JP4882323B2 - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ベンゾグアナミン樹脂を含有する水性塗料組成物に関する。詳しくは、本発明の水性塗料組成物は、塗布され、高温にて焼き付け硬化される際のヒューム(焼き付け時に揮発する低分子量樹脂であり、オーブンの内壁、被塗物の内側等を汚染する原因物質)の発生を低減することのできる水性塗料組成物に関する。さらに詳しくは、本発明の水性塗料組成物は金属缶もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶用外面塗料に好適に用いられ、高速搬送時の耐傷つき性に優れる被塗物を得ることができる。
従来、熱硬化性塗料には、硬化剤として、メラミン、ベンゾグアナミンなどにホルマリンを付加し、さらにその一部を縮合反応し、その後生成したN−メチロール基をアルコールでエーテル化して得られるアミノ樹脂が使用されている。近年、環境保護の観点から、塗装焼き付け工程中に排出される有機溶剤の低減が要求され塗料の水性化が進行し、さらに省資源、生産性アップの観点より高温短時間焼き付け化が進んでいる。
高温で焼き付けされる際には、有機溶剤のほかに同時に塗料組成物中の低分子量樹脂成分が揮発してヒューム化し、オーブンの内部等を汚染してしまい、更には従来の有機溶剤の処理のみを考慮して設計されているオーブンの排ガス処理設備では対応できず、オーブンやそれに付随する排ガス処理設備のメンテナンスに多大の設備投資費用や労力が費やされているという現状がある。
従来の有機溶剤のみを使用した溶剤型塗料であれば、この問題解決手段として樹脂の高分子量化により解決していたが、有機溶剤を全く含有しないか、あるいは少量含有される水性塗料においては、塗料の硬化剤として用いられるアミノ樹脂は、水性媒体との親和性を考慮して、一核体を主成分とする、平均分子量の小さい樹脂が使用されるためにヒュームが多く発生してしまうのが現状である。
更には、近年、環境ホルモン等の衛生性の問題が大きな社会現象になっており、製缶用塗料においては飲料缶内面塗料から抽出される抽出物に大きな関心が集まっているが、飲料缶外面側塗料焼き付け時に、外面塗料より揮発したヒュームは通常は粘稠なものはオーブン等の設備内に付着していくが、設備に付着しない、或いは設備内壁面より脱落した粉状のヒュームがオーブン内を舞って飲料缶内面側に付着するという問題も、衛生面で内在する問題となっている。
特許文献1、特許文献2に見られる様な手段として、スピログアナミンのようなトリアジン環が2つ連なった構造を有する樹脂を使用する手法もあるが、ヒューム抑制効果は多少見られるものの非常に高価なものであるため経済的に不利である。
また、特許文献3、特許文献4の様にアミノ樹脂にアクリル単量体等を重合させていき、アミノ樹脂の低分子量物を低減するという方法も提案されているが、この方法では樹脂の過剰な高分子量化を引き起こし、塗装適性不良につながる。
以上のような手段では、アミノ樹脂自体の高分子量化によりヒューム量を低減する効果のみを求めており、ヒュームの性状(オーブン内に舞い易く、飲料缶内面側を汚染しやすい粉状)については解決されていない。
また、従来より清涼飲料水を収容する飲料缶で塗料が使用される場合、外面側は缶材の腐食を防止し、美的商品価値を高め、かつ殺菌処理時の処理工程に耐え得る塗膜が必要とされてきた。
近年、様々な形態の飲料缶が出現するようになった。例えば、意匠性を目的として缶胴部にダイヤカット形状に凹凸の加工を施しキラキラ光をアピールした缶や、縦、横、斜め等にビード加工を施しストライプ感をイメージさせた缶や、ロゴ等をエンボス加工した異形缶等の出現である。従来の飲料缶は、缶胴塗膜面は平坦であり、飲料缶搬送時は面対面の面々接触であったが、前記の様な缶胴部に加工を施してある異形缶であると面対点および点対点接触となっており、缶同士の接触により塗膜がより傷つきやすくなってきている。
そのために、高速搬送時にこれまで以上の耐傷つき性が必要とされ、更には、飲料缶の流通が発達し、内容物が充填されレトルト処理等の殺菌処理がなされた後、飲料缶が長距離に渡って運搬されるようになり、ケース内で飲料缶同士が接触して長時間に渡って摩擦しあい、塗膜表面が傷つき、外観意匠性を損なうというトラブルの発生低減が求められていた。
更に、缶飲料製造工程(缶製造から内容物充填、ダンボールケース収納に至るまで)の高速化に伴い、様々な工程ラインでの高速搬送を満足するために、飲料缶外面用仕上げニス塗膜には高い滑り性が要求されている。
この課題解決手段として、100℃以下程度の融点を有する固形および半固形ワックスを使用し、塗膜表面の動摩擦係数を下げることにより課題解決を行っているのが現状である。しかし、この手段では、搬送ラインのガイドを、含有されるワックスで汚してしまったり、殺菌処理工程において塗膜から脱落するワックスで殺菌設備や殺菌処理水を汚染してしまう現状がある。即ち、このガイド汚れ、殺菌設備汚染、殺菌処理水汚染に対し、メンテナンス、設備投資等に多大な費用や労力が費やされている現状がある。
特開平2−283773号公報 特開平2−283774号公報 特開平7−41525号公報 特開平10−204142号公報
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、高温にて焼き付けされた場合に、ベンゾグアナミン樹脂より由来するヒュームの発生が低減でき衛生性に優れ、缶高速搬送ラインのガイド汚染、殺菌処理設備および処理水汚染を引き起こしにくく、更には、優れた高速耐傷つき性を有する塗膜を得ることができる、金属缶もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶用外面塗料として好適な水性塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、硬化剤として使用するベンゾグアナミン樹脂中の一核体の分子種成分に着目することによって、高温での焼きつけ時に発生するヒューム量を低減し、かつ被塗物の内面側に付着しにくい性状とさせ、更には、特定のモノマー組成のアクリル系共重合体を含有する水性塗料組成物が優れた耐傷つき性を有する硬化塗膜を与えることを見出した。