JP4888870B2 - 高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、雨・結露などの水と太陽光の複合による耐候性劣化を防ぐ事のできる高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の耐候性塩化ビニル系樹脂成形品においては、塩化ビニル樹脂に紫外線吸収剤や光安定剤(HALSなど)を練り込み、太陽光の紫外線をカットしたり紫外線などにより発生したラジカルなどを捕捉して耐候性をアップする方法が広く採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の耐候性塩化ビニル系樹脂成形品は、自動車外装材などに使用された場合、雨や結露などの水分と太陽光の影響で、亀甲状のクラックが発生したり褐色に変色する褐変現象が見られる問題が有った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、エポキシ基含有ポリブタジエン、ならびにヒンダードアミン系光安定剤および/または紫外線吸収剤を塩化ビニル樹脂に配合する事により、雨や結露などの水の影響を受けにくい高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物が得られる事を見出した。
すなわち、本発明は、(b)エポキシ基含有ポリブタジエン、ならびに(c)ヒンダードアミン系光安定剤および/または(d)紫外線吸収剤を含有する事を特徴とする高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
上記組成物は、(a)塩化ビニル樹脂100重量部に対し、(b)エポキシ基含有ポリブタジエン1〜10重量部、ならびに(c)ヒンダードアミン系光安定剤0.1〜3.0重量部、および/または、(d)紫外線吸収剤0.1〜10.0重量部の割合で含有することが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
(a)塩化ビニル系樹脂
本発明の組成物において使用する塩化ビニル樹脂としては、特に制限はなく、種々の公知のものを使用する事ができる。塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体の他に、エチレン、アクリル酸、メタアクリル酸および、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの共重合しうる化合物と塩化ビニルとの共重合体ならびにエステル基、エポキシ基などの官能基を有する不飽和モノマーと塩化ビニルとの共重合体をも包含する。
【0006】
組成物の物性および加工性の点から、これら塩化ビニル系樹脂としては、平均重合度400〜10,000、特に600〜2,500程度の物を使用するのが好ましい。重合度が、400未満であると引張強さなどの物性が発現しにくく、熱安定性が悪くなる。一方、重合度が10,000を超えると成形(押出成形、射出成形)が困難となる。
【0007】
(b)エポキシ基含有ポリブタジエン
本発明で使用するエポキシ基含有ポリブタジエン(以下、「EPB」と略す。)は、ポリブタジエンを過酸化水素法などによりエポキシ化して得られるものであって、分子中に、エポキシ基とビニル基を含有する化合物である。従来より、EPBは、エポキシ基やビニル基の反応性を利用して、コーティング剤やラミネート剤として使用されたり、あるいは、熱可塑性樹脂に混合して樹脂改質剤やシーリング剤として使用されている。しかしながら、本発明の組成物からなる成形物において、耐候性が改善されることは、本発明において、始めて明かにされた。
【0008】
本発明で使用するEPBは、ポリブタジエンの末端を除くポリマー鎖中の二重結合の一部または全部がエポキシ化されたポリブタジエンをいう。具体的には、その数平均分子量が1,500から15,000でり、1,2−トランス構造の割合が50モル%以上であり、末端に水酸基を有するポリブタジエンをエポキシ化して得られるエポキシ化ポリブタジエンである。
また、本発明のポリブタジエンは、その末端に水酸基を有しているが、その水酸基含有量としては、0.1〜8meq/g(ミリ当量/g)程度が好ましく、0.2〜5meq/g程度が更に好ましい。この水酸基含有量が0.1meq/g未満であると、ポリブタジエンの極性が低くなりすぎて、エポキシ化ポリブタジエンと可塑剤との相溶性の低下を招くことがあり、一方、8meq/gを超えると極性が高過ぎて可塑剤およびポリ塩化ビニル樹脂との相溶性が低下することがある。
【0009】
ポリブタジエンは、一般に知られているように、その分子鎖中にいわゆる1,2−ビニル構造、1,4−シス構造、1,4−トランス構造など異なる構造の二重結合が残存し、残存する構造またはその割合は重合方法により相違する。本発明のポリブタジエンは、その分子鎖中に残存する二重結合のうち、50モル%以上が1,2−トランス構造を有するものであるが、その割合が60モル%以上であるものが好ましく、70モル%以上であるものがさらに好ましい。1,2−トランス構造の割合が50モル%より少ないと、ポリ塩化ビニル樹脂組成物の機械的物性が低下することがある。また本発明のポリブタジエンは、常温で液状であるものが好ましい。
【0010】
本発明のEPBの数平均分子量は、好ましくは800〜2,000の範囲、さらに好ましくは900〜1,500の範囲である。数平均分子量が800未満であると、製造工程で、EPBのブリードや、成形加工性の劣化が起こり易く、一方、2,000を超えると、塩化ビニル系樹脂との均一混合が維持され難くなる。数平均分子量が900〜1,500の範囲のEPBは、得られる成形物の物性、取扱性、入手しやすさなどの観点から好ましい。EPB分子中に含まれるエポキシ基とビニル基の比率(モル比)は、どのようなものでもよいが、通常、好ましくはエポキシ基1に対しビニル基2の比率である。好ましくは、1,2−ポリブタジエンより誘導されたエポキシ化1,2−ポリブタジエンである。
EPBとして、具体的には、旭電化(株)製、商品名BF−1000などが挙げられる。
【0011】
EPBの添加量としては、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜8重量部、特に、好ましくは3〜6重量部である。1重量部未満であると充分な耐候性の効果が得られない。一方、10重量部を超えると、耐候性効果は得られるが、塩化ビニル系樹脂の長所であるコストメリットが得られなくなる。
【0012】
(c)ヒンダードアミン系光安定剤
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ヒンダードペピリジン系の光安定剤が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤(Hindered Amine Light Stabilizer、HALS)として次のような化合物が挙げられる。
