JP4883007B2 - 画像処理装置、画像処理プログラム、および、画像処理方法 - Google Patents

画像処理装置、画像処理プログラム、および、画像処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ある撮像条件で撮像された画像データを、観察条件に応じた色の見えを再現する画像データに変換する画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法に関する。
ある撮像条件で撮像した画像を、人間の色順応特性を考慮して、撮像条件とは異なる観察条件に応じた色の見えを再現する色の見えモデルが各種提案されている。その1つとして、CIE(国際照明委員会)が2002年に提案したCIECAM02(シーキャムオーツーと言う)の色の見えモデルがある(非特許文献1参照)。CIECAM02の色の見えモデルは、照明光源の白色点の違いから、デバイス輝度の違い、デバイス輝度と周辺輝度の比、背景輝度の違い等の影響まで考慮する。
矢口博久、「色の見えモデル−CIECAM02の概要と課題−」、 カラーフォーラムJAPN2003、2003年、p.57-62
しかし、CIECAM02の色の見えモデルは、大変複雑な変換となっており、必要な入力パラメータも多く、また観察条件下の色の見え予測までには多くの計算ステップが必要となっている。演算そのものも単なる四則演算のみでは足りず、累乗計算も多く用いられたものとなっている。更に、上記のような色の見えモデルを画像全体に適用すると、各画素毎に前記変換を行わなければならず、かなり負荷の大きい処理となってしまうという問題があった。特に、入力パラメータの一つである背景輝度を決定するため、各画素毎に周囲10度視野に入る全画素の平均輝度を計算する等、各画素毎にパラメータ計算する必要性からも、処理が重くなるという問題があった。
本発明の第1の態様によると、ある撮像条件で撮像された第1の画像データを、観察条件に応じた色の見えを再現する第2の画像データに変換する画像処理装置は、撮像条件で撮像された第1の画像データを取得する画像データ取得部と、取得された第1の画像データを、画素単位に、撮像条件と観察条件とに基づき、色順応を考慮した第1の手法により第2の画像データに変換する第1の変換部と、取得された第1の画像データを、画素単位に、撮像条件と観察条件とに基づき、第1の手法より簡易であって色順応を考慮した第2の手法により第2の画像データに変換する第2の変換部と、第1の画像データの変換対象画素の色、又は所定の条件に応じて画像を複数の領域に分割したときに変換対象画素が属する領域の画素の色から決定する代表色に応じて、第1の変換部および第2の変換部のいずれかを選択するように制御する制御部とを備える。
本発明の第2の態様によると、第1の態様の画像処理装置において、制御部は、第1の画像データの変換対象画素の色が所定の色域内のとき第1の変換部を選択し、第1の画像データの変換対象画素の色が所定の色域内でないとき第2の変換部を選択するように制御するのが好ましい。
本発明の第3の態様によると、第2の態様の画像処理装置において、所定の色域は、所定の輝度範囲あるいは所定の色相範囲を含むのが好ましい。
本発明の第4の態様によると、第2または3の態様の画像処理装置において、画像内における変換対象画素背景輝度、および、撮像条件と観察条件の違いの少なくともいずれかの影響を受けて、元の色に対して同じでない特定の色を多くの人が色の見えが一致するとして選ぶ該元の色の集まりを所定の色域として保有する色域記憶部をさらに備え、制御部は、色域記憶部を参照して、第1の画像データの変換対象画素の色が所定の色域内にあるかどうかを判断するのが好ましい。
本発明の第5の態様によると、第1の態様の画像処理装置において、制御部は、第1の画像データを複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる画素のに応じて、領域毎に第1の変換部および第2の変換部のいずれかを選択し、同一領域内の各画素は領域毎に選択された同一変換部を選択するように制御するのが好ましい。
本発明の第6の態様によると、第5の態様の画像処理装置において、制御部は、第1の画像データの変換対象領域に含まれる全画素のうち、各画素の色が所定の色域内にある画素数の割合が所定割合以上のとき第1の変換部を選択し、各画素の色が所定の色域内にある画素数の割合が所定割合未満のとき第2の変換部を選択するように制御するのが好ましい。
本発明の第7の態様によると、第6の態様の画像処理装置において、所定の色域は、所定の輝度範囲あるいは所定の色相範囲を含むのが好ましい。
本発明の第8の態様によると、第6または7の態様の画像処理装置において、画像内における変換対象画素背景輝度、および、撮像条件と観察条件の違いの少なくともいずれかの影響を受けて、元の色に対して同じでない特定の色を多くの人が色の見えが一致するとして選ぶ該元の色の集まりを所定の色域として保有する色域記憶部をさらに備え、制御部は、色域記憶部を参照して、第1の画像データの変換対象領域に含まれる各画素の色が所定の色域内にあるかどうかを判断するのが好ましい。
本発明の第9の態様によると、第5の態様の画像処理装置において、制御部は、第1の画像データの変換対象領域を代表する色が所定の色域内にあるとき第1の変換部を選択し、第1の画像データの変換対象領域を代表する色が所定の色域内でないとき第2の変換部を選択するように制御するのが好ましい。
本発明の第10の態様によると、第9の態様の画像処理装置において、所定の色域は、所定の輝度範囲あるいは所定の色相範囲を含むのが好ましい。
本発明の第11の態様によると、第9または10の態様の画像処理装置において、画像内における変換対象画素背景輝度、および、撮像条件と観察条件の違いの少なくともいずれかの影響を受けて、元の色に対して同じでない特定の色を多くの人が色の見えが一致するとして選ぶ該元の色の集まりを所定の色域として保有する色域記憶部をさらに備え、制御部は、色域記憶部を参照して、第1の画像データの変換対象領域を代表する色が所定の色域内にあるかどうかを判断するのが好ましい。
本発明の第12の態様によると、第9から11のいずれかの態様の画像処理装置において、変換対象領域を代表する色は、変換対象領域に含まれる全画素、もしくは所定割合数以上の画素の色を平均した色とするのが好ましい。
本発明の第13の態様によると、第1から12のいずれかの態様の画像処理装置において、第1の手法および第2の手法ともに、同一の色の見えモデルによる手法であり、第2の手法は、色の見えモデルから所定の演算を省略したものであるのが好ましい。
本発明の第14の態様によると、第1から12のいずれかの態様の画像処理装置において、第2の手法は、四則演算のみで変換できる手法であるのが好ましい。
本発明の第15の態様によると、第1から12のいずれかの態様の画像処理装置において、第1の手法および第2の手法ともに、変換対象画素の背景輝度を考慮して変換する手法であり、第1の手法は変換対象画素の背景輝度を周辺の画素の輝度に基づき演算し、第2の手法は変換対象画素の背景輝度を所定の固定値とするのが好ましい。
本発明の第16態様によると、第13または15の態様の画像処理装置において、第1の手法および第2の手法ともに、CIECAM02の色の見えモデルによる手法であるのが好ましい。
本発明の第17の態様によると、第1から12、14のいずれかの態様の画像処理装置において、第1の手法はCIECAM02の色の見えモデルによる手法であり、第2の手法はvon Kriesの順応変換式による手法であるのが好ましい。
本発明の第18の態様によると、第1の観察条件に基づいて作成された第1の画像データを、第1の観察条件とは異なる第2の観察条件に応じた色の見えを再現する第2の画像データに変換する画像処理装置は、第1の観察条件に基づいて作成された第1の画像データを取得する画像データ取得部と、取得された第1の画像データを、画素単位に、第1の観察条件と第2の観察条件とに基づき、色順応を考慮した第1の手法により第2の画像データに変換する第1の変換部と、取得された第1の画像データを、画素単位に、第1の観察条件と第2の観察条件とに基づき、第1の手法より簡易であって色順応を考慮した第2の手法により第2の画像データに変換する第2の変換部と、第1の画像データの変換対象画素の色、又は所定の条件に応じて画像を複数の領域に分割したときに変換対象画素が属する領域の画素の色から決定する代表色に応じて、第1の変換部および第2の変換部のいずれかを選択するように制御する制御部とを備える。
本発明の第19の態様によると、画像処理プログラムは、請求項1から18のいずれかの態様の画像処理装置の機能をコンピュータに実現させる画像処理プログラムである。
本発明の第20の態様によると、ある撮像条件で撮像された第1の画像データを、観察条件に応じた色の見えを再現する第2の画像データに変換する画像処理方法は、撮像条件で撮像された第1の画像データを取得し、取得された第1の画像データを、撮像条件と観察条件とに基づき、画素単位に第2の画像データに変換するとき、第1の画像データの変換対象画素の色、又は所定の条件に応じて画像を複数の領域に分割したときに変換対象画素が属する領域の画素の色から決定する代表色に応じて、色順応を考慮した第1の手法および第1の手法より簡易な色順応を考慮した第2の手法を使い分ける。
本発明の第21の態様によると、第20の態様の画像処理方法において、さらに、第1の画像データを複数の領域に分割し、取得された第1の画像データを、撮像条件と観察条件とに基づき、画素単位に第2の画像データに変換するとき、各領域に含まれる画素の色に応じて、領域毎に色順応を考慮した第1の手法および第1の手法より簡易な色順応を考慮した第2の手法を使い分けるのが好ましい。
本発明の第22の態様によると、第1の観察条件に基づいて作成された第1の画像データを、第1の観察条件とは異なる第2の観察条件に応じた色の見えを再現する第2の画像データに変換する画像処理方法は、第1の観察条件に基づいて作成された第1の画像データを取得し、取得された第1の画像データを、第1の観察条件と第2の観察条件とに基づき、画素単位に、第2の画像データに変換するとき、第1の画像データの変換対象画素の色、又は所定の条件に応じて画像を複数の領域に分割したときに変換対象画素が属する領域の画素の色から決定する代表色に応じて、色順応を考慮した第1の手法および第1の手法より簡易な色順応を考慮した第2の手法を使い分ける。
