対して、通信トラフィックの増大を抑えつつ、適切にデータを転送できるようにしている。
このように、本発明の無線通信装置によれば、直接通信と中継通信とが干渉しないようにタイムスロットを夫々に対して独立して設け、更に、転送動作の実行エリアを、予め定められた中継可能エリアに限定しているので、不要な転送動作によって通信トラフィックが増大してデータ伝送に遅延が生じるのを防止しつつも、衝突回避を目的とした転送動作を適切に行うことができ、従来と比較して、車両の安全性を高めることができる。
従って、本発明の無線通信装置を複数の車両の夫々に搭載し、車両間でデータを授受する車車間通信システムを構成すれば、交差点付近等での死角による衝突の危険性を従来よりも抑制することができて、車両の安全性に優れたシステムを構成することができる(請求項7)。
ところで、中継可能エリアは、交差点を基点とした所定範囲内のエリア(例えば、所定半径内のエリア)に定めることができる。即ち、無線通信装置は、交差点毎に定められた中継可能エリアに自車両が存在するか否かを判定して、当該エリアに存在する場合に限って、データの転送動作を実行する構成にすることができる(請求項2)。尚、ここでいう交差点とは、二本以上の道路が交わる地点のことをいい、合流地点等も含むものとする。
このように中継可能エリアを設定すれば、交差点付近での車車間通信を適切に実行することができ、交差点付近での衝突回避を、無線通信により適切に実現できる。
尚、このような動作を実現するためには、無線通信装置に、中継可能エリアを定めた地図データを記憶させると共に、GPS受信機等の位置検出器を設けて、位置検出器が示す現在位置と地図データが示す中継可能エリアとを比較することにより、中継可能エリアに自車両が存在するか否かを判定するように、エリア判定手段を構成すればよい。
また、中継可能エリアであるか否かの判定基準は、空間(位置座標)で定められる必要はなく、例えば、車両の運動状態によって定められてもよい。車両が停止した場合や車両が減速や徐行した場合には、車両が見通しの悪い交差点等に進入していると推定できるので、車両の運動状態がある状態となったときに、車両が中継可能エリアに存在すると判定して、転送動作を許可するように、転送制御手段を構成しても、交差点付近での衝突回避を、無線通信により適切に実現できる。
また、中継手段は、転送対象のデータの送信動作を、予め設定された確率で実行する構成にされるのがよく、当該無線通信装置には、更に、中継通信用のタイムスロットにおいて外部の無線通信装置から出力される搬送波の信号を検出することによって、当該中継通信用のタイムスロットを通じた外部の無線通信装置による通信量を算出する通信量算出手段と、通信量算出手段の算出結果に従い、中継手段に対して上記確率を設定する設定手段と、を設けるのがよい。
即ち、設定手段は、通信量算出手段によって算出された通信量を指標に、中継手段に設定する確率を決定する構成にされるとよい(請求項3)。具体的に、設定手段は、通信量算出手段によって算出される通信量が大きくなるにつれて、中継手段に、上記確率として、低い値を設定する構成にすることができる(請求項4)。
衝突回避を目的として車車間通信する場合には、各車両に搭載された無線通信装置から、車両の位置情報等を含んだデータを定期的に送信することになるが、それらを全て転送対象のデータとして転送すると、車両が密集している場合に、中継通信用のタイムスロットにおける通信トラフィックが増大して、データ転送を円滑に行うことができなくなる可能性がある。
一方、この種のシステムでは、転送対象のデータを一部間引いて転送しないようにしても、各車両では、送信されてきたデータに基づき、時間分解能は低くなるものの、周辺車両の位置等を把握することができる。換言すると、この種のシステムでは、転送対象のデータを全て転送することで、データ伝送に遅延が生じるよりも、確率的に転送対象のデータの一部が間引いたほうが、周辺車両の位置認識に、悪影響が及びにくい。
このような理由から、本発明では、中継通信用のタイムスロットにおける通信量(通信トラフィック)に応じて上記確率を設定することにより、転送対象のデータを一部間引いて転送しないようにし、通信トラフィックが過度に上昇しないようにしている。
このように構成された無線通信装置によれば、車両(無線通信装置)の密集度が高い場合にも、適切に転送対象のデータを、転送することができて、衝突回避に大変役立つ。
また、上述の無線通信装置には、送信対象のデータとして、自車両の現在位置を表す車両データを生成する車両データ生成手段と、外部の無線通信装置から受信した車両データに基づき、当該車両データの送信元車両の走行レーンが自車両の走行レーンと同一であるか否かを判定するレーン判定手段と、を設けるのがよい。
