JP2004335932A - 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 Download PDF

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Hiroyuki Yasukawa
裕之 安川
Isao Kobayashi
功 小林
Hiroto Ito
博人 伊藤
Saori Nishio
さおり 西尾
Akira Maruyama
昭 丸山
Katsura Hirai
桂 平井
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Abstract

【課題】電界効果が高く、リーク電流が低減し、オンオフ比が向上し、且つ、ゲート電圧を低減できる有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくともゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体材料を含む有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、該支持体上に予め、反応性化合物含有層を設ける工程、ついで、該反応性化合物含有層上に有機半導体材料を設けながら、前記反応性化合物と該有機半導体材料とを反応させ、該有機半導体層が形成される工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてFPD(フラットパネルディスプレイ)に対するニーズが高まっている。また、更に情報化の進展に伴い、従来は紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運び可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーまたは、デジタルペーパー等へのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置のおいては、液晶、有機EL、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保する為に、アクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。例えば、通常のコンピュータディスプレイではガラス基板上にこれら、TFT(Thin Film Transistor)素子を形成し、液晶、有機EL等が封止されている。
【0004】
一方、最近、薄膜トランジスタ(TFT)内の活性半導体層として使用する、低コストで大面積のデバイス、特にディスプレイのアクティブ駆動素子として検討が進められており、関連技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0005】
有機半導体が薄膜TFT内の活性半導体層(電界効果活性層ともいう)として使用されるためには、現状の有機TFTは移動度が低く、素子のキャリア移動度を向上させるためには、有機半導体分子の配向性を向上させ、移動度を向上させることが求められていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−190001号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−307172号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機半導体分子の配向性が向上し、その結果として、キャリア移動度が向上した有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜8により達成された。
【0010】
1.支持体上に、少なくともゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体材料を含む有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、
該支持体上に予め、反応性化合物含有層を設ける工程、ついで、該反応性化合物含有層上に有機半導体材料を設けながら、前記反応性化合物と該有機半導体材料とを反応させ、該有機半導体層が形成される工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0011】
2.反応性化合物が液晶性化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0012】
3.前記有機半導体材料が、分子末端に反応性基を有し、該反応性基が、反応性化合物と反応して有機半導体材料が生成される工程を経て、有機半導体層が形成されることを特徴とする前記1または2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0013】
4.絶縁層が大気圧プラズマ処理により形成され、且つ、該絶縁層が酸化物または窒化物を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0014】
5.絶縁層が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル及び酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする前記4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0015】
6.有機半導体材料の少なくとも1種が、π共役系ポリマまたはπ共役系オリゴマであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0016】
