JP3128164B2 - メカノケミカル作用を生じる電解ドレッシング用砥石 - Google Patents

メカノケミカル作用を生じる電解ドレッシング用砥石

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JP3128164B2
JP3128164B2 JP04159882A JP15988292A JP3128164B2 JP 3128164 B2 JP3128164 B2 JP 3128164B2 JP 04159882 A JP04159882 A JP 04159882A JP 15988292 A JP15988292 A JP 15988292A JP 3128164 B2 JP3128164 B2 JP 3128164B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解インプロセスドレ
ッシング研削加工に用いられる砥石に係わり、更に詳し
くは、メカノケミカル作用を生じる電解ドレッシング用
砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳鉄ファイバボンドダイヤモンド砥石等
の導電性砥石を用い、この砥石に電圧を印加し、砥石を
電解によりドレッシングする導電性砥石の電解ドレッシ
ング方法及び装置が、本願と同一の出願人による特開平
1-188266号(特願昭63-12305号)に開示
され、電子材料であるシリコン等の半導体材料を鏡面研
削することに成功している。更に、この方法及び装置を
発展させた電解インプロセスドレッシング研削法(El
ectrolytic InprocessDress
ing: 以下Elid研削法という)と呼ばれる方法
及び装置が本願出願人により開発され、発表されている
(理研シンボジウム「鏡面研削の最新技術動向」、平成
3年3月5日開催)。
【0003】このElid研削法は、ワークとの接触面
を有する砥石と、接触面に対向する電極と、砥石と電極
との間に導電性液を流すノズルと、砥石と電極との間に
電圧を印加する電源及び給電体とからなる装置を用い、
砥石と電極との間に導電性液を流しながら、砥石と電極
との間に電圧を印加し、砥石を電解によりドレッシング
するものである。
【0004】このElid研削法によるドレッシングの
機構を図6に示す。砥石の目立て開始時(A)には、砥
石と電極との間の電気抵抗が少なく比較的大きい電流
(5〜10A)が流れる。これにより、電解効果により
砥石表面の金属部(ボンド)が溶解し、非導電性のダイ
ヤモンド砥粒が突出する。更に、通電を続けると、酸化
鉄(Fe23)を主とした絶縁被膜が砥石表面に形成さ
れ、砥石の電気抵抗が大きくなる。これにより、電流が
低下し、ボンドの溶解が減り、砥粒の突出(砥石の目立
て)が実質的に終了する(B)。この状態で研削を開始
する(C)と、被膜が研削屑を遊離しつつ、ワークの研
削につれてダイヤモンド砥粒が摩耗していく。更に研削
を続けると(D)、砥石表面の絶縁被膜が摩耗により除
去され、砥石の電気抵抗が低下し、砥石と電極間の電流
が増大し、ボンドの溶解が増し、砥粒の突出(砥石の目
立て)が再開される。従って、Elid研削法による研
削中には、(B)〜(D)のように被膜の形成・除去に
よりボンドの過溶出が抑えられ、砥粒の突出(砥石の目
立て)が自動的に調整される。(B)〜(D)に示した
サイクルを以下Elidサイクルと呼ぶ。
【0005】上述したElid研削では砥粒を細かくし
てもElidサイクルによる砥石の目立てにより砥石に
目詰まりが生じないので、砥粒を細かくすれば鏡面のよ
うな極めて優れた加工面を研削加工により得ることがで
きる。従って、通常のポリシングと比較すると数十倍の