更に、ワックス成分を除いた硬化塗膜のtanδの極大値を示す温度が特定の温度範囲内にあれば、ワックスを含有する塗料組成物であっても優れた耐ワックス汚染性を有する被塗物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ベンゾグアナミンのアミノ基にホルムアルデヒドを付加し、さらにその一部を縮合反応してなるN−メチロール基を有するベンゾグアナミン樹脂(a)のN−メチロール基の一部をアルコールでエーテル化してなる、N−メチロール基とN−アルコキシメチル基とをするベンゾグアナミン樹脂(b)であって、一核体を40〜80重量%及び二核体以上の多核体を20〜60重量%含有し、前記一核体中に生成したN−メチロール基の数をm、該N−メチロール基から誘導されたN−アルコキシメチル基の数をnとした場合に、前記一核体中の分子種(m、n)=(0、0)、(1、0)、(1、1)及び(4,4)の合計が15重量%以下であるベンゾグアナミン樹脂(b)25〜65重量%、下記(i)〜(iii)を共重合してなるアクリル系共重合体(c)35〜75重量%(但し、(b)と(c)との合計を100重量%とする)、及び融点30〜100℃のワックスを前記(b)と(c)との合計100重量部に対して0.1〜2重量部含有することを特徴とする水性塗料組成物に関する。
(i)N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアマイド:15〜50重量%
(ii)α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸:1〜10重量%
(iii)上記(i)、(ii)と共重合可能な(メタ)アクリレート系モノマー及び/又はビニル系モノマーであり、(iii)中のモノマーのみで共重合した場合にガラス転移温度が20〜80℃の共重合体を形成し得るモノマー:40〜80重量%
更に、本発明は、一核体100重量%中に分子種(m、n)=(2、2)を50〜100重量%含有するベンゾグアナミン樹脂(b)を含有することを特徴とする上記発明に記載の水性塗料組成物に関する。
更に、本発明は、上記いずれかの発明に記載の水性塗料組成物を、金属板、有底円筒状金属もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶に塗布し、乾燥、硬化してなることを特徴とする被塗物に関する。
更に、本発明は、融点30〜100℃のワックスを含有する水性塗料組成物を、金属板、有底円筒状金属もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶に塗布し、硬化してなる被塗物であって、前記ワックスを除く水溶性ないし水分散性の硬化塗膜形成成分から形成され得る硬化塗膜のtanδの極大値を示す温度が130℃〜200℃であることを特徴とする被塗物に関する。
更にまた、本発明は、水性塗料組成物が、ベンゾグアナミンのアミノ基にホルムアルデヒドを付加し、さらにその一部を縮合反応してなるN−メチロール基を有するベンゾグアナミン樹脂(a)のN−メチロール基の一部をアルコールでエーテル化してなる、N−メチロール基とN−アルコキシメチル基とをするベンゾグアナミン樹脂(b)であって、一核体を40〜80重量%及び二核体以上の多核体を20〜60重量%含有し、前記一核体中のN−メチロール基の数をm、該N−メチロール基から誘導されたN−アルコキシメチル基の数をnとした場合に、前記一核体中の分子種(m、n)=(0、0)、(1、0)、(1、1)及び(4,4)の合計が15重量%以下であるベンゾグアナミン樹脂(b)25〜65重量%、下記(i)〜(iii)を共重合してなるアクリル系共重合体(c)35〜75重量%(但し、(b)と(c)との合計を100重量%とする)、及び融点30〜100℃のワックスを前記(b)と(c)との合計100重量部に対して0.1〜2重量部含有する水性塗料組成物であることを特徴とする上記発明に記載の被塗物に関する。
(i)N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアマイド:15〜50重量%
(ii)α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸:1〜10重量%
(iii)上記(i)、(ii)と共重合可能な(メタ)アクリレート系モノマー及び/又はビニル系モノマーであり、(iii)中のモノマーのみで共重合した場合にガラス転移温度が20〜80℃の共重合体を形成し得るモノマー:40〜80重量%
本発明より得られる水性塗料組成物は、飲料缶製造工程において、高温での焼付け時に発生する低分子量樹脂成分の揮発を低減し、オーブン設備や缶内面の耐汚染性に優れる。更には、缶高速搬送ラインおよび殺菌処理設備等に対する耐ワックス汚染性に優れ、かつ耐傷つき性に優れた塗膜を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ベンゾグアナミン樹脂(b)とは、まず、原料のベンゾグアナミンのアミノ基にホルムアルデヒドを付加し、さらにその一部を縮合反応してなるN−メチロール基を有するベンゾグアナミン樹脂(a)のN−メチロール基の一部をアルコールでエーテル化してなる、N−メチロール基とN−アルコキシ基とを有するベンゾグアナミン樹脂(b)であって、一核体を40〜80重量%、二核体以上の多核体を20〜60重量%含有していることが重要であり、一核体を45〜60重量%、二核体以上の多核体を40〜55重量%含有することが好ましい。
一核体の量が40重量%未満では、ベンゾグアナミン樹脂の水親和性が乏しくなるため水性化が困難となり、80重量%を超えると、低分子量成分の増加につながり発生するヒューム量が多くなる。
本発明でいう分子種とは、ポリマーの構造(変性種、量)において通常示されるポリマー全体の平均値(ベンゾグアナミン1分子当たりのイミノ基、および付加度)を示すものでなく、分子レベルで構造解析したものである。本発明でいう一核体の分子種(m、n)とは、ベンゾグアナミン樹脂(b)に含まれる、一核体中に生成したN−メチロール基の数をmとし、さらにこのN−メチロール基がアルコールでエーテル化されてなるN−アルコキシメチル基の数をnとしたものである。なお、m、nとも、一核体1分子あたりにおける個数を示すものとする。
