JP4657509B2 - 研削砥石及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研削砥石に関するものであり、特に、被削材に直接接触して研削機能を発揮する砥石本体部と該砥石本体部を支持し研削装置に固定保持される砥石支持部との間の導電性を確保した研削砥石に関するものである。本発明の研削砥石は放電を利用したツルーイングやドレッシングを行うのに好適である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
研削砥石は、それを使用して被削材の研削作業を継続するにつれて、次第にボンド(砥石結合材)中に分散担持されている砥粒が損耗及び脱落し、次第に研削性能が低下する。そのため、研削作業の進行に伴い、適時または定期的に砥石研削面の主としてボンドを適度に除去して、損耗した疲労砥粒を脱落させ、新規に砥粒を研削面に突出させる、いわゆるドレッシング(目立て)が実行される。また、研削作業を継続するにつれて、砥石研削面の形状が所定の形状から次第に変化し、研削された被削材の表面形状精度が低下することがある。そのため、研削作業の進行に伴い、適時または定期的に砥石研削面の表面形状を修正する、いわゆるツルーイングが実行される。尚、新規の研削砥石の使用開始時にも、同様にしてツルーイングが実行される。
【0003】
実際には、以上のようなドレッシングとツルーイングとは同一の手段により同時に実行されることが多い。従って、本明細書では、ツルーイングをも含めた意味でドレッシングということにする。
【0004】
ドレッシングは、従来、ドレッシング用砥石を被削材の代わりに用いてドレッシング用砥石に対して被削材の研削と同様な動作を行うことで、いわゆる共擂りにより研削砥石の表面を研削除去することでなされていた。しかしながら、このような手法では、ドレッシングの速度及び精度を十分に高めることが困難である。
【0005】
そこで、近年、研削砥石のドレッシング法として放電ドレッシングが提案されている。放電ドレッシングは、放電加工に類似しており、研削砥石の研削面に対して放電電極を近接させながら、該放電電極と研削砥石との間に放電を生起させることで、研削砥石の研削面のボンドまたは該ボンドと砥粒とを適宜除去するものである。この放電ドレッシングのためには、研削装置側において、通電経路を設けることに加えて、該研削装置と研削砥石との間の通電経路をも確保する必要がある。
【0006】
ところで、研削砥石は、ボンド中に砥粒を分散担持してなり研削機能を発揮する砥石本体部と、該砥石本体部を支持する砥石支持部とを有する。該砥石支持部は合成樹脂系の接着剤などの接合剤により砥石本体部と接合されている。放電ドレッシングを受ける研削砥石は、砥石本体部として導電性を有する例えばメタルボンドのものを使用し、砥石支持部として導電性を有する例えばアルミニウムからなるものが利用される。
【0007】
しかるに、砥石本体部と砥石支持部との間に介在する接合剤として接合操作性や取扱性などに利点を有する合成樹脂系の接着剤を用いる場合には、該接着剤の層が電気絶縁性を有するので、放電ドレッシングの際の電流を良好に導通させることができない。
【0008】
そこで、砥石本体部と砥石支持部との電気的導通をとるために、例えば図8に示されるような電気的導通手段を採用することが考えられる。図8において、研削砥石110では、円板状の砥石本体部112と円板状の砥石支持部114とが電気絶縁性の接着剤層116により接合されている。研削砥石110は、砥石本体部112及び砥石支持部114の円板形状の対称中心軸Cの周囲に中心孔を有する。電気的導通手段としては、研削砥石110の側面部において対称中心軸Cに対する径方向内方へと向かって穴を開け、該穴を砥石本体部112から砥石支持部114までに達する径のものとし、この穴に径方向内方へと向かって導電性のネジまたはリベット120を適合させている。この穴及びネジまたはリベット120は、対称中心軸Cに対する周方向に均等の間隔で複数配置されている。これにより、ネジまたはリベット120を介して砥石本体部112と砥石支持部114との間の電気的導通が確保され、放電ドレッシングの際の電流を良好に導通させることができる。
【0009】