7.有機半導体層が、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のポリマを含む層上に形成されることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0017】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記目的を種々検討の結果、請求項1に記載のように、支持体上に、少なくともゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体材料を含む有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、該支持体上に予め、反応性化合物含有層を設ける工程、ついで、該反応性化合物含有層上に有機半導体材料を設けながら、前記反応性化合物と該有機半導体材料とを反応させ、該有機半導体層が形成される工程を経ることにより、有機半導体分子の配向性が向上し、その結果として、キャリア移動度が向上した有機薄膜トランジスタ及びその製造方法が提供できることを見いだした。
【0019】
《反応性化合物含有層》
本発明に係る反応性化合物含有層について説明する。
【0020】
本発明に係る反応性化合物含有層に含有される反応性化合物は、後述する有機半導体材料と反応することが特徴である。
【0021】
反応性化合物が有機半導体材料と反応することにより、反応性化合物含有層全体が有機半導体層に変化する態様、反応性化合物含有層の一部が有機半導体層になる態様、また、反応性化合物含有層上に新たに有機半導体層が形成される態様等、種々の態様が挙げられる。
【0022】
反応性化合物としては、有機半導体材料と反応する部位(部位とは、置換基でも、部分構造でもよい)を有していればよく、反応の形態としては、置換反応でもよく、付加反応でもよいが、反応後に有機薄膜トランジスタの性能に望ましくない影響を与える可能性のある、反応副生物が実質的に皆無に出来る付加反応が特に好ましく用いられる。
【0023】
(付加反応)
付加反応としては、熱許容の反応でも、光許容の反応でも良いが、本発明においては、有機半導体材料の分子構造に与える影響を最小限に抑制する観点から、熱許容のペリ環状反応が好ましく、中でも、付加反応時に、きわめて高度な立体選択性を示し、結果的に、有機半導体層中での有機半導体材料に適切な配向性付与を行わせる観点から、Diels−Alder(ディールス−アルダー)反応が特に好ましく用いられる。
【0024】
また、反応性化合物の具体例としては、後述する配向性層(配向膜ともいう)を介して、有機半導体層中の有機半導体材料に特定の配向を適切に付与する観点から、液晶性化合物が好ましく用いられる。
【0025】
前記液晶性化合物が、有機半導体材料と反応するためには、液晶性化合物が反応性置換基を有していてもよく、また、前記有機半導体材料が反応性置換基を有していてもよい。
【0026】
(反応性置換基)
反応性置換基としては、置換反応を行わせる態様の場合では、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、イソシアナト基、イソチオシアナト基、イソセレノシアナト基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、メルカプト基、ホルミル基、アシル基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホリル基、ハロカルボニル基、ハロスルホニル基、ハロホスホリル基、アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、プロパルギル基(2−プロペニル基)等が挙げられる。
【0027】
また、付加反応、特にディールスアルダー反応をおこなわせる態様の場合には、ジエン体としては、従来公知の1,3−ジエン結合を有するもの、具体的には、シクロヘキサジエン環、シクロペンタジエン環、ブタジエン構造、フラン環等を分子内または分子末端に反応性置換基として、反応性化合物及び/または、有機半導体材料が有することが好ましい。
【0028】
上記の1,3−ジエン結合のジエン部と反応するオレフィン部分(ジエノフィル)としては、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、p−ベンゾキノン等を分子内または分子末端に反応性置換基として、上記の反応性化合物及び/または、上記の有機半導体材料が有することが好ましい。
【0029】
ディールスアルダー反応活性を高めるためには、上記のオレフィン部分(ジエノフィル)が電子吸引性置換基(例えば、シアノ基、カルボニル基等)を有することが好ましい。
【0030】
以下、本発明に関わる液晶性化合物、有機半導体材料についての詳細は後述するが、上記の反応性置換基を、本発明に係る液晶性化合物、本発明に係る有機半導体材料に導入する方法については、当該業者にとって公知の合成手段を適用することが出来る。
【0031】
反応性化合物含有層中の反応性化合物の含有量としては、50質量%以上が好ましい。
【0032】
《液晶性化合物》
本発明に関わる液晶化合物について説明する。
【0033】
液晶性化合物としては、化学大辞典第一巻、844−845頁(共立出版株式会社昭和35年)に述べられる如く、流動性を持つが、光学的に異方性で複屈折を示す物質で、液体と結晶の中間にある状態のものである。即ち、液晶化合物とは強い双極子と分極し易い原子団を持つ化合物で、例えば、p−シアノフェニル化合物、p−シアノビフェニル化合物、またはp−置換ベンズアルデヒドイミン化合物等が挙げられる。
【0034】
また、本発明では下記に示すような、負の一軸性を示す重合性液晶性化合物、正の一軸性棒状の液晶性化合物、二軸性の重合性液晶性化合物等を用いることができる。
