JP4885899B2 - マイクロ波処理用包装体 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波照射することにより、包装体の被着フィルムに所望の切れ目を形成することができるマイクロ波処理用包装体に関する。
従来、マイクロ波処理用包装体の被包フィルムに導電体が設けられたラベルを貼着し、マイクロ波照射による誘導加熱を利用して被包フィルムを開封し易くする技術として、実公平8−281号公報記載の包装体が知られている。この公報には、ラベル基材の裏面にマイクロ波により発熱する層が設けられた開封用ラベルを、粘着剤を介して、被包フィルムの表面に貼着したマイクロ波処理用包装体が開示されており、かかる包装体は、これをマイクロ波に曝すことにより、発熱層が発熱してこれに対応する被包フィルムの一部が熱劣化し、その後、開封用ラベルを引き剥がすことにより、劣化した部分が起点となって被包フィルムを開封することができるものである。
また、マイクロ波照射により導電体を発熱させて容器の蓋材に通蒸用開口を形成する技術として、特公平6−67341号公報記載のものが知られている。この公報には、食品を収容した容器の蓋フィルムに、導電体よりなるアンテナとこのアンテナ端部に高抵抗体からなる発熱体とを設けた電子レンジ調理用密封容器が開示されており、かかる密封容器は、これをマイクロ波に曝すことにより、発熱体が発熱してこれに対応する蓋フィルムの一部が熱溶融し、マイクロ波照射時に生ずる水蒸気を外部に逃がすことができるものである。
しかしながら、上記実公平8−281号の包装体は、マイクロ波照射によって熱劣化した部分がラベルで覆われているので、外部から被包フィルムの変化が判らず、このラベルが被包フィルムの開封に利用できるものであることに気付かない使用者(マイクロ波処理を行う者)も居るから、上記開封用ラベルを用いずに被包フィルムを開封することがある。また、熱劣化しうる部分を覆うようにラベルが貼着されているので、包装体が被包フィルムにて密封包装されている場合には、マイクロ波照射時に収容物から生じる水蒸気を外部に逃がすことが難しく、従って、通蒸を目的として用いることはできない。
一方、特公平6−67341号は、マイクロ波照射時に、蓋材に小孔が開口して蒸気を逃がすことができるが、マイクロ波照射後の被包フィルムの開封に関して何ら開示されておらず、又、蓋材は、容器の形状や収容物などによって、多種類の形状・素材のものが存在するため、これら多種類の蓋材に応じて上記アンテナや発熱体の2種類の部分を設けなけなければならない。また、該公報には、アンテナのみを設ける例として、平面視線状のアンテナの端部を対向させてなる態様が開示されている。しかし、かかる手段では、マイクロ波照射時に、極めて小さい孔しか開けることができず、この部分を起点として蓋体を開封できないばかりか、例えば、蒸気が噴出する際に固形収容物が内側から小孔に張り付きこれを塞ぐ虞があり、通蒸用孔の形成手段としても十分とは言えない。
実公平8−281号公報 特公平6−67341号公報
発明は、マイクロ波照射により、被着フィルムの外側へ突出する開封用の切れ目を安価に形成することができ、これを起点として被着フィルムを容易に開封することができるマイクロ波処理用包装体を提供することを課題とする。
本発明は、被着フィルムが設けられているマイクロ波処理用包装体であって、導電体層及び熱収縮性の基材を有するラベル基材と前記ラベル基材の裏面に設けられた貼着剤層とを有し前記導電体層にスリット部が形成されている破断用ラベルが、前記貼着剤層を介して前記被着フィルムの一面に貼着されており、前記破断用ラベルのラベル基材が、前記被着フィルムよりも熱収縮が大きく、マイクロ波照射時に、前記被着フィルムに前記破断用ラベルのスリット部に沿って切れ目が形成されると共に、前記破断用ラベルが被着フィルムを伴って前記切り目を外側に反らせることを特徴とするマイクロ波処理用包装体を提供する。
好ましくは、前記スリット部は、前記ラベル基材に形成されている。
