JP2005008808A - 水性被覆剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、塗膜欠陥がなく、表面状態に優れると共に、その表面が高度な滑り性を有する塗膜(下層)を形成し得る水性被覆剤組成物であって、下層とその上に形成される補正剤等の新たな被覆剤層(上層)との優れた密着性を確保し得る水性被覆剤組成物でかつ、レトルト処理によっても塗膜が白化しない水性被覆剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂(A)の硬化剤(B)、及びポリオルガノシロキサン鎖と水酸基とを有する重合体(C)を水性媒体中に溶解もしくは分散させてなることを特徴とする水性被覆剤組成物に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂(A)の硬化剤(B)、及びポリオルガノシロキサン鎖と水酸基とを有する重合体(C)を水性媒体中に溶解もしくは分散させてなることを特徴とする水性被覆剤組成物に関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、水性被覆剤組成物に関し、詳しくは缶の外面被覆用の水性塗料として使用しても、耐レトルト性、表面状態、滑り性、密着性にも優れている水性被覆剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料や食品を内容物とする金属缶の外面塗膜を形成する塗料には、製缶工程において中間製品及び完成品を効率よく搬送し、また完成品に中身を充填する際及び充填した後に効率よく搬送するために、さらに飲料や食品として市場において流通せしめる際の包装容器の傷付きを防止するために、塗膜の表面に高度な滑り性を付与する必要がある。
製缶工程における中間製品の塗膜の滑り性を確保するためには、ベースコート層中にシリコーン化合物が含有される。さらに、完成品の塗膜の滑り性を確保するためには、ベースコート層上に設けられるトップコート層にもシリコーン化合物が含有される。
【0003】
しかし、シリコーン化合物を含有するベースコート層とその上に形成されるトップコート層との密着性がベースコート層中のシリコーン化合物故に損なわれることがあり、また、ベースコート層とその上に形成されるトップコート層との密着性は確保できても、トップコート層の上に補正剤層、修正インキ層、さらに新たなトップコート層が形成される場合、トップコート層と補正剤層等との密着性が、トップコート層中のシリコーン化合物故に損なわれることが多々ある。
一方、ベースコート層(下層)とトップコート層(上層)との密着性、またはトップコート層(下層)と補正剤層等(上層)との密着性を確保するために、それぞれの場合において下層に含有されるシリコ−ン化合物を減らすと滑り性を損ない、搬送性が悪くなり、塗膜表面が傷付き易くなる。
尚、補正剤とは、円筒状の側面部と底部と蓋部とからなるいわゆる3ピース缶の円筒状の缶胴のシーム部を保護するために、当該シーム部に塗布される塗料をいう。修正インキとは、印刷層上にトップコート層を設けた後に印刷層に不具合が生じていることが発見された場合に、印刷の不具合を修正するために用いられるインキをいう。また、修正その他の理由により、一旦トップコート層まで形成した後に、再印刷をした場合、トップコート層自体も再度形成する必要がある。
【0004】
このように高度な滑り性と補正剤等(上層)に対する密着性という相反する要求を共に満足し得る被覆剤組成物について研究を重ねた結果、一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリジメチルシロキサンを有する単量体を重合してなるシリコーン−アクリル共重合体を利用することが有望であることを見出した。
しかしながら、シリコーン−アクリル共重合体を用いて水性の被覆剤組成物中を得るためには、上記共重合体中にカルボキシル基や水酸基といった親水性の基を導入しなくてはならない。
【0005】
例えば、特開平4−175309号公報(特許文献1)には、一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリジメチルシロキサンを有する単量体と、一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とカルボキシル基とを有する単量体とを共重合し、酸価が30〜260mg KOH/g の共重合体を得、係る共重合体中のカルボキシル基を塩基性物質で中和し、前記共重合体を水性化する方法が提案されている。
しかし、上記方法で得られる共重合体を含有する水性被覆剤組成物を用いると、滑り性に優れる塗膜が得られる場合には、その反面塗膜表面にはじきやオレンジピ−ル等といった表面不良を起こしやすい。一方、表面状態が良好なものは滑り性が劣り、表面状態と滑り性とのバランスをとることが極めて難しいという欠点があった。
【0006】
その理由としては定かでないが、前記共重合体中のポリジメチルシロキサン部分とイオン化されたカルボキシル基との極性が極度に違い過ぎるため、水性被覆剤組成物中において、ポリジメチルシロキサン部分が内側に配向し、イオン化されたカルボキシル基が外側を向いた一種の「球」のような状態になりやすいものと考えられる。
つまり、前記共重合体が水性被覆剤組成物中に十分均一に分散し得るように十分酸価を大きくすると、塗膜の表面状態は良好になるものの、ポリジメチルシロキサン部分が「球」の内側に閉じこめられるので、滑り性が劣り、一方、滑り性を向上すべくポリジメチルシロキサン部分が「球」の内側に閉じこめられないように、前記共重合体を低酸価にすると親水性が劣り、水性被覆剤組成物中において前記共重合体は不安定になり凝集し易くなり、その結果塗膜の表面状態が悪くなるものと考えられる。
【0007】
また、特開2001−11384号公報(特許文献2)には、ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂の硬化剤(B)、及びポリオルガノシロキサン鎖を有し上記(A)、(B)とは反応しない重合体(C)を水性媒体中に溶解または分散させてなる水性被覆剤組成物が開示されており、該組成物は、滑り性、表面状態、補正塗料の密着性を満足させることができた。
しかし、上記組成物から形成される塗膜は、レトルト処理をすると白化するという欠点があった。
この原因は、明らかではないが、レトルト処理によって塗膜に侵入した水分に対して、重合体(C)が親水部を内側にして配列し、水−シリコーン凝集体ができてしまい、レトルト処理後にもその凝集物が塗膜中に残存してしまうために塗膜の屈折率が変化し、白化現象が観察されたものと考えられる。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−175309号公報
【特許文献2】
特開2001−11384号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗膜欠陥がなく、表面状態に優れると共に、その表面が高度な滑り性を有する塗膜(下層)を形成し得る水性被覆剤組成物であって、下層とその上に形成される補正剤等の新たな被覆剤層(上層)との優れた密着性を確保し得る水性被覆剤組成物でかつ、レトルト処理によっても塗膜が白化しない水性被覆剤組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。
すなわち、本発明は、水酸基と反応し得る官能基を有し、ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂(A)の硬化剤(B)、及び下記単量体(a)〜(d)を共重合してなるポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)を水性媒体中に溶解もしくは分散させてなることを特徴とする水性被覆剤組成物に関する。
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a):1〜40重量%
下記一般式で表される親水基を有する単量体(b):50〜90重量%
(一般式1) CH2=CR1−COO−(CH2CH2O)m−(CH2(CH3)CHO)n−R2
式中R1は、HまたはCH3、
R2は、フェニル基、炭素数が1〜22のアルキル基、またはCH2=CR1−CO−、
m,nはそれぞれ0〜1000の整数であり、m+n≧1、
水酸基を有する単量体(c):1〜20重量%
炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体、または芳香族系単量体(d):2〜30重量%。
【0011】
さらに本発明は、水性樹脂(A)、硬化剤(B)および重合体(C)の合計を100重量%とした場合に、重合体(C)を構成する単量体(a)が0.001〜10重量%であることを特徴とする上記発明に記載の水性被覆剤組成物に関し、
【0012】
さらにまた本発明は、水性樹脂(A)がアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、および変性エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂であることを特徴とする上記発明に記載の水性被覆剤組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、硬化剤(B)が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、アミノ樹脂、およびフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする上記発明に記載の水性被覆剤組成物に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の水性被覆剤組成物は、水酸基と反応し得る官能基を有し、ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂の硬化剤(B)、ポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)から構成される。水酸基を有する単量体(c)を少量使用してなるポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)を用いることで、該重合体(C)が水性樹脂(A)と緩やかな結合を生成し、レトルト処理しても、水を中心とした重合体(C)の球状の配列が塗膜中にできにくくなり、その結果、レトルト白化の解消に成功したものと考察される。さらに、親水性の単量体(b)や、アルキル基を有する単量体または芳香族系単量体(d)を特定量共重合することで、補正剤等の密着性、表面状態、滑り性を満足させることができるようになったものである。
【0015】
本発明で使用されるポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)は、単量体(a)〜(d)を特定の割合で共重合してなるものである。
本発明で使用される一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖とを有する単量体(a)としては、例えば東芝シリコーン(株)製のTSL9705などの片末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン化合物、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物等が挙げられる。一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)は、塗膜に滑り性を付与する為に不可欠のものであり、要求性能に応じてこれらの内から1種類、あるいは2種類以上を使用できる。
【0016】
本発明で使用される親水基を有する単量体(b)は、下記一般式で表される。
(一般式1) CH2=CR1−COO−(CH2CH2O)m−(CH2(CH3)CHO)n−R2
式中R1は、HまたはCH3、
R2は、フェニル基、炭素数が1〜22のアルキル基、またはCH2=CR1−CO−、 m,nはそれぞれ0〜1000の整数であり、m+n≧1である。
【0017】
n=0の具体例としては、アルコキシモノエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、m=200のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシエチレングリコール(メタ)アクリレート(但し、上記アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、プロポキシ等の炭素数が1〜22のアルコキシ基);フェニルモノエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のフェニルエチレングリコール(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられ、アルコキシエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、アルコキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートがより好ましく、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0018】
m=0の具体例としては、アルコキシモノプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート(但し、上記アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、プロポキシ等の炭素数が1〜22のアルコキシ基);トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが例示できる。
