JP2020030092A - 皿ばね、輪列機構、時計用ムーブメント及び時計 - Google Patents

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【課題】制約少なく設計することができると共に、弾性復元力を調整すること。【解決手段】外周縁部に沿って離間して配置された第1縁部61a及び第2縁部61bを結ぶ仮想線VLに沿って厚さ方向に折り曲げられるばね本体部61と、ばね本体部を厚さ方向に貫通するように形成され、ばね本体部の中心軸線O1方向から見た平面視で、中心軸線回りを周回する周方向に均等配置されることにより、ばね本体部が有する弾性復元力を調整する複数の調整用孔部62と、を備える皿ばね60を提供する。【選択図】図3

Description

本発明は、皿ばね、輪列機構、時計用ムーブメント及び時計に関する。
一般的に腕時計等の機械式時計においては、時計用部品同士の意図しない接触によって各時計用部品の円滑な動作が妨げられてしまうことを防止するために、時計用部品同士の間に微小な隙間を確保している場合が多い。しかしながら、適切な隙間が確保されていない場合には、例えば時計用部品の姿勢が不安定となり、運針時に指針がふらつく(いわゆる運針ムラ)、或いは運針自体が困難になる等の不都合を招いてしまう可能性がある。
そこで、適切な運針を行わせるために、所定のばね性を有する針座と呼ばれる極薄(箔材)の皿ばねを、時計用部品同士の間に組み込むことで隙間を適切に制御することが行われている。
この種の針座は、いわゆる板ばねの一種とされ、その多くは中心部に孔部が形成された円環状に形成され、例えば組み込まれる場所或いは時計用部品の種類等に応じて、所望する弾性復元力(ばね力)を有するように予め設計されている。特に、針座の微小な弾性復元力の違いが時計の性能を左右してしまうため、例えば形状、厚み、材質、曲げ角度等の各仕様を針座ごとに設定して、所望する弾性復元力を有するように針座を形成することが重要とされている。
しかしながらこの場合には、各仕様に応じて針座を形成するための成形用金型等の設備が必要になってしまうので、コスト高を招き易かった。そこで、例えば針座の形状を同様の形状としながらも、弾性復元力を任意に調整する方法が求められている。
例えば下記特許文献1には、板ばねのばね定数を調整する方法が開示されている。
具体的には、電磁石の吸引力特性と、電磁石の吸引力に基づいて動作する接点開閉用の板ばねの板厚と、をそれぞれ測定すると共に、これらの測定結果に対応してレーザ加工により板ばねにスリットを形成することで、板ばねのばね定数を調整している。
特開2000−11835号公報
しかしながら、上記従来のレーザ加工を利用する方法は、加工熱を利用して加工を行うので、極薄の皿ばねに適用した場合には加工熱の影響を受け易く、例えば皿ばねにうねり等が生じて、皿ばねの形状が意図しない形状に変化してしまうおそれがあった。そのため、皿ばねの弾性復元力が大きく変化する可能性があり、安定した品質の皿ばねを得ることが難しくなってしまう。
なお、レーザ加工による加工熱の影響を受け難くするために、例えば皿ばねの板厚及び材質を変化させた場合には、上記従来のレーザ加工を利用して皿ばねの弾性復元力を調整することが可能になるが、その反面、板厚及び材質が制約されてしまう。そのため、皿ばねの設計自由度が低下する等といった新たな不都合を招いてしまう。
以上のことから、上記従来のレーザ加工を利用する方法を、皿ばねに適用するのは困難であった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、制約少なく設計することができると共に、弾性復元力を調整することができる皿ばね、輪列機構、時計用ムーブメント及び時計を提供することである。
(1)本発明に係る皿ばねは、所定の厚みを有し、外周縁部に沿って離間して配置された第1縁部及び第2縁部を結ぶ仮想線に沿って厚さ方向に折り曲げられるばね本体部と、前記ばね本体部を厚さ方向に貫通するように形成され、前記ばね本体部の中心軸線方向から見た平面視で、前記中心軸線回りを周回する周方向に均等配置されることにより、前記ばね本体部が有する弾性復元力を調整する複数の調整用孔部と、を備える。
本発明に係る皿ばねによれば、ばね本体部が仮想線に沿って厚さ方向に例えば断面V字状或いは湾曲状に折り曲げられていることで、中心軸線方向に弾性変形可能とされていると共に、弾性復元力(ばね力)を具備している。
特に、ばね本体部に複数の調整用孔部が形成されているので、調整用孔部の開口面積の分だけばね本体部の面積を削減することができる。これにより、ばね本体部の弾性率を変化させることができ、ばね本体部の弾性復元力を調整することができる。しかも、複数の調整用孔部は周方向に均等配置されているので、ばね本体部の全体に亘ってバランス良く弾性復元力の調整を行うことができる。
さらに、調整用孔部を、例えばプレス加工やドリル加工等の単なる機械加工でばね本体部に形成するだけで良いので、従来のレーザ加工等を用いる場合に比べて容易且つ低コストで皿ばねを製造することができる。しかも、従来のレーザ加工のように加工熱の影響を考慮する必要がないので、ばね本体部の厚み或いは材料の選定に制約がかかることを抑制することができる。
以上のことから、制約少なく設計することができると共に、弾性復元力を調整することが可能となる。
(2)前記調整用孔部は、前記中心軸線方向から見た平面視で、前記仮想線に重なる位置、及び前記仮想線に対して直交する直交方向に沿って前記仮想線から所定距離離間した位置、のうちの少なくとも一方の位置に形成され、前記調整用孔部は、前記直交方向に沿って前記仮想線に近い位置に形成されるほど、前記ばね本体部の弾性復元力を低下させても良い。
