JP2003260642A - 鏡面研削方法およびその装置 - Google Patents

鏡面研削方法およびその装置

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JP2003260642A
JP2003260642A JP2002056830A JP2002056830A JP2003260642A JP 2003260642 A JP2003260642 A JP 2003260642A JP 2002056830 A JP2002056830 A JP 2002056830A JP 2002056830 A JP2002056830 A JP 2002056830A JP 2003260642 A JP2003260642 A JP 2003260642A
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grinding
mirror
grindstone
ground
abrasive grains
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Junichi Ikeno
順一 池野
Hideo Shibuya
秀雄 澁谷
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 被研削物の材質に対応したより効率的で精度
の高い水晶等の鏡面研削を可能にした鏡面研削方法およ
びその装置を提供する。 【解決手段】 電気泳動法により被研削物との反応性に
富んだ均一球状活性砥粒14を高分子電解質あるいは非
イオン性高分子からなる結合剤10により均一かつ適度
に調整・制御された結合力により結合した砥石17が、
研削時の砥粒の均一かつ適度の制御されたミクロ剥離に
伴う活性砥粒内もしくは表面物質イオンのメカノケミカ
ル作用によって被研削物16の鏡面研削が歪みのきわめ
て少ない状態で促進される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水晶、シリコン、
サファイア等の鏡面研削が可能な材料の鏡面研削方法お
よびその装置に関するもので、電子(IT)産業、半導
体産業、オプトエレクトロニクス産業分野等に幅広く利
用が可能である。特に、携帯電話、パソコン、計測器等
の多くの製品に使用されている水晶片の鏡面研削に有用
である。
【0002】
【従来の技術】従来の研削加工の概念は引っ掻きによる
材料除去であり、したがって従来の研削法にて鏡面研削
を行うには、砥石の砥粒を小さくして引っ掻き傷を可及
的に小さくする必要があった。しかしこの概念では、引
っ掻き傷が小さくなるとは言え、傷の形成は避けられ
ず、被研削物への変質層の形成も避けられなかった。し
かも、微細な砥粒を使用した場合には、砥粒を結合して
砥石を生成する際に使用される結合剤自身が砥石に目詰
りを引き起こしてしまい、連続ドレッシングを行って常
時目立てを行う必要があった。
【0003】また、従来から鏡面研削仕上げとしては、
バフ研磨に代表される湿式研磨法が知られており広く採
用されている。また、一部ELID研削法なるものも採
用されつつあるが、いずれも湿式法であり、準備調整時
間から研磨作業時間を含めて多大の時間を必要とした。
特に、ELID研削法では、引っ掻き傷を無くすことは
困難な状況にある。したがって、これらの湿式研磨法で
は、依然として微細部品であるIT部品や半導体部品の
鏡面研削を効果的に行うことは困難であった。
【0004】そのようなことから、精密加工用砥石とし
て様々なものが開発・提案されてきた。例えば砥粒の含
有率を異にする砥粒層と樹脂層を交互に層状に配列した
特開平13−198838号公報に開示された第1従来
例のもの、あるいは砥粒微粒子をポリビニールアルコー
ルとアルデヒドとの縮合体等を結合剤として固定した特
開平13−198800号公報に開示された第2従来例
のもの等がある。これらの優れた砥石の出現によって、
高い仕上げ精度と加工速度が実現できることとなった。
しかしながら、これらの従来例にあっては、目詰り防止
のために結合剤についての技術的な解決がなされたもの
に過ぎない。
【0005】したがって、前記従来例のものでは、IT
部品や半導体部品の鏡面研削を効果的に行うには依然と
して不充分であった。特に、IT部品や半導体部品にお
