JP4890316B2 - 電子部品実装配線基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、配線基板の製造方法に係り、特に電子部品の実装された配線基板の製造方法に関する。
配線基板の接続パッドにはんだペーストを印刷し、このはんだペースト上にチップコンデンサ等の電子部品を載置してリフローすることによって、電子部品を配線基板に実装する配線基板の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開2001−203445号公報 特開2004−335507号公報
しかしながら、上記の手法では、図10に示すように、チップ状の電子部品1の一方の電極1aが配線基板2の接続用パッド3から高さ方向に離間するいわゆるチップ立ち現象(マンハッタン現象ともいう)を起こすことがあった。リフロー炉で加熱することにより、はんだペーストは溶融する。一方の接続パッド3上のはんだペーストが、他方の接続パッド3上のはんだペーストよりも早く溶けると、溶融したはんだペーストの表面張力によって、電子部品1の端部を支点として高さ方向に回転力を生じる。この回転力によって、電子部品1が、早く溶融したはんだペーストの方の接続パッド3側に引き寄せられて、チップ立ちを生じてしまう。チップ立ち現象が生じるとこの状態ではんだ付けが終了してしまうので、溶融が遅い側の電子部品1の電極1aが、接続されるべき接続パッド3から離間するオープン不良により、配線基板2全体が不良品として扱われ、製造歩留まりが低下してしまうという問題を有していた。
特に、最近、配線基板の実装密度を向上させるために、チップ状の電子部品の小型化、軽量化が進んでおり、電子部品が小型化、軽量化するほど、チップ立ち現象は発生しやすいため、チップ立ち現象を有効に防止する技術が求められている。
そこで、本発明者は、このような問題点を解消するために、電子部品を覆うように蓋体を基板上に配置することによって、リフロー時における電子部品の起き上がりを制限し、チップ立ちを防止できることを見出した。
しかしながら、この方法では、蓋体によって電子部品を覆っているので、電子部品を実装する空間(言い換えれば、蓋体と電子部品との間に形成される空間)が密閉されている。そのため、リフローの際にはんだペースト中のフラックスが気化して生じたガスが、電子部品を実装する空間に溜まり、このガスが熱により膨張しようとして高圧化し、電子部品が接続パッドから浮いたり、ずれたりして、電子部品の実装不良を生じる可能性があることが判った。また、蓋体や電子部品に蒸発したフラックスが付着する可能性がある。
上記に鑑み、本発明は、加熱時に発生したガスによる電子部品の実装不良を低減することが可能な電子部品実装配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る電子部品実装配線基板の製造方法は、接続パッドを備える配線基板の前記接続パッド上に、フラックスを含むはんだペーストを塗布する塗布工程と、塗布された前記はんだペースト上に電子部品を搭載する搭載工程と、前記電子部品を覆うように蓋体を前記配線基板上に配置する配置工程と、前記蓋体が配置された前記基板を加熱する加熱工程と、を具備し、前記蓋体は、前記蓋体と前記電子部品との間に形成される空間と、前記蓋体の外部空間とを連通する連通部を有し、前記加熱工程では、リフロー炉で加熱することによりリフローを行い、前記空間と前記外部空間とが、前記蓋体の前記連通部を介して連通していることを特徴とする。
本発明の一態様に係る電子部品実装配線基板の製造方法によれば、蓋体に形成された連通部によって、加熱の際にはんだペースト中のフラックスが気化して生じたガスを、電子部品を実装する空間からガス抜きできるので、加熱時に発生したガスによる電子部品の実装不良を低減することが可能である。
以下、本発明を具体化した一実施形態の配線基板11の製造方法を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の配線基板11の構成を概略的に表す断面図である。
本発明が適用された配線基板11は、その外形が、例えば約35mm×約35mmの平面視略矩形形状である。
図1に示されるように、この配線基板11は、基板12をコア材として備えている。基板12としては、例えば、樹脂基板、セラミック基板、金属基板などが挙げられ、コスト性、孔加工の容易性、導電性などを考慮して適宜選択される。樹脂基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)からなる板材などがある。セラミック基板の具体例としては、アルミナ、ベリリア、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、ガラスセラミック、結晶化ガラス等の低温焼成材料等からなる板材などがある。金属基板の具体例としては、銅板や銅合金板、銅以外の金属単体や、合金(例えばFe−Ni系合金など)からなる板材などが挙げられる。本実施の形態では、基板12として、ガラスクロス布にエポキシ樹脂を含浸したものを用いている。