この場合には、仮想線に対する調整用孔部の相対位置によってばね本体部の弾性復元力を調整することが可能である。ばね本体部は、仮想線に沿って厚さ方向に折り曲げられているので、仮想線付近に曲げ応力(内部応力)が集中し、直交方向に沿って仮想線から離間するにしたがって曲げ応力が低下する傾向にある。そのため、ばね本体部は、仮想線付近が最も剛性が高く、弾性復元力に高く寄与する部分となる。
従って、調整用孔部を仮想線に重なる位置に形成した場合には、ばね本体部のうち弾性復元力に高く寄与する部分の面積を削減できるので、弾性復元力を効果的に小さくすることができる。これとは逆に、調整用孔部を直交方向に沿って仮想線から離間した位置に形成した場合には、仮想線に重なる位置に形成する場合に比べれば、弾性復元力の低下具合を抑制することができる。従って、仮想線に対する調整用孔部の相対位置によって、弾性復元力をさらに細かく調整することが可能となり、所望する弾性復元力を具備する皿ばねを得ることができる。
(3)前記仮想線は、前記中心軸線方向から見た平面視で、前記中心軸線を通過すると共に、前記中心軸線に交差する径方向に沿って延びても良い。
この場合には、ばね本体部が仮想線に沿って左右均等に折り曲げられたバランスの良い皿ばねとすることができ、使い易く、汎用性の高い皿ばねとして利用できる。
(4)前記調整用孔部は、所望する弾性復元力の値を基に、予め既定された算出式に基づいて算出された、前記調整用孔部における開口面積の総面積と前記調整用孔部の個数との関係によって開口面積が設定され、前記算出式は、前記調整用孔部の有無によって変化する前記ばね本体部の面積削減率と、前記調整用孔部の有無によって変化する前記ばね本体部の応力減少率と、の関係に基づいて既定されても良い。
この場合には、所望する弾性復元力の値を基に、予め既定された算出式に基づいて設定された開口面積で調整用孔部を形成することができる。従って、ばね本体部の弾性復元力を、所望する弾性復元力となるように精度良く調整することができる。
(5)本発明に係る輪列機構は、前記皿ばねと、第1時計用部品と、前記皿ばねを間に挟んで前記第1時計用部品に対して前記中心軸線方向に配置された第2時計用部品と、を備え、前記皿ばねは、前記第1時計用部品を前記第2時計部品から離間するように前記中心軸方向に付勢することで、前記第1時計用部品と前記第2時計用部品との間に所定の隙間を形成する。
本発明に係る輪列機構によれば、第1時計部品と第2時計部品との間に、所望する弾性復元力に調整された皿ばねを配置しているので、第1時計用部品を第2時計部品から離間するように中心軸方向に適切に付勢することができると共に、第1時計用部品と第2時計用部品との間に所定の隙間を適切に形成することができる。これにより、例えば第1時計用部品の姿勢を安定に維持した状態で、第1時計用部品を適切に作動させることができ、作動性能が安定した輪列機構とすることができる。
(6)本発明に係る時計用ムーブメントは、前記輪列機構を備えている。
(7)本発明に係る時計は、前記時計用ムーブメントを備えている。
この場合には、作動性能が安定した輪列機構を具備しているので、同様に作動性能が安定した高品質な時計用ムーブメント及び時計とすることができる。
本発明によれば、制約少なく設計することができると共に、弾性復元力を調整することができる皿ばねを得ることができる。
本発明に係る実施形態を示す図であって、時計の外観図である。 図1に示すムーブメントの一部を示す断面図である。 図2に示す第1針座の平面図である。 図3に示すA−A線に沿った第1針座の断面図である。 第1針座の変形例を示す平面図である。 第1針座の別の変形例を示す平面図である。 現行の第1針座に対する本実施形態の第1針座の面積削減率を示す図である。 固定プレートと可動プレートとの間で、図3に示す第1針座を弾性変形させる場合の断面図である。 図8に示す可動プレートを強制変位させたときの、第1針座の反発力を示す図である。 面積削減率と荷重削減比との関係を示した図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図である。 図3に示す第1針座の荷重と、図11及び図12に示す第1針座の荷重とを比較した図である。 図12に示す第1針座における応力解析図であるミーゼス応力図である。 図3に示す第1針座の一部分におけるミーゼス応力図である。 図11に示す第1針座の一部分におけるミーゼス応力図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図及び断面図である。 第1針座のさらに別の変形例を示す平面図及び断面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態では、時計の一例としてスマートフォン等の外部デバイスとの間で通信可能なアナログクォーツ式の腕時計を例に挙げて説明する。
(時計の基本構成)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板に対して、時計ケースのガラス側(すなわち、文字板側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板に対する時計ケースのケース裏蓋側(すなわち、文字板とは反対側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお、本実施形態では、文字板からケース裏蓋に向かう方向を上方、その反対側を下方と定義して説明する。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋及びガラス2を有する時計ケース3内に、ムーブメント(本発明に係る時計用ムーブメント)4、文字板5、指針6(時針7、分針8及び秒針9)、カレンダー針10及び表示針11を備えている。文字板5、各指針6、カレンダー針10及び表示針11は、ガラス2を通じて視認可能に配置されている。
