JP4882256B2 - 薄膜トランジスタ - Google Patents
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Description
これらの電子機器には従来と同様に電子回路が設けられており、この電子回路は主にトランジスタで形成されている。
現在のシリコン等の無機半導体材料を使用したトランジスタの製造には、真空蒸着、不純物のドーピング、パターン形成のためのフォトリソグラフ、エッチングなどの多くの真空系、それも真空度を厳密に調整する真空系が必要であり、装置コスト及びランニングコストにより、トランジスタの製造コストが非常に高くなり、上記電子機器の価格も上昇することになる。
この方法として、有機トランジスタ、特に印刷法を用いて形成した有機トランジスタが、安価にフレキシブル基材上に形成する製造方法として用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
すなわち、印刷法を用いることにより、低温でのトランジスタ形成が可能であるため、フレキシブル基材として樹脂フィルムを使用でき、半導体が有機物であり、これを溶媒に溶解した溶液を印刷インキと同様に印刷することができ、高価な装置を用いる必要がなくなる。
「カギは有機トランジスタ 新材料で1MHz超へ」、日経エレクトロニクス、2004年2月16日号、p93-p113
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光による特性変化が少ない、耐光性に優れた、有機半導体を用いた薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
請求項12記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれかに記載の薄膜トランジスタであって、前記半導体層が酸化物半導体からなることを特徴とする。
また、本発明の薄膜トランジスタは、ゲート絶縁膜を、ゲート絶縁層とこのゲート絶縁層より高い屈折率を有する材料で形成するか、またゲート絶縁層とこのゲート絶縁層より高い屈折率を有する材料の層と低い屈折率を有する材料の層との組合せとで形成し、このときゲート絶縁層より高い屈折率を有する層をゲート電極と隣接させ(高い屈折率を有する層の上部にゲート電極を形成させ)、光学多層膜構造を形成して、入射光を反射させる反射絶縁層を形成している。
図1に示すスタガー型薄膜トランジスタは、基材1上にソース・ドレイン電極2、半導体層3、ゲート絶縁膜4、ゲート電極5が順次形成された構造である。
ここで、ゲート電極5は、上記高屈折率層43が形成された後、この高屈折率層43の上部に形成され、高屈折率層43に隣接している。
また、ゲート絶縁膜4は、図2に示すように、半導体層3より屈折率の高い材料を用いて単層として形成することにより、ゲート電極5に隣接していることで反射絶縁層としての機能を有する。
このとき、半導体層3上部にゲート絶縁層44を設け、このゲート絶縁層44の上部に高屈折率層45を設け、この高屈折率層45の上部にゲート電極5を設け、ゲート電極5と高屈折率層45とが隣接するように構成する。
このとき、半導体層3上部にゲート絶縁層44を設け、このゲート絶縁層44の上部に高屈折率層46を設け、この高屈折率層46の上部に低屈折率層47を設け、この低屈折率層47上部に高屈折率層48を設け、この高屈折率層48上部にゲート電極5を設け、ゲート電極5と高屈折率層48とが隣接するように構成する。
具体的には、ガラス基板としてはソーダライムガラス、石英やシリコンウエハなどであり、プラスチックフィルムやプラスチックシートとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリエ-テルスルホン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリアリルレートなどを使用することができる。
さらに、ソース・ドレイン電極2は、基板1上面に対して、真空蒸着、スパッタ、CVD(化学気相成長)などの気相成長法や、凸版印刷、凹版(グラビア)印刷、平版印刷、インクジェット等のその他の印刷法により形成してもよい。
ここで、ソース・ドレイン電極2の導電材料としては、Ni、Al、Cu、Ag、Auなどの金属材料、あるいはNi、Al、Cu、Ag、Au、カーボン等の微粉体、ならびにAg、Cu、Au等のナノ粒子や有機Ag化合物等の導電材を含有する各種導電性ペースト、さらに導電性インク等の公知の材料を用いることができる。