本発明は、以上説明したように構成しているので、ある撮像条件で撮像された画像データを、観察条件に応じた色の見えを再現する画像データに変換するとき、正確な色の見え再現効果を落とさずに処理を軽くすることができる。
本発明の一実施の形態である画像処理装置を示す図である。 パーソナルコンピュータ1が処理する処理の基本的な流れを示す図である。 色の見え実験に使用するパッチの図である。 第1の実施の形態における実験結果を示す図である。 第1の実施の形態における処理のフローチャートを示す図である。 第2の実施の形態における実験結果を示す図である。 第2の実施の形態における処理のフローチャートを示す図である。 第3の実施の形態における実験結果を示す図である。 第3の実施の形態における処理のフローチャートを示す図である。 図5のステップS17の処理の詳細を示す図である。 図5のステップS18の処理の詳細を示す図である。 第4の実施の形態において、画像を複数の領域に分割する例を説明する図である。 第4の実施の形態における処理のフローチャートを示す図である。 輝度値による判定と色相による判定を組み合わせた場合の処理の例を示す図である。 第5の実施の形態における処理のフローチャートを示す図である。 デジタルカメラ100の構成を示す図である。 第6の実施の形態における処理の基本的な流れを示す図である。 第6の実施の形態における処理のフローチャートを示す図である。 第6の実施の形態の変形例における処理のフローチャートを示す図である。 第6の実施の形態の変形例における処理のフローチャートを示す図である。
−第1の実施の形態−
図1は、本発明の一実施の形態である画像処理装置を示す図である。画像処理装置は、パーソナルコンピュータ1で実現される。パーソナルコンピュータ1は、デジタルカメラ2、CD−ROMなどの記録媒体3、他のコンピュータ4などと接続され、各種の画像データの提供を受ける。パーソナルコンピュータ1は、提供された画像データに対して、以下に説明する画像処理を行う。コンピュータ4は、インターネットやその他の電気通信回線5を経由して接続される。
パーソナルコンピュータ1が画像処理のために実行するプログラムは、図1の構成と同様に、CD−ROMなどの記録媒体や、インターネットやその他の電気通信回線を経由した他のコンピュータから提供され、パーソナルコンピュータ1内にインストールされる。パーソナルコンピュータ1は、CPU(不図示)およびその周辺回路(不図示)から構成され、CPUがインストールされたプログラムを実行する。
プログラムがインターネットやその他の電気通信回線を経由して提供される場合は、プログラムは、電気通信回線、すなわち、伝送媒体を搬送する搬送波上の信号に変換して送信される。このように、プログラムは、記録媒体や搬送波などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給される。
本実施の形態のパーソナルコンピュータ1は、ある撮像条件で撮像された画像データを、人間の色順応特性を考慮して、照明に関する条件が撮像条件とは異なる観察条件に応じた色の見えを再現する画像データに変換する。この変換を色順応変換と言う。図2は、パーソナルコンピュータ1が処理する処理の基本的な流れを示す図である。
ステップS1では、例えばデジタルカメラなどで撮像した画像データAを取得する。本実施の形態では、画像データAはCIE 1931 XYZ表色系で表されているものとする。また、ここでの画像データAは、光源の色により影響を受けた色となっており、光源の輝度や周囲の輝度など撮像条件により影響を受けて視覚で知覚される。ステップS2では、画像データAが撮像された撮像時の撮像条件を入力する。撮像時の撮像条件は、画像データAに添付されているデータであってもよいし、パーソナルコンピュータ1のキーボードから適宜入力してもよい。
ステップS3では、所定の色の見えモデルを使用して、画像データAを撮像条件や観察条件に依存しない色の見えデータに変換する。このとき、ステップS2で入力された撮像時の撮像条件が、ステップS3の色の見えモデルの入力パラメータとして使用される。変換して得られたデータは、撮影機器や観察用機器、および撮像条件や観察条件に依存しない色の見えデータとして表現されている。
ステップS4では、再現したい観察環境の観察条件をユーザ(観察者)によるパーソナルコンピュータ1のキーボードの操作によって適宜入力する。もしくは、sRGB標準視環境等を仮定して、標準の観察条件としてあらかじめ記憶しておき、それを観察条件として使用してもよい。ステップS5では、ステップS3で取得された撮像条件や観察条件に依存しない色の見えデータに対して、ステップS3と同じ色の見えモデルを適用する。ただし、ステップS3のときとは逆の変換をしていく。このとき、ステップS4で入力された観察条件が、ステップS5の色の見えモデルの入力パラメータとして使用される。そして、ステップS6では、観察条件に応じた色の見えを再現する画像データBを取得する。画像データBはCIE 1931 XYZ表色系で表された画像データである。
前述した撮像条件とは撮像時のシーンの照明に関する条件である。観察条件とは画像観察に使用する機器や周囲観察環境の照明に関する条件である。これら、撮像条件や観察条件は、照明光源の輝度や白色点、周囲の明るさなど、見えに影響を与える視野とその周辺の環境、すなわち視環境に関する条件である。
本発明は、ステップS3およびステップS5において適用する色の見えモデルに特徴を有する。CIECAM02の色の見えモデルは、前述した通り、照明光源の白色点の違いから、デバイス輝度の違い、デバイス輝度と周辺輝度の比、背景輝度の違い等の影響まで考慮し、人間の色順応特性を考慮して色の見えを精度良く再現する優れた色の見えモデルである。しかし、処理が重いという問題がある。
そこで、本実施の形態では、画像データAのうち、所定の条件を満たすデータについてのみCIECAM02の色の見えモデルを適用し、所定の条件を満たさないデータについてはCIECAM02より処理が軽い簡略な色の見えモデルを適用することとした。本実施の形態では、簡略な色の見えモデルとして、von Kriesの順応変換式を採用する。
(von Kriesの順応変換式)
以下、von Kriesの順応変換式およびCIECAM02の色の見えモデルについて説明する。所定の条件については、その後に説明する。
von Kriesの順応変換式は、以下の式の通りである。von Kriesの順応変換式は、白色点変換のみを考慮したものである。これは、撮像照明下の被写体三刺激値(Xori, Yori, Zori)から、観察照明下の被写体三刺激値(Xest, Yest, Zest)を以下の式に従って予測する。撮像照明下の被写体三刺激値(Xori, Yori, Zori)、観察照明下の被写体三刺激値(Xest, Yest, Zest)は、CIE 1931 XYZ表色系で表されており、各画素ごとにX,Y,Zの刺激値を有する。
Figure 0004883007
ここで、マトリックスAは、三刺激値を錐体応答LMSに変換するマトリックスであり、例えばブラッドフォード変換行列等を用いることができる。また、Li, Mi, Si(i = est_w, ori_w)は、それぞれ撮像照明下、及び観察照明下の白のLMS応答である。撮像条件として撮像照明の白色点を入力すれば、Lori_w, Mori_w, Sori_wが導き出され、観察条件として観察照明の白色点を入力すればLest_w, Mest_w, Sest_w、が導き出される。このvon Kriesの順応変換式によるモデルを用いれば、3×3マトリックスの演算で白色点変換を予測することができる。すなわち、von Kriesの順応変換式によると、四則演算のみの簡易な手法で変換を行なうことができる。
(CIECAM02の色の見えモデル)
次に、CIECAM02について説明する。図3は、色の見え実験に使用するパッチの図である。図3に示す2つのパッチ11、12の中心のグレーの色パッチ13、14は同じ色であっても、周囲の背景輝度Yb、Yb'が高いか低いかによって、人間の眼では異なる色に見えてしまう。図3のパッチ11、12は、各パッチ中心からそれぞれ2度視野に色パッチ13、14を置き、その外側2度〜10度視野に背景輝度Yb、Yb'を設定している。
CIECAM02は、照明光源の白色点の違いから、デバイス輝度の違い、デバイス輝度と周辺輝度の比、背景輝度の違い等の影響まで考慮しており、図3に示す様なパッチ11、12を用いて、各種視環境の影響を考慮して色の見えが一致するような変換式が与えられている。本実施の形態では、より詳細な色の見えモデルとしてCIECAM02を採用する。デバイス輝度とは、撮影時においては、被写体を照明する照明の輝度を言う。観察時には、モニタで観察するのであればそのモニタの輝度を言い、プリントで観察するのであればそのプリントを照明する照明の輝度を言う。
CIECAM02について以下概要を説明するが、より詳細にはCIE TC8-01 Technical Reportを参照のこと。以下において、添字wは白に対する値を示す。撮像条件として、撮像時の照明白色点の三刺激値(XW,YW,ZW)、撮像時視覚が順応している順応輝度LA、照明輝度と周辺輝度の比s、観察条件として、観察照明白色点の三刺激値(XW',YW',ZW')、観察時の順応輝度LA'、デバイス輝度と周辺輝度の比s'などを入力することにより、CIECAM02で使用される各種のパラメータが設定される。
1.デバイス輝度と周辺輝度の比sに応じて観察パラメータ(c, Nc, F)設定
2.順応輝度LA設定
3.CIE 1931 XYZ三刺激値から、色順応をよく説明する色空間へ、3×3マトリックスMCAT02を用いて変換
Figure 0004883007
4.LAを用いて順応ファクタD計算
Figure 0004883007
5.順応ファクタDを色順応式に適用
Figure 0004883007
6.先ほどの3×3マトリックスMCAT02とHunt-Pointer-Estevez空間への変換マトリックスMHPEを用いて、Hunt-Pointer-Estevez空間へ変換