なお、時計ケース3の側面には、例えば時刻修正、日付修正、時計1が実行するモード切換等を行うための各種のボタン12が複数設けられている。
(ムーブメント)
ムーブメント4は、文字板5と図示しないケース裏蓋との間に配置されている。
図2に示すように、ムーブメント4は、各指針6、カレンダー針10及び表示針11が取り付けられる機構モジュール20と、機構モジュール20の上側に配置され、機構モジュール20の駆動を制御する図示しない回路ブロックと、回路ブロックの上側に配置され図示しない電池ブロック及びスイッチばねと、を少なくとも備えている。
(機構モジュール)
機構モジュール20は、互いに対向した状態で組み合わされる地板21及び輪列受22と、時針7を回転させるための動力を発生させる第1ステップモータ23と、分針8を回転させるための動力を発生する図示しない第2ステップモータと、秒針9を回転させるための動力を発生させる図示しない第3ステップモータと、カレンダー針10を回転させるための動力を発生させる図示しない第4ステップモータと、表示針11を回転させるための動力を発生させる図示しない第5ステップモータと、を主に備えている。
地板21は、機構モジュール20としての基板を構成しており、その外形は例えば時計ケース3の形状に対応して平面視円形状に形成されている。なお、第1回転軸線O1は、地板21の中央部分を該地板21の厚み方向に貫くように配置されている。地板21の下側には文字板5が配置されている。
第1ステップモータ23を含む、各ステップモータは、それぞれ地板21の上面側に配置されている。各ステップモータはそれぞれ同様に構成されている。従って、本実施形態では第1ステップモータ23について詳細に説明し、その他のステップモータ(第2ステップモータ〜第5ステップモータ)については詳細な説明を省略する。
第1ステップモータ23は、コイルブロック30、ステータ31及びロータ32を備えている。
コイルブロック30は、コイルワイヤ33が巻回された磁心34と、磁心34の一端部に接続された図示しないコイルリード基板と、を備え、図示しないモータねじによって地板21に対して固定されている。
コイルリード基板はプリント基板であって、モータねじによって磁心34と共に地板21に対して共締めされている。コイルリード基板の上面には、該コイルリード基板に対して電気接続された図示しないコイル配線が形成されている。さらにコイルリード基板の上面には、コイル配線と回路ブロックとを電気的に接続する図示しない中継基板が配置されている。
ステータ31は、コイルブロック30における磁心34の両端部に対して接触しており、モータねじによって磁心34と共に地板21に対して共締めされている。
ロータ32は、図示しないロータ磁石を備え、ステータ31に形成されたロータ孔内に配置されている。
先に述べたように、第2ステップモータ、第3ステップモータ、第4ステップモータ及び第5ステップモータは、上述した第1ステップモータ23と同様の構成とされており、第1ステップモータ23における各構成部品をそれぞれ具備している。
さらに第1ステップモータ23は、該第1ステップモータ23で発生した動力(駆動力)を時針7に伝達する第1輪列(本発明に係る輪列機構)40を構成している。
第1輪列40は、第1ステップモータ23と、第1時中間車41と、第2時中間車42と、筒車(本発明に係る第1時計用部品)43と、を備えている。
第1ステップモータ23のロータ32、第1時中間車41及び第2時中間車42は、それぞれ地板21と輪列受22との間に配置されると共に、地板21及び輪列受22によって回転可能に支持されている。
第1ステップモータ23のロータ32は、車軸の下端部に形成された下ほぞ部が地板21に保持された軸受44のほぞ穴44aによって軸支され、車軸の上端部に形成された上ほぞ部が輪列受22に保持された軸受45のほぞ穴45aによって軸支されている。なお、軸受44、45としては、例えばルビー等で形成された穴石等が挙げられる。
第1時中間車41は、車軸の下端部に形成された下ほぞ部が地板21に形成されたほぞ穴46によって軸支され、車軸の上端部に形成された上ほぞ部が輪列受22に形成されたほぞ穴47によって軸支されている。第1時中間車41は、第1時中間歯車41a及び第1時中間かな41bを備えている。
第1時中間歯車41aは、第1ステップモータ23におけるロータ32のロータかな32aに噛み合っている。これにより、第1時中間車41は第1ステップモータ23のロータ32の回転に基づいて回転する。
第2時中間車42は、車軸の一部が地板21に形成された軸受穴48によって軸支され、車軸の上端部に形成された上ほぞ部が輪列受22に形成されたほぞ穴49によって軸支されている。第2時中間車42は、第2時中間歯車42a及び第2時中間かな42bを備えている。
第2時中間歯車42aは、第1時中間車41の第1時中間かな41bに噛み合っている。これにより、第2時中間車42は第1時中間車41の回転に基づいて回転する。
筒車43は、第1回転軸線O1と同軸に配置され、地板21に保持された円筒部50に回転可能に外嵌されている。円筒部50は、第1回転軸線O1と同軸に配置され、その下端部は地板21よりも下方に向けて突出すると共に、文字板5よりも下方に向けて突出するように形成されている。
筒車43は、下端部に時針7が取り付けられた円筒状の筒車本体43aと、筒車本体43aの上端部に一体に形成され、第2時中間車42の第2時中間かな42bに噛み合う筒歯車43bと、を備えている。これにより、筒車43は第2時中間車42及び第1時中間車41を介して第1ステップモータ23のロータ32の回転に基づいて回転する。
