JP4881267B2 - エポキシ化熱可塑性重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに詳しくは、ジエン系重合体等の分子鎖中にある二重結合を利用してエポキシ化するに際し、粒状の上記熱可塑性重合体を用い、これを水に分散、懸濁させた状態でエポキシ化を行うことにより、該粒状熱可塑性重合体に、溶剤に不溶な殻状表面層が形成された、エポキシ化粒状熱可塑性重合体及びその製造方法に関する。
より詳しくは、熱可塑性重合体の分子中にある二重結合をエポキシ化するに際し、熱可塑性重合体を水に分散又は懸濁させた状態で行う、上記各種用途に使用されるエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
更に加えて、例えばペレット状形態で分散状態にある熱可塑性重合体を、使用する反応促進剤の特性、種類、量等を規定することにより、水中でのブロッキングを防止する分散系を維持した状態でエポキシ化反応を行うことを可能とし、エポキシ化熱可塑性重合体を固形分濃度の高い状態で、しかもペレット、クラム、パウダー等の状態で回収することを可能としたエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
(1)過酸化水素と蟻酸、酢酸などの低級カルボン酸とを反応させ過カルボン酸を製造し、該過カルボン酸をエポキシ化剤として反応系に加え、溶剤の存在下又は非存在下にエポキシ化反応を行う方法。
(2)オスミウムの塩、タングステン酸等の触媒及び溶媒の存在下、過酸化水素を用いてエポキシ化する方法。
しかしながら、溶媒への溶解工程、エポキシ化反応後の副生成物であるカルボン酸類の除去のための水洗処理及び脱溶媒操作工程の煩雑さが有り、生成物の回収には困難を極める。特に、エポキシ化対象ジエン系重合体がゴム系重合体であるときは、エポキシ化した生成物が高粘性を持ち、取扱時の作業性が著しく悪い問題点を有する。更にエポキシ化した重合体の形態に関しても、エポキシ化後に粉末、クラム、ペレット等、成形用原料化できないベール形態になるケースもあり、改質剤として添加、混練使用する場合の使用態様が制限されることが多い。
又、エポキシ化の進行と共に溶剤に溶解する重合体原料もあり、上記同様にエポキシ化の進行と共にペレット同士がブロッキングしてしまう問題が発生する。なお、反応系に使用される溶剤として多量の有機溶剤を使用しており、その回収の作業に関する観点からも課題がある。
特開平9−208617号公報においては、化学変性ジエン系重合体組成物、及びその製造方法として水中に0.05〜10μmという微粒子状態にある重合体をエポキシ化し組成物を製造する方法を提案しているが、組成物としての製造方法であり、エポキシ化重合体の回収性に関する点又は該エポキシ化重合体のブロッキング性改良などの点に関しては言及されていない。
特開平10−316715号公報には、重合体中のイソプレン単位がトランス−1,4結合により結合しているイソプレン系重合体の水性分散液を過酢酸によりエポキシ化し、分散液としての機械的安定性および塗膜の接着性に優れた、エポキシ変性イソプレン系重合体を含有する重合体の水分散液を得ることが記載されている。
特開2000−44708号公報には、未加硫または加硫ゴム製品を、過酸存在化の水溶液で表面処理することにより、ゴム製品表面層をエポキシ化し、非粘着性、滑性、その他のバリア的効果を付与するゴム製品の表面処理方法に関する発明が記載されている。
なお、上記製造方法に関しては、従来行われて来たエポキシ変性方法、即ち、前記ジエン系重合体等の熱可塑性重合体を溶媒に溶解してエポキシ化を行う方法に代わる方法を提供しようとするものである。
具体的には熱可塑性重合体のペレット、パウダー等の粒状体を、そのまま水に分散ないし懸濁させた系において、過酢酸、リン酸系化合物及び好ましくは更に反応促進剤を用いてエポキシ化し、且つ該粒状体に耐溶剤性、具体的には25℃のトルエンに不溶の殻状表面層を形成させることにより、水中でのエポキシ化反応が分散した形で進行させることができるばかりか、エポキシ化に供した重合体の外観形態を保持したまま乾燥が実施できることになり、最終の変性粒状熱可塑性重合体に該殻状表面層が形成され、粒状体間にブロッキング状態の発生しにくいエポキシ化熱可塑性重合体を製造できることを見出し、本発明(第1群の発明)を完成するに至った。第1群の発明の要旨は以下の通りである。
25℃のトルエンに不溶な殻状表面層が形成されてなることを特徴とするエポキシ化粒状熱可塑性重合体、及び
水媒体中で粒状熱可塑性重合体を、エポキシ化剤又は該エポキシ化剤とエポキシ化反応促進用溶剤、及びリン酸系化合物の存在下にエポキシ化してエポキシ化粒状熱可塑性重合体とする第一工程、該エポキシ化粒状熱可塑性重合体の水洗、又は中和と水洗のための第二工程、及び第一工程で使用されることのあるエポキシ化反応促進用溶剤の除去のための必要に応じて設けられる第三工程とからなる上記エポキシ化粒状熱可塑性重合体の製造方法、についても説明する。