ける被研削物の鏡面研削分野では、例えば、シリコンウ
エハの薄片化はICタグなどのために重要技術であり、
従来より、薄片化されるシリコンウエハの鏡面研削には
ダイヤモンド砥粒を用いた砥石が使用されてきた。しか
し、この鏡面研削は、実際にはシリコンウエハ上に研削
マークが目視ではっきりと確認できてしまい、ポリシン
グのような仕上がりとは異なっていた。しかも、シリコ
ンウエハの裏面研削によってシリコンウエハを数十μm
に薄片化した際、残留歪み(圧縮応力)が大きくてウエ
ハは反り返ってしまうという問題もあった。
【0006】一方、研削加工分野において、シリカ砥粒
等幾つかのSiO2 を主成分とする活性砥粒は、摩擦試
験でシリコンとの化学反応が知られている。しかし従来
μmサイズで球形に近いこれら砥粒は、研磨で全く除去
作用が認められず、研削にも使用されることは無かっ
た。本件発明者等は、従来のダイヤモンド研削に見られ
るような機械的除去に頼る研削をやめ、メカノケミカル
作用を起こしながら鏡面加工する研削手法を研究してい
る。この研究の中で、発明者等は積極的に球形の活性砥
粒を使用して独自の研削砥石を開発し、ガラスビーズ等
比較的ラフな製造工程を得た微粒子を使用したメカノケ
ミカル作用による無歪み鏡面創成(数nmRy)の実現
に成功した。この研削方法は乾式研削でありクリーンな
加工法である。常識では、乾式研削は熱応力の残留が顕
著となり、品質面や砥石の焼けといった問題があった
が、本砥石では全く残留歪みや砥石の焼けは生じなかっ
た。
【0007】そこで、本件発明者等は、上記知見に基づ
いて、被研削物との化学反応を引き起こす物質を予め砥
粒中に含有させ、メカノケミカル反応を最大限引き起こ
すことで高能率で高品質を創生できる新砥粒を用いた砥
石およびその砥石を使用した研削方法およびその装置を
提案した(特願2001−264447)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記提案によって、被
加工物との化学反応を引き起こす物質を予め砥粒中に含
有させて、メカノケミカル反応を最大限引き起こすこと
で、高能率で高品質の研削面を得ることができる上、ま
た、粒の揃いは加工特性に影響せずランダムでよいこと
から、分級する必要もない安価なガラスビーズを使用で
きて低コストで済む画期的な鏡面研削法が実現された。
そして、その中では、砥石組織を構成する微細砥粒を、
本件発明者の既提案(特開2001−49243号公
報)の、砥粒子および結合剤が混合された電界液中での
電気泳動法(EPD)によって層状に結合させて砥石生
成する技術を取り入れている。
【0009】これらの技術により、反応性に富んだ物質
からなる均一微粒子を砥粒としてそれらを多層に積層さ
せ結合された砥石によって、砥粒子が適度にミクロな脱
落を繰り返し、目詰りを引き起こすことなく新鮮な切れ
刃が順次出現することになる。また、脱落した砥粒は遊
離砥粒としてさらに研削に寄与し、該砥粒がメカノケミ
カル反応をさらに促進させて、加工速度が高く、しかも
引っ掻き傷のない鏡面研削が可能となった。
【0010】しかしながら、IT産業の部品に欠かせな
い特に重要な材料である水晶の研削については、現在の
ところ研磨加工に依存しており、長時間を費やして生産
効率が低い現状にある。近年では。超精密研削が盛んに
なってきているが、依然として引っ掻き傷等が残留する
問題点があって、さらに研削条件を絞り込む必要があ
る。しかも、研削でありながら長時間を要するものであ
った。この他、比較的硬質な水晶の研削では、高い温度
が発生するため、ジグと剥離しないような高度の接着技
術が必要とされ、シラノール基による水晶のガラス基板
への張付け法に工夫を凝らす等、困難な課題を抱えてい
た。
【0011】そこで、本発明では、このような従来の鏡
面研削方法の諸課題を解決するとともに、本件発明者等
の前記提案をさらに改良して、適切な砥粒素材および結
合剤の選定と結合力が制御された砥石生成物の実現およ
び研削条件の適正化により、被研削物の材質に対応した
より効率的で精度の高い水晶等の鏡面研削を可能にした
鏡面研削方法およびその装置を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、電気
泳動法によって微粒子の砥粒を結合剤により層状に結合
させて構成した砥石にて被研削物を研削する鏡面研削方