【0019】
m≧n≠0の例として、メトキシヘプタエチレングリコールトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0020】
重合体(C)は、後述する水性樹脂(A)の存在下に水性媒体に溶解もしくは分散すればよく、重合体(C)自体は、水性媒体に溶解もしくは分散し得なくてもよい。しかし、水性被覆剤組成物としての貯蔵安定性、塗膜の表面状態等を考慮すると、重合体(C)自体も多少は水性媒体に親和する部分を有することが好ましい。従って、上記一般式(1)で示される単量体(b)としては、m≧nであることが好ましく、m>nであることがより好ましい。
【0021】
重合体(C)を形成する際に用いられる水酸基を有する単量体(c)の例としては、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4ーヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。単量体(c)を特定量共重合してなる重合体(C)を用いることによって、レトルト処理しても塗膜が白化しない。
【0022】
重合体(C)を形成する際には、その他の単量体として、炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体や芳香族系単量体(d)がさらに用いられる。
炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体(d)の例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。炭素数の短いアルキル基を有する単量体、例えばエチルアクリレートを用いると、塗膜の表面状態が悪くなり、いわゆるオレンジピール(柚肌)となる。
芳香族系単量体(d)の例としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
【0023】
上記したように重合体(C)は、上記単量体(a)〜(d)を特定の割合で共重合してなるものである。
即ち、ポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)を1〜40重量%、親水性単量体(b)を50〜90重量%、水酸基を有する単量体(c)を1〜20重量%、単量体(d)を2〜30重量%共重合してなることが重要であり、単量体(a)を5〜20重量%、単量体(b)を70〜85重量%、単量体(c)を3〜10重量%、単量体(d)を3〜20重量%共重合してなることが好ましい。
尚、各単量体の重量%は、単量体(a)〜(d)の合計100重量%中の値である。
【0024】
前記単量体(a)を殆ど含まないような単量体混合物を共重合してなる重合体を用いて被覆剤組成物を得ても、該被覆剤組成物から滑り性に優れる塗膜を得ることは困難である。一方、40重量%よりも多く含む単量体混合物を反応させても、保存安定性が悪くなり、重合中あるいは貯蔵中に相分離しやすくなり、塗膜表面不良の原因となる。
【0025】
また、親水基を有する単量体(b)が、50重量%未満だと、得られる重合体の親水性が不足するために、水性媒体中での保存安定性が悪く、重合中あるいは貯蔵中に相分離しやすくなり、塗膜表面不良の原因となる。親水基を有する単量体(b)が、90重量%より多いと、得られる重合体を用いて被覆剤組成物を得ても、滑り性と表面状態を両立させることは困難となる。
【0026】
さらに、水酸基を有する単量体を有する単量体(c)が、1重量%未満だと、後述する水性樹脂(A)、水性樹脂の硬化剤(B)との反応性が不足し、レトルト処理により、塗膜が白化する。一方、単量体(c)が、20重量%よりも多いと、得られる重合体(C)が塗膜内部に固定化されやすく、塗膜表面に出難くなるため、滑り性が不良となる。つまり、単量体(c)を用いつつも、その量を比較的少量とすることによって、後述する水性樹脂(A)や硬化剤(B)との反応を適度に抑制し、重合体(C)を塗膜表面近傍に配向させつつ、強固には固定化されないようにするとともに、塗膜内部の水−シリコーン凝集体の生成を抑制できたものと考えられる。
【0027】
また、炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体または芳香族系単量体(d)が、2重量%未満だったり、30重量%よりも多い場合、親水性/疎水性のバランスがくずれてしまい、水性媒体中での保存安定性が悪くなり、重合中あるいは貯蔵中に相分離しやすくなり、塗膜表面不良の原因となる。
【0028】
本発明において用いられる水性樹脂(A)は、水酸基と反応し得る官能基を有し、ポリオルガノシロキサン鎖を有しないものであって、それ自体水性媒体中に溶解もしくは分散し得るものであり、さらに単独では水性媒体中に溶解もしくは分散し得ない硬化剤(B)を、又重合体(C)が単独では水性媒体中に溶解もしくは分散し得ない場合には重合体(C)を水性媒体中に分散せしめる機能を有するものをいう。
水性樹脂(A)は、親水性の官能基と、後述する硬化剤(C)中の水酸基と反応し硬化塗膜を形成し得る官能基とを有するものである。
【0029】
親水性の官能基としては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、スルフォン酸基、又はリン酸基等を挙げることができ、水性樹脂(A)の水性媒体に対する溶解性もしくは分散性を確保する点からは、カルボキシル基、スルフォン酸基、又はリン酸基等の酸性の基を有する場合には、酸価が30mgKOH /g 以上であることが好ましく、得られる塗膜の耐水性の面から60mgKOH /g 以下であることが好ましい。具体的は、缶外面用の水性被覆剤組成物に一般的に使用され得るものを挙げることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0030】
アクリル樹脂は、水性化し得る官能基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体(e)を必須成分とし、該単量体(e)を単独で重合するか、又は先に説明したポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)以外の炭素炭素不飽和二重結合を有する種々の単量体と該単量体(e)とを必要に応じて共重合してなるものであり、重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましい。
単独重合体又は共重合体を水性化し得る官能基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体(e)としては、m≧nの単量体(b)、水酸基を有する単量体(c)等の官能基を有するものが挙げられ、さらにカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の酸基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体が使用できる。
【0031】
カルボキシル基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、モノアクリロキシフマル酸エステル2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸などのモノアクリロキシコハク酸エステル、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのモノアクリロキシフタル酸エステルなどが挙げられる。
【0032】
また、スルフォン酸基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体の例としては、スルフォン酸エトキシ(メタ)アクリレートなどのスルフォン酸アルキル(メタ)アクリレート、スルフォン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート等のスルフォン酸塩アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0033】
リン酸基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体の例としては、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
【0034】
水性樹脂(A)のうちのアクリル樹脂及び先に述べた重合体(C)は、溶液重合等の常法により得ることができる。溶液重合で用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶媒は2種以上の混合物でもよい。重合時の溶剤の仕込み濃度は、0〜80重量%が好ましい。
【0035】
重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ化合物が挙げられる。例えば、過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、クメンヒドロキシペルオキシドなどが用いられ、またアゾ化合物としては、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが用いられる。重合温度は、50〜140℃が好ましく、60〜130℃であることがより好ましい。
【0036】
水性樹脂(A)のうちポリエステル樹脂は、1〜4価のグリコ−ル類と1〜4価のカルボン酸を脱水縮合反応して成るオイルフリーポリエステル樹脂やアルキド系ポリエステル樹脂である、重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましい。
【0037】
水性樹脂(A)のうち変性エポキシ樹脂とは、ビスフェノールA型、F型、AD型、またはノボラック型等のそれ自身では水性化が困難なエポキシ樹脂を、カルボキシル基を有する化合物、リン酸化合物、またはアミノ基を有する化合物等と反応せしめてなるものであり、前記エポキシ樹脂にカルボキシル基、リン酸基、アミノ基等を導入したものであり、重量平均分子量は500〜100000であることが好ましい。
【0038】
エポキシ樹脂の変性に供されるカルボキシル基を有する化合物としては、カプリル酸、ラウリン酸、ジメチロ−ルプロピオン酸、(12ヒドロキシ)ステアリン酸等の(ヒドロキシ)モノカルボン酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びこれらの水添物、または(無水)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族型、またはテトラヒドロ(無水)フタル酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸及びこれらの水添物、または(無水)マレイン酸、フマル酸等があり、これらは1種または2種以上が使用される。
【0039】
エポキシ樹脂の変性に供されるリン酸化合物としては、五酸化二燐を水和してできるオルト燐酸、ピロリン酸、メタ燐酸、三燐酸、四燐酸等やそれらのC1〜C12のアルキルエステルが挙げられる。
【0040】
エポキシ樹脂の変性に供されるアミノ基を有する化合物としては、モノエチルアミン、モノブチルアミン等のモノアルキルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のジアルキルアミン、モノメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルコールアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、アンモニア等が挙げられる。
【0041】
水性樹脂(A)としては、さらに上記アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性エポキシ樹脂を組み合わせて複合化してなるものを挙げることができる。例えば、変性エポキシ樹脂中のグリシジル基と、アクリル樹脂やポリエステル樹脂中の酸基とをエステル反応せしめたり、又はポリエステル樹脂や変性エポキシ樹脂の存在下、アクリル樹脂の重合に供される単量体を過酸化物を用いて重合することにより、アクリル樹脂部分がポリエステル樹脂等にグラフトしてなる複合樹脂を得ることができる。
【0042】
水性樹脂(A)中の親水性基がイオン性の基である場合には、その親水性基をカウンターイオンとなるイオンを含む中和剤で中和することによって、水性樹脂(A)を水性媒体に溶解もしくは分散させることができる。
【0043】
水性樹脂(A)中のイオン性の親水性基がカルボキシル基、スルホン酸基などのアニオン性基の場合には、その親水性基の中和には塩基性の中和剤が用いられる。例えば、アンモニア、トリエチルアミン、N,N,−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアンモニア、有機アミン類、及びその水溶液などを用いることが出来る。また親水性基がアミノ基などのカチオン性基の場合には、酸性の中和剤、例えば、ギ酸、酢酸などの有機酸を用いることが出来る。
【0044】
水酸基と反応し得る水性樹脂(A)の官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基等が挙げられ、水酸基が好ましい。水性樹脂(A)の水酸基価は、10〜150mgKOH/gであることが好ましく、20〜100mgKOH/gであることがより好ましい。
水性樹脂(A)がアクリル樹脂の場合は、水酸基を有する単量体を用いることによって、水性樹脂(A)に水酸基を導入することができる。また、水性樹脂(A)がポリエステル樹脂の場合は、水酸基が残るようにグリコール成分とカルボン酸成分とを反応させればよい。水性樹脂(A)が変性エポキシ樹脂の場合は、エポキシ中の2級水酸基を利用する。