第2群の発明の第1は、固体状の熱可塑性重合体(A)を水(B)に分散又は懸濁させた状態下、過酸化物(C)を使用して、該分散又は懸濁状態を維持しながら該熱可塑性重合体(A)をエポキシ化することを特徴とするエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第2は、熱可塑性重合体(A)の球換算粒子径が0.05〜7mmの範囲である本発明の第1のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第3は、熱可塑性重合体(A)が、ブタジエン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、イソプレン重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、及びこれらのジエン系重合体もしくは共重合体の部分水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体である本発明の第1又は第2のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第4、過酸化物(C)の他に、更に反応促進剤(D)を用いる本発明の第1〜3のいずれかのエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第5は、反応促進剤(D)として、熱可塑性重合体(A)を溶解又は膨潤させることができる1以上の有機溶剤を使用する本発明の第4のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第6は、反応促進剤(D)として、溶解性パラメーターが9.0未満の有機溶剤を使用し、且つ、熱可塑性重合体(A)100重量部に対して、水(B)50〜1000重量部及び反応促進剤(D)0.5〜20重量部を使用する本発明の第4又は5のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第7は、反応促進剤(D)が、シクロヘキサン、トルエン及びキシレンからなる群から選ばれる1以上の単独又は混合溶剤である本発明の第6のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第8は、熱可塑性重合体(A)がスチレン−ブタジエン共重合体であり、且つ一般式a−(b−a)n(但し、n≧1、aはポリスチレン、bはポリブタジエン又はその部分水添物を示す。)で表される直鎖状又は分岐状の重合体であり、熱可塑性重合体(A)100重量部に対して、水(B)50〜1000重量部及び溶解性パラメーターが9.0以上の有機溶剤である反応促進剤(D)0.5〜30重量部を使用する本発明の第4又は5のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第9は、熱可塑性重合体(A)が、(i)一般式(a−b)m(但し、m≧2であり、aはポリスチレン、bはポリブタジエン又はその部分水添物を示す。以下、同じ。)で表されるスチレン−ブタジエン共重合体、(ii)一般式a−(b−a)n(但し、n≧1)及び上記一般式(a−b)mでそれぞれ表されるスチレン−ブタジエン共重合体の混合物、(iii)ブタジエン重合体、(iv)イソプレン重合体、(v)スチレン−イソプレン共重合体、(vi)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、(vii)エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー及び(iix)これら(i)〜(vii)の内から任意に選ばれる1以上の部分水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体、共重合体、共重合体の混合物又はこれらの混合物であり、熱可塑性重合体(A)100重量部に対して、水(B)50〜1000重量部及び溶解性パラメーターが9.0以上の有機溶剤である反応促進剤(D)0.5〜100重量部を使用する本発明の第4又は5のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第10は、反応促進剤(D)が、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、メチルエチルケトン及びクロロホルムからなる群から選ばれる1以上の単独又は混合溶剤である本発明の第8又は9のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
本発明の第11は、過酸化物(C)として過酢酸、又は過酸化水素を用いて誘導される他の過カルボン酸を使用する本発明の第1〜10のいずれかのエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第12は、過酸化物(C)として過酢酸を使用する本発明の第11のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第13は、過酸化物(C)を反応促進剤(D)で希釈して使用する本発明の第3〜12のいずれかのエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第14は、熱可塑性重合体(A)のエポキシ化反応温度が10〜70℃である本発明の第1〜13のいずれかのエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第15は、エポキシ化熱可塑性重合体中のエポキシ基に由来するオキシラン酸素濃度を0.1〜5.0重量%の範囲に制御して行う本発明の第1〜14のいずれかのエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明の第16は、エポキシ化熱可塑性重合体のゲル含有量を5重量%以下に制御して行う本発明の第1〜15のいずれかのエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法に関する。
第2群の発明のエポキシ化熱可塑性重合体の製造方法によると、常温で固体状を呈している、分子中に二重結合を持つジエン系の樹脂又はゴム系重合体等のエポキシ化対象熱可塑性重合体を、水に分散または鹸濁させてエポキシ化すればよく、溶媒に溶解させる必要はなく、不均一な系でブロッキングを起こすことも無く、容易にエポキシ化することができる有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