上記マイクロ波処理用包装体をマイクロ波に曝すことにより、スリット部の形状に沿った切れ目が被着フィルムに形成される。これは、マイクロ波に曝されると導電体層の至るところで渦電流が発生し、生じた電流がエッジランナウェイ現象により導電体層のスリット部(導電体層の側端面が対向した部分)に集まってスパークを起こし、このスパークがスリット部を通じて被着フィルムに作用して、被着フィルムにスリット部と略同じ形状の切れ目が形成されるもの、又は、上記電流によってスリット部付近が高温に発熱することにより被着フィルムが溶融などするものと推察される。従って、このスリット部を比較的大きく形成することにより、マイクロ波照射時、被着フィルムの一部分に、固形収容物によって塞がれることのない大きな穴部を形成できる。よって、被着フィルム内に生じる蒸気を外部に確実に逃がすことができる。
上記マイクロ波処理用包装体は、マイクロ波照射時に破断用ラベルの作用により、被着フィルムにスリット部に沿った形状の切れ目が形成されるから、この切れ目によって通蒸や開封を確実に行うことができる。
さらに、上記マイクロ波処理用包装体は、前記破断用ラベルのラベル基材が、前記被着フィルムよりも熱収縮が大きい。かかる破断用ラベルが貼着されているマイクロ波処理用包装体は、マイクロ波照射時に形成される切れ目を確実に外側に反って突出させることができる。
さらに、本発明は、フィルムからなり、収容物を密封収容可能な収容部が形成された本体部と、本体部の一部分から延設された袋片部であって収容部に連通する非熱溶着部が形成された扁平状の袋片部と、を有し、袋片部は、その一面が本体部の表面に接するように重ねられているマイクロ波処理用包装体であって、導電体層及び熱収縮性の基材を有するラベル基材と前記ラベル基材の裏面に設けられた貼着剤層とを有し前記導電体層にスリット部が形成されている破断用ラベルが、袋片部の一面に貼着されており、破断用ラベルのスリット部が、袋片部の非熱溶着部の形成領域に対応して貼着されているマイクロ波処理用包装体を提供する。
上記マイクロ波処理用包装体は、収容部が形成された本体部に、該収容部に連通する非熱溶着部の形成された扁平状の袋片部が延設されており、その一面が本体部の表面に接するように重ねられていると共に、この袋片部の一面に、上記破断用ラベルが貼着されている。かかる構成により、本体部及び袋片部の間に挟まれた状態の破断用ラベルには、マイクロ波が十分に作用せず、よって、早期に切れ目は生じない。しかし、時間が経過するに従い、収容部で生じた蒸気が袋片部の非熱溶着部に流入してその内圧を上げるので、袋片部は膨張し、本体部から離れることとなる。袋片部が本体部から離れると、破断用ラベルにマイクロ波が作用するので、フィルムからなる袋片部の一面のうち、非熱溶着部の形成領域に、スリット部に沿った切れ目が形成される。従って、この切れ目を通じて蒸気を逃がすことができる。
このように上記包装体は、マイクロ波照射開始時からある程度の間は、切れ目が形成されない工夫が施されているので、その間、収容部の内圧を高く維持でき、一方、所定時間経過後に切れ目が形成されて蒸気を逃がすので、包装体の破裂を防止できる。
また、破断用ラベルのラベル基材が、熱収縮性を有するので、マイクロ波照射時にラベル基材が熱収縮して、切れ目を外側に反って突出させることができる。
本発明の好ましいマイクロ波処理用包装体は、上記破断用のラベル基材が、上記袋片部よりも熱収縮が大きい。かかる破断用ラベルが貼着されているマイクロ波処理用包装体は、マイクロ波照射時に形成される切れ目を確実に外側に反って突出させることができる。
本発明のマイクロ波処理用包装体は、破断用ラベルが被着フィルムに貼着されている。この破断用ラベルは、マイクロ波照射時に、被着フィルムにスリット部の形状に沿った切れ目を形成することができる。従って、被着フィルムの一部分に、固形収容物によって塞がれることのない大きな穴部を形成することもでき、被着フィルム内に生じる蒸気を外部に確実に逃がすことができる。また、破断用ラベルは前記切れ目を外側に反らせて突出させるので、これを摘み片として摘み、被着フィルムを容易に開封できる。
かかる破断用ラベルのスリット部を所望形状にすれば、通蒸のみならず、例えば、目立ちやすく、又開封の便に優れる開封用の切れ目を被着フィルムに形成できるマイクロ波処理用包装体を安価に提供することができる。