そして、中継手段は、外部の無線通信装置から受信した車両データの内、レーン判定手段によって送信元車両の走行レーンが自車両と同一ではないと判定された車両データを、転送対象のデータとして選択的に、中継通信用のタイムスロットに対応する時刻に送信する構成にされるとよい(請求項5)。
衝突する危険性は、同一レーンを走行する車両間よりも、異なるレーンを走行する車両間のほうが高いので、同一レーンを走行する車両によって車両データを転送するよりも、異なるレーンを走行する車両によって車両データを転送したほうが、中継通信量を抑えつつも、衝突危険性のある車両に対して効率的にデータを転送することができる。
また、上述した発明は、CSMA(Carrier Sence Multiple Access)方式にて無線通信する無線通信装置に適用することができる(請求項6)。CSMA方式では、共通する搬送波(回線)を使用して、複数の無線通信装置間で通信を行うため、無線通信装置の密集度が高くなると、通信の衝突を回避するための待機時間が長くなって、円滑にデータに送ることができなくなるが、上述の発明によれば、そのような問題を極力回避して、円滑にデータを送信することができる。
以下、本発明の実施例について、図面と共に説明する。図1は、無線通信システム1の構成を表す説明図である。本実施例の無線通信システム1は、無線通信装置100が搭載された複数の車両10によって構成され、交差点における衝突回避を目的として、無線通信装置100を通じ、車両の位置等を記述した車両データ(図4(a)参照)を、車両間で授受する車車間通信システムである。
但し、車両データを授受して衝突を回避しようとしても、車両間で直接通信する程度では、交差する道路を挟むエリアに存在する建造物H等が電波障害物となって、車両データを車両間で適切に授受することができない可能性がある。そこで、本実施例の無線通信システム1では、無線通信装置100で受信した車両データを再出力(転送)することにより、直接通信では不可能な車両間での車両データの授受を実現する(図1参照)。
以下では、他の無線通信装置を介さずに実現される二つの無線通信装置間の通信を「直接通信」と表現し、他の無線通信装置による中継(転送)動作により実現される無線通信装置間の通信を「中継通信」と表現する。
本実施例の無線通信システム1を構成する無線通信装置100は、具体的に、図2に示す構成にされている。図2は、無線通信装置100の構成を表すブロック図である。図2に示す無線通信装置100は、ナビゲーション装置としての機能を備えるものであり、装置全体を統括制御する制御部110と、通信部120と、位置検出器130と、表示装置140と、操作スイッチ群150と、地図データ入力器160と、音出力部170と、を備える。
通信部120は、他の無線通信装置100が備える通信部120と無線通信可能な通信インタフェースとして構成されたものであり、制御部110と協働して、CSMA(Carrier Sence Multiple Access)方式による無線通信を実現する。
CSMA方式では、周知のように、キャリアセンスを行って、回線が予めランダムに設定された待ち時間以上継続して空いていることを確認してからデータを送信する。本実施例の無線通信システム1では、このような方式で、無線通信する。
一方、位置検出器130は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波(GPS信号)を、GPSアンテナを介して受信して、現在地の緯度・経度及び自車両の速度及び進行方位(方向)を検出するGPS受信機131と、自車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ133と、自車両の走行距離を検出する距離センサ135と、地磁気から車両の進行方位を検出する地磁気センサ137とを備え、これらの検出信号を、制御部110に入力する構成にされている。
また、表示装置140は、液晶モニタ等により、カラー表示装置として構成されている。この表示装置140は、制御部110に制御され、現在位置周囲の地図や、ユーザから指定された目的地までの経路等を画面上に表示する他、自車両が交差点に接近すると、交差点周囲の拡大地図を画面上に表示すると共に、この拡大地図に重ねるようにして、周辺車両の位置を表すマークを、画面上に表示する。
また、操作スイッチ群150は、表示装置140と一体に構成されたタッチパネルと、表示装置140の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチと、から構成され、ユーザインタフェースとして機能する。