一核体のベンゾグアナミンについて、ホルムアルデヒドが付加しうる官能基は−NH2であり、この−NH2をベンゾグアナミンは2個有しており、−NH2のHの部分にホルマリンが水素置換付加反応をしてN−メチロール基が生成していくので、ベンゾグアナミンの一核体1分子あたりには、最大ホルマリンが4分子付加反応をする事ができ、m=0〜4の整数となる。このホリマリンが付加し生成したN−メチロール基と、アルコールとの脱水反応により生成したN−アルコキシメチル基の数がnとなり、n=0〜mの整数となり、常にn≦mとなる。
また、ベンゾグアナミンにホルマリンを付加し、その一部を縮合させ、アルコールでエーテル化したものがベンゾグアナミン樹脂となるが、ホルマリンが付加せずベンゾグアナミンとして残った成分、即ち(m、n)=(0、0)もベンゾグアナミン樹脂の樹脂成分とし、一核体の重量%に含ませる。
ここに、さらに(m、n)=(1、0)、(1、1)、(4、4)、(2、2)なる各分子種について説明する。
(1、0):一核体中にN−メチロール基が1個生成しているが、アルコールでエーテ ル化されていない分子種。
(1、1):一核体中にN−メチロール基が1個生成し、これがアルコールでエーテル 化されている分子種。
(4、4):一核体中にN−メチロール基が4個生成し、これらがすべてアルコールで エーテル化されている分子種。
(2、2):一核体中にN−メチロール基が2個生成し、これらがすべてアルコールで エーテル化されている分子種。
N−メチロール基をエーテル化しN−アルコキシメチル基にする際のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルキルアルコールが挙げられ、水性化のし易さ、反応性(硬化時の離脱性)の点よりメタノールを使用するのが好ましい。
また、ブチルセルソルブ、ヘキシルセロソルブ、ブチルカルビトール、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、メチルプロピレングリコール等のセロソルブ系もアルコール系溶剤として挙げられ、これらを混合で使用してもかまわない。
上記ベンゾグアナミン樹脂(b)の一核体の合計100重量%中に含まれる分子種(m、n)=(0、0)、(1、0)、(1、1)および(4、4)の合計が15重量%以下であることが重要である。
高温での焼き付け過程で発生するヒュームは、樹脂中の低分子量物すなわち使用しているベンゾグアナミン樹脂中の一核体がその主たる原因物質であり、さらにその一核体中でも、硬化時の反応性の遅い分子種(4、4)、及び反応しうる官能基がすくない(m、nが0、1)ものについてが特にヒューム化し易い。
更には、原料のベンゾグアナミン、及び反応性官能基の少ない即ち、m、nが0あるいは1である分子種は、性状が粉状であり、微量でも揮発するとオーブン内を舞ってしまい、特に飲料缶、食缶等を焼付け製造する過程において、内面側に付着し衛生上の問題となる。
従って、ベンゾグアナミン樹脂(b)中の一核体の合計100重量%中の分子種(m、n)=(0、0)、(1、0)、(1、1)および(4、4)の合計が15重量%を超えてしまうとヒューム量の増大とヒューム質の粉状化につながり、オーブン設備や缶内面の汚染を引き起こしやすくなってしまう。
本発明の内の第2の発明のごとく、ベンゾグアナミン樹脂(b)中の一核体100重量%中に分子種(2、2)を50〜100重量%含有することは、一核体の分子種のなかでも(2、2)の分子種は反応性が速いということにより、ヒューム量低減につながるので好ましい。
本発明に用いるアクリル系共重合体(c)とは、下記(i)〜(iii)を共重合して得られるアクリル系共重合体である。
(i)N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアマイド:15〜50重量%、
(ii)α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸:1〜10重量%、
(iii)上記(i)、(ii)と共重合可能な(メタ)アクリレート系モノマー及び/又はビニル系モノマーであり、(iii)中のモノマーのみで共重合した場合にガラス転移温度が20〜80℃の共重合体を形成し得るモノマー:40〜80重量%。
N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアマイド(i)とは、(メタ)アクリルアマイドとホルマリンを反応せしめN−メチロール(メタ)アクリルアマイドを得、かかるN−メチロール(メタ)アクリルアマイドとアルコールとを反応せしめてなるものである。
ここで用いられるアルコールとしてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、n−アミノアルコール、イソアミルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−ヘプタノール、2−エチルブタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール等のアルキルアルコールや、
エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、3−メトキシ−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、メチルグリコール、メチルジグリコール、メチルプロピレングリコール、プロピルプロピレングリコール、イソプロピルグリコール等のセロソルブ系やカルビトール系のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールも使用できるが、これらの中でもアルキルアルコールが好ましく、アルキル基の炭素数4以下のアルキルアルコールが特に好ましい。
これらのアルコールを用いて得られるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアマイドとして具体的には、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアマイド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアマイド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアマイド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアマイド等が挙げられる。