本発明の製造方法に係るエポキシ化対象の熱可塑性重合体は、固体状の樹脂又は固体状のゴム系重合体のいずれでもよいが、ゴム系重合体が従来の溶媒への溶解法ではより困難であった点を考慮すると本発明の適用効果の大きい点では特に好適である。又、当該エポキシ化対象の熱可塑性重合体は、分子内にジエン系モノマーに基づく二重結合を持つものであれば特に制限はない。
本発明に係る熱可塑性重合体を構成する単量体の代表例としてはブタジエン及びイソプレンを挙げることができるので、以下熱可塑性重合体としては、この両者を中心にして説明する。
ブタジエン又はイソプレンと共重合させる他の単量体としては、他の共役ジエン、ビニル化合物等を挙げることができる。
ブタジエンと共重合させることができる他の共役ジエンとしては、例えばイソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン等を挙げることができる。これら他の共役ジエンは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
又、イソプレンと共重合させることができる他の共役ジエンとしては、例えばブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン等を挙げることができる。これら他の共役ジエンは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
しかし、本発明においてエポキシ化される熱可塑性重合体としては、ブタジエンとスチレンとのランダム共重合体、ブタジエンと(メタ)アクリロニトリルとのランダム共重合体、ブタジエンとスチレンとのブロック共重合体、イソプレンとスチレンとのランダム共重合体、イソプレンと(メタ)アクリロニトリルとのランダム共重合体、イソプレンとスチレンとのブロック共重合体の他、ブタジエンとイソプレンとの共重合体が好ましい。ブタジエンとイソプレンとの共重合体は、場合によりスチレン、(メタ)アクリロニトリル等のビニル化合物を含有することもできる。
本発明に係るエポキシ化対象重合体としてのブタジエンの単独重合体若しくは共重合体、及びイソプレンの共重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜5,000,000、特に好ましくは5,000〜500,000である。
本発明の製造工程は、水媒体中で粒状熱可塑性重合体を、過酸等のエポキシ化剤又は該エポキシ化剤とエポキシ化反応促進用溶剤の存在下にエポキシ化してエポキシ化粒状熱可塑性重合体とする第一工程、該エポキシ化粒状熱可塑性重合体の水洗、又は中和と水洗のための第二工程、及び第一工程で使用されることのあるエポキシ化反応促進用溶剤の除去のための必要に応じて設けられる第三工程とからなるエポキシ化粒状熱可塑性重合体の製造方法からなる。
第一工程でのエポキシ化反応工程では粒状熱可塑性重合体の分散媒として水が用いられるが、エポキシ化剤としては好ましくは過酢酸が、単独で又はその有機溶剤と共に使用され、リン酸系化合物、更に反応促進剤として有機溶剤が好ましく使用される。なお、過酢酸の溶媒である有機溶剤が反応促進剤としての有機溶剤を兼ねてもよい。
第二工程においては、水洗又は中和と水洗工程を含み、固液分離により重合体を分離し、第三工程へ供給する。
続く第三工程においては、第二工程で得られた重合体の粒状外形を保持したまま乾燥させることにより、エポキシ化された殻状表面層を有する粒状変性熱可塑性重合体を回収する。
なお、第一工程における過酸の添加によるエポキシ化反応においては、少なくとも粒状重合体の表面においては副生カルボン酸との反応に伴うエポキシ基の開環、引き続いての水酸基とエポキシ基の架橋及びまたはジエン成分の過酸によるラジカル架橋と推定される架橋反応が起こり、耐溶剤性(例えば25℃のトルエンに対しての耐性)に優れ、かつ化学的に安定な殻状表面層が形成されている。この殻状表面層は粒状体間のブロッキング等を抑え、エポキシ化粒状熱可塑性重合体の取扱性の向上に貢献している。
リン酸系化合物は、エポキシ化粒状熱可塑性重合体の殻状表面層の形成に効果を有するのでエポキシ化反応の際に用いることが好ましい。
過カルボン酸類をエポキシ化剤として使用する場合には、過カルボン酸類を溶媒に溶解して使用することが好ましい。過カルボン酸類の溶媒としては、ヘキサン等の炭化水素類、酢酸エチル等の有機酸エステル類、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。エポキシ化反応に及ぼすこれら溶媒の効果としては、上記の反応促進剤と同様であり、エポキシ化対象熱可塑性重合体の内部に浸透してエポキシ化反応を促進するものであり、従って、これら溶媒を使用することが望ましい。但し、ここで過酸化物の溶媒として使用される有機溶剤が、反応促進剤としても機能する有機溶剤の場合には、その使用量は、本発明の前記反応促進剤の使用量に加えて考える必要がある。
又、本発明に係る製造方法によりエポキシ化する際、得られるエポキシ化物に由来するゲルは、本製造方法によるエポキシ化が表面から進行するため、粒状体の表面に多く発生し、該表面に殻状表面層を形成する。該ゲル含有量は25℃のトルエンに対する不溶解分の割合(エポキシ化粒状熱可塑性重合体試料全体に対する割合。以下、同様。)として評価される。ゲルの含有量は0.1重量%以上、更には0.3重量%以上、特に0.5重量%以上が好ましい。上限は他の樹脂の改質樹脂として本発明のエポキシ化物を用いるので、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下となるように、下記エポキシ化の諸条件を調整する。
反応系の圧力は大気圧下が普通であるが、やや減圧下でもよく、又やや加圧下であってもよい。