その他、地図データ入力器160は、図示しない記憶媒体(CD−ROM、DVD、ハードディスク等)に記憶された地図データを制御部110に入力するものである。記憶媒体には、地図データとして、道路の接続関係を表すデータ(リンクデータ及びノードデータ)、地形データ、施設データ等が記憶され、更には、経路案内用の音声データ等が記憶されている。尚、この地図データにおいては、交差点の位置座標がノードデータとして記述されている。
また、音出力部170は、スピーカやアンプを備え、制御部110に制御されて、目的地までの経路に係る案内音声等を出力する。また、制御部110は、CPU111、ROM113、及び、RAM115を備え、ROM113が記憶するプログラムをCPU111にて実行することにより、地図表示機能や経路案内機能、車両データ送信機能等の各種機能を実現する。
例えば、制御部110は、位置検出器130から入力される検出信号に基づいて自車両の位置及び速度及び進行方位を特定し、特定した自車両の位置及び速度及び進行方位の情報を記述してなる車両データ(図4(a)参照)を生成する。そして、生成した車両データを、通信部120を通じ、外部に送信(ブロードキャスト)する。尚、車両データについての詳細は、後述する。
また、制御部110は、通信部120を通じて外部の無線通信装置100から受信した車両データに基づき、自車両周辺にいる車両の位置を特定し、自車両が交差点に接近すると、表示装置140に、交差点周囲の拡大地図を画面に表示させると共に、周辺車両の位置を表すマークを、拡大地図上に表示させる。また、自車両との衝突の危険が高い車両が存在するか否かを判断し、存在すると判断した場合には、音出力部170を通じて、警報を出力する。
この他、制御部110は、周知のナビゲーション装置と同様、自車両周囲の地図を、表示装置140の画面上に表示すると共に、車両乗員から操作スイッチ群150を通じて入力された目的地までの経路を探索して、当該目的地までの経路を表示装置140の画面上に表示する。このような表示によって、目的地までの経路を、車両乗員に案内する。
ところで、制御部110は、ROM113に記録されたプログラムに基づきCPU111にて図3に示す送信制御処理を実行することにより、車両データの送信機能を実現する。図3は、制御部110が、無線通信装置100の起動後、繰返し実行する送信制御処理を表すフローチャートである。
送信制御処理を開始すると、制御部110は、まず、図4(a)に示す構成の車両データを生成する。具体的には、位置検出器130からの入力信号に基づいて特定した自車両の現在位置及び速度及び進行方位の情報と、当該データの生成時刻(現在時刻)の情報と、を含んだ車両データを生成する(S110)。
その後、制御部110は、この車両データを格納した通信パケットを生成する(S120)。生成される通信パケットには、ヘッダ部に、送信元情報として、当該無線通信装置100に対して予め付与された車両IDの情報が記述される。尚、本実施例においては、各無線通信装置100に固有の車両IDが付与されているものとする。
また、S120での処理を終えると、制御部110は、現在時刻が直接通信スロットに対応する時刻であるか否かを判断する(S130)。
ここで、タイムスロットについて、図4(b)を用いて説明する。図4(b)に示すように、本実施例においては、通信サイクルが定められており、通信サイクルに対応する1周期分の期間は、更に、複数のタイムスロットに分割されて定義されている。
具体的に、上記複数のタイムスロットとしては、ガードスロット、直接通信スロット、及び、中継通信スロットが定められており、ガードスロットは、データの送信を禁止する期間、直接通信スロットは、直接通信のみを許可する期間、中継通信スロットは、中継通信のみを許可する期間として定められている。尚、通信サイクルは、例えば、100ミリ秒に設定される。
また、無線通信システム1では、GPS衛星により刻時されGPS信号としてGPS衛星から送信されてくる時刻情報の時間軸(絶対時間)にて、通信サイクルの起点が定められており、無線通信装置100は、GPS受信機131にて特定された現在時刻の情報に基づき、通信サイクルの起点を特定し、無線通信システム1内の他の無線通信装置100と共通する時間軸で同期動作して、タイムスロットを判別する。
即ち、本実施例においては、上述した通信サイクル及びタイムスロットが通信規約により定められ、各車両10の無線通信装置100が、この通信規約に従って動作する。制御部110は、GPS受信機131により受信したGPS信号から現在時刻を特定し、S130にて、現在時刻が通信規約により定められる直接通信スロットに対応する時刻であるか否かを判断する。