しかしながら、このようにして砥石本体部112と砥石支持部114との間の電気的導通を確保した研削砥石110では、砥石本体部112の砥石支持部側の面(下側の面)に近い部分にはネジまたはリベット120が存在するので、その厚さの部分を実際の研削のために使用することができない。即ち、研削砥石110では、砥石本体部112の有効厚さが減少するという不利がある。また、ネジまたはリベット120の部分では、砥石本体部112と砥石支持部114との接合強度が低下し、研削時にかかる荷重などに基づく応力により外周から次第に剥離が生ずるおそれがある。
【0010】
また、以上のようなネジまたはリベット120及びその適合のための穴を設ける代わりに、研削砥石110の外周面に、砥石本体部112と砥石支持部114とを接続するように導電性ペーストなどの電気的導通手段を塗布することも考えられるが、この場合には長期にわたり十分な接合強度を維持することが困難であり、脱落の危険性がある。
【0011】
本発明の目的は、以上のような研削砥石の放電ドレッシングを実行するための砥石本体部と砥石支持部との間の通電の確保の際の技術的課題を解決して、砥石本体部の有効利用が可能な研削砥石を提供することを目的とするものである。
【0012】
また、本発明の目的は、以上のような研削砥石の放電ドレッシングを実行するための砥石本体部と砥石支持部との間の通電の確保の際の技術的課題を解決して、砥石本体部と砥石支持部との接合強度の低下及びこれに基づく剥離の危険性の十分に低減された研削砥石を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、
被削材に当接せしめられる砥石本体部と研削装置に取り付けられる砥石支持部とを接合剤により接合してなる研削砥石であって、
前記砥石本体部及び前記砥石支持部はいずれも導電性を有しており、
前記砥石本体部は、砥粒を含み前記被削材に当接せしめられる主体部と、該主体部の前記砥石支持部側の面に接合された突出部とからなり、
前記砥石支持部には前記砥石本体部の突出部を収容する凹部が形成されており、
前記突出部と前記砥石支持部との電気的導通を確保する電気的導通部材が備えられており、該電気的導通部材は、一方端が前記突出部に接触し、他方端が前記砥石支持部の前記砥石本体部との接合面から後退せる位置にて前記砥石支持部に接触するようにして、配置されていることを特徴とする研削砥石、
が提供される。
【0014】
本発明の一態様においては、前記突出部は実質上砥粒を含まない。
【0015】
本発明の一態様においては、前記砥石本体部は対称中心軸の周りに回転対称な形状をなしている。本発明の一態様においては、前記砥石本体部の突出部は前記対称中心軸の周りに環状に延在している。本発明の一態様においては、前記砥石本体部の主体部は対称中心軸の周りに回転対称な形状をなしており、前記砥石本体部の突出部は前記対称中心軸の周りに略均等に複数配置されている。
【0016】
本発明の一態様においては、前記電気的導通部材は、前記一方端が前記突出部の側面と接触しており、他方端が前記砥石支持部の凹部より前記対称中心軸に対する径方向外方の位置において前記砥石支持部と接触している。本発明の一態様においては、前記電気的導通部材は、前記一方端が前記突出部の先端面と接触しており、他方端が前記砥石支持部の凹部の底面と接触している。本発明の一態様においては、前記電気的導通部材は導電性圧縮バネを含んでなる。
【0017】
本発明の一態様においては、前記砥石本体部の主体部はメタルボンドによるものであり、前記砥石本体部の突出部は前記主体部のボンドと同種のメタルを含んでなる。本発明の一態様においては、前記接合剤はエポキシ系接着剤である。本発明の一態様においては、前記砥石支持部はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
【0018】
更に、本発明によれば、以上の如き目的を達成するものとして、
上記研削砥石を製造する方法であって、
前記主体部のボンドと砥粒とを含む燒結用配合物を所要の前記主体部の形状に整形して主体部燒結用整形体を形成し、前記突出部の燒結用配合物を所要の前記突出部の形状に整形して突出部燒結用整形体を形成し、該突出部燒結用整形体を前記主体部燒結用整形体に対して所要の配置で適合させ、これら主体部燒結用整形体及び突出部燒結用整形体を同時に燒結することで前記砥石本体部を得、
該砥石本体部を前記接合剤により前記砥石支持部と接合し、前記突出部と前記砥石支持部とを前記電気的導通部材により電気的に導通させることを特徴とする、研削砥石の製造方法、
