以下、図面を参照して本発明にかかる実施形態を説明する。まず、本実施形態にかかる通信システムについて図1を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる通信システム1の構成を模式的に示す図である。
図示するように、本実施形態にかかる通信システム1は、移動体通信端末100と通信装置200から構成され、移動体通信端末100による移動体通信(いわゆる、セルラ通信)をおこなうための移動体通信網(セルラ網)10と、通信装置200が固定電話通信をおこなうための固定電話網20を含む。
このような通信システム1において、移動体通信端末100は、移動体通信網10に無線アクセスできるとともに、通信装置200にも無線アクセスすることができるものとする。そして、通信装置200を介することで、固定電話網20を介した通信をおこなうことのできる、いわゆるFMC(Fixed Mobile Convergence)が実現されているものとする。
この場合において、移動体通信網10は、移動体通信キャリアによって提供されるセルラ網であり、移動体通信端末100が無線アクセスする複数の無線基地局、複数の無線基地局を制御する複数の無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)などから構成される無線アクセスネットワークと、複数のRNC同士を接続する中継交換機や他の通信ネットワークと接続するための関門交換機、移動体通信端末の位置情報が登録されるホームメモリなどから構成されるコアネットワークなどを含んでいるものとする。すなわち、移動体通信端末100が移動体通信網10に無線アクセスすることで、移動体通信回線が確立し、移動体通信がおこなわれる。
また、固定電話網20は、例えば、PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換回線網)やISDN(Integrated Services Digital Network:サービス統合デジタル網)などといった回線交換方式の電話回線網や、IP通信(IP:Internet Protocol)をおこなうための、例えば、光ファイバ網やDSL網(Digital Subscriber Line:デジタル加入者網)などといったパケット交換方式の通信ネットワークなどから構成され、固定電話機などの非移動体通信端末を用いた一般加入者電話やIP電話を実現するための通信ネットワーク(非移動体通信網)である。このような固定電話網20と通信装置200とは、アクセス回線である固定電話回線21(非移動体通信回線)によって接続されている。本実施形態では、FMCにより、移動体通信端末100が、通信装置200に接続されている固定電話回線21を介した通信(非移動体通信)をおこなえるものとする。
次に、本実施形態にかかる移動体通信端末100について説明する。本実施形態にかかる移動体通信端末100は、例えば、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などといった、いわゆるセルラ通信による移動通信をおこなうための移動電話端末であり、移動体通信網10を介しておこなう音声通話やデータ通信などの通信機能(以下、「セルラ通信機能」とする)を基本機能として有する他、例えば、無線LAN(Local Area Network:構内通信網)やBluetoothなどいった、セルラ通信とは別系統の無線通信機能(以下、「非セルラ通信機能」とする)を備えた、いわゆるデュアルモード端末である。
このような移動体通信端末100の構成を、図2を参照して説明する。図2は、移動体通信端末100の構成を示すブロック図である。図示するように、移動体通信端末100は、制御部110、セルラ通信部120、非セルラ通信部130、インタフェース部140、音声処理部150、記憶部160、などから構成される。
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)などから構成され、所定の動作プログラムを実行することで移動体通信端末100の各部を制御する。すなわち、移動体通信端末100の各構成は制御部110によって制御されるとともに、各構成間の情報伝達などは制御部110を介しておこなわれる。
セルラ通信部120は、移動体通信端末100によるセルラ通信動作をおこなう装置であり、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)方式などの通信方式を用いた通信装置などで構成され、当該通信方式に対応したアンテナ121による無線送受信をおこなうことで、近傍の基地局と無線通信をおこなう。すなわち、セルラ通信部120により、移動体通信網10への無線アクセスが実現される。