図1において基板12の第1主面13(上面)側には、樹脂絶縁層31,51と導体層21,41とを交互に積層してなるビルドアップ層が形成されている。基板12の第2主面14(下面)側には、樹脂絶縁層32,52と導体層22,42とを交互に積層してなるビルドアップ層が形成されている。
樹脂絶縁層31,32,51,52は熱硬化性樹脂を用いて形成されることが好適である。好適な熱硬化性樹脂の具体例を挙げると、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリエステル樹脂、けい素樹脂等がある。これらの中でも、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)などが特に好ましい。
導体層21,22,41,42は銅等の導電性金属からなり、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって形成される。具体的にいうと、例えば、銅箔のエッチング、無電解銅めっきあるいは電解銅めっきなどの手法が適用される。なお、スパッタやCVD等の手法により薄膜を形成した後にエッチングを行うことで導体層21,22,41,42を形成したり、導電性ペースト等の印刷により導体層21,22,41,42を形成したりすることも可能である。
本実施の形態では、樹脂絶縁層31,32,51,52、導体層21,22,41,42を以下のように構成している。第1層めの導体層21,22は銅からなり、基板12の第1主面13(上面)及び第2主面14(下面)の表面上にそれぞれ形成されている。第1層めの樹脂絶縁層31,32は感光性エポキシ樹脂からなり、第1層めの導体層21,22を覆うような状態で形成されている。第2層めの導体層41,42は銅からなり、第1層めの樹脂絶縁層31,32の表面上にそれぞれ形成されている。第2層めの樹脂絶縁層51,52は感光性エポキシ樹脂からなり、第2層めの導体層41,42を覆うような状態で形成されている。なお、第2層めの樹脂絶縁層51,52は、導体層41,42におけるダイパッド43や接続パッド44,45以外の部分を保護する、いわゆるソルダーレジストとしての役割を果たす。
また、基板12における複数の箇所には、第1主面13側のビルドアップ層と第2主面14側のビルドアップ層とを接続導通するためのスルーホール導体15が形成されている。スルーホール導体15内の空洞部は、無機フィラー入りのエポキシ樹脂からなる樹脂充填体23によって埋められている。
第1層めの樹脂絶縁層31,32には、無電解銅めっきによってブラインドビアホール導体33,34がそれぞれ設けられている。そして、第1主面13側のブラインドビアホール導体33は導体層21,41間を接続導通し、第2主面14側のブラインドビアホール導体34は導体層22,42間を接続導通している。
図1に示されるように、第1主面13(上面)側においてその略中央部に設定されたダイエリアには、電子部品の一種である矩形状の半導体集積回路チップ16が搭載されている。半導体集積回路チップ16の下面側にできる隙間は、アンダーフィル材62によって埋められている。ダイエリア内には、半導体集積回路チップ16側との電気的な接続を図るためのダイパッド43が多数形成されている。ダイパッド43は、ソルダーレジストである第2層めの絶縁樹脂層51に設けられた開口部分に配置されている。
一方、第2主面14(下面)側には、その略中央部に、互いに高さの異なるチップキャパシタである電子部品17a,17bが、接続パッド45上に実装されている。電子部品17a、電子部品17bはいずれも複数個が、図1の断面(紙面)に垂直な方向に沿ってそれぞれ配置されている。接続パッド45は、第2層めの絶縁樹脂層52の開口部分に配置されている。電子部品17a,17bの搭載エリアの外側の領域には、マザーボード側の端子と接続する接続端子として、接続パッド44が多数形成され、図示しないマザーボードが接続可能となっている。なお、接続パッド44とマザーボード側の端子との接続は、電子部品17a,17bを収容する例えば直方体形状の電子部品逃がし凹部をマザーボードに設けることにより、容易に行うことができる。
なお、ダイパッド43及び接続パッド44,45の表面上には、ニッケル−金めっき層46が形成されている。
