JP4890883B2 - SiOx粉を含む成形体および砥石、それを用いた研削方法 - Google Patents

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本発明は、SiOx粉を含む成形体とそれからなる砥石、それらを用いた研削方法に関する。詳しくは、例えばシリコンウェハ、人工水晶、サファイヤ、等の表面を鏡面状態に仕上げる時に用いるSiOx粉を用いて製造した砥石と、それを用いた研削方法に関するものである。
以下、本発明の成形体を砥石に用いる場合について説明する。
被加工材を鏡面に加工するには、いくつかの方法がある。最も一般的な方法は、砥石を用いて研削して形を整えた後、湿式研磨機を用いて粗研磨、仕上げ研磨と次第に用いる砥粒の寸法を小さくして、数回研磨を行い、最終的に鏡面を得る方法であり、鏡面研磨と呼ばれる。
鏡面研磨においては、一般に定盤の上で、遊離砥粒を含むスラリーを供給しながら、定盤と被加工材を相対的に動かしながら行う。しかし、この方法では、砥粒の利用効率が小さく、多くは殆ど研磨に利用されずに廃液側に移行して捨てられることになる。また、砥粒や被加工材の構成成分を含む廃液の処理は、多大なコストがかかる。
加工精度は定盤の精度に依存するので、定盤面の状態チェックや面出しは頻繁に行わなければならず、手間が掛かって効率が悪い。研磨する被加工材の面が大きくなると、定盤は被加工材の約3倍の直径が必要となり、定盤が大きくなるに従って、加工精度を上げることが困難になる。
最近、半導体の製造工程で広く用いられているCMP(Chemical Mechanical Polishing)は、湿式研磨法の一種である。樹脂製の研磨パッドを敷いた定盤を回転させ、定盤の半径より小さい直径のシリコンウェハを回転させながら定盤に押しつけ、そこにコロイダルシリカやセリアのスラリーを供給して研磨する。工業的に確立した方法ではあるが、前記の様な様々な問題点があることが指摘されている。
また最近は、多層配線に膜の剛性が小さい多孔質の低誘電率膜を使うことが検討されており、この場合、誘電率膜に損傷を与えないように、ウェハを定盤に押しつける力を小さくする必要がある。しかし、押しつけ力を小さくすると加工能率が大幅に低下するという問題がある。また、湿式加工では、膜に様々な不純物が吸着しやすく、特性劣化の原因となることが指摘されている。
そこで、遊離砥粒を用いずに、固定砥粒(砥石)を用いて鏡面を得る方法が提案されている。固定砥粒を用いると、砥粒の利用効率向上が期待され、定盤の大きさを小さくでき、砥粒スラリーの供給等の手間が省け、省力化と低コスト化が可能となる。
例えば、特許文献1には、砥粒を電気泳動法によって固定した砥石を円周上に配置したスピンドルと、ウェハを保持するチャックテーブルと、を含む鏡面研削装置が記載されており、乾式でシリコンウェハやGaAs、InP等の化合物から成る半導体ウェハを研削して鏡面を得る例が記載されている。しかし、特許文献1に例示されている、粒径0.1〜10μmの、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド、等の砥粒を用いた場合、ダイヤモンドやアルミナでは、研削性能は優れるが、スクラッチの多い鏡面となりやすいし、シリカを用いた場合は、鏡面は得られるが、研削性能が劣るという問題点があった。
また、非特許文献1には、板状セリア粒子を砥粒として用い、特許文献1と同様に電気泳動法で得た砥石を使って、水晶ウェハを鏡面研削する例が記載されている。この場合、乾式研削では研削能率が小さく実用的でなく、砥石と被加工材に多量の水をかけながら行う湿式研削では、高い研削能率が実現できるが、砥石寿命が短くなるという問題があった。
特開平06−302568号公報 独立行政法人日本学術振興会将来加工技術第136委員会第7回研究会資料、16〜21頁(2005年4月)
上述のように、従来の固定砥粒(砥石)を用いた鏡面研磨技術は、研削性能が劣り、被加工材の表面粗さが粗く、湿式加工のために廃液処理や被加工材の汚染があり、砥石の寿命が短い、等の欠点がある場合があった。
