JP4878408B2 - 指針表示式時計 - Google Patents
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Description
図9は、第一従来例にかかる時計ムーブメントを説明するための要部の概略断面図を示している。
同図において、時計ムーブメント100は、歯車部111と軸部112が一体成形された樹脂製の筒車110と、軸部112に挿入されさらに文字板130が取り付けられると、筒車110の歯車部111を地板140側に付勢して、軸部112の傾きを防止する針座120を備えた構成としてある(たとえば、特許文献1参照)。
なお、時計ムーブメント100は、図示してないが、時針が前記筒車110の軸部112に取り付けられ、分針が二番車160に取り付けられ、秒針が四番車150に取り付けられる。
同図において、針座120は、金属等の弾性体からなる円環状の平板を、任意の直径線部分121を底部として湾曲させた構造としてある。この針座120は、円孔123を軸部112に挿入したとき、上記底部が歯車部111と当接し、最も上方に位置する外周縁部122が文字板130と当接する。そして、外周縁部122が文字板130によって押下された際の復元力によって、歯車部111が地板140側に付勢される。
同図において、針座120は、軸部112に挿入されている。ここで、針座120の円孔123の内径dは、軸部112の外径Dより大きいので、針座120は軸部112にスムースに挿入されるため、軸部112の外周面に擦り傷を付けるといった不具合は発生しないが、容易に外れてしまうといった欠点を有する。
このため、筒車と針座とを時計ムーブメントから取り外してそれぞれを別個に包装し、これを時計ムーブメントに添付して運搬する方法などが、採用されていたが、この方法では、自動組立可能な部品を別々に搬送しなければならず、生産効率が悪かった。そこで、筒車や針座などを脱落させない様々な技術が開発され、たとえば、図12に示すものなどがある。
図12は、第二従来例にかかる時計ムーブメントを説明するための要部の概略図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示している。
同図において、時計ムーブメント200は、車軸部212が突設された樹脂製の筒車210と、車軸部212をくわえ込んで固定する、中央穴221の内周部に設けられた突起部222を有する針座220を備えた構成としてある(たとえば、特許文献2参照)。このようにすると、搬送工程や組立工程において、針座220が車軸部212から外れてしまうといった不具合を回避することができる。また、この針座220は、筒車210の先端に取り付けられる指針(図示せず)のあおりを防止することができ、時計を薄型化することができる。
さらに、金属製の薄板からなる針座220に微細な突起部222を形成する加工は、一般的に、極めて困難であり、要求される突起部222の精度を維持することができないといった問題があった。
このようにすると、規制部材によって、針座の軸方向への移動を阻止するので、筒車からの針座の脱落を防止することができる。
なお、針座とは、軸部に挿入され、さらに文字板が取り付けられると、筒車の歯車部を地板側に付勢して、軸部の傾きを防止する、腕時計に用いられるばね座金をいう。
このようにすると、凸部を用いて、針座を効率よく規制することができる。
このようにすると、凸部が、針座の孔部と係合させるだけの簡単な構成で、針座の脱落を防止することができる。
このようにすると、指針を取り付ける際、凸部が指針取付けの邪魔にならず、また、指針が規制部材と擦れて異物を発生させるといった不具合を回避することができる。
このようにすると、針座をスムースに嵌入させることができる。
このようにすると、針座の筒車への装着を容易に行えるとともに、規制部材による、針座の固定を確実に行うことができる。
このように、規制部材を三個以上の奇数個とし、これらを等間隔に配設すると、規制部材どうしが180度対向した位置に設けられることがないので、筒車への針座の組み込みを容易にする。さらに、針座のそり上りを阻害しないので、針座のばね力のばらつきを低減し、筒車の軸方向の移動を抑制して針振れを軽減することができる
このようにすると、針座のそり上りを阻害しないので、針座のばね力のばらつきを抑制することができる。
このようにすると、針座が軸部に遊合しており、針座のそり上りを阻害しないので、針座のばね力のばらつきが発生せず、筒車の軸方向の移動を確実に抑制して針振れを軽減することができる。