耐熱安定剤としては、フェノール系、リン系などの従来公知のものが使用できる。これらの耐熱安定剤は、重合体100重量部に対して0.01〜3重量部の使用が好ましいが、更に好ましくは0.05〜3重量部であり、特に好ましくは0.1〜2重量部の範囲である。
上記フェノール系安定剤は2種以上組合せて使用することもできる。フェノール系安定剤の使用量が0.01重量部未満の場合には熱安定性及び色調の改良効果が低く、逆に3重量部を超えても本発明の範囲以上の効果が発揮されない。
なお、本発明に係る架橋されたエポキシ変性粒状熱可塑性重合体の製造方法においては、該重合体に目的に応じて種々の添加剤、例えばオイル等の軟化剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、無機充填剤、有機又は無機繊維、カーボンブラック等の補強剤、他の熱可塑性樹脂等が添加されるが、これら添加剤は、前記乾燥工程に入る前に添加されることが好ましい。
本発明に係る製造方法は、固体状の熱可塑性重合体(A)を水(B)に分散又は懸濁させてた状態下で、エポキシ化剤として過酸化物(C)を使用し、好ましくは更に反応促進剤(D)を使用し、エポキシ化反応中は該固体状の重合体の分散状態等を維持しつつ、しかも反応前後又は反応中の重合体にはブロッキングを起こさせることなくエポキシ化する方法である。
例えば、熱可塑性重合体(A)がスチレン−ブタジエン共重合体であり、且つ一般式a−(b−a)n(但し、n≧1、aはポリスチレン、bはポリブタジエン又はその部分水添物を示す。)で表される直鎖状又は分岐状の重合体の場合には、熱可塑性重合体(A)100重量部に対して、水(B)50〜1000重量部及び反応促進剤(D)0.5〜30重量部を使用する系で実施することが好ましい。
この場合、反応促進剤(D)の仕込み量が0.5重量部未満の場合には、熱可塑性重合体(A)と過酸化物(C)との反応に対する反応促進剤としての量が不充分で、エポキシ化反応が長くかかり効率を損ねることがある。
又、30重量部を超過する場合には、エポキシ化反応重合体のペレット表面の溶解が起こり、熱可塑性重合体同士のブロッキングが発生し、エポキシ化反応中の攪拌操作による分散が困難となってしまう場合があり、分散状態でのエポキシ化反応が不充分となりやすく、しかも反応容器からのエポキシ化生成物の取り出しが困難になることがある。
この理由は、一般式で示されるように、(a−b)m(但し、m≧2、aはポリスチレン、bはポリブタジエン又はその部分水添物を示す。)のジブロック構造を有しており、一般式a−(b−a)n(但し、n≧1、a及びbは前記と同じ。)のトリブロック構造の場合の分子末端がポリスチレン構造になるのに対して、分子末端がポリブタジエン構造となっている。即ち、トリブロック構造の場合は両末端構造がポリスチレン構造であるのに比べ、ジブロック構造の場合は一の末端がブタジエン構造になっているため、反応促進剤(D)による溶解性が異なり、結果として反応促進剤を増やすことが可能である。
逆に、一般式a−(b−a)nの構造を有する、分子末端がポリスチレン構造の場合は、そのSP値が9.1であり、反応促進剤としてSP値が9.0以上のものを使用する場合には両者のSP値差が小さく、その結果溶解性に富むことから、ブロッキングを引き起こしてしまうと考えられる。従って、この場合は反応促進剤の使用量の上限は、小さくなる。
また、得られるエポキシ化熱可塑性重合体のゲル含有量は25℃のトルエンに対する不溶解分の割合(エポキシ化熱可塑性重合体試料全体に対する割合)として、5重量%以下になるように反応条件を制御して行うことが好ましい。なお、製造に関する反応条件に関しては、前記、第1群の発明において記載した反応温度、反応系の圧力、反応時間が適用できる。
なお、エポキシ化された生成物についてのオキシラン酸素濃度及びゲル含有量は、以下に記載の方法で測定した。
オキシラン酸素濃度:ASTM−1652に従って測定した。
ゲル含有量:10mlのトルエンにエポキシ化熱可塑性共重合体を約0.1g加え、25℃にて3時間攪拌溶解した後、得られた溶液を200メッシュの金網に通し、金網を通過しないゲル分の乾燥重量を測定し、エポキシ化熱可塑性共重合体の重量に対する重量%を求めた。
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を備えた容量3リットルの4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔日本合成ゴム(株)製;商品名TR2000〕のペレット(球換算粒子径3.5mm)300g、水500gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを水中によく分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液42gとトリポリリン酸ナトリウム塩0.02gの混合溶液を0.5時間かけて連続的に滴下し、撹拌下40℃で4時間(過酢酸溶液の滴下開始より計測。以下、断りのない限り同様)エポキシ化を行った。
続いて、過酢酸30%の酢酸エチル溶液42gを0.5時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後2時間エポキシ化反応を行い、更に過酢酸30%の酢酸エチル溶液84gを1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後反応を10時間行った。これらの反応は、ペレット同士のブロッキングを生じさせることなく進行した。