これらのモノマー(i)は、アクリル系共重合体(c)を得る際に15〜50重量%使用することが重要であり、25〜45重量%使用することが好ましい。15重量%未満では、塗膜の耐レトルト性、硬度が低下し、50重量%を超えると反応中にゲル化し易くなるばかりでなく、ゲル化せずに共重合体が得られても該共重合体を用いた場合の塗膜の加工性は低下する。
α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸(ii)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などがあり、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸(ii)は、アクリル系共重合体(c)を得る際に1〜10重量%使用することが重要であり、4〜7重量%使用することが好ましい。1重量%未満ではアクリル系共重合体(c)の水性化が困難となり、10重量%を超えると塗膜の耐水性が不良となる。
アクリル系共重合体(c)を得る際に用いる上記(i)、(ii)と共重合可能な(メタ)アクリレート系モノマー及び/又はビニル系モノマーとしては、
(メタ)アクリレートモノマー(単独重合体のTg:℃)として、メチルアクリレート(105℃)、エチルメタクリレート(65℃)、n−ブチルメタクリレート(20℃)、イソブチルメタクリレート(67℃)、t−ブチルメタクリレート(107℃)、イソプロピルメタクリレート(81℃)、シクロヘキシルメタクリレート(66℃)、n−ヘキシルメタクリレート(−5℃)、2−エチルヘキシルメタクリレート(−10℃)、n−ラウリルメタクリレート(−65℃)、トリデシルメタクリレート(−46℃)、メチルアクリレート(8℃)、エチルアクリレート(−22℃)、イソプロピルアクリレート(−5℃)、n−ブチルアクリレート(−54℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(−85℃)、n−ラウリルアクリレート(−5℃)、イソオクチルアクリレート(−45℃)、フェノキシエチルアクリレート(−25℃)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(−15℃)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(55℃)、カプロラクタン変性アクリレート(ダイセル化学工業(株)製、商品名「プラクセルFA−1(−28℃)」、「プラクセルFA−3(−45℃)」等が挙げられる。
またビニル系モノマーとして、スチレン(100℃)、酢酸ビニル(30℃)等が挙げられる。
ここに、モノマー(iii)は、それらのみからなる共重合体が20℃〜80℃のガラス転移温度を与えるように選択して用いることが重要である。
例えばモノマー(iii)として、モノマーM1、M2、M3、M4・・・・MNを使用する場合、それぞれの(iii)中での重量%をW1、W2、W3、W4、・・・・WN(W1、W2、W3・・・WNの合計を100重量%とする。)とし、それぞれのモノマーの単独重合体のガラス転移温度(K)をTg1、Tg2、Tg3、Tg4、・・・TgNとした時に、ここでのモノマー(iii)のみで共重合して得られる共重合体のガラス転移温度Tg(K)は、下記式(I)なるFoxの式より算出することができる。
1/Tg(K)=[(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+(W3/Tg3)+・・・
+(WN/TgN)]/100 (I)
このようにして得られるガラス転移温度(Tg)が20℃〜80℃であることが重要なのである。
ここでのガラス転移温度が20℃未満では、得られる塗膜の塗膜表面硬度が低下し高速搬送時の耐傷つき性が劣り、ガラス転移温度が80℃を超えると塗膜の柔軟性が低下し加工性が劣る。
アクリル系共重合体(c)は、通常の溶液重合によって得ることができ、前記モノマー(i)〜(iii)の混合物を有機溶剤中で過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ−オキシベンゾエート等の過酸化物、または、2,2‘アゾビスイソブチルニトリルのようなアゾ化合物を触媒としてラジカル重合すればよい。
重合溶媒に用いられる有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−アミノアルコール、イソアミルアルコール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、ブチルカルビトール、メチルグリコール、メチルプロピレングリコール、プロピルプロピレングリコール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。
アクリル系共重合体(c)としては、数平均分子量1500〜6000、重量平均分子量5000〜30000、酸価10〜150(mgKOH/g)、水酸基価0〜150(mgKOH/g)であることが好ましく、数平均分子量3000〜5000、重量平均分子量7000〜20000、酸価30〜70(mgKOH/g)、水酸基価0〜60(mgKOH/g)であることがより好ましい。
得られたアクリル系共重合体(c)溶液を減圧下である程度脱溶剤を行い、この溶液に水とともにアンモニアまたは有機アミン等の揮発性塩基を加えるか、又はアンモニアまたは有機アミン等の揮発性塩基を加えた後に水を加え、アクリル系共重合体(c)中のカルボン酸の全部または一部を中和することによって、アクリル系共重合体(c)を水性媒体中に溶解もしくは分散させることができる。
揮発性塩基は、沸点が400℃以下のものであることが好ましく、例えば有機アミンとしては、モノエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