そして、現在時刻が直接通信スロットに対応する時刻であると判断すると(S130でYes)、S140に移行し、現在時刻が直接通信スロットに対応する時刻ではないと判断すると(S130でNo)、直接通信スロットが到来するまで待機した後、S140に移行する。
また、S140に移行すると、制御部110は、通信部120を通じ、周知のCSMA方式と同様にして、キャリアセンスを行い、外部の無線通信装置100が通信中であるか否かを判断する(S140)。
即ち、搬送波に対応する周波数帯の信号レベルを検出し、この信号レベルから、外部の無線通信装置100が搬送波を出力している状態であるか否かを把握し、外部の無線通信装置100が搬送波を出力している場合、又は、外部の無線通信装置100が搬送波の出力を停止してから予め設定された待ち時間が経過していない場合には、外部の無線通信装置100が通信中であると判断する(S140でYes)。一方、上記以外の場合には、外部の無線通信装置100が通信中ではないと判断する(S140でNo)。
そして、外部の無線通信装置100が通信中であると判断すると(S140でYes)、S130に移行する。
一方、外部の無線通信装置100が通信中ではないと判断すると(S140でNo)、制御部110は、S120で生成した通信パケットを、通信部120を通じて外部に出力(ブロードキャスト)することによって、自車両の車両データを、自車両周囲に位置する通信圏内の車両10に向けて送信する(S150)。その後、当該送信制御処理を一旦終了する。制御部110は、このような送信制御処理を繰返し実行する。
また、制御部110は、この送信制御処理と並列に、図5に示す受信中継処理を実行することにより、外部の無線通信装置100から受信した車両データを自装置内に取り込むと共に、当該車両データを、送信元と直接通信できない車両に向けて転送する。図5は、制御部110が、CPU111にて繰返し実行する受信中継処理を表すフローチャートである。
制御部110は、図5に示す受信中継処理を開始すると、まず、通信部120を通じて車両データを含むパケットを外部の無線通信装置100から受信するまで待機し(S210)、当該パケットを受信したと判断すると(S210でYes)、S220に移行して、当該受信したパケットに格納された車両データに基づき、当該パケットに対応するレコードを、RAM115に記憶保持する車両データベース(DB)に登録する。
図6は、車両データベースの構成を表す説明図である。図6に示すように、車両データベースは、車両IDと、車両IDに対応する車両の位置、速度及び進行方位の情報と、当該位置等の検出時刻の情報と、を要素に含むレコードの一群からなる。
即ち、S220では、受信パケットのヘッダ部に記述された車両IDを、パケット送信元車両の車両IDとして認識して、この車両IDを記述したレコードであって、受信パケットに含まれる車両データの生成時刻の情報を、検出時刻の情報として記述し、更に、当該車両データが示す位置・速度・進行方位の情報を記述してなるレコードを、車両データベースに登録する。
尚、本実施例では、今回受信したパケットの送信元車両と同一の車両IDのレコードが既に車両データベースに登録されている場合にも、このレコードを保持したまま、今回受信したパケットについてのレコードを、車両データベースに追加登録する。
但し、変形例として、今回受信したパケットの送信元車両と同一の車両IDのレコードが既に車両データベースに登録されている場合には、登録されている同一車両IDのレコードに上書きするようにして、今回受信したパケットについてのレコードを、車両データベースに登録するようにしてもよい。本実施例では、後述するS250において、パケット送信元車両の走行レーンを、車両データベースに蓄積された情報に基づき判定するが、車両データベースで保持する情報の内容を変えても、S250での判定手法が変わる程度である。
S220での処理を終えると、制御部110は、自車両の現在位置及び自車両の走行レーンを特定する(S230)。走行レーンは、例えば、自車両の位置情報を所定時間蓄積しておき、それによって特定される自車両の軌跡及び進行方向と、地図データがリンクデータとして有する道路情報とを比較することで特定することができる。また、別の実施態様として、軌跡を求めることなく、自車両の現時点での位置及び進行方位の情報と、地図データとから、走行レーンを特定することも可能である。
また、S230での処理を終えると、制御部110は、自車両の現在位置の情報に基づいて、地図データが示す中継可能エリア内に、自車両が存在するか否かを判断する(S240)。