反応終了後、反応液から固形物をろ過、回収し、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下、120℃で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ変性SBS300gを得た。このようにして得た変性SBSの個々のペレットは、25℃トルエンに不溶な殻状表面層で覆われた構造を有しており(25℃のトルエンにペレットをゆっくり溶解させた際、ペレット表面に殻状の不溶ゲルが残ったことにより確認した。)、該殻状表面層に由来するゲル含有量は12.0重量%、溶解部分のオキシラン酸素濃度は1.5重量%であった。また、ペレットの混練後のオキシラン酸素濃度は1.74%であった(ペレット全体のオキシラン酸素濃度の平均値を示す)。
実施例1で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔日本合成ゴム(株)製;商品名TR2000〕ペレット(球換算粒子径3.5mm)300g、水600gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液42gとトリポリリン酸ナトリウム塩0.02gの混合溶液を0.5時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後撹拌下40℃で4時間エポキシ化を行った。
続いて、過酢酸30%の酢酸エチル溶液42gとトリポリリン酸ナトリウム塩0.02gの混合溶液を0.5時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後2時間エポキシ化反応を行い、更に過酢酸30%の酢酸エチル溶液84gを1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後反応を10時間行ったが、反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から粒状固形物をろ過、回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下、120℃で水や残存する溶媒を取り除き、25℃トルエンに不溶の殻状表面層を有するエポキシ変性SBS300gを得た。該変性SBSは、上記トルエンに不溶な殻状表面層で覆われた構造を有しており(実施例1と同様に確認した。)、ゲル成分含有量が7.8重量%、溶解部分のオキシラン酸素濃度は2.1重量%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は2.23%であった。
実施例1で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔旭化成(株)製;商品名アサフレックス810〕ペレット(球換算粒子径:3.8mm)300g、水500gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液63gとトリポリリン酸ナトリウム塩0.03gの混合溶液を0.5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後撹拌下40℃で5時間エポキシ化を行い、その時点で酢酸エチル54gを0.5時間かけて連続的に滴下し、合計で12時間反応を行った。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物ペレットをろ過、回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した該ペレットを減圧下、120℃で水及び残存する溶媒を取り除き、25℃のトルエンに不溶の殻状表面層を有する(実施例1と同様に確認した。)エポキシ変性SBSペレット300gを得た。該SBSは、ゲル含有量が3.2重量%、溶解部分のオキシラン酸素濃度が1.0重量%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は1.11%であった。
実施例1で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)のブロック共重合体〔シェル(株)製;商品名クレイトンD1117〕のペレット(球換算粒子径:3.9mm)300g、水600gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SISペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸の30%酢酸エチル溶液164gとトリポリリン酸ナトリウム塩0.09gの混合溶液を2時間かけてを連続的に滴下し、撹拌下40℃で6時間エポキシ化を行った。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物ペレットをろ過、回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した該ペレットを減圧下、120℃に加熱し、水や残存する溶媒を取り除き、表面が25℃トルエンに対して不溶の殻状表面層が形成された(実施例1と同様に確認した。)エポキシ変性SIS重合体ペレット300gを得た。該変性ペレットのゲル含有量が14.5重量%、溶解部分のオキシラン酸素濃度が1.4重量%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は1.72%であった。