【0035】
負の一軸性を示す重合性液晶性化合物として、典型的にはディスコチック液晶性化合物が挙げられ、例えば、液晶の化学:季刊;化学総説No.22,1994、日本化学会編(学会出版センター)、60〜72頁に記載されているような化合物であり、具体的には、前記総説の62頁に記載のような分子構造1〜46を有する液晶性化合物である。また、特許第2587398号公報、同第2640083号公報、同第2641086号公報、同第2692033号公報、同第2692035号公報、同第2767382号公報、同第2747789号公報等に記載されているような液晶性化合物に重合性を付与した化合物も重合性ディスコチック液晶性化合物の範疇に入る。
【0036】
正の1軸性棒状の重合性液晶性化合物の具体例としては、液晶の化学:季刊 化学総説No.22,1994、日本化学会編(学会出版センター),42、44頁に挙げられている化合物を参照して合成することが出来る。また、TNセルに使用する通常の棒状ネマティック液晶に重合性を付与した化合物等も好適に用いることが出来る。更に、本発明に係る棒状の重合液晶性化合物としては、ネマティック液晶相を発現するものが好ましく用いられる。
【0037】
二軸性の重合性液晶性化合物は、例えば、有機合成化学、第49巻;第5号(1991)の124〜143頁に記載の化合物、D.W.Bruceらの研究報告〔AN EU−SPONSORED’OXFORD WORKSHOP ONBIAXIAL NEMATICS’(St Benet’s Hall、University of Oxford 20−22 December、1996)、p157−293〕、S.CHANDRASEKHAR等の研究報告〔A Thermotropic Biaxial Nematic Liquid Crystal;Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1988,Vol.165,pp.123−130〕、D.Demus,J.Goodby等著〔Handbook of Liquid Crystals Vol.2B:Low Molecular Weight Liquid Crystals II、pp.933−943:WILEY−VCH社刊〕等に記載の化合物に重合性を付与する(例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等を置換する)ことにより合成することが出来る。
【0038】
本発明に用いられる液晶性高分子については、特に制限はないが、正または負の固有複屈折値を有するものが好ましい。これらの詳細については、「LIQUID CRYSTALS,1989,Vol.5,No.1,pp.159−170」に記載されている。
【0039】
本発明に用いられる液晶性高分子は大きく分けると、前述の通りメソゲン基の組み込まれ型として、主鎖型、側鎖型がある。また、サーモトロピックとライオトロピックにも分類できる。
【0040】
本発明に用いられる液晶性高分子としては、特に制限はないが、ネマチック液晶を形成することが好ましい。また、配向性の点で側鎖型が好ましく、配向固定の点でサーモトロピックが好ましい。側鎖型液晶性高分子で用いられる骨格は、ビニル型のポリマー、ポリシロキサン、ポリペプチド、ポリホスファゼン、ポリエチレンイミン、セルロース等が好ましい。
【0041】
《有機半導体材料(有機半導体化合物ともいう)》
本発明に係る有機半導体材料について説明する。
【0042】
本発明において有機半導体材料としては、以下に記載の公知のπ共役系ポリマないしはオリゴマーが好ましく用いられる。
【0043】
(π共役系ポリマ)
π共役系ポリマとしては、例えば、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマや特開平11−195790号に記載された多環縮合体などを用いることができる。
【0044】
(π共役系オリゴマ)
本発明では、上記のポリマと同じ繰返し単位を有する例えば、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601号公報に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマや特開2000−260999号公報に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
【0045】
前記π共役系ポリマ、π共役系オリゴマの中でも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体又はこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数(n)が2〜15であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数(n)が20以上であるポリマ、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。また、繰り返し単位のうち少なくとも1箇所に、例えばC4〜C15のアルキル基などの置換基を付加し、立体的な規則構造を有する材料が好ましい。
【0046】
上記の立体的な規則構造をポリマやオリゴマに適切に付与する観点から、アルキル基などの置換基の付加は、有機半導体材料の有機溶媒への溶解性を高め、有機半導体層を形成したときのポリマの高次構造に規則性付与に効果がある。
【0047】
(チオフェン構造を有するπ共役系ポリマ、π共役系オリゴマ)
上記のπ共役系材料の中でも、最も好ましいものはチオフェン環の連鎖構造を有するポリマまたはオリゴマが好ましく、更に好ましく用いられるのは、3−置換チオフェン環を繰り返し単位として有するポリマまたはオリゴマであり、特に好ましいのは、3−アルキル置換チオフェン環を繰り返し単位として有するポリマまたはオリゴマである。