法において、被研削物との反応性に富んだ均一球状活性
砥粒を高分子電解質あるいは非イオン性高分子からなる
結合剤により均一かつ適度に調整・制御された結合力に
より結合した砥石が、研削時の砥粒の均一かつ適度の制
御されたミクロ剥離に伴う活性砥粒内もしくは表面物質
イオンのメカノケミカル作用によって被研削物の鏡面研
削が歪みのきわめて少ない状態で促進されることを特徴
とする。また本発明は、前記研削が乾式で行われること
を特徴とする。また本発明は、前記砥粒が、凝集シリ
カ、単粒シリカ、薄片状シリカ、硫酸バリウム、酸化チ
タン、酸化ニッケル、アルミナ、酸化鉄、酸化セリウム
から選定されたことを特徴とする。また本発明は、前記
結合剤が、アルギン酸塩等の電解質あるいはポリビニー
ルアルコール等の非イオン性高分子から選定されたこと
を特徴とする。また本発明は、前記研削中の被研削物の
加工面に冷風を供給することを特徴とする。また本発明
は、前記砥石を支持する砥石支持手段と、前記砥石によ
って研削される水晶等の被研削物を保持する保持手段と
を備えていることを特徴とする鏡面研削装置にある。ま
た本発明は、前記水晶等の被研削物の加工面に対して冷
風を供給する冷風供給手段を設けたことを特徴とするも
ので、これらを課題解決のための手段とするものであ
る。
【0013】
【実施の形態】以下、本発明の鏡面研削方法およびその
装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の
鏡面研削方法にて使用される砥石の研削挙動の原理概略
図および砥石組織の拡大断面図、図2は本発明の鏡面研
削装置の研削状態の概略図、図3は本発明の鏡面研削方
法にて使用される砥石の生成(作製)方法の原理概略
図、図4は本発明の前提技術となった既提案の鏡面研削
装置の研削状態の概略図である。
【0014】本発明は、電気泳動法によって微粒子の砥
粒を結合剤により層状に結合させて構成した砥石にて被
研削物を研削する鏡面研削方法において、被研削物との
反応性に富んだ均一球状活性砥粒を高分子電解質あるい
は非イオン性高分子からなる結合剤により均一かつ適度
に調整・制御された結合力により結合した砥石が、研削
時の砥粒の均一かつ適度の制御されたミクロ剥離に伴う
活性砥粒内もしくは表面物質イオンのメカノケミカル作
用によって被研削物の鏡面研削が歪みのきわめて少ない
状態で促進されることを特徴とする。つまり、既提案
の、砥石を電気泳動法によって微粒子の砥粒を結合剤に
より層状に結合させて生成するのに、電気泳動法におけ
る砥石生成雰囲気を制御することによって、結合剤によ
る微粒子の砥粒同士の結合力を調整できるように構成す
ることで、メカノケミカル作用(遊離砥粒としては全く
研磨能力を示さない球形のシリカ等は、アルギン酸ナト
リウムで保持して超精密研削装置で研削に用いると、徐
々にワークと摩擦していき、磨耗する。このプロセスに
よりメカノケミカル反応等を発生させることができる)
による研削効率を被研削物の材質に応じて調整できるよ
うにしたものである。
【0015】従来の研削に用いる砥粒は、機械的作用に
よる能率のみを追求し、硬度、靱性が主特性として求め
られてきた。しかし、今日のナノテクノロジーにみられ
る超精密加工では、超精密仕上げ研削の需要が高まって
きており、従来の研削概念では通用しない領域に達して
いる。即ち、機械的作用による研削からメカノケミカル
作用による研削へと仕上げ研削はシフトすべき時期にき
ている。本件発明者は既に、砥粒の中に被加工物との化
学反応を引き起こす物質を予め含有させ、メカノケミカ
ル反応を最大限引き起こすことができる新砥粒を製作提
案した。つまり電気泳動法によって微粒子の砥粒を結合
剤により層状に結合させて砥石を生成するものである。
【0016】以下に詳述する。一部電圧制御手段を除い
て図3に本件発明者の既提案電気泳動法による砥石の生
成方法の原理概略図を示す。砥粒として球形のガラスビ
ーズを使用した例である。ガラスビーズは殆どの金属イ
オンを含有する許容をもった物質であり、ガラスビーズ
内に被加工物との化学反応を引き起こす物質を予め含有
させておくことは容易である。この新砥粒の製造法は、
金属微粒子(例えば、Ce、Al、Au、Ag、Niな
ど)を含む塗料をガラスに塗布して、レーザ光線を照射
した結果、ガラスが溶融しガラスに金属微粒子が混入す