Figure 0004883007
7.観察環境に依存する以下の係数計算
Figure 0004883007
8.錐体応答の非線形変換適用
Figure 0004883007
9.色相角h計算
Figure 0004883007
10.離心率et計算
Figure 0004883007
11.無彩色応答A計算
Figure 0004883007
12.明度J計算
Figure 0004883007
13.クロマC計算
Figure 0004883007
ここで、
Figure 0004883007
上記9、12、13で求められたJChは、撮像条件や観察条件に依存しない本来の色の見えを示すパラメータ(データ)である。これらJChと、変換先の観察条件を用いて、今度は13から1まで逆に変換して行くことにより、変換先観察環境に於けるCIE 1931 XYZ三刺激値が求められることになる。本実施の形態では、変換前および変換後の画像データは、CIE 1931 XYZ表色系で表されており、各画素ごとにX,Y,Zの刺激値を有する。
上記7.観察環境に依存する係数計算において、Ybは前述した背景輝度である。この背景輝度Ybは、各画素毎に周囲10度視野に入る全画素の平均輝度を計算する。例えば、周囲10度視野に入る画素範囲が9×9画素の範囲とすると、この9×9画素の輝度の平均を計算する。Ywは白色点輝度の相対値であり通常100である。
(色の見え実験)
次に、前述した所定の条件について説明する。まず、図3に示す様な2種類のパッチ11、12を用い、パッチ12については背景輝度や視環境条件を変えてCIECAM02で色変換した色を中心の色パッチ14に反映させて、中心の色パッチ13、14の色の見えが一致するパッチを選んでもらう実験を行う。例えば、図3に示すように、背景輝度の異なる2枚のパッチ11、12を比較する。左のパッチ11は変化させず、右のパッチ12のみ、背景輝度や視環境条件を示すパラメータを少しずつ変えて中心の色パッチ14を少しずつ変化させたものを複数用意する。そして、左右の色パッチ13、14の色の見えが一致するパッチを選択してもらう実験を複数の人間において実施する。
2枚の同じ背景輝度のパッチ間で、視環境条件を変えるような実験も同様に行う。
図4は、上記実験結果の一例を示す図である。図4の横軸は、色の見えが一致すると選んだ右の色パッチ14の色が、元の色パッチ(色を固定している左の色パッチ13の色)からどれだけ離れているかを色差で示したものである。縦軸は、そのパッチを選んだ割合(選んだ人数/全体の人数)である。
更に、左のパッチの中心の色パッチの色を変えて実験を行うと、図4の実線に示した様に、結果が顕著な色と、破線で示した様に顕著ではない色が有ることが判る。結果が顕著とは、実際には同じでない色を、背景輝度や視環境の影響を受けて多くの人が色の見えが一致すると選ぶ特定の色があることを言う。またこのような場合、同じ実験を同一人物で行い再現性を確認しても、同様の結果が得られる。即ち実線で示したパッチの場合、再現性が高い。
一方、結果が顕著でないとは、背景輝度や視環境の影響を受けて色の見えが変化するが、人によって一致すると選ぶ色がばらばらであることを言う。このような場合、同じ実験を同一人物で行い再現性を確認しても、同様の結果が得られない。即ち破線で示したパッチの場合、再現性が低くばらつきが大きくなる。
この実験を予め様々な色に対して行っておき、結果が顕著に現れる色とそうでない色を分けておき、前者の属する色域を所定の色域として決め、データとして保有する。この所定の色域に属する色かどうかを所定の条件とする。なお、色域に含まれる各色は、本実施の形態ではX,Y,Z刺激値で特定することができる。
結果が顕著に現れる色とそうでない色という場合の色は、上記実験の図3のパッチ11の色パッチ13の色のことを言う。すなわち、ある色が、図3のように背景輝度を変えると色の見えが変化し、変えた背景輝度のもとでは特定の色差分離れた異なる色を多くの人がそのある色である元の色と色の見えが一致すると感じる場合、元の色は結果が顕著に現われる色である。また、視環境、すなわち観察環境(観察条件)を変えた場合も、変えた視環境のもとである色差分離れた異なる色を多くの人が元の色と色の見えが一致すると感じる場合、その元の色は結果が顕著に現われる色である。
(変換処理)
図5は、第1の実施の形態におけるパーソナルコンピュータ1が実行する処理のフローチャートを示す図である。ステップS11では、色の見えモデルを適用して、撮像時の色の見えを観察条件下で再現したい写真撮影(撮像)された画像データを取得する。ステップS12では、取得した画像データから撮影時の視環境データを読み込み、撮影時の視環境を設定する。撮影時の視環境データとして、具体的には、撮影時被写体を照明していた照明白色点、撮影時被写体を照明していた照明輝度、被写体周囲輝度などを読み込む。
本実施の形態では、ステップS11で取得する画像データを出力するデジタルカメラは、次の機能を有していることを前提とする。オートホワイトバランス(AWB)機能があり、撮影時の照明白色点を推定し、推定した照明白色点を画像データに記録する機能。また、露出を自動調整する為に測光機能が備えられており、この結果を解析して撮影時被写体を照明していた照明輝度を推定し、推定した照明輝度を画像データに記録する機能。測光範囲を広げて測定した結果や周囲輝度測定用にカメラに設けられた測光機能を使用して撮影被写体周囲輝度を測定し、測定した被写体周囲輝度を画像データに記録する機能。
なお、画像データに記録された、オートホワイトバランスに関するデータ、測光データ、測光範囲を広げて測定した結果や周囲輝度測定用にカメラに設けられたセンサの出力データなどを使用して、パーソナルコンピュータ1において、撮影時の照明白色点の推定処理、撮影時被写体を照明していた照明輝度の推定処理、被写体周囲の輝度の推定処理などを行うようにしてもよい。
ステップS13では、観察時の視環境を設定する。モニタで観察する場合には、観察視環境として、標準視環境であるsRGB環境を仮定し、観察時の輝度=80Cd/m2, 白色点=D65, 周囲輝度=4.1Cd/m2とする。もしくは、ユーザ(観察者)のキーボード操作により入力された値を使用する。このようにして、撮影時の視環境、観察時の視環境等の前記複数の色の見えモデルで必要なパラメータが設定される。
ステップS14では、画素毎に色変換を行うため、変換対象としている画素の色が前記実験で求めた所定の色域(実験結果が顕著に現れる色)にあるか否かの判定を行う。所定の色域に含まれる色は、実験結果に基づくデータとして予め保有され、そのデータを参照することにより、画素の色が所定の色域内かどうかの判定を行うことができる。
所定の色域内の場合はステップS15に進む。ステップS15では、対象画素の色順応変換手法として詳細な色の見えモデルを使用した色順応変換を選択する。ステップS17では、対象画素について詳細な変換手法にて色順応変換を行う。すなわち、詳細な色の見えモデルを適用して色の見えを予測する。
一方、所定の色域外の場合、ステップS16に進む。ステップS16では、対象画素の色順応変換手法として簡易な色の見えモデルを使用した色順応変換を選択する。ステップS18では、対象画素について簡易な変換手法にて色順応変換を行う。すなわち、簡略化した色の見えモデルを使用して色の見えを予測する。これは、結果が顕著ではないので詳細な色の見えモデルで予測しなくても色の見えに対する影響は大きくないためである。
ステップS19では、全画素に対して色順応変換が終了したか否かを判定する。まだ、全画素について終了していない場合は、ステップS14に戻り処理を繰り返す。全画素について色順応変換が終了している場合はステップS20に進む。ステップS20では、変換後の画素値を画像データとして出力し、処理を終了する。
図10は、ステップS17の処理の詳細を示す図である。ステップS101では、ステップS11で取得した画像データから画素値XYZoriを得る。本実施の形態では、画像データはCIE 1931 XYZ表色系で表されているものとしているため、画像データから画素値XYZoriを直接得る。しかし、RGB表色系で表わされている画像データを取得する場合は、所定の変換式よりRGB表色系からXYZ表色系へ変換する。
ステップS102では、対象画素の背景輝度Ybを計算する。周囲10°視野の範囲(N pixel×N pixel)の輝度値平均ΣYi/N2を計算し、これをYbとする。Nは、前述したように、例えば9画素である。ステップS103では、ステップS12で設定された撮影時の視環境データに基づき、CIECAM02による色順応変換処理を行なう。具体的には、前記(CIECAM02の色の見えモデル)で説明した1〜13の処理を行う。
ステップS104では、ステップS13で設定された観察時の視環境データに基づき、CIECAM02による色順応逆変換処理を行なう。具体的には、前記(CIECAM02の色の見えモデル)で説明した1〜13の処理を13から順に逆の処理を行う。ステップS105では、変換後の画素値XYZestを得る。なお、RGB表色系で表わされている画像データを必要とする場合は、所定の変換式よりXYZ表色系からRGB表色系へ変換する。
図11は、ステップS18の処理の詳細を示す図である。ステップS201では、ステップS11で取得した画像データから画素値XYZoriを得る。本実施の形態では、前述したように、画像データはCIE 1931 XYZ表色系で表されているものとしているため、画像データから画素値XYZoriを直接得る。しかし、RGB表色系で表わされている画像データを取得する場合は、所定の変換式よりRGB表色系からXYZ表色系へ変換する。
ステップS202では、ステップS12で設定された撮影時の視環境データおよびステップS13で設定された観察時の視環境データに基づき、von Kriesの順応変換式による色順応変換を行なう。von Kriesの順応変換式は、前記(von Kriesの順応変換式)で説明した通りである。ステップS203では、変換後の画素値XYZestを得る。なお、RGB表色系で表わされている画像データを必要とする場合は、所定の変換式よりXYZ表色系からRGB表色系へ変換する。
以上により、本実施の形態の画像処理装置では、画像全体に詳細な色の見えモデルを適用するより処理時間が短くなり、かつ画像全体の色の見えは正確に予測することができる。