非セルラ通信部130は、移動体通信端末100による非セルラ通信動作をおこなう装置であり、例えば、IEEE802.11系の無線LAN規格やBluetoothなどの近距離無線通信規格などに準拠した無線通信装置などで構成され、当該通信規格に対応したアンテナ131による無線送受信をおこなうことで、当該無線通信方式に対応した装置との無線通信をおこなう。本実施形態では、非セルラ通信部130の無線通信方式に通信装置200が対応しているものとし、非セルラ通信部130の動作によって、移動体通信端末100と通信装置200とが無線通信をおこなえるものとする。
インタフェース部140は、移動体通信端末100とその使用者とのインタフェースにかかる構成であり、例えば、操作部141や表示部142などから構成される。
操作部141は、移動体通信端末100の外面上に構成されたボタンやキーなどから構成され、移動体通信端末100のユーザによって操作される。操作部141は、各ボタンやキーなどと接続された入力回路などを備え、ユーザの操作に応じた入力信号を生成して制御部110に入力する。
表示部142は、例えば、液晶表示装置などから構成された表示出力装置であり、制御部110の制御によって画像などを表示出力する。
音声処理部150は、例えば、音声データ用のコーデック回路などから構成され、移動体通信端末100の音声入力、音声出力にかかる処理をおこなう。すなわち、セルラ通信部120や非セルラ通信部130で受信したデジタル音声データをアナログ音声信号に変換してスピーカ151から出力する受話動作や、マイクロフォン152から入力されたユーザの発話音声をデジタル音声データに変換してセルラ通信部120や非セルラ通信部130に送出する送話動作などをおこなう。
記憶部160は、例えば、フラシュメモリなどの記憶装置から構成され、制御部110が実行する動作プログラムを格納する他、本発明を実現するために必要な種々のデータを格納する。本実施形態では、図2に示すように、セルラ通信設定格納領域161、非セルラ通信設定格納領域162、アドレス情報格納領域163、プログラム格納領域164、などの記憶領域で構成される。
セルラ通信設定格納領域161は、移動体通信端末100がセルラ通信をおこなう際に必要となる設定情報(セルラ通信設定)を格納する記憶領域である。すなわち、移動体通信キャリアとの契約によって割り当てられる移動体通信端末毎に一意の電話番号や電子メールアドレスなどといった識別情報や種々の認証キーなどが格納される。
このようなセルラ通信の設定情報は、通信キャリアとの契約に応じた加入者情報をICカードなどに記録した、いわゆる、UIM(User Identity Module)カードとして提供される情報とすることができる。したがって、セルラ通信設定格納領域161は、移動体通信端末100の内部に構成された記憶部160内に用意することができる他、移動体通信端末100に付加的に装着されるUIMカードなどの記憶素子上に構成されているものであってもよい。
以下、本実施形態においては、移動体通信端末100内部の記憶部160に構成されているセルラ通信設定格納領域161に、一の設定情報がデフォルト設定として予め格納されているとともに、移動体通信端末100に装着されたUIMカードに記録されている情報が読み出されて、セルラ通信設定格納領域161に格納されるものとする。
ここで、本実施形態にかかる移動体通信端末100は、このようなUIMカードを少なくとも1以上装着可能であるものとする。つまり、移動体通信端末100は、1台で2以上の電話番号等を選択的に使用することのできるデュアルモード端末でもある。このようなデュアルモード端末では、例えば、ビジネス用とプライベート用に電話番号を使い分けるなどの目的で2以上の電話番号等が選択的に利用されるものとする。
本実施形態においては、例えば、法人契約などによって、ビジネス利用を主目的に移動体通信端末100が用いられるものとし、セルラ通信設定格納領域161にデフォルトで格納される設定情報はビジネス用の電話番号等(例えば、顧客や取引先などとの通信に用いる電話番号等)であるものとする。そして、プライベート用の電話番号等(例えば、家族や友人などとの通信に用いる電話番号等)の設定情報を記録したUIMカードを移動体通信端末100に装着することで、1台の移動体通信端末100を使った通信を、ビジネス用とプライベート用に使い分けるものとする。
非セルラ通信設定格納領域162は、本実施形態にかかる通信装置200との通信である非セルラ通信をおこなうために必要な設定情報(非セルラ通信設定)を格納する記憶領域である。本実施形態では、FMCの利用契約に基づいた設定情報が非セルラ通信設定格納領域162に格納されるものとする。ここでは、例えば、法人契約などにより、ビジネス用途のFMC利用契約がなされているものとする。この場合、移動体通信端末100の使用者が属する事業体の建造物内などに設置されている通信装置200と移動体通信端末100が通信することで、当該事業体が契約している固定電話回線を使ったFMCが実現されているものとする。