実施例1で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリアクリロニトリル−ポリブタジエン(NBR)〔日本ゼオン(株)製;Nipol NBR DN214〕のペレット(球換算粒子径:3.4mm)300g、水600gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、該ペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸の30%酢酸エチル溶液63gとトリポリリン酸ナトリウム塩0.03gの混合溶液を1時間かけて連続的に滴下し、撹拌下40℃で8時間エポキシ化を行った。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物のペレットをろ過、回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した該ペレットを減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、表面に、25℃のトルエンに不溶の殻状表面層が形成された(実施例1と同様に確認した。)エポキシ変性NBR重合体299gを得た。該NBR重合体は、ゲル成分含有量が2.5重量%、溶解部分のオキシラン酸素濃度が1.1重量%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は1.21%であった。
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を備えた容量1リットルの4つ口丸底フラスコに、ヨウ素価10のエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)のペレットの粉砕品であって、7.5メッシュパス品(GPC法による数平均分子量5300)を100g、及び溶媒としての水を200g仕込み、撹拌してよく混合し、該EPDM粉砕品を分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、この温度に維持しながら、純度30%の過酢酸酢酸エチル溶液12.0gとシクロヘキサン10gを滴下ロートを用いて約30分かけてフラスコに滴下、反応させ、更にこの温度で8時間反応させた(促進剤のSP値は両溶剤の加重平均値で8.6であり、使用量は原料重合体100重量部に対し18.4重量部に相当。以下の実施例、比較例でも混合溶剤の場合は同様に算出した)。反応は塊を生じることなく進行し、反応終了後、ろ過により固形物を回収し、反応液と同量の脱イオン水で水洗した。更に、水等を除去するため減圧下に乾燥させ、エポキシ化されたEPDM99.0gを得た。得られたエポキシ化されたEPDMは、オキシラン酸素濃度が0.5%、ゲル含有量が0.1%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度(粒子全体のオキシラン酸素濃度の平均値を示す。)は0.52%であった。
参考例1で使用したものと同じ4つ口丸底フラスコに、ヨウ素価10のエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)の市販のペレット品(GPC法による数平均分子量5300)(球換算粒子径:2.3mm)を100g、溶媒としての水を200g仕込み、撹拌してよく混合し、EPDMペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、この温度に維持しながら、純度30%の過酢酸酢酸エチル溶液12.0gとシクロヘキサン10gを滴下ロートを用いて約30分かけて滴下、反応させ、更にこの温度で8時間反応させた(促進剤のSP値は8.6であり、使用量は18.4重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後、ろ過により固形物を回収し、反応液と同量の脱イオン水で水洗した。更に、水等を除去するため減圧下に乾燥させ、エポキシ化されたEPDM100g(原料と実質同重量)を得た。得られたエポキシ化されたEPDMは、オキシラン酸素濃度が0.5%、ゲル含有量は0.08%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は0.2%であった。
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を備えた容量3リットルの4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔日本合成ゴム(株)製;商品名TR2000〕ペレット(球換算粒子径:3.5mm)300g、水500gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液42gを0.5時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、撹拌下40℃で8時間エポキシ化を行った(促進剤のSP値は9.1であり、使用量は9.8重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSBS300gを得た。得られたエポキシ化されたSBSは、オキシラン酸素濃度が0.70%、ゲル含有量が0.36%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は0.75%であった。
参考例3で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔日本合成ゴム(株)製;商品名TR2000〕ペレット(球換算粒子径:3.5mm)300g、水500gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を30℃に加温し、これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液42gを0.5時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、撹拌下30℃で9時間エポキシ化を行った(促進剤のSP値は9.1であり、使用量は9.8重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSBS300gを得た。得られたエポキシ化されたSBSは、オキシラン酸素濃度が0.55%、ゲル含有量が0.04%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は0.56%であった。
