以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の商品搬出装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1である商品搬出装置を適用した自動販売機を示したものである。ここで例示する自動販売機は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット10、外扉20及び内扉30を備えている。
本体キャビネット10は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって前面が開口した箱状に構成したもので、その内部に断熱構造の商品収容庫11を有している。外扉20は、本体キャビネット10の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット10の一側縁部に開閉可能に配設してある。図には明示していないが、この外扉20の前面には、ディスプレイウィンドウ、商品選択押ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口、商品取出口21等々、商品Gを販売する際に必要となる構成が設けてある。内扉30は、商品収容庫11の前面開口を覆うための断熱扉であり、外扉20よりも内方となる位置において本体キャビネット10の一側縁部に開閉可能に配設してある。この内扉30の下方部には、商品Gを商品収容庫11の外部に搬出するための商品搬出口31が設けてある。
また、上記自動販売機には、商品収容庫11の内部に商品シュータ12が設けてあり、この商品シュータ12よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」という)に温度調整ユニット40が配設してある一方、商品シュータ12よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」という)に複数の商品ラック50が配設してある。
商品シュータ12は、後述する商品ラック50の商品収納通路53から払い出された商品Gを内扉30の商品搬出口31に案内するためプレート状部材であり、手前側に向けて下方に傾斜する態様で配設してある。図には明示していないが、この商品シュータ12には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔が多数穿設してある。
温度調整ユニット40は、商品収容庫11の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、冷凍サイクル41の蒸発器41a、電熱ヒータ42及び送風ファン43を備えて構成してある。この温度調整ユニット40においては、例えば冷凍サイクル41を運転した状態で送風ファン43を駆動すると、蒸発器41aにおいて冷却された空気が商品シュータ12の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を低温状態に維持することができる。一方、電熱ヒータ42に通電した状態で送風ファン43を駆動すると、電熱ヒータ42によって加熱された空気が商品シュータ12の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を高温状態に維持することができる。
商品ラック50は、一対の側板51の間にセグメントと称される湾曲形状の案内部材52を配設することによって蛇行状に構成した商品収納通路53を備え、商品収納通路53の内部に上下方向に沿って複数の商品Gを収納するものである。商品収納通路53に収納された商品Gは、それぞれの中心軸が略水平方向に沿って延在した横臥姿勢である。この商品収納通路53には、上端部にトップトレイ54が設けてある一方、下端部に商品搬出装置60が設けてある。
トップトレイ54は、商品収容庫11の前面開口から投入された商品Gを商品収納通路53の上端開口に案内するためのプレート状部材であり、商品収納通路53の上端から手前側に向けて漸次上方に傾斜する態様で配設してある。
商品搬出装置60は、通路幅規定板55との間において商品Gの挙動を制御することにより、販売待機状態においては商品収納通路53に商品Gを収納する一方、販売指令(搬出指令)が与えられた場合には対応する商品Gを1つずつ商品シュータ12に払い出すように機能するもので、図2及び図3に示すように、ベース部材61を備えている。
ベース部材61は、案内基壁62の両側にそれぞれ側壁63を備えて構成したもので、案内基壁62の外表面を通路幅規定板55に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。案内基壁62は、通路幅規定板55と平行となる態様で上下方向に延在したもので、その中間部にペダル挿通孔62aを有している。ペダル挿通孔62aは、矩形状の貫通開口であり、案内基壁62のほぼ全幅に亘る部位に形成してある。
このベース部材61には、一対の側壁63の間に揺動支持軸64が架設してあるとともに、案内基壁62の内表面側上部にペダルアクチュエータ65が配設してある。揺動支持軸64は、一対の側壁63の下端部間に略水平方向に沿って配設した軸状部材であり、その中間部にペダル部材66を支承している。
ペダル部材66は、ベース部材61に形成したペダル挿通孔62aとほぼ同じ幅を有したプレート状部材であり、基端部に揺動支持軸64を挿通させることによりこの揺動支持軸64の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。ペダル部材66の先端部は、揺動支持軸64の径外方向に向けて延在しており、揺動支持軸64の軸心回りに揺動した場合に案内基壁62に形成したペダル挿通孔62aを通じて商品収納通路53に進退移動することが可能である。ペダル部材66には、先端に押圧傾斜面66aが設けてあるとともに、背面に逃げ凹部66bが設けてある。押圧傾斜面66aは、商品収納通路53に向けて漸次低くなる態様で形成した湾曲状の傾斜面である。逃げ凹部66bは、ペダル部材66の両側面に開口する態様で形成した略水平に延在する一条の凹所である。このペダル部材66とベース部材61との間には、ペダル付勢バネ(ペダル付勢手段)67が設けてある。ペダル付勢バネ67は、商品収納通路53に対してペダル部材66を常時進出する方向に向けて付勢するものである。
本実施の形態1で適用するペダル部材66は、商品収納通路53に対して最も進出した進出位置に配置された場合に、図2に示すように、揺動支持軸64を通過する鉛直面に対して前傾した状態にあり、通路幅規定板55との間に最も外径の小さい販売対象商品Gの外径よりも小さい間隙を確保する長さに設定してある。また、進出位置に配置されたペダル部材66の押圧傾斜面66aに商品収納通路53の商品Gが当接した場合、商品Gからの押圧力によりペダル付勢バネ67の付勢力に抗してペダル部材66の先端部が退行移動するように、押圧傾斜面66aの傾斜角度が設定されている。
ペダルアクチュエータ65は、プランジャ65aを下方に向ける態様で配設した電磁ソレノイドである。このペダルアクチュエータ65には、図2及び図3に示すように、プランジャ65aの下端部にリンク部材68を介してストッパ部材69が接続してある。ストッパ部材69は、ペダル部材66の幅とほぼ同一となる長さを有した長尺の円柱状部材であり、両端部を側壁63の長孔63aに挿通させることにより、上下方向に沿って移動可能となる態様で配設してある。このストッパ部材69とベース部材61との間には、ストッパ付勢バネ(ストッパ付勢手段)70が設けてある。ストッパ付勢バネ70は、ストッパ部材69を常時下方に向けて付勢するものである。
このストッパ部材69がストッパ付勢バネ70の付勢力により長孔63aの下端部に配置された状態(規制位置)においては、進出位置に配置されたペダル部材66の背面にストッパ部材69が当接しており、ペダル部材66の退行移動が阻止されることになる。これに対してペダルアクチュエータ65を励磁するとプランジャ65aが縮退動作し、ストッパ付勢バネ70の付勢力に抗してストッパ部材69が長孔63aの上方に移動した状態(許容位置)となる。ストッパ部材69が許容位置に配置された状態においては、ストッパ部材69に対して逃げ凹部66bが対向するため、ペダル部材66とストッパ部材69との干渉が回避され、ペダル部材66を退行移動させることが可能となる。
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置60では、販売待機状態においてペダル付勢バネ67の付勢力によりペダル部材66が進出位置に保持された状態にある。さらにペダルアクチュエータ65が消磁された状態にあり、図2に示すように、ストッパ付勢バネ70の付勢力によりストッパ部材69が規制位置に保持されている。この結果、ストッパ部材69によってペダル部材66の退行移動が阻止されているため、ペダル部材66の先端に当接した最下位の商品G1の下方への移動が規制され、商品ラック50の商品収納通路53に商品Gがそれぞれ横臥姿勢で収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品Gが所望の温度状態に維持されることになる。
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、ペダルアクチュエータ65が励磁され、図4に示すように、ストッパ付勢バネ70の付勢力に抗してストッパ部材69が許容位置に移動する。この結果、押圧傾斜面66aの傾斜作用により、商品収納通路53において最下位に位置する商品G1が当接することによってペダル部材66が退行移動し、図5に示すように、最下位の商品G1が下方に搬出されることになる。商品収納通路53から搬出された商品G1は、商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、さらに外扉20の商品取出口21を介して利用者の手に渡ることになる。この間、ペダルアクチュエータ65が消磁された状態に復帰するが、ペダル部材66の逃げ凹部66bに位置したストッパ部材69は許容位置に配置された状態のままとなる。
最下位の商品G1が搬出される間、ペダル付勢バネ67の付勢力によって付勢されたペダル部材66は、図6に示すように、商品G1の中心が通過した直後から進出移動を開始し、最下位の商品G1と最下位から2番目の商品G2との隙間において上述した進出位置に復帰する。この場合、ペダル部材66の進退移動が下端部を中心とした揺動であり、かつ進出移動した場合に前傾した姿勢となるものであるため、ペダル部材66が進出位置に移動する際に商品収納通路53の商品Gを上方に移動させる動作を伴うことがない。従って、ペダル付勢バネ67として、ペダル部材66のみを進出移動することのできる程度のバネ定数を有したものを適用した場合にもペダル部材66の進出移動を確実に行うことができる。
ペダル部材66が進出位置に復帰すると、ストッパ付勢バネ70の付勢力によってストッパ部材69が直ちに規制位置に移動するため、図7に示すように、最下位から2番目に位置していた商品G2が搬出される以前にペダル部材66の退行移動が規制された状態、つまり商品搬出装置60が販売待機状態となる。
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品Gを個別に搬出することができるようになる。しかも、上述した商品搬出装置60によれば、従来の商品搬出装置のように上下2つのペダル部材を要しないため、取扱部品点数の削減によって製造作業の容易化や製造コストの低減を図ることができるようになる。