非セルラ通信設定格納領域162には、このようなFMCの利用契約に基づいて割り当てられる設定情報が格納される。ここでは、例えば、通信装置200との通信に必要となる各種認証情報の他、当該FMC契約によって利用可能な固定電話回線の電話番号などが格納される。このようなFMC契約によって割り当てられる設定情報も、UIMカードなどによって提供することができる。したがって、セルラ通信設定格納領域161の場合と同様、移動体通信端末100に装着されるUIMカードに非セルラ通信設定格納領域162が構成されていてもよい。
ここで、本実施形態では、移動体通信端末100に2以上のUIMカードが装着できるものとし、移動体通信端末100に装着されたUIMカードに非セルラ通信設定格納領域162が構成されているものとする。よって、本実施形態では、移動体通信端末100に、セルラ通信(プライベート用)のUIMカードと、非セルラ通信のUIMカードが装着されていることになる。この場合、移動体通信端末100は、3つの電話番号(セルラ通信用の2つと非セルラ通信用の1つ)が利用可能ということになる。
以上のような場合において、セルラ通信設定格納領域161および非セルラ通信設定格納領域162に格納される情報の例を図3に示す。ここで、図3(a)は、セルラ通信設定格納領域161に格納される情報の例を示し、図3(b)は、非セルラ通信設定格納領域162に格納される情報の例を示している。
図3(a)に示すように、セルラ通信設定格納領域161には、デフォルトで登録されているビジネス用のセルラ通信設定と、UIMカードから読み出されたプライベート用のセルラ通信設定が格納されている。各設定情報には、それぞれで用いる電話番号や電子メールアドレスの他、利用目的に応じた用途を示す情報が記録される。
以下、セルラ通信設定格納領域161にデフォルトで設定されたビジネス用のセルラ通信設定を「UIM1」、移動体通信端末100に装着されたUIMカードからセルラ通信設定格納領域161に読み出されたプライベート用のセルラ通信設定を「UIM2」とする。この場合、図3(a)に示すように、UIM1についての用途として「ビジネス」が記録され、UIM2についての用途として「プライベート」が記録されているものとする。このような用途を示す情報は、例えば、移動体通信端末100の使用者によって任意に設定されるものとする。
また、移動体通信端末100に装着されたUIMカードにおける非セルラ通信設定格納領域162には、図3(b)に示すように、FMC契約に基づいて利用可能な通信装置200との通信に必要となる認証情報や、当該通信装置200を介してFMCに利用可能な固定電話回線(以下、「FMC回線」とする)の電話番号などとともに、当該電話番号を利用する用途が記録される。以下、本実施形態の非セルラ通信設定格納領域162に設定された非セルラ通信設定を「UIM3」とする。上述したように、本実施形態にかかる移動体通信端末100においては、ビジネス利用のFMC契約がなされているので、UIM3についての用途として、図3(b)に示すように「ビジネス」が非セルラ通信設定格納領域162に記録されているものとする。このような非セルラ通信の用途を示す情報は、例えば、FMCの契約時などにFMCサービスの提供者などによって設定されるものとする。
図2に示すアドレス情報格納領域163は、移動体通信端末100のアドレス帳機能(電話帳機能)に用いられるアドレス情報を格納する領域である。本実施形態では、移動体通信端末100で使用できる電話番号等のそれぞれについて登録されたアドレス情報が、アドレス情報格納領域163に格納されるものとする。アドレス情報格納領域163に格納されるアドレス情報の例を図3(c)に示す。
図示するように、アドレス情報格納領域163には、相手先の名称や電話番号、電子メールアドレスなどといった一般的なアドレス情報に加え、各アドレス情報の属性情報が記録される。本実施形態では、移動体通信端末100で利用可能な通信を示す情報(例えば、UIM1、UIM2、UIM3、など)が属性情報として記録される。
ここでは、登録されている通信相手に通知したい電話番号がいずれであるか応じて、使用する通信が任意に設定されているものとする。例えば、UIM1に対応する移動体通信用の電話番号を通知したい相手(例えば、図3(c)における「Aさん」)には、属性情報として「UIM1」が登録され、UIM2に対応する移動体通信用の電話番号を通知したい相手(例えば、図3(c)における「Bさん」)には、属性情報として「UIM2」が登録される。また、FMCが利用できる場合に、FMCで使う固定電話回線21の電話番号を通知したい相手(例えば、図3(c)における「Cさん」)には、属性情報として「UIM3」が登録される。