このようにすると、針座を軸部に挿入する際、凸部を含まない軸部と針座の孔部の隙間を大きくすることができるので、針座をスムースに軸部に挿入することができる。
このようにすると、指針を取り付ける際、第一凸部や第二凸部が指針取付けの邪魔にならず、また、指針が規制部材と擦れて異物を発生させるといった不具合を回避することができる。
このようにすると、針座をスムースに装入させることができる。
このようにすると、成型金型に対する成形性を向上させることができる。
このようにすると、針座の筒車への装着を容易に行えるとともに、規制部材による、針座の固定を確実に行うことができる。
このように、規制部材を三個以上の奇数個とし、これらを等間隔に配設すると、規制部材どうしが180度対向した位置に設けられることがないので、筒車への針座の組み込みを容易にする。さらに、針座のそり上りを阻害しないので、針座のばね力のばらつきを低減し、筒車の軸方向の移動を抑制して針振れを軽減することができる
このように、規制部材をフックとすることによっても、針座の筒車への装着を容易に行えるとともに、規制部材による、針座の固定を確実に行うことができる。
このようにすると、軸部を挟んで対向する少なくとも二箇所におけるフックとの係止だけで針座を固定することができる。
このようにすると、針座の外周を容易に係止することができる。
このように、針座を湾曲させると、針座に大きなばね性を持たせることができ、かつ、湾曲した曲面の底部において針座を固定することができるので、針座の固定も堅固なものとなる。さらに、針座のそり上りを阻害しないので、針座のばね力のばらつきを低減し、筒車の軸方向の移動を抑制して針振れを軽減することができる。
このように、規制部材を粘着部材とすると、針座を筒車に取り付け粘着部材に押し付けるだけで、固定することが可能となる。
このようにすると、軸部を挟んで対向する少なくとも二箇所における粘着部材との接着力だけで針座を固定することができる。
このように、針座を湾曲させると、針座に大きなばね性を持たせることができ、かつ、湾曲した曲面の底部において針座を固定することができるので、針座の固定も堅固なものとなる。さらに、針座のそり上りを阻害しないので、針座のばね力のばらつきを低減し、筒車の軸方向の移動を抑制して針振れを軽減することができる。
このようにすると、規制部材によって、針座の軸方向への移動を阻止するので、筒車からの針座の脱落を防止することができる。また、針座を軸部に挿入する際、凸部を含まない軸部と針座の孔部の隙間を大きくすることができるので、針座をスムースに軸部に挿入することができる。
このようにすると、針座の筒車への装着を容易に行えるとともに、規制部材による、針座の固定を確実に行うことができる。
このようにすると、針座を凸部にスムースに挿入することができ、針座の取付け及び取外しを容易に行うことができる。また、成型金型に対する成形性を向上させることができる。
11a 第一凸部
11b 第二凸部
13、13´,13a テーパ面
13b 斜面部
14 軸方向中央
15,15a,15b 仮想円
16 フック
17 粘着部材
100 時計ムーブメント
110 筒車
111 歯車部
112,112a 軸部
113 根元部分
120 針座
121 直径線部分
122 外周縁部
123 円孔
130 文字板
140 地板
150 四番車
160 二番車
200 時計ムーブメント
212 車軸部
210 筒車
220 針座
221 中央穴
222 突起部
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態にかかる指針表示式時計の要部の概略図であり、(a)は平面図を、(b)はA−A断面図を示している。
同図において、本実施形態の指針表示式時計は、第一従来例の指針表示式時計と比較して、筒車110の一部(本実施形態では、軸部112の根元部分113)に、規制部材としての凸部11を設けた点が相違する。他の構成要素は、ほぼ第一従来例と同様としてある。
したがって、図1において、図9,10,11と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、筒車110は樹脂製としてあり、このようにすることにより、凸部11を有する筒車110であっても、精度よくかつ容易に加工することができる。