例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ〕ウンデカンなどのヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0013】
上記ヒンダードアミン系光安定剤のなかで、特に、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどの分子量1,000以下の化合物は、樹脂に分散しやすく安定化効果に優れるが、揮散しやすくフォギングしたり、安定化効果が持続しないなどの欠点がある。しかしリン酸エステル金属塩と併用すると、上記フォギングは、顕著に抑制できるため、好ましい。
【0014】
ヒンダードアミン系光安定剤の添加量としては、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜3.0重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部、特に、好ましくは0.1〜0.5重量部である。0.1重量部未満であると充分なラジカル捕捉効果が得られず、そのため良好な耐候性が得られない。一方、3.0重量部を超えると、ブルームしやすくなり、かつ、塩基性が高くなりピンキングなどの問題が発生しやすくなる。
【0015】
(d)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系などが挙げられる。
ベンゾフェノン系;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸。
ベンゾトリアゾール系;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ドデシル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−フェノール〕。
【0016】
アクリレート系;エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート。
サリシレート系;フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート。
オキザニリド系;2−エトキシ−2′−エチルオキザリックアシドビスアニリド、2−エトキシン−5−t−ブチル−2′−エチルオキザリックアシドビスアニリド。
好ましくは、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系が好適である。ベンゾフェノン系を用いた場合、0.1〜2.0重量部、好ましくは、0.5〜2.0重量部という範囲で要求される耐候性を得ることができ、ベンゾトリアゾール系を用いた場合、0.1〜0.5重量部という配合量で要求される耐候性を得ることができる。
【0017】
紫外線吸収剤の添加量としては、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部、特に、好ましくは0.1〜3重量部である。0.1重量部未満であると、充分な紫外線吸収効果が得られない。一方、10重量部を超えると、ブルームや着色(黄色変色)などの問題が発生し易くなる。
【0018】
本発明の組成物に柔軟性を要求される場合には、可塑剤を含有する事ができる。本発明に使用される可塑剤は、塩化ビニル系樹脂に用いられるものであれば特に制限される物ではなく、例えばフタル酸エステル系可塑剤、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤などが挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して使用する事ができる。上記可塑剤の具体例としては、DBP(ジノルマルブチルフタレート)、DOP(ジ−2−エチルへキシルフタレート)、DIOP(ジイソオクチルフタレート)、DINP(ジイソノニルフタレート)、DIDP(ジイソデシルフタレート)、DIBA(ジイソブチルアジペート)、DOA(ジ−2−エチルへキシルアジペート)、DIOA(ジイソオクチルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DBS(ジノルマルブチルセバケート)、DOS(ジセカンダリブチルセバケート)、DAS(ジアルファノールセバケート)、DOZ(ジセカンダリブチルアゼレート)、DIOZ(ジイソオクチルアゼレート)、TOP(トリ‐2‐エチルヘキシルホスヘート)、TCP(トリクレジルホスヘート)、TXP(トリキシレニルホスヘート)などが挙げられる。中でも好ましくは、DOP(ジ−2−エチルへキシルフタレート)、DINP(ジイソノニルフタレート)である。
【0019】
可塑剤は、本発明に係る高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物および成形品を所望の硬度に設定するものである。そして、可塑剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂または充填剤などの添加量によって異なるが、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは15〜200重量部、さらに好ましくは20〜120重量部の割合で使用する。15重量部未満であると、充分な可塑化効果が得られず。一方、200重量部を超えると可塑剤が成形品の表面にブリードしやすくなると言う問題がある。
【0020】
本発明の高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物には、任意の成分として紫外線吸収剤、光安定剤、耐候性助剤などを含有させる事ができる。
この他に、耐候性助剤としてはフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系抗酸化剤などが挙げられる。
【0021】
また、本発明の高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて安定剤、充填剤、滑剤、難燃剤、顔料、加工性助剤などを配合する事ができる。充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラス繊維などが挙げられる。