−第2の実施の形態−
第2の実施の形態は、色の見えモデルを選択する際、第1の実施の形態のようにして決めた色域で分類するのではなく輝度により分類することを特徴とするものである。なお、輝度も色域を決めるパラメータの1つであるので、輝度による分類も色域の分類という概念に含まれる。第2の実施の形態の画像処理装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、図1を参照することとしその説明を省略する。
図6は、第1の実施の形態で説明した実験と同様の色の見え実験を行った実験結果の一例である。図3に示す様な背景輝度の異なる2つのパッチ11、12のうち、左側の色パッチ13の色から、CIECAM02を用いて背景輝度がYbから任意のYb’に変化した場合の色の見え予測した結果を右側パッチ12の色パッチ14の色とする。右側のパッチ12の実際の背景輝度Yb’はCIECAM02に入力したYb'がどのような値であっても変えず、CIECAM02に適用する変換先背景輝度を正しくYb’として変換した結果を右側の色パッチ14にしたものと、CIECAM02に適用する変換先背景輝度を実際のパッチ12の背景輝度Yb’から変化させて色の見え予測した結果を右側の色パッチ14としたものを複数用意し、左右のパッチの色の見えが一致するものを選んでもらう実験を行う。
このような実験の結果の一例が図6である。図6の実験条件は、L*a*b*空間での色相角196度となり、輝度L*の異なる2組の色パッチ13に対して行った実験結果を表示している。この実験結果から、色相が同じ色でも、色パッチ13の輝度が高いと結果にばらつきが大きく、逆に色パッチ13の輝度が低いと顕著な結果が得られている。すなわち、図6の実線は、色相が同じでも輝度が低い場合は、多くの人がCIECAM02で予測した色の見えを選択することを示している。一方、図6の破線は、色相が同じでも輝度が高い場合は、CIECAM02で予測した色の見えを必ずしも多くの人が選択するとは言えないことを示している。言い換えれば、色相が同じでも輝度が低い色に対しては詳細な色の見えモデルで予測した方が色の見え予測が正しいが、色相が同じでも輝度が高い色に対しては簡略化した色の見えモデルで予測しても色の見えに影響は大きくない。
この実験を予め様々な色に対して行っておき、結果が顕著に現れる輝度の範囲を予め決め、データとして保有する。なお、輝度については、CIE XYZ色空間をCIE L*a*b*の色空間に変換し、L*を輝度データとして扱う。又は、実験はL*a*b*色空間で行い、L*の範囲を予め定め、CIE L*a*b*色空間からCIE XYZ色空間への変換を用いてYの範囲を定めれば、Yを輝度データとして扱ってもよい。
図7は、第2の実施の形態における処理のフローチャートを示す図である。第1の実施の形態の図5とは、ステップS21のみ異なるので、ステップS21を中心に以下説明し、その他のステップの説明は省略する。
ステップS21では、画素毎に色変換を行うため、対象としている画素の輝度が前記実験で求めた所定の閾値以下か否かの判定を行う。所定の閾値は、実験結果に基づくデータとして予め保有され、そのデータを参照することにより、画素の輝度が所定の閾値以下かどうかの判定を行うことができる。
画素の輝度が、所定の閾値以下である場合はステップS15に進む。ステップS15では、詳細な色の見えモデルを適用して色の見えを予測する。一方、画素の輝度が所定の閾値よりも大きい場合、ステップS16に進む。ステップS16では、簡略化した色の見えモデルを使用して色の見えを予測する。これは、結果が顕著ではないので詳細な色の見えモデルで予測しなくても色の見えに対する影響は大きくないためである。
以上により、本実施の形態の画像処理装置においても、第1の実施の形態と同様に、画像全体に詳細な色の見えモデルを適用するより処理時間が短くなり、かつ画像全体の色の見えは正確に予測することができる。
−第3の実施の形態−
第3の実施の形態は、色の見えモデルを選択する際、第2の実施の形態のように輝度で分類するのではなく、色相により分類することを特徴とするものである。なお、色相も色域を決めるパラメータの1つであるので、色相による分類も色域の分類という概念に含まれる。第3の実施の形態の画像処理装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、図1を参照することとしその説明を省略する。
図8は、第2の実施の形態で説明した実験と同様の色の見え実験を行った実験結果の一例である。図3に示す様な背景輝度の異なる2つのパッチ11、12のうち、左側の色パッチ13の色から、CIECAM02を用いて背景輝度がYbから任意のYb’に変化した場合の色の見え予測した結果を右側パッチ12の色パッチ14の色とする。右側のパッチ12の実際の背景輝度Yb’は、CIECAM02に入力したYb'がどのような値であっても変えず、CIECAM02に適用する変換先背景輝度を正しくYb’として変換した結果を右側の色パッチ14にしたものと、CIECAM02に適用する変換先背景輝度を実際のパッチ12の背景輝度Yb’から変化させて色の見え予測した結果を右側の色パッチ14としたものを複数用意し、左右のパッチの色の見えが一致するものを選んでもらう実験を行う。なお、本実施の形態では、左側の色パッチ13に異なる複数の色相の色を表示し、各色相の色ごとに上述の実験を行い、色相ごとに環境条件を変えて色変換を行なっても同じ色として見えるかどうかの頻度を求めている。
このような実験の結果が図8である。この実験結果から、輝度が同程度の色でも、例えばYellow〜Green系の色の場合、結果にばらつきが大きく、逆に例えばマジェンタの場合、はっきりとした結果が得られている。すなわち、図8の実線は、輝度が同程度の色でもマジェンタ系の場合は、多くの人がCIECAM02で予測した色の見えを選択することを示している。一方、図8の破線は、輝度が同程度の色でもYellow〜Green系の場合、CIECAM02で予測した色の見えを必ずしも多くの人が選択するとは言えないことを示している。言い換えれば、輝度が同程度の色でも色相がマジェンタ系の色に対しては詳細な色の見えモデルで予測した方が色の見え予測が正しいが、輝度が同程度の色でも色相がYellow〜Green系の色に対しては簡略化した色の見えモデルで予測しても色の見えに影響は大きくない。
この実験を予め様々な色に対して行っておき、結果が顕著に現れる色相範囲を予め決め、データとして保有する。なお、色相については、CIE XYZ色空間をCIE L*a*b*の色空間に変換し、a*、b*のデータを使用する。色相角h=tan-1(b*/a*)を使用してもよい。
図9は、第3の実施の形態における処理のフローチャートを示す図である。第1の実施の形態の図5とは、ステップS31のみ異なるので、ステップS31を中心に以下説明し、その他のステップの説明は省略する。
ステップS31では、画素毎に色変換を行うため、対象としている画素の色が前記実験で求めた所定の色相範囲内にあるか否かの判定を行う。所定の色相範囲は、実験結果に基づくデータとして予め保有され、そのデータを参照することにより、画素の色が所定の色相範囲内かどうかの判定を行うことができる。
所定の色相範囲内に色がある場合はステップS15に進む。ステップS15では、詳細な色の見えモデルを適用して色の見えを予測する。一方、所定の色相範囲外に色がある場合、ステップS16に進む。ステップS16では、簡略化した色の見えモデルを使用して色の見えを予測する。これは、結果が顕著ではないので詳細な色の見えモデルで予測しなくても色の見えに対する影響は大きくないためである。
以上により、本実施の形態の画像処理装置においても、画像全体に詳細な色の見えモデルを適用するより処理時間が短くなり、かつ画像全体の色の見えは正確に予測することができる。
−第4の実施の形態−
第1〜第3の実施の形態では、画素毎にどの変換手法を適用するか選択する例を説明した。しかし、第4の実施の形態では、画素毎に選択するのではなく、画像データにおいて複数の近傍画素を一つの領域として捉え、その領域毎にどちらの変換手法を適用するか選択する方法について説明する。すなわち、同一領域内では各画素の色の状態が変わったとしても同一手法で変換する。なお、第4の実施の形態の画像処理装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、図1を参照することとしその説明を省略する。
本実施の形態では、領域の分割は、エッジ抽出により抽出された複数の閉空間とその外側という分割方法を採用する。なお、隣接する画素の色差が近い場合同一領域と考え、色差が所定値以上離れた所で領域を分割するという方法でもよい。この場合、XYZ表色系をL*a*b*表色系に変換し、隣接する画素L1*a1*b1*、L2*a2*b2*の色差ΔEを以下の式より求める。また、その他の手法によるものでもよい。
ΔE=√((L2*-L1*)2+(a2*-a1*)2+(b2*-b1*)2))
図12は、本実施の形態において、画像を複数の領域に分割する例を説明する図である。まず、図12に示すような画像においてエッジ抽出を行う。エッジ抽出を行うと、エッジ抽出結果から7つの領域に分割できる。領域1は額縁の中の山の部分、領域2は額縁の枠、領域3は額縁の中の背景、領域4は人間の肌、領域5は洋服、領域6はテーブル、領域7は領域1〜6以外の背景である。
これら7つの領域について、夫々詳細な色順応変換法を適用するか簡単な色順応変換法を適用するかを決定する。この様に同一領域内の画素に対しては同一の変換法を選択することで、例えば領域4の顔の様に輝度の高い頬から輝度の低い顎まで輝度が連続的に分布している領域に対しても各画素の変換手法が同一に選択される。変換法の違いによる境界は被写体の輪郭と一致する為、変換法の違いによる境界が目立つなどの不自然さが現れなくなる。
分割した各領域に於いて、どちらの変換手法を選択するかは、分割した領域毎に代表する色を決定し、その色で領域内の全画素に適用する変換方法を選択する。この場合、領域を代表する色は、領域内全画素の色を平均した色を用いたり、境界部を除いた画素を平均した色や、領域の中心付近の所定数の画素数の色を平均した色を用いたりしても良い。ここで平均した色とは、測色値XYZの平均を用いても良いし、L*a*b*の平均でも良いし、他の表色系で平均した色を対象としても良い。