た、本発明のマイクロ波処理用包装体は、マイクロ波照射開始時から、ある程度の時間は、切れ目が形成されないので、その間、収容部の内圧を高く維持できる。従って、蒸らし効果で風味の向上が期待される食品を包装する包装体として特に好適である。
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
<第1実施形態>
図1及び図2に於いて、1は、電子レンジ調理食品等のマイクロ波により加熱される収容物が収容された容器2の周囲を、被包フィルム3(被着フィルムに相当する)にて密封包装してなる包装体4と、この包装体4の被包フィルム3の表面の一部分に貼着された破断用ラベル5と、からなるマイクロ波処理用包装体を示す。
容器2の上面開口部には、食品などの収容物を包装するために、例えば樹脂成形品からなる蓋材2aが嵌着されており、この蓋材2aの一部には、内側に凹んだ凹状部が形成されている。
破断用ラベル5は、装飾フィルム61とベースフィルム62の2層からなる基材6と、この基材6の裏面に積層された導電体層7とからなるラベル基材の裏面(導電体層7の裏面)に、一側端部の剥離用摘み代10を除いて、粘着剤からなる貼着剤層8が設けられて構成されている。さらに、破断用ラベル5には、最上層の装飾フィルム61から最下層の貼着剤層8の裏面に渡るスリット部9が形成されている。このスリット部9は、破断用ラベル5を厚み方向全層に渡って、カッターなどで切り込むことにより形成されている。
このスリット部9の平面形状は、特に限定されず、例えば、図3(a)〜(d)に示すような、直線状、略V字状、略U字状などの単数の直線又は非直線からなる形状、同図(e)〜(g)に示すように、略X状、略十字状、対向接触する2本の略U字状などの複数の直線又は非直線交差からなる形状、同図(h)〜(j)に示すように、直線、略V字状などの非直線の複数を平行に配置させた形状や直線、略V字状などの非直線の複数を非平行(例えば対向させる)に配置させた形状、同図(k)及び(l)に示すように、略円形状(楕円などを含む)、略四角形状、略三角形状などの無端線からなる形状、同図(m)に示すように、これら各線を適宜組み合わせた形状などが例示される。
後述するように、このスリット部9の平面形状は、マイクロ波照射により、被包フィルム3に形成される切れ目と略同一となることから、好ましいスリット部9の形状は、被包フィルム3に形成したい形状を考慮して決定される。例えば、マイクロ波照射により、主として通蒸目的の切れ目を形成したい場合には、同図の例の何れのものでもよい。尚、通蒸のみを目的とする場合には、収容固形物によって切れ目が塞がれない程度、例えば、1本のスリット部9を長さ3mm以上程度に形成することが好ましい。
また、マイクロ波照射により、被包フィルム3に比較的大きな穴部を形成して開封起点を形成したい場合には、例えば、図3(c)〜(i)、(k)〜(m)などに示すような形状からなるスリット部9を形成すればよく、また、被包フィルム3に開封用摘み片を形成したい場合には、例えば同(c)〜(i)、(m)などに示すような形状からなるスリット部9を形成すればよい。これらの中でも、開封する際に好適に利用できる開封用切れ目を形成できる点から、略X字状や略十字状が好ましい。また、同図(k)〜(m)に示すスリット部9は無端状の部分を有するため、破断用ラベル5を貼着する際に、無端状のスリット部9に囲われた領域が分離して一時に貼着できないことから、同図(a)〜(j)に示すような、有端状のスリット部9を形成することが好ましい。尚、開封目的の場合に於けるスリット部9の長さは、形成される切り目などを考慮して適宜設計される。
さらに、図2に示すように、スリット部9の隙間W(導電体層7の側端面7a,7aの隙間)は、1.0mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下であり、側端面7a,7a同士が実質的に接触していてもよい(スリット部9に実質的に隙間がない)。