筒車本体43aの下端部は、円筒部50の下端部よりも下方に突出している。そして筒車本体43aの下端部に時針7が取り付けられている。筒歯車43bは、地板21と文字板5との間に配置され、地板21の下側に配置された筒車押さえ51(本発明に係る第2時計用部品)によって下方から押さえられている。
筒車43は、筒車押さえ51と筒歯車43bとの間に配置された第1針座(本発明に係る皿ばね)60によって、筒車押さえ51から離間するように地板21側に向けて付勢されている。なお、第1針座60については、後に詳細に説明する。
また筒車43の内側には、二番車70及び四番車71が第1回転軸線O1と同軸上に配置されている。
二番車70は、第2ステップモータと共に、第2ステップモータで発生した動力を分針に伝達する第2輪列を構成している。二番車70は、筒状の二番車本体70aと、二番車本体70aに一体に形成され、図示しない二番中間車に噛み合う二番歯車70bと、を備え、第1回転軸線O1と同軸に配置されている。これにより、二番車70は、二番中間車を介して第2ステップモータのロータの回転に基づいて回転する。
二番車本体70aは、円筒部50の内側に回転可能に配置されていると共に、円筒部50の上方開口端縁に回転可能に載置されている。二番車本体70aの上端部は、地板21と輪列受22との間に配置された二番受72に回転可能に支持されている。二番車本体70aの下端部は、筒車本体43aよりも下方に突出している。そして二番車本体70aの下端部に分針8が取り付けられている。これにより、分針8は、時針7よりも下方、すなわちガラス2側に配置されている。
二番歯車70bは、二番車本体70aの上端部側に形成され、二番受72と第2時中間車42の第2時中間歯車42aとの間に配置されている。
このように構成された二番車70は、二番受72と二番歯車70bとの間に配置された第2針座73によって、二番受72から離間するように地板21側に向けて付勢されている。
四番車71は、第3ステップモータと共に、第3ステップモータで発生した動力を秒針に伝達する第3輪列を構成している。四番車71は、軸状の四番車本体71aと、四番車本体71aに一体に形成され、図示しない四番中間車に噛み合う四番歯車71bと、を備え、第1回転軸線O1と同軸に配置されている。これにより、四番車71は、四番中間車を介して第3ステップモータのロータの回転に基づいて回転する。
四番車本体71aは、二番車本体70aの内側に回転可能に配置されている。これにより、四番車本体71aは、二番車本体70a及び円筒部50介して地板21に回転可能に支持されている。なお、四番車本体71aの上端部に形成された上ほぞ部は、輪列受22に保持された軸受74のほぞ穴74aによって軸支されている。なお、軸受74としては例えばルビー等で形成された穴石等が挙げられる。
四番車本体71aの下端部は、二番車本体70aよりも下方に突出している。そして四番車本体71aの下端部に秒針9が取り付けられている。これにより、秒針9は、時針7及び分針8よりも下方、すなわちガラス2側に配置されている。
(回路ブロック)
回路ブロックは、水晶振動子を有する水晶ユニット及び集積回路(IC)が少なくとも実装されたプリント基板を備えている。集積回路は、例えばC−MOS又はPLAで構成され、水晶振動子の振動に基づいて基準信号を出力する発振部(オシレータ)と、発振部の基準信号を分周する分周部(デバイダ)と、分周部の出力信号に基づいてモータ駆動信号(駆動パルス)を出力する駆動部(ドライバ)と、を有している。そして、各ステップモータは、駆動部から出力されたモータ駆動信号に基づいて駆動される。
(電池ブロック、スイッチばね)
電池ブロックは、交換可能な電池と、電池を保持すると共に出力端子を有する電池枠、電池押さえと、を少なくとも備えている。スイッチばねは、スイッチの接点となる板状部品であって、例えば回路ブロックにおけるプリント基板の各接点のON/OFFを切り換える。
(第1針座)
第1針座60について、詳細に説明する。
図3及び図4に示すように、第1針座60は、所定の厚みを有し、中央部に挿通孔63が形成された円環状のばね本体部61と、ばね本体部61を厚さ方向に貫通するようにばね本体部61に形成され、ばね本体部61が有する弾性復元力を調整する複数の調整用孔部62と、を備えた皿ばねとされ、第1回転軸線O1と同軸に配置されている。
従って、第1回転軸線O1は、ばね本体部61及び挿通孔63の中心部分を通過する中心軸線に相当する。
なお、本実施形態では、第1回転軸線O1は、ばね本体部61及び挿通孔63の中心部分を通過する中心軸線とされているが、後述する挿通孔63が形成されないばね本体部61においては、第1回転軸線O1は、ばね本体部61の中心部分を通過する中心軸線とされることはいうまでもない。
また、本実施形態において、第1回転軸線O1方向から見た平面視で、第1回転軸線O1に交差する方向を径方向といい、第1回転軸線O1回りを周回する方向を周方向という。さらに、第1回転軸線O1方向から見た平面視を、単に平面視という場合がある。
ばね本体部61は、例えばステンレス或いは銅等の各種の金属材料からなる金属製とされ、極薄に形成されている。ただし、金属製に限定されるものではなく、金属材料以外の材料でばね本体部61を形成しても構わない。なお、各図面では第1針座60を見易くするために、一定の厚みを有するように図示している。
なお、ばね本体部61には、挿通孔63が形成されていなくてもよく、ばね本体部61に所定のばね力を持たせるため、孔の有無又は大きさは適宜調整されるようになっている。
ばね本体部61は、平面視で、ばね本体部61における外周縁部のうち該外周縁部に沿って離間して配置された第1縁部61a及び第2縁部61bを結ぶ仮想線VLに沿って厚さ方向に折り曲げられている。