尚、上述した実施の形態1では、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品搬出装置60を例示しているが、その他の商品Gを販売する自動販売機にももちろん適用することが可能である。また、上下方向に沿って蛇行状に延在する商品収納通路53に適用した商品搬出装置60を例示しているが、商品収納通路の延在態様は必ずしも蛇行状である必要はない。
さらに、上述した実施の形態1では、ストッパ部材69を上下方向に移動させ、かつペダルアクチュエータ65としてプランジャ65aを下方に向ける態様で配設した電磁ソレノイドを適用しているため、商品搬出装置60の薄型化を図ることが可能であるが、規制位置と許容位置との間を移動すれば、必ずしもストッパ部材を上下方向に移動させる必要はない。
(実施の形態2)
図8及び図9は、本発明の実施の形態2である自動販売機の商品搬出装置を示したものである。ここで例示する商品搬出装置80は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において通路幅規定板55に対向する部位にベース部材81を備えている。尚、以下においては、実施の形態1と同様の構成に同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
ベース部材81は、案内基壁82の両側にそれぞれ側壁83を備えて構成したもので、案内基壁82の外表面を通路幅規定板55に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。案内基壁82は、通路幅規定板55と平行となる態様で上下方向に延在したもので、その中間部にペダル挿通孔82aを有している。ペダル挿通孔82aは、矩形状の貫通開口であり、案内基壁82のほぼ全幅に亘る部位に形成してある。
このベース部材81には、一対の側壁83の間に揺動支持軸84が架設してあるとともに、案内基壁82の内表面側上部にペダルアクチュエータ85が配設してある。揺動支持軸84は、一対の側壁83の下端部間に略水平方向に沿って配設した軸状部材であり、その中間部にペダル部材86を支承している。
ペダル部材86は、基端部に揺動支持軸84を挿通させることにより、この揺動支持軸84の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。ペダル部材86の先端部は、揺動支持軸84の径外方向に向けて延在しており、揺動支持軸84の軸心回りに揺動した場合に案内基壁82に形成したペダル挿通孔82aを通じて商品収納通路53に進退移動することが可能である。ペダル部材86には、背面側の上端部両側面にそれぞれリンク用凹部86aが設けてある。リンク用凹部86aは、ペダル部材86の背面、側面及び先端に開口する態様で形成した切欠部である。各リンク用凹部86aには、それぞれリンク軸(リンク手段)87を介してリンクレバー(リンク手段)88が配設してある。リンク軸87は、リンク用凹部86aの基端となる部位に設けた軸状部材であり、揺動支持軸84と平行となる態様で延設してある。リンクレバー88は、各々のリンク軸87の軸心回りに揺動可能となる態様で個々のリンク軸87に配設してある。このペダル部材86とベース部材81との間には、ペダル付勢バネ89が設けてある。ペダル付勢バネ89は、商品収納通路53に対してペダル部材86を常時進出する方向に向けて付勢するものである。
ここで、ペダル部材86は、商品収納通路53に対して最も進出した進出位置に配置された場合、図8に示すように、揺動支持軸84を通過する鉛直面に対して前傾した状態にあり、通路幅規定板55との間に最も外径の小さい販売対象商品Gの外径よりも小さい間隙を確保する長さに設定してある。
ペダルアクチュエータ85は、プランジャ85aを下方に向ける態様で配設した電磁ソレノイドである。このペダルアクチュエータ85には、図8及び図9に示すように、プランジャ85aの下端部にリンクロッド(リンク手段)90を介してリンクレバー88が接続してある。リンクロッド90は、ペダル部材86の幅とほぼ同一となる長さを有した長尺の円柱状部材であり、両端部を側壁83の長孔83aに挿通させることにより、上下方向に沿って移動可能となる態様で配設してある。このリンクロッド90には、個々の端部にリンクレバー88が揺動可能に接続してあるとともに、ベース部材81との間にリンク付勢バネ91が設けてある。リンク付勢バネ91は、リンクロッド90を常時下方に向けて付勢するものである。
このリンクロッド90がリンク付勢バネ91の付勢力により長孔83aの下端部に配置された状態においては、ペダル部材86が進出位置に配置された状態において揺動支持軸84を中心とした円の接線方向に沿ってリンクレバー88が配置されるため、ペダル部材86の退行移動によってはリンクレバー88がリンク軸87の軸心回りに揺動することがなく(ロック状態)、結局、ペダル部材86の退行移動が阻止されることになる。これに対してペダルアクチュエータ85を励磁するとプランジャ85aが縮退動作し、リンク付勢バネ91の付勢力に抗してリンクロッド90が上方に移動するため、リンクレバー88を介してペダル部材86が退行移動することになる。
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置80では、販売待機状態においてペダル付勢バネ89の付勢力によりペダル部材86が進出位置に保持された状態にある。さらにペダルアクチュエータ85が消磁された状態にあり、図8に示すように、リンク付勢バネ91の付勢力によりリンクロッド90が長孔83aの下端部に保持されている。この結果、ペダル部材86の退行移動が阻止されているため、ペダル部材86の先端に当接した最下位の商品G1の下方への移動が規制され、商品収納通路53に商品Gがそれぞれの中心軸を略水平方向に沿って延在した横臥姿勢で収納された状態となる。この間、図示せぬ温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品Gが所望の温度状態に維持されることになる。
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、ペダルアクチュエータ85が励磁され、図10及び図11に示すように、リンク付勢バネ91の付勢力に抗してリンクロッド90が上方に移動する。この結果、ペダル部材86が退行移動し、最下位の商品G1が下方に搬出されることになる。商品収納通路53から搬出された商品G1は、商品シュータ12を通じて内扉30の商品搬出口31に案内され、さらに外扉20の商品取出口21を介して利用者の手に渡ることになる。この間、ペダルアクチュエータ85は消磁された状態に復帰する。
最下位の商品G1が搬出される間、ペダル付勢バネ89の付勢力によって付勢されたペダル部材86は、図12に示すように、商品G1の中心が通過した直後から進出移動を開始し、最下位の商品G1と最下位から2番目の商品G2との隙間において上述した進出位置に復帰する。この場合、ペダル部材86の進退移動が下端部を中心とした揺動であり、かつ進出した場合に前傾した姿勢となるものであるため、ペダル部材86が進出位置に移動する際に商品収納通路53の商品Gを上方に移動させる動作を伴うことがない。従って、ペダル付勢バネ89として、ペダル部材86のみを進出移動することのできる程度のバネ定数を有したものを適用した場合にもペダル部材86の進出移動を確実に行うことができる。
ペダル部材86が進出位置に復帰すると、再びリンクレバー88が揺動支持軸84を中心とした円の接線方向に沿って配置されるため、図13に示すように、最下位から2番目に位置していた商品G2が搬出される以前にペダル部材86の退行移動が規制された状態、つまり商品搬出装置80が販売待機状態となる。
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品Gを個別に搬出することができるようになる。しかも、上述した商品搬出装置80によれば、従来の商品搬出装置のように上下2つのペダル部材86を要しないため、取扱部品点数の削減によって製造作業の容易化や製造コストの低減を図ることができるようになる。
尚、上述した実施の形態2では、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品搬出装置80を例示しているが、その他の商品Gを販売する自動販売機にももちろん適用することが可能である。また、上下方向に沿って蛇行状に延在する商品収納通路53に適用した商品搬出装置60を例示しているが、商品収納通路の延在態様は必ずしも蛇行状のものである必要はない。
さらに、上述した実施の形態2では、ロック状態においてリンクレバー88を、揺動支持軸84を中心とした円の接線方向に沿って配置させるようにしているが、この接線よりも揺動支持軸84に近接する側に傾斜するようにリンクレバー88を配置しても構わない。
(実施の形態3)
図14〜図16は、本発明の実施の形態3である自動販売機の商品搬出装置を示したものである。ここで例示する商品搬出装置100は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において通路幅規定板55′に対向する部位にベース部材101を備えている。尚、以下においては、実施の形態1と同様の構成に同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
ベース部材101は、案内基壁102の両側にそれぞれ側壁103を備えて構成したもので、案内基壁102の外表面を通路幅規定板55′に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。案内基壁102は、略鉛直方向に沿って上下方向に延在したもので、その中間部にペダル挿通孔102aを有しているとともに、ペダル挿通孔102aの上方となる部位に案内突起101aを有している。ペダル挿通孔102aは、矩形状の貫通開口であり、案内基壁102のほぼ全幅に亘る部位に形成してある。案内突起101aは、ベース部材101の外表面から商品収納通路53に向けて突出した凸状部であり、商品収納通路53の商品Gを通路幅規定板55′に向けて案内する機能を有している。
このベース部材101には、一対の側壁103の間に揺動支持軸104が架設してあるとともに、案内基壁102の内表面側上部にペダルアクチュエータ105が配設してある。揺動支持軸104は、一対の側壁103の下端部間に略水平方向に沿って配設した軸状部材であり、その中間部にペダル部材106及び姿勢制御板(姿勢維持手段)107を支承している。
ペダル部材106は、ベース部材101に形成したペダル挿通孔102aとほぼ同じ幅を有したプレート状部材であり、基端部に揺動支持軸104を挿通させることによりこの揺動支持軸104の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。ペダル部材106の先端部は、揺動支持軸104の径外方向に向けて延在しており、揺動支持軸104の軸心回りに揺動した場合に案内基壁102に形成したペダル挿通孔102aを通じて商品収納通路53に進退移動することが可能である。
このペダル部材106には、先端に押圧傾斜面106bが設けてあるとともに、背面において押圧傾斜面106bよりも僅かに基端部寄りとなる部分に逃げ凹部106aが設けてある。押圧傾斜面106bは、商品収納通路53に向けて漸次低くなる態様で形成した湾曲状の傾斜面である。逃げ凹部106aは、ペダル部材106の背面及び両側面に開口する態様で形成した略水平に延在する一条の凹所である。このペダル部材106とベース部材101との間には、ペダル付勢バネ(ペダル付勢手段)108が設けてある。ペダル付勢バネ108は、商品収納通路53に対してペダル部材106を常時進出する方向に向けて付勢するものである。
本実施の形態3で適用するペダル部材106は、商品収納通路53に対して最も進出した進出位置に配置された場合、図14に示すように、揺動支持軸104を通過する鉛直面に対して前傾した状態にあり、通路幅規定板55′の下端部に構成した規定部55a′との間に最も外径の小さい販売対象商品Gの外径よりも小さい間隙を確保する長さに設定してある。