参考例3で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔日本合成ゴム(株)製;商品名TR2000〕ペレット(球換算粒子径:3.5mm)300g、水500gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸15%の水溶液168gを2時間かけて連続的に滴下し、更にシクロヘキサン30gを0.25時間かけて滴下し、滴下終了後、撹拌下40℃で6時間エポキシ化を行った(促進剤のSP値は8.2であり、使用量は10重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSBS300gを得た。得られたエポキシ化されたSBSは、オキシラン酸素濃度が1.0%、ゲル含有量が0.88%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は1.10%であった。
参考例3で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔旭化成(株)製;商品名アサフレックス810〕ペレット(球換算粒子径:3.8mm)300g、水500gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液84gを1時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後に、撹拌下40℃で7時間エポキシ化を行った(促進剤のSP値は9.1であり、使用量は19.6重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSBS300gを得た。得られたエポキシ化されたSBSは、オキシラン酸素濃度が0.89%、ゲル含有量0.3%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は0.91%であった。
参考例3で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔シェル(株)製;商品名クレイトンD1118,ジブロック含有量80%〕クラム(球換算粒子径:4.3mm)300g、水600gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸の30%酢酸エチル溶液42gを0.5時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、撹拌下40℃で6時間エポキシ化を行った(促進剤のSP値は9.1であり、使用量は9.8重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSBS重合体300gを得た。得られたエポキシ化されたSBSは、オキシラン酸素濃度が0.75%、ゲル含有量が0.03%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は0.77%であった。
参考例3で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔シェル(株)製;商品名クレイトンD1118〕クラム(球換算粒子径:4.3mm)300g、水600gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸の30%酢酸エチル溶液126gを15時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、撹拌下40℃で6時間エポキシ化を行った(促進剤のSP値は9.1であり、使用量は29.4重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSBS重合体300gを得た。得られたエポキシ化されたSBSは、オキシラン酸素濃度が2.2%、ゲル含有量が1.1%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は2.35%であった。
参考例4で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)のブロック共重合体〔シェル(株)製;商品名クレイトンD1117〕ペレット(球換算粒子径:3.9mm)300g、水600gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SISペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸の30%酢酸エチル溶液164gを2時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、撹拌下40℃で6時間エポキシ化を行った(促進剤のSP値は9.1であり、使用量は38.2重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSIS重合体300gを得た。得られたエポキシ化されたSISは、オキシラン酸素濃度が2.2%、ゲル含有量が3.5%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は2.41%であった。