【0045】
水性樹脂(A)は、硬化剤(B)と反応し、硬化塗膜を形成し得る官能基を有することも重要である。
反応に関与する官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、スルフォン酸基、水酸基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、テトラヒドロフルフリール基などが挙げられ、水酸基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基が好ましい。水性樹脂(A)は、必要に応じて2種類上の官能基を有することができる。
【0046】
本発明に使用される硬化剤(B)としては、上記水性樹脂(A)と反応し得る化合物であって、それ自体水に溶解もしくは分散しないものをいう。硬化剤(B)は、さらに重合体(C)とも反応し得ることが好ましい。
本発明に使用される硬化剤(B)としては、イソシアネート基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、アミノ樹脂、フェノール樹脂、水酸基を有する化合物等が挙げられ、アミノ樹脂、フェノール樹脂が好ましく、アミノ樹脂がより好ましい。
【0047】
水性樹脂(A)としてカルボキシル基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、フェノール樹脂、アミノ樹脂、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物、一分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物等を使用することができる。
【0048】
また、水性樹脂(A)としてアミノ基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物、一分子中に2個以上カルボキシル基を有する化合物、一分子中に少なくとも1個の酸無水物基を有する化合物、一分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物を使用することができる。
【0049】
また、水性樹脂(A)としてスルフォン酸基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物などの使用が好ましい。
【0050】
また、水性樹脂(A)として水酸基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、アミノ樹脂、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物、一分子中に2個以上ホルミル基(−CHO)を有する化合物、一分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物、一分子中に2個以上りん酸ハライドを有する化合物などの使用が好ましい。
【0051】
また、水性樹脂(A)としてイソシアネート基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上ヒドラジド基(−ONHNH2 )を有する化合物、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物、一分子中に2個以上カルボキシル基を有する化合物、一分子中に少なくとも1個の酸無水物基を有する化合物、一分子中に2個以上水酸基を有する化合物、一分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物などの使用が好ましい。
【0052】
また、水性樹脂(A)としてエポキシ基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上カルボキシル基を有する化合物、一分子中に少なくとも1個の酸無水物基を有する化合物、一分子中に2個以上水酸基を有する化合物もしくはこれらのアルコキシ変性物、アミノ樹脂、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物、アミノ酸及びそのラクタム、ヒドロキシカルボン酸及びそのラクトン、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物などの使用が好ましい。
【0053】
また、水性樹脂(A)としてN−メチロール基もしくはN−アルコキシメチル基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上カルボキシル基を有する化合物、完全アルキル基型やイミノ基型のメラミン化合物やベンゾグアナミン化合物等のアミノ樹脂系化合物などの使用が好ましい。
【0054】
硬化剤(B)のうち、エポキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6ーヘキサンジオールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステルなどのビスエポキシ化合物、油化シェルエポキシ社製の商品名エピコート828、1001、1004、1007、1009等に代表されるビスフェノールA型又はF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型やO−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナガセ化成工業株式会社製の商品名デナコールEX−611、612、614、614B、622、651、651A、512、521、411、421、301、313、314、321、201、211、212、810、811、850、851、821、830、832、841、861、911、941、920、921、931、2000、4000、922、111、121、141、145、146、171、192、701、721、203、251A、711、731、147、221、125、1101、1102、1103等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0055】
硬化剤(B)のうち、イソシアネート基を有する化合物としては、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート、あるいは、これらとグリコール類またはジアミン類とを反応させてなる両末端イソシアネートアダクト体、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの多価イソシアネート化合物、さらにこれら多価イソシアネート化合物にメチルエチルケトン等のケトン類を反応させオキシム化してなるものも挙げられる。
【0056】
硬化剤(B)のうち、アミノ基を有する化合物としては、ヒドラジン(2HNNH2)、アジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジド(−ONHNH2)系化合物、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン等の直鎖脂肪族ジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の直鎖状ジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、m−キシレンジアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、メチレンビス(フランメタンアミン)等の環状ジアミンが挙げられる。
【0057】
硬化剤(B)のうち、アミノ樹脂としては、三井サイテック社製の商品名サイメル303に代表される完全アルキル型メラミン樹脂、サイメル325に代表されるイミノ基型メラミン樹脂、サイメル1123に代表される完全アルキル型ベンゾグアナミン樹脂、マイコート106に代表されるイミノ基型ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。
【0058】
硬化剤(B)のうち、フェノール樹脂としては、ノボラック型、レゾール型の種々のフェノール樹脂が挙げられる。
【0059】
硬化剤(B)のうち、水酸基を有する化合物としては、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどのジオール、1,1,1−トリメチロールプロパンエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール、マンニトール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、グアヤコール、ヘキシルレゾルシン、ピロガロール、トリヒドロキシベンゼン、フロログルシン、ジメチロールフェノールなどの多価アルコール、または多価フェノール系化合物が挙げられ、これらのアルコキシ変性物も使用することができる。また、アルキレンオイサイド単位の末端の水酸基を有する化合物も上記化合物と同様に使用することができる。
【0060】
これらの硬化剤(B)は、2種類以上使用してもよく、その総使用量は、用途、要求物性に応じ、被覆剤組成物の固形分100重量%中に1〜70重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲である。
【0061】
本発明の水性被覆剤組成物中には、水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応を促進させるために、それらの官能基に応じて、種々の硬化触媒を用いることができる。例えば硬化触媒としては、アルミニウムトリアセチルアセトネート、鉄トリアセチルアセトネート、マンガンテトラアセチルアセトネート、ニッケルテトラアセチルアセトネート、クロムヘキサアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、コバルトテトラアセチルアセトネートなどの金属錯化合物、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシドなどの金属アルコキシド、酢酸ナトリウム、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、硝酸亜鉛などの金属塩化合物、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのリン酸エステル、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸などの酸性化合物、p−トルエンスルホン酸、無水フタル酸、安息香酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ギ酸、酢酸、イタコン酸、シュウ酸、マレイン酸などの酸及びそれらのアンモニウム塩、ジエチル亜鉛、テトラ(n−ブトキシ)チタンなどの有機金属化合物、低級アミン塩、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルエチルアミンなどのアミン類、多価金属塩、水酸化ナトリウム、リチウムクロライドなどが挙げられる。
【0062】
水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、カルボキシル基が関係する場合は、上記硬化触媒のうち、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、アミノ基が関係する反応の場合は、上記硬化触媒のうち、有機過酸化物、酸無水物、カルボン酸、酸化亜鉛−マグネシウムなどの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、ポリオキシエチレン基が関係する場合は、上記硬化触媒のうち、硝酸亜鉛等の使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、イソシアネート基が関係する場合は、上記硬化触媒のうち、アミン類、金属塩化合物などの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、エポキシ基が関係する場合は、上記硬化触媒のうち、有機金属化合物、アミン類などの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、上記硬化触媒のうち、N−メチロール基もしくはN−アルコキシメチル基が関係するは、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、水酸基が関係する場合は、酸性化合物、上記硬化触媒のうち、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。これらの硬化触媒の使用量は、用途、要求物性等に応じ、水性樹脂(A)及び硬化剤(B)の固形分100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
【0063】
また、本発明においては、さらに滑り性を向上する目的で、アエロジル、WAX類等の添加剤を必要に応じて用いることができる。アエロジルとは、シリカ(二酸化珪素)の微粉末である。代表的なものとして、たとえば日本エアロジル株式会社製の商品名AEROSIL50、130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、R972、R972V、R972CF、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812、R812S、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、富士シリシア化学株式会社製の商品名SYLYSIA250、250N、256、256N、310、320、350、358、430、431、440、450、470、435、445、436、446、456、530、540、550、730、740、770等が挙げられる。