姿勢制御板107は、図には明示していないが、揺動支持軸104に沿った長さがペダル部材106とほぼ同じである一方、揺動支持軸104に直交する方向の長さがペダル部材106よりも大きくなるように構成した薄板状部材であり、基端部に揺動支持軸104を挿通させることにより、ペダル部材106よりも商品収納通路53に近接する部位において揺動支持軸104の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。この姿勢制御板107とベース部材101との間には、制御板付勢バネ109が設けてある。制御板付勢バネ109は、ペダル部材106の外表面に対して姿勢制御板107を常時近接する方向に付勢するものである。
ペダルアクチュエータ105は、プランジャ105aを下方に向ける態様で配設した電磁ソレノイドである。このペダルアクチュエータ105には、プランジャ105aの下端部にストッパ部材110が接続してある。ストッパ部材110は、ペダル部材106の幅とほぼ同一となる長さを有した長尺の円柱状部材であり、両端部を側壁103の長孔103aに挿通させることにより、上下方向に沿って移動可能となる態様で配設してある。このストッパ部材110とベース部材101との間には、ストッパ付勢バネ(ストッパ付勢手段)111が設けてある。ストッパ付勢バネ111は、ストッパ部材110を常時下方に向けて付勢し、ストッパ部材110が長孔103aの下端部に配置された状態(規制位置)を維持しようとするものである。ストッパ付勢バネ111の付勢力は、ペダルアクチュエータ105を励磁した場合に、規制位置に配置されたストッパ部材110を長孔103aの上方へ移動させた状態(許容位置)とすることのできる大きさである。ストッパ部材110が許容位置に配置された状態においては、ストッパ部材110に対して逃げ凹部106aが対向するため、ペダル部材106とストッパ部材110との干渉が回避され、ペダル部材106を退行移動させることが可能となる。
一方、上記ペダル部材106には、図15及び図16に示すように、その背面側となる部位にカム面112が設けてある。カム面112は、上述したストッパ部材110に係合することによってペダル部材106の姿勢を制御するもので、退行規制面部113及び進出案内面部114を有している。
退行規制面部113は、ペダル部材106が進出位置に配置された状態において略鉛直方向に沿って延在しており、規制位置に配置されたストッパ部材110に当接した場合にペダル部材106の退行移動を規制することにより、当該ペダル部材106を進出位置に維持するものである。
進出案内面部114は、外方に向けて凸となる湾曲状を成すもので、ペダル部材106が退行移動した状態においてストッパ部材110が長孔103aに沿って下方に移動して当接した場合にペダル部材106を揺動支持軸104の軸心回りに進出方向に向けて揺動させるものである。より具体的に説明すると、進出案内面部114は、許容位置から規制位置に向けて移動するストッパ部材110が当接した場合の法線方向分力f1,f2が、ペダル部材106の揺動中心となる揺動支持軸104の軸心よりも商品収納通路53にずれた位置を通過するように構成してあり、この法線方向分力f1,f2により、揺動支持軸104の軸心を中心としてペダル部材106を進出位置に移動させるモーメントを作用させるように構成してある。
さらに、図15に示すように、進出案内面部114において退行規制面部113から離隔した離隔部分114aにストッパ部材110が当接した場合、つまり商品収納通路53に対する突出量が小さい状態と、図16に示すように、退行規制面部113に近接した近接部分114bにストッパ部材110が当接した場合、つまり商品収納通路53に対する突出量が大きい状態とでは、後者のモーメントが大きくなるように、進出案内面部114の湾曲態様が変更してある。
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置100では、販売待機状態においてペダル付勢バネ108の付勢力によりペダル部材106が進出位置に保持された状態にある。さらにペダルアクチュエータ105が消磁された状態にあり、図14に示すように、ストッパ付勢バネ111の付勢力によりストッパ部材110が規制位置に保持されている。この結果、ストッパ部材110が退行規制面部113に当接することによってペダル部材106の退行移動が阻止されることになり、ペダル部材106の先端に当接した最下位の商品G1の下方への移動が規制され、商品ラック50の商品収納通路53に商品Gがそれぞれの中心軸gを略水平方向に沿って延在した横臥姿勢で収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品Gが所望の温度状態に維持されることになる。また、図14からも明らかなように、販売待機状態においては、ペダル部材106の先端に当接した最下位の商品G1に対して、その下方に向いた周面のほぼ全長に亘り、姿勢制御板107の先端が当接した状態にある。
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、ペダルアクチュエータ105が励磁され、図17に示すように、ストッパ付勢バネ111の付勢力に抗してストッパ部材110が許容位置に移動する。この結果、押圧傾斜面106bの傾斜作用により、商品収納通路53において最下位に位置する商品G1が当接することによってペダル部材106が退行移動し、図18及び図19に示すように、最下位の商品G1が下方に搬出されることになる。
この間、上記商品搬出装置100によれば、ペダル部材106が退行移動した後においても、最下位の商品G1の下方に向いた周面に姿勢制御板107の先端が当接した状態にあり、制御板付勢バネ109の付勢力に抗してこの姿勢制御板107を漸次下方に揺動させながら商品G1の搬出が行われることになる。従って、例えば缶入り飲料である商品Gが互いに軸方向にずれて収納されていた場合であっても、またペットボトル入り飲料のように左右で外径や重量が異なる商品Gが収納されていた場合であっても、搬出途中においてその姿勢が乱れることはなく、商品Gの中心軸gが略水平方向に沿って延在する横臥姿勢が確実に維持されることになる。
商品収納通路53から搬出された商品G1は、商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、さらに外扉20の商品取出口21を介して利用者の手に渡ることになる。この間、ペダルアクチュエータ105は消磁された状態となるものの、ペダル部材106の逃げ凹部106aに位置したストッパ部材110は許容位置に配置された状態のままとなる。
最下位の商品G1が搬出される間、ペダル付勢バネ108の付勢力によって付勢されたペダル部材106は、図19に示すように、商品G1の中心軸gがペダル部材106の最先端を通過した直後から進出移動を開始し、最下位の商品G1と最下位から2番目の商品G2との隙間において上述した進出位置に復帰する。
この場合、ペダル部材106の進退移動が下端部を中心とした揺動であり、かつ進出移動した場合に前傾した姿勢となるものであるため、ペダル部材106が進出位置に移動する際に商品収納通路53の商品Gを上方に移動させる動作を伴うことがない。従って、ペダル付勢バネ108として、ペダル部材106のみを進出移動することのできる程度のバネ定数を有したものを適用した場合にもペダル部材106の進出移動を確実に行うことができる。
しかも、ペダル部材106が商品収納通路53から退行移動した後においても、最下位の商品G1に対して姿勢制御板107の先端が当接した状態にあり、その中心軸gが略水平方向に沿って延在する横臥姿勢が確実に維持されるため、この最下位の商品G1の上方に積層された状態の商品Gに関しても横臥姿勢が維持されることになる。
ここで、商品Gの中心軸gが水平方向に対して大きく傾斜した場合には、最下位の商品G1と最下位から2番目の商品G2との間に画成される隙間も水平方向に対して大きく傾斜した状態となるため、この隙間にペダル部材106を進出移動させることが困難となる。このような状態にあっては、最下位から2番目に位置していた商品G2の下方への移動を阻止することができず、複数の商品Gが搬出される虞れがある。
しかしながら、実施の形態3の商品搬出装置100によれば、姿勢制御板107の作用により、最下位の商品G1と2番目の商品G2との間に画成される隙間が水平方向に沿ったものとなるため、この隙間に対してペダル部材106が容易に、かつ確実に進出移動することになり、最下位から2番目の商品G2が最下位の商品G1と同時に搬出される虞れがない。
また、実施の形態3の商品搬出装置100では、図15及び図16に示すように、ペダル部材106においてストッパ部材110が当接する部位に進出案内面部114を有したカム面112を設けるようにしているため、ストッパ付勢バネ111の付勢力をペダル部材106の進出移動に用いることができる。これにより、例えばペダルアクチュエータ105の通電時間に長短のバラ付きが発生したとしても、ペダル部材106の進出移動を遅延することなく確実に行うことが可能となり、最下位の商品G1と同時に最下位から2番目以降の商品Gが搬出される事態を防止することができる。しかも、進出案内面部114において退行規制面部113から離隔した離隔部分114aにストッパ部材110が当接した場合よりも、退行規制面部113に近接した近接部分114bにストッパ部材110が当接した場合にペダル部材106を進出移動させるモーメントが大きくなるように進出案内面部114を構成しているため、つまり、ペダル部材106がより大きく進出した状態においてこれを進出させる方向のモーメントを大きく設定しているため、仮にペダル部材106の先端部が商品Gと接触した状況下にあってもペダル部材106の進出位置への移動を確実に行うことが可能となる。さらに、進出案内面部114を設けた場合には、ペダル付勢バネ108を省略することが可能であり、部品点数の削減を図ることさえ可能となる。
ペダル部材106が進出位置に復帰すると、ストッパ付勢バネ111の付勢力によってストッパ部材110が直ちに規制位置に移動するため、図20に示すように、最下位から2番目に位置していた商品G2が搬出される以前にペダル部材106の退行移動が規制された状態、つまり商品搬出装置100が販売待機状態となる。さらに、制御板付勢バネ109の付勢力によって姿勢制御板107が上方に向けて揺動し、最下位から2番目に位置していた商品G2に対して、その下方に向いた周面のほぼ全長に亘り、姿勢制御板107の先端が当接した状態となる。
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品Gを個別に搬出することができるようになる。しかも、上述した商品搬出装置100によれば、従来の商品搬出装置のように上下2つのペダル部材106を要しないため、取扱部品点数の削減によって製造作業の容易化や製造コストの低減を図ることができるようになる。
尚、上述した実施の形態3では、ペダル部材106を商品収納通路53から退行させた後においても商品Gに姿勢制御板107を当接させ、さらにペダル部材106においてストッパ部材110が当接する部位にカム面112を形成しているため、一旦退行移動したペダル部材106をより確実に進出移動させ、最下位から2番目に位置していた商品G2が搬出される事態を確実に防止することができるが、必ずしも双方を同時に実施する必要はなく、いずれか一方を実施するようにしても構わない。
(実施の形態4)