本明細書中において電子部品とは、チップ状の電子部品をいい、能動部品であっても受動部品であってもよく、本実施形態で用いたチップキャパシタのほか、例えばチップインダクター、チップ抵抗などであってもよい。また、本実施の形態では、電子部品17a,17bは、第2主面14側に配置されているが、第1主面13側のみに配置されていてもよく、あるいは第1主面13及び第2主面14の両方に配置されていてもよい。
ニッケル−金めっきが施されたダイパッド43上には、共晶はんだ(37Pb:63Sn、融点183℃)を用いて、第1のはんだバンプ47が形成されている。第1のはんだバンプ47は、第2層めの絶縁樹脂層51の表面から突出している。ニッケル−金めっきが施された接続パッド45上には、第1のはんだバンプ47形成用のはんだよりも高融点のPb−Sn−Bi−Sb(Pbが70重量%)合金はんだを用いて、第2のはんだバンプ48が形成されている。第2のはんだバンプ48の上面は、第2層めの絶縁樹脂層52の表面から突出している。
次に、上記の配線基板11を製造する手順を説明する。
図2A〜図2Dは、配線基板11の製造工程を表す断面図である。図2A〜図2Dは、図1の配線基板11を上下逆に配置したものに対応する。
まず、基板12の両面に銅箔を貼着した両面銅張積層板を出発材料とし、それにYAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いてレーザー加工を行い、両面銅張積層板を貫通する貫通孔を形成する。次に、前記貫通孔内面に対する無電銅めっきによりスルーホール導体15を形成した後、銅箔のエッチングにより第1層めの導体層21,22をパターニングする。ここでスルーホール導体15を樹脂充填体23で埋めた後、基板12の第1主面13及び第2主面14に第1層めの樹脂絶縁層31,32を形成する。次に、レーザー加工によって樹脂絶縁層31,32を孔開けし、ブラインドビアホール導体33,34を形成するための盲孔を形成する。さらに、マスクを形成しないで無電解銅めっきを施すことにより、前記盲孔の内部に銅めっきを析出させてブラインドビアホール導体33,34を形成する。このとき樹脂絶縁層31,32の外表面全体にも無電解銅めっきが析出する。この後、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、まずレジストを溶解除去して、さらに不要な無電解銅めっき層をエッチングで除去する。これにより、上側の樹脂絶縁層31の表面上にダイパッド43を含む導体層41を形成し、下側の樹脂絶縁層32の表面上に接続パッド44,45を含む導体層42を形成する。
そして、基板12の第1主面13及び第2主面14の表面上に、感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、第2層めの樹脂絶縁層51,52(ソルダーレジスト)を形成する。次に、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、第2層めの樹脂絶縁層51,52に開口部分を形成する。次に、過マンガン酸カリウムを含む粗化液を用いて表面粗化処理を行い、第2層めの樹脂絶縁層51,52の表面を粗面に変える。
次に、ダイパッド43及び接続パッド44,45の表面に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46を形成する。
続いて、第1主面13側のダイパッド43上のニッケル−金めっき層46上に、はんだバンプ47を形成する。具体的には、第2層めの樹脂絶縁層51上に所定パターンのマスクを載置したうえで、ダイパッド43上にはんだペーストを印刷する。本実施形態では、合金はんだ(37Pb:63Sn、融点183℃)を含むはんだペーストを使用した。
続いて、第2主面14側の接続パッド45上のニッケル−金めっき層46上にはんだバンプ48を形成する(図2A参照)。具体的には、第2層めの樹脂絶縁層52上に所定パターンのマスクを載置したうえで、接続パッド45上にはんだペーストを印刷する。本実施形態では、はんだバンプ47における合金はんだよりも高融点の、共晶組成を有していないPb−Sn−Bi−Sbという組成(Pbが70重量%)の4元系合金はんだを含むはんだペーストを選択した。そして、互いに高さの異なるチップキャパシタである電子部品17a,17bをそれぞれのはんだバンプ48上の所定の位置に配置し、複数の電子部品17aと複数の電子部品17bを配線基板11に搭載した(図2B参照)。
リフロー炉ではんだ付けする際に配線基板11を収容する、リフローはんだ付け用治具70を用意する。図3は、リフローはんだ付け用治具70を分解した状態を表す分解斜視図である。リフローはんだ付け用治具70は、下治具80と蓋体90を有する。図4は、下治具80の上面図である。図5は、蓋体90の下面図である。