【0064】
ワックス類としては、例えば植物性であれば、キャンデリラろう、カルナウバろう、パーム油等があり、動物系であれば密ろう、ラノリン等があり、鉱物系であれば、モンタンワックス(誘導体)等が挙げられる。その他のワックスでは、パラフィンワックス(誘導体)、マイクロクリスタリンワックス(誘導体)、ポリエチレンワックス(誘導体)、硬化ひまし油(誘導体)、脂肪酸(誘導体)等が挙げられる。これらワックス等は、用途、要求物性に応じ、適宜用いることができ、水性樹脂(A)、硬化剤(B)及び重合体(C)の固形分の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜1重量部程度使用することができる。
【0065】
本発明においては、さらに必要に応じ本発明による効果を妨げない範囲で、用途、要求物性に応じ、充填剤、チクソトロピー付与剤、着色顔料、体質顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0066】
本発明の水性被覆剤組成物は、水性樹脂(A)、硬化剤(B)及び重合体(A)を水性媒体に溶解もしくは分散して得られる。水性媒体とは、水及び水を含む有機溶剤であり、有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。これらは水性樹脂(A)、硬化剤(B)及び重合体(C)のそれぞれの組成、並びにその親水性の程度等の応じ適当なものを使用する。溶剤は2種以上用いてもよい。
【0067】
本発明の被覆剤組成物は、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等の有機フィルムや、鉄、アルミニウム等の金属類、またはこれらの金属と前記有機フィルムとの積層物を基材として、これら基材上に、浸漬塗装、吹き付け塗装、刷毛塗り、ロールコーター塗工、バーコーター塗工、グラビア塗工などで塗布することができる。塗布後の被覆剤組成物の硬化条件は、硬化反応に関与する官能基の量、性質等により適切な条件を選択する。一般には、基材に有機フィルムもしくは金属と有機フィルムの積層物が使用されている場合には、60〜200℃で10秒〜3分程度、基材に有機フィルムを含まない場合には120℃〜300℃で10秒〜30分程度加熱硬化することが好ましい。硬化後の膜厚については何ら限定されることはなく、用途に応じ、不揮発分濃度、塗工方法等を選択することによりで適宜調整できる。0.1μmから数μm程度の薄さでも、十分な滑り性を確保することができる。
【0068】
【実施例】
(実施例)次に本発明の実施例について更に具体的に説明する。なお実施例中の部数はすべて重量部を示している。また合成はすべて窒素雰囲気下で行った。
【0069】
製造例1:水性樹脂(A1)の合成
冷却管、攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル228部を仕込み100℃まで昇温し、 メチルメタクリレート 50部、 エチルアクリレート 40部、 N−ブトキシメチルメタアクリレート 100部、 2−ヒドロキシエチルアクリレート 10部、 スチレン 35部、アクリル酸 15部、 t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート 15部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後にアゾビスイソブチロニトリル4部を加えて、さらに2時間重合を行った後、ジメチルエタノールアミン14.8部、イオン交換水85.2部で希釈し、固形分40%、酸価
47mgKOH/g、水酸基価19mgKOH/g、Mw15000の水性樹脂(A1)溶液を得た。
【0070】
製造例2:水性樹脂(A2)の合成
(A1)合成時と同様の装置に分離管を付け、
無水フタル酸 89部、イソフタル酸 398部、エチレングリコ−ル 121部、ブチルエチルプロパンジオール 108部、トリメチロールプロパン 60部を仕込み、210℃に加熱し、留出液を除去しつつ反応を行い、酸価が50mgKOH/g になった時点で、冷却を開始し、ブチルセロソルブ168部、ジメチルエタノールアミン54部、イオン交換水66部で希釈し、固形分70%、酸価50mgKOH/g、水酸基価32mgKOH/g、Mw1700の水性樹脂(A2)溶液を得た。
【0071】
製造例3:水性樹脂(A3)の合成
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下ロ−ト、窒素導入管を備えたフラスコに、エポキシ当量470 のビスフェノ−ルAジグリシジル型エポキシ樹脂 950 部、 エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル 900 部を仕込み120℃に加熱し、エポキシ樹脂を溶解した後、60℃まで冷却した。次に燐酸(純度85%)130部を30分かけて滴下しそのまま2時間反応させた後、ジメチルエタノールアミン106部、イオン交換水90部を滴下し、固形分50%、酸価80mgKOH/g、水酸基価32mgKOH/g、Mw1040の水性樹脂(A3)溶液を得た。
【0072】
製造例4:シリコーン含有重合体(C1)の合成
冷却管、攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM07211(チッソ株式会社製) 8.0部、n−ブチルアクリレート 4.0 部、 2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 24.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価22mgKOH/g、Mw7200の重合体(C1)溶液を得た。
【0073】
製造例5:シリコーン含有重合体(C2)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 16.0部、スチレン 4.0 部、 4−ヒドロキシブチルアクリレート4.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 16.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価18mgKOH/g、Mw3500の重合体(C2)溶液を得た。
【0074】
製造例6:シリコーン含有重合体(C3)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0721(チッソ株式会社製) 8.0部、2−エチルヘキシルアクリレート8.0部、 メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 24.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、Mw5200の重合体(C3)溶液を得た。
【0075】
製造例7:シリコーン含有重合体(C4)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 8.0部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 24.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価48mgKOH/g、Mw4000の重合体(C4)溶液を得た。
【0076】
製造例8:シリコーン含有重合体(C5)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 8.0部、エチルアクリレート4.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 24.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価22mgKOH/g、Mw4000の重合体(C5)溶液を得た。
【0077】
製造例9:シリコーン含有重合体(C6)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 8.0部、n−ブチルアクリレート32.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 7.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート20部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価86mgKOH/g、Mw4000の重合体(C6)溶液を得た。
【0078】
製造例10:シリコーン含有重合体(C7)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 8.0部、n−ブチルアクリレート8.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート24.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 20.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート20部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価129mgKOH/g、Mw3000の重合体(C7)溶液を得た。
【0079】
製造例11:シリコーン含有重合体(C8)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 40.0部、 2−エチルヘキシルアクリレート 36.0部、 アクリル酸 4.0部を使用する以外は製造例4と同様にして重合をした。重合後、脱溶剤を行い、ジメチルアミノエタノール4.9部、イオン交換水106.2部を加えて、固形分40%、酸価39mgKOH /g、Mw3000 の重合体(C8)溶液を得た。
【0080】
実施例1
固形分換算で水性樹脂(A1) 39部、 固形分換算で水性樹脂(A2) 25部、 固形分換算で水性樹脂(A3) 0.5部、 数平均分子量380で1分子内の−NH基の30%をメチルエ−テル化したイミノ基タイプのメトキシエーテル化ベンゾグアナミン樹脂(B1) 35部、 固形分換算で重合体(C1) 0.5部、 スルホン酸系触媒0.2部、 添加剤(シリコ−ン系レベリング剤0.4部、カルナウバワックス0.2部、ラノリン系ワックス0.4部)、を混合し、ブチルセロソルブ及び水で、希釈し水性被覆剤組成物を調整した。
【0081】
実施例2、比較例1〜6
実施例1の組成で重合体(C1)を(C2)〜(C8)にそれぞれ変更した以外は同様の方法で、水性被覆剤組成物を調整した。
【0082】
[塗装板作成]
板厚0.23mmの電気めっきブリキ板に、各実施例、及び各比較例で得た水性被覆剤組成物をロールコ−ト塗装により塗装し、ガスオ−ブンにて焼き付け、乾燥膜厚が10μmの塗装パネルを作成し、以下の特性を評価した。
【0083】
[表面状態]
上記塗装パネルの表面状態(はじきの有無、オレンジピール等)を目視で評価する。
○・・・良好 △・・・実用下限 ×・・・実用外
【0084】
[滑り性]
塗装パネルの滑り性(動摩擦係数)を以下の条件で測定する。ステンレススチール球3点支持、引っ張り速度1.5m/min、垂直荷重1Kg。動摩擦係数の値にて評価する。
○・・・0.08未満
△・・・0.08〜1.12未満
×・・・0.12以上
【0085】
[補正剤密着性]
上記塗装パネルの塗膜上に、アクリル系の溶剤型補正塗料を塗布し加熱乾燥後、補正剤塗膜をナイフでクロスカットし、その部分にセロハン粘着テ−プを付着させた後剥し、補正剤層の剥離面積を目視で評価する。
○・・・0%以上10%未満
△・・・10%以上50%未満
×・・・50%以上
【0086】
[リコート性]
上記塗装パネルの塗膜上に、それぞれ同一の水性被覆剤組成物を再度塗装し、加熱乾燥後、塗膜をナイフでクロスカットし、その部分にセロハン粘着テ−プを付着させた後剥し、上層塗膜の剥離面積を目視で評価する。
○・・・0%以上10%未満
△・・・10%以上50%未満
×・・・50%以上
【0087】
[耐レトルト性]
上記塗装パネルを130℃高圧水蒸気下で30分間処理した後、塗膜の白化状態を目視で判定した。
○・・・白化なし。
△・・・かすかな白化あり。
×・・・著しい白化あり。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【発明の効果】
本発明は、塗膜欠陥がなく、表面状態に優れると共に、その表面が高度な滑り性を有する塗膜(下層)を形成し得る水性被覆剤組成物であって、下層とその上に形成される補正剤等の新たな被覆剤層(上層)との優れた密着性を確保し得る水性被覆剤組成物でかつ、レトルト処理によっても塗膜が白化しない水性被覆剤組成物を提供することを目的とする。
【発明が属する技術分野】
本発明は、水性被覆剤組成物に関し、詳しくは缶の外面被覆用の水性塗料として使用しても、耐レトルト性、表面状態、滑り性、密着性にも優れている水性被覆剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料や食品を内容物とする金属缶の外面塗膜を形成する塗料には、製缶工程において中間製品及び完成品を効率よく搬送し、また完成品に中身を充填する際及び充填した後に効率よく搬送するために、さらに飲料や食品として市場において流通せしめる際の包装容器の傷付きを防止するために、塗膜の表面に高度な滑り性を付与する必要がある。