が提供される。
【0019】
本発明の一態様においては、前記突出部と前記砥石支持部とを前記電気的導通部材により電気的に導通させることを、前記砥石支持部に形成された挿通孔に前記突出部に向かって前記電気的導通部材を挿通することで行う。本発明の一態様においては、前記突出部と前記砥石支持部とを前記電気的導通部材により電気的に導通させることを、前記砥石本体部を前記接合剤により前記砥石支持部と接合するに先立って前記砥石支持部の凹部の底面上に導電性バネを配置しておき、前記砥石本体部を前記接合剤により前記砥石支持部と接合する際に前記導電性バネを圧縮状態となすことで行う。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は本発明による研削砥石の一実施形態を示す模式的部分断面図であり、図2は本実施形態の砥石本体部の模式的底面図である。
【0022】
研削砥石10は、全体として中心に貫通孔を有し且つ対称中心軸Cの周りに回転対称な円形平板状をなしており、上側に被削材に当接せしめられて研削機能を発揮する砥石本体部12が配置されており、下側に研削装置に取り付けられる砥石支持部14が配置されている。砥石本体部12と砥石支持部14とは接着剤層16により接合されている。砥石本体部12及び砥石支持部14は、いずれも対称中心軸Cの周りにほぼ回転対称な形状をなしている。
【0023】
砥石本体部12は、砥粒を含み被削材に当接せしめられる主体部12Aと、該主体部12Aの砥石支持部14側の面に接合された突出部12Bとからなり、該突出部12Bは対称中心軸Cの周りに環状に延在している。突出部12Bは、砥粒を含んでいてもよいが、その機能から砥粒は必須ではなく、製造コスト低減の観点からは砥粒を含まない方が好ましい。
【0024】
砥石本体部12の主体部12Aは、ボンド中に砥粒を分散担持してなる例えばブロンズボンドやスチールボンドなどのメタルボンドのものであり、ボンド中にダイヤモンドやCBNなどの超砥粒またはアルミナや炭化珪素などの通常砥粒を分散担持してなるものである。また、砥石本体部12の突出部12Bは、主体部12Aのボンドと同種のメタルを含んでなるものである。ここで、同種のメタルを含むとは、組成が同一な場合はもちろんのこと、主要な構成成分の金属元素が同一であれば若干の組成の相違を許容するものである。別の観点からは、突出部12Bは、接着剤などを使用することなく燒結などにより主体部12Aと一体的に接合されて砥石本体部12を形成することが可能なものである。
【0025】
砥石支持部14は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属製のものであり、研削装置の保持手段により中心軸Cの周りに駆動回転可能なように保持される。接着剤層16は、例えばエポキシ系接着剤のような合成樹脂系の接着剤からなり、非導電性である。合成樹脂系の接着剤は、接着の際の操作性や取扱性が良好であり、砥石本体部12と砥石支持部14との接合の際に高温を必要としないことから、砥石支持部14として上記アルミニウムなどの比較的低融点の金属を使用することが可能である。
【0026】
砥石支持部14には、砥石本体部12との接合面に凹部14aが形成されている。該凹部14aは中心軸Cの方向に所要の深さをもって対称中心軸Cの周りに環状に延在して形成されており、その内部に砥石本体部12の突出部12Bが収容される。そして、該突出部12Bと砥石支持部14との電気的導通を確保する電気的導通部材としての導電性ネジ22が備えられている。該導電性ネジ22の挿通(ねじ込み)が可能なように、砥石支持部14の外周部には水平方向の挿通孔(ネジ孔)14bが形成されており、該挿通孔14bは対称中心軸Cの周りの周方向に均等に配置され対称中心軸Cに対する径方向を向いている。導電性ネジ22の先端は、突出部12Bの側面と接触している。導電性ネジ22の他方端は、凹部14aより対称中心軸Cに対する径方向外方の位置において砥石支持部14と接触している。この導電性ネジ22の他方端と砥石支持部14との接触位置は、砥石支持部14の砥石本体部12との接合面から後退せる位置(即ち、図1では下方へと隔てられた位置)である。
【0027】