なお、UIMカードを用いた場合、UIMカードの挿抜により、利用できる電話番号等が不特定的に変わることがあるが、アドレス情報格納領域163には、これまで移動体通信端末100で使われたことのあるUIMに対応するアドレス情報が格納されているものとする。ただし、セキュリティ上の理由などにより、UIMカードに対応するアドレス情報は当該UIMカードのみに記録されるよう制限されている場合は、移動体通信端末100に装着されたUIMカードをアドレス情報格納領域163の一部とし、当該UIMカードから直接参照されるものとする。
プログラム格納領域164は、制御部110が実行するプログラムを格納するための領域である。プログラム格納領域には、移動体通信端末100全体の動作を制御するための基本ソフトウェア(いわゆる、OS)や、移動体通信端末100の種々の機能を実現するためのアプリケーションソフトなどが格納される。本実施形態では、制御部110がプログラム格納領域164に格納されているプログラムを実行することで、本実施形態にかかる処理を実行するために必要な構成が実現される。
本実施形態では、プログラム格納領域164に格納されているプログラムを制御部110が実行することで、図4に示すような機能が実現されるものとする。図4は、本実施形態にかかる移動体通信端末100からの発信動作をおこなう際に実現される機能を示す機能ブロック図である。図示するように、制御部110は、インタフェース制御部111、利用可能回線判別部112、利用回線選択部113、通知情報取得部114、発信動作制御部115、などとして機能する。
インタフェース制御部111は、インタフェース部140を制御し、操作部141からの入力信号を受け付けるとともに、種々の画面を生成して表示部142に出力させる。
利用可能回線判別部112は、セルラ通信部120および非セルラ通信部130を制御し、移動体通信端末100が利用可能な回線を判別する。つまり、セルラ通信部120および非セルラ通信部130の動作をモニタすることで、セルラ通信および非セルラ通信が利用可能であるか否かを判別する。より詳細には、セルラ通信部120が近傍の無線基地局と通信可能であるかモニタすることで、セルラ通信の圏内であるか否かを判別するとともに、非セルラ通信部130が通信装置200と通信可能であるかモニタすることで、通信装置200との通信圏内であるか否かを判別する。
また、利用可能回線判別部112は、操作部141からの入力信号に基づいて、移動体通信端末100の使用者が所望する通信相手に用いる回線が利用可能であるか否か判別する。
利用回線選択部113は、利用可能回線判別部112による判別結果と操作部141からの入力信号に基づいて、利用する回線を選択する。
通知情報取得部114は、利用回線選択部113が選択した回線と操作部141からの入力信号に基づいて、移動体通信端末100からの発信時に通知する電話番号等(通知情報)をセルラ通信設定格納領域161もしくは非セルラ通信設定格納領域162から取得する。
発信動作制御部115は、利用回線選択部113が選択した回線に応じてセルラ通信部120もしくは非セルラ通信部130を制御して発信動作をおこなう。ここで、セルラ通信によって発信する場合は、通知情報取得部114が取得した通知情報が通信相手に通知されるようセルラ通信部120を制御する。一方、非セルラ通信によって発信する場合は、通知情報取得部114が取得した通知情報が通信相手に通知する動作を通信装置200がおこなうよう非セルラ通信部130を制御する。この場合、通信装置200の動作を制御するための制御信号を生成し、非セルラ通信部130から通信装置200に送信する。
本実施形態では、プログラムの実行により、図4に示す各機能が制御部110によって論理的に実現されるものとするが、これらの各機能を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)などのハードウェアによって構成してもよい。
また、上述した各構成は、移動体通信端末100を本発明にかかる移動体通信端末として機能させるために必要な構成であり、移動体通信端末としての基本機能や付加機能にかかるその他の構成については、必要に応じて備えられているものとする。
次に通信装置200について説明する。上述したように、通信装置200は、例えば、固定電話回線21に接続された固定電話機や、固定電話回線21に接続された無線通信アクセスポイントなどであり、本実施形態では、移動体通信端末100と無線通信をおこなうことで、移動体通信端末100と固定電話網20とを仲介する通信装置である。
本実施形態では、上述したように、移動体通信端末100と通信装置200によってFMCが実現されているので、例えば、一般家庭などにおいてFMCを利用する場合は、移動体通信端末100との無線通信(例えば、Bluetoothによる無線通信)によって移動体通信端末100を子機として利用可能な固定電話機が通信装置200として用いられる。また、オフィスなどにおいてFMCを利用する場合は、例えば、オフィス内に構築されているLANに接続された無線LANアクセスポイントなどが通信装置200として用いられる。なお、FMCの利用場所と通信装置200の形態の組み合わせは任意であり、上記の例に限られるものではない。