下治具80は、配線基板11を収容載置するための治具である。下治具80は、その外形が略直方体形状であり、下治具80の上面には、配線基板11を載置するための略直方体形状の凹部81がY方向に並んで複数(図4では凹部81が3つの場合を示している)形成されている。これらの凹部81内に配線基板11をそれぞれ1つずつ収容して、1つの下治具80に凹部81と同数の配線基板11を載置することができる。凹部81の内周は、配線基板11の外形と寸法が略一致する。
それぞれの凹部81の略中央部には、はんだバンプ47が下治具80に当接することを避けるための略直方体形状の逃がし凹部82がさらに設けられている。逃がし凹部82は、はんだバンプ47を当接しないで収容できるように、はんだバンプ47の形成エリアや、はんだバンプ47が絶縁樹脂層51の表面から突出する高さよりも大きい寸法に形成されている。
また、下治具80には、凹部81の開口端側であって、X負方向のコーナー部寄りの位置に、一対のU字形の突起部83が対向するように形成されている。突起部83は、蓋体90に形成されたノッチ部(窪み部)95(後述する)内に収めることによって、向きを間違えずに蓋体90と下治具80を組み合わせるためのものである。突起部83は、ノッチ部(窪み部)95内に収めることができるように、ノッチ部95と対応した形状に形成されている。
下治具80は、はんだが付着しにくく熱伝導性がよく加工性がよいため、カーボンで構成されている。なお、下治具80は、アルミニウムによって構成してもよい。
蓋体90は、リフロー時に、電子部品17a、17bが起き上がることを制限することにより、リフローの際に電子部品の一方の電極が配線基板の接続パッド45から高さ方向に離間するいわゆるチップ立ち現象(マンハッタン現象ともいう)を防止するためのものである。蓋体90はその外形が基板(略直方体)形状であり、蓋体90の外周は、配線基板11の外形と寸法が略一致し、下治具80の凹部81の内周よりも一辺が約0.5mm小さい。
蓋体90の下面には、略中央部に電子部品17a,17bを収容するための凹部91が形成されている。本実施形態では、凹部91は、複数の電子部品17a、17bに対応して1つ設けられている。凹部91には、X方向に沿い、かつ凹部91の底面を略2分する位置に段差92が形成されている。凹部91は、複数の電子部品17aの上面と対向して配置される底面93aと、複数の電子部品17bの上面と対向して配置される底面93bとを有している。凹部91の底面93aの深さは約1.45mm、底面93bの深さは約0.55mmである。凹部91の底面93a,93bの深さは、複数の電子部品17a、17bの高さより、それぞれいずれも0.05mm以上0.20mm以下の範囲内で大きくなるように形成されている。
また、凹部91は、電子部品17a,17bの側面が当接しないで収容できるように、電子部品17a,17bの搭載エリアよりも大きい寸法に形成されている。
また、蓋体90の下面には、蓋体90のY方向に配置される一辺の約半分の幅で、蓋体90のY方向に配置される一辺の約1/120の高さの連通部94が形成されている。
本明細書中において、連通部は、蓋体と電子部品との間に形成される空間(本実施形態では、凹部91内の空間)と、蓋体の外部空間とを連通するものである。連通部は、ガス抜き部や、対流伝熱路として機能しうる。
連通部94は、リフローの際にはんだペースト中のフラックスが蒸発したガスを、蓋体90の凹部91からリフローはんだ付け用治具70(蓋体90)の外部にガス抜きするためのガスの通路(ガス抜き部)として機能する。連通部94は、凹部91の開口端の4つのそれぞれの辺部及びそれぞれの辺部の両端外側の近傍から、蓋体90の4つのそれぞれの外側面の下側略中央部に向かって、それぞれ4方向(X正負方向、Y正負方向)に貫通するように形成されている。このように、凹部91は、連通部94、及び蓋体90と下治具80との隙間を介して、リフローはんだ付け用治具70の外部と通じているので、凹部91内のガスをリフローはんだ付け用治具70の外部にガス抜きすることができる。
また、連通部94は、対流伝熱路としても機能する。
蓋体90の連通部の数は、1以上であれば特に制限されないが、はんだリフロー時の対流伝熱効率や、ガス抜け性を良好にするために、複数設けることが好ましい。複数設けられた連通部は、本実施形態のように、凹部91の開口端の周囲でつながっていてもよい。
連通部94の形状は、凹部91と蓋体94の外部空間を連通していれば特に制限されない。連通部94は、本実施形態で示した連通部94のような溝状に限定されず、孔状であってもよい。