次に、基材6は、熱収縮性を有するものであれば特に限定されず、合成樹脂製フィルム、合成紙、異種の材質の積層体などを用いることができる。尚、装飾フィルム61には、商品名、商標、使用説明、絵柄などが印刷された意匠印刷層(図示せず)が設けられている。
導電体層7は、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属、合金又は金属酸化物などの導電性物質を含有する層であり、金属蒸着、導電性物質を含むインキによる印刷、導電性物質の溶射、金属箔や導電性フィルムなどの接着などにより、基材6に積層される。中でも、導電体層7として蒸着層を用いれば、大きなスパークが発生し難く、使用者を驚かせないため好ましい。導電体層7の厚みは、金属蒸着の場合には、約0.005〜0.1μm程度、好ましくは0.015μm以上、より好ましくは0.04μm以上であり、好ましくは0.08μm以下である。例えば、アルミ蒸着の場合には、厚さ0.01〜0.08μm、好ましくは0.04〜0.06μmに形成される。また、金属箔の場合には、その金属の電気抵抗により異なるが、例えば厚さ1〜30μm程度、導電性物質含有インキを塗布する場合には、厚さ1〜20μm程度が例示される。尚、金属箔(例えば、厚さ5〜15μmのアルミニウム箔)を用いる場合、スリット部9の切断面(導電体層7の側端面7a)に、微細な凹凸、好ましくは、先端の尖った凸部を有する微細な凹凸(例えば、鋸刃状)が形成されていれば、スパークが発生し易くなるので好ましい態様である。また、導電体層7は、金属蒸着、金属箔などの接着、導電性インキのベタ印刷などによって基材6に容易に設けることができることから、基材6の全面に積層されていることが好ましいが、必ずしも基材6の全面に積層されている場合に限られず、基材6の一部に部分的に設けられていてもよい。尚、導電体層7の大きさは、マイクロ波処理する収容物や被包フィルム3の構成によって適宜設計される。
ラベル基材の平面形状は特に限定されず、例えば、図2などに示すような長方形の他、図4に示すような略蝶ネクタイ状(2つの台形の上底を突き合わせた形状)、特に図示しないが、円形状、楕円形状、三角形状、その他の形状に形成することができる。
また、マイクロ波照射時に、スリット部9の形状に沿って切れ目を確実に形成するためには、導電体層7(導電体層7が全面に積層されている場合にはラベル基材)は、ある程度の面積が必要と考えられる。後述するように、マイクロ波照射により切れ目が形成されるのは、導電体層7で生じた電流が導電体層7aのスリット部9に集まってスパーク等を生じることに起因すると考えられるので、マイクロ波を受けて電流を生じる部分である導電体層7が狭いと、十分に電流が生じなかったり、或いはスリット部9の一部分のみに電流が流れてスリット部9の形状に沿った大きな切れ目を形成し難くなると考えられる。このような観点及び被包フィルム3の構成などを考慮して、導電体層7の大きさは適宜設計すればよい。
上記破断用ラベル5を、被包フィルム3で密封状に包装された包装体4の被包フィルム3の上方部表面に、貼着剤層8を介して貼着することにより、マイクロ波処理用包装体1を得ることができる。
尚、通常、上記破断用ラベル5は、離型紙に貼った状態で提供されるが、その形態は特に図示しない。
被包フィルム3に貼着する箇所は、特に限定されないが、被包フィルム3と容器2が密着している部分に破断用ラベル5を貼着すると、容器2(蓋材を含む)の材質や厚みによっては、容器2まで切れ目が入る虞があるので、好ましくは、図2に示すように、被包フィルム3と容器2(例えば蓋材2aの凹状部)の間に間隙11を有する部分に破断用ラベル5を貼着することが好ましい。
また、被包フィルム3は、熱溶融しうるフィルムであって、包装に適するものであれば、その材質や厚みなどは特に限定されず、また、熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)でもよいし、ストレッチフィルム(自己伸縮性フィルム)でもよく、その性質についても限定されない。