図13は、第4の実施の形態におけるパーソナルコンピュータ1が実行する処理のフローチャートを示す図である。撮影画像は図12を例に説明する。
ステップS41〜S43は、第1の実施の形態の図5のステップS11〜S13と同様であるので説明を省略する。ステップS44では、ステップS41で取得した画像データを解析し、画像内のエッジを抽出する。ステップS45では、ステップS44のエッジ抽出結果を使用して、複数の閉空間とその外側に撮影画像を領域分割する。図12の撮影画像の例では、撮影画像を領域1〜7の7つの領域に分割する。
ステップS46では、各領域について、領域内に含まれる境界付近を除いた全画素平均の色を算出し、その領域の代表色を決定する。ステップS47では、選択された領域の代表色が所定の色域にあるか否かの判定を行う。所定の色域とは、第1の実施の形態で説明した実験で求めた所定の色域(実験結果が顕著に現れる色)である。所定の色域に含まれる色は、実験結果に基づくデータとして予め保有され、そのデータを参照することにより、代表色が所定の色域内かどうかの判定を行うことができる。
所定の色域内の場合はステップS48に進む。ステップS48では、対象領域の色順応変換手法として詳細な色の見えモデルを使用した色順応変換を選択する。ステップS50では、対象領域内の各画素について詳細な変換手法にて色順応変換を行う。すなわち、詳細な色の見えモデルを適用して色の見えを予測する。ステップS52では、対象領域内の全画素について処理が終了したかどうかを判定する。処理が終了していない場合は、ステップS50に戻り処理を繰り返す。処理が終了している場合は、ステップS54に進む。
一方、所定の色域外の場合、ステップS49に進む。ステップS49では、対象領域の色順応変換手法として簡易な色の見えモデルを使用した色順応変換を選択する。ステップS51では、対象領域内の各画素について簡易な変換手法にて色順応変換を行う。すなわち、簡略化した色の見えモデルを使用して色の見えを予測する。これは、結果が顕著ではないので詳細な色の見えモデルで予測しなくても色の見えに対する影響は大きくないためである。ステップS53では、対象領域内の全画素について処理が終了したかどうかを判定する。処理が終了していない場合は、ステップS51に戻り処理を繰り返す。処理が終了している場合は、ステップS54に進む。
ステップS54では、全領域に対し色順応変換処理が終了したかどうかを判定する。処理が終了していない場合は、ステップS46に戻り処理を繰り返す。処理が終了している場合は、ステップS55に進む。ステップS55では、変換後の画素値を画像データとして出力し、処理を終了する。
ステップS50の詳細な色順応変換は、第1の実施の形態の図5のステップS17と同様にCIECAM02による色順応変換を採用する。従って、ステップS50の処理の詳細は、第1の実施の形態のCIECAM02よる色順応変換の説明を参照することとし、本実施の形態では説明を省略する。ステップS51の簡易な色順応変換は、第1の実施の形態の図5のステップS18と同様にvon Kriesによる色順応変換を採用する。従って、ステップS51の処理の詳細は、第1の実施の形態のvon Kriesによる色順応変換の説明を参照することとし、本実施の形態では説明を省略する。
なお、上記では、ステップS47において、選択された領域の代表色が所定の色域にあるか否かの判定を行う例を説明した。しかし、第2の実施の形態と同様に、選択された領域の代表色の輝度値が所定閾値以下か否かの判定を行うことにより、詳細な色順応変換を行なうか簡易な色順応変換を行なうかを決めるようにしてもよい。処理としては、図13のステップS47の処理を、領域の代表色の輝度値が所定閾値以下か否かの判定を行う処理に置き換えるだけであるので、図は省略する。また、輝度値の所定閾値は、第2の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。なお、代表色の輝度については、CIE XYZ色空間をCIE L*a*b*の色空間に変換し、L*を輝度データとして扱う。又は、実験で予め定めたL*の範囲からCIE XYZ色空間のYの範囲を定め、Yを輝度データとして扱ってもよい。
また、第3の実施の形態と同様に、選択された領域の代表色が所定の色相範囲内か否かの判定を行うことにより、詳細な色順応変換を行なうか簡易な色順応変換を行なうかを決めるようにしてもよい。処理としては、図13のステップS47の処理を、領域の代表色が所定の色相範囲内か否かの判定を行う処理に置き換えるだけであるので、図は省略する。また、所定の色相範囲は、第3の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
さらに、輝度値による判定と色相による判定を組み合わせるようにして判定するようにしてもよい。図14は、輝度値による判定と色相による判定を組み合わせた場合の処理の例を示す図である。図13のステップS47を、図14のステップS56とステップS57の処理に置き換える。他のステップは図13のステップと同様である。
図14において、ステップS46からステップS56に進む。ステップS56では、代表色の輝度値L*が所定の閾値(図14の場合は閾値=75)以下か否かを判定する。所定の閾値以下であればステップS57に進みさらに色相の判定を行い、所定の閾値より大きい場合はステップS49に進む。ステップS57では、代表色の色相が所定の色相範囲(図14の場合は青〜マジェンタ〜赤の範囲)内か否かの判定を行う。所定の色相範囲内であれば、ステップS48に進み、所定の色相範囲外であれば、ステップS49に進む。
すなわち、代表色の輝度値が所定の閾値以下であり、かつ、代表色の色相が所定の色相範囲内であれば詳細な色順応変換を行ない、それ以外は簡易な色順応変換を行なうようにするものである。代表色の輝度値が所定の閾値より大きい、あるいは、代表色の色相が所定の色相範囲外であるのいずれの一方だけであっても、詳細な色の見えモデルで予測しなくても色の見えに対する影響は大きくないためである。
−第5の実施の形態−
第4の実施の形態では、色順応変換手法を画素毎に選択するのではなく、画像データにおいて複数の近傍画素を一つの領域として捉え、その領域毎にどちらの変換手法を適用するか選択する方法について説明した。この場合、領域内の代表色を決めて処理する例を説明した。第5の実施の形態では、領域毎に変換手法を選択する場合の、別の選択方法を説明する。第5の実施の形態の画像処理装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、図1を参照することとしその説明を省略する。
図15は、第5の実施の形態におけるパーソナルコンピュータ1が実行する処理のフローチャートを示す図である。第4の実施の形態の図13の処理と同じ内容のステップには同じステップ番号を付し、その説明を省略する。具体的には、図13のステップS46とステップS47の代わりに、図15ではステップS66〜ステップS68が設けられている点が異なるのみである。以下、このステップS66〜ステップS68について説明する。
ステップS66では、選択された領域において、各画素の色が所定の色域内か否かを判定し、所定の色域内の画素の数をカウントする。ステップS67では、選択された領域において、全画素について判定を完了したか否かを判定する。判定が完了していない場合はステップS66に戻り処理を繰り返し、判定が完了している場合はステップS68へ進む。
ステップS68では、変換対象領域内において、所定の色域内にある画素数が、変換対象領域内の全画素数に対して所定割合以上か否かを判定する。所定の割合以上であればステップS48に進み詳細な色順応変換を行なう。所定の割合未満であればステップS49に進み簡易な色順応変換を行なう。
ここで、必ずしも変換対象領域内のすべての画素が所定の色域内にあるかないかを判定しなくてもよい。所定の色域内にある場合をカウントしていて、その値が所定の割合以上になった時点ですぐにステップS48に進むようにしてもよい。また、所定の色域内にある場合と所定の色域内にない場合の両方をカウントしていて、いずれか一方が所定の割合以上になると、その時点で所定の割合以上になった方に対応する側へ進むようにしてもよい。
このようにして、同一領域内の画素に対しては同一の変換法を選択することが可能となる。これにより、第4の実施の形態と同様に、決定された領域内で、変換法の違いによる境界が目立つなどの不自然さが現れなくなる。
なお、上記では、ステップS66において、選択された領域の各画素の色が所定の色域内か否かを判定し、所定の色域内の画素の数をカウントする例を説明した。しかし、第2の実施の形態と同様に、選択された領域の各画素の輝度値が所定閾値以下か否かの判定を行うようにしてもよい。処理としては、図15のステップS66の処理を、選択された領域において、各画素の輝度値が所定閾値以下か否かを判定し、所定閾値以下の画素の数をカウントする処理に置き換えるだけであるので、図は省略する。また、輝度値の所定閾値は、第2の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。代表色の輝度については、CIE XYZ色空間をCIE L*a*b*の色空間に変換し、L*を輝度データとして扱う。又は、実験で予め定めたL*の範囲からCIE XYZ色空間のYの範囲を定め、Yを輝度データとして扱ってもよい。
また、第3の実施の形態と同様に、選択された領域の各画素の色が所定の色相範囲内か否かを判定するようにしてもよい。処理としては、図15のステップS66の処理を、選択された領域の各画素の色が所定の色相範囲内か否かを判定し、所定の色相範囲内の画素の数をカウントする処理に置き換えるだけであるので、図は省略する。また、所定の色相範囲は、第3の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
さらに、第4の実施の形態の図14で説明したように、輝度値による判定と色相による判定を組み合わせるようにして判定するようにしてもよい。
−第6の実施の形態−