製缶工程における中間製品の塗膜の滑り性を確保するためには、ベースコート層中にシリコーン化合物が含有される。さらに、完成品の塗膜の滑り性を確保するためには、ベースコート層上に設けられるトップコート層にもシリコーン化合物が含有される。
【0003】
しかし、シリコーン化合物を含有するベースコート層とその上に形成されるトップコート層との密着性がベースコート層中のシリコーン化合物故に損なわれることがあり、また、ベースコート層とその上に形成されるトップコート層との密着性は確保できても、トップコート層の上に補正剤層、修正インキ層、さらに新たなトップコート層が形成される場合、トップコート層と補正剤層等との密着性が、トップコート層中のシリコーン化合物故に損なわれることが多々ある。
一方、ベースコート層(下層)とトップコート層(上層)との密着性、またはトップコート層(下層)と補正剤層等(上層)との密着性を確保するために、それぞれの場合において下層に含有されるシリコ−ン化合物を減らすと滑り性を損ない、搬送性が悪くなり、塗膜表面が傷付き易くなる。
尚、補正剤とは、円筒状の側面部と底部と蓋部とからなるいわゆる3ピース缶の円筒状の缶胴のシーム部を保護するために、当該シーム部に塗布される塗料をいう。修正インキとは、印刷層上にトップコート層を設けた後に印刷層に不具合が生じていることが発見された場合に、印刷の不具合を修正するために用いられるインキをいう。また、修正その他の理由により、一旦トップコート層まで形成した後に、再印刷をした場合、トップコート層自体も再度形成する必要がある。
【0004】
このように高度な滑り性と補正剤等(上層)に対する密着性という相反する要求を共に満足し得る被覆剤組成物について研究を重ねた結果、一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリジメチルシロキサンを有する単量体を重合してなるシリコーン−アクリル共重合体を利用することが有望であることを見出した。
しかしながら、シリコーン−アクリル共重合体を用いて水性の被覆剤組成物中を得るためには、上記共重合体中にカルボキシル基や水酸基といった親水性の基を導入しなくてはならない。
【0005】
例えば、特開平4−175309号公報(特許文献1)には、一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリジメチルシロキサンを有する単量体と、一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とカルボキシル基とを有する単量体とを共重合し、酸価が30〜260mg KOH/g の共重合体を得、係る共重合体中のカルボキシル基を塩基性物質で中和し、前記共重合体を水性化する方法が提案されている。
しかし、上記方法で得られる共重合体を含有する水性被覆剤組成物を用いると、滑り性に優れる塗膜が得られる場合には、その反面塗膜表面にはじきやオレンジピ−ル等といった表面不良を起こしやすい。一方、表面状態が良好なものは滑り性が劣り、表面状態と滑り性とのバランスをとることが極めて難しいという欠点があった。
【0006】
その理由としては定かでないが、前記共重合体中のポリジメチルシロキサン部分とイオン化されたカルボキシル基との極性が極度に違い過ぎるため、水性被覆剤組成物中において、ポリジメチルシロキサン部分が内側に配向し、イオン化されたカルボキシル基が外側を向いた一種の「球」のような状態になりやすいものと考えられる。
つまり、前記共重合体が水性被覆剤組成物中に十分均一に分散し得るように十分酸価を大きくすると、塗膜の表面状態は良好になるものの、ポリジメチルシロキサン部分が「球」の内側に閉じこめられるので、滑り性が劣り、一方、滑り性を向上すべくポリジメチルシロキサン部分が「球」の内側に閉じこめられないように、前記共重合体を低酸価にすると親水性が劣り、水性被覆剤組成物中において前記共重合体は不安定になり凝集し易くなり、その結果塗膜の表面状態が悪くなるものと考えられる。
【0007】
また、特開2001−11384号公報(特許文献2)には、ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂の硬化剤(B)、及びポリオルガノシロキサン鎖を有し上記(A)、(B)とは反応しない重合体(C)を水性媒体中に溶解または分散させてなる水性被覆剤組成物が開示されており、該組成物は、滑り性、表面状態、補正塗料の密着性を満足させることができた。
しかし、上記組成物から形成される塗膜は、レトルト処理をすると白化するという欠点があった。
この原因は、明らかではないが、レトルト処理によって塗膜に侵入した水分に対して、重合体(C)が親水部を内側にして配列し、水−シリコーン凝集体ができてしまい、レトルト処理後にもその凝集物が塗膜中に残存してしまうために塗膜の屈折率が変化し、白化現象が観察されたものと考えられる。
【0008】
【特許文献1】
特開平4−175309号公報
【特許文献2】
特開2001−11384号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗膜欠陥がなく、表面状態に優れると共に、その表面が高度な滑り性を有する塗膜(下層)を形成し得る水性被覆剤組成物であって、下層とその上に形成される補正剤等の新たな被覆剤層(上層)との優れた密着性を確保し得る水性被覆剤組成物でかつ、レトルト処理によっても塗膜が白化しない水性被覆剤組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。
すなわち、本発明は、水酸基と反応し得る官能基を有し、ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂(A)の硬化剤(B)、及び下記単量体(a)〜(d)を共重合してなるポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)を水性媒体中に溶解もしくは分散させてなることを特徴とする水性被覆剤組成物に関する。
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a):1〜40重量%
下記一般式で表される親水基を有する単量体(b):50〜90重量%
(一般式1) CH2=CR1−COO−(CH2CH2O)m−(CH2(CH3)CHO)n−R2
式中R1は、HまたはCH3、
R2は、フェニル基、炭素数が1〜22のアルキル基、またはCH2=CR1−CO−、
m,nはそれぞれ0〜1000の整数であり、m+n≧1、
水酸基を有する単量体(c):1〜20重量%
炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体、または芳香族系単量体(d):2〜30重量%。
【0011】
さらに本発明は、水性樹脂(A)、硬化剤(B)および重合体(C)の合計を100重量%とした場合に、重合体(C)を構成する単量体(a)が0.001〜10重量%であることを特徴とする上記発明に記載の水性被覆剤組成物に関し、
【0012】
さらにまた本発明は、水性樹脂(A)がアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、および変性エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂であることを特徴とする上記発明に記載の水性被覆剤組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、硬化剤(B)が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、アミノ樹脂、およびフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする上記発明に記載の水性被覆剤組成物に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の水性被覆剤組成物は、水酸基と反応し得る官能基を有し、ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂の硬化剤(B)、ポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)から構成される。水酸基を有する単量体(c)を少量使用してなるポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)を用いることで、該重合体(C)が水性樹脂(A)と緩やかな結合を生成し、レトルト処理しても、水を中心とした重合体(C)の球状の配列が塗膜中にできにくくなり、その結果、レトルト白化の解消に成功したものと考察される。さらに、親水性の単量体(b)や、アルキル基を有する単量体または芳香族系単量体(d)を特定量共重合することで、補正剤等の密着性、表面状態、滑り性を満足させることができるようになったものである。
【0015】
本発明で使用されるポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)は、単量体(a)〜(d)を特定の割合で共重合してなるものである。
本発明で使用される一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖とを有する単量体(a)としては、例えば東芝シリコーン(株)製のTSL9705などの片末端ビニル基含有ポリオルガノシロキサン化合物、チッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725などの片末端(メタ)アクリロキシ基含有ポリオルガノシロキサン化合物等が挙げられる。一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)は、塗膜に滑り性を付与する為に不可欠のものであり、要求性能に応じてこれらの内から1種類、あるいは2種類以上を使用できる。
【0016】
本発明で使用される親水基を有する単量体(b)は、下記一般式で表される。
(一般式1) CH2=CR1−COO−(CH2CH2O)m−(CH2(CH3)CHO)n−R2
式中R1は、HまたはCH3、
R2は、フェニル基、炭素数が1〜22のアルキル基、またはCH2=CR1−CO−、 m,nはそれぞれ0〜1000の整数であり、m+n≧1である。
【0017】
n=0の具体例としては、アルコキシモノエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、m=200のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシエチレングリコール(メタ)アクリレート(但し、上記アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、プロポキシ等の炭素数が1〜22のアルコキシ基);フェニルモノエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のフェニルエチレングリコール(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられ、アルコキシエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、アルコキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートがより好ましく、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0018】
m=0の具体例としては、アルコキシモノプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート(但し、上記アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、プロポキシ等の炭素数が1〜22のアルコキシ基);トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが例示できる。
【0019】
m≧n≠0の例として、メトキシヘプタエチレングリコールトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0020】
重合体(C)は、後述する水性樹脂(A)の存在下に水性媒体に溶解もしくは分散すればよく、重合体(C)自体は、水性媒体に溶解もしくは分散し得なくてもよい。しかし、水性被覆剤組成物としての貯蔵安定性、塗膜の表面状態等を考慮すると、重合体(C)自体も多少は水性媒体に親和する部分を有することが好ましい。従って、上記一般式(1)で示される単量体(b)としては、m≧nであることが好ましく、m>nであることがより好ましい。
【0021】
重合体(C)を形成する際に用いられる水酸基を有する単量体(c)の例としては、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4ーヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。単量体(c)を特定量共重合してなる重合体(C)を用いることによって、レトルト処理しても塗膜が白化しない。
【0022】
重合体(C)を形成する際には、その他の単量体として、炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体や芳香族系単量体(d)がさらに用いられる。
炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体(d)の例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。炭素数の短いアルキル基を有する単量体、例えばエチルアクリレートを用いると、塗膜の表面状態が悪くなり、いわゆるオレンジピール(柚肌)となる。