また、蓋体90の下面には、4つのコーナー部のそれぞれに、平面視で矩形形状の凸部100(100a〜100d)が配置されている。
また、蓋体90には、X負方向寄りの外周部に、一対のU字形のノッチ部(窪み部)95が対向するように形成されている。ノッチ部95は、下治具80に形成された突起部83を収めることによって、向きを間違えずに蓋体90と下治具80を組み合わせるためのものである。ノッチ部95は、突起部83を収めることができるように、突起部83と対応した形状に形成されている。
蓋体90は、はんだが付着しにくく熱伝導性がよく加工性がよいため、カーボンで構成されている。なお、蓋体90は、アルミニウムによって構成してもよい。
次に、配線基板11を、リフローはんだ付け用治具70内に収容する。
まず、配線基板11の第1主面13側を下にして、はんだバンプ47が逃がし凹部82内に収容されるように、複数の配線基板11を、下治具80の複数の凹部81内にそれぞれ1つずつ収容載置する。このとき、配線基板11のチップ非搭載領域は、凹部81の底面に直接当接するが、はんだバンプ47は、逃がし凹部82内に当接しないように収容されている。
続いて、ノッチ部95内に蓋体90の突起部83が収まるように複数の蓋体90をそれぞれの配線基板上に1つずつ配置して、蓋体90と下治具80を組み合わせる(図2C参照、図2Cは、配線基板11を収容したリフローはんだ付け用治具70を、図3のA−Aに沿って切断した断面を表示している。)。このとき、蓋体90は、凹部91内に電子部品17a、17bを収容した状態で、配線基板12上に載置されている。配線基板11の第2主面14側(図5では配線基板11の上側)のチップ非搭載面は、蓋体90の下面のコーナー部にそれぞれ形成された4つの凸部100(100a〜100d)に直接当接する。その一方、電子部品17a、17bはいずれも、凹部91と当接せず、電子部品17a、17bの上面と凹部91の底面93a,93bは、所定の間隔以下でそれぞれ対向して配置されている。
ここで、電子部品17aの上面と底面93aとの離間距離(所定の間隔)、電子部品17bの上面と底面93bとの離間距離(所定の間隔)は、いずれも0.05mm以上0.20mm以下であることが好ましい。
離間距離が0.05mm未満であると、リフローの際に電子部品17a、17bの上面と底面93a,93bが接触することによって、押し付けられた接続パッド45上のはんだペーストが周囲に広がり、隣り合うはんだペースト同士が接触したり、隣の接続パッド45まで到達して、はんだ付け不良を生じるおそれがある。また、リフローの際に電子部品17a、17bの上面と底面93a,93bが接触することによって、電子部品17a、17bが損傷するおそれもある。
離間距離が0.20mmを超えると、チップ立ち現象が生じた場合に、電子部品17a、17bは直立には至らなくても斜めに実装されてしまい、電子部品17a、17bの一方の電極が、接続されるべき接続パッド45から高さ方向に離間してしまい、オープン不良を生じるおそれがある。
本実施の形態では、電子部品17aの上面と底面93aとの離間距離を0.20mm、電子部品17bの上面と底面93bとの離間距離を0.05mmとしている。
リフローはんだ付け用治具70に収容された配線基板11を、蓋体90を上にした状態で、リフロー炉で加熱することによりリフローを行い(図2D参照、図2Dは、図2Cと同様に、配線基板11を収容したリフローはんだ付け用治具70を、図3のA−Aに沿って切断した断面を表示している。)、リフロー後、常温まで冷却した。その結果、電子部品17a、17bの電極とはんだバンプ48とが接合され、配線基板11と電子部品17a、17bとは電気的に接続する。
次に、この配線基板11のダイエリアに半導体集積回路チップ16を搭載する。このとき、配線基板11側のはんだバンプ47と、半導体集積回路チップ16側のバンプ61とを位置合わせする。この状態でリフロー炉を用いて所定温度に加熱してリフローを行った後、配線基板11を冷却する。これにより、はんだバンプ47とチップ側バンプ61とを互いに接合し、配線基板11側と半導体集積回路チップ16側とを電気的に接続する。
そして、配線基板11と半導体集積回路チップ16との隙間にアンダーフィル材62を充填して硬化処理(165℃×30秒)を行い、前記隙間を樹脂封止する。以上の結果、所望の半導体パッケージ(いわゆるオーガニックパッケージ)が完成する。
本実施形態の配線基板11の製造方法によれば以下の利点(効果)を得ることができる。