参考例3で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)のブロック共重合体〔シェル(株)製;商品名クレイトンD1117〕ペレット(球換算粒子径:3.9mm)300g、水600gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SISペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸15%の水溶液168gを2時間かけて連続的に滴下し、更にシクロヘキサン30gを0.25時間かけて滴下し、滴下終了後、撹拌下40℃で6時間エポキシ化を行った(促進剤のSP値は8.2であり、使用量は10重量部)。反応はペレット同士のブロッキングを生じることなく進行した。
反応終了後の反応液から、固形物をろ過により回収した後、脱イオン水で洗浄した。回収した固形物を減圧下で水や残存する溶媒を取り除き、エポキシ化されたSIS重合体300gを得た。得られたエポキシ化されたSISは、オキシラン酸素濃度が1.3%、ゲル含有量が1.5%であった。また、混練後のオキシラン酸素濃度は1.42%であった。
参考例3で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔日本合成ゴム(株)製;商品名TR2000〕ペレット(球換算粒子径:3.5mm)300g、水500gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液168gを2時間かけて連続的に滴下したところ、滴下終了後ペレット同士がブロッキングを生じ、攪拌機が停止したため反応を中止した(促進剤のSP値は9.1であり、使用量は39.2重量部)。
参考例3で使用した同じ4つ口丸底フラスコに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)のブロック共重合体〔旭化成(株)製;商品名アサフレックス810〕ペレット(球換算粒子径:3.8mm)300g、水500gをそれぞれ仕込み、撹拌してよく混合し、SBSペレットを分散させた。フラスコ内温を40℃に加温し、これに過酢酸30%の酢酸エチル溶液168gを2時間かけて連続的に滴下したところ、滴下終了後ペレット同士がブロッキングを生じ、攪拌機が停止したため反応を中止した(促進剤のSP値は9.1であり、使用量は39.2重量部)。
Claims (11)
- 25℃のトルエンに不溶な殻状表面層が形成されてなるエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体であって、熱可塑性重合体の粒状体の球換算粒子径が0.05〜7mmの範囲であることを特徴とするエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体。
- 熱可塑性重合体がジエン系重合体である請求項1記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体。
- ジエン系重合体が、ブタジエン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、イソプレン重合体、スチレン−イソプレン共重合体及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類のジエン系重合体である請求項2記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体。
- エポキシ化熱可塑性重合体の粒状体のオキシラン酸素濃度が0.3〜5.0重量%である請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体。
- エポキシ化熱可塑性重合体の粒状体のゲル含有量が0.1重量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体。
- 水媒体中で熱可塑性重合体の粒状体を、エポキシ化剤又は該エポキシ化剤とSP値が10以下の有機溶剤であるエポキシ化反応促進用溶剤、及びリン酸系化合物の存在下にエポキシ化してエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体とする第一工程、該エポキシ化熱可塑性重合体の粒状体の水洗、又は中和と水洗のための第二工程、及び第一工程で使用されることのあるエポキシ化反応促進用溶剤の除去のための必要に応じて設けられる第三工程とからなる請求項1記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体の製造方法。
- 第一工程でのエポキシ化剤として過酢酸を使用する請求項6記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体の製造方法。
- 第二工程における水洗、又は中和と水洗が、第三工程へ供給する重合体の分離のための固液分離操作である請求項6記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体の製造方法。
- 第三工程における溶剤の除去が、第二工程で得られた重合体の粒状形状を保持したまま乾燥させることにより行われる請求項6記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体の製造方法。
- エポキシ化熱可塑性重合体の粒状体中のオキシラン酸素濃度が0.3〜5.0重量%である請求項6〜9のいずれかに記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体の製造方法。
- エポキシ化熱可塑性重合体の粒状体のゲル含有量が0.5重量%以上である請求項6〜10のいずれかに記載のエポキシ化熱可塑性重合体の粒状体の製造方法。
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