芳香族系単量体(d)の例としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
【0023】
上記したように重合体(C)は、上記単量体(a)〜(d)を特定の割合で共重合してなるものである。
即ち、ポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)を1〜40重量%、親水性単量体(b)を50〜90重量%、水酸基を有する単量体(c)を1〜20重量%、単量体(d)を2〜30重量%共重合してなることが重要であり、単量体(a)を5〜20重量%、単量体(b)を70〜85重量%、単量体(c)を3〜10重量%、単量体(d)を3〜20重量%共重合してなることが好ましい。
尚、各単量体の重量%は、単量体(a)〜(d)の合計100重量%中の値である。
【0024】
前記単量体(a)を殆ど含まないような単量体混合物を共重合してなる重合体を用いて被覆剤組成物を得ても、該被覆剤組成物から滑り性に優れる塗膜を得ることは困難である。一方、40重量%よりも多く含む単量体混合物を反応させても、保存安定性が悪くなり、重合中あるいは貯蔵中に相分離しやすくなり、塗膜表面不良の原因となる。
【0025】
また、親水基を有する単量体(b)が、50重量%未満だと、得られる重合体の親水性が不足するために、水性媒体中での保存安定性が悪く、重合中あるいは貯蔵中に相分離しやすくなり、塗膜表面不良の原因となる。親水基を有する単量体(b)が、90重量%より多いと、得られる重合体を用いて被覆剤組成物を得ても、滑り性と表面状態を両立させることは困難となる。
【0026】
さらに、水酸基を有する単量体を有する単量体(c)が、1重量%未満だと、後述する水性樹脂(A)、水性樹脂の硬化剤(B)との反応性が不足し、レトルト処理により、塗膜が白化する。一方、単量体(c)が、20重量%よりも多いと、得られる重合体(C)が塗膜内部に固定化されやすく、塗膜表面に出難くなるため、滑り性が不良となる。つまり、単量体(c)を用いつつも、その量を比較的少量とすることによって、後述する水性樹脂(A)や硬化剤(B)との反応を適度に抑制し、重合体(C)を塗膜表面近傍に配向させつつ、強固には固定化されないようにするとともに、塗膜内部の水−シリコーン凝集体の生成を抑制できたものと考えられる。
【0027】
また、炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体または芳香族系単量体(d)が、2重量%未満だったり、30重量%よりも多い場合、親水性/疎水性のバランスがくずれてしまい、水性媒体中での保存安定性が悪くなり、重合中あるいは貯蔵中に相分離しやすくなり、塗膜表面不良の原因となる。
【0028】
本発明において用いられる水性樹脂(A)は、水酸基と反応し得る官能基を有し、ポリオルガノシロキサン鎖を有しないものであって、それ自体水性媒体中に溶解もしくは分散し得るものであり、さらに単独では水性媒体中に溶解もしくは分散し得ない硬化剤(B)を、又重合体(C)が単独では水性媒体中に溶解もしくは分散し得ない場合には重合体(C)を水性媒体中に分散せしめる機能を有するものをいう。
水性樹脂(A)は、親水性の官能基と、後述する硬化剤(C)中の水酸基と反応し硬化塗膜を形成し得る官能基とを有するものである。
【0029】
親水性の官能基としては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、スルフォン酸基、又はリン酸基等を挙げることができ、水性樹脂(A)の水性媒体に対する溶解性もしくは分散性を確保する点からは、カルボキシル基、スルフォン酸基、又はリン酸基等の酸性の基を有する場合には、酸価が30mgKOH /g 以上であることが好ましく、得られる塗膜の耐水性の面から60mgKOH /g 以下であることが好ましい。具体的は、缶外面用の水性被覆剤組成物に一般的に使用され得るものを挙げることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0030】
アクリル樹脂は、水性化し得る官能基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体(e)を必須成分とし、該単量体(e)を単独で重合するか、又は先に説明したポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a)以外の炭素炭素不飽和二重結合を有する種々の単量体と該単量体(e)とを必要に応じて共重合してなるものであり、重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましい。
単独重合体又は共重合体を水性化し得る官能基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体(e)としては、m≧nの単量体(b)、水酸基を有する単量体(c)等の官能基を有するものが挙げられ、さらにカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の酸基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体が使用できる。
【0031】
カルボキシル基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、モノアクリロキシフマル酸エステル2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸などのモノアクリロキシコハク酸エステル、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのモノアクリロキシフタル酸エステルなどが挙げられる。
【0032】
また、スルフォン酸基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体の例としては、スルフォン酸エトキシ(メタ)アクリレートなどのスルフォン酸アルキル(メタ)アクリレート、スルフォン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート等のスルフォン酸塩アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0033】
リン酸基と炭素炭素不飽和二重結合とを有する単量体の例としては、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
【0034】
水性樹脂(A)のうちのアクリル樹脂及び先に述べた重合体(C)は、溶液重合等の常法により得ることができる。溶液重合で用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶媒は2種以上の混合物でもよい。重合時の溶剤の仕込み濃度は、0〜80重量%が好ましい。
【0035】
重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ化合物が挙げられる。例えば、過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、クメンヒドロキシペルオキシドなどが用いられ、またアゾ化合物としては、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが用いられる。重合温度は、50〜140℃が好ましく、60〜130℃であることがより好ましい。
【0036】
水性樹脂(A)のうちポリエステル樹脂は、1〜4価のグリコ−ル類と1〜4価のカルボン酸を脱水縮合反応して成るオイルフリーポリエステル樹脂やアルキド系ポリエステル樹脂である、重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましい。
【0037】
水性樹脂(A)のうち変性エポキシ樹脂とは、ビスフェノールA型、F型、AD型、またはノボラック型等のそれ自身では水性化が困難なエポキシ樹脂を、カルボキシル基を有する化合物、リン酸化合物、またはアミノ基を有する化合物等と反応せしめてなるものであり、前記エポキシ樹脂にカルボキシル基、リン酸基、アミノ基等を導入したものであり、重量平均分子量は500〜100000であることが好ましい。
【0038】
エポキシ樹脂の変性に供されるカルボキシル基を有する化合物としては、カプリル酸、ラウリン酸、ジメチロ−ルプロピオン酸、(12ヒドロキシ)ステアリン酸等の(ヒドロキシ)モノカルボン酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びこれらの水添物、または(無水)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族型、またはテトラヒドロ(無水)フタル酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸及びこれらの水添物、または(無水)マレイン酸、フマル酸等があり、これらは1種または2種以上が使用される。
【0039】
エポキシ樹脂の変性に供されるリン酸化合物としては、五酸化二燐を水和してできるオルト燐酸、ピロリン酸、メタ燐酸、三燐酸、四燐酸等やそれらのC1〜C12のアルキルエステルが挙げられる。
【0040】
エポキシ樹脂の変性に供されるアミノ基を有する化合物としては、モノエチルアミン、モノブチルアミン等のモノアルキルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のジアルキルアミン、モノメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルコールアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、アンモニア等が挙げられる。
【0041】
水性樹脂(A)としては、さらに上記アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性エポキシ樹脂を組み合わせて複合化してなるものを挙げることができる。例えば、変性エポキシ樹脂中のグリシジル基と、アクリル樹脂やポリエステル樹脂中の酸基とをエステル反応せしめたり、又はポリエステル樹脂や変性エポキシ樹脂の存在下、アクリル樹脂の重合に供される単量体を過酸化物を用いて重合することにより、アクリル樹脂部分がポリエステル樹脂等にグラフトしてなる複合樹脂を得ることができる。
【0042】
水性樹脂(A)中の親水性基がイオン性の基である場合には、その親水性基をカウンターイオンとなるイオンを含む中和剤で中和することによって、水性樹脂(A)を水性媒体に溶解もしくは分散させることができる。
【0043】
水性樹脂(A)中のイオン性の親水性基がカルボキシル基、スルホン酸基などのアニオン性基の場合には、その親水性基の中和には塩基性の中和剤が用いられる。例えば、アンモニア、トリエチルアミン、N,N,−ジメチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアンモニア、有機アミン類、及びその水溶液などを用いることが出来る。また親水性基がアミノ基などのカチオン性基の場合には、酸性の中和剤、例えば、ギ酸、酢酸などの有機酸を用いることが出来る。
【0044】
水酸基と反応し得る水性樹脂(A)の官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチロール基等が挙げられ、水酸基が好ましい。水性樹脂(A)の水酸基価は、10〜150mgKOH/gであることが好ましく、20〜100mgKOH/gであることがより好ましい。
水性樹脂(A)がアクリル樹脂の場合は、水酸基を有する単量体を用いることによって、水性樹脂(A)に水酸基を導入することができる。また、水性樹脂(A)がポリエステル樹脂の場合は、水酸基が残るようにグリコール成分とカルボン酸成分とを反応させればよい。水性樹脂(A)が変性エポキシ樹脂の場合は、エポキシ中の2級水酸基を利用する。
【0045】
水性樹脂(A)は、硬化剤(B)と反応し、硬化塗膜を形成し得る官能基を有することも重要である。
反応に関与する官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、スルフォン酸基、水酸基、エポキシ基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、テトラヒドロフルフリール基などが挙げられ、水酸基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基が好ましい。水性樹脂(A)は、必要に応じて2種類上の官能基を有することができる。
【0046】
本発明に使用される硬化剤(B)としては、上記水性樹脂(A)と反応し得る化合物であって、それ自体水に溶解もしくは分散しないものをいう。硬化剤(B)は、さらに重合体(C)とも反応し得ることが好ましい。
本発明に使用される硬化剤(B)としては、イソシアネート基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、アミノ樹脂、フェノール樹脂、水酸基を有する化合物等が挙げられ、アミノ樹脂、フェノール樹脂が好ましく、アミノ樹脂がより好ましい。
【0047】
水性樹脂(A)としてカルボキシル基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、フェノール樹脂、アミノ樹脂、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物、一分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物等を使用することができる。
【0048】