速度で鏡面を加工することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、電解ドレッシン
グ用砥石に用いられる砥粒は、ダイヤモンドかCBN
(立方晶窒化ホウ素)、すなわちいわゆる超砥粒である
と常識的に考えられていた。これはかかる砥粒は硬度が
極めて高く、あらゆる材料を加工することができるから
である。
【0007】しかし、ダイヤモンド砥粒やCBN砥粒で
あっても砥粒の平均粒径が小さくなると研削能率が低下
する問題がある。例えば、最大面粗さRmax が50
〜60nm以下の鏡面を得るには、#8000(平均粒
径1.76μm)のダイヤモンド砥粒を用いる必要があ
り、この砥石による加工は#2000(平均粒径6.8
8μm)の砥石による加工と較べて加工時間が数倍必要
になる。更に、鏡面を得るには、目の粗い砥石から目の
細かい砥石に順次変えていく必要があり、所望の鏡面を
得るのに加工工数が多くなる問題があった。
【0008】一方、鏡面を得る別の手段として、クロス
ポリシング用のポリシ液に砥粒とともに化学液を混入し
て、化学研磨と機械的研磨を併用するメカノケミカルポ
リシングが知られている。しかし、このメカノケミカル
ポリシングは、ポリシング用の布に付着したポリシ液中
の砥粒により加工するため、加工速度が極めて遅く、上
述したElid研削と比較すると50〜100倍の加工
時間が必要になる問題があった。更にかかるメカノケミ
カルポリシングではポリシ液中に懸濁している多量の砥
粒により研磨機等の摺動面が傷付けられ、また懸濁液に
より周囲が汚れる問題があった。
【0009】本発明は、かかる問題を解決するために創
案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ダイ
ヤモンド砥粒を含む砥石以上に高能率であり、かつ鏡面
を加工することができる電解ドレッシング用砥石を提供
することにある。更に、本発明の目的は、高価なダイヤ
モンド砥粒を用いることなく高い研削能率で鏡面を加工
することができる電解ドレッシング用砥石を提供するこ
とにある。
【0010】更に、本発明の目的は、摺動面を傷付け
ず、周囲を汚さない電解ドレッシング用砥石を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、電解ドレッシ
ング用砥石のダイヤモンド砥粒に代えてメカノケミカル
作用を生じる金属酸化物の砥粒を用いることにより、化
学的除去作用と機械的研削を併用できることに着目した
ものである。更に、本発明の発明者は、メカノケミカル
作用を生じる金属酸化物は、ダイヤモンド砥粒に較べる
と硬度は低いが、ダイヤモンド砥粒に較べて形状が尖っ
ていないので、メカノケミカル作用による化学的除去と
併用すると、比較的大きい粒子で高能率に鏡面が加工で
きることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づ
くものである。
【0012】すなわち、本発明によれば、砥石と電極と
の間に導電性液を流しながら、砥石と電極との間に電圧
を印加し、砥石を電解によりドレッシングする電解イン
プロセスドレッシング研削用の導電性砥石であって、
カノケミカル作用を生じる酸化セリウム(CeO 2
らなる砥粒と、該砥粒を保持する金属結合材とからな
り、該金属結合材は、鉄粉、鋳鉄粉、コバルト粉から選
択され、前記結合材に微量の焼結助材が添加されること
を特徴とするメカノケミカル作用を生じる電解ドレッシ
ング用砥石が提供される。
【0013】本発明の好ましい実施例によれば、前記砥
粒の粒径は、加工面の同一の面粗さに対して、ダイヤモ
ンド砥粒より大きく、かつ砥粒の集中度が、ダイヤモン
ド砥石よりも大きい。 また、#2000(平均粒径6.