本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、各種砥粒を検討した結果、SiOx粉(x=0.01〜1.8)を用いると、研削性能が高く、被加工材の表面粗さが小さく、しかも乾式で、鏡面加工が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、シリコンウェハ、GaN、InP、SiC等の化合物半導体のウェハ、サファイヤ基板、水晶、石英ガラス、ハードディスク、ロール表面等の鏡面研削に適した、研削性能の高い、被加工材の表面粗さの小さい、乾式で加工可能な、即ち、従来のような多量分散媒を用いることなく、研削性に優れた成形体、特に砥石を提供することにある。また、その砥石を用いて鏡面を得る研削方法を提供することにある。
本発明は、有機質成分と無機質成分とからなる成形体であって、前記無機質成分がSiOx(但し、x=0.01〜1.8)粉からなることを特徴とする成形体、及びSiOx(但し、x=0.01〜1.8)からなる粉末と有機質成分とを原料とし、電気泳動法により製造されたことを特徴とする成形体であり、好ましくは、前記SiOx粉のx値が0.1以上1.4以下であることを特徴とする前記の成形体であり、更に好ましくは、前記SiOx粉の平均二次粒子径が、0.05〜1μmであることを特徴とする前記の成形体である。
加えて、本発明は、前記の成形体からなることを特徴とする砥石、及びSiOx(但し、x=0.01〜1.8)粉を含むことを特徴とする砥石であり、前記砥石を用いて、被削材を乾式鏡面研削することを特徴とする研削方法であり、好ましくは、砥石に紫外線を照射しながら研削することを特徴とする前記の研削方法である。
本発明の成形体は、特性組成のSiOxを含有しているので、研削性能が高く、被加工材の表面粗さが小さく、しかも乾式で、即ち、従来技術で用いられてきたような多量の分散媒を使用せずに、鏡面加工が可能となるという研削性に優れる性質を有し、いろいろな用途の研削材として好適である。そして、本発明の成形体を砥石として用いると、遊離砥粒を含むスラリーを使わずに鏡面が得られるので、砥粒の利用効率が高く、スラリー廃液の処理コストがかからないという一層の利点が得られる。更に、最近量産されつつある直径300mmの大面積ウェハを加工する場合であっても、湿式研磨装置と違って、ウェハより少し大きい定盤を備えた研削加工装置で十分であり、装置の小型が図れるし、加工速度が早く、能率的であるという効果が得られる。加えて、本発明の砥石を用いて乾式加工した場合は、湿式加工の場合に比べて、被加工材の洗浄が容易で、能率的であるという効果が得られる。
本発明は、有機質成分と無機質成分とからなる成形体であって、前記無機質成分がSiOx粉(但し、x=0.01〜1.8)からなることを特徴とする成形体である。
有機質成分とは、セラミックスのバインダーとして用いられる各種高分子材料や、レジンボンド砥石に用いられる樹脂などを指す。例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、アルギン酸ナトリウム、等が挙げられる。このうち、カルボキシセルロース、ポリアクリル酸、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールは、当該成形体を砥石として用いる際に適度にSiOx粉を保持すると共に、過度の脱落が防止でき、高い研削性能が一層得られることから好ましい。
無機質成分は、SiOx粉(但し、x=0.01〜1.8)である。SiOxとは、シリカ(SiO2)に比べると、酸素が少ない不定比化合物である。SiOx粉の作り方は、例えば、特開2001−158613号公報、特開2001−199716号公報、特開2003−206126号公報等に記載されている。各種製造条件により、x値、一次粒径、二次粒径(凝集粒子の粒径)、の異なるSiOx粉を得ることができる。また、製法によってはSiO2や金属シリコンを含む場合があるが、SiOxがおおむね50%以上含まれていれば、本発明の効果は期待できる。
x値が0.01より小さいと、金属シリコンが主成分となるので、粉体が発火しやすくなり、SiOx粉の製造上、また取り扱い上危険である。x値が1.8より大きいと、シリカ(SiO2)と変わらなくなり、成形体を砥石として使用した場合、高い研削性能が得難くなる。本発明では、x値を、好ましくは0.1以上1.4以下、より好ましくは0.15以上1.0以下とすると、より高い研削能率が得られるので好ましい。
x値は、SiOx粉中のSiモル量をJIS−R6124(炭化けい素質研削材の化学分析)に準じて測定し、また酸素モル量をO/N同時分析装置(例えばLECO社製、機種:TC−136)を用いて測定し、それらのモル比から算出することができる。