また、本発明の組成物は、従来公知のエポキシ系安定剤を、目的に応じて配合させることができる。エポキシ系安定剤としては、例えば、アマニ油、大豆油、ヤシ油、サフラワー油、サンフラワー油、綿実油、ヒマワリ油などをエポキシ化したエポキシ化安定剤;エポキシ化ステアリン酸オクチルに代表されるエポキシ化脂肪酸モノエステル;不飽和脂肪酸のグリコールエステルをエポキシ化して得られるエポキシ化脂肪酸ジエステル;エポキシヘキサヒドロフタル酸エステルに代表される脂環系エポキシド、などを挙げることができる。これらの中でも、エポキシ化植物油が熱安定性などの観点から好ましい。エポキシ化植物油の配合量としては、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは、1〜50重量部、さらに好ましくは3〜20重量部の割合で使用する。1重量部未満であると熱安定効果が充分に得られない。一方、50重量部を超えるとブリード、目ヤニなどの問題が発生しやすい。
【0022】
本発明の高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物の製造方法には、特に制限は無い。組成物の各成分が実質的に均一に分散、混合、混練される方法であれば、どのような製造方法を採用する事もできる。例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブラーミキサーなどでドライまたはホットブレンドした後の配合物を直接成形する事もでき、また、バンバリーミキサー型、コニーダー型、2軸同方向押出機、2軸異方向型押出機、石臼型押出機などで溶融混練した後、ペレット化してこれを成形することもできる。
【0023】
本発明の高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物は、雨・結露などの水と太陽光の複合による耐候性に優れるものである。その耐候性は、JIS D0205に準じたブラックボックス曝露試験を、屋外水平に設置した状態で1年間行った(曝露地:三重県亀山市)場合、全く変色が見られないものである。また、上記1年間暴露後の本発明の軟質塩化ビニル系樹脂組成物は、堀場製作所製、グロスチェッカーIG−330で測定したグロス(GLOSS)の保持率(暴露前のグロスとの割合)が、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
【0024】
本発明の高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物はさらに、任意の成形方法で成形する事ができる。例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形などの方法から望まれる製品に応じて選択する事ができる。
【0025】
【実施例】
以下実施例によって、本発明をより詳細に説明する。なお、以下部または%とあるのは、特記しない限り重量基準である。
【0026】
実施例1
塩化ビニル樹脂〔信越化学(株)製TK−1300、平均重合度;1,300〕100部、DINP〔花王(株)製ビニサイザー90〕40部、エポキシ化大豆油〔旭電化(株)製O‐130P〕5部、Ba−Zn安定剤〔旭電化(株)製AC−255〕2部、フォスファイト系酸化防止剤〔旭電化(株)製1500〕0.5部、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)〔旭電化(株)製LA−32〕0.4部、光安定剤(ヒンダードアミン系)〔旭電化(株)製LA−62〕0.2部、エポキシ化1,2−ポリブタジエン〔旭電化(株)製アデカサイザーBF−1000、数平均分子量;1,000〕4部を配合し、高速ミキサーで予備ブレンドを行った後、バンバリーミキサーとミキシングロールにより溶融・混練し、押出機により押出し、丸ペレット状とした。さらにこのペレットを、平板金型を付けた押出機により1mm厚の平板に成形し、これを3cm×6cmの大きさに打ち抜き、耐候性試験用の試料とした。
この試料を水分の影響を受け易くする為、JIS D0205に準じるブラックボックス曝露試験を、屋外水平に設置した状態で1年間および2年間行った(曝露地:三重県亀山市)。耐候性試験の評価は、目視での変色度合いと堀場製作所製、グロスチェッカーIG−330で測定したグロス(GLOSS)の保持率で行った。その結果を表1に示す。
【0027】
実施例2
実施例1の組成物に、さらに充填剤として重質炭酸カルシウム〔備北粉化工業(株)製ライトンBS−0〕20部を含有する組成物を調製し、耐候性試験を行った。その結果を表1に示す。
参考例1
紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系)〔旭電化(株)製LA−32〕0.4部を配合しなかった事以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
参考例2
光安定剤(ヒンダードアミン系)〔旭電化(株)製LA−62〕0.2部を配合しなかった事以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
比較例1
エポキシ化1,2−ポリブタジエンを配合しなかった以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
比較例2
エポキシ化1,2−ポリブタジエンを配合しなかった事以外は実施例2と同様に行った。その結果を表1に示す。
比較例3
紫外線吸収剤〔旭電化(株)製LA−32〕と光安定剤〔旭電化(株)製LA−62〕を配合しなかった事以外は実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
以上に示した通り、本発明は、エポキシ基含有ポリブタジエンを塩化ビニル系樹脂組成物に添加することにより、水分と太陽光の複合による耐候性の劣化を防ぐ事ができる高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物が得られる。本発明の高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物は、車両、建材など耐候性を要求される用途に好適に適用できる。
Claims (2)
- (a)塩化ビニル樹脂100重量部に対し、(b)数平均分子量が900〜1,500のエポキシ基含有ポリブタジエン1〜10重量部、(c)ヒンダードアミン系光安定剤0.1〜3.0重量部、(d)紫外線吸収剤0.1〜10.0重量部、および(e)可塑剤(フタル酸ジ−2−プロピルヘプチルを除く)15〜200重量部の割合で含有することを特徴とする高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物。
- 自動車外装材または建材に用いられる、請求項1に記載の高耐候性塩化ビニル系樹脂組成物。
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