尚、本実施例では、地図データを構成するノードデータに、ノードの位置座標Oと、当該ノードデータに対応するノード周辺が中継可能エリアであるか否かを表すフラグと、ノードの位置座標Oを基点とした中継可能エリアの範囲を表す半径Rの情報とが記述されている。即ち、本実施例においては、中継可能エリアが、図7に示すように、位置座標Oと半径Rとによってノード(交差点)を中心とした円形の領域として定められている。
但し、本実施例においては、地図データに含まれる交差点の全てが中継可能エリアに定められている訳ではなく、電波障害物のある通信環境の悪い交差点が設計段階で設計者により選択され、この交差点周囲が中継可能エリアとして、上述したフラグにより地図データ内で定められている。
制御部110は、このような構成の地図データを用いて、S240で自車両が中継可能エリア内に存在するか否かを判断する。そして、自車両が中継可能エリア内に存在しないと判断すると(S240でNo)、当該受信中継処理を一旦終了する。
一方、自車両が中継可能エリア内に存在すると判断すると(S240でYes)、制御部110は、S250に移行し、今回受信したパケットの送信元車両が、自車両の走行レーンと同一レーンを走行しているか否かを判断する。
具体的には、今回受信したパケットに記述されている送信元車両の車両IDに基づいて、車両データベースから、当該車両IDのレコード群を読み出し、読み出したレコードの夫々が示す位置座標及び検出時刻の情報から特定される送信元車両の軌跡及び進行方向と、地図データが示す道路情報とを比較することで、送信元車両の走行レーンを特定し、パケットの送信元車両が、自車両の走行レーンと同一レーンを走行しているか否かを判断する。
尚、本実施例では、互いに反対車線の関係にあるレーンを判別すれば用が足りるので、
片側2車線以上の道路については、同一方向のレーン(車線)を、同じレーンと取り扱って、パケットの送信元車両が、自車両の走行レーンと同一レーンを走行しているか否かを判断する。
そして、パケットの送信元車両が、自車両の走行レーンと同一レーンを走行していると判断すると(S250でYes)、当該受信中継処理を一旦終了し、パケットの送信元車両が、自車両の走行レーンと同一レーンを走行していないと判断すると(S250でNo)、S260に移行する。
また、S260では、中継通信スロットの時間充填率Fを算出する。図8(a)は、時間充填率Fの算出方法に関する説明図である。
具体的には、キャリアセンスを行って、中継通信スロットに対応する期間に、搬送波が検出された時間(搬送波に対応する周波数帯の信号レベルが閾値以上となった時間)Taを算出し、この時間Taと中継通信スロットの時間Trとの比Ta/Trから、時間充填率F=Ta/Trを算出する。
即ち、1周期分の中継通信スロットの全期間において搬送波が検出された場合には、時間充填率F=1を算出し、中継通信スロットの全期間において搬送波が全く検出されなかった場合には、時間充填率F=0を算出する。
尚、キャリアセンスを行って時間Taを算出するまでの処理については、制御部110が、中間通信スロットが到来する度に、当該受信中継処理とは並列に実行する。そして、S260では、直前の中間通信スロットにおいて求められた時間Taに基づいて、時間充填率Fを算出する。
また、時間充填率Fを算出し終えると、算出した時間充填率Fに基づいて、当該時間充填率Fに対応する中継確率Pを設定する。詳述すると、制御部110は、ROM113に時間充填率Fと設定すべき中継確率Pとの対応関係を表すマップ(テーブル)を記憶しており、このマップが示す対応関係に従って中継確率Pを設定する(S270)。
図8(b)は、時間充填率Fと設定すべき中継確率Pとの対応関係を表すマップをグラフ化した図である。図8(b)に示す例によれば、制御部110は、時間充填率Fが、値α(例えば、α=0.15)未満であるとき、中継確率Pを最大値1に設定し、時間充填率Fが、値β(例えば、β=0.2)以上であるとき、中継確率Pを最小値0に設定する。その他、時間充填率Fが値α以上値β未満であるときには、時間充填率Fが増加すると中継確率Pを減少させるようにして、中継確率Pを設定する。
また、S270の処理を終えると、制御部110は、値0以上値1未満の範囲で、乱数M(0≦M<1)を生成し(S280)、S270で設定された中継確率Pが、S280で生成された乱数Mより大きいか否かを判断する(S290)。
そして、中継確率Pが乱数Mより大きいと判断すると(S290でYes)、S300に移行する。一方、中継確率Pが乱数M以下であると判断すると(S290でNo)、S300に移行せずに、当該受信中継処理を一旦終了する。