本実施形態の製造方法では、リフローによる電子部品17a,17bのはんだ付けの際に、配線基板11を収容しているリフローはんだ付け用治具70を構成する蓋体90に、連通部94を設けている。そのため、リフローの際に、はんだペースト中のフラックスが気化したガスは、連通部94によって、蓋体90の凹部91からリフローはんだ付け用治具70の外にガス抜きされる。
これにより、フラックスが気化して発生したガスが凹部91内に溜まり、このガスが熱により膨張しようとして高圧化することを、連通部94によって防止できる。このため、ガス圧の高まりによって電子部品17a,17bの電極が接続パッド45からずれたり、浮いたりして離間する実装不良を防止できる。
また、連通部94によるガス抜きによって、凹部91内のガス圧の高まりによる蓋体90の浮きを防止することができる。これにより、蓋体90の浮きによって起こりうる電子部品17a,17bのチップ立ちや、浮いた蓋体90が電子部品17a,17bに接触することにより電子部品17a、17bが接続パッド45からずれたりする実装不良を防止できる。
また、連通部94によって、フラックスが気化して発生したガスを、凹部91の外にガス抜きできるので、このガスが電子部品17a,17bのはんだ接合部にボイドとして残ることを抑制することができる。これにより、ボイドの発生による機械的強度の低下や、電気の通りが悪くなること、ボイドに起因したクラックの発生による接合強度の低下や、接合不良を抑制することができる。
また、連通部94によって凹部91内のガスをガス抜きすることにより、蓋体90の凹部91の底面93a,93bに、フラックスによる汚れが付着することを抑制できる。これにより、凹部91の底面93a,93bに付着した汚れを洗浄する負担を低減できる。また、リフローはんだ付けが行われてから相当の期間放置して初期の付着物が変質したような汚染物の除去は、必ずしも容易でない場合があるので、連通部94によるガス抜きよってフラックスによる汚れの付着を抑制することにより、リフローはんだ付け用治具70の耐久性を向上させることができる。
さらに、汚れの洗浄が困難なため、凹部91の底面93a,93bと、電子部品17a,17bの上面との距離が当初の設計よりも狭くなることを、連通部94によるガス抜きによって抑制できる。これにより、リフローの際に電子部品17a、17bの上面と底面93a,93bが接触して、はんだペーストが押し広げられて、後述するはんだ付け不良が生じることを低減できる。また、リフローの際に電子部品17a、17bの上面と底面93a,93bとが接触して、電子部品17a、17bが損傷することも低減できる。
また、連通部94は対流伝熱路としても機能し、リフローはんだ付け用治具70内に局所的に熱がこもることを抑制できる。これにより、はんだ付け不良を防止できるリフロー条件の設定等のはんだ材料の溶融管理が容易となり、電子部品17a、17bのはんだ付け状態を良好にすることができる。
また、本実施形態の製造方法では、凹部91から、蓋体90の4つの外側面にそれぞれ通じる連通部94を形成し、複数の連通部を設けているので、前述したはんだリフロー時の対流伝熱効率や、ガス抜け性を良好にすることができる。
また、本実施形態の製造方法では、蓋体90の下面に、連通部94が形成されている。そのため、配線基板11をリフローはんだ付け用治具70に収納して電子部品17a、17bのリフローはんだ付けを行う際に、連通部94が第2主面14側の配線基板11上に配置される。連通部94が第2主面14側の配線基板11上に配置され、また、連通部94は対流伝熱路としても機能するので、電子部品17a、17bがはんだ付けされる配線基板11の第2主面14側に局所的に熱がこもることを抑制できる。このように、連通部94が蓋体90の下面に形成されているため、電子部品17a、17bのはんだ付け不良を防止可能なリフロー条件の設定等の、はんだ材料の溶融管理がさらに容易となり、電子部品17a、17bのはんだ付け状態をさらに良好にすることができる。
また、本実施形態の製造方法では、高さの異なる複数の電子部品17a,17bを配線基板11にリフローはんだ付けする際に、複数の底面93a,93bを有する凹部91を備えた蓋体90を、電子部品17a,17bを覆うように配線基板11上に配置している。このとき、複数の底面93a,93bは、複数の電子部品17a,17bの高さにそれぞれ対応する深さを有しており、底面93aと電子部品17aの上面との間隔、及び底面93bと電子部品17bの上面との間隔は、いずれも所定の間隔以下となっている。そのため、底面93a,93bが、リフロー時における電子部品17a、17bの起き上がりを制限する。これにより、複数の電子部品17a及び複数の電子部品17bのように、少なくともいずれかの高さが異なる複数の電子部品を実装する場合であっても、リフロー時のいわゆるチップ立ち現象を、全ての電子部品17a,17bについて、有効に防止することができる。