上記マイクロ波処理用包装体1は、これを電子レンジなどに入れてマイクロ波に曝すと、図5に示すように、被包フィルム3にスリット部9と略同形状(略X字状)の開封用切れ目12が形成される。これは、導電体層7で生じた電流が、導電体層7の側端面7a,7aの対向部分(スリット部9)に集まってスパーク等を生じ、これが貼着剤層8のスリット部9を通じて被包フィルム3に作用してこれを加熱溶融させ、被包フィルム3にスリット部9と略同形状の開封用切れ目12を生じさせるものと考えられる。
そして、被包フィルム3に開封用切れ目12が形成されると、例えば、被包フィルム3の熱収縮によって、被包フィルム3に比較的大きな穴部14が形成されるから、使用者に判りやすく、この穴部14を開封起点として、被包フィルム3を容易に開封することができる。このように、スリット部9の形状に沿って開封用切れ目12が形成されるので、このスリット部9の形状を、摘み片を形成し得る形状など(例えば平面略X字状など)にしておけば、この形状が転写された如く、被包フィルム3の一部が加熱溶融されるから、これを摘んで被包フィルム3を引き裂き開封することができるのである。
例えば、破断用ラベル5の剥離用摘み代10を摘んで破断用ラベル5を引き剥がしながら被包フィルム3を開封したり、或いは、図示したように、開封用摘み片15が形成されるようにスリット部9が形成されている場合には、この摘み片15を摘んで被包フィルム3を容易に開封することができる。
また、ラベル基材は熱収縮性を有する。そのため、マイクロ波照射時に、開封用切れ目12によって形成される開封用摘み片15を、図8(a)に示すように、外側に反って突出させることができる。この場合、基材6は、被包フィルム3などの被着フィルムよりも熱収縮が大きいものを用い(被着フィルムが実質的に非収縮の場合には、基材6は少し熱収縮するものでよい)、又基材6が複層からなる場合には、最上層(最外層)のフィルムに、被着フィルムよりも熱収縮が大きいものを用いればよい(基材6の全層が熱収縮性を有する場合には、最上層が最も大きく熱収縮するものを用いる)。また、開封用摘み片15を大きく突出させるために、摘み片を形成し得る形状のスリット部9の両端部9a,9aを結んだ仮想線を、基材6の熱収縮方向Xに対して略直交するように配置することが好ましい。
本発明によれば、形成したいと思う好ましい開封用切れ目12を想定し、これと略同形状のスリット部9が形成された破断用ラベル5を被包フィルム3に貼着することにより、予定した開封用切れ目12を確実に形成することができる。また、被包フィルム3などに破断用ラベル5を貼るだけで、マイクロ波照射後に開封用切れ目12が形成されるので、例えば、破断用ラベル5を多数準備し、ラベラーなどを用いて既知の包装体の被包フィルム3の適宜箇所に貼着することにより、安価に且つ大量に、マイクロ波照射によって開封容易なマイクロ波処理用包装体を得ることができる。
また、破断用ラベル5のラベル基材が、熱収縮性を有するので、マイクロ波照射時にラベル基材が熱収縮して、開封用切れ目12を外側に反って突出させることができる
さらに、上記包装体1が、被包フィルム3にて収容物を密封状に被覆してなる場合には、スリット部9に沿った切れ目12を通じ、蒸気を外部に多量に且つ確実に逃がして内圧上昇を防止できる。
また、本発明によれば、ポリエステルやポリアミドなどの比較的耐熱性に優れた素材を積層してなる被包フィルム3や、例えば、膜厚が100μm程度の被包フィルム3であっても、切れ目12を形成することができる。
さらに、全面に導電体層7が積層されたラベル基材を用いているので、従来のアンテナを設ける手段のように、所定形状の導電体層を個々に設ける必要がなく、また、導電体層7が積層されたラベル基材を厚み方向に切り込めば、簡易に所望形状のスリット部9を形成することができるので、破断用ラベル5を容易に製造することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態は、袋片部に破断用ラベルが貼着されているマイクロ波処理用包装体に関する。以下、主として上記各実施形態と異なる部分を説明し、同様の構成については、用語及び図番を援用し、その説明を省略する。