図3は本発明による研削砥石の砥石本体部12の変形例を示す底面図である。本図において、上記図1〜2におけると同様の機能を有する部材には同一の符号が付されている。この変形例では、突出部12Bは対称中心軸Cの周りに均等に複数(図3では6個)配置されている。この砥石本体部12と組み合わせて使用される砥石支持部14の凹部は、図示はしないが、突出部12Bに対応して対称中心軸Cの周りに均等に複数配置されている。
【0028】
図4は、以上の変形例をも含む本実施形態の研削砥石の放電ドレッシングを説明する模式図である。研削砥石10は研削装置の保持手段30により中心軸Cの周りに駆動回転可能なように保持されている。研削砥石10の砥石支持部14は保持手段30と電気的に導通した状態とされており、保持手段30は接地されている。一方、放電ドレッシングのための放電電極32が電極ホルダ34により下向きに支持されており、該ホルダ34は不図示の駆動手段により中心軸Cと直交するX方向に往復移動せしめられる。ホルダ34には放電ドレッシングのための電源36の一方の端子が接続されており、電源36の他方の端子は接地されている。
【0029】
以上のように、砥石本体部12の突出部12Bは、導電性ネジ22からなる電気的導通部材を介して砥石支持部14と電気的に導通せしめられているので、接地電位とされている。そこで、保持手段30により研削砥石10を中心軸Cの周りに駆動回転させ、更に所要の高さに維持されたホルダ34をX方向に移動させながら、電源36により放電電極32に所要の電圧(例えばパルス状電圧)を印加すると、該放電電極32の下端と砥石本体部12の上面との間に印加される電圧により火花放電が生ずる。この放電により砥石本体部12の主体部12Aの上面のボンドが部分的に除去される。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、砥石本体部12の主体部12Aの下面は上面と実質上平行であるので、砥石本体部主体部12Aの厚さのほぼ全てを実際の研削のために使用することができ、砥石本体部主体部12Aの有効厚さがほぼ実際の砥石本体部主体部12Aの厚さと同一である。従って、砥石本体部の研削への有効な利用が可能である。
【0031】
また、電気的導通部材は砥石支持部14の砥石本体部12との接合面から後退せる位置に配置されているので、砥石本体部12と砥石支持部14との接合強度は良好に維持され、研削時にかかる荷重などに基づく応力によっても特に砥石外周からの剥離が生ずる可能性は極めて低い。
【0032】
次に、図5を参照して、以上のような研削砥石を製造する本発明方法の一実施形態を説明する。
【0033】
先ず、図5(a)に示されているように、上記主体部12Aのボンドと砥粒とを含む燒結用配合物を所要の主体部12Aの形状に整形して主体部燒結用整形体12A−1を形成する。該主体部燒結用整形体12A−1の配合物は、ボンドとなる金属の粉末及び整形のために適宜添加され燒結により蒸発除去される成分などを含むものであり、その中に所望の濃度で分散せしめられた砥粒を含んでおり、所望の砥石本体部主体部12Aに応じて適宜選択されるものである。更に、突出部12Bの燒結用配合物を所要の突出部12Bの形状に整形して突出部燒結用整形体12B−1を形成する。該突出部燒結用整形体12B−1の配合物は、主体部燒結用整形体12A−1の配合物と同一のものを用いてもよいし、あるいは砥粒を含まないことを除いて主体部燒結用整形体12A−1の配合物と同一の組成のものを用いてもよく、但し、砥粒を除いた配合においても主体部燒結用整形体12A−1の配合物と全く同一でなくともよいことは上記のとおりである。突出部燒結用整形体12B−1の寸法としては、例えば直径3〜10mmで高さ3〜8mmとすることができる。
【0034】
次に、図5(b)に示されているように、突出部燒結用整形体12B−1を主体部燒結用整形体12A−1に対して所要の配置で適合させる。そして、これらを同時に燒結する。燒結温度は、ボンド金属の主要な構成成分がCu,Snなどの比較的低融点のものである場合には、例えば600〜900℃とすることができる。突出部燒結用整形体12B−1と主体部燒結用整形体12A−1とが同種のメタルを含み特に主要な金属構成成分どうしが同一であるので、燒結において両者の接触面では金属どうしが互いに入り交じって接合一体化が実現し、かくして砥石本体部12が得られる。
【0035】