【0048】
(3−アルキル置換チオフェンのアルキル基)
本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法(薄膜の作製方法である)については、後述するが、有機半導体材料を含む塗布液を調製後、前記塗布液を塗布することにより作製される方法が生産性向上、薄膜作製を精密に制御可能であるとういう観点から好ましく用いられるが、その場合、塗布液の調製に用いる各種有機溶媒等への溶解性向上、且つ、製膜後の半導体材料のチオフェン環繰り返し単位が特定の位置規則性を示すように製膜する観点から、上記の3−アルキルチオフェン環のアルキル基としては、炭素原子数4〜15の直鎖のアルキル基が好ましく、更に、後述する有機半導体層中の有機半導体材料の液晶層への転移温度を240℃以下に調整し、汎用の樹脂を支持体に使用可能にするためには、炭素原子数が6以上の直鎖のアルキル基が好ましく、特に好ましくは、直鎖の炭素原子数8〜12のアルキル基である。
【0049】
(位置規則的ポリ(3−アルキルチオフェン))
本発明に係るポリチオフェンとしては、3−アルキル置換チオフェン環を繰り返し単位(シークエンスともいう)を有するポリチオフェンが好ましく用いられるが、上記の3−アルキル置換ポリチオフェンの中でも特に好ましく用いられるのは、位置規則的(regio regular)ポリ(3−アルキルチオフェン)である。
【0050】
また、本発明に用いられるポリチオフェンとしては、特開平10−190001号公報、Nature、41巻、p685(1999)、Appl.Phys.Lett.69巻、p4108(1996)等に記載の化合物等を用いることも出来る。
【0051】
(ポリチオフェンの分子量)
本発明に係るポリチオフェンの重量平均分子量としては、500〜5000000の範囲にあるものが好ましく、更に好ましくは、1000〜100000の範囲である。
【0052】
《有機半導体層(有機薄膜ともいう)の作製方法》
本発明に係る有機半導体層(有機薄膜)の作製方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法及びLB法等が挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0053】
ただし、上記の中で生産性向上の観点から、有機半導体材料を適当な有機溶媒に溶解し、調製した溶液をもちいて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法等が好ましい有機半導体層の作製方法としてあげられる。
【0054】
有機半導体層を形成した後、加熱処理することが好ましい。有機半導体材料の相転移温度、好ましくは融点以上に加熱し半導体材料を相転移させた後、冷却固化させることで、半導体層を形成する。冷却固化に際し、5℃/秒以下、好ましくは0.1℃/秒〜1.0℃/秒の速度で徐冷することが好ましい。徐冷により有機半導体層におけるキャリアの電界効果移動度が向上する効果が得られる。また、支持体のガラス転移点が本発明の条件に設定されることで、移動度がさらに向上するという予想外の効果が得られた。
【0055】
(有機半導体層の膜厚)
これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下が好ましく、特に好ましくは10nm〜300nmの範囲である。
【0056】
また、有機半導体層中での有機半導体材料の含有率は、50質量%以上であることが好ましい。
【0057】
《支持体》
本発明に係る支持体について説明する。
【0058】
支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えばプラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、従来公知である、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミド、ボリカーボネート(PC)、ノルボルネン(シクロオレフィン)樹脂、ポリメチルペンテン、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、等からなるフィルム等が挙げられる。
【0059】
これらのうち好ましいのは、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン(PSF)、ノボルネン樹脂、耐熱性ポリカーボネート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテート(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類である。
【0060】
これらのフィルムは公知の表面処理、表面コートを行うことができる。例えば酸化ケイ素と酸化アルミニウムの共蒸着膜や、大気圧プラズマ法等による酸化ケイ素と酸化アルミニウムなどの金属酸化物の混合膜あるいは多層複合膜を、ガスバリア層として形成させても良い。またアルミニウムなどの金属薄膜を蒸着したフィルム等をラミネートして複合フィルムを用いてもよいし、フィルム中に金属酸化物微粒子を含有させてもよい。
【0061】
このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0062】
ここで、支持体を構成する樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)、動的粘弾性測定装置を用いて求めることができる。
【0063】
本発明に用いられるポリマーのガラス転移点は、110℃が好ましく、更に好ましくは、150℃以上である。