また、水性樹脂(A)としてアミノ基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物、一分子中に2個以上カルボキシル基を有する化合物、一分子中に少なくとも1個の酸無水物基を有する化合物、一分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物を使用することができる。
【0049】
また、水性樹脂(A)としてスルフォン酸基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物などの使用が好ましい。
【0050】
また、水性樹脂(A)として水酸基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、アミノ樹脂、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物、一分子中に2個以上ホルミル基(−CHO)を有する化合物、一分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物、一分子中に2個以上りん酸ハライドを有する化合物などの使用が好ましい。
【0051】
また、水性樹脂(A)としてイソシアネート基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上ヒドラジド基(−ONHNH2 )を有する化合物、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物、一分子中に2個以上カルボキシル基を有する化合物、一分子中に少なくとも1個の酸無水物基を有する化合物、一分子中に2個以上水酸基を有する化合物、一分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物などの使用が好ましい。
【0052】
また、水性樹脂(A)としてエポキシ基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上カルボキシル基を有する化合物、一分子中に少なくとも1個の酸無水物基を有する化合物、一分子中に2個以上水酸基を有する化合物もしくはこれらのアルコキシ変性物、アミノ樹脂、一分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物、アミノ酸及びそのラクタム、ヒドロキシカルボン酸及びそのラクトン、一分子中に2個以上アミノ基を有する化合物などの使用が好ましい。
【0053】
また、水性樹脂(A)としてN−メチロール基もしくはN−アルコキシメチル基を有するものを用いる場合は、硬化剤(B)として、一分子中に2個以上カルボキシル基を有する化合物、完全アルキル基型やイミノ基型のメラミン化合物やベンゾグアナミン化合物等のアミノ樹脂系化合物などの使用が好ましい。
【0054】
硬化剤(B)のうち、エポキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6ーヘキサンジオールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステルなどのビスエポキシ化合物、油化シェルエポキシ社製の商品名エピコート828、1001、1004、1007、1009等に代表されるビスフェノールA型又はF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型やO−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナガセ化成工業株式会社製の商品名デナコールEX−611、612、614、614B、622、651、651A、512、521、411、421、301、313、314、321、201、211、212、810、811、850、851、821、830、832、841、861、911、941、920、921、931、2000、4000、922、111、121、141、145、146、171、192、701、721、203、251A、711、731、147、221、125、1101、1102、1103等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0055】
硬化剤(B)のうち、イソシアネート基を有する化合物としては、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート、あるいは、これらとグリコール類またはジアミン類とを反応させてなる両末端イソシアネートアダクト体、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの多価イソシアネート化合物、さらにこれら多価イソシアネート化合物にメチルエチルケトン等のケトン類を反応させオキシム化してなるものも挙げられる。
【0056】
硬化剤(B)のうち、アミノ基を有する化合物としては、ヒドラジン(2HNNH2)、アジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジド(−ONHNH2)系化合物、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン等の直鎖脂肪族ジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の直鎖状ジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、m−キシレンジアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、メチレンビス(フランメタンアミン)等の環状ジアミンが挙げられる。
【0057】
硬化剤(B)のうち、アミノ樹脂としては、三井サイテック社製の商品名サイメル303に代表される完全アルキル型メラミン樹脂、サイメル325に代表されるイミノ基型メラミン樹脂、サイメル1123に代表される完全アルキル型ベンゾグアナミン樹脂、マイコート106に代表されるイミノ基型ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。
【0058】
硬化剤(B)のうち、フェノール樹脂としては、ノボラック型、レゾール型の種々のフェノール樹脂が挙げられる。
【0059】
硬化剤(B)のうち、水酸基を有する化合物としては、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどのジオール、1,1,1−トリメチロールプロパンエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、ズルシトール、マンニトール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、グアヤコール、ヘキシルレゾルシン、ピロガロール、トリヒドロキシベンゼン、フロログルシン、ジメチロールフェノールなどの多価アルコール、または多価フェノール系化合物が挙げられ、これらのアルコキシ変性物も使用することができる。また、アルキレンオイサイド単位の末端の水酸基を有する化合物も上記化合物と同様に使用することができる。
【0060】
これらの硬化剤(B)は、2種類以上使用してもよく、その総使用量は、用途、要求物性に応じ、被覆剤組成物の固形分100重量%中に1〜70重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲である。
【0061】
本発明の水性被覆剤組成物中には、水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応を促進させるために、それらの官能基に応じて、種々の硬化触媒を用いることができる。例えば硬化触媒としては、アルミニウムトリアセチルアセトネート、鉄トリアセチルアセトネート、マンガンテトラアセチルアセトネート、ニッケルテトラアセチルアセトネート、クロムヘキサアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、コバルトテトラアセチルアセトネートなどの金属錯化合物、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシドなどの金属アルコキシド、酢酸ナトリウム、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレートジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、硝酸亜鉛などの金属塩化合物、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのリン酸エステル、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸などの酸性化合物、p−トルエンスルホン酸、無水フタル酸、安息香酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ギ酸、酢酸、イタコン酸、シュウ酸、マレイン酸などの酸及びそれらのアンモニウム塩、ジエチル亜鉛、テトラ(n−ブトキシ)チタンなどの有機金属化合物、低級アミン塩、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルエチルアミンなどのアミン類、多価金属塩、水酸化ナトリウム、リチウムクロライドなどが挙げられる。
【0062】
水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、カルボキシル基が関係する場合は、上記硬化触媒のうち、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、アミノ基が関係する反応の場合は、上記硬化触媒のうち、有機過酸化物、酸無水物、カルボン酸、酸化亜鉛−マグネシウムなどの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、ポリオキシエチレン基が関係する場合は、上記硬化触媒のうち、硝酸亜鉛等の使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、イソシアネート基が関係する場合は、上記硬化触媒のうち、アミン類、金属塩化合物などの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、エポキシ基が関係する場合は、上記硬化触媒のうち、有機金属化合物、アミン類などの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、上記硬化触媒のうち、N−メチロール基もしくはN−アルコキシメチル基が関係するは、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。水性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応に、水酸基が関係する場合は、酸性化合物、上記硬化触媒のうち、酸及びそれらのアンモニウム塩、低級アミン塩、多価金属塩などの使用が好ましい。これらの硬化触媒の使用量は、用途、要求物性等に応じ、水性樹脂(A)及び硬化剤(B)の固形分100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
【0063】
また、本発明においては、さらに滑り性を向上する目的で、アエロジル、WAX類等の添加剤を必要に応じて用いることができる。アエロジルとは、シリカ(二酸化珪素)の微粉末である。代表的なものとして、たとえば日本エアロジル株式会社製の商品名AEROSIL50、130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、R972、R972V、R972CF、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812、R812S、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、富士シリシア化学株式会社製の商品名SYLYSIA250、250N、256、256N、310、320、350、358、430、431、440、450、470、435、445、436、446、456、530、540、550、730、740、770等が挙げられる。
【0064】
ワックス類としては、例えば植物性であれば、キャンデリラろう、カルナウバろう、パーム油等があり、動物系であれば密ろう、ラノリン等があり、鉱物系であれば、モンタンワックス(誘導体)等が挙げられる。その他のワックスでは、パラフィンワックス(誘導体)、マイクロクリスタリンワックス(誘導体)、ポリエチレンワックス(誘導体)、硬化ひまし油(誘導体)、脂肪酸(誘導体)等が挙げられる。これらワックス等は、用途、要求物性に応じ、適宜用いることができ、水性樹脂(A)、硬化剤(B)及び重合体(C)の固形分の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜1重量部程度使用することができる。
【0065】
本発明においては、さらに必要に応じ本発明による効果を妨げない範囲で、用途、要求物性に応じ、充填剤、チクソトロピー付与剤、着色顔料、体質顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0066】
本発明の水性被覆剤組成物は、水性樹脂(A)、硬化剤(B)及び重合体(A)を水性媒体に溶解もしくは分散して得られる。水性媒体とは、水及び水を含む有機溶剤であり、有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。これらは水性樹脂(A)、硬化剤(B)及び重合体(C)のそれぞれの組成、並びにその親水性の程度等の応じ適当なものを使用する。溶剤は2種以上用いてもよい。