チップ立ち現象を防止することにより、配線基板11の製造歩留まりや信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態では、リフローはんだ付け用治具70に配線基板11を収容する際に、凹部91の底面93a,93bと、底面93a,93bにそれぞれ対向する電子部品17a,17bの上面との間に、所定の間隔を設けている。そのため、リフローの際に電子部品17a、17bの上面と底面93a,93bが接触することによって、押し付けられたはんだペーストが周囲に広がり、隣り合うはんだペースト同士が接触したり、隣の接続パッド45まで到達して、はんだ付け不良が生じることを防止できる。その結果、実装不良による配線基板11の製造歩留まりや信頼性の低下、製造コストの増大や生産性の低下を回避することができる。また、リフローの際に電子部品17a、17bの上面と底面93a,93bが接触することによって、電子部品17a、17bが損傷することも防止できる。
また、本実施形態では、電子部品17a,17bのリフローはんだ付けの際に、配線基板11を、リフローはんだ付け用治具70内に収容して、配線基板11を蓋体90と下治具80で挟持している。そのため、はんだ付けの際の熱による配線基板11の反りを防止することができる。
また、本実施形態では、リフローによる電子部品17a,17bのはんだ付けの際に、配線基板11を、リフローはんだ付け用治具70内に収容して、配線基板11を蓋体90と下治具80で挟持して覆っている。そのため、はんだ付け後に有機フラッックス中の松脂や活性剤等の固形成分が析出したフラックス残渣等が、配線基板に付着して汚染することを抑制できる。これにより、配線基板11に対して腐食性を有するフラックス残渣が、配線基板11に形成された回路間の絶縁性を低下させることを抑制でき、また、フラックス残渣が、配線基板11の仕上がり外観を悪化させることも抑制できる。
(第1の変形例)
以上の本実施形態の製造方法は、電子部品17a,17bを配線基板11に実装するためのリフロー工程において用いられる蓋体90に、蓋体90のそれぞれの側面を貫通する連通部94を設けている。
これに対して、連通部94に代えて、蓋体が、凹部91の底面93a,93bと蓋体の上面との間を貫通する連通部を備えてもよい。図6は、配線基板11を収容した第1の変形例に係るリフローはんだ付け用治具の主要な部分を表す縦断面図である。図7は、第1の変形例に係る蓋体110を表す下面図である。蓋体110には、凹部91の底面93a、93bの4つのコーナー部と蓋体110の上面との間をそれぞれ貫通する、孔形状の4つの連通部111が形成されている。チップ立ち防止の観点から、連通部111は、この変形例のように、リフロー時に電子部品17a、17bの起き上がりが生じても、起き上がった電子部品17a,17bが接触する可能性が低い底面93a,93bの領域に形成することが好ましい。
蓋体110に形成する連通部111の数は、1以上であれば特に制限されないが、はんだフロー時の対流伝熱効率や、ガス抜け性を良好にするために、複数設けることが好ましい。
また、連通部111のように蓋体の上部を貫通する連通部とともに、連通部94のように蓋体の側面を貫通する連通部を形成してもよい。
連通部111の形状は、凹部91の底面93a,93bと蓋体110の上面を貫通していれば特に制限されない。
(第2の変形例)
以上の本実施形態の製造方法では、蓋体90に、複数の電子部品17a,17bのそれぞれの高さに対応する深さの複数の底面93a,93bを有する凹部91が1つ形成されている。
これに対して、蓋体が、複数の電子部品17a,17bのそれぞれの高さに対応する深さの底面を有する、複数の凹部を備えていてもよい。図8は、配線基板11を収容した第2の変形例に係るリフローはんだ付け用治具の主要な部分を表す縦断面図である。図9は、第2の変形例に係る蓋体96を表す下面図である。蓋体96には、複数の電子部品17aの高さに対応する深さの底面98aを有する凹部97aと、複数の電子部品17bの高さに対応する深さの底面98bを有する凹部97bとが形成されている。
なお、図8、図9では、凹部97aと凹部97bを連結する凹部連結空間99を設けているが、凹部97a、凹部97bは、それぞれ連通部94によって蓋体96の外部空間と通じているので、凹部連結空間99を設けなくてもよい。