【0064】
《有機半導体層の下層に設けられる層》
本発明では、請求項7に記載のように、有機半導体層が、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のポリマを含む層上に形成されることが好ましい。
【0065】
具体的には、本発明の有機薄膜トランジスタを構成する有機半導体層に含まれる有機半導体材料が液晶性化合物(単に、液晶性を有する化合物ともいう)である場合には、上記のポリマを含む層が、液晶性を示す有機半導体材料に特定の配向を付与する機能をもつ配向性層であることが好ましい。
【0066】
配向性層(配向膜)としては、液晶ディスプレイなどに用いられる公知の技術、例えば、特開平9−194725号公報、同9−258229号公報に記載される技術を適用して作製することが出来る。
【0067】
配向性層(配向膜)を作製する為の材料としては、上記のポリマが好ましいが、それ以外にも、ペルフルオロポリマー、液晶ポリマー等を用いてもよい。
【0068】
上記のポリマを含む層に配向性付与機能を持たせるためには、層形成(膜形成)後にラビング処理を行うことが好ましい。米国特許第5,468,519号明細書等に記載された電磁場中で配向させる方法を利用してもよい。
【0069】
また、光配向により配向性機能が付与された配向性層(配向膜)も好ましく、例えば、特開平8−286180号公報、同8−313910号公報、同9−80440号公報等に記載されたような配向性層(配向膜)等が挙げられる。
【0070】
配向性層(配向膜)の膜厚としては、1nm〜5μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、5nm〜100nmの範囲である。
【0071】
(添加剤)
本発明においては、有機半導体層には、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
【0072】
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセクター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしてアクセプター、ドナーのいずれも使用可能である。このアクセプターとしてCl2、Br、I、ICl、ICl、IBr、IFなどのハロゲン、PF、AsF、SbF、BF、BC1、BBr、SOなどのルイス酸、HF、HC1、HNO、HSO、HClO、FSOH、ClSOH、CFSOHなどのプロトン酸、酢酸、蟻酸、アミノ酸などの有機酸、FeCl、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoCl、WF、WCl、UF、LnCl(Ln=La、Ce、Nd、Pr、などのランタノイドとY)などの遷移金属化合物、Cl、Br、I、ClO 、PF 、AsF 、SbF 、BF 、スルホン酸アニオンなどの電解質アニオンなどを挙げることができる。またドナーとしては、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどの希土類金属、アンモニウムイオン、R、RAs、R(各Rはアルキル基、アリール基等を表す。)、アセチルコリンなどをあげることができる。これらのドーパントのドーピングの方法として予め有機半導体の薄膜を作製しておき、ドーパントを後で導入する方法、有機半導体の薄膜作製時にドーパントを導入する方法のいずれも使用可能である。前者の方法のドーピングとして、ガス状態のドーパントを用いる気相ドーピング、溶液あるいは液体のドーパントを該薄膜に接触させてドーピングする液相ドーピング、個体状態のドーパントを該薄膜に接触させてドーパントを拡散ドーピングする固相ドーピングの方法をあげることができる。また液相ドーピングにおいては電解を施すことによってドーピングの効率を調整することができる。後者の方法では、有機半導体材料とドーパントの混合溶液あるいは分散液を同時に塗布、乾燥してもよい。たとえば真空蒸着法を用いる場合、有機半導体材料とともにドーパントを共蒸着することによりドーパントを導入することができる。またスパッタリング法で薄膜を作製する場合、有機半導体材料とドーパントの二元ターゲットを用いてスパッタリングして薄膜中にドーパントを導入させることができる。さらに他の方法として、電気化学的ドーピング、光開始ドーピング等の化学的ドーピングおよび例えば刊行物{工業材料、34巻、第4号、55頁、1986年}に示されたイオン注入法等の物理的ドーピングの何れも使用可能である。
【0073】
《電極》
本発明の有機薄膜トランジスタの構成に用いられる、電極としてはゲート電極、ソース電極、ドレイン電極について説明する。ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極としては、有機薄膜トランジスタとして公知の素材を適用できる。具体的には、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。ソース電極、ドレイン電極は、中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
【0074】
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。又、TFTシート作製の場合は、信号線、走査線、表示電極を設けるが、上記素材、形成方法が適用できる。
【0075】