S300に移行すると、制御部110は、現在時刻が中継通信スロットに対応する時刻であるか否かを判断し、中継通信スロットに対応する時刻である場合には(S300でYes)、S310に移行する。一方、中継通信スロットに対応する時刻でない場合には(S300でNo)、中継通信スロットが到来するのを待って、S310に移行する。
また、S310に移行すると、制御部110は、S140での処理と同様にして、外部の無線通信装置100が通信中であるか否かを判断する。
そして、外部の無線通信装置100が通信中であると判断すると(S310でYes)、S300に移行し、外部の無線通信装置100が通信中ではないと判断すると(S310でNo)、今回外部から受信したパケットを、通信部120を通じて外部に出力(ブロードキャスト)することによって、受信したパケットを、自車両周囲に位置する通信圏内の車両10に向けて送信(転送)する(S320)。その後、当該受信中継処理を一旦終了する。
このようにして無線通信装置100は、自車両が中継可能エリアに存在しないとき、受信パケットを転送せず、自車両が中継可能エリアに存在するときに限って、受信パケットを転送する。更にいえば、受信パケットの送信元車両が自車両と異なる道路又は異なるレーンを走行している場合に限って、受信パケットを転送する。また、転送時には、中継通信スロットを通じた外部の無線通信装置100による通信量を、時間充填率Fで評価して、時間充填率Fに対応する確率(中継確率P)で、受信パケットを転送する。
制御部110は、このような内容の受信中継処理を、通信部120がパケットを受信する度に実行する。また、制御部110は、受信中継処理によって車両データベースに登録されたレコードに基づいて、自車両周辺にいる車両の位置を特定し、上述したように、自車両が交差点に接近すると、表示装置140に、交差点周囲の拡大地図を画面に表示させると共に、周辺車両の位置を表すマークを、拡大地図上に表示させる処理を実行する。また、制御部110は、車両データベースの情報を、車内LANを通じて、自車両内に搭載された運転支援装置200に提供し、運転支援装置200に、周辺車両の分布に基づいた、衝突回避のための運転支援動作を実行させる。
以上、本実施例の無線通信装置100及び無線通信装置100が搭載された複数の車両10からなる無線通信システム1の構成及び動作について説明したが、本実施例によれば、無線通信装置100が、自装置を発信源とするパケットを、直接通信スロットを通じて送信し、外部の無線通信装置100を発信源とする転送対象のパケットを、中継通信スロットを通じて送信するので、無線通信装置100を搭載した車両が密集して、直接通信スロットでの通信トラフィックが増大しても、それによって中継通信スロットの通信トラフィックが増大することがなく、転送動作を円滑に行うことができる。
よって、本実施例によれば、直接通信による通信トラフィックの増大により、従来装置のように、直接通信することのできない車両間で送受信されるべきデータの中継が滞ることがなく、図1に示す右端の車両と下端の車両との関係に代表されるような、直接通信することのできない視覚的にも電波的にも死角となっている車両間のデータ通信が遅れることで、車両の衝突危険性が高まるのを防止することができる。
また、衝突回避を目的として、交差点に異なる方向から進入する車両間のデータ授受を可能とするには、交差点中心付近に存在する車両にデータを中継させたほうが、車両間のデータ授受が成功する可能性が高まる。このような理由から、本実施例では、転送動作を車両が中継可能エリアに存在する場合に限って許可するようにしている。
従って、本実施例によれば、中継通信スロットにおける通信トラフィックが増大するのを抑えて、効率的に、衝突回避に必要なパケットを転送できる。即ち、本実施例によれば、不要な転送動作によって通信トラフィックが増大してデータ伝送に遅延が生じるのを防止しつつも、衝突回避を目的とした転送動作を適切に行うことができ、従来と比較して、車両の安全性を高めることができる。
また、本実施例では、各無線通信装置100から繰返し車両データを送信するので、車両データを一部間引いて転送しないようにしても、各車両10では、送信されてきたパケットに基づき、時間分解能は低くなるものの、周辺車両の位置等を把握することができる。換言すると、本実施例によれば、中継通信スロットが一杯となって転送動作に遅延が生じるよりも、確率的に転送対象のデータの一部が間引いたほうが、周辺車両の位置認識に、悪影響が及びにくい。