また、半導体層3は、各種公知の方法で形成可能であり、例えば、スピンコート、ディップコート、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、インクジェット、スパッタやレーザアブレーション、有機金属化学気相成長等真空蒸着などから材料に応じ適宜選択して用いる。
ゲート絶縁膜4は、高屈折率層41、低屈折率層42、高屈折率層43からなる3層積層体とした。
また、ゲート絶縁膜4は、低屈折率層及び高屈折率層の積層数が図1の場合に限定されるものではなく、積層体として高屈折率層を少なくとも含んでおり(高屈折率層が1層のみの単層も含まれる)、高屈折率層41(43)と低屈折率層42とが交互に積層されて設けられている。
このゲート絶縁膜4の光学多層膜構造により、外部からの入射光の干渉が生じ、反射させることで、ゲート電極5側から透過する入射光の光量を、半導体層3に到達する際に減少させることができ、外部からの入射光による半導体層3の特性の劣化を抑制することができる。
ここで、高屈折率層41、43には、例えば、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化セリウム、酸化インジウム、酸化タンタル、酸化亜鉛などを用いることができる。
また、低屈折率層42には、例えば、二酸化ケイ素や、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどが用いられる。
これらの成膜方法は、特に限定されるものではなく、スピンコート、ダイコートなどのウェットプロセス、あるいは、スパッタリング法、真空蒸着、CVD法などのドライプロセスなどを用いることができる。
また、上記塗布液に対して、より低屈折率層42の屈折率を低下させるために、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等の低屈折率粒子を加えてもよい。
一方、高屈折率層41、43を形成する塗布液は、屈折率を十分高くするために、平均粒子径が2〜50nmの高屈折率粒子(高屈折率微粒子)を含有することが好ましい。
高屈折率層を形成する塗布液に含有させる高屈折率粒子としては、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化セリウム、酸化インジウム、酸化タンタルなどが挙げられる。
また、平均粒子径が2nm以下の上記高屈折率粒子は、結晶性が低く、屈折率も層全体の屈折率を向上させるほど高くなく、形成される高屈折率層の屈折率を十分に高くすることができない。
一方、平均粒子径が50nm以上の高屈折率粒子は、絶縁性の低下や表面凹凸による薄膜トランジスタの性能への悪影響が問題となる。
膜厚をこの範囲とすることにより、光透過スペクトルにおいて、概ね200〜800nmに光透過率の極小が現れる。
すなわち、半導体層3の光劣化の原因となる紫外可視域の光透過率を、特に減少させることができる。
ここで、光学的膜厚が50nm以下の場合、光透過スペクトルに極小が現れる波長が短くなりすぎ、紫外可光域の透過率を効果的に減ずることができない。
一方、光学的膜厚が200nm以上の場合、所定の膜厚範囲において紫外可視域の透過率を減少させることもあるが、多層膜としてゲート絶縁膜4が厚くなりすぎ、ゲート電極5に印加する駆動電圧が高くなるため好ましくない。
ゲート電極5は、ソース・ドレイン電極2と同様に、各種電極材料を各種ドライプロセスや各種印刷法で高屈折率層上にパターニングすることにより形成される。
本発明のプレーナー型の薄膜トランジスタは、図5に示すように、基材1上にゲート電極5のパターンを設け、この上部にゲート絶縁膜4を設け、半導体層3を設け、半導体層3上部にソース・ドレイン電極2が順次形成された構造であるが、ゲート絶縁膜4を上述した構成とすることにより、ゲート電極5側からの入射光が、半導体層3に到達する際、この光透過量を低下させることができる。
図1に示したスタガー型薄膜トランジスタを、以下(1)〜(5)の手順で作製した。
(1)ソース・ドレイン電極2の形成
基材1であるガラス基板上において、ソース・ドレイン電極2のパターン形状に、Agをマスク蒸着して、ソース・ドレイン電極2を、例えば、50nmの厚さ、20μmの間隔を有して形成した。
(2)半導体層3の形成
ポリ(3-ヘキシルチオフェン)溶液を、上記ソース・ドレイン電極2のパターンが形成された基材1上にスピンコートした後、このポリ溶液を乾燥させることにより、半導体層3を、0.5μmの厚さに形成した。ここで、半導体層3の屈折率は、反射率より見積もった結果、約1.6と求められた。
a.高屈折率層(41、43)形成用塗布液の調製
イソプロパノール分散酸化チタン粒子(高屈折率成分)、ヂタニウムテトラブトキシド(バインダ成分)、トルエンスルホン酸(加水分解用触媒)、イソプロパノール(溶剤)を混合し塗布液を、高屈折塗布液として調製した。