上記の導電性微粒子作製に用いられる、微粒子としては、金属、無機酸化物、無機窒化物、ポリマー等の微粒子が用いられるが、好ましくは金属微粒子である。本発明の金属微粒子の金属としては、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、タンタル、インジウム、コバルト、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、等を用いることができる。特に、仕事関数が4.5eV以上の白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンが好ましい。
【0076】
このような金属微粒子の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法があげられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、特開平11−80647号公報、特開2000−239853号公報などに示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35814号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報等に記載されたガス中蒸発法により製造された分散物である。
【0077】
《絶縁層(ゲート絶縁層ともいう)》
本発明の有機薄膜トランジスタに用いられる絶縁層(ゲート絶縁層)について説明する。ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができる。特に、比誘電率の高い酸化物皮膜や窒化物被膜が好ましい。酸化物としては、無機酸化物が好ましく、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどがあげられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。
【0078】
また、窒化物としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物が挙げられ、特に好ましいのは、窒化ケイ素である。
【0079】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスがあげられ、材料に応じて使用できる。ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法とゾルゲル法であり、特に好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
【0080】
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法については以下のように説明される。上記大気圧下でのプラズマ製膜処理とは、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理を指し、その方法については特開平11−133205号公報、特開2000−185362号公報、特開平11−61406号公報、特開2000−147209号公報、同2000−121804号公報等に記載されている。これによって高機能性の薄膜を生産性高く形成することができる。
【0081】
又、有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物、等を用いることもできる。
【0082】
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。又、これら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは100nm〜1μmである。
【0083】
【発明の実施の形態】
《有機薄膜トランジスタの層構成》
以下に、本発明の有機薄膜トランジスタの一態様を図1(a)〜(c)により詳細に説明する。ここで、図1(a)〜(c)は、各々本発明の有機薄膜トランジスタの概略断面図を表す。
【0084】
図1に本発明の有機薄膜トランジスタの一態様を示す模式図である。
図1(a)において、本発明の有機薄膜トランジスタ10aは、支持体1上にゲート電極2が形成され、ゲート絶縁膜3を介して配向層(配向膜ともいう)4に隣接して有機半導体層5がソース電極6とドレイン電極7を連結するチャネルとして形成されている。
【0085】
図1(b)において、本発明の有機薄膜トランジスタ10bは、支持体1上にゲート電極2が形成され、ゲート絶縁膜3、配向層(配向膜ともいう)4をこの順に有し、ソース電極6とドレイン電極7を覆って有機半導体層5が配向膜4に隣接してチャネルとして形成されている。
【0086】
図1(c)において、本発明の有機薄膜トランジスタ10cは、支持体1上に配向層(配向膜ともいう)4を有し、ソース電極6とドレイン電極7を覆って有機半導体層5が配向膜4に隣接してチャネルとして形成され、ゲート絶縁膜3を介してゲート電極2が形成されている。
【0087】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0088】
実施例1
《有機薄膜トランジスタ1の製造》:比較例
厚さ150μmのPESフィルム(住友ベークライト製FS−1300)上に、スパッタ法により、厚さ100nm、幅300μmのアルミニウム皮膜を成膜し、ゲート電極とした。そのフィルムの上に、特開2000−80182号公報に記載の装置を用い、アルゴン(98.2体積%)、テトラメトキシシラン(0.3体積%)、水素ガス(1.5体積%)の混合ガスを使用して、大気圧プラズマ法により厚さ150nmの酸化ケイ素の膜を形成した。
【0089】
次に、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のregio regular体(アルドリッチ社製)のクロロホルム溶液を調製し、Nガス雰囲気中で、上記の酸化ケイ素膜上にアプリケーターを用いて塗布し、室温で乾燥させた。
【0090】