88μm)にほぼ相当する相対的に粗い酸化セリウム
(CeO 2 )の砥粒を鋳鉄粉からなる結合材で保持し、
焼結助材としてカーボニル鉄粉を用い、砥粒の集中度を
相対的に密な100〜200とするのが よい。
【0014】
【作用】上記、本発明による電解ドレッシング用砥石は
メカノケミカル作用を生じる砥粒を含んでいるので、こ
の砥粒によりメカノケミカル作用を生じさせることがで
きる。また、この砥粒は金属結合材により保持されてい
るので、上述したElidサイクルを用いたElid研
削を行うことができる。
【0015】メカノケミカル作用は、研削面に押付けら
れたメカノケミカル作用を生じる金属酸化物が一種の触
媒として作用し、シリコンやガラスの被研削材が水分子
と界面反応を起こして共有結合するものと考えられてい
る。この結果、研削面は軟化し硬度の低い砥粒でも比較
的容易に加工できるようになる。従って、メカノケミカ
ル作用を生じる金属酸化物は、ダイヤモンド砥粒に較べ
ると硬度は低いが、メカノケミカル作用による化学的除
去と併用すると、高能率に加工することができ、かつダ
イヤモンド砥粒に較べて形状が尖っていないので、比較
的大きい粒子で鏡面を得ることができる。
【0016】従って、上記本発明の砥石によれば、メカ
ノケミカル作用を生じる被研削材であれば、ダイヤモン
ド砥粒を含む砥石以上に高能率に鏡面を加工することが
できる。また、かかる砥粒は、ポリシング等に従来から
大量に使用されているものであり、ダイヤモンド砥粒に
較べるとはるかに安価である。従って、高価なダイヤモ
ンド砥粒を用いることなく高い研削能率で鏡面を加工す
ることができる。
【0017】更に、本発明による砥石を用いるElid
研削では導電性液に砥粒を混入させないので、研削に用
いられた少量の砥粒のみが液中に混じるだけであり、摺
動面を傷付けたり、周囲を汚ごすことがない。
【0018】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を説明する。本
発明によるメカノケミカル作用を生じる電解ドレッシン
グ用砥石は、Si等の半導体基板、ガラス,サファイヤ
等の光学部品、フェライト等の磁気ヘッド、水晶、サフ
ァイヤ等の宝石、並びにCr32、Si34、SiC等
のセラミックを研削するのに特に適している。これらの
被研削材は、メカノケミカル作用による研削能率が高
く、かつダイヤモンド等の超砥粒を用いると傷が付きや
すい。
【0019】本発明による砥石は、メカノケミカル作用
を生じる金属酸化物からなる砥粒と、この砥粒を保持す
る金属結合材とからなる。メカノケミカル作用を生じる
金属酸化物としては、酸化セリウム(CeO2)、酸化
クロム(Cr23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、
酸化ケイ素(SiO2)等が特に適している。なお、こ
れ以外の金属酸化物であっても、メカノケミカル作用を
生じる金属酸化物であれば同様に適用することができ
る。
【0020】金属結合材としては、鉄粉、鋳鉄粉、コバ
ルト粉、等が特に適しているが、これに限られるもので
はなく、焼結して砥粒を保持できる導電性金属であれば
よい。更に、金属結合材に微量の焼結助材を添加するの
がよい。この焼結助材としては、カーボニル鉄粉が特に
適しているが、これに限られるものではない。
【0021】次に、本発明による砥石の製造方法を説明
する。まず、メカノケミカル作用を生じる金属酸化物か
らなる砥粒と、この砥粒を保持するための金属結合材と
を混合して混合粉末を作る。メカノケミカル作用を生じ
る金属酸化物は、上述した酸化セリウム(CeO2)、
酸化クロム(Cr23)、酸化ジルコニウム(Zr
2)、酸化ケイ素(SiO2)から選択する。砥粒の粒
径は、加工面の所望の面粗さにより適宜選択するが、ダ
イヤモンド砥粒の場合よりも大きい砥粒を用いることが
できる。例えば、最大面粗さRmaxが60nm以下の
鏡面を得る場合には、#2000(平均粒径6.88μ