SiOx粉を構成するSiOx粒子は、通常、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している。本発明者の検討に基づけば、SiOx粒子に基づく研削能率や研削比は二次粒子の大きさに依存し一次粒子の大きさには影響されないので、一次粒子の大きさについてはこれを規定する必要はない。しかし、表面粗さは、研削条件によっては一次粒子径に依存する場合があり、一次粒子径は500nm以下とするのが好ましい。
SiOx粉の平均二次粒子径が、0.05〜1μmであることが好ましい。平均二次粒子径が1μm以下ならば、研削面にスクラッチ痕が入り、被研削材の表面粗さが大きくなることもない。凝集粒子(二次粒子)は研削能率が向上する効果があるので、平均二次粒子径が0.05μm以上であることが好ましい。また、二次粒子の最大直径については用途や被研削材の種類等によっても異なるが、6μm以下であることが好ましく、確実な鏡面に研磨仕上げする場合には2μm以下であることが一層好ましい。
尚、本発明における平均二次粒子径とはメジアン径(50%径、D50とも表す)を指し、動的光散乱法粒度測定装置(例えば、日機装社製ナノトラック、機種:UPA−EX150)、レーザー回折散乱法粒度測定装置(例えば、商品名マイクロトラック、機種:MT3300)を用いて測定することができる。又、前記最大直径とは、前記測定に於いて、累積90%径(D90と表す)を意味する。
本発明は、SiOx(但し、x=0.01〜1.8)からなる粉末と有機質成分とを原料とし、電気泳動法により製造されたことを特徴とする成形体である。
電気泳動法とは、帯電物やイオンを含む電解液に電極を挿入し、電極間に電圧をかけ、帯電物やイオンを移動させる方法のことで、本法で成形体を作るには、電圧をかけた電極上に帯電粒子を堆積させればよい。
粒径が1μm以下の細かな粉体を原料に用い、これより成形体を得る場合、その成形体の均一性において、プレス成形や押し出し成形等の成形方法より、電気泳動法が優れている。また、電気泳動法で作成した成形体は、粒子外周がバインダーで薄く覆われた状態で粒子同士が固着し、かつ、粒子間に空隙ができている。電気泳動法で製造した成形体を砥石として使用すると、成形体の優れた均一性、砥粒粒子間の適度な結合力、砥石内の適度な空隙の存在が、スクラッチの少ない、効率の良い研削を可能とする。
電気泳動法で成形体を製造する場合、バインダーとしてポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アルギン酸等を用いるのが好ましい。中でも、アルギン酸は、適度な結合力と成形体の均一性の点から好ましい。SiOx粉は、好ましくは、前記SiOx粉のx値が0.1以上1.4以下、更に好ましくは、0.15以上1.0以下とすると、より高い研削能率が得られるので好ましい。また、前記SiOx粉の平均二次粒子径が、0.05〜1μmであると、研削能率と表面粗さが両立するので好ましい。
粒子を堆積させる電極の形状に応じて、板状や円筒状の成形体が得られるので、砥石として使用する場合、適当な大きさに切りだして使用すればよい。
また、本発明は、SiOx(但し、x=0.01〜1.8)粉を含むことを特徴とする砥石である。
一般的に、砥石には、結合材の種類によりビトリファイド、レジノイド、ラバー、シリケート、セラック、メタル、電着、セメント、等の種類がある。レジノイド砥石では、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を結合材とし、メタルボンド砥石では、銅、黄銅、ニッケル、鉄などの金属を結合材とし、ビットリファイド砥石では、ケイ酸ソーダ、長石、陶土などの結合材を使用する。本発明のSiOx粉を含む砥石は、これらの何れの種類においても、SiOx粉の特徴に基づいて、加工歪み層の薄い、表面粗さが小さい等の、高い研削性能をもたらすことができる。中でも、レジンボンド砥石やビットリファイド砥石は、鏡面研削加工に向くので好ましい。
これらの砥石は、常法によって製造することができる。例えば、レジンボンド砥石では、SiOx粉とフェノール樹脂を良く混練し、金型を用いて油圧プレス機でプレス成形し、加熱して樹脂を硬化して製造する。ビットリファイド砥石でも、同様に、SiOx粉と結合材を混合し、成形、焼成工程を経ることにより、製造できる。