図21は、本発明の実施の形態4である自動販売機の商品搬出装置を示したものである。ここで例示する商品搬出装置120は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において通路幅規定板55′に対向する部位にベース部材121を備えている。尚、以下においては、実施の形態1と同様の構成に同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
ベース部材121は、案内基壁122の両側にそれぞれ側壁123を備えて構成したもので、案内基壁122の外表面を通路幅規定板55′に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。案内基壁122は、略鉛直方向に沿って上下方向に延在したもので、その中間部にペダル挿通孔122aを有しているとともに、ペダル挿通孔122aの上方となる部位に案内突起121aを有している。ペダル挿通孔122aは、矩形状の貫通開口であり、案内基壁122のほぼ全幅に亘る部位に形成してある。案内突起121aは、ベース部材121の外表面から商品収納通路53に向けて突出した凸状部であり、商品収納通路53の商品Gを通路幅規定板55′に向けて案内する機能を有している。
このベース部材121には、一対の側壁123の間に揺動支持軸124が架設してあるとともに、案内基壁122の内表面側上部にペダルアクチュエータ125が配設してある。揺動支持軸124は、一対の側壁123の下端部間に略水平方向に沿って配設した軸状部材であり、その中間部にペダル部材126を支承している。
ペダル部材126は、ベース部材121に形成したペダル挿通孔122aとほぼ同じ幅を有したプレート状部材であり、基端部に揺動支持軸124を挿通させることによりこの揺動支持軸124の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。ペダル部材126の先端部は、揺動支持軸124の径外方向に向けて延在しており、揺動支持軸124の軸心回りに揺動した場合に案内基壁122に形成したペダル挿通孔122aを通じて商品収納通路53に進退移動することが可能である。
このペダル部材126には、先端に押圧傾斜面126bが設けてあるとともに、背面において押圧傾斜面126bよりも僅かに基端部寄りとなる部分に逃げ凹部126aが設けてある。押圧傾斜面126bは、商品収納通路53に向けて漸次低くなる態様で形成した湾曲状の傾斜面である。逃げ凹部126aは、ペダル部材126の背面及び両側面に開口する態様で形成した略水平に延在する一条の凹所である。このペダル部材126とベース部材121との間には、ペダル付勢バネ(ペダル付勢手段)127が設けてある。ペダル付勢バネ127は、商品収納通路53に対してペダル部材126を常時進出する方向に向けて付勢するものである。
本実施の形態4で適用するペダル部材126は、商品収納通路53に対して最も進出した進出位置に配置された場合、図21に示すように、揺動支持軸124を通過する鉛直面に対して前傾した状態にあり、通路幅規定板55′の下端部に構成した規定部55a′との間に最も外径の小さい販売対象商品Gの外径よりも小さい間隙を確保する長さに設定してある。
ペダルアクチュエータ125は、プランジャ125aを下方に向ける態様で配設した電磁ソレノイドである。このペダルアクチュエータ125には、プランジャ125aの下端部にストッパ部材130が接続してある。ストッパ部材130は、ペダル部材126の幅とほぼ同一となる長さを有した長尺の円柱状部材であり、両端部を側壁123の長孔123aに挿通させることにより、上下方向に沿って移動可能となる態様で配設してある。このストッパ部材130とベース部材121との間には、ストッパ付勢バネ(ストッパ付勢手段)131が設けてある。ストッパ付勢バネ131は、ストッパ部材130を常時下方に向けて付勢し、ストッパ部材130が長孔123aの下端部に配置された状態(規制位置)を維持しようとするものである。ストッパ付勢バネ131の付勢力は、ペダルアクチュエータ125を励磁した場合に、規制位置に配置されたストッパ部材130を長孔123aの上方へ移動させた状態(許容位置)とすることのできる大きさである。ストッパ部材130が許容位置に配置された状態においては、ストッパ部材130に対して逃げ凹部126aが対向するため、ペダル部材126とストッパ部材130との干渉が回避され、ペダル部材126を退行移動させることが可能となる。これに対して、ストッパ部材130がストッパ付勢バネ131の付勢力により規制位置に配置された状態においては、進出位置に配置されたペダル部材126の背面にストッパ部材130が当接し、ペダル部材126の退行移動が阻止されることになる。
一方、上記ペダル部材126には、図22及び図23に示すように、リンク突起軸132、ペダルリンク部材133及び係合突起134が設けてある。リンク突起軸132は、ペダル部材126の背面側に設けた軸状部材であり、その軸心がストッパ部材130の軸心と平行となる態様でペダル部材126に設けてある。
ペダルリンク部材133は、ペダル部材126とストッパ部材130との間を接続するリンク要素であり、互いに同一方向に向けて開口した軸挿通孔133a及びスライド孔133bを有している。軸挿通孔133aは、ストッパ部材130を嵌入することのできる内径を有した円形の孔であり、ペダルリンク部材133の一端部に形成してある。スライド孔133bは、ペダルリンク部材133の延在方向に沿って延在し、かつリンク突起軸132を挿入することのできる幅を有した長孔であり、ペダルリンク部材133の他端部に形成してある。このペダルリンク部材133は、軸挿通孔133aにストッパ部材130を嵌合挿入することにより、ストッパ部材130の軸心を中心として揺動することが可能であるとともに、スライド孔133bにリンク突起軸132をスライド可能に挿入することにより、リンク突起軸132の軸心を中心として揺動可能、かつスライド孔133bの延在方向に沿ってスライドすることが可能である。
係合突起134は、ペダル部材126に形成した逃げ凹部126aの背面側開口端部からペダル部材126の基端部側に向けて突設した部分であり、逃げ凹部126aの奥側部分にペダル部材126の基端部側に向けて開口する係合凹部135を画成している。この係合凹部135の幅は、ストッパ部材130が係合することのできる大きさである。
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置120では、販売待機状態においてペダル付勢バネ127の付勢力によりペダル部材126が進出位置に保持された状態にある。さらにペダルアクチュエータ125が消磁された状態にあり、図21に示すように、ストッパ付勢バネ131の付勢力によりストッパ部材130が規制位置に保持されている。この結果、ストッパ部材130が背面に当接することによってペダル部材126の退行移動が阻止されることになり、ペダル部材126の先端に当接した最下位の商品G1の下方への移動が規制され、商品ラック50の商品収納通路53に商品Gがそれぞれの中心軸を略水平方向に沿って延在した横臥姿勢で収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品Gが所望の温度状態に維持されることになる。
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、ペダルアクチュエータ125が励磁され、図24に示すように、ストッパ付勢バネ131の付勢力に抗してストッパ部材130が許容位置に移動する。この結果、押圧傾斜面126bの傾斜作用により、商品収納通路53において最下位に位置する商品G1が当接することによってペダル部材126が退行移動し、図25に示すように、最下位の商品G1が下方に搬出されることになる。
ここで、上記商品搬出装置120によれば、ストッパ部材130が許容位置に移動する際にこれに接続したペダルリンク部材133においてリンク突起軸132がスライド孔133bの内面に当接するため、以降、ストッパ部材130の許容位置への移動がリンク突起軸132を介してペダル部材126を機械的に退行移動させるためのモーメントとして作用することになり、ペダル部材126の退行移動がより確実なものとなる。
商品収納通路53から搬出された商品G1は、商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、さらに外扉20の商品取出口21を介して最終的に利用者の手に渡ることになる。
この間、ペダル部材126の逃げ凹部126aに位置したストッパ部材130は、ペダルアクチュエータ125が励磁中においては長孔123aの上方となる部位に引っ張られ、図23に示すように、ペダルアクチュエータ125の係合凹部135に係合した状態となる。係合凹部135にストッパ部材130が係合した状態のペダル部材126は、図25に示すように、商品Gが当接していない状態にあっても、ペダル付勢バネ127の付勢力によっては商品収納通路53に進出することはなく、商品収納通路53から完全に没入した退行位置を維持することになる。
その後、適宜のタイミングでペダルアクチュエータ125が消磁されると、ペダル付勢バネ127の付勢力によって付勢されたペダル部材126は、図26に示すように、商品収納通路53への進出移動を開始し、最下位の商品G1と最下位から2番目の商品G2との隙間において上述した進出位置に復帰する。
この場合、ペダル部材126の進退移動が下端部を中心とした揺動であり、かつ進出移動した場合に前傾した姿勢となるものであるため、ペダル部材126が進出位置に移動する際に商品収納通路53の商品Gを上方に移動させる動作を伴うことがない。従って、ペダル付勢バネ127として、ペダル部材126のみを進出移動することのできる程度のバネ定数を有したものを適用した場合にもペダル部材126の進出移動を確実に行うことができる。
また、ペダルリンク部材133とペダル部材126との間がスライド孔133bを介してスライド可能に接続してあるため、図23に示した状態からストッパ部材130と係合凹部135との係合状態を解除すれば、つまり規制位置に向けてストッパ部材130が移動すれば、スライド孔133bとペダル部材126のリンク突起軸132との間に隙間が生じるため、リンク突起軸132に過大な力が作用することなくペダル部材126が容易に揺動可能状態となり、ペダル付勢バネ127の付勢力によってペダル部材126が商品収納通路53に進出移動した状態に復帰することとなる。
さらに、ストッパ部材130とペダル部材126の係合凹部135とが係合することにより、商品収納通路53に対してペダル部材126が進出移動を開始する際の姿勢が常に一定の退行位置となる。これにより、ペダルアクチュエータ125を消磁させた時点からペダル部材126が進出位置に移動するまでの時間を常に一定の値とすることができ、最下位の商品G1が搬出される以前にペダル部材126が進出位置に復帰してしまう事態や、逆に最下位から2番目に位置していた商品G2が最下位の商品G1とともに搬出されてしまう事態を確実に防止することが可能となる。
ペダル部材126が進出位置に復帰すると、ストッパ付勢バネ131の付勢力によってストッパ部材130が直ちに規制位置に移動するため、最下位から2番目に位置していた商品G2が搬出される以前にペダル部材126の退行移動が規制された状態、つまり商品搬出装置120が販売待機状態となる。
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品Gを個別に搬出することができるようになる。しかも、上述した商品搬出装置120によれば、従来の商品搬出装置のように上下2つのペダル部材126を要しないため、取扱部品点数の削減によって製造作業の容易化や製造コストの低減を図ることができるようになる。
(実施の形態5)