次に、図5(c)に示されているように、以上のようにして得られた砥石本体部12を、予め用意した所要形状の砥石支持部14に対し接着剤層16により接合する。これにより、砥石本体部12の主体部12Aの下面が砥石支持部14の上面と接合され、砥石支持部14の凹部14a内に砥石本体部12の突出部12Bが収容される。
【0036】
次に、図5(d)に示されているように、砥石支持部14の外周部側面に形成されている水平方向のネジ孔14bに、導電性ネジ22をねじ込み、砥石本体部12の突出部12Bと砥石支持部14とを電気的に導通させる。
【0037】
以上のようにして得られる研削砥石においては、砥石本体部12の主体部12Aと砥石支持部14との間で、放電ドレッシングが可能な程度の良好な電気的導通が得られることがわかった。
【0038】
図6及び図7はそれぞれ本発明による研削砥石の更に別の実施形態を示す模式的部分断面図である。これらの図において、上記図1〜5におけると同様の機能を有する部材には同一の符号が付されている。
【0039】
図6の実施形態では、電気的導通部材として導電性ピン23の先端に導電性圧縮コイルバネ23’を付設したものが用いられている。ピン23は、砥石支持部14に形成された挿通孔14bに挿通され嵌合しており、圧縮コイルバネ23’の先端は砥石本体部12の突出部12Bの側面を押圧している。
【0040】
図7の実施形態では、電気的導通部材として導電性圧縮コイルバネ24が用いられている。圧縮コイルバネ24は、上方端が砥石本体部12の突出部12Bの先端面と押圧状態で接触しており、下方端が砥石支持部14の凹部14aの底面と押圧状態で接触している。この実施形態の研削砥石の製造に際しては、砥石本体部12を接着剤層16により砥石支持部14と接合するに先立って砥石支持部14の凹部14aの底面上にコイルバネ24を配置しておき、砥石本体部12を接着剤層16により砥石支持部14と接合する際にコイルバネ24を圧縮状態となす。
【0041】
以上の図6及び図7のそれぞれの実施形態によっても、上記図1〜5に関し説明した実施形態と同様な作用効果が奏される。更に、これらの実施形態では、圧縮コイルバネ23’,24を用いて電気的導通部材を構成しているので、電気的導通部材が砥石本体部12の突出部12Bに対し継続的に押圧状態で接触せしめられ、一層安定した導通状態の維持が可能である。また、図7の実施形態では、電気的導通部材は外部に露出していないので、ここに研削の際に研削液がかかることがなく、腐食に基づく耐久性の低下の可能性は極めて低い、という作用効果も奏される。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、砥石本体部の有効利用が可能な研削砥石が提供され、砥石本体部と砥石支持部との接合強度の低下及びこれに基づく剥離の危険性の十分に低減された研削砥石が提供される。また、研削作業の際にも電気的導通部材の腐食などによる導電性能低下の危険性の十分に低減された研削砥石が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による研削砥石を示す模式的部分断面図である。
【図2】本発明による研削砥石の砥石本体部の模式的底面図である。
【図3】本発明による研削砥石の砥石本体部の変形例を示す底面図である。
【図4】本発明による研削砥石の放電ドレッシングを説明する模式図である。
【図5】本発明による研削砥石の製造方法の説明図である。
【図6】本発明による研削砥石を示す模式的部分断面図である。
【図7】本発明による研削砥石を示す模式的部分断面図である。
【図8】研削砥石を示す模式的部分断面図である。
【符号の説明】
10 研削砥石
12 砥石本体部
12A 砥石本体部の主体部
12A−1 主体部燒結用整形体
12B 砥石本体部の突出部
12B−1 突出部燒結用整形体
14 砥石支持部
14a 凹部
14b 挿通孔
16 接着剤層
22 導電性ネジ
23 導電性ピン
23’ 導電性圧縮コイルバネ
24 導電性圧縮コイルバネ
C 対称中心軸
30 研削装置の保持手段
32 放電電極
34 電極ホルダ
Claims (14)
- 被削材に当接せしめられる砥石本体部と研削装置に取り付けられる砥石支持部とを接合剤により接合してなる研削砥石であって、
前記砥石本体部及び前記砥石支持部はいずれも導電性を有しており、
前記砥石本体部は、砥粒を含み前記被削材に当接せしめられる主体部と、該主体部の前記砥石支持部側の面に接合された突出部とからなり、