本発明で用いる融点30℃〜100℃のワックスとしては、カルナウバワックス(mp80〜86℃)、モンタンワックス(mp75〜85℃)、キャンデリラワックス(mp66〜71℃)、ライスワックス(mp70〜83℃)、蜜蝋(mp60〜67℃)、鯨蝋(mp42〜50℃)、ラノリン(mp35〜55℃)、およびこられの誘導体ワックス等の天然系ワックスやmp70〜95℃のマイクロクリスタリンワックス、mp70〜95℃の酸化型マイクロクリスタリンワックス、mp70〜95℃のパラフィン系ワックス等の石油、合成系ワックスが挙げられ、mp75〜95℃のものが好ましい。これらのワックスは、単独もしくは2種以上を併用して用いることもできる。
ワックスの融点が30℃未満、あるいは100℃以上では、硬化塗膜の動摩擦係数低下を得ることができない。
ワックスは分散体として添加されることが好ましく、ワックス分散体の製造方法としては、ワックスに対し不溶解性の有機溶媒中に、加熱溶解させたワックスを、有機溶媒相をホモジナイザー等の攪拌機により高速で攪拌させながら添加して機械分散したり、乳化剤を利用しワックスを水中に分散させる方法等がある。
前者の機械分散法についても乳化剤を利用してもかまわない。分散するワックスについては単独もしくは2種以上併用してワックス分散体を製造し用いることも可能である。
分散媒として使用する有機溶媒としては、エチレングリコールまたはプロピレングリコールから誘導されるエチレングリコールモノブチルエーテル等のセロソルブ系有機溶剤が挙げられる。
ワックス分散体は、前記ベンゾグアナミン樹脂(b)とアクリル系共重合体(c)との合計100重量部に対しワックス固形分として0.1〜2重量部となるように使用することが重要であり、0.5〜1.2重量部使用することが好ましい。0.1重量部未満では動摩擦係数低下の効果がなく、2重量部を超えるとワックス汚染性が低下する。
更に、本発明の水性塗料組成物には、融点100℃以上のポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレン等の高融点ワックスを前記ワックス分散体と併用し使用することも可能である。
本発明の水性塗料組成物は、ベンゾグアナミン樹脂(b)とアクリル系共重合体(c)との合計100重量%中に、ベンゾグアナミン樹脂(b)を25〜65重量%、アクリル系共重合体(c)を35〜75重量%を含有するものであり、ベンゾグアナミン樹脂(b)を30〜55重量%、アクリル系共重合体(c)を45〜70重量%含むことが好ましい。ベンゾグアナミン樹脂(b)が25重量%未満になり、アクリル系共重合体(c)が75重量%を超えると、得られる塗膜の耐レトルト性、硬度が不十分となる。一方、ベンゾグアナミン樹脂(b)が65重量%を越えて、アクリル系共重合体(c)が35重量%未満になると塗膜の加工性が低下するため、上記のような重量組成にてベンゾグアナミン樹脂(b)と上記アクリル系共重合体(c)を含有することにより、高速搬送時の耐傷つき性の良い、凝集力の高い、高硬度である塗膜が得られる水性塗料組成物を提供することができる。
本発明のtanδとは、高分子の側鎖の運動、主鎖の運動を表しており、下記式(II)により定義される。
tanδ=E”/E’ (II)
(ここに、E’:貯蔵弾性率。E”:損失弾性率。)
通常、高分子膜は昇温に伴って、局部的にミクロブラウン運動を開始する分子鎖の数が増えtanδが増大していき、ある温度においてtanδが極大値を示し、この温度域にミクロブラウン運動する分子鎖の大きな集団が存在することを示している。
即ち、tanδの極大値を示す温度より高温では分子間力が弱く、塗膜表面および表面近くに存在するワックスが離脱しやすくなり、缶高速搬送ラインのガイド汚染、および殺菌処理設備、処理水のワックス汚染等を生じる。
本発明においては、ワックスを除く水溶性ないし水分散性の硬化塗膜形成成分から形成され得る硬化塗膜のtanδの極大値を示す温度が130℃〜200℃であることが重要であり、130℃未満であると通常コーヒー等を殺菌する条件である125℃−30分レトルト蒸気処理において処理設備をワックスで汚染しやすく、200℃を超えると塗膜の柔軟性が悪く加工性が低下する。
本発明の水性塗料組成物には、酸触媒、またはそのアミンブロック化したもので、例えばp−トルエンスルフォン酸、ドジシルベンゼンスルフォン酸、ジノニルナフタレンスルフォン酸、あるいはそれらのアミンブロック体等をベンゾグアナミン樹脂(b)とアクリル系共重合体(c)の合計100重量部に対して0.05〜2重量部を添加する事ができる。
更に必要に応じて従来公知のシリコン系レベリング剤を添加することもできる。また、サンドミル、ディスパー等の公知の分散機を用いて酸化チタン、アルミニウム顔料、キナクリドン等の顔料を分散し、着色塗料とすることもできる。
本発明の水性塗料組成物には、その他一般的に用いられる水溶性樹脂や水分散性樹脂、例えば、アクリル系共重合体(c)以外の水性アクリル樹脂、
水性ポリエステル樹脂、水性ポリエーテルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、エポキシ樹脂のグリシジル基をアミン、リン酸等により付加変性した変性エポキシ樹脂等を添加して使用することも可能である。
また、硬化助剤としてイソシアネート基を有する化合物を使用してもよく、活性メチレン、MEKオキシム、ε−カプロラクタムをブロック剤とするブロック化イソシアネート、ブロックなしのイソシアネート、及びMEKオキシム型水性イソシアネートを使用することも可能である。
本発明の水性塗料組成物は、ロールコート、スプレー、ハケ塗り等の公知の手段により各種基材に塗装することができる。
例えば、電気メッキ錫鋼板、アルミニウム鋼板、ステンレス鋼板、またはこれらの金属板にポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフテレート等のポリエステルフィルムをラミネートしたラミネート鋼板に本発明の水性塗料組成物を塗布、加熱、硬化して被塗物を得ることができる。特に本発明の水性塗料組成物は、金属缶(有底円筒状金属)もしくはポリエステルフィルム被膜絞り缶の外面側に適用し被膜を形成するのに最適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。例中、「部」とは重量部、「%」とは重量%をそれぞれ表す。