図27は、本発明の実施の形態5である自動販売機の商品搬出装置を示したものである。ここで例示する商品搬出装置140は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において通路幅規定板55′に対向する部位にベース部材141を備えている。尚、以下においては、実施の形態1と同様の構成に同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
ベース部材141は、案内基壁142の両側にそれぞれ側壁143を備えて構成したもので、案内基壁142の外表面を通路幅規定板55′に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。案内基壁142は、略鉛直方向に沿って上下方向に延在したもので、その中間部にペダル挿通孔142aを有しているとともに、ペダル挿通孔142aの上方となる部位に案内突起141aを有している。ペダル挿通孔142aは、矩形状の貫通開口であり、案内基壁142のほぼ全幅に亘る部位に形成してある。案内突起141aは、ベース部材141の外表面から商品収納通路53に向けて突出した凸状部であり、商品収納通路53の商品Gを通路幅規定板55′に向けて案内する機能を有している。
このベース部材141には、一対の側壁143の間に揺動支持軸144が架設してあるとともに、案内基壁142の内表面側上部にペダルアクチュエータ145が配設してある。揺動支持軸144は、一対の側壁143の下端部間に略水平方向に沿って配設した軸状部材であり、その中間部にペダル部材146を支承している。
ペダル部材146は、ベース部材141に形成したペダル挿通孔142aとほぼ同じ幅を有したプレート状部材であり、基端部に揺動支持軸144を挿通させることによりこの揺動支持軸144の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。ペダル部材146の先端部は、揺動支持軸144の径外方向に向けて延在しており、揺動支持軸144の軸心回りに揺動した場合に案内基壁142に形成したペダル挿通孔142aを通じて商品収納通路53に進退移動することが可能である。
このペダル部材146には、先端に押圧傾斜面146bが設けてあるとともに、背面において押圧傾斜面146bよりも僅かに基端部寄りとなる部分に逃げ凹部146aが設けてある。押圧傾斜面146bは、商品収納通路53に向けて漸次低くなる態様で形成した湾曲状の傾斜面である。逃げ凹部146aは、ペダル部材146の背面及び両側面に開口する態様で形成した略水平に延在する一条の凹所である。このペダル部材146とベース部材141との間には、ペダル付勢バネ(ペダル付勢手段)147が設けてある。ペダル付勢バネ147は、商品収納通路53に対してペダル部材146を常時進出する方向に向けて付勢するものである。
本実施の形態5で適用するペダル部材146は、商品収納通路53に対して最も進出した進出位置に配置された場合、図27に示すように、揺動支持軸144を通過する鉛直面に対して前傾した状態にあり、通路幅規定板55′の下端部に構成した規定部55a′との間に最も外径の小さい販売対象商品Gの外径よりも小さい間隙を確保する長さに設定してある。
ペダルアクチュエータ145は、プランジャ145aを下方に向ける態様で配設した電磁ソレノイドである。このペダルアクチュエータ145には、プランジャ145aの下端部にストッパ部材150が接続してある。ストッパ部材150は、ペダル部材146の幅とほぼ同一となる長さを有した長尺の円柱状部材であり、両端部を側壁143の長孔143aに挿通させることにより、上下方向に沿って移動可能となる態様で配設してある。このストッパ部材150とベース部材141との間には、ストッパ付勢バネ(ストッパ付勢手段)151が設けてある。ストッパ付勢バネ151は、ストッパ部材150を常時下方に向けて付勢し、ストッパ部材150が長孔143aの下端部に配置された状態(規制位置)を維持しようとするものである。ストッパ付勢バネ151の付勢力は、ペダルアクチュエータ145を励磁した場合に、規制位置に配置されたストッパ部材150を長孔143aの上方へ移動させた状態(許容位置)とすることのできる大きさである。ストッパ部材150が許容位置に配置された状態においては、ストッパ部材150に対して逃げ凹部146aが対向するため、ペダル部材146とストッパ部材150との干渉が回避され、ペダル部材146を退行移動させることが可能となる。これに対して、ストッパ部材150がストッパ付勢バネ151の付勢力により規制位置に配置された状態においては、進出位置に配置されたペダル部材146の背面にストッパ部材150が当接し、ペダル部材146の退行移動が阻止されることになる。
一方、上記ペダル部材146には、図28及び図29に示すように、スライド溝(係合溝)152及びペダルリンク部材153が設けてある。
スライド溝152は、ペダル部材146の背面側となる部位において側方に開口した溝状の切欠である。このスライド溝152は、ペダル部材146が所定の退行位置、具体的には図29に示すように、先端部を略鉛直上方に向け、商品収納通路53から完全に没入した退行位置に配置させた場合に略鉛直方向に沿って延在し、かつほぼ一定の幅となるように形成してある。
ペダルリンク部材153は、ペダル部材146とストッパ部材150との間を接続するリンク要素であり、軸挿通孔153a及びリンク突起軸(柱状突起)153bを有している。軸挿通孔153aは、ストッパ部材150を嵌入することのできる内径を有した円形の孔であり、ペダルリンク部材153の一端部に形成してある。リンク突起軸153bは、円柱状に形成した軸状部材であり、その軸心が軸挿通孔153aの軸心に平行となる態様でペダルリンク部材153の他端部に設けてある。リンク突起軸153bの外径は、ペダル部材146に形成したスライド溝152の幅よりも僅かに小さく、スライド溝152の長手方向に沿ってのみスライド可能となるように形成してある。このペダルリンク部材153は、軸挿通孔153aにストッパ部材150を嵌合挿入することにより、ストッパ部材150の軸心を中心として揺動することが可能であるとともに、スライド溝152にリンク突起軸153bをスライド可能に挿入することにより、リンク突起軸153bの軸心を中心として揺動可能、かつスライド溝152の延在方向に沿ってスライドすることが可能である。
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置140では、販売待機状態においてペダル付勢バネ147の付勢力によりペダル部材146が進出位置に保持された状態にある。さらにペダルアクチュエータ145が消磁された状態にあり、図27に示すように、ストッパ付勢バネ151の付勢力によりストッパ部材150が規制位置に保持されている。この結果、ストッパ部材150が背面に当接することによってペダル部材146の退行移動が阻止されることになり、ペダル部材146の先端に当接した最下位の商品G1の下方への移動が規制され、商品ラック50の商品収納通路53に商品Gがそれぞれの中心軸を略水平方向に沿って延在した横臥姿勢で収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品Gが所望の温度状態に維持されることになる。
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、ペダルアクチュエータ145が励磁され、図30に示すように、ストッパ付勢バネ151の付勢力に抗してストッパ部材150が許容位置に移動する。この結果、押圧傾斜面146bの傾斜作用により、商品収納通路53において最下位に位置する商品G1が当接することによってペダル部材146が退行移動し、図31に示すように、最下位の商品G1が下方に搬出されることになる。
ここで、上記商品搬出装置140によれば、ストッパ部材150が許容位置に移動する際にこれに接続したペダルリンク部材153においてリンク突起軸153bがスライド溝152の内面に当接するため、以降、ストッパ部材150の許容位置への移動がリンク突起軸153bを介してペダル部材146を機械的に退行移動させるためのモーメントとして作用することになり、ペダル部材146の退行移動がより確実なものとなる。
商品収納通路53から搬出された商品G1は、商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、さらに外扉20の商品取出口21を介して最終的に利用者の手に渡ることになる。
この間、ペダル部材146の逃げ凹部146aに位置したストッパ部材150は、ペダルアクチュエータ145が励磁中においては長孔143aの上方となる部位に引っ張られ、図29に示すように、ペダルリンク部材153のリンク突起軸153bがペダル部材146のスライド溝152においてその上端部内面に当接係合した状態となる。スライド溝152の上端部内面にリンク突起軸153bが当接係合した状態のペダル部材146は、図31に示すように、商品Gが当接していない状態にあっても、ペダル付勢バネ147の付勢力によっては商品収納通路53に進出することはなく、商品収納通路53から完全に没入した退行位置を維持することになる。
その後、適宜のタイミングでペダルアクチュエータ145が消磁されると、ペダル付勢バネ147の付勢力によって付勢されたペダル部材146は、図32に示すように、商品収納通路53への進出移動を開始し、最下位の商品G1と最下位から2番目の商品G2との隙間において上述した進出位置に復帰する。
この場合、ペダル部材146の進退移動が下端部を中心とした揺動であり、かつ進出移動した場合に前傾した姿勢となるものであるため、ペダル部材146が進出位置に移動する際に商品収納通路53の商品Gを上方に移動させる動作を伴うことがない。従って、ペダル付勢バネ147として、ペダル部材146のみを進出移動することのできる程度のバネ定数を有したものを適用した場合にもペダル部材146の進出移動を確実に行うことができる。
また、ペダルリンク部材153とペダル部材146との間がスライド溝152を介してスライド可能に接続してあるため、図29に示した状態からストッパ部材150が規制位置に向けて移動し、リンク突起軸153bがスライド溝152の上端部内面から離隔すれば、リンク突起軸153bに過大な力が作用することなくペダル部材146が容易に揺動可能状態となり、ペダル付勢バネ147の付勢力によってペダル部材146が商品収納通路53に進出移動した状態に復帰することとなる。
さらに、ペダル部材146が退行した状態においてペダル部材146に形成したスライド溝152の上端部内面にペダルリンク部材153のリンク突起軸153bを当接係合させることにより、商品収納通路53に対してペダル部材146が進出移動を開始する際の姿勢が常に一定の退行位置となる。これにより、ペダルアクチュエータ145を消磁させた時点からペダル部材146が進出位置に移動するまでの時間を常に一定の値とすることができ、最下位の商品G1が搬出される以前にペダル部材146が進出位置に復帰してしまう事態や、逆に最下位から2番目に位置していた商品G2が最下位の商品G1とともに搬出されてしまう事態を確実に防止することが可能となる。
ペダル部材146が進出位置に復帰すると、ストッパ付勢バネ151の付勢力によってストッパ部材150が直ちに規制位置に移動するため、最下位から2番目に位置していた商品G2が搬出される以前にペダル部材146の退行移動が規制された状態、つまり商品搬出装置140が販売待機状態となる。
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品Gを個別に搬出することができるようになる。しかも、上述した商品搬出装置140によれば、従来の商品搬出装置のように上下2つのペダル部材146を要しないため、取扱部品点数の削減によって製造作業の容易化や製造コストの低減を図ることができるようになる。
(実施の形態6)