m)の砥粒が適している。この粒径は同一粗さの鏡面を
得るのに必要なダイヤモンド砥粒(#4000,平均粒
径4.06μm以下)と較べると数倍大きい。このよう
に粒径の大きい粒子を用いることにより研削能率を高め
ることができる。
【0022】一方、金属結合材は、鉄粉、鋳鉄粉、コバ
ルト粉から選択される。また、金属結合材には微量の焼
結助材、好ましくはカーボニル鉄粉を添加する。これに
より焼結性を改善し砥粒保持力と砥石強度を高めること
ができる。メカノケミカル作用を生じる砥粒の量は、集
中度が50〜200(約2.2〜8.8カラット/cm
3)であるのが良く、特に、100〜200であるのが
良い。通常のダイヤモンド砥石の集中度50〜100よ
りも大きい集中度を用いることにより、ダイヤモンドに
較べて硬度の低い砥粒にもかかわらず高い研削能率の砥
石を得ることができる。また、ダイヤモンド砥石と同等
の50〜100の集中度であっても、被研削材によって
は十分高い研削能率を発揮することができる。
【0023】次いで、得られた混合粉末を所定の雌型内
で圧縮成形して成形体を作る。この圧縮成形工程は、面
圧6〜8t/cm2で行うのが良い。雌型の凹部形状
は、矩形、円形、扇形、楕円等のいずれでも良い。大面
積を均一な面圧で加圧するのは、一般に困難であり、ま
た、大面積を一度で加圧するには非常に大きな出力のプ
レス装置を必要とするので、雌型の寸法は、砥石の接触
面を小さい面積に分割した形状(セグメント)にしても
良い。
【0024】次いで、得られた成形体を焼結する。この
焼結は、アルゴン(Ar)、窒素(N2)ガス等の不活
性ガス中で1000°C以上の温度、好ましくは110
0〜1150°Cで行う。砥石を寸法の小さい断片、す
なわちセグメントとし、このセグメントを台板上に導電
性接着剤により接着し、所望の砥石を得ても良い。この
製造方法により、小さいセグメントから大きい砥石を製
造することができる。かかる場合には、台板を貫通して
セグメントまで達する小孔を複数設け、この小孔にハン
ダ等の低融点金属を流し込んでセグメントと台板との間
の導電性を高めるのが良い。この方法により導電性の低
い接着材を用いることができ、安価に砥石を製造するこ
とができる。
【0025】次に本発明による砥石を用いる研削装置を
説明する。図1は本発明による砥石を用いて平面研削を
行う装置の全体構成図である。この図において、2は、
垂直な軸線を有するほぼ円板状の導電性砥石であり、図
示しない駆動装置により加工面4を上にして軸線のまわ
りに回転可能に取付けられている。砥石2の上方には、
加工機の回転可能な駆動軸6が図示しない加工装置の上
部ヘッドに設けられている。駆動軸6は、水平方向及び
/又は垂直方向に移動できるようになっている。駆動軸
6の下面には、通常周知の仕方で被加工物すなわちワー
ク8が固定される。砥石2の上面すなわちワーク8との
接触面4は、水平な切削面であり、回転する接触面4が
ワーク8と接触することにより、ワーク8を切削する。
【0026】砥石2のワーク8と接触しない部分の上方
には、電極10が砥石2の接触面4に対向して隙間を隔
てて設けられている。また、砥石2の周囲には複数のノ
ズル12が設けられ、供給パイプ14を介して砥石2と
電極10との間に弱導電性である研削液すなわちクーラ
ントを流すようになっている。ノズル12は、砥石2と
ワーク8との間にもクーラントを流すように設けるのが
好ましい。
【0027】更に、この装置には電源16が設けられ、
砥石2の下面に接触するようになった給電体18を介し
て砥石2に+の電圧を印加し、一方、電極10に−の電
圧を印加できるようになっている。なお、給電体18を
砥石2の側面に接触するように設けても良い。また電源
16は、パルス電源或いはパルスと直流を混在させた電
源が好ましい。
【0028】図2は、本発明による砥石を用いて内面研
削を行う装置の全体構成図である。この図において図1
と共通する部品には同一の符号を付している。図2にお