具体的には、ばね本体部61は、仮想線VLに沿って上方に向けて(筒歯車43b側に向けて)凸となるような湾曲状に折り曲げられている。さらに仮想線VLは、平面視で、第1回転軸線O1を間に挟んで径方向に向かい合うように配置された第1縁部61a及び第2縁部61bを結んでいる。これにより、仮想線VLは第1回転軸線O1を通過すると共に径方向に沿って延びている。従って、ばね本体部61は、仮想線VLに沿って左右均等に折り曲げられている。
調整用孔部62は、平面視で周方向に均等配置されている。本実施形態では、ばね本体部61に4つの調整用孔部62が形成されている。これにより、各調整用孔部62は、第1回転軸線O1回りに90度の間隔をあけて配置されている。
より具体的には、4つの調整用孔部62は、全て同一形状である平面視円形状に形成されていると共に、同径に形成されている。4つの調整用孔部62のうち、2つの調整用孔部62は、平面視で仮想線VLに重なる位置に形成され、残りの2つの調整用孔部62は、その中心が仮想線VLに対して直交する直交方向Lに沿って仮想線VLから所定距離H1離離間した位置に配置されるように形成されている。
上述のように形成された調整用孔部62は、自身の開口面積の分だけばね本体部61の平面積を削減して、ばね本体部61の弾性率を変化させる役割を担っている。これにより、調整用孔部62を利用して、ばね本体部61の弾性復元力を調整することが可能とされている。
特に、調整用孔部62は、直交方向Lに沿って仮想線VLに近い位置に形成されるほど、ばね本体部61の弾性復元力を低下させることが可能とされている。これについては、後に詳細に説明する。
上述のように構成された第1針座60は、図2に示すように、筒車押さえ51と筒歯車43bとの間に配置され、筒車43を筒車押さえ51から離間するように第1回転軸線O1方向に沿う地板21側に向けて付勢することで、筒車押さえ51と筒歯車43bとの間に所定の隙間を形成している。
(第1針座の作用)
次いで、上述のように構成された第1針座60の作用について説明する。
図3及び図4に示すように、第1針座60は、ばね本体部61が仮想線VLに沿って厚さ方向に湾曲状に折り曲げられていることで、第1回転軸線O1方向に弾性変形可能とされていると共に弾性復元力を具備している。
特に、ばね本体部61に4つの調整用孔部62が形成されているので、これら4つの調整用孔部62の開口面積の分だけばね本体部61の平面積を削減することができる。そのため、ばね本体部61の弾性率を変化させることができ、ばね本体部61の弾性復元力が小さくなるように調整することができる。しかも、4つの調整用孔部62は周方向に均等配置されているので、ばね本体部61の全体に亘ってバランス良く弾性復元力の調整を行うことができる。
さらに、4つの調整用孔部62を、例えばプレス加工やドリル加工等の単なる機械加工でばね本体部61に形成するだけで良いので、従来のレーザ加工等を用いる場合に比べて容易且つ低コストで第1針座60を製造することができる。しかも、従来のレーザ加工のように加工熱の影響を考慮する必要がないので、例えばばね本体部61の厚み或いは材料の選定に制約がかかることを抑制することができる。
以上のことから、制約少なく設計することができると共に、弾性復元力を調整することが可能な第1針座60とすることができる。
さらに本実施形態の第1針座60によれば、仮想線VLに対する調整用孔部62の相対位置によってばね本体部61の弾性復元力をさらに細かく調整することが可能である。
ばね本体部61は、仮想線VLに沿って厚さ方向に折り曲げられているので、仮想線VL付近に曲げ応力(内部応力)が集中し、直交方向Lに沿って仮想線VLから離間するにしたがって曲げ応力が低下する傾向にある。そのため、ばね本体部61は、仮想線VL付近が最も剛性が高く、弾性復元力に高く寄与する部分となる。
従って、調整用孔部62を仮想線VLに重なる位置に形成した場合には、ばね本体部61のうち弾性復元力に高く寄与する部分の面積を削減できるので、弾性復元力を効果的に小さくすることができる。これとは逆に、調整用孔部62を直交方向Lに沿って仮想線VLから離間した位置に形成した場合には、仮想線VLに重なる位置に形成する場合に比べれば、弾性復元力の低下具合を抑制することができる。
従って、仮想線VLに対する調整用孔部62の相対位置によって、弾性復元力をさらに細かく調整することが可能となり、所望する弾性復元力を具備する第1針座60とすることができる。
なお、本実施形態の第1針座60では、仮想線VLに重なる位置に2つの調整用孔部62を形成すると共に、直交方向Lに沿って仮想線VLから距離H1離間した位置に2つの調整用孔部62を形成しているので、これらのバランスによりばね本体部61の弾性復元力を所望する値に調整することが可能となる。
そして図2に示すように、第1輪列40は、筒歯車43bと筒車押さえ51との間に、所望する弾性復元力に調整された上記第1針座60を配置しているので、筒車43を筒車押さえ51から離間するように上方(地板21側)に向けて適切に付勢することができる。そのため、第1針座60を利用して、筒車43と筒車押さえ51との間に所定の隙間を適切に確保することができる。
従って、筒車43の姿勢を安定に維持した状態で、筒車43を適切に第1回転軸線O1回りに回転させることができ、作動性能が安定した第1輪列40とすることができる。その結果、時針をふらつかせることなく、スムーズに運針させることが可能となる。
さらに、本実施形態のムーブメント4及び時計1によれば、上述した第1輪列40を含む機構モジュール20を備えているので、同様に作動性能が安定した高品質なムーブメント及び時計とすることができる。
(変形例)
上記実施形態では、4つの調整用孔部62を形成した場合を例に挙げて説明したが、調整用孔部62の数はこの場合に限定されるものではなく、例えば2つ或いは3つ、または5つ以上であっても構わない。いずれにしても複数の調整用孔部62を周方向に均等配置できれば、調整用孔部62の数は適宜変更して構わない。なお、調整用孔部62の数は奇数個よりも偶数個の方が好ましい。