【0067】
本発明の被覆剤組成物は、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等の有機フィルムや、鉄、アルミニウム等の金属類、またはこれらの金属と前記有機フィルムとの積層物を基材として、これら基材上に、浸漬塗装、吹き付け塗装、刷毛塗り、ロールコーター塗工、バーコーター塗工、グラビア塗工などで塗布することができる。塗布後の被覆剤組成物の硬化条件は、硬化反応に関与する官能基の量、性質等により適切な条件を選択する。一般には、基材に有機フィルムもしくは金属と有機フィルムの積層物が使用されている場合には、60〜200℃で10秒〜3分程度、基材に有機フィルムを含まない場合には120℃〜300℃で10秒〜30分程度加熱硬化することが好ましい。硬化後の膜厚については何ら限定されることはなく、用途に応じ、不揮発分濃度、塗工方法等を選択することによりで適宜調整できる。0.1μmから数μm程度の薄さでも、十分な滑り性を確保することができる。
【0068】
【実施例】
(実施例)次に本発明の実施例について更に具体的に説明する。なお実施例中の部数はすべて重量部を示している。また合成はすべて窒素雰囲気下で行った。
【0069】
製造例1:水性樹脂(A1)の合成
冷却管、攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル228部を仕込み100℃まで昇温し、 メチルメタクリレート 50部、 エチルアクリレート 40部、 N−ブトキシメチルメタアクリレート 100部、 2−ヒドロキシエチルアクリレート 10部、 スチレン 35部、アクリル酸 15部、 t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート 15部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後にアゾビスイソブチロニトリル4部を加えて、さらに2時間重合を行った後、ジメチルエタノールアミン14.8部、イオン交換水85.2部で希釈し、固形分40%、酸価
47mgKOH/g、水酸基価19mgKOH/g、Mw15000の水性樹脂(A1)溶液を得た。
【0070】
製造例2:水性樹脂(A2)の合成
(A1)合成時と同様の装置に分離管を付け、
無水フタル酸 89部、イソフタル酸 398部、エチレングリコ−ル 121部、ブチルエチルプロパンジオール 108部、トリメチロールプロパン 60部を仕込み、210℃に加熱し、留出液を除去しつつ反応を行い、酸価が50mgKOH/g になった時点で、冷却を開始し、ブチルセロソルブ168部、ジメチルエタノールアミン54部、イオン交換水66部で希釈し、固形分70%、酸価50mgKOH/g、水酸基価32mgKOH/g、Mw1700の水性樹脂(A2)溶液を得た。
【0071】
製造例3:水性樹脂(A3)の合成
温度計、撹拌機、還流冷却機、滴下ロ−ト、窒素導入管を備えたフラスコに、エポキシ当量470 のビスフェノ−ルAジグリシジル型エポキシ樹脂 950 部、 エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル 900 部を仕込み120℃に加熱し、エポキシ樹脂を溶解した後、60℃まで冷却した。次に燐酸(純度85%)130部を30分かけて滴下しそのまま2時間反応させた後、ジメチルエタノールアミン106部、イオン交換水90部を滴下し、固形分50%、酸価80mgKOH/g、水酸基価32mgKOH/g、Mw1040の水性樹脂(A3)溶液を得た。
【0072】
製造例4:シリコーン含有重合体(C1)の合成
冷却管、攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM07211(チッソ株式会社製) 8.0部、n−ブチルアクリレート 4.0 部、 2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 24.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価22mgKOH/g、Mw7200の重合体(C1)溶液を得た。
【0073】
製造例5:シリコーン含有重合体(C2)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 16.0部、スチレン 4.0 部、 4−ヒドロキシブチルアクリレート4.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 16.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価18mgKOH/g、Mw3500の重合体(C2)溶液を得た。
【0074】
製造例6:シリコーン含有重合体(C3)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0721(チッソ株式会社製) 8.0部、2−エチルヘキシルアクリレート8.0部、 メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 24.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、Mw5200の重合体(C3)溶液を得た。
【0075】
製造例7:シリコーン含有重合体(C4)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 8.0部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 24.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価48mgKOH/g、Mw4000の重合体(C4)溶液を得た。
【0076】
製造例8:シリコーン含有重合体(C5)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 8.0部、エチルアクリレート4.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 24.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート40部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価22mgKOH/g、Mw4000の重合体(C5)溶液を得た。
【0077】
製造例9:シリコーン含有重合体(C6)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 8.0部、n−ブチルアクリレート32.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 7.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート20部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価86mgKOH/g、Mw4000の重合体(C6)溶液を得た。
【0078】
製造例10:シリコーン含有重合体(C7)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 8.0部、n−ブチルアクリレート8.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート24.0部、メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート 20.0 部を4つ口フラスコに仕込み、還流点まで昇温後t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート1.6部とメトキシトリエチレングリコールモノアクリレート20部を混合し1時間かけて滴下した。その後2時間重合反応を行い、次にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.2部を加えてさらに2時間重合を行い、固形分40%、水酸基価129mgKOH/g、Mw3000の重合体(C7)溶液を得た。
【0079】
製造例11:シリコーン含有重合体(C8)の合成
製造例4で使用したのと同様の装置を用い、 イソプロピルアルコール 118.2 部、 含シリコーンアクリルモノマーFM0711(チッソ株式会社製) 40.0部、 2−エチルヘキシルアクリレート 36.0部、 アクリル酸 4.0部を使用する以外は製造例4と同様にして重合をした。重合後、脱溶剤を行い、ジメチルアミノエタノール4.9部、イオン交換水106.2部を加えて、固形分40%、酸価39mgKOH /g、Mw3000 の重合体(C8)溶液を得た。
【0080】
実施例1
固形分換算で水性樹脂(A1) 39部、 固形分換算で水性樹脂(A2) 25部、 固形分換算で水性樹脂(A3) 0.5部、 数平均分子量380で1分子内の−NH基の30%をメチルエ−テル化したイミノ基タイプのメトキシエーテル化ベンゾグアナミン樹脂(B1) 35部、 固形分換算で重合体(C1) 0.5部、 スルホン酸系触媒0.2部、 添加剤(シリコ−ン系レベリング剤0.4部、カルナウバワックス0.2部、ラノリン系ワックス0.4部)、を混合し、ブチルセロソルブ及び水で、希釈し水性被覆剤組成物を調整した。
【0081】
実施例2、比較例1〜6
実施例1の組成で重合体(C1)を(C2)〜(C8)にそれぞれ変更した以外は同様の方法で、水性被覆剤組成物を調整した。
【0082】
[塗装板作成]
板厚0.23mmの電気めっきブリキ板に、各実施例、及び各比較例で得た水性被覆剤組成物をロールコ−ト塗装により塗装し、ガスオ−ブンにて焼き付け、乾燥膜厚が10μmの塗装パネルを作成し、以下の特性を評価した。
【0083】
[表面状態]
上記塗装パネルの表面状態(はじきの有無、オレンジピール等)を目視で評価する。
○・・・良好 △・・・実用下限 ×・・・実用外
【0084】
[滑り性]
塗装パネルの滑り性(動摩擦係数)を以下の条件で測定する。ステンレススチール球3点支持、引っ張り速度1.5m/min、垂直荷重1Kg。動摩擦係数の値にて評価する。
○・・・0.08未満
△・・・0.08〜1.12未満
×・・・0.12以上
【0085】
[補正剤密着性]
上記塗装パネルの塗膜上に、アクリル系の溶剤型補正塗料を塗布し加熱乾燥後、補正剤塗膜をナイフでクロスカットし、その部分にセロハン粘着テ−プを付着させた後剥し、補正剤層の剥離面積を目視で評価する。
○・・・0%以上10%未満
△・・・10%以上50%未満
×・・・50%以上
【0086】
[リコート性]
上記塗装パネルの塗膜上に、それぞれ同一の水性被覆剤組成物を再度塗装し、加熱乾燥後、塗膜をナイフでクロスカットし、その部分にセロハン粘着テ−プを付着させた後剥し、上層塗膜の剥離面積を目視で評価する。
○・・・0%以上10%未満
△・・・10%以上50%未満
×・・・50%以上
【0087】
[耐レトルト性]
上記塗装パネルを130℃高圧水蒸気下で30分間処理した後、塗膜の白化状態を目視で判定した。
○・・・白化なし。
△・・・かすかな白化あり。
×・・・著しい白化あり。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【発明の効果】
本発明は、塗膜欠陥がなく、表面状態に優れると共に、その表面が高度な滑り性を有する塗膜(下層)を形成し得る水性被覆剤組成物であって、下層とその上に形成される補正剤等の新たな被覆剤層(上層)との優れた密着性を確保し得る水性被覆剤組成物でかつ、レトルト処理によっても塗膜が白化しない水性被覆剤組成物を提供することを目的とする。
Claims (4)
- 水酸基と反応し得る官能基を有し、ポリオルガノシロキサン鎖を有しない水性樹脂(A)、該水性樹脂(A)の硬化剤(B)、及び下記単量体(a)〜(d)を共重合してなるポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(C)を水性媒体中に溶解もしくは分散させてなることを特徴とする水性被覆剤組成物。
一分子中に炭素炭素不飽和二重結合とポリオルガノシロキサン鎖を有する単量体(a):1〜40重量%
下記一般式で表される親水基を有する単量体(b):50〜90重量%
(一般式1) CH2=CR1−COO−(CH2CH2O)m−(CH2(CH3)CHO)n−R2
式中R1は、HまたはCH3、
R2は、フェニル基、炭素数が1〜22のアルキル基、またはCH2=CR1−CO−、
m,nはそれぞれ0〜1000の整数であり、m+n≧1、
水酸基を有する単量体(c):1〜20重量%
炭素数4〜17のアルキル基を有する単量体、または芳香族系単量体(d):2〜30重量%。 - 水性樹脂(A)、硬化剤(B)および重合体(C)の合計を100重量%とした場合に、重合体(C)を構成する単量体(a)が0.001〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の水性被覆剤組成物。
- 水性樹脂(A)がアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、および変性エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の水性被覆剤組成物。
- 硬化剤(B)が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、アミノ樹脂、およびフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の水性被覆剤組成物。
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