これらの砥石に用いるSiOx粉は、好ましくは、前記SiOx粉のx値が0.1以上1.4以下、更に好ましくは、0.15以上1.0以下とすると、より高い研削能率が得られるので好ましい。また、前記SiOx粉の平均二次粒子径が、0.05〜1μmであると、研削能率と表面粗さが両立するので好ましい。
本発明は、以上の様に製造した成形体を砥石として用いて、被削材を乾式鏡面研削することを特徴とする研削方法である。
上記したように、SiOx粉を含む砥石は優れた特性を持っており、シリコンウェハ、化合物半導体ウェハ、サファイヤ単結晶基板、各種膜を形成した基板類、水晶、等の面を、鏡面に、しかも、乾式で研削できる。更に、工業的にも十分な研削能率と研削比で、加工面の表面粗さを1nm以下に加工できる。
更に、発明者の検討に拠れば、例えば、特開2001−158613号公報、特開2001−199716号公報、特開2003−206126号公報等に記載されている作り方をしたSiOx粉、特にx値が0.1以上1.4以下のSiOx粉を用いた成形体に、紫外線を照射すると、その理由は不明であるが、成形体の表面の硬さが増すこと、更に、この成形体でできた砥石に紫外線を照射しながら研削すると、研削能率が増すことが見出された。照射する紫外線は、中心波長が405nm以下であれば良く、具体的な紫外線源としては、半導体レーザー、ハロゲンランプ、水銀ランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。また、その照射強度は、成形体表面が硬化するのに十分であることが望ましく、成形体表面で500mW/cm2以上、好ましくは1000mW/cm2以上とするのがよい。
また、研削加工時の雰囲気が、研削性能に影響を与える。本発明において、研削加工時に少量の水、油、或いは研削液等の液体が存在しても構わないし、ガス相に関して水蒸気や他の特定のガスとすることもできる。例えば、研削加工時に酸素ガスを吹き付けると、空気中での研削加工に比べて、研削比が低下するものの、研削能率が向上する効果が得られる。研削加工時の雰囲気は、用途毎に要請される研削特性に応じて適宜選択すれば良い。
<実施例1>
100kVAの単相アーク式加熱炉からなる反応室に、珪石(平均粒径2mm)を20kg充填し、反応室外壁温度が2500℃になるように出力調整し加熱した。発生したSiO含有ガスを黒鉛材料で加工された、長さ300mm、直径250mmの導管を通して析出室に導入し、バグフィルターで生成粉末を捕集した。析出室はSUS304製の外部水冷構造の容器であり、所定温度に冷却して行った。この時、ガス流速は0.4m/sec、冷却速度は2000℃/secであった。
バグフィルターで捕集された粉末について、蛍光X線分析したところ、シリコン以外の金属成分は検出されなかった。更に、SiOxのx値を前記方法に従って測定したところ、1.1であった。また、日機装社製マイクロトラックMT3300を用いて、平均二次粒子径を測定したところ、0.8μmであった。
得られたSiOx粉と蒸留水を用いて、SiOx粉10質量%、アルギン酸ナトリウム2質量%を含むスラリーを調整した。スラリーに直径2mmの銅の棒を差し込み、銅棒が正極となるように直流電圧10Vを印加し、30分間保持した。その後、銅棒を抜き取って、24時間室温で乾燥した。こうして、中心に穴の開いた、直径約8mmのアルギン酸をバインダーとしたSiOx成形体(砥石)を得た。
作成した長さ約6mmの16個の砥石を、直径180mmの台金の円周上に並べ、カップ砥石を作成した。このカップ砥石を、精密平面研削装置(豊田工機製、SG−30)に装着し、直径3インチのシリコンウェハを研削した。シリコンウェハは、ダイヤモンド砥石を用いて研削して、表面粗さ900nmにしたものを用いた。研削条件は、砥石軸回転数1000rpm、ワークテーブル回転数30rpm、切り込み速度1.5μm/min、総切り込み量30μm、スパークアウト2minとし、冷却のため、圧縮空気を吹き付けながら行った。この時、研削能率は0.35nm/(min・mm2)、研削比は1.6であり、得られたシリコンウェハの表面粗さは2nmであった。この結果を表1に示す。
<実施例2>