特に、調整用孔部62の数を多くするほど、調整用孔部62の開口面積が占める割合が多くなるので、ばね本体部61の平面積をその分だけ削減することができる。従って、調整用孔部62の数を多くするほど、ばね本体部61の弾性復元力を小さくすることが可能となる。
この点について、実際に確認試験を行った結果を踏まえながら以下に詳細に説明する。
はじめに、上記実施形態で説明したように、4つの調整用孔部62が形成された図3に示す第1針座60を用意した。以下、図3に示す第1針座60を「針座A」と称する場合がある。
さらに図5に示すように、8つの調整用孔部62を周方向に均等配置した第1針座80を用意した。以下、図5に示す第1針座80を「針座B」と称する場合がある。
さらに図6に示すように、16個の調整用孔部62を周方向に均等配置した第1針座90を用意した。以下、図6に示す第1針座90を「針座C」と称する場合がある。
さらに比較例として、調整用孔部62が形成されていない第1針座(不図示)を用意した。以下、この場合の第1針座を「現行−針座」と称する場合がある。
なお、針座A、針座B、針座C及び現行−針座は、同一材料、同一形状、同サイズに形成されている。また、針座A、針座B及び針座Cにおける調整用孔部62は、個数が異なるだけで、形状及びサイズは同一とされている。
図7に示すように、針座A、針座B及び針座Cは、現行−針座に対して、調整用孔部62の形成によるばね本体部61の面積削減率が10%、20%、30%であった。すなわち、針座Aの場合、4つの調整用孔部62が形成されることで、ばね本体部61の面積は現行−針座に比べて10%削減した。針座Bの場合、8つの調整用孔部62が形成されることで、ばね本体部61の面積は現行−針座に比べて20%削減した。針座Cの場合、16個の調整用孔部62が形成されることで、ばね本体部61の面積は現行−針座に比べて30%削減した。
次いで、図8に示すように、固定プレート100と可動プレート101との間に針座A(第1針座60)をセットし、可動プレート101を荷重Fで押下げることで、両プレート100、101の間で針座Aを押潰すように挟み込み、針座Aを強制的に弾性変形させる試験を行った。このとき、可動プレート101が固定プレート100側に0.15mm分、変位(移動)したときの荷重Fを測定した。この荷重Fは、針座Aの弾性復元力に相当する。
その結果、図9に示すように、針座Aの場合、荷重Fは2.86mNであった。
上述と同様の試験を、針座B、針座C及び現行−針座に対して行った。その結果、図9に示すように、針座Bの場合には荷重Fが2.56mNであった。針座Cの場合には荷重Fが2.31mNであった。現行−針座の場合には荷重Fが4.05mNであった。
従って、これらの結果から、ばね本体部61の面積削減率が低下するほど、ばね本体部61の弾性復元力が低下することが確認できた。つまり、ばね本体部61に形成した調整用孔部62に起因する、ばね本体部61の面積削減によって、ばね本体部61の弾性率が変化し、それによって弾性復元力が変化することが確認できた。
これらのことにより、ばね本体部61に形成した調整用孔部62によって、ばね本体部61の弾性復元力を調整できることを確認できた。さらに、調整用孔部62の数を多くするほど、弾性復元力を低下させるように調整できることを確認できた。
さらに上述した針座A、針座B及び針座Cでの確認試験の結果に基づいて、面積削減率が10%、20%、30%の場合について、現行−針座の荷重Fに対する各針座の荷重Fの荷重減少比(応力減少比)を算出した。その結果を、図10に示す。
なお、針座Aの場合、荷重減少比は(4.05−2.86)/4.05=0.29となる。針座Bの場合、荷重減少比は(4.05−2.56)/4.05=0.38となる。針座Cの場合、荷重減少比は(4.05−2.31)/4.05=0.43となる。
なお、図10では、面積削減率が10%、20%、30%の場合のときの荷重減少比を記号「◇」でプロットしている。さらに、記号「◇」でプロットした各荷重減少比に基づいて近似直線L1を算出し、この近似直線L1上において、ばね本体部61の面積削減率が5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%となる部分でそれぞれ荷重減少比を算出している。この算出した各荷重減少比を記号「□」でプロットしている。
そして図10の結果より、針座Aにおけるばね本体部61の平面積をS、ばね本体部61を一定量押し込んだときの反発力、すなわち弾性復元力をFと定義すると共に、任意の弾性復元力F1を得たい場合の調整用孔部62の開口面積の合計面積をSと定義した場合、以下の算出式(1)を得ることができた。なお、算出式(1)において、「(S−S)×(100/S)」は、面積削減率に相当する。
・(F−F1)/F=(log(S−S)×(100/S))/3.5・・(1)
従って、上記算出式(1)を利用することで、所望する弾性復元力F1を得るために必要な調整用孔部62の総面積(各調整用孔部62の開口面積の合計面積)Sを算出することが可能となる。
なお、上記算出式(1)は、調整用孔部62の有無によって変化するばね本体部61の面積削減率と、調整用孔部62の有無によって変化するばね本体部61の応力減少率(すなわち応力減少比)と、の関係に基づいて既定されている。
以上のことから、本実施形態において、調整用孔部62は、所望する弾性復元力の値(上記F1)を基に、予め既定された上記算出式(1)に基づいて算出された、複数の調整用孔部62の総面積Sと複数の調整用孔部62の個数との関係によって開口面積を設定することが可能とされている。
上記算出式(1)を利用することで、所望する弾性復元力の値に基づいて設定された開口面積で調整用孔部62を形成することができる。従って、ばね本体部61の弾性復元力を、所望する弾性復元力となるように精度良く調整することができる。