る。さらにレーザの照射時間によってガラス微粒子の凝
集サイズをコントロールし、これにより所望の金属をガ
ラスビーズ内に取り込むことができる。このガラスビー
ズを活性砥粒として使用する。通常、球状の粒子は引っ
掻きのための切れ刃がないとして研削には使用されてい
ないが、砥粒としてガラスビーズを使用することは新し
い提案である。球形のガラスビーズは安価なものであ
り、粒の揃いは加工特性に影響せずランダムで構わず分
級にかかる費用は殆ど発生しない。
【0017】図3において、11は陽極、12は陰極で
あり、これらは直流電源13に接続されている。表面に
結合剤(アルギン酸ナトリウム3wt%等)を付着させ
た球形ガラスビーズ(活性砥粒、SiO2 20wt%、
粒径0.55μm、平均5μm、平均10μm、平均2
0μm等)14を混合した電界液9を容器8内に入れ、
この電界液9中に前記電極11、12を入れ通電する。
1例として、印加電圧10V、通電時間30分、この通
電により、陽極11には電気力によってガラスビーズが
均一に吸着されて砥粒吸着層が形成され、これら砥粒吸
着層が累積されて高密度・高均質(均質とは、砥粒分
散、結合力が均等なこと。結合材は砥粒表面に保護コロ
イドとして付着し、砥粒全体をコートする。この結合材
と砥粒の一対を電気泳動法で凝集させると、砥粒は単純
立法格子を形成するように凝集し、砥粒分散と結合力が
均等になる。)構造の砥石が成形される。なお、砥石の
製造方法としては上記方法に限定されることなく従来公
知の方法によっても製作することができる。
【0018】図4は既提案の鏡面研削装置の研削状態の
概略図で、前記電気泳動法による生成された砥石(EP
D砥石)17を砥石支持手段であるスピンドル15に取
付け、また被研削物であるワーク16を保持手段である
回転自在の支持台20上に固定する。砥石17の位置と
ワーク16との位置関係は図に示すようなオフセットし
た位置とし、スピンドル15(すなわち砥石17)およ
びワーク16を回転させながら、砥石17によりワーク
16表面の鏡面加工を行う(インフィード研削)。従来
のダイヤモンド砥石では、150μmまで薄くしたシリ
コンウエハを加工してシリコンは反り返ったが、前記活
性のEPD砥石17で加工を施したところ、この反り返
ったウエハは研削マークのない鏡面になると同時に反り
も取れ、このことより、メカノケミカル反応による鏡面
創成が可能となっていることがわかった。
【0019】本発明では、図3に示すように、電気泳動
法による電極に印加する電源電圧を電圧制御手段19に
て制御することにより、結合剤10による微粒子の砥粒
14同士の結合力を調整できるように構成することで、
研削時に、固有の砥粒14と被研削物である固有のワー
ク16との間の摩擦力等に応じて、砥粒の均一かつ適度
の制御されたミクロ剥離(剥離の度合いが前記摩擦力等
に応じて異なる)に伴う活性砥粒14内もしくは表面物
質イオンのメカノケミカル作用が制御・調整される。本
発明の鏡面研削方法にて使用する砥石を生成する際の電
気泳動法では、砥粒として、球形シリカ粒子、薄片状シ
リカ粒子、硫酸バリウム、酸チタン、酸化ニッケル等を
用い、結合剤として、アルギン酸塩等の高分子電解質、
ポリビニールアルコール(PVA)等の非イオン性高分
子等を用いた。
【0020】図1は砥石の研削挙動の原理概略図および
砥石組織の拡大断面図で、図面右上に示すように、砥石
17は多数の砥粒14が結合剤10により結合されて均
質な層状組織を形成している。本発明に基づいて生成し
た前記凝集シリカ、単粒シリカ、薄片状シリカ、硫酸バ
リウム、酸化チタン、酸化ニッケル、アルミナ、酸化
鉄、酸化セリウム等の様々な物質の砥粒14からなる砥
石17により、被研削物であるワーク16を研削実験し
た。ワーク16に8インチシリコンを研削した結果、数
nmp・vで鏡面研削できることを見い出した。しか
も、加工変質層がきわめて小さい洗浄であることが明ら
かにされた。一方、硬質の4インチ水晶を研削した結
果、5分で数nmp・vで鏡面が創成できることが分か
った。
【0021】つまり図1において、電極周囲に平行な層
17Bおよび電極に直交する層17Aは層のうち、ワー
ク16に接する層17Aがワーク16の研削に関与し、
固有の材質のワーク16との摩擦により、層17Aの砥
粒子がワーク16の表面を研削しつつミクロな脱落を繰