いて、ターニングセンタ加工機の回転チャック1にワー
ク8を取付け、また、これに対向し往復駆動が可能なチ
ャック(図示せず)に軸付砥石2を取付ける。軸付砥石
の軸部には給電用電極すなわち給電体18を接触させ
る。電解ドレス用電極10は、図示しない研削機械の一
部に固定して支持されている。クーラントは砥石と電極
の隙間に供給される。
【0029】図2の内面研削装置は、ワーク8の回転方
向と逆方向に前記砥石を回転させ、切り込みと送りをか
けて研削を行い、一方、砥石を軸方向に反復駆動させ
て、砥石がワーク8から出たときに砥石2と電極10と
の間で電解ドレッシングを行う。このように、電解ドレ
ッシングと研削加工とを交互に行うことにより比較的小
径の孔であってもElid研削を行うことができる。
【0030】実施例1 上述した平面研削装置(図1)を用いて、本発明による
メカノケミカル作用を生じる電解ドレッシング用砥石に
よる平面研削試験を実施した。試験に用いた砥石は、#
2000の酸化セリウム(CeO2)の砥粒を鋳鉄粉か
らなる金属結合材で保持したものであり、上述した製造
方法により、焼結助材としてカーボニル鉄粉を用い、砥
粒の集中度を150にして砥石のセグメントを製造し
た。次いで、このセグメントを台板上に接着剤により接
着して直径250mmの円板状の砥石を得た。また、台
板を貫通してセグメントまで達する小孔を複数設け、こ
の小孔にハンダを流し込んでセグメントと台板との間の
導電性を確保した。
【0031】被研削材として、シリコン(Si)の単結
晶板を用い、研削は従来と同一の電源を用いて Eli
d 研削を行った。得られた研削面の粗さ曲線を図3に
示す。この図において、縦の矢印は50nmの幅を示し
ている。この図から明らかなように、本発明による砥石
により非常に滑らかな鏡面が得られた。鏡面の最大面粗
さRmaxは20nmであった。この面粗さは、#10
000のダイヤモンド砥粒の砥石を用いた場合(Rma
x〜30nm)かそれ以上の微粒砥石を用いた場合に匹
敵するものである。また、研削速度は、#2000のダ
イヤモンド砥粒の砥石とほぼ同等であり、#4000〜
#10000のダイヤモンド砥粒の場合よりも高能率に
行うことができた。
【0032】実施例2 上述した内面研削装置(図2)を用いて、本発明による
メカノケミカル作用を生じる電解ドレッシング用砥石に
よる内面研削試験を実施した。試験に用いた砥石は、#
2000の酸化セリウム(CeO2)の砥粒を鋳鉄粉か
らなる結合材で保持したものであり、上述した製造方法
により、焼結助材としてカーボニル鉄粉を用い、砥粒の
集中度を150にして砥石を製造した。また、比較のた
めに#2000のダイヤモンド砥粒を用いた砥石も使用
した。
【0033】被研削材として、光学ガラス(BK−7)
を用いた。得られた研削面の粗さ曲線を図4及び図5に
示す。図4は#2000のダイヤモンド砥粒の砥石によ
る研削面の面粗さ曲線であり、図中の縦の矢印は500
nmの幅を示している。一方、図5は#2000の酸化
セリウム(CeO2)の砥粒の砥石による研削面の面粗
さ曲線であり、図中の縦の矢印は50nmの幅を示して
いる。すなわち、図4と図5とでは、縦の矢印の大きさ
が10倍相違している。
【0034】図4と図5から明らかなように、ダイヤモ
ンド砥粒の砥石に較べて本発明による砥石の研削面は非
常に滑らかな鏡面が得られた。すなわち、ダイヤモンド
砥粒の砥石の場合の最大面粗さRmax は約600n
m(0.606μm)であるのに対して、本発明の砥石
による鏡面の最大面粗さRmax は約44nmであっ
た。この面粗さは、#8000のダイヤモンド砥粒の砥
石を用いた場合に匹敵するものである。また、研削速度
は、#2000のダイヤモンド砥粒の砥石と同等であっ
た。
【0035】上述したように、本発明による電解ドレッ
シング用砥石はメカノケミカル作用を生じる砥粒を含ん
でいるので、この砥粒によりメカノケミカル作用を生じ
させることができる。また、この砥粒は金属結合材によ