第1〜第5の実施の形態では、ある撮像条件で撮像された画像データを、照明に関する条件が撮像条件とは異なる観察条件に応じた色の見えを再現する画像データに変換する例を説明した。第6の実施の形態では、撮像された画像データを入力画像とするのではなく、ある観察条件で観察することを仮定して作成された画像データを入力画像として使用する方法について説明する。なお、第6の実施の形態の画像処理装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、図1を参照することとし省略する。
本実施の形態のパーソナルコンピュータ1は、第1の観察条件に基づいて作成された画像データを、人間の色順応特性を考慮して、照明に関する条件が第1の観察条件とは異なる第2の観察条件に応じた色の見えを再現する画像データに変換する。図17は、パーソナルコンピュータ1が処理する処理の基本的な流れを示す図である。
ステップS171では、例えばデジタルカメラやパーソナルコンピュータで、ある観察条件を仮定して作成された画像データCを取得する。画像データCは、上記第1〜第5の実施の形態で説明した変換処理(図5、7、9、13、15)と同等の処理で作成された画像であってもよいし、上記第1〜第5の実施の形態で説明した変換処理とは異なり、画像全体一つの色順応変換にて作成された画像でも良い。本実施の形態では、画像データCは、CIE 1931 XYZ表色系で表されているものとする。
ステップS172では、画像データCが作成された時に使用された観察条件を第1の観察条件として入力する。第1の観察条件は、画像データCに添付されているデータであってもよいし、パーソナルコンピュータ1のキーボードから適宜入力してもよい。
ステップS173では、所定の色の見えモデルを使用して、画像データCを第1の観察条件にも、出力画像(画像データD)の観察条件(第2の観察条件)にも依存しない色の見えデータに変換する。このとき、ステップS172で入力された第1の観察条件が、ステップS173の色の見えモデルの入力パラメータとして使用される。変換して得られたデータは、観察機器、および画像データCの観察条件や画像データDの観察条件に依存しない色の見えデータとして表現されている。
ステップS174は、第1の実施の形態の図2のステップS4と同様であるので説明を省略する。
ステップS175では、ステップS173で取得された、画像データCや画像データDのいずれの観察用機器や観察条件に依存しない色の見えデータに対して、ステップS173と同じ色の見えモデルを適用する。ただし、ステップS173のときとは逆の変換をしていく。このとき、ステップS174で入力された画像データDの観察条件が、ステップS175の色の見えモデルの入力パラメータとして使用される。そして、ステップS176では、画像データDの観察条件に応じた色の見えを再現する画像データを取得する。なお、画像データDは、CIE 1931 XYZ表色系で表された画像データである。
前述した第1の観察条件とは、画像データC作成時に使用された、画像データC観察に使用する機器や周囲観察環境の照明に関する条件である。第2の観察条件とは、画像データD観察に使用する機器や周囲観察環境の照明に関する条件である。これら、第1の観察条件や第2の観察条件は、照明光源の輝度や白色点、周囲の明るさなど、見えに影響を与える視野とその周辺の環境、すなわち視環境に関する条件である。
本実施の形態では、第1の実施の形態同様、ステップS173およびステップS175において適用する色の見えモデルに特徴を有する。すなわち、画像データCのうち、所定の条件を満たすデータについてのみCIECAM02の色の見えモデルを適用し、所定の条件を満たさないデータについてはCIECAM02より処理が軽い簡略な色の見えモデルを適用することとした。
図18は、第6の実施の形態におけるパーソナルコンピュータ1が実行する処理のフローチャートを示す図である。
ステップS111では、第1の観察条件で観察されることを仮定して作成された第1の画像データを取得する。ステップS112では、取得した画像データから第1の観察条件を読み込み、第1の観察条件として設定する。画像データに第1の観察条件に関するデータが無い場合はsRGB標準視環境を第1の観察条件として設定する。
ステップS113では、実際の画像観察時の視環境を読み込み、第2の観察条件として設定する。モニタで観察する場合には、観察視環境として、標準視環境であるsRGB環境を読み込んだり、ユーザ(観察者)のキーボード操作により入力された値を使用する。
ステップS114では、第1の観察条件と第2の観察条件が同等か否かを判断し、同等であれば、ステップS122に進み、処理を行わずに入力画像をそのまま出力する。一方ステップS114で否定された場合は、ステップS115に進む。ステップS115〜S121の処理は、第1の実施の形態の図5のステップS14〜S20と同様であるので説明を省略する。なお、ステップS17、S18の処理を示す図10、11において、撮像視環境を第1の観察条件、観察視環境を第2の視環境に読み替える。
なお、上記では、ステップS114において、変換対象がその色が所定の色域にあるか否かの判定を行う例を説明した。しかし、第2の実施の形態と同様に、変換対象画素の輝度値が所定閾値以下か否かの判定をおこなうことにより、詳細な色順応変換を行うか簡易な色順応変換を行うかを決める様にしてもよい。処理としては、図18のステップS115の処理を、変換対象画素の輝度値が所定閾値以下か否かの判定を行う処理に置き換えるだけであるので、図は省略する。また、輝度値の所定閾値は、第2の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。なお、輝度については、CIE XYZ色空間をCIE L*a*b*の色空間に変換し、L*を輝度データとして扱う。または、実験で予め定めたL*の範囲からCIE XYZ色空間のYの範囲を定め、Yを輝度データとして扱ってもよい。
また第3の実施の形態と同様に、変換対象画素の色が所定の色相範囲内か否かを判定する様にしてもよい。処理としては、図18のステップS115の処理を、変換対象画素の色が所定の色相範囲内か否かの判定を行う処理に置き換えるだけであるので、図は省略する。また所定の色相範囲は、第3の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
さらに、第4の実施の形態の図14で説明したように、輝度値による判定と色相による判定を組み合わせるようにして判定する様にしても良い。
さらに、第4、第5の実施の形態と同様に、画像データにおいて複数の近傍画素を一つの領域として捉え、その領域毎にどちらの変換手法を選択するか選択してもよい。第4の実施の形態と同様に、領域内の代表色を決めて処理する場合のフローチャートを図19に示す。ステップS141〜S144は、図18のステップS111〜S114と同様であるので説明を省略する。ステップS144にて判定が肯定された場合、ステップS157に進む。ステップS157は図18のステップS122と同様である。ステップS144にて判定が否定された場合、ステップS145に進む。ステップS145〜S156の処理は、第4の実施の形態の図13のステップS44〜S55と同様であるので説明を省略する。
第5の実施の形態と同様に、変換対象領域において所定色域内の画素の割合を用いて処理する場合のフローチャートを図20に示す。ステップS141〜S144は、図18のステップS111〜S114と同様であるので説明を省略する。ステップS144にて判定が肯定された場合、ステップS157に進む。ステップS157は図18のステップS122と同様である。ステップS144にて判定が否定された場合、ステップS145に進む。ステップS145〜S146、ステップS167〜S169、およびステップS149〜S156の処理は、第5の実施の形態の図15のステップS44〜S45、ステップS66〜S68、およびステップS48〜S55と同様であるので説明を省略する。
第4、第5の実施の形態と同様に、画像データにおいて複数の近傍画素を一つの領域として捉え、その領域毎にどちらの変換手法を選択するか選択する場合にも、変換手法の選択は、第2の実施の形態と同様に、変換対象領域の各画素や領域の代表色の輝度値が所定閾値以下か否かを判定し、その判定結果を用いてもよい。処理としては、図19のステップS148の処理を、代表色の輝度値は所定閾値以下か否かの判定に置き換える、および図20のステップS167の処理を、対象領域において各画素の輝度値は所定閾値以下か否かを判定し、所定閾値以下の画素数をカウントする処理に置き換えるだけである。また第3の実施の形態と同様に、変換対象領域の各画素や領域の代表色の色相が所定色相範囲内か否かを判定し、その判定結果を用いてもよい。処理としては、図19のステップS148の処理を、代表色の色相は所定範囲内か否かの判定に置き換える、および図20のステップS167の処理を、対象領域において各画素の色相は所定範囲内以下か否かを判定し、所定色相範囲内の画素数をカウントする処理に置き換えるだけである。
さらに、第4の実施の形態の図14で説明したように、輝度値による判定と色相による判定を組み合わせるようにして判定する様にしても良い。
−変形例1−
上記第1〜第6の実施の形態では、用いる色の見えモデルは、詳細な色の見えモデルか簡略化した色の見えモデルかの二者択一として説明した。しかし、第1〜第6の実施の形態に示したような条件を複数組み合わせて、複数の簡略化モデルを使い分けてもよい。
−変形例2−
上記第1〜第6の実施の形態では、簡略化した色の見えモデルは、von Kriesの順応変換式による色の見えモデルとした。しかし、簡略化した色の見えモデルをCIECAM02の一部の計算を省略したものとしてもよい。例えば、順方向変換の13ステップ、及びその逆変換のうち一部のステップを省略したものとしてもよい。
−変形例3−
上記第1の実施の形態において、背景輝度Ybは、2度視野の刺激値の周囲10度視野の輝度として定義されているが、この背景輝度を決定する際、各画素毎に10度視野相当に入る周囲画素から背景輝度を求めると、多大な処理時間が必要になる。そこで、本変形例では、第1の実施の形態で説明した実験と同様の色の見え実験を行い、予め背景輝度の変化に色の見えが敏感な色を色域で分け、そのデータを保有しておく。