さらに、上記実施形態では、4つの調整用孔部62のうち2つの調整用孔部62を仮想線VLに重なるように形成したが、この場合に限定されるものではない。
例えば、図11に示すように、4つの調整用孔部62が図3に示す第1針座60(針座A)での形成位置を基準にしたときに、第1回転軸線O1回りに45度回転した位置に形成された第1針座110としても良い。以下、図11に示す第1針座110を「針座D」と称する場合がある。
さらには、図12に示すように、4つの調整用孔部62が図3に示す第1針座60(針座A)での形成位置を基準にしたときに、第1回転軸線O1回りに30度回転した位置に形成された第1針座120としても良い。以下、図12に示す第1針座120を「針座E」と称する場合がある。
このように構成された第1針座110、120であっても、上記実施形態の第1針座60と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、針座D及び針座Eの場合、直交方向Lに沿う仮想線VLから調整用孔部62の中心までの距離が針座Aの場合とは異なる。そのため、針座A、針座D及び針座Eでは、調整用孔部62の数が4つで共通するが、直交方向Lに沿う仮想線VLからの距離が異なるので、ばね本体部61の弾性復元力を異ならせることができる。
先に述べたように、ばね本体部61は、仮想線VLに沿って厚さ方向に折り曲げられているので、仮想線VL付近に曲げ応力(内部応力)が集中し、直交方向Lに沿って仮想線VLから離間するにしたがって曲げ応力が低下する傾向にある。そのため、ばね本体部61は、仮想線VL付近が最も剛性が高く、弾性復元力に高く寄与する部分となる。従って、仮想線VLに対する調整用孔部62の相対位置によって、弾性復元力をさらに細かく調整することが可能となる。
この点について、上述と同様の確認試験を行った結果を踏まえながら以下に詳細に説明する。
上述と同様の試験を針座D、針座Eに対して行った結果、図13に示すように、針座Dの場合には荷重Fが3.52mNであり、針座Eの場合には荷重Fが3.39mNであった。従って、針座Dにおける荷重(弾性復元力)Fは、針座Aにおける荷重F(2.86mN)を基準としたときに、荷重が23%増加した。針座Eにおける荷重(弾性復元力)Fは、針座Aにおける荷重F(2.86mN)を基準としたときに、荷重が19%増加した。なお現行−針座における荷重(弾性復元力)Fは、針座Aにおける荷重F(2.86mN)を基準としたときに、荷重が43%高い。
従って、これらの結果から調整用孔部62を仮想線VLに近い位置に形成するほど、ばね本体部61のうち弾性復元力に高く寄与する部分の面積を削減できるので、弾性復元力を効果的に小さくすることができ、これとは逆に、調整用孔部62を直交方向Lに沿って仮想線VLから離間する位置に形成するほど、弾性復元力の低下具合を抑制できることが確認できた。
従って、仮想線VLに対する調整用孔部62の相対位置によって、弾性復元力をさらに細かく調整することが可能となり、所望する弾性復元力を得ることができる。
なお、図3に示す第1針座(針座A)60の場合、2つの調整用孔部62が仮想線VLに重なるように配置され、残り2つの調整用孔部62が仮想線VLから直交方向Lに距離H1だけ離間した位置に形成されている。
これに対して、図11に示す第1針座(針座D)110の場合では、調整用孔部62の位置が仮想線VLから距離H2だけ離間した位置に形成されており、針座Aにおける距離H1よりも短い。しかしながら、4つ全ての調整用孔部62が、仮想線VLから距離H2だけ離間した位置に形成されているので、弾性復元力が針座Aよりも増加している。
図12に示す第1針座(針座E)120の場合では、2つの調整用孔部62が仮想線VLから直交方向Lに距離H3だけ離間した位置に形成され、残り2つの調整用孔部62が仮想線VLから直交方向Lに距離H4だけ離間した位置に形成されている。
従って、4つ全ての調整用孔部62が、少なくとも仮想線VLに重なる位置に形成されてはいないので、弾性復元力が針座Aよりも増加している。しかしながら、仮想線VLから距離H3だけ離れた位置に形成されている2つの調整用孔部62は、針座Dの場合よりも仮想線VL側に位置している。従って、その分だけ弾性復元力が低下し、結果的に針座Dよりも弾性復元力が低下している。
ここで、図3に示す第1針座(針座A)60、図11に示す第1針座(針座D)110及び図12に示す第1針座(針座E)120について、ばね本体部61に残留している内部応力の分布状況について三次元的に応力解析(CAE解析)した結果を図14〜図16に示す。
図14は、図12に示す第1針座(針座E)120における応力解析図であるミーゼス応力図である。図15は、図3に示す第1針座(針座A)60の一部分におけるミーゼス応力図である。図16は、図11に示す第1針座(針座D)110の一部分におけるミーゼス応力図である。
図14〜図16に示されるように、ばね本体部61には、仮想線VL付近に曲げ応力(内部応力)が集中し、直交方向Lに沿って仮想線VLから離間するにしたがって曲げ応力が低下することが確認できた。そして、図14に示す内部応力の応力値を参照することで、調整用孔部62が仮想線VLからどの程度の距離だけ離間するかによって、弾性復元力の変化にどの程度寄与するかについて把握することができる。
これらのことから、先に述べたように、針座Dの場合には、針座Aの場合よりも弾性復元力を大きくすることができ、針座Eの場合には、針座Aの場合よりも弾性復元力を大きく、且つ針座Dの場合よりも弾性復元力を小さくすることが可能である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば、上記実施形態では、アナログクォーツ式の腕時計を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばアナログ表示及びデジタル表示の両方を行えるコンビネーションクォーツ式の腕時計、或いは機械式の腕時計等に本発明を適用しても構わない。