り返す。このとき、前記電気泳動法による砥石17の生
成時に結合力が調整・制御された層17Aひいては砥粒
14は、ワーク16との摩擦力等に応じて適度に脱落し
て適正な研削が行われる。かくして、目詰りを引き起こ
すことなく新鮮な切れ刃が順次出現するとともに、脱落
した砥粒14は遊離砥粒としてさらに研削に寄与し、該
砥粒がメカノケミカル反応をさらに促進させて、メカノ
ケミカル作用による研削が砥粒と被研削物の材質の組合
せに応じて適正な加工速度により、適切に行われること
となる。
【0022】図2は、比較的硬質の水晶を被研削物とし
た研削に適用した例を示す鏡面研削装置の概略図であ
る。シリカ粒子を砥粒とし、食品であるアルギン酸ナト
リウムを結合剤として砥石を生成したもので、安全性が
高い。しかも、乾式法を採用して研削液等を一切用いな
いので環境にも優しい。本実施の形態では、前記研削中
の被研削物であるワーク16の加工面に、送風機18等
の冷風供給手段から冷風を供給するように構成した。こ
れにより、比較的硬質の水晶等を被研削物とした場合で
も、研削により高温になり易い被研削物を簡素な構造の
冷風供給手段を付加するだけで、ワーク16の温度上昇
を回避して、ワーク16のジグ等との剥離を抑制できる
ので、ワーク16の接着技術に頓着する必要がなくな
る。実験では100°C程度で溶融するワックスで水晶
をジグに取り付けても、ワックスの溶融によるワークの
剥離が生じないので、硬質で研削時に高温になり易いワ
ークの固定技術が他の材料と同様に容易に行える。
【0023】以上本発明の実施形態について説明してき
たが、電気泳動法による砥石の生成形態、砥粒の結合剤
による結合力の調整・制御形態(電極への印加電圧等の
制御、コロイド水溶液による砥石作製において表面張力
の大きい水を用いて蒸発乾燥後の砥石強度を高くした
り、水をアルコールに置換して乾燥後の砥石強度を小さ
くする液体の表面張力を利用した砥石強度調整法、砥粒
の大きさに応じて形成される砥粒隙間が水分の蒸発によ
って引き付けられる力の大きさによる砥石強度制御
等)、球状活性砥粒の形状(球状を好適とするが、同効
の類似形状も選択される)および材質、高分子電解質あ
るいは非イオン性高分子からなる結合剤の種類、活性砥
粒の製造形態(活性砥粒の製造法としてはレーザ使用以
外の方法も採用可能。また、金属イオンを含有できる機
能を有する材料を使用しても同様の効果を達成すること
ができる。)、乾式研削方法の形態、被研削物の加工面
への冷風供給手段の種類および配設形態、砥石支持手段
および被研削物保持手段の形状、形式等は適宜選択でき
る。また前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にす
ぎず限定的に解釈してはならない。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、電気泳動法によって微
粒子の砥粒を結合剤により層状に結合させて構成した砥
石にて被研削物を研削する鏡面研削方法において、被研
削物との反応性に富んだ均一球状活性砥粒を高分子電解
質あるいは非イオン性高分子からなる結合剤により均一
かつ適度に調整・制御された結合力により結合した砥石
が、研削時の砥粒の均一かつ適度の制御されたミクロ剥
離に伴う活性砥粒内もしくは表面物質イオンのメカノケ
ミカル作用によって被研削物の鏡面研削が歪みのきわめ
て少ない状態で促進されることを特徴とするので、前記
電気泳動法による砥石の生成時に結合力が調整・制御さ
れた層ひいては砥粒が、被研削物との摩擦力等に応じて
適度に脱落して適正な研削が行われ、目詰りを引き起こ
すことなく新鮮な切れ刃が順次出現するとともに、脱落
した砥粒は遊離砥粒としてさらに研削に寄与し、該砥粒
がメカノケミカル反応をさらに促進させて、メカノケミ
カル作用による研削が砥粒と被研削物の材質の組合せに
応じて変質を伴うことなく適正な加工速度により、適切
に行われる。
【0025】また、前記研削が乾式で行われる場合は、
研削液等を一切用いないので環境に対して悪い影響を与
えることがない。さらに、前記砥粒が、凝集シリカ、単
粒シリカ、薄片状シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、
酸化ニッケル、アルミナ、酸化鉄、酸化セリウム等から
選定された場合は、電気泳動法を適用して、均質な球状