図6に於いて、本実施形態に係るマイクロ波処理用包装体1は、収容物を密封収容可能な収容部21が形成された本体部22と、本体部22の一部分から延設されたフィルム片からなり且つ収容部21に連通する空間部23(非熱溶着部に相当する)が形成された扁平状の袋片部24とを有し、この袋片部24の一面24aに、破断用ラベル5が貼着された構成からなる。
具体的には、本体部22は、例えば、重ねられた表裏フィルム25,26(被着フィルムに相当する)の周縁部を熱溶着することにより、内部に食品などの収容物を密封収容可能な収容部が形成された包装袋からなる。この表裏フィルム25,26は、熱溶融しうるフィルムであって、マイクロ波加熱用包装袋として一般に使用されているフィルムが用いられ、例えば、ガスバリア性を有するベースフィルム(単層又は複層のフィルム)の内面に、シーラントフィルムが積層されたフィルムなどが例示される。
袋片部24は、上記表フィルム25の長手方向中途部分を全巾繰り出すことにより、上縁で折り返されたフィルムからなる突出片が形成され、且つ、本体部22の収容部21の密封性を確保するため、本体部22の周縁部に連続するように突出片の両側縁部を熱溶着することによって形成された、フィルム製の扁平状袋からなる。かかる3方縁部(上縁及び両側縁部)が閉塞された袋片部24の内部には、本体部22の収容部21に連通する空間部23が形成されている。尚、袋片部24の両側縁部は、図示したように、溶着内縁が外側へ膨らむ円弧状に熱溶着されて封止されており、従って、袋片部24の空間部23は、外側へ膨らむ円弧状に形成されている。
また、柔軟なフィルムからなる袋片部24は、本体部22に対し倒立可能であるが、通常の状態(マイクロ波照射前の状態)では、図6(a)に示すように、袋片部24は、本体部22との連結部27にて折り曲げられて本体部22側へと倒されている。従って、袋片部24の一面24aは、本体部22の表フィルム25の表面に接するように重ねられている。
この袋片部24の一面24aのうち、空間部23が形成された領域に、上記破断用ラベル5のスリット部9が対応する(重なる)ように、貼着剤層8を介して破断用ラベル5が貼着されている。
上記マイクロ波処理用包装体1は、図7(a)、(b)に示すように、収容部21に食品などのマイクロ波加熱用の収容物を収容した状態で使用される。そして、この包装体1を電子レンジなどに入れてマイクロ波に曝すと、本体部22及び袋片部24の間に挟まれた状態の破断用ラベル5には、マイクロ波が十分に作用せず、早期に切れ目12は生じない。他方、マイクロ波照射により、収容物から蒸気が生じ、この蒸気によって収容部21の内圧が上がってくると、連通路28を通じて袋片部24の空間部23内に蒸気が流入し、所定時間経過後、空間部23が膨張して袋片部24が起立する(同図(c))。袋片部24が起立すると、破断用ラベル5にマイクロ波が十分に作用し、スリット部9が発熱して袋片部24の空間部23対応箇所に切れ目12が生じる。この切れ目12から蒸気が確実に外部に出るため、包装体1の破裂などを防止できる。
また、ラベル基材は熱収縮性を有する。そのため、マイクロ波照射時に、上記切れ目12によって形成される開封用摘み片を、外側に反って突出させることができる。この場合、基材6は、袋片部24よりも熱収縮が大きいものを用い(袋片部24が実質的に非収縮の場合には、基材6は少し熱収縮するものでよい)、又基材6が複層からなる場合には、最上層(最外層)のフィルムに、袋片部24よりも熱収縮が大きいものを用いればよい(基材6の全層が熱収縮性を有する場合には、最上層が最も大きく熱収縮するものを用いる)。また、開封用摘み片を大きく突出させるために、摘み片を形成し得る形状のスリット部9の両端部9a,9aを結んだ仮想線を、基材6の熱収縮方向Xに対して略直交するように配置することが好ましい。
本実施形態によれば、内圧上昇に伴い袋片部24が起立し、破断用ラベル5が本体部22から離反した後、マイクロ波が破断用ラベル5に作用するので、マイクロ波照射開始時からある程度の間は、収容部の内圧を高く維持できる。従って、蒸らし効果で風味の向上が期待される食品を包装する包装体1として特に好適である。
尚、本実施形態に於いて、袋片部24は、表フィルム25の中央部に設けられているものに限られず、その他の部分に設けられていても良い。