さらに、上記実施形態では、本発明に係る皿ばねを第1針座に適用した場合を例に挙げて説明したが、例えば図2に示すように、二番受72と二番車70との間に配置された第2針座73に適用しても構わない。この場合には、例えば二番車70が第1時計用部品となり、二番受72が第2時計用部品となる。
さらに上記実施形態では、平面視円形状の調整用孔部62を4つ形成した場合を例に挙げて説明したが、調整用孔部62の形状、個数、形成位置は、所望する弾性復元力に応じて適宜変更して構わない。
例えば、図17に示すように、平面視円形状の2つの調整用孔部62を、仮想線VLに重なるように形成した第1針座130としても構わない。この場合において、図18に示すように、調整用孔部62の形状を周方向に延びる円弧状に形成しても構わないし、図19に示すように、周方向に2つの円形が一体に繋がったような形状としても構わない。
さらに上記実施形態では、ばね本体部61の形状を円環状に形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
例えば、図20に示すように、ばね本体部61の外形を平面視正方形状に形成した第1針座60としても構わないし、図21に示すように、ばね本体部61の外形を平面視楕円状に形成した第1針座60としても構わない。
さらに、上記実施形態では、ばね本体部61を仮想線VLに沿って湾曲状に折り曲げた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば図22に示すように、仮想線VLに沿ってばね本体部61を断面V字状に折り曲げた第1針座60としても構わない。
さらに、上記実施形態では、第1回転軸線O1を通過する仮想線VLを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、ばね本体部61の外周縁部に沿って離間した異なる2箇所の縁部(第1縁部61a、第2縁部61b)を結んでいれば、例えば仮想線VLが第1回転軸線O1からずれていても構わない。
ただし、上記実施形態のように、第1回転軸線O1を通過する仮想線VLとした場合には、ばね本体部61が仮想線VLに沿って左右均等に折り曲げられたバランスの良い第1針座60となるので、好ましい。
さらには、図23に示すように、ばね本体部61が2本の仮想線VLに沿って折り曲げられた第1針座140としても構わない。
また、上記実施形態では、本発明に係る皿ばねを第1針座として時計に適用した場合を例に挙げて説明したが、時計に適用する場合に限定されるものではなく、その他の機械構造体に適用して構わない。
L…直交方向
O1…第1回転軸線(中心軸線)
VL…仮想線
1…時計
4…ムーブメント(時計用ムーブメント)
40…第1輪列(輪列機構)
43…筒車(第1時計用部品)
51…筒車押さえ(第2時計用部品)
60、80、90、110、120、130、140…第1針座(皿ばね)
61…ばね本体部
61a…第1縁部
61b…第2縁部
62…調整用孔部

Claims (7)

  1. 所定の厚みを有し、外周縁部に沿って離間して配置された第1縁部及び第2縁部を結ぶ仮想線に沿って厚さ方向に折り曲げられるばね本体部と、
    前記ばね本体部を厚さ方向に貫通するように形成され、前記ばね本体部の中心軸線方向から見た平面視で、前記中心軸線回りを周回する周方向に均等配置されることにより、前記ばね本体部が有する弾性復元力を調整する複数の調整用孔部と、を備えることを特徴とする皿ばね。
  2. 請求項1に記載の皿ばねにおいて、
    前記調整用孔部は、前記中心軸線方向から見た平面視で、前記仮想線に重なる位置、及び前記仮想線に対して直交する直交方向に沿って前記仮想線から所定距離離間した位置、のうちの少なくとも一方の位置に形成され、
    前記調整用孔部は、前記直交方向に沿って前記仮想線に近い位置に形成されるほど、前記ばね本体部の弾性復元力を低下させる、皿ばね。
  3. 請求項1又は2に記載の皿ばねにおいて、
    前記仮想線は、前記中心軸線方向から見た平面視で、前記中心軸線を通過すると共に、前記中心軸線に交差する径方向に沿って延びている、皿ばね。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の皿ばねにおいて、
    前記調整用孔部は、所望する弾性復元力の値を基に、予め既定された算出式に基づいて算出された、前記調整用孔部における開口面積の総面積と前記調整用孔部の個数との関係によって開口面積が設定され、
    前記算出式は、前記調整用孔部の有無によって変化する前記ばね本体部の面積削減率と、前記調整用孔部の有無によって変化する前記ばね本体部の応力減少率と、の関係に基づいて既定されている、皿ばね。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の皿ばねと、
    第1時計用部品と、
    前記皿ばねを間に挟んで前記第1時計用部品に対して前記中心軸線方向に配置された第2時計用部品と、を備え、
    前記皿ばねは、前記第1時計用部品を前記第2時計部品から離間するように前記中心軸方向に付勢することで、前記第1時計用部品と前記第2時計用部品との間に所定の隙間を形成する、輪列機構。
  6. 請求項5に記載の輪列機構を備えている、時計用ムーブメント。
  7. 請求項6に記載の時計用ムーブメントを備えている、時計。
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