製造例1(ベンゾグアナミン樹脂(b−1)の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド280部、メタノール320部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、60℃に加熱し4時間反応した。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、引き続き4時間反応した。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、70℃以下でメタノール水を減圧除去した後、生成物を減圧濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(b−1)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(b−1)について、GPCにて一核体量を算出し、さらにRPLC、NMR、FD−MSにより一核体中の分子種(m、n)の各構成比率を算出した。
さらに、NMRにてベンゾグアナミン1分子当たりのイミノ基(個数)を算出。
なおここでのイミノ基とは、通常=NHであって環骨格でないものをイミノ基と示すが、ベンゾグアナミン骨格に2つ存在する−NH2の−NH基であり、−NH2部分がホルムアルデヒドで付加しメチロール基を生成した後、アルコール(ROH)でエーテル化された−NHCH2−O−Rなる構造の窒素含有基の−NHの部分をイミノ基とし、ホルムアルデヒド未変性部分の−NH2もイミノ基2.0個とカウントする。従って、ホルムアルデヒド変性前のベンゾグアナミンは、イミノ基4.0個とカウントする。
上記算出した結果を表1に示す。
製造例2(ベンゾグアナミン樹脂(b−2)の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド220部、メタノール260部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、60℃に加熱し4時間反応した。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、更に、メタノール60部を仕込み、引き続き4時間反応した。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、70℃以下でメタノール水を減圧除去した後、生成物を減圧濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(b−2)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(b−2)について、製造例1と同様にしてイミノ基量、一核体量、一核体中の分子種(m、n)の各構成比率を算出した。
製造例3(ベンゾグアナミン樹脂(b−3)の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド330部、メタノール355部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、60℃に加熱し4時間反応した。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、引き続き4時間反応した。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、70℃以下でメタノール水を減圧除去した後、生成物を減圧濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(b−3)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(b−3)について、製造例1と同様にしてイミノ基量、一核体量、一核体中の分子種(m、n)の各構成比率を算出した。
製造例4(ベンゾグアナミン樹脂(b−4)の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド280部、メタノール320部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.5に調整後、60℃に加熱し2.5時間反応した。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=3.5になるまで仕込み、引き続き3時間反応した。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、70℃以下でメタノール水を減圧除去した後、生成物を減圧濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(b−4)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(b−4)について、製造例1と同様にしてイミノ基量、一核体量、一核体中の分子種(m、n)の各構成比率を算出した。
製造例5(ベンゾグアナミン樹脂(b−5)の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド375部、メタノール400部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、60℃に加熱し4時間反応した。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、引き続き4時間反応した。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、70℃以下でメタノール水を減圧除去した後、生成物を減圧濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(b−5)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(b−5)について、製造例1と同様にしてイミノ基量、一核体量、一核体中の分子種(m、n)の各構成比率を算出した。