なお、本実施形態の凸部11は、二つ割りされた円筒状としてあるが、この形状に限定されるものではない。また、凸部11の高さは、針座120の係合に必要な高さ、たとえば、針座120の板厚の数倍(2〜6倍)の高さがあればよく、必要以上に高くしないことにより、異物の発生を抑制することができる。
また、凸部11は、軸部112の軸方向中央14より歯車部111の面側に設けてあるので、筒車110に時針(図示せず)を組み込む際、凸部11が、時針取り付けの邪魔になることがなく、時針を確実かつ容易に筒車に取り付けることができる。
なお、本実施形態では、凸部11を三個配設した構成としてあるが、三個以上の奇数個設け、これらを等間隔に配設した構成としてもよい。
同図において、針座120は、円孔123の内径が、軸部112の外径よりも大きく、かつ、三個の凸部11と円孔123が当接する位置を通る仮想円15の直径よりも小さい構成としてある。このようにすると、針座120の筒車110への装着を容易に行えるとともに、凸部11による、針座120の固定を確実に行うことができる。
なお、本実施形態では、指針取付け部が、ほぼ円筒状の軸部112の先端部としてあるので、円孔123の内径を軸部112の外径よりも大きくしてあるが、指針取付け部が、たとえば、円筒状でない形状の場合、円孔123の内径を軸部112の指針取付け部の外形よりも大きくするとよい。
さらに、凸部11によって係合された針座120は、中心点(図示せず)が筒車110の中心点(図示せず)と一致するので、針座120が軸部112に対して偏心したり、位置が定まらず移動したりせず、外周縁部122と文字板130が安定した状態で摺動するので、磨耗粉等の異物が発生する危険性を低減することができる。
以下、本発明の第二実施形態について、図面を参照して説明する。
図4は、本発明の第二実施形態にかかる指針表示式時計の要部の概略図であり、(a)は平面図を、(b)はC−C断面図を示している。
同図において、本実施形態の指針表示式時計は、第一従来例の指針表示式時計と比較して、筒車110の歯車部111の上面に、針座120を係止する一対のフック16を、設けた点が相違する。他の構成要素は、ほぼ第一従来例と同様としてある。
したがって、図4において、図9,10,11と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、フック16は、軸部112を挟んで対向する二箇所に設けられており、このようにすると、二箇所のフック16に係止することによって、針座120を固定することができる。
以下、本発明の第三実施形態について、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の第三実施形態にかかる指針表示式時計の要部の概略図であり、(a)は平面図を、(b)はD−D断面図を示している。
同図において、本実施形態の指針表示式時計は、第二実施形態の指針表示式時計と比較して、フック16の代わりに粘着部材17を用いた点が相違する。他の構成要素は、ほぼ第二実施形態と同様としてある。
したがって、図5において、図4と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、粘着部材17は、軸部112を挟んで対向する二箇所に設けられており、このようにすると、軸部112を挟んで対向する二箇所における粘着部材17との接着力だけで針座120を固定することができる。
以下、本発明の第四実施形態について、図面を参照して説明する。
図6は、本発明の第四実施形態にかかる指針表示式時計の要部の概略図であり、(a)は平面図を、(b)はE−E断面図を示している。
同図において、本実施形態の指針表示式時計は、第一実施形態の指針表示式時計と比較して、凸部11の代わりに、凸部11´が軸部112の歯車部111の上面から離間した位置に形成されている点が相違する。他の構成要素は、ほぼ第一実施形態と同様としてある。
したがって、図6において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
ここで、好ましくは、凸部11´は、軸部112の長手方向に対応する端部に(本実施形態では、上端部に)、それぞれテーパ面13´を設けるとよい。このようにすると、針座120を凸部11´にスムースに挿入することができる。
以下、本発明の第五実施形態について、図面を参照して説明する。
図7は、本発明の第五実施形態にかかる指針表示式時計の要部の概略図であり、(a)は平面図を、(b)はF−F断面図を示している。