このような理由から、本実施例では、受信パケットの転送動作を、設定された確率P(中継確率P)で実行するように無線通信装置100を構成すると共に、当該確率Pを、中継通信スロットの通信トラフィックが増大するほど、低い値に設定するようにしている。従って、本実施例によれば、車両が密集している場合に、中継通信スロットにおける通信トラフィックが増大して、データ転送を円滑に行うことができなくなる可能性を抑えることができて、車両の安全性を高めることができる。
また、本実施例では、受信パケットの送信元車両が走行するレーンと、自車両の走行レーンとが異なる場合に限り、その受信パケットの転送動作を実行するように、無線通信装置100を構成した。
車両同士が衝突する危険性は、同一レーンを走行する車両間よりも、異なるレーンを走行する車両間のほうが高いので、本実施例のように、同一レーンを走行する車両によって車両データを転送するよりも、異なるレーンを走行する車両によって車両データを転送したほうが、中継通信量を抑えつつも、衝突危険性のある車両に対して効率的にデータを転送することができる。従って、本実施例によれば、通信トラフィックを抑えつつも、適切に車両データを車両間で授受することができ、車両の安全確保に大変役立つ。
尚、本発明のタイムスロット判別手段は、S130,S300の処理によって実現され、データ送信手段は、S150の処理によって実現され、中継手段は、S280,S290,S320の処理によって実現されている。
この他、エリア判定手段は、S240の処理により実現され、転送制御手段は、S240にてYesと判断されると、S250以降の処理を実行するが、S240にてNoと判断されると、S250以降の処理を実行せずに、受信中継処理を終了する処理にて実現されている。
また、通信量算出手段は、S260の処理により実現され、設定手段は、S270の処理により実現され、車両データ生成手段は、S110の処理により実現され、レーン判定手段は、S250の処理により実現されている。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、S250の処理を実行し、パケットの送信元車両が、自車両の走行レーンと同一レーンを走行している場合にはS260以降の処理を実行せず、当該受信中継処理を終了するように、無線通信システム1を構成したが、無線通信システム1は、パケットの送信元車両が、自車両の走行レーンと同一レーンを走行しているか否かに拘らず、S250で形式的にNoと判断して、S260以降の処理を実行するように構成されてもよい。
また、上記実施例では、中継通信スロット及び直接通信スロットの時間間隔を固定値としたが、無線通信システム1は、状況に応じて、中継通信スロット及び直接通信スロットの時間間隔を可変に設定する構成にされてもよい。
この他、上記実施例では、GPS信号に含まれる時刻情報を利用して、複数の無線通信装置100間で同期をとるようにしたが、例えば、交差点周囲等に路側機を設けて、当該路側機から同期確立用の信号を出力し、各無線通信装置100が、この信号に基づいて、同期動作するように、無線通信システム1を構成してもよい。
また、上記実施例では詳述しなかったが、転送されてきたパケットを再度他の無線通信装置100に転送する動作を繰返し実行すると、通信トラフィックが増えて好ましくないので、他の装置から転送されてきたパケットについては、S240で形式的にNoと判断することにより、当該パケットを再度転送しないようにするのが好ましい。
具体的には、S320において、転送対象のパケットのヘッダ部に、当該パケットが転送されたパケットであることを示す情報を付加することで、受信先の無線通信装置100では、そのパケットが転送されてきたパケットであることを認識することができて、上述した動作を実現することができる。
無線通信システム1の構成を表す説明図である。 無線通信装置100の構成を表すブロック図である。 制御部110が実行する送信制御処理を表すフローチャートである。 車両データの構成(a)及びタイムスロットの構成(b)を表す図である。 制御部110が実行する受信中継処理を表すフローチャートである。 車両データベースの構成を表す説明図である。 中継可能エリアに関する説明図である。 時間充填率Fの算出方法に関する図(a)及び時間充填率Fと設定すべき中継確率Pとの対応関係を表すマップをグラフ化した図(b)である。
符号の説明
1…無線通信システム、10…車両、100…無線通信装置、110…制御部、111…CPU、113…ROM、115…RAM、120…通信部、130…位置検出器、131…GPS受信機、140…表示装置、150…操作スイッチ群、160…地図データ入力器、170…音出力部、200…運転支援装置