<他の実施形態>
その他、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲で、適宜の構成を付加、代用、組合せ、設計変更などすることができる。以下、主として上記各実施形態と異なる部分を説明し、同様の構成については、用語及び図番を援用し、その説明を省略する。
(破断用ラベルについて)
上記各実施形態では、基材6は、2層のフィルムからなるが、単層でもよいし、3層以上の積層フィルムでもよい。また、導電体層7と貼着剤層8の間に、合成樹脂製フィルムなどを介在させてもよい。
また、スリット部9は、破断用ラベル5の厚み方向全層に渡って形成される場合に限られず、導電体層7から貼着剤層8に渡ってスリット部9が形成されていてもよく、或いは導電体層7にのみスリット部9が形成されていてもよい。要は、少なくとも導電体層7にスリット部9が形成されていればよい。また、このスリット部9の形成方法は、上記のようにカッターなどによる切り込み形成が簡易で好ましいが、スリット部9の形成方法はこれに限られず、例えば、導電性物質を含有するインキで、スリット部9(隣合う導電体層7の側端面7a,7aに於ける隙間)を確保しながら導電体層7を印刷するなどの方法で形成してもよい。
尚、貼着剤層8は、粘着剤が好ましいが、感熱接着剤などの接着剤により構成することも可能である。また、剥離用摘み代10は設けられていなくてもよい。
(包装体について)
上記第1実施形態に於いて、容器2を被包フィルム3にて密封状に包装してなる包装体4に破断用ラベル5を貼着することによりマイクロ波処理用包装体1が構成されているが、被包フィルム3によって密封状に包装されていない包装体4に破断用ラベル5を貼着してもよい。また、例えば、図9(a)に示すように、容器2の開口部を密封状に被覆する蓋フィルム3’(被着フィルムに相当する)に、破断用ラベル5を貼着することにより、マイクロ波処理用包装体1を構成してもよい。かかる包装体1は、上記と同様に、蓋フィルム3’の破断用ラベル5の貼着部分に切れ目12が形成されるので、蓋フィルム3’を開封し易く、また、この切れ目が収容物から生じる蒸気を逃がす通蒸用開口としても機能する。さらに、図9(b)に示すように、密封状の蓋フィルム3’が設けられた容器2の周囲を、被包フィルム3にて更に包装してなる場合には、蓋フィルム3’及び被包フィルム3の双方に破断用ラベル5を貼着してもよい。このように包装体の被着フィルム(例えば、被包フィルム3や蓋フィルム3’などのように、マイクロ波照射後に、開封する必要があるフィルム)に、破断用ラベル5を適宜貼着することにより、本発明のマイクロ波処理用包装体1を構成することができ、包装体の具体的構造などは限定されるものではない。
尚、破断用ラベル5は、被包フィルム3の表面に貼着する場合に限られず、被包フィルム3の裏面に貼着してもよい。
また、包装体4は、容器2と蓋材とから構成されるものに限られず、例えば、図10に示すように、柔軟な表裏フィルム25,26にて袋状に形成された包装体4(いわゆるパウチ)の一面に破断用ラベル5を貼着することにより構成されたマイクロ波処理用包装体1でもよい。
実施例1
基材として厚さ60μmのポリオレフィン合成紙(商品名:ユポ)を用い、これにアルミニウム蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム25μm+アルミ蒸着0.04μm)をドライラミネートしてラベル基材を作成し、アクリル系粘着剤を介して離型紙と積層した。このラベルの基材側より粘着剤まで、カッターナイフで切り込んで、図3(e)に示す略X字状のスリット部を形成することにより、本発明に係る破断用ラベルを得た。尚、ラベルの縦横は20mm×30mmで、1本のスリット部の長さは20mmであり、スリット部の幅は0〜0.1mm程度であった。次に、食品が収容された合成樹脂製成型容器(市販の弁当)をガスバリア性被包フィルム(商品名:エコラップG(厚さ22μm、ナイロン8μm+EVOH2μm+直鎖状低密度ポリエチレン12μm)、日本エコラップ株式会社製)で密封状に包装した包装体の該被包フィルムの表面に、上記破断用ラベルを貼り付け、500Wの電子レンジで加熱した。その結果、被包フィルムにスリット部と略同形状の開封用切れ目が入り、その部分を摘んで被包フィルムを容易に開封することができた。