なお、上記高屈折塗布液において、酸化チタン粒子とバインダ中のチタンとのモル比は、酸化チタン/バインダ=8/2であり、固形分濃度は酸化チタン換算で3wt%とした。上記高屈折塗布液より形成される高屈折率層41及び43の屈折率は、反射率より見積もった結果、約1.95と求められた。
テトラメトキシシラン/トリデカフルオロトリメトキシシラン/0.1N塩酸を、9/1/30のモル比で混合し、加水分解させた後、イソプロパノールで希釈し、塗布液を低屈折塗布液として調製した。
上記低屈折塗布液の固形分濃度は、二酸化ケイ素換算で3wt%とした。
上記低屈折塗布液より形成される低屈折率層42の屈折率は、反射率より見積もった結果、約1.35と求められた。
上記半導体層3上において、高屈折率層41として高屈折塗布液を塗布乾燥させた後、低屈折率層42として低屈折塗布液を塗布乾燥させ、高屈折率層43として再び高屈折塗布液を塗布乾燥させ、高屈折率層41、低屈折率層42、高屈折率層43の3層(多層)膜として、ゲート絶縁膜4の成膜を行った。
ここで、上記塗布はスピンコートで行い、乾燥条件は各層それぞれ150℃で10分放置した。
また、高屈折率層41、43及び低屈折率層42の光学的膜厚は、それぞれ約80nmとなるように形成した。
ゲート電極5の材料として、Ag粒子を含む導電ペーストを、ゲート電極5のパターン形状に上記ゲート絶縁膜4上に、厚さ10μmにてスクリーン印刷後、熱処理して溶媒を揮発させ、ゲート電極5を形成した。
次に、各電極(ソース・ドレイン電極2及びゲート電極5)各々に、所定の金属によりボンディングパッドを設け、薄膜トランジスタ素子とした。
従来の薄膜トランジスタ構成として、ゲート絶縁膜を、屈折率が1.6にて、光学的膜厚が240nmの薄膜とした以外、全て本発明の実施形態と同様の手順で、トップゲート型薄膜トランジスタを作製した。
なお、従来の構成に用いたゲート絶縁層形成用の塗布液は、上記高屈折塗布液の処方において、酸化チタン/バインダ=0/10とした組成である。
この光の入射はハンディ紫外線ランプ(波長:365nm、強度:650μW/cm2)を用い、薄膜トランジスタ素子の作製直後に、薄膜トランジスタのゲート電極5側から紫外線を2時間照射した。
評価テーブルを参照すると、ゲート絶縁層4を光学多層膜とすることにより、紫外線照射によるオン/オフ比の変化が小さくなり、耐光性の向上がみられた。
この結果から、紫外線域の波長における光透過率が小さくなり、半導体層3の光劣化が抑制されたことが判る。
2…ゲート・ソース電極
3…半導体層
4…ゲート絶縁膜
5…ゲート電極
41、43、45、46、48…高屈折率層
42、47…低屈折率層
44…ゲート絶縁層
Claims (6)
- 半導体層と、
該半導体層上部に形成されたゲート絶縁膜と、
該絶縁膜上部に形成されたゲート電極と
を有し、
前記ゲート絶縁膜が第1ゲート絶縁層と、該第1ゲート絶縁層の上部に形成され、該第1ゲート絶縁層より屈折率の高い材料からなる第1高屈折率絶縁層との組合せからなる、光反射特性を有する第1反射層の反射絶縁層からなり、
前記第1高屈折率絶縁層が前記半導体層より屈折率の高い材料で形成され、かつ前記第1ゲート絶縁層が前記半導体層より屈折率の低い材料で形成され、前記第1高屈折率絶縁層の上部に前記ゲート電極が形成されていることを特徴とする薄膜トランジスタ。 - 前記第1反射層の下部に、前記第1ゲート絶縁層より屈折率の高い材料からなる第2高屈折率絶縁層と、該第2高屈折率絶縁層より屈折率の低い材料からなる第2ゲート絶縁層とからなる第2反射層が設けられ、前記第1ゲート絶縁層と前記第2高屈折率絶縁層とが接しており、前記第2高屈折率絶縁層が前記半導体層より屈折率の高い材料で形成され、前記第2ゲート絶縁層が前記半導体層より屈折率の低い材料で形成され、前記第1反射層とともに前記反射絶縁層を形成していることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体層より屈折率の高い材料が、平均粒径2〜50nmの高屈折率微粒子を含有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記反射絶縁層の光学的膜厚が50nm〜200nmであることを特徴とする請求項1から請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体層が有機半導体からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記半導体層が酸化物半導体からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタ。
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