同図において、本実施形態の指針表示式時計は、第一実施形態の指針表示式時計と比較して、凸部11の代わりに、第一凸部11a及び第二凸部11bを設けた点が相違する。他の構成要素は、ほぼ第一実施形態と同様としてある。
したがって、図7において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
同図において、筒車110は、三個の第二凸部11bに接する仮想円15bの直径が、円孔123の内径より大きく、かつ、三個の第一凸部11aに接する仮想円15aの直径が、円孔123の内径より小さい構成としてある。すなわち、針座120が、第二凸部11bを乗り越えて、第二凸部11bと歯車部111の間の第一凸部11aに遊合する構成としてある。このようにすると、針座120の軸方向位置が、第二凸部11bと歯車部111の間に規制され、針座120が筒車110から抜け落ちるといった不具合を確実に防止することができる。また、針座120を軸部112aに挿入する際、凸部11a,11bを含まない軸部112aと針座120の円孔123の隙間を大きくすることができるので、針座120をスムースに軸部112aに挿入することができる。
例えば、第二及び第三実施形態において、軸部112に凸部11が形成されていないが、軸部112に凸部11を形成した構成としてもよく、このようにすると、針座120の位置決めをより確実に行うことができる。
Claims (13)
- 指針を取り付けるための軸部及び歯車部を有する筒車と、この筒車の前記軸部が貫通する孔部を有する針座を備えた指針表示式時計において、
前記筒車の一部に前記針座の軸方向への移動を規制するための規制部材として、前記軸部から外周方向に突出した一つ以上の凸部を設け、かつ、前記凸部を、前記軸部の前記歯車部上面から離間した位置に形成し、前記針座が前記凸部を乗り越えて前記凸部と前記歯車部の間の前記軸部において遊合するようにしたことを特徴とする指針表示式時計。 - 前記凸部が、前記軸部の指針取付け位置より下方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の指針表示式時計。
- 前記凸部の上部にテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の指針表示式時計。
- 前記凸部を、三個以上の奇数個設け、これらを等間隔に配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の指針表示式時計。
- 前記針座の孔部の内径を、前記軸部の外径よりも大きく、かつ、前記凸部の仮想円の直径よりも小さく構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに指針表示式時計。
- 前記凸部が、前記軸部表面から突出した第一凸部と、該第一凸部表面からさらに突出した第二凸部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の指針表示式時計。
- 前記第一凸部と第二凸部が、前記軸部の指針取付け位置より下方に設けられていることを特徴とする請求項6記載の指針表示式時計。
- 前記第一凸部及び/又は第二凸部の上部にテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項6又は7記載の指針表示式時計。
- 前記第二凸部の下部に、斜面部を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の指針表示式時計。
- 前記針座の孔部の内径を、前記第一凸部の仮想円の径より大きく、かつ、前記第二凸部の仮想円の径よりも小さくしたことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の指針表示式時計。
- 指針を取り付けるための軸部及び歯車部を有する筒車と、この筒車の前記軸部が貫通する孔部を有する針座を備えた指針表示式時計において、
前記筒車の一部に前記針座の軸方向への移動を規制するための凸部よりなる規制部材を設け、
該凸部が、前記軸部表面から突出した第一凸部と、該第一凸部表面からさらに突出した第二凸部を有し、前記第一凸部が、前記第二凸部の下面から前記歯車部面上にかけて形成されていることを特徴とする指針表示式時計。 - 前記筒車が樹脂製である請求項1〜11のいずれかに記載の指針表示式時計。
- 前記針座が金属製である請求項1〜12のいずれかに記載の指針表示式時計。
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