からなる活性砥石を容易に得ることができる。さらにま
た、前記結合剤が、アルギン酸塩等の電解質あるいはポ
リビニールアルコール等の非イオン性高分子から選定さ
れた場合は、食品でもあるアルギン酸ナトリウムを結合
剤として砥石が生成できて、安全性が高い。
【0026】また、前記研削中の被研削物の加工面に冷
風を供給するように構成した場合は、比較的硬質の被研
削物であっても、温度上昇が抑えられて低温加工が実現
できワークのジグ等との剥離を抑制できる。かくして本
発明によれば、適切な砥粒素材および結合剤の選定と結
合力が制御された砥石生成物の実現および研削条件の適
正化により、被研削物の材質に対応したより効率的で精
度の高い水晶等の鏡面研削を可能にした鏡面研削方法お
よびその装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鏡面研削方法にて使用される砥石の研
削挙動の原理概略図および砥石組織の拡大断面図であ
る。
【図2】同、鏡面研削装置の研削状態の概略図である。
【図3】同、砥石の生成(作製)方法の原理概略図であ
る。
【図4】本発明の前提技術となった既提案の鏡面研削装
置の研削状態の概略図である。
【符号の説明】
8 容器 9 電界液 10 結合剤 11 陽極 12 陰極 13 電源 14 砥粒 15 砥石支持手段(スピンドル) 16 被研削物(ワーク) 17 砥石 18 冷風供給手段(送風機) 19 電圧制御手段 20 保持手段(支持台)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23Q 11/10 B23Q 11/10 F Fターム(参考) 3C047 FF09 GG00 3C049 AA02 AA09 AC04 CA04 CB01 3C063 AA02 AB05 BB01 BC01 CC30 EE01 EE27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気泳動法によって微粒子の砥粒を結合
    剤により層状に結合させて構成した砥石にて被研削物を
    研削する鏡面研削方法において、被研削物との反応性に
    富んだ均一球状活性砥粒を高分子電解質あるいは非イオ
    ン性高分子からなる結合剤により均一かつ適度に調整・
    制御された結合力により結合した砥石が、研削時の砥粒
    の均一かつ適度の制御されたミクロ剥離に伴う活性砥粒
    内もしくは表面物質イオンのメカノケミカル作用によっ
    て被研削物の鏡面研削が歪みのきわめて少ない状態で促
    進されることを特徴とする鏡面研削方法。
  2. 【請求項2】 前記研削が乾式で行われることを特徴と
    する請求項1に記載の鏡面研削方法。
  3. 【請求項3】 前記砥粒が、凝集シリカ、単粒シリカ、
    薄片状シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ニッケ
    ル、アルミナ、酸化鉄、酸化セリウムから選定されたこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の鏡面研削方
    法。
  4. 【請求項4】 前記結合剤が、アルギン酸塩等の電解質
    あるいはポリビニールアルコール等の非イオン性高分子
    から選定されたことを特徴とする請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の鏡面研削方法。
  5. 【請求項5】 前記研削中の被研削物の加工面に冷風を
    供給することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    に記載の鏡面研削方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項1ないし4に記載の砥石を支
    持する砥石支持手段と、前記砥石によって研削される水
    晶等の被研削物を保持する保持手段とを備えていること
    を特徴とする鏡面研削装置。
  7. 【請求項7】 前記水晶等の被研削物の加工面に対して
    冷風を供給する冷風供給手段を設けたことを特徴とする
    鏡面研削装置。
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