上述した実施の形態5では、ペダル部材146に一定の幅を有したスライド溝152を形成し、このスライド溝152にペダルリンク部材153のリンク突起軸153bをスライド可能に挿入することによってストッパ部材150とペダル部材146との間を接続するようにしているが、ペダル部材に形成するスライド溝は必ずしも一定の幅を有したものである必要はない。
図33〜図35は、上述した実施の形態5の変形例である本発明の実施の形態6を示したものである。ここで例示する商品搬出装置160は、実施の形態5で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、実施の形態5とはペダル部材に形成したスライド溝の形状のみが異なる。すなわち、実施の形態6の商品搬出装置160に適用するペダル部材161では、図35に示すように、先端部を略鉛直上方に向け、商品収納通路53から完全に没入した退行位置に配置させた場合に、上端部に対して下端部が幅広となる態様でスライド溝162を形成するようにしている。尚、以下において実施の形態5と同様の構成に同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
より具体的に説明すると、スライド溝162は、ペダル部材161が退行位置に配置された状態において、ペダル部材161の表面側に位置する表面側案内面163がほぼ鉛直方向に沿って延在するように形成してある。これに対して、スライド溝162においてペダル部材161の背面側に位置する背面側案内面164は、ペダル部材161が退行位置に配置された状態においてその上端部(以下、「第1背面側案内面164a」という)が表面側案内面163とほぼ平行となるように延在する一方、その下端部(以下、「第2背面側案内面164b」という)が表面側案内面163から離隔する態様で大きく湾曲している。
第1背面側案内面164aと表面側案内面163との間は、図35に示すように、ストッパ部材150が許容位置に向けて最も上方に移動した場合にペダルリンク部材153のリンク突起軸153bが配置される部分であり、ペダルリンク部材153のリンク突起軸153bが嵌合することのできる隙間に構成してある。
第2背面側案内面164bと表面側案内面163との間は、図33及び図34に示すように、ペダル部材161が進出位置に配置された状態から退行位置に移動するまでの間にペダルリンク部材153のリンク突起軸153bが配置される部分であり、ストッパ部材150の移動初期においてはペダル部材161が進出位置を維持するように互いの間に大きな間隙が確保してある。また、第2背面側案内面164bは、ペダル部材161が商品収納通路53に対して進出移動している間、ストッパ部材150の移動距離、つまりペダルリンク部材153の上方への移動距離に比してペダル部材161の退行移動距離が十分に小となるように、下方に向けて延在する一時減速部を構成してある。
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置160では、図33に示すように、ペダル付勢バネ147の付勢力によりペダル部材161が進出位置に保持され、かつストッパ部材150が背面に当接することによってペダル部材161の退行移動が阻止された状態が販売待機状態となる。この販売待機状態では、ペダルリンク部材153のリンク突起軸153bがペダル部材161に形成したスライド溝162において表面側案内面163と第2背面側案内面164bとの間において表面側案内面163に当接した状態にある。
販売待機状態から販売指令が与えられ、ペダルアクチュエータ145が励磁されると、ストッパ付勢バネ151の付勢力に抗してストッパ部材150が許容位置に移動し、これに伴ってペダルリンク部材153のリンク突起軸153bも上方に移動することになる。しかしながら、販売待機状態からストッパ部材150の上動に伴ってペダルリンク部材153が上方に移動した場合にも、図33及び図34に示すように、リンク突起軸153bの移動は表面側案内面163から第2背面側案内面164bまでの空間を移動するだけであり、ペダル部材161に対して作用することがない。
この状態からさらにストッパ部材150が上方に移動すると、やがてペダルリンク部材153のリンク突起軸153bが第2背面側案内面164bに当接し、当該ストッパ部材150の移動によってペダル部材161が退行移動を開始するようになる。しかしながら、ペダルリンク部材153のリンク突起軸153bがスライド溝162の第2背面側案内面164bに当接するため、ペダルリンク部材153の上方への移動距離に比してペダル部材161の退行移動距離がごく僅かとなる。
その後、さらにストッパ部材150が上方に移動すると、ペダルリンク部材153のリンク突起軸153bが第2背面側案内面164bを通過して第1背面側案内面164aに到達し、最終的に図35に示すように、ペダル部材161が退行位置に配置され、かつペダルリンク部材153のリンク突起軸153bが第1背面側案内面164aと第2背面側案内面164bとの間に係合するとともに、リンク突起軸153bがスライド溝162の上端部内面に当接することになる。
このように、本実施の形態6の商品搬出装置160では、スライド溝162の第2背面側案内面164bが外側に向けて大きく湾曲した形状であるため、ペダル部材161が退行位置に配置されるまでに要する時間が実施の形態5のものに比べて長いものとなる。これにより、最下位の商品G1が搬出される以前にペダル部材161が進出位置に移動される事態を招来する虞れがなくなり、商品Gの搬出動作をより確実なものとすることができるようになる。
尚、その他の動作、並びに作用効果に関しては、実施の形態5と同様である。
(実施の形態7)
図36は、本発明の実施の形態7である自動販売機の商品搬出装置を示したものである。ここで例示する商品搬出装置180は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において通路幅規定板55′に対向する部位にベース部材181を備えている。尚、以下においては、実施の形態1と同様の構成に同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
ベース部材181は、案内基壁182の両側にそれぞれ側壁183を備えて構成したもので、案内基壁182の外表面を通路幅規定板55′に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。案内基壁182は、略鉛直方向に沿って上下方向に延在したもので、その中間部にペダル挿通孔182aを有しているとともに、ペダル挿通孔182aの上方となる部位に案内突起181aを有している。ペダル挿通孔182aは、矩形状の貫通開口であり、案内基壁182のほぼ全幅に亘る部位に形成してある。案内突起181aは、ベース部材181の外表面から商品収納通路53に向けて突出した凸状部であり、商品収納通路53の商品Gを通路幅規定板55′に向けて案内する機能を有している。
このベース部材181には、一対の側壁183の間に揺動支持軸184が架設してあるとともに、案内基壁182の内表面側上部にペダルアクチュエータ185が配設してある。揺動支持軸184は、一対の側壁183の下端部間に略水平方向に沿って配設した軸状部材であり、その中間部にペダル部材186を支承している。
ペダル部材186は、ベース部材181に形成したペダル挿通孔182aとほぼ同じ幅を有したプレート状部材であり、基端部に揺動支持軸184を挿通させることによりこの揺動支持軸184の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。ペダル部材186の先端部は、揺動支持軸184の径外方向に向けて延在しており、揺動支持軸184の軸心回りに揺動した場合に案内基壁182に形成したペダル挿通孔182aを通じて商品収納通路53に進退移動することが可能である。
このペダル部材186には、先端に押圧傾斜面186bが設けてあるとともに、背面において押圧傾斜面186bよりも僅かに基端部寄りとなる部分に逃げ凹部186aが設けてある。押圧傾斜面186bは、商品収納通路53に向けて漸次低くなる態様で形成した湾曲状の傾斜面である。逃げ凹部186aは、ペダル部材186の背面及び両側面に開口する態様で形成した略水平に延在する一条の凹所である。このペダル部材186とベース部材181との間には、ペダル付勢バネ187が設けてある。ペダル付勢バネ187は、商品収納通路53に対してペダル部材186を常時進出する方向に向けて付勢するものである。
本実施の形態7で適用するペダル部材186は、商品収納通路53に対して最も進出した進出位置に配置された場合、図36に示すように、揺動支持軸184を通過する鉛直面に対して前傾した状態にあり、通路幅規定板55′の下端部に構成した規定部55a′との間に最も外径の小さい販売対象商品Gの外径よりも小さい間隙を確保する長さに設定してある。
ペダルアクチュエータ185は、プランジャ185aを下方に向ける態様で配設した電磁ソレノイドである。このペダルアクチュエータ185には、プランジャ185aの下端部にフック部材(クラッチ手段)188が設けてある。フック部材188は、揺動支持軸184と平行となるフック軸189を介してプランジャ185aの下端部に接続してあり、このフック軸189の軸心回りに揺動することが可能である。
フック部材188には、フック溝188a、当接用突起(クラッチ作動手段)188b及び復帰用傾斜面188cが設けてある。フック溝188aは、ペダル部材186に向けて開口した凹状部分であり、後述するストッパ部材200を着脱可能に装着することが可能である。当接用突起188bは、フック溝188aよりも上方に位置する部分からペダル部材186に向けて最も突出した部分である。この当接用突起188bの先端面を押圧すると、フック軸189の軸心回りにフック部材188をペダル部材186から離隔する方向へ揺動させることが可能である。復帰用傾斜面188cは、フック溝188aよりも下方に位置する部分から下方に延在するに従って漸次ペダル部材186から離隔する方向に傾斜した部分である。このフック部材188とベース部材181との間には、フック付勢バネ190が設けてある。フック付勢バネ190は、フック部材188がフック軸189の軸心回りに揺動した場合にこれを元の姿勢に復帰させるとともに、フック部材188を常時下方に向けて付勢するように機能するものである。
一方、上記ペダル部材186には、図37に示すように、リンク突起軸191、ペダルリンク部材192及び係合突起193が設けてある。リンク突起軸191は、ペダル部材186の背面側に設けた軸状部材であり、その軸心が揺動支持軸184の軸心と平行となる態様でペダル部材186に設けてある。
ペダルリンク部材192は、リンク突起軸191を介してペダル部材186に支持させたリンク要素であり、互いに同一方向に向けて開口した軸挿通孔192a及びスライド孔192bを有している。軸挿通孔192aは、ペダルリンク部材192の一端部に形成した円形の孔である。スライド孔192bは、ペダルリンク部材192の延在方向に沿って延在し、かつリンク突起軸191を挿入することのできる幅を有した長孔であり、ペダルリンク部材192の他端部に形成してある。このペダルリンク部材192は、スライド孔192bにリンク突起軸191をスライド可能に挿入することにより、リンク突起軸191の軸心を中心として揺動可能、かつスライド孔192bの延在方向に沿ってスライドすることが可能であるとともに、軸挿通孔192aの内部にストッパ部材200を回転可能に支持している。
ストッパ部材200は、ペダル部材186の幅とほぼ同一となる長さを有した長尺の円柱状部材であり、両端部を側壁183の長孔に挿通させることにより、上下方向に沿って移動可能となる態様で配設してあるとともに、上述したフック部材188のフック溝188aに装着することにより、ペダルアクチュエータ185のプランジャ185aに接続してある。