このような通信装置200の構成を、図5を参照して説明する。図5は通信装置200の構成を示すブロック図である。図示するように、通信装置200は、制御部210、回線収容部220、無線通信部230、インタフェース部240、記憶部250、などから構成される。
制御部210は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)などから構成され、所定の動作プログラムを実行することで通信装置200の各部を制御する。すなわち、通信装置200の各構成は制御部210によって制御されるとともに、各構成間の情報伝達などは制御部210を介しておこなわれる。
回線収容部220は、固定電話網20と接続するための固定電話回線21を収容し、当該固定電話回線21を用いて固定電話網20を介した通信をおこなう。この場合において、回線収容部220に複数の回線が収容されてもよいが、少なくとも、FMC契約がなされた電話番号の固定電話回線21が回線収容部220に収容されているものとする。
なお、回線収容部220は、既知のFMC用通信装置に用いられている構成によって実現されているものとする。また、採用するFMCの規格により、IP網を介したアクセスがFMCの実行時に必要となる場合などは、固定電話網以外の通信ネットワークへのアクセス回線が回線収容部220に収容されていてもよい。また、回線収容部220と、固定電話回線21もしくは固定電話網20などの通信ネットワークとの間には、回線や通信ネットワークに応じた通信装置(例えば、モデム、ルータ、PBX、ゲートウェイ装置、回線終端装置、など)が必要に応じて適宜介在しているものとする。
無線通信部230は、移動体通信端末100との非セルラ通信をおこなうための無線通信装置である。よって、移動体通信端末100と通信装置200との非セルラ通信に採用されている通信方式に応じた無線通信装置によって構成され、当該無線通信方式で動作するアンテナ231による無線電波の送受信を制御することで、移動体通信端末100との無線通信をおこなう。
インタフェース部240は、通信装置200の設定や制御をおこなうために、通信装置200の使用者とのインタフェースとなる構成である。例えば、通信装置200として固定電話機の形態をとっている場合であれば、電話機のハンドセットやダイヤルボタンなどがインタフェース部240に含まれる。また、通信装置200として無線LANアクセスポイントなどの形態をとっている場合であれば、インジケータやスイッチなどの他、LANなどを介して外部装置(パーソナルコンピュータなど)と接続するための構成がインタフェース部240に含まれる。
記憶部250は、例えば、フラシュメモリなどの記憶装置から構成され、制御部210が実行する動作プログラムを格納する他、本発明を実現するために必要な種々のデータを格納する。本実施形態では、図6(a)に示すような記憶領域が記憶部250に確保され、各記憶領域に所定の情報が格納される。図示するように、記憶部250は、例えば、回線情報格納領域251、端末情報格納領域252、プログラム格納領域253、などの記憶領域によって構成される。
回線情報格納領域251は、回線収容部220に収容されている固定電話回線21についての情報(回線情報)を格納する領域である。回線情報格納領域251に格納される情報の例を図6(b)に示す。図示するように、回線情報格納領域251には、収容された固定電話回線21の電話番号の他、FMCに用いられる回線(FMC回線)がいずれであるかを示す情報が記録される。このような回線情報は、インタフェース部240を介した操作によって回線情報格納領域251に記録されるものであり、例えば、収容した回線を提供する通信事業者やFMCサービスを提供する事業者、あるいは、通信装置200の使用者などによって設定される。
端末情報格納領域252は、通信装置200によってFMCをおこなう移動体通信端末100についての情報(端末情報)を格納する領域である。端末情報格納領域252に格納される情報の例を図6(c)に示す。図示するように、端末情報格納領域252には、通信装置200にアクセスしてFMCを利用することのできる移動体通信端末100についての識別情報(例えば、当該移動体通信端末100に割り当てられている電話番号、IPアドレス、MACアドレス、などといった一意の識別情報)や当該移動体通信端末100との通信時に必要となるセキュリティに関する情報(例えば、暗号化キーなど)の他、当該移動体通信端末100がFMCに利用できる回線(FMC回線)の電話番号、などが記録される。このような端末情報は、インタフェース部240を介した操作によって端末情報格納領域252に記録されるものであり、例えば、FMCサービスを提供する事業者や通信装置200の使用者などによって設定される。