ある画素の色がこの色域内にある場合には、画素毎に背景輝度を正確に計算して色の見えモデルに適用した方が正しい色の見え予測が得られるが、それ以外の場合には、予め定めた固定値の背景輝度を適用しても色の見えに影響は大きくない。予め定めた背景輝度は、例えば画像全体の平均輝度を用いるなどが考えられる。一般的に画像の平均輝度値は20%程度(18%グレーに基づく)になることが多い為、簡易な変換方法では背景輝度の固定値として例えば20%を採用する。すなわち、Yw=100とするとYb=20とする。
従って、本変形例では、第1の実施の形態の図5のフローチャートのステップS17の詳細な色の見えモデル、および、ステップS18の簡略化した色の見えモデルともに同一の色の見えモデルであるCIECAM02を使用する。そして、ステップS18の簡略化した色の見えモデルでは、背景輝度を予め定めた固定値としたCIECAM02の色の見えモデルとする。すなわち、対象としている画素の色が上述した所定の色域内の場合は、各画素毎に背景輝度を正確に計算してCIECAM02のパラメータに設定し、色の見えを予測する。所定の色域外の場合は、前記予め定めた背景輝度をCIECAM02のパラメータに設定し、色の見えを予測する。
このようにすれば、背景輝度計算を全ての画素毎に算出する必要がなく、処理時間が短くなり、かつ色の見えは正確に予測することができる。
−変形例4−
上記第2の実施の形態の図7のフローチャートにおいて、ステップS18の簡略化した色の見えモデルを、変形例3のように背景輝度を予め定めた固定値としたCIECAM02の色の見えモデルとしてもよい。
この場合、予め背景輝度が変化すると色の見えに影響が大きい輝度の範囲を第2の実施の形態で説明したような色の見え実験で決定しておく。例えば背景輝度が変化した場合に色の見えに影響が大きい輝度の範囲が、変換前の色パッチにおいてCIE L*a*b*のL*≦80と決定したとする。L*≦80の画素については、各画素毎に背景輝度を正確に計算して色の見えモデルに適用しないと正しい色の見えを再現できないが、L*>80に対しては画素によらず予め定めた固定値の背景輝度を適用しても色の見えに影響はない。
図7のフローチャートのステップS21では、対象としている画素の輝度が前記実験で求めた所定の範囲内(CIE L*a*b*のL*≦80)にあるか否かの判定を行う。そして、所定の範囲内の場合は、各画素毎に背景輝度を正確に計算してCIECAM02のパラメータに設定し、色の見えを予測する。輝度が所定の範囲外の場合は、前記予め定めた固定値の背景輝度をCIECAM02のパラメータに設定し、色の見えを予測する。なお、輝度については、CIE XYZ色空間をCIE L*a*b*の色空間に変換し、L*を輝度データとして扱う例で説明したが、実験で定めたL*の範囲からCIE XYZ色空間のYの範囲を定め、Yを輝度データとして扱ってもよい。
このようにすれば、背景輝度計算を全ての画素毎に算出する必要がなく、処理時間が短くなり、かつ色の見えは正確に予測することができる。
−変形例5−
上記第3の実施の形態の図9のフローチャートにおいて、ステップS18の簡略化した色の見えモデルを、変形例3のように背景輝度を予め定めた固定値としたCIECAM02の色の見えモデルとしてもよい。
この場合、予め背景輝度が変化すると色の見えに影響が大きい色相を第3の実施の形態で説明したような色の見え実験で決定しておく。例えば、背景輝度が変化すると色の見えに影響が大きい色相が、CIE L*a*b*のa*>=0若しくはa*<0かつb*<0の範囲と決定したとする。a*>=0若しくはa*<0かつb*<0の範囲の画素については、各画素毎に背景輝度を正確に計算して色の見えモデルに適用した方が正しい色の見え予測が得られるが、a*<0かつb*>=0に対しては画素によらず予め定めた固定値の背景輝度を適用しても色の見えに影響しない。
図9のフローチャートのステップS31では、対象としている領域の色が前記実験で求めた所定の色相内(CIE L*a*b*空間でa*>=0若しくはa*<0かつb*<0の範囲)にあるか否かの判定を行う。そして、所定の色相内の場合は、各画素毎に背景輝度を正確に計算してCIECAM02のパラメータに設定し、色の見えを予測する。所定の色相外の色の場合は、前記予め定めた背景輝度をCIECAM02のパラメータに設定し、色の見えを予測する。なお、色相については、CIE XYZ色空間をCIE L*a*b*の色空間に変換し、上記の通りa*、b*のデータ、もしくは、色相角h=tan-1(b*/a*)のデータを使用して判断する。
このようにすれば、背景輝度計算を全ての画素毎に算出する必要がなく、処理時間が短くなり、かつ色の見えは正確に予測することができる。
−その他の変形例−
上記第4の実施の形態の図13のフローチャート、および、第5の実施の形態の図15のフローチャートにおいて、ステップS51の簡略化した色の見えモデルを、変形例3のように背景輝度を予め定めた固定値としたCIECAM02の色の見えモデルとしてもよい。
また、上記第6の実施の形態の図18のフローチャートにおいて、ステップS119の簡略化した色の見えモデルを、変形例3のように背景輝度を予め定めた固定値としたCIECAM02の色の見えモデルとしてもよい。また図19、および図20のフローチャートにおいて、ステップS152の簡略化した色の見えモデルを、変形例3のように背景輝度を予め定めた固定値としたCIECAM02の色の見えモデルとしてもよい。
上記の実施の形態では、詳細な色の見えモデルとしてCIECAM02を採用する例を説明したが、他の色の見えモデルであってもよい。例えば、CIECAM02の旧モデルであるCIECAM97sや、Fairchildのモデルや、その他のモデルなどであったりしてもよい。一方、簡易な色の見えモデルとしてvon Kriesの順応変換式を採用する例を説明したが、他の簡易な手法により変換手法であってもよい。すなわち、変換対象画素の状態に応じて詳細な手法と簡易な手法を適宜使い分けることができるのであれば、どのような手法の組み合わせであってもよい。
上記の実施の形態では、変換対象画像データおよび変換後の画像データともに、CIE 1931 XYZ表色系で表されている例で説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。他の表色系であってもよい。
上記の第1の実施の形態では変換対象画素の色が所定の色域内か否かにより色順応変換手法を選択する例を説明した。第2の実施の形態では変換対象画素の輝度が所定の閾値以下か否かにより色順応変換手法を選択する例を説明した。第3の実施の形態では変換対象画素の色が所定の色相範囲内か否かにより色順応変換手法を選択する例を説明した。さらに、変換対象画素の色が所定の彩度の範囲内か否かにより色順応変換手法を選択するようにしてもよい。また、第4の実施の形態や第5の実施の形態のように、画像を領域分割して領域毎に変換手法を選択する場合に、変換対象領域の代表色や、変換対象領域の各画素の色が所定の彩度の範囲内か否かにより色順応変換手法を選択するようにしてもよい。また第6の実施の形態の様に、入力画像として第1の観察条件で観察することを仮定して作成された画像を使用し、実際の観察条件である第2の観察条件で観察した時の色の見えに変換する場合に、色順応変換手法の選択に使用する変換対象画素の色や変換対象領域の代表色、もしくは変換対象領域の各画素の色が、所定の彩度の範囲内か否かにより色順応変換手法を選択する様にしてもよい。彩度については、CIE XYZ色空間をCIE L*a*b*の色空間に変換し、彩度C=√(a*2+b*2)の値の大きさで判断する。
本実施の形態における色域とは、ある条件を満足する色のかたまりあるいは範囲を言う。色を表すパラメータの1種としては、輝度、色相、彩度がある。従って、輝度、色相、彩度のいずれか1つのパラメータあるいはそれらを任意に組み合わせたパラメータにより特定される範囲もある色域を決めることになる。すなわち、輝度のみにより特定される範囲も、色相のみにより特定される範囲も、彩度のみにより特定される範囲も、いずれかの組み合わせで特定される範囲もすべて本実施の形態でいう色域と言える。また、XYZ表色系、RGB表色系、L*a*b*表色系などによって特定される色の範囲も色域を特定していることになる。これらの表色系では、3つの成分(座標)で特定される範囲だけに限らず、1つの成分(座標)だけで特定される範囲も、いずれか2つの成分(座標)で特定される範囲も色域を特定していることになる。
上記の実施の形態では、デジタルカメラ等で撮影した画像データをパーソナルコンピュータ1で処理する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。カメラ内で上記の処理をすべて行うようにしてもよい。その場合、カメラ内に設けられたメモリに上記説明したプログラムをインストールし、カメラ内のCPUがプログラムを実行する。
図16は、カメラで実施する場合のそのデジタルカメラ(電子カメラ)100の構成を示す図である。CCDなどの撮像素子103は、撮影レンズ102を介して被写体101を撮像する。制御装置104は、撮像素子103からの出力信号に基づき画像データを生成し、所定の処理を行ってメモリカードなどのメモリ105に格納する。制御装置104は、メモリ105に格納された画像データを読み出して、デジタルカメラ100に設けられた内部モニタ106に、あるいはデジタルカメラ100からケーブルを介して接続した外部モニタに画像を表示する。このとき、制御装置104は、上記実施の形態で説明した変換処理(図5、7、9、13、15)と同等の処理を行いながら内部モニタ106や外部モニタ107に画像を表示する。撮像条件は、撮像時に取得し画像データの一部としてメモリ105に格納されたデータを使用する。観察条件は、内部モニタ106に表示する場合は、予め設定されている内部モニタ106のデバイス特性(白色点や輝度)を使用する。また、外部モニタ107に表示する場合は、sRGB標準視環境を使用する。ユーザ(観察者)が、デジタルカメラ100のメニュー画面を使用して、内部モニタ106を使用する場合や外部モニタ107を使用する場合に応じて適宜入力ようにしてもよい。