製造例6(ベンゾグアナミン樹脂(b−6)の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却機、滴下槽、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにベンゾグアナミン187部、80%パラホルムアルデヒド280部、メタノール340部を仕込み、25%水酸化ナトリウム溶液でpH=9.0に調整後、60℃に加熱し4時間反応した。その後60%硝酸溶液を反応溶液がpH=4.0になるまで仕込み、引き続き4時間反応した。反応終了後、25%水酸化ナトリウム溶液にて中和した後、70℃以下でメタノール水を減圧除去した後、生成物を減圧濾過して取り出し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のベンゾグアナミン樹脂(b−6)溶液を調整した。製造したベンゾグアナミン樹脂(b−6)について、製造例1と同様にしてイミノ基量、一核体量、一核体中の分子種(m、n)の各構成比率を算出した。
製造例7(アクリル系共重合体(c−1)の水溶液の製造)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素ガス吹き込み管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル100部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ攪拌しながら温度を105℃に保ち、滴下槽から下記モノマーの混合物に過酸化ベンゾイル5部を溶解させたものを3時間にわたって滴下した。
・N−イソブトキシメチルアクリルアマイド 30部
・アクリル酸 5部
・メチルメタクリレート 45部
・エチルアクリレート 20部
その後、105℃に保ち1時間反応し、過酸化ベンゾイル1部を添加し、さらに1時間反応させ終了した。これを100℃、100mmHgの減圧下にてエチレングリコールモノイソプロピルエーテルを反応溶液の固形分が70%になるまで脱溶剤し、重量平均分子量10900のアクリル系共重合体溶液を得た。
次いで、80℃以下まで冷却しジメチルエタノールアミン5.2部と水とを加え、固形分50%の水性アクリル系共重合体(c−1)の水性溶液を得た。
製造例8〜16(アクリル系共重合体(c−2〜10)の水溶液の製造)
製造例7に従って表2に示したモノマー組成、反応条件にて同様に重合、脱溶剤を行い、それぞれ固形分50%の水性アクリル系共重合体(c−2〜10)の水溶液を得た。
製造例17(酸化マイクロクリスタリンワックス分散体の製造)
酸化マイクロクリスタリンワックス(*1)10部を容器1にて120℃にて溶解させた。別の容器2にブチルセロソルブ90部を仕込み、ホモジナイザーで高速攪拌しつつ、この中に前記溶融ワックスを徐々に添加し、固形分10%、平均粒径15μmの酸化マイクロクリスタリンワックスのワックス分散体(d−1)を得た。
*1:東洋ペトロライト社製「カーディス320」、融点91℃
製造例18(カルナウバワックス分散体の製造)
カルナウバワックス(*2)10部を容器1にて120℃にて溶解させた。別の容器2にブチルセロソルブ90部を仕込み、ホモジナイザーで高速攪拌しつつ、この中に前記溶融ワックスを徐々に添加し、固形分10%、平均粒径15μmのカルナウバワックスのワックス分散体(d−2)を得た。
*2:野田ワックス社製「精製カルナウバワックスNO.1」、融点80〜84℃
実施例1
製造例1で得たベンゾグアナミン樹脂(b−1)35重量部(固形分)、製造例7で得たアクリル系共重合体(c−1)65重量部(固形分)、ワックス分散体(d−1)1.0重量部(固形分)、酸触媒としてp−トルエンスルフォン酸アミン塩0.2重量部、シリコーン系レベリング剤0.3重量部を混合し、これにエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、およびイオン交換水を添加、混合して固形分40%、有機溶剤量20%の水性塗料組成物を得た。
実施例2〜10、比較例1〜7
表3および表4に示す配合表(固形分重量部)に従って各成分を配合し、さらに実施例1と同様にして実施例2〜10、比較例1〜7の水性塗料組成物を得た。
実施例および比較例で得られた水性塗料組成物に関し、塗膜物性および焼付け時に発生するヒューム量、質について評価した。実施例1〜10についての評価結果を表3、比較例1〜7についての評価結果を表4に示した。
<ヒューム量評価>
10cm×10cmのブリキ板(厚さ0.2mm)に、乾燥塗膜量が80mg/dm2になるように水性塗料組成物を塗布し、220℃にセットしたホットプレート上に塗膜面が上になるように乗せ、更にこの塗膜の上側に10cm×10cmのブリキ板を、両者の間隔が1cmとなるように対面させ、焼付け時に塗膜から発生するヒュームを2分間にわたり付着させていった。これを、30枚繰り返した(但し、塗膜面上に対面させているブリキ板は交換しない)。塗膜面上に対面させヒュームを付着させたブリキ板を120℃−10分間加熱し、溶剤、水を除いた付着物の重量を発生したヒューム量とした。
評価 : 10mg未満(◎、合格)
10mg以上〜15mg未満(○、合格)
15mg以上〜20mg未満(△、不合格)
20mg以上(×、不合格)
<ヒューム質評価>
上記ヒューム量評価で得られた、ヒュームが付着したブリキ板を220℃で24時間熱履歴をかけ、常温にもどし、ヒューム付着部にセロハンテープを付着させ、次いでセロハンテープを剥離し、ヒュームの熱履歴後のブリキ板に対しての密着性を評価した。
剥離しやすいものほど、飲料缶等の製造時にオーブン内を飛散しやすく、缶の内面を汚染する可能性が高い。
評価 : 剥離せず(◎、合格)
剥離面積5%未満(○、合格)
剥離面積5%以上〜20%未満(△、不合格)
剥離面積20%以上(×、不合格)
[塗膜性能試験]
2ピース缶用のアルミニウム缶胴部を開缶し平らに延ばしたものに、油変性ポリエステル樹脂をビヒクルの主成分とするインキを印刷(膜厚2μm)し、インキが未乾燥の状態でその上に水性塗料組成物を塗装し(焼付け後の膜厚4μm)、ガスオーブンにて雰囲気温度220℃にて2分間焼き付けたものを試験塗装板とした。
<耐レトルト性試験>
塗装板をレトルト処理(125℃−30分間の加圧スチーム処理)した後の白化状態を目視評価した。