り保持されているので、上述したElidサイクルを用
いたElid研削を行うことができる。メカノケミカル
作用は、研削面に押付けられたメカノケミカル作用を生
じる金属酸化物が一種の触媒として作用し、シリコンや
ガラスの被研削材が水分子と界面反応を起こして共有結
合するものと考えられている。この結果、研削面は軟化
し硬度の低い砥粒でも比較的容易に加工できるようにな
る。従って、メカノケミカル作用を生じる金属酸化物
は、ダイヤモンド砥粒に較べると硬度は低いが、メカノ
ケミカル作用による化学的除去と併用すると、高能率に
加工することができ、かつダイヤモンド砥粒に較べて形
状が尖っていないので、比較的大きい粒子で鏡面を得る
ことができる。
【0036】
【発明の効果】従って、上記本発明の砥石によれば、メ
カノケミカル作用を生じる被研削材であれば、ダイヤモ
ンド砥粒を含む砥石以上に高能率に鏡面を加工すること
ができる。また、かかる砥粒は、ポリシング等に従来か
ら大量に使用されているものであり、ダイヤモンド砥粒
に較べるとはるかに安価である。従って、高価なダイヤ
モンド砥粒を用いることなく高い研削能率で鏡面を加工
することができる。
【0037】更に、本発明による砥石を用いるElid
研削では導電性液に砥粒を混入させないので、研削に用
いられた少量の砥粒のみが液中に混じるだけであり、摺
動面を傷付けたり、周囲を汚ごすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による砥石を用いる平面研削装置の全体
構成図である。
【図2】本発明による砥石を用いる内面研削装置の全体
構成図である。
【図3】本発明による砥石によるシリコン結晶板の研削
面の粗さ曲線である。
【図4】#2000のダイヤモンド砥粒の砥石による研
削面の面粗さ曲線である。
【図5】#2000の酸化セリウム砥粒の砥石による研
削面の面粗さ曲線である。
【図6】Elid研削法におけるElidサイクルを示
す説明図である。
【符号の説明】
1 回転チャック 2 導電性砥石 4 加工面 6 駆動軸 8 被加工物 10 電極 12 ノズル 14 供給パイプ 16 電源 18 給電体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24D 3/00,3/06,3/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥石と電極との間に導電性液を流しなが
    ら、砥石と電極との間に電圧を印加し、砥石を電解によ
    りドレッシングする電解インプロセスドレッシング研削
    用の導電性砥石であって、 メカノケミカル作用を生じる酸化セリウム(CeO 2
    からなる砥粒と、該砥粒を保持する金属結合材とからな
    り、該金属結合材は、鉄粉、鋳鉄粉、コバルト粉から選
    択され、前記結合材に微量の焼結助材が添加されること
    を特徴とするメカノケミカル作用を生じる電解ドレッシ
    ング用砥石。
  2. 【請求項2】 前記砥粒の粒径は、加工面の同一の面粗
    さに対して、ダイヤモンド砥粒より大きく、かつ砥粒の
    集中度は、ダイヤモンド砥石よりも大きいことを特徴と
    する請求項1に記載の電解ドレッシング用砥石。
  3. 【請求項3】 #2000(平均粒径6.88μm)に
    ほぼ相当する相対的に粗い酸化セリウム(CeO 2 )の
    砥粒を鋳鉄粉からなる結合材で保持し、焼結助材として
    カーボニル鉄粉を用い、砥粒の集中度を相対的に密な1
    00〜200とすることを特徴とする請求項1に記載の
    電解ドレッシング用砥石。
JP04159882A 1992-06-19 1992-06-19 メカノケミカル作用を生じる電解ドレッシング用砥石 Expired - Lifetime JP3128164B2 (ja)

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