実施例2
実施例1で用いたものと同じラベル基材を、図4に示す形状に切断した。尚、その寸法は、図4に示すDが15mm、Eが17.5mm、Fが10mmに形成した。また、スリット部は、実施例1と同様にラベル基材をカッターナイフで切り込み、長さ5mmに形成した。このものを、市販の電子レンジ調理用カップスープ(例えばカゴメ(株)製、商品名:野菜スープ)の、蓋フィルムの略中央部に貼着し、500Wの電子レンジで所定時間加熱した。加熱中は容器内から蒸気が噴出し、蓋フィルムが大きく膨張することはなかった。加熱後の蓋フィルムを見ると、スリット部と同じ長さの切れ目が入っていた。
第1実施形態のマイクロ波処理用包装体を示す斜視図。 図1のA−A線に於ける断面図を含む一部省略斜視図。 (a)〜(m)共に、各種のスリット部が形成されたラベルの平面図。 ラベル基材の他の実施形態を示す平面図。 (a)は、包装体に切れ目が形成された状態を示す要部拡大斜視図、(b)は、(a)のB−B線に於ける一部省略断面図。 (a)は、第2実施形態のマイクロ波処理用包装体を示す斜視図、(b)は、同包装体の袋片部を起立させた状態を示す斜視図。尚、図6、図7及び図10に於いて、網掛けは熱溶着部分を示している。 (a)は、同包装体に収容物が収納された状態を示す斜視図、(b)は、C−C線に於ける一部省略断面図、(c)は、同包装体をマイクロ波照射した際の状態を示す一部省略断面図。 (a)は、他実施形態び包装体に切れ目が形成された状態を示す断面を含む一部省略斜視図、(b)は、ラベルの他の実施形態を示す平面図。 (a)、(b)共に、包装体の他の実施形態を示す断面図。 包装体の他の実施形態を示す斜視図。
符号の説明
1…マイクロ波処理用包装体、2…容器、3…被包フィルム、3’…蓋フィルム、4…包装体、5…破断用ラベル、6…基材、61…装飾フィルム、62…基材フィルム、7…導電体層、8…貼着剤層、9…スリット部、10…剥離用摘み代、12…切れ目、14…穴部、15…開封用摘み片、W…スリット部の隙間幅、21…収容部、22…本体部、23…空間部、24…袋片部、24a…袋片部の一面、25,26…表裏フィルム、27…連結部、28…連通路

Claims (4)

  1. 被着フィルムが設けられているマイクロ波処理用包装体であって、
    導電体層及び熱収縮性の基材を有するラベル基材と前記ラベル基材の裏面に設けられた貼着剤層とを有し前記導電体層にスリット部が形成されている破断用ラベルが、前記貼着剤層を介して前記被着フィルムの一面に貼着されており、
    前記破断用ラベルのラベル基材が、前記被着フィルムよりも熱収縮が大きく、
    マイクロ波照射時に、前記被着フィルムに前記破断用ラベルのスリット部に沿って切れ目が形成されると共に、前記破断用ラベルが被着フィルムを伴って前記切り目を外側に反らせることを特徴とするマイクロ波処理用包装体。
  2. 前記スリット部が、前記ラベル基材に形成されている請求項1記載のマイクロ波処理用包装体
  3. フィルムからなり、収容物を密封収容可能な収容部が形成された本体部と、本体部の一部分から延設された袋片部であって前記収容部に連通する非熱溶着部が形成された扁平状の袋片部と、を有し、前記袋片部は、その一面が前記本体部の表面に接するように重ねられているマイクロ波処理用包装体であって、
    導電体層及び熱収縮性の基材を有するラベル基材と前記ラベル基材の裏面に設けられた貼着剤層とを有し前記導電体層にスリット部が形成されている破断用ラベルが、前記袋片部の一面に貼着されており、前記破断用ラベルのスリット部が、袋片部の非熱溶着部の形成領域に対応して貼着されていることを特徴とするマイクロ波処理用包装体。
  4. 前記破断用ラベルのラベル基材が、前記袋片部よりも熱収縮が大きい請求項3に記載のマイクロ波処理用包装体。
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