プログラム格納領域253は、制御部210が実行するプログラムを格納するための領域である。プログラム格納領域には、通信装置200全体の動作を制御するための基本ソフトウェア(いわゆる、OS)や、通信装置200の種々の機能を実現するためのプログラムなどが格納される。本実施形態では、制御部210がプログラム格納領域253に格納されているプログラムを実行することで、本実施形態にかかる処理を実行するために必要な構成が実現される。
本実施形態では、プログラム格納領域253に格納されているプログラムを制御部210が実行することで、図7に示すような機能が実現されるものとする。図7は、本実施形態にかかる移動体通信端末100からのアクセスによってFMCによる発信動作をおこなう際に実現される機能を示す機能ブロック図である。図示するように、制御部210は、無線通信制御部211、端末認証部212、回線選択部213、通知情報取得部214、発信動作制御部215、などとして機能する。
無線通信制御部211は、無線通信部230を制御することで、移動体通信端末100との無線通信(非セルラ通信)にかかる動作をおこなう。
端末認証部212は、通信装置200に無線アクセスした移動体通信端末100が、当該通信装置200を使ったFMCを利用できる移動体通信端末100であるか判別する。ここでは、移動体通信端末100がアクセス時に送信する識別情報と、回線情報格納領域251や端末情報格納領域252に格納されている情報との照合により、FMCの利用が許可されている移動体通信端末100であるか判別する。
回線選択部213は、通信装置200にアクセスした移動体通信端末100がFMCに用いる回線を選択する。ここでは、回線情報格納領域251や端末情報格納領域252に格納されている情報に基づいて、回線収容部220に収容されている回線から、アクセスした移動体通信端末100がFMCで利用可能な固定電話回線21を選択する。
通知情報取得部214は、移動体通信端末100がFMCによって発信する際に、発信先に通知する通知情報を取得する。ここでは、発信元の電話番号を通知情報とする。この場合において、移動体通信端末100から通知情報が指定された場合は、指定された電話番号を通知情報として取得する。一方、移動体通信端末100から通知情報の指定がない場合は、回線選択部213が選択した回線の電話番号を通知情報として取得する。
発信動作制御部215は、回線収容部220を制御し、通信装置200にアクセスした移動体通信端末100からのFMCによる発信動作をおこなう。すなわち、所定の呼制御にかかる動作を実行することで、移動体通信端末100が指定する発信先へ、FMC回線として指定されている固定電話回線21(固定電話網20)を介して発呼する。この場合において、発信動作制御部215は、通知情報取得部214が取得した通知情報が発信先に通知されるよう、呼制御にかかる制御情報に、取得された通知情報を含ませる。
本実施形態では、プログラムの実行によって図7に示す各機能が制御部210によって論理的に実現されるものとするが、これらの各機能を、例えば、ASICなどのハードウェアによって構成してもよい。
また、上述した各構成は、固定電話機やアクセスポイント装置などを本発明にかかる通信装置として機能させるために必要な構成であり、固定電話機やアクセスポイント装置としての基本機能や付加機能にかかるその他の構成については、必要に応じて備えられているものとする。
以上のような構成を有する通信システム1の動作を以下説明する。ここでは、移動体通信端末100が通信装置200を介してFMCによる発信動作をおこなう場合の動作例を説明する。
(実施形態1)
まず、移動体通信端末100で発信先の電話番号を入力して発信する場合の動作を例示する。この場合に移動体通信端末100で実行される「端末側発信処理(1)」を、図8に示すフローチャートを参照して説明する。この端末側発信処理(1)は、操作部141を構成する発信ボタンが操作されたことを契機に開始されるものとする。
この場合、発信ボタンが操作されたことを示す入力信号が操作部141から制御部110に入力され、インタフェース制御部111によって受け付けられる。インタフェース制御部111は、操作部141からの入力信号に基づいて、発信ボタンが操作されたと判別すると、非セルラ通信が利用可能であるか利用可能回線判別部112に問い合わせる。
インタフェース制御部111からの問い合わせに応じて、利用可能回線判別部112は非セルラ通信部130を制御し、非セルラ通信が利用可能であるか否かを判別する(ステップS111)。この場合、非セルラ通信部130による無線通信動作に基づいて、移動体通信端末100がFMCに利用する通信装置200との通信圏内にあるか判別することで、非セルラ通信が利用可能であるか否かを判別する。