評価(白化面積):白化なし(◎、合格)
2%未満(○、合格)
2%以上〜10%未満(△、不合格)
10%以上(×、不合格)
<加工密着性試験>
塗装板を直径25mm×高さ6mmのキャップ状に打ち抜き加工し、レトルト処理(125℃−30分間の加圧スチーム処理)前後において、キャップの胴部の塗膜にセロハンテープを付着させ、次いでセロハンテープを剥離し、塗膜の剥離面積を目視評価した。
評価(剥離面積):剥離せず(◎、合格)
1%未満(○、合格)
1以上〜5%未満(△、不合格)
5%以上(×、不合格)
<湯中硬度>
塗装板を80℃の湯中に30分浸漬した後、80℃の湯中で鉛筆硬度を測定した。
評価:F以上(◎、合格)
HB(○、合格)
B(△、不合格)
2B以下(×、不合格)
<耐傷つき性>
125℃−30分間レトルト処理した塗装板を新東科学(株)製トライボギアHEIDON−22H型を使用して、サファイア針にかかる荷重を変化させながら塗膜面を滑らせ、傷が発生しない最大の荷重を求めた。
測定条件 : 連続荷重方式
引っ掻き速度 : 300mm/分
引っ掻き針 : サファイア150μm
測定温度 : 25℃
評価 :300g以上(◎、合格)
250g以上〜300g未満(○、合格)
200g以上〜250g未満(△、不合格)
200g未満(×、不合格)
<高速傷つき性>
未処理および125℃−30分間レトルト処理した塗装板について株式会社レスカ製FPR−2000にて高速の耐傷つき性試験を行なった。
塗装面中のある一点を回転中心として、試験板を平面状に高速回転させながら、回転中心から5mmの位置においてステンレス製の鋼球(直径:5mm)を塗膜と接触させ、摩擦係数をモニターして行き、変曲点を生じた時点をもって塗膜面への傷の入ったポイントとし、この変曲点が生じるまでの総回転数を評価した。
(回転速度:150rpm、測定温度:25℃)
評価 : 5000回転以上(◎、合格)
3000回転以上〜5000回転未満(○、合格)
1000回転以上〜3000回転未満(△、不合格)
1000回転未満(×、不合格)
<ワックスガイド汚れ試験>
未処理、および125℃−30分レトルト処理後について、10cm×20cmの塗膜面に黒紙(1cm×1cm)を接触させ、荷重500gを掛けつつ塗膜の同一箇所を2回以上擦らないようにして塗膜面をラビングした。黒紙は交換しないで同様の操作を試験板20枚について繰り返しおこない、黒紙のワックスでの汚れ状態(白色のワックス付着)を目視評価した。
評価(ワックス汚れ面積):汚れなし(◎、合格)
2%未満(○、合格)
2%以上〜10%未満(△、不合格)
10%以上(×、不合格)
<レトルト処理ワックス汚染試験>
レトルト処理時におけるワックスの塗膜からの脱落による設備、および処理水の汚染を評価。
試験パネル(塗膜性能試験用塗装パネル10cm×20cm)を80枚用意し、幅4cm×10cmの短冊状にカットし、5Lのフラスコに入れ、蒸留水3Lを入れて、125℃−30分レトルト処理をおこなった。抽出液を25℃以下まで冷却後、吸引濾過し、フィルター上に残った、塗膜から脱落したワックス量を定量した。
評価:20mg未満(◎、合格)
20mg以上〜50mg未満(○、合格)
50mg以上〜100mg未満(△、不合格)
100mg以上(×、不合格)
[tanδ測定]
実施例および比較例の、ワックス分散体(d−1)およびワックス分散体(d−2)を配合しない水性塗料組成物を作成し、焼付け後の膜厚が4μmになるようにブリキ板(厚さ0.2mm)に塗装し、ガスオーブンにて雰囲気温度220℃にて2分焼き付けた。この塗装板を、水銀で塗膜をブリキ板から剥がし、tanδ測定用のフリーフィルムを作製した。
上記で作製したフィルムで、DMS210(セイコー電子工業社製)にて貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”を測定しtanδを算出し、tanδの極大値を示す温度を求めた。
Figure 0004882323
Figure 0004882323
Figure 0004882323
Figure 0004882323

Claims (3)

  1. ベンゾグアナミンのアミノ基にホルムアルデヒドを付加し、さらにその一部を縮合反応してなるN−メチロール基を有するベンゾグアナミン樹脂(a)のN−メチロール基の一部をアルコールでエーテル化してなる、N−メチロール基とN−アルコキシメチル基とをするベンゾグアナミン樹脂(b)であって、一核体を40〜80重量%及び二核体以上の多核体を20〜60重量%含有し、前記一核体中に生成したN−メチロール基の数をm、該N−メチロール基から誘導されたN−アルコキシメチル基の数をnとした場合に、前記一核体中の分子種(m、n)=(0、0)、(1、0)、(1、1)及び(4,4)の合計が15重量%以下であるベンゾグアナミン樹脂(b)25〜65重量%、下記(i)〜(iii)を共重合してなるアクリル系共重合体(c)35〜75重量%(但し、(b)と(c)との合計を100重量%とする)、及び融点30〜100℃のワックスを前記(b)と(c)との合計100重量部に対して0.1〜2重量部含有することを特徴とする水性塗料組成物。
    (i)N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアマイド:15〜50重量%
    (ii)α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸:1〜10重量%
    (iii)上記(i)、(ii)と共重合可能な(メタ)アクリレート系モノマー及び/又はビニル系モノマーであり、(iii)中のモノマーのみで共重合した場合にガラス転移温度が20〜80℃の共重合体を形成し得るモノマー:40〜80重量%
  2. 一核体100重量%中に分子種(m、n)=(2、2)を50〜100重量%含有するベンゾグアナミン樹脂(b)を含有することを特徴とする請求項1記載の水性塗料組成物。
  3. 請求項1又は2記載の水性塗料組成物を、金属板、有底円筒状金属もしくはポリエステルフィルム被覆絞り缶に塗布し、乾燥、硬化してなることを特徴とする被塗物。




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