尚、JPEGの様な汎用のファイルフォーマットでメモリ105に格納する場合には、撮像条件として、撮像時に取得した撮像条件データを使用し、観察条件として、sRGB標準視環境を使用し、上記第1〜第5の実施の形態で説明した変換処理(図5、7、9、13、15)と同等の処理を行う。その処理済み画像を格納してもよい。この場合、変換処理済みを示すフラグと、変換処理に使用した条件も画像データに付記しておく。
この様な処理済み画像データを、実際にパーソナルコンピュータやデジタルカメラ100に接続された画像出力装置(モニタやプリンタ等)で出力して、出力画像を観察する場合には、上記第6の実施の形態で説明した変換処理(図18、19、20)と同等の処理を、パーソナルコンピュータやデジタルカメラ100内部で行ってから画像を出力する。このとき、撮像条件は、変換処理で使用した観察条件を使用する。なお、観察条件は、実際の観察条件をユーザ(観察者)が、パーソナルコンピュータに接続されたキーボードやデジタルカメラ100のメニュー画面を使用して適宜入力する。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2005年第202823号(2005年7月12日出願)

Claims (22)

  1. ある撮像条件で撮像された第1の画像データを、観察条件に応じた色の見えを再現する第2の画像データに変換する画像処理装置であって、
    前記撮像条件で撮像された第1の画像データを取得する画像データ取得部と、
    前記取得された第1の画像データを、画素単位に、前記撮像条件と前記観察条件とに基づき、色順応を考慮した第1の手法により前記第2の画像データに変換する第1の変換部と、
    前記取得された第1の画像データを、画素単位に、前記撮像条件と前記観察条件とに基づき、前記第1の手法より簡易であって色順応を考慮した第2の手法により前記第2の画像データに変換する第2の変換部と、
    前記第1の画像データの変換対象画素の色、又は所定の条件に応じて前記画像を複数の領域に分割したときに前記変換対象画素が属する領域の画素の色から決定する代表色に応じて、前記第1の変換部および前記第2の変換部のいずれかを選択するように制御する制御部とを備える。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記制御部は、前記第1の画像データの変換対象画素の色が所定の色域内のとき前記第1の変換部を選択し、前記第1の画像データの変換対象画素の色が前記所定の色域内でないとき前記第2の変換部を選択するように制御する。
  3. 請求項2に記載の画像処理装置において、
    前記所定の色域は、所定の輝度範囲あるいは所定の色相範囲を含む。
  4. 請求項2または3に記載の画像処理装置において、
    画像内における変換対象画素背景輝度、および、前記撮像条件と前記観察条件の違いの少なくともいずれかの影響を受けて、元の色に対して同じでない特定の色を多くの人が色の見えが一致するとして選ぶ該元の色の集まりを前記所定の色域として保有する色域記憶部をさらに備え、
    前記制御部は、前記色域記憶部を参照して、前記第1の画像データの変換対象画素の色が前記所定の色域内にあるかどうかを判断する。
  5. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記制御部は、前記第1の画像データを複数の領域に分割し、分割された各領域に含まれる画素のに応じて、領域毎に前記第1の変換部および前記第2の変換部のいずれかを選択し、同一領域内の各画素は前記領域毎に選択された同一変換部を選択するように制御する。
  6. 請求項5に記載の画像処理装置において、
    前記制御部は、前記第1の画像データの変換対象領域に含まれる全画素のうち、各画素の色が所定の色域内にある画素数の割合が所定割合以上のとき前記第1の変換部を選択し、各画素の色が前記所定の色域内にある画素数の割合が前記所定割合未満のとき前記第2の変換部を選択するように制御する。
  7. 請求項6に記載の画像処理装置において、
    前記所定の色域は、所定の輝度範囲あるいは所定の色相範囲を含む。
  8. 請求項6または7に記載の画像処理装置において、
    画像内における変換対象画素背景輝度、および、前記撮像条件と前記観察条件の違いの少なくともいずれかの影響を受けて、元の色に対して同じでない特定の色を多くの人が色の見えが一致するとして選ぶ該元の色の集まりを前記所定の色域として保有する色域記憶部をさらに備え、
    前記制御部は、前記色域記憶部を参照して、前記第1の画像データの変換対象領域に含まれる各画素の色が前記所定の色域内にあるかどうかを判断する。
  9. 請求項5に記載の画像処理装置において、
    前記制御部は、前記第1の画像データの変換対象領域を代表する色が所定の色域内にあるとき前記第1の変換部を選択し、前記第1の画像データの変換対象領域を代表する色が前記所定の色域内でないとき前記第2の変換部を選択するように制御する。
  10. 請求項9に記載の画像処理装置において、
    前記所定の色域は、所定の輝度範囲あるいは所定の色相範囲を含む。
  11. 請求項9または10に記載の画像処理装置において、
    画像内における変換対象画素背景輝度、および、前記撮像条件と前記観察条件の違いの少なくともいずれかの影響を受けて、元の色に対して同じでない特定の色を多くの人が色の見えが一致するとして選ぶ該元の色の集まりを前記所定の色域として保有する色域記憶部をさらに備え、
    前記制御部は、前記色域記憶部を参照して、前記第1の画像データの変換対象領域を代表する色が前記所定の色域内にあるかどうかを判断する。
  12. 請求項9から11のいずれかに記載の画像処理装置において、
    前記変換対象領域を代表する色は、前記変換対象領域に含まれる全画素、もしくは所定割合数以上の画素の色を平均した色とする。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の画像処理装置において、
    前記第1の手法および第2の手法ともに、同一の色の見えモデルによる手法であり、前記第2の手法は、前記色の見えモデルから所定の演算を省略したものである。
  14. 請求項1から12のいずれかに記載の画像処理装置において、
    前記第2の手法は、四則演算のみで変換できる手法である。
  15. 請求項1から12のいずれかに記載の画像処理装置において、
    前記第1の手法および前記第2の手法ともに、前記変換対象画素の背景輝度を考慮して変換する手法であり、前記第1の手法は前記変換対象画素の背景輝度を周辺の画素の輝度に基づき演算し、前記第2の手法は前記変換対象画素の背景輝度を所定の固定値とする。
  16. 請求項13または15に記載の画像処理装置において、
    前記第1の手法および前記第2の手法ともに、CIECAM02の色の見えモデルによる手法である。
  17. 請求項1から12、14のいずれかに記載の画像処理装置において、
    前記第1の手法はCIECAM02の色の見えモデルによる手法であり、前記第2の手法はvon Kriesの順応変換式による手法である。
  18. 第1の観察条件に基づいて作成された第1の画像データを、第1の観察条件とは異なる第2の観察条件に応じた色の見えを再現する第2の画像データに変換する画像処理装置であって、
    前記第1の観察条件に基づいて作成された第1の画像データを取得する画像データ取得部と、
    前記取得された第1の画像データを、画素単位に、前記第1の観察条件と前記第2の観察条件とに基づき、色順応を考慮した第1の手法により前記第2の画像データに変換する第1の変換部と、
    前記取得された第1の画像データを、画素単位に、前記第1の観察条件と前記第2の観察条件とに基づき、前記第1の手法より簡易であって色順応を考慮した第2の手法により前記第2の画像データに変換する第2の変換部と、
    前記第1の画像データの変換対象画素の色、又は所定の条件に応じて前記画像を複数の領域に分割したときに前記変換対象画素が属する領域の画素の色から決定する代表色に応じて、前記第1の変換部および前記第2の変換部のいずれかを選択するように制御する制御部とを備える。
  19. 請求項1から18のいずれかに記載の画像処理装置の機能をコンピュータに実現させる画像処理プログラム。
  20. ある撮像条件で撮像された第1の画像データを、観察条件に応じた色の見えを再現する第2の画像データに変換する画像処理方法であって、
    前記撮像条件で撮像された第1の画像データを取得し、
    前記取得された第1の画像データを、前記撮像条件と前記観察条件とに基づき、画素単位に前記第2の画像データに変換するとき、前記第1の画像データの変換対象画素の色、又は所定の条件に応じて前記画像を複数の領域に分割したときに前記変換対象画素が属する領域の画素の色から決定する代表色に応じて、色順応を考慮した第1の手法および前記第1の手法より簡易な色順応を考慮した第2の手法を使い分ける。
  21. 請求項20に記載の画像処理方法において、
    さらに、前記第1の画像データを複数の領域に分割し、
    前記取得された第1の画像データを、前記撮像条件と前記観察条件とに基づき、画素単位に前記第2の画像データに変換するとき、前記各領域に含まれる画素のに応じて、領域毎に色順応を考慮した第1の手法および前記第1の手法より簡易な色順応を考慮した第2の手法を使い分ける。
  22. 第1の観察条件に基づいて作成された第1の画像データを、第1の観察条件とは異なる第2の観察条件に応じた色の見えを再現する第2の画像データに変換する画像処理方法であって、
    前記第1の観察条件に基づいて作成された第1の画像データを取得し、
    前記取得された第1の画像データを、前記第1の観察条件と前記第2の観察条件とに基づき、画素単位に、前記第2の画像データに変換するとき、前記第1の画像データの変換対象画素の色、又は所定の条件に応じて前記画像を複数の領域に分割したときに前記変換対象画素が属する領域の画素の色から決定する代表色に応じて、色順応を考慮した第1の手法および前記第1の手法より簡易な色順応を考慮した第2の手法を使い分ける。
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