この変形例は、リフロー工程(加熱工程)において用いる蓋体96が複数の凹部97a、97bを有することを除けば、本実施形態の配線基板11の製造方法と本質的に相違するところがない。そのため、この変形例に係る配線基板11の製造方法においても、本実施形態の配線基板11の製造方法と同様な効果を得ることができる。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は、上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、配線基板11の製造方法では、リフロー工程において用いる蓋体に、蓋体90,96の側面を貫通する連通部94や、凹部91の底面93a,93bと蓋体110の上面との間を貫通する連通部111を設けた場合を例に説明した。連通部94,111に代えて(連通部94、又は連通部111とともにでもよい)、凹部91の底面93a,93bと蓋体の側面との間を貫通する連通部を設けてもよいし、凹部91の内側面と蓋体の上面を貫通する連通部を設けてもよい。
また、配線基板11の製造方法では、複数の電子部品17a及び複数の電子部品17bのように、少なくともいずれかの高さが異なる複数の電子部品を実装する場合を例に説明したが、同じ高さの複数の電子部品を実装してもよいし、1つの電子部品のみを実装してもよい。これらの場合においても、複数の電子部品17a,17bを実装する場合と同様に、蓋体に連通部を設け、また、同じ高さの複数の電子部品の上面又は1つの電子部品の上面と、蓋体の底面とが所定の間隔以下で対向するように、蓋体を基板上に配置することが好ましい。
本発明の一実施形態に係る配線基板の構成を概略的に表す断面図である。 本発明の一実施形態に係る配線基板の製造工程を表す断面図である。 本発明の一実施形態に係る配線基板の製造工程を表す断面図である。 本発明の一実施形態に係る配線基板の製造工程を表す断面図である。 本発明の一実施形態に係る配線基板の製造工程を表す断面図である。 本発明の一実施形態で用いられるリフローはんだ付け用治具を分解した状態を表す分解斜視図である。 本発明の一実施形態で用いられる下治具の上面図である。 本発明の一実施形態で用いられる蓋体の下面図である。 配線基板を収容した第1の変形例に係るリフローはんだ付け用治具の主要な部分を表す縦断面図である。 第1の変形例に係る蓋体を表す下面図である。 配線基板を収容した第2の変形例に係るリフローはんだ付け用治具の主要な部分を表す縦断面図である。 第2の変形例に係る蓋体を表す下面図である。 チップ立ち現象を示す説明図である。
符号の説明
11…配線基板、12…基板、16…半導体集積回路チップ、17a,17b…電子部品、70…リフローはんだ付け用治具、80…下治具、81…凹部、82…逃がし凹部、83…突起部、90…蓋体、91…凹部、92…段差、93a,93b…底面、94…連通部、95…ノッチ部、96…蓋体、97a、97b…凹部、98a、98b…底面、99…凹部連結空間、100…凸部、110…蓋体、111…連通部。

Claims (5)

  1. 接続パッドを備える配線基板の前記接続パッド上に、フラックスを含むはんだペーストを塗布する塗布工程と、
    塗布された前記はんだペースト上に電子部品を搭載する搭載工程と、
    前記電子部品を覆うように蓋体を前記配線基板上に配置する配置工程と、
    前記蓋体が配置された前記基板を加熱する加熱工程と、
    を具備し、
    前記蓋体は、前記蓋体と前記電子部品との間に形成される空間と、前記蓋体の外部空間とを連通する連通部を有し、
    前記加熱工程では、リフロー炉で加熱することによりリフローを行い、前記空間と前記外部空間とが、前記蓋体の前記連通部を介して連通していることを特徴とする電子部品実装配線基板の製造方法。
  2. 前記連通部が、前記蓋体に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装配線基板の製造方法。
  3. 前記配置工程において、前記電子部品の高さに対応する深さの底面を有する前記蓋体を、前記底面と前記電子部品の上面とが所定の間隔以下で対向するように配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品実装配線基板の製造方法。
  4. 前記搭載工程において、複数の前記電子部品を搭載し、
    前記配置工程において、前記複数の電子部品の高さにそれぞれ対応する深さの複数の底面を有する前記蓋体を、前記複数の底面と前記複数の電子部品の上面とがいずれも所定の間隔以下でそれぞれ対向するように配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品実装配線基板の製造方法。
  5. 前記所定の間隔が、0.2mmであることを特徴とする請求項3又は4に記載の電子部品実装配線基板の製造方法。
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