このストッパ部材200とベース部材181との間には、ストッパ付勢バネ201が設けてある。ストッパ付勢バネ201は、ストッパ部材200を常時下方に向けて付勢し、ストッパ部材200が側壁183の長孔下端部に配置された状態(規制位置)を維持しようとするものである。ストッパ付勢バネ201の付勢力と上述したフック付勢バネ190の付勢力との合計値は、ペダルアクチュエータ185を励磁した場合に、規制位置に配置されたストッパ部材200を側壁183の長孔の上方へ移動させた状態(許容位置)とすることのできる大きさである。ストッパ部材200が許容位置に配置された状態においては、ストッパ部材200に対して逃げ凹部186aが対向するため、ペダル部材186とストッパ部材200との干渉が回避され、ペダル部材186を退行移動させることが可能となる。これに対して、ストッパ部材200がストッパ付勢バネ201の付勢力により規制位置に配置された状態においては、進出位置に配置されたペダル部材186の背面にストッパ部材200が当接し、ペダル部材186の退行移動が阻止されることになる。
係合突起193は、ペダル部材186に形成した逃げ凹部186aの背面側開口端部からペダル部材186の基端部側に向けて突設した部分であり、逃げ凹部186aの奥側部分にペダル部材186の基端部側に向けて開口する係合凹部202を画成している。係合凹部202の幅は、ストッパ部材200が係合することのできる大きさである。この係合突起193は、ペダル部材186が所定の退行位置、例えば図39に示すように、先端部を略鉛直上方に向け、商品収納通路53から完全に没入した退行位置に配置された場合に、その下面が係合凹部202に向けて漸次上方に傾斜する態様で延在している。
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置180では、販売待機状態においてペダル付勢バネ187の付勢力によりペダル部材186が進出位置に保持された状態にある。さらにペダルアクチュエータ185が消磁された状態にあり、図36及び図37に示すように、ストッパ付勢バネ201の付勢力によりストッパ部材200が規制位置に保持されている。この結果、ストッパ部材200が背面に当接することによってペダル部材186の退行移動が阻止されることになり、ペダル部材186の先端に当接した最下位の商品G1の下方への移動が規制され、商品ラック50の商品収納通路53に商品Gがそれぞれの中心軸を略水平方向に沿って延在した横臥姿勢で収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品Gが所望の温度状態に維持されることになる。
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、ペダルアクチュエータ185が励磁され、図38に示すように、ストッパ付勢バネ201及びフック付勢バネ190の付勢力に抗してストッパ部材200が許容位置に移動する。この結果、押圧傾斜面186bの傾斜作用により、商品収納通路53において最下位に位置する商品G1が当接することによってペダル部材186が退行移動し、図39に示すように、最下位の商品G1が下方に搬出されることになる。
ここで、上記商品搬出装置180によれば、ストッパ部材200が許容位置に移動する際にこれに接続したペダルリンク部材192においてリンク突起軸191がスライド孔192bの内面に当接するため、以降、ストッパ部材200の許容位置への移動がリンク突起軸191を介してペダル部材186を機械的に退行移動させるためのモーメントとして作用することになり、ペダル部材186の退行移動がより確実なものとなる。
商品収納通路53から搬出された商品G1は、商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、さらに外扉20の商品取出口21を介して最終的に利用者の手に渡ることになる。
この間、ペダル部材186が商品収納通路53から完全に没入した退行位置に配置されると、ペダル部材186の背面とフック部材188の当接用突起188bとが当接するため、図39及び図40に示すように、フック部材188がフック軸189の軸心周りにペダル部材186から離隔する方向に揺動し、ストッパ部材200がフック溝188aから脱落することにより、ペダルアクチュエータ185のプランジャ185aとストッパ部材200との間が切断された状態となる。
従って、ペダルアクチュエータ185が励磁中であったとしても、最下位の商品G1が搬出される間、ペダル付勢バネ187の付勢力によって付勢されたペダル部材186は、図41及び図42に示すように、商品G1の中心軸gがペダル部材186の最先端を通過した直後から進出移動を開始し、最下位の商品G1と最下位から2番目の商品G2との隙間において上述した進出位置に復帰することになる。
この場合、ペダル部材186の進退移動が下端部を中心とした揺動であり、かつ進出移動した場合に前傾した姿勢となるものであるため、ペダル部材186が進出位置に移動する際に商品収納通路53の商品Gを上方に移動させる動作を伴うことがない。従って、ペダル付勢バネ187として、ペダル部材186のみを進出移動することのできる程度のバネ定数を有したものを適用した場合にもペダル部材186の進出移動を確実に行うことができる。
しかも、上述したように、ペダル部材186が退行位置に配置された時点でストッパ部材200とペダルアクチュエータ185のプランジャ185aとの間が切断された状態となるため、ペダルアクチュエータ185を励磁している時間がバラ付いたとしても、最下位の商品G1の搬出位置を基準として常に同じタイミングでペダル部材186の進出移動が開始されることになる。これにより、ペダル部材186の進出移動を遅延することなく確実に行うことが可能となり、最下位の商品G1と同時に最下位から2番目以降の商品Gが搬出される事態を防止することができる。
さらに、ペダル部材186が退行位置に到達する以前に退行移動が停止したとしても、ペダルアクチュエータ185によってストッパ部材200が上方に引き上げられると、係合突起193に当接した際にその傾斜作用によってストッパ部材200が係合凹部202に進入するようにペダル部材186が退行移動することになる。従って、ペダル部材186の背面とフック部材188の当接用突起188bとが互いに当接し、ペダルアクチュエータ185のプランジャ185aとストッパ部材200との間が確実に切断された状態となる。
フック部材188がフック軸189の軸心周りにペダル部材186から離隔する方向に揺動し、ストッパ部材200がフック溝188aから脱落すると、ストッパ付勢バネ201の付勢力によってペダルリンク部材192を揺動させながらストッパ部材200が直ちに規制位置に移動するように付勢されることになる。その後、ペダル部材186が進出位置に復帰すると、ストッパ付勢バネ201の付勢力によってストッパ部材200が直ちに規制位置に移動し、最下位から2番目に位置していた商品G2が搬出される以前にペダル部材186の退行移動が規制された状態、つまり商品搬出装置180が販売待機状態となる。さらに、ペダル部材186が進出位置に復帰すると、フック付勢バネ190の付勢力によってフック部材188がペダル部材186に近接する方向に揺動した状態となる。
この間、適宜のタイミングでペダルアクチュエータ185が消磁されると、フック付勢バネ190の付勢力によってフック部材188が下方に移動し、さらに復帰用傾斜面188cがストッパ部材200に当接することによりフック部材188が適宜揺動し、ストッパ部材200がフック溝188aに装着された状態に復帰する。
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品Gを個別に搬出することができるようになる。しかも、上述した商品搬出装置180によれば、従来の商品搬出装置180のように上下2つのペダル部材186を要しないため、取扱部品点数の削減によって製造作業の容易化や製造コストの低減を図ることができるようになる。
(実施の形態8)
図43は、本発明の実施の形態8である自動販売機の商品搬出装置を示したものである。ここで例示する商品搬出装置210は、実施の形態1で示したものと同様に、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等、柱状を成す商品Gを冷却、もしくは加熱した状態で販売する自動販売機の商品収納通路53に適用するもので、商品収納通路53の下端部において通路幅規定板55′に対向する部位にベース部材211を備えている。尚、以下においては、実施の形態1と同様の構成に同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略する。
ベース部材211は、案内基壁212の両側にそれぞれ側壁213を備えて構成したもので、案内基壁212の外表面を通路幅規定板55′に対向させる態様で商品収納通路53に配設してある。案内基壁212は、略鉛直方向に沿って上下方向に延在したもので、その中間部にペダル挿通孔212aを有しているとともに、ペダル挿通孔212aの上方となる部位に案内突起211aを有している。ペダル挿通孔212aは、矩形状の貫通開口であり、案内基壁212のほぼ全幅に亘る部位に形成してある。案内突起211aは、ベース部材211の外表面から商品収納通路53に向けて突出した凸状部であり、商品収納通路53の商品Gを通路幅規定板55′に向けて案内する機能を有している。
このベース部材211には、一対の側壁213の間に揺動支持軸214が架設してあるとともに、案内基壁212の内表面側上部にペダルアクチュエータ215が配設してある。揺動支持軸214は、一対の側壁213の下端部間に略水平方向に沿って配設した軸状部材であり、その中間部にペダル部材216及び姿勢制御板(検出部材)217を支承している。
ペダル部材216は、ベース部材211に形成したペダル挿通孔212aとほぼ同じ幅を有したプレート状部材であり、基端部に揺動支持軸214を挿通させることによりこの揺動支持軸214の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。ペダル部材216の先端部は、揺動支持軸214の径外方向に向けて延在しており、揺動支持軸214の軸心回りに揺動した場合に案内基壁212に形成したペダル挿通孔212aを通じて商品収納通路53に進退移動することが可能である。
このペダル部材216には、先端に押圧傾斜面216bが設けてあるとともに、背面において押圧傾斜面216bよりも僅かに基端部寄りとなる部分に逃げ凹部216aが設けてある。押圧傾斜面216bは、商品収納通路53に向けて漸次低くなる態様で形成した湾曲状の傾斜面である。逃げ凹部216aは、ペダル部材216の背面及び両側面に開口する態様で形成した略水平に延在する一条の凹所である。このペダル部材216とベース部材211との間には、ペダル付勢バネ218が設けてある。ペダル付勢バネ218は、商品収納通路53に対してペダル部材216を常時進出する方向に向けて付勢するものである。
本実施の形態8で適用するペダル部材216は、商品収納通路53に対して最も進出した進出位置に配置された場合、図43に示すように、揺動支持軸214を通過する鉛直面に対して前傾した状態にあり、通路幅規定板55′の下端部に構成した規定部55a′との間に最も外径の小さい販売対象商品Gの外径よりも小さい間隙を確保する長さに設定してある。
姿勢制御板217は、図には明示していないが、揺動支持軸214に沿った長さがペダル部材216とほぼ同じである一方、揺動支持軸214に直交する方向の長さがペダル部材216よりも大きくなるように構成した薄板状部材であり、基端部に揺動支持軸214を挿通させることにより、ペダル部材216よりも商品収納通路53に近接する部位において揺動支持軸214の軸心回りに揺動可能となる態様で配設してある。この姿勢制御板217とベース部材101との間には、制御板付勢バネ219が設けてある。制御板付勢バネ219は、ペダル部材216の外表面に対して姿勢制御板217を常時近接する方向に付勢するものである。