前記砥石支持部には前記砥石本体部の突出部を収容する凹部が形成されており、
前記突出部と前記砥石支持部との電気的導通を確保する電気的導通部材が備えられており、該電気的導通部材は、一方端が前記突出部に接触し、他方端が前記砥石支持部の前記砥石本体部との接合面から後退せる位置にて前記砥石支持部に接触するようにして、配置されていることを特徴とする研削砥石。 - 前記突出部は実質上砥粒を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の研削砥石。
- 前記砥石本体部は対称中心軸の周りに回転対称な形状をなしていることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の研削砥石。
- 前記砥石本体部の突出部は前記対称中心軸の周りに環状に延在していることを特徴とする、請求項3に記載の研削砥石。
- 前記砥石本体部の主体部は対称中心軸の周りに回転対称な形状をなしており、前記砥石本体部の突出部は前記対称中心軸の周りに略均等に複数配置されていることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の研削砥石。
- 前記電気的導通部材は、前記一方端が前記突出部の側面と接触しており、他方端が前記砥石支持部の凹部より前記対称中心軸に対する径方向外方の位置において前記砥石支持部と接触していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の研削砥石。
- 前記電気的導通部材は、前記一方端が前記突出部の先端面と接触しており、他方端が前記砥石支持部の凹部の底面と接触していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の研削砥石。
- 前記電気的導通部材は導電性圧縮バネを含んでなることを特徴とする、請求項6〜7のいずれかに記載の研削砥石。
- 前記砥石本体部の主体部はメタルボンドによるものであり、前記砥石本体部の突出部は前記主体部のボンドと同種のメタルを含んでなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の研削砥石。
- 前記接合剤はエポキシ系接着剤であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の研削砥石。
- 前記砥石支持部はアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の研削砥石。
- 請求項8〜11のいずれかの研削砥石を製造する方法であって、
前記主体部のボンドと砥粒とを含む燒結用配合物を所要の前記主体部の形状に整形して主体部燒結用整形体を形成し、前記突出部の燒結用配合物を所要の前記突出部の形状に整形して突出部燒結用整形体を形成し、該突出部燒結用整形体を前記主体部燒結用整形体に対して所要の配置で適合させ、これら主体部燒結用整形体及び突出部燒結用整形体を同時に燒結することで前記砥石本体部を得、
該砥石本体部を前記接合剤により前記砥石支持部と接合し、前記突出部と前記砥石支持部とを前記電気的導通部材により電気的に導通させることを特徴とする、研削砥石の製造方法。 - 前記突出部と前記砥石支持部とを前記電気的導通部材により電気的に導通させることを、前記砥石支持部に形成された挿通孔に前記突出部に向かって前記電気的導通部材を挿通することで行うことを特徴とする、請求項12に記載の研削砥石の製造方法。
- 前記突出部と前記砥石支持部とを前記電気的導通部材により電気的に導通させることを、前記砥石本体部を前記接合剤により前記砥石支持部と接合するに先立って前記砥石支持部の凹部の底面上に導電性バネを配置しておき、前記砥石本体部を前記接合剤により前記砥石支持部と接合する際に前記導電性バネを圧縮状態となすことで行うことを特徴とする、請求項12に記載の研削砥石の製造方法。
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JP2001209552A JP4657509B2 (ja) | 2001-07-10 | 2001-07-10 | 研削砥石及びその製造方法 |
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