このときポリ(3−ヘキシルチオフェン)の膜厚は30nmであった。さらに、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)膜の表面に、マスクを用いて金を蒸着し、ソース、ドレイン電極を形成した。幅100μm、厚さ100nmのソース、ドレイン電極は、先のゲート電極に直交するよう配置され、チャネル幅W=0.3mm、チャネル長L=20μmの有機薄膜トランジスタ1が形成された。
【0091】
得られた有機薄膜トランジスタは、pチャネルエンハンスメントTFTとして駆動した。また、飽和領域におけるキャリア移動度は0.008であった。
【0092】
《有機薄膜トランジスタ2の製造》:本発明
有機薄膜トランジスタ1の製造において、酸化ケイ素膜の上に、下記のように配向層としての機能を有するポリイミド薄膜を形成し、次いで、有機半導体層、ソース電極、ドレイン電極等を設けた以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ2を製造した。
【0093】
(ポリイミド薄膜の形成):配向層の形成
市販のポリイミド材料とシクロペンタジエンを80:20の質量比で混合したものを用いて、厚さ20nmのポリイミド薄膜(シクロペンタジエン含有)を形成し、布でこすることによりラビング処理を施し、表面層(厚さとして数nm)に存在するシクロペンタジエンを配向させた。
【0094】
ここで、ラビング処理を施したポリイミド薄膜は、本来は前記ポリイミド薄膜上に形成される液晶性化合物層の配向に用いられが、ポリイミド薄膜中のシクロペンタジエンがラビング処理後に配向しているものを得ることが出来た。
【0095】
(有機半導体層の形成)
ポリチオフェン(チオフェン環を6単位有するもの)のregio regular体の末端の一方のチエニル基には、−(CH−O−Cを置換基として導入し、もう一方の末端のチエニル基にはシクロペンタジエニル基を導入した。
【0096】
シクロペンタジエニル基や−(CH−O−C基の導入は、従来公知の合成法を用いることができるが、反応工程は、まず、両末端のチエニル基に臭素原子を導入後、置換反応により、目的物を得た。
【0097】
上記で得られた目的物のクロロホルム+キシレン溶液を調製し、N雰囲気中で、前記ポリイミド薄膜の表面にアプリケータを用いて塗布し、250℃、10時間の熱処理を施し、ポリチオフェンの末端にある、シクロペンタジエンとポリイミド配向層中のシクロペンタジエンとをDiels−Alder(ディールス−アルダー)反応を行わせ、環形成させた。
【0098】
また、反応中、ポリチオフェンは、ポリイミド薄膜の配向性付与機能により、分子が膜内(層内ともいう)において配向している有機半導体層を得ることが出来た。
【0099】
得られた有機薄膜トランジスタは、pチャネルエンハンスメントTFTとして駆動した。また、有機半導体層の膜厚は30μmであり、キャリア移動度(cm/V・s)は、0.013であった。
【0100】
得られた結果から、本発明の有機薄膜トランジスタは、比較に比べてキャリア移動度が大きく向上していることが判る。
【0101】
【発明の効果】
有機半導体分子の配向性が向上し、その結果として、キャリア移動度が向上した有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機トランジスタ素子の構成をモデル的に示す図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 配向膜
5 有機半導体層
6 ソース電極
7 ドレイン電極
10 有機トランジスタ素子

Claims (8)

  1. 支持体上に、少なくともゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体材料を含む有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタの製造方法において、
    該支持体上に予め、反応性化合物含有層を設ける工程、ついで、該反応性化合物含有層上に有機半導体材料を設けながら、前記反応性化合物と該有機半導体材料とを反応させ、該有機半導体層が形成される工程を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 反応性化合物が液晶性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 前記有機半導体材料が、分子末端に反応性基を有し、該反応性基が、反応性化合物と反応して有機半導体材料が生成される工程を経て、有機半導体層が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 絶縁層が大気圧プラズマ処理により形成され、且つ、該絶縁層が酸化物または窒化物を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 絶縁層が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル及び酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 有機半導体材料の少なくとも1種が、π共役系ポリマまたはπ共役系オリゴマであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  7. 有機半導体層が、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種のポリマを含む層上に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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