導管長さを400mm、ガス流速を0.2m/sec、冷却速度を1000℃/secとしたこと以外は実施例1と同様にして、得られたSiOx砥石の研削性能を評価した。x値は1.7、平均二次粒径は1.3μm、研削能率は0.4nm/(min・mm2)、研削比は2.0であり、得られたシリコンウェハの表面粗さは6nmであった。この結果を表1に示す。
<実施例3>
モノシランガス、アルゴンガス、酸素ガス(いずれも、純度≧99.999質量%)を用意し、それぞれのガスを、質量流量制御計を通して、表1に示す流量で、石英ガラス製反応容器(内径50mm×長さ1200mm)に導入した。反応容器は、抵抗加熱式管状炉によって750℃に加熱した。モノシランガスは、アルゴンガスと混合し、石英ガラス製のモノシランガス導入管を通して、反応容器の低温部に吹き出すようにした。また酸素ガスは、石英ガラス製の酸化性ガス導入管を通して、反応容器中央部付近の高温部に供給し、反応容器中央部で反応させるようにした。反応容器内の圧力は、大気圧より若干減圧になるように、排出側に設けた真空ポンプで減圧しつつバルブの開度を調節することによって行った。カートリッジフィルターで捕集したSiOx粉は、前記の方法で測定したx値が1.4、平均二次粒子径が150nmであった。
得られたSiOx粉を用い、実施例1と同様にして作成した成形体から切り出して砥石として使用し、シリコンウェハの研削試験を行った。研削能率は0.17nm/(min・mm2)であり、研削比は0.7であった。得られたシリコンウェハの表面粗さは1nmであった。この結果を表1に示す。
<実施例4〜6>
SiOx粉の合成条件を表1に示すように変えた以外は、実施例3と同様にしてSiOx粉、成形体、砥石を作成し、SiOx粉の分析、研削性能評価を行った。これらの結果を表1に示す。
<実施例7>
実施例5と同様に作成した砥石を用い、高圧水銀ランプを光源とする紫外線照射装置により、ピーク波長が365nmの紫外光を砥石表面で2000mW/cm2になるように照射しながら研削する以外は、実施例1と同様にして、研削性能評価を行った。それらの結果を表1に示す。
<比較例1>
SiOx粉の代わりに市販のシリカ粉(電気化学社製、品種:UFP−80)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、研削性能評価を行った。それらの結果を表1に示す。
Figure 0004890883
<実施例8〜10>
実施例4と同様に作成した砥石を用い、実施例1と同様の方法で表2に示す被加工材を加工して、研削性能評価を行った。それらの結果を表2に示す。
Figure 0004890883
本発明の成形体は、その組成中に特定組成のSiOx粉を含んでいるので、その研削性能が優れる特徴を有し、例えばシリコンウェハ、化合物半導体ウェハ、サファイヤ単結晶基板、各種膜を形成した基板類、水晶、石英ガラス、ハードディスク、ロール表面等の鏡面研削に好適に使用でき、特に砥石とすれば当該用途を廃液処理の不要な乾式で行うことができるので、産業上非常に有用である。更に、本発明の研削方法は、前記特徴のある砥石を用いているので、廃液処理が不要で、高い生産性が実現でき、コストダウンが可能となり、産業上大きな貢献が期待できる。

Claims (8)

  1. 有機質成分と無機質成分とからなる成形体であって、前記無機質成分がSiOx(但し、x=0.01〜1.8)粉からなることを特徴とする成形体。
  2. SiOx(但し、x=0.01〜1.8)からなる粉末と有機質成分とを原料とし、電気泳動法により製造されたことを特徴とする成形体。
  3. 前記SiOx粉のx値が0.1以上1.4以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形体。
  4. 前記SiOx粉の平均二次粒子径が、0.05〜1μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成形体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形体からなることを特徴とする砥石。
  6. SiOx(但し、x=0.01〜1.8)粉を含むことを特徴とする砥石。
  7. 請求項5または6に記載の砥石を用いて、被削材を乾式鏡面研削することを特徴とする研削方法。
  8. 前記砥石に紫外線を照射しながら研削することを特徴とする請求項7に記載の研削方法。
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