Claims (7)

  1. 車載型の無線通信装置であって、
    通信規約により予め定められた周期的に到来する複数のタイムスロットの中から、現在時刻に対応するタイムスロットを判別するタイムスロット判別手段と、
    前記タイムスロット判別手段の判別結果に従い、自装置を発信源とする送信対象のデータを、前記複数のタイムスロットの内、予め定められた直接通信用のタイムスロットに対応する時刻に送信するデータ送信手段と、
    前記タイムスロット判別手段の判別結果に従い、外部の無線通信装置から受信した外部の無線通信装置を発信源とする転送対象のデータを、前記複数のタイムスロットの内、前記直接通信用のタイムスロットとは異なるタイムスロットとして予め定められた中継通信用のタイムスロットに対応する時刻に送信する中継手段と、
    自車両が予め定められた中継可能エリアに存在するか否かを判定するエリア判定手段と、
    前記エリア判定手段によって自車両が前記中継可能エリアに存在すると判定されている期間には、前記中継手段による前記転送対象のデータの送信動作を許可し、前記エリア判定手段によって自車両が前記中継可能エリアに存在しないと判定されている期間には、前記中継手段による前記転送対象のデータの送信動作を禁止する転送制御手段と、
    を備え、自装置を発信源とする前記送信対象のデータ及び外部の無線通信装置を発信源とする前記転送対象のデータの夫々を、各データに対して個別に設けられたタイムスロットを通じて送信すると共に、前記転送対象のデータの送信動作を自車両が前記中継可能エリアに存在すると判定された場合に限って実行することを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記中継可能エリアは、交差点毎に定められた、当該交差点を基点とした所定範囲内のエリアであることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記中継手段は、前記転送対象のデータの送信動作を、予め設定された確率で実行する構成にされ、
    当該無線通信装置は、更に、
    前記中継通信用のタイムスロットにおいて外部の無線通信装置から出力される搬送波の信号を検出することによって、当該中継通信用のタイムスロットを通じた外部の無線通信装置による通信量を算出する通信量算出手段と、
    前記中継手段に対して前記確率を設定する設定手段と、
    を備え、
    前記設定手段は、前記通信量算出手段によって算出された通信量を指標に、前記中継手段に設定する前記確率を決定すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2記載の無線通信装置。
  4. 前記設定手段は、前記通信量算出手段によって算出される通信量が大きくなるにつれて、前記中継手段に、前記確率として、低い値を設定することを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。
  5. 前記送信対象のデータとして、自車両の現在位置を表す車両データを生成する車両データ生成手段と、
    外部の前記無線通信装置から受信した前記車両データに基づき、当該車両データの送信元車両の走行レーンが自車両の走行レーンと同一であるか否かを判定するレーン判定手段と、
    を備え、
    前記中継手段は、前記外部の無線通信装置から受信した前記車両データの内、前記レーン判定手段によって送信元車両の走行レーンが自車両と同一ではないと判定された前記車両データを、前記転送対象のデータとして、前記中継通信用のタイムスロットに対応する時刻に送信する構成にされていること
    を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の無線通信装置。
  6. CSMA(Carrier Sence Multiple Access)方式にて無線通信して、前記送信対象のデータ及び前記転送対象のデータを、送信することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の無線通信装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の無線通信装置が搭載された複数の車両を備えて、各車両に搭載された前記無線通信装置を通じて車両間でデータを授受することを特徴とする車車間通信システム。
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