また、姿勢制御板217には、押圧片部220が設けてある。押圧片部220は、揺動支持軸214に対して姿勢制御板217とは逆方向に延在した部分であり、その先端部がペダル部材216の背面側に位置している。
ペダルアクチュエータ215は、プランジャ215aを下方に向ける態様で配設した電磁ソレノイドである。このペダルアクチュエータ215には、プランジャ215aの下端部にフック部材(クラッチ手段)221が設けてある。フック部材221は、揺動支持軸214と平行となるフック軸222を介してプランジャ215aの下端部に接続してあり、このフック軸222の軸心回りに揺動することが可能である。
フック部材221には、図46に示すように、フック溝221a、当接用突起221b及び復帰用傾斜面221cが設けてある。フック溝221aは、ペダル部材216に向けて開口した凹状部分であり、後述するストッパ部材200を着脱可能に装着することが可能である。当接用突起221bは、フック溝221aよりも上方に位置する部分からペダル部材216に向けて突出した部分である。この当接用突起221bの先端面を下方から押圧すると、フック軸222の軸心回りにフック部材221をペダル部材216から離隔する方向へ揺動させることが可能である。復帰用傾斜面221cは、フック溝221aよりも下方に位置する部分から下方に延在するに従って漸次ペダル部材216から離隔する方向に傾斜した部分である。このフック部材221とベース部材211との間には、フック付勢バネ223が設けてある。フック付勢バネ223は、フック部材221がフック軸222の軸心回りに揺動した場合にこれを元の姿勢に復帰させるとともに、フック部材221を常時下方に向けて付勢するように機能するものである。
一方、上記ペダル部材216には、リンク突起軸224、ペダルリンク部材225及びスライダ(リンク部材)226が設けてある。リンク突起軸224は、ペダル部材216の背面側に設けた軸状部材であり、その軸心が揺動支持軸214の軸心と平行となる態様でペダル部材216に設けてある。
ペダルリンク部材225は、リンク突起軸224を介してペダル部材216に支持させたリンク要素であり、互いに同一方向に向けて開口した軸挿通孔225a及びスライド孔225bを有している。軸挿通孔225aは、ペダルリンク部材225の一端部に形成した円形の孔である。スライド孔225bは、ペダルリンク部材225の延在方向に沿って延在し、かつリンク突起軸224を挿入することのできる幅を有した長孔であり、ペダルリンク部材225の他端部に形成してある。このペダルリンク部材225は、スライド孔225bにリンク突起軸224をスライド可能に挿入することにより、リンク突起軸224の軸心を中心として揺動可能、かつスライド孔225bの延在方向に沿ってスライドすることが可能であるとともに、軸挿通孔225aの内部にストッパ部材230を回転可能に支持している。
ストッパ部材230は、ペダル部材216の幅とほぼ同一となる長さを有した長尺の円柱状部材であり、両端部を側壁213の長孔に挿通させることにより、上下方向に沿って移動可能となる態様で配設してあるとともに、上述したフック部材221のフック溝221aに装着することにより、ペダルアクチュエータ215のプランジャ215aに接続してある。
このストッパ部材230とベース部材211との間には、ストッパ付勢バネ231が設けてある。ストッパ付勢バネ231は、ストッパ部材230を常時下方に向けて付勢し、ストッパ部材230が側壁213の長孔下端部に配置された状態(規制位置)を維持しようとするものである。ストッパ付勢バネ231の付勢力と上述したフック付勢バネ223の付勢力との合計値は、ペダルアクチュエータ215を励磁した場合に、規制位置に配置されたストッパ部材230を側壁213の長孔の上方へ移動させた状態(許容位置)とすることのできる大きさである。ストッパ部材230が許容位置に配置された状態においては、ストッパ部材230に対して逃げ凹部216aが対向するため、ペダル部材216とストッパ部材230との干渉が回避され、ペダル部材216を退行移動させることが可能となる。これに対して、ストッパ部材230がストッパ付勢バネ231の付勢力により規制位置に配置された状態においては、進出位置に配置されたペダル部材216の背面にストッパ部材230が当接し、ペダル部材216の退行移動が阻止されることになる。
スライダ226は、ペダル部材216の背面において姿勢制御板217の押圧片部220に対応する部位に配設した薄板状部材であり、ペダル部材216の延在方向に沿ってスライドすることが可能である。このスライダ226においてペダル部材216の基端部側に位置する部位には、受圧部226aが構成してある。受圧部226aは、スライダ226の基端部をペダル部材216から離隔する方向に向けて略直角に屈曲することによって構成したもので、姿勢制御板217の押圧片部220に対向する態様で設けてある。
上記のように構成した自動販売機の商品搬出装置210では、販売待機状態においてペダル付勢バネ218の付勢力によりペダル部材216が進出位置に保持された状態にある。さらにペダルアクチュエータ215が消磁された状態にあり、図43に示すように、ストッパ付勢バネ231の付勢力によりストッパ部材230が規制位置に保持されている。この結果、ストッパ部材230が背面に当接することによってペダル部材216の退行移動が阻止されることになり、ペダル部材216の先端に当接した最下位の商品G1の下方への移動が規制され、商品ラック50の商品収納通路53に商品Gがそれぞれの中心軸を略水平方向に沿って延在した横臥姿勢で収納された状態となる。この間、温度調整ユニット40の駆動により温度調整された後の空気が商品収容庫11の商品収納領域に供給されるため、商品収納通路53に収納した商品Gが所望の温度状態に維持されることになる。また、図43からも明らかなように、販売待機状態においては、ペダル部材216の先端に当接した最下位の商品G1に対して、その下方に向いた周面のほぼ全長に亘り、姿勢制御板217の先端が当接した状態にある。
この販売待機状態において利用者の購入操作により販売指令が与えられると、ペダルアクチュエータ215が励磁され、図44に示すように、ストッパ付勢バネ231及びフック付勢バネ223の付勢力に抗してストッパ部材230が許容位置に移動する。この結果、押圧傾斜面216bの傾斜作用により、商品収納通路53において最下位に位置する商品G1が当接することによってペダル部材216が退行移動し、図45に示すように、最下位の商品G1が下方に搬出されることになる。
ここで、上記商品搬出装置210によれば、ストッパ部材230が許容位置に移動する際にこれに接続したペダルリンク部材225においてリンク突起軸224がスライド孔225bの内面に当接するため、以降、ストッパ部材230の許容位置への移動がリンク突起軸224を介してペダル部材216を機械的に退行移動させるためのモーメントとして作用することになり、ペダル部材216の退行移動がより確実なものとなる。
この間、上記商品搬出装置210によれば、ペダル部材216が退行移動した後においても、最下位の商品G1の下方に向いた周面に姿勢制御板217の先端が当接した状態にあり、制御板付勢バネ219の付勢力に抗してこの姿勢制御板217を漸次下方に揺動させながら商品G1の搬出が行われることになる。従って、例えば缶入り飲料である商品Gが互いに軸方向にずれて収納されていた場合であっても、またペットボトル入り飲料のように左右で外径や重量が異なる商品Gが収納されていた場合であっても、搬出途中においてその姿勢が乱れることはなく、商品Gの中心軸gが略水平方向に沿って延在する横臥姿勢が確実に維持されることになる。
商品収納通路53から搬出された商品G1は、商品シュータ12を通じて商品搬出口31に案内され、さらに外扉20の商品取出口21を介して最終的に利用者の手に渡ることになる。
この間、搬出された商品が落下するに従って姿勢制御板217の下方への揺動が進行する一方、押圧片部220がペダル部材216の背面側において漸次上方に揺動し、当該商品が所定の搬出位置に到達すると、受圧部226aを介してスライダ226を上方にスライドさせることになる。スライダ226が上方にスライドすると、その上端部がフック部材221における当接用突起221bの先端面を下方から押圧することになるため、フック部材221がフック軸222の軸心周りにペダル部材216から離隔する方向に揺動し、ストッパ部材230がフック溝221aから脱落することにより、ペダルアクチュエータ215のプランジャ215aとストッパ部材230との間が切断された状態となる。
従って、ペダルアクチュエータ215が励磁中であったとしても、最下位の商品G1が搬出される間、ペダル付勢バネ218の付勢力によって付勢されたペダル部材216は、図46に示すように、商品G1の中心軸gがペダル部材216の最先端を通過した直後から進出移動を開始し、最下位の商品G1と最下位から2番目の商品G2との隙間において上述した進出位置に復帰することになる。
この場合、ペダル部材216の進退移動が下端部を中心とした揺動であり、かつ進出移動した場合に前傾した姿勢となるものであるため、ペダル部材216が進出位置に移動する際に商品収納通路53の商品Gを上方に移動させる動作を伴うことがない。従って、ペダル付勢バネ218として、ペダル部材216のみを進出移動することのできる程度のバネ定数を有したものを適用した場合にもペダル部材216の進出移動を確実に行うことができる。
しかも、搬出された商品が所定の搬出位置に到達した時点でストッパ部材230とペダルアクチュエータ215のプランジャ215aとの間が切断された状態となるため、ペダルアクチュエータ215を励磁している時間がバラ付いたとしても、最下位の商品G1の搬出位置を基準として常に同じタイミングでペダル部材216の進出移動が開始されることになる。これにより、ペダル部材216の進出移動を遅延することなく確実に行うことが可能となり、最下位の商品G1と同時に最下位から2番目以降の商品Gが搬出される事態を防止することができる。
フック部材221がフック軸222の軸心周りにペダル部材216から離隔する方向に揺動し、ストッパ部材230がフック溝221aから脱落すると、ストッパ付勢バネ231の付勢力によってペダルリンク部材225を揺動させながらストッパ部材230が直ちに規制位置に移動するように付勢されることになる。その後、ペダル部材216が進出位置に復帰すると、ストッパ付勢バネ231の付勢力によってストッパ部材230が直ちに規制位置に移動し、最下位から2番目に位置していた商品G2が搬出される以前にペダル部材216の退行移動が規制された状態、つまり商品搬出装置210が販売待機状態となる。さらに、ペダル部材216が進出位置に復帰すると、フック付勢バネ223の付勢力によってフック部材221がペダル部材216に近接する方向に揺動した状態となる。
この間、適宜のタイミングでペダルアクチュエータ215が消磁されると、フック付勢バネ223の付勢力によってフック部材221が下方に移動し、さらに復帰用傾斜面221cがストッパ部材230に当接することによりフック部材221が適宜揺動し、ストッパ部材230がフック溝221aに装着された状態に復帰する。
以降、上述した動作が繰り返し行われ、商品収納通路53に収納した商品Gを個別に搬出することができるようになる。しかも、上述した商品搬出装置210によれば、従来の商品搬出装置210のように上下2つのペダル部材216を要しないため、取扱部品点数の削減によって製造作業の容易化や製造コストの低減を図ることができるようになる。