ここで、移動体通信端末100が通信装置200との通信圏内ではないため、非セルラ通信が利用不可である場合(ステップS111:No)、本処理を終了する。この場合、セルラ通信部120の動作によるセルラ通信が別途実行されることで、セルラ通信による発信動作がおこなわれる。
一方、非セルラ通信が利用可能である場合(ステップS111:Yes)、利用可能回線判別部112は、その旨を利用回線選択部113に通知する。利用回線選択部113は、利用可能回線判別部112からの通知に応じて、非セルラ通信設定格納領域162にアクセスし、非セルラ通信設定格納領域162に設定されている回線をFMCに用いる回線(FMC回線)として選択する。
FMC回線を選択すると、利用回線選択部113は、その旨を通知情報取得部114に通知する。通知情報取得部114は、利用回線選択部113からの通知に応じて非セルラ通信設定格納領域162にアクセスし、選択された回線(FMC回線)に設定されている用途を特定する(ステップS112)。本実施形態では、図3(b)に示すように、FMC回線の用途として「ビジネス」が設定されているものとする。
FMC回線に設定されている用途を特定すると、通知情報取得部114はセルラ通信設定格納領域161にアクセスし、ステップS112で特定した用途と同じ用途が設定されているセルラ通信設定を特定する(ステップS113)。上述したように、FMC回線の用途が「ビジネス」であるので、ここでは、セルラ通信設定格納領域161に格納されているセルラ通信設定(本実施形態の場合、UIM1とUIM2)の中で、用途に「ビジネス」が設定されているものを特定する。本実施形態では、図3(a)に示すように、UIM1の用途が「ビジネス」であるので、通知情報取得部114は、FMC回線の用途と同じ用途のセルラ通信設定としてUIM1を特定する。
FMC回線の用途と同じ用途が設定されているセルラ通信設定を特定すると、通知情報取得部114は、特定したセルラ通信設定に記録されている電話番号を通知情報として取得する(ステップS114)。
通知情報を取得すると、通知情報取得部114は、取得した通知情報と使用する回線を発信動作制御部115に通知するとともに、当該通知情報を発信時に付加するよう指示する。
ここで、本処理は、電話番号を入力して発信する際に実行される処理であるので、移動体通信端末100の使用者は、操作部141を構成している数字キーを操作することで、所望する発信先の電話番号を入力するとともに、発信を指示するキー操作などをおこなう。このような操作に応じた入力信号が操作部141から制御部110に入力されると、インタフェース制御部111は、発信が指示されたと判別し(ステップS115:Yes)、入力された電話番号を発信動作制御部115に通知するとともに、当該電話番号宛の発信動作をおこなうよう指示する。
発信動作制御部115は、インタフェース制御部111からの指示を契機に発信動作をおこなう。このとき、通知情報取得部114から通知された回線に応じてセルラ通信部120または非セルラ通信部130のいずれかを制御して発信動作をおこなう。ここでは、通信装置200との通信が可能であることからFMC回線が選択されているので、発信動作制御部115は、非セルラ通信部130を制御することで通信装置200にアクセスする(ステップS116)。
この場合、FMCをおこなう際に規定されている手順に基づき、発信動作制御部115は、非セルラ通信設定格納領域162に格納されている認証情報などを通信装置200に送信することで、通信装置200との間の通信を確立する。
通信装置200との通信を確立すると、発信動作制御部115は、インタフェース制御部111から通知された電話番号宛の発信を通信装置200に要求するとともに、通知情報取得部114が取得した通知情報を、発信元を示す通知情報とさせる制御情報を生成して通信装置200に送信し(ステップS117)、処理を終了する。
このようにして、移動体通信端末100から制御情報が送信された場合に通信装置200で実行される「通信装置側発信処理」を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。この通信装置側発信処理は、ステップS116(図8)で通信装置200にアクセスした移動体通信端末100との通信が確立したことを契機に開始される。
すなわち、無線通信制御部211の動作によって移動体通信端末100との無線通信(非セルラ通信)がおこなわれ、移動体通信端末100から送信される認証情報と端末情報格納領域252に格納されている端末情報との照合などによって端末認証部212が移動体通信端末100を認証することで、移動体通信端末100との通信が確立する。
移動体通信端末100を認証した端末認証部212は、移動体通信端末100が送信した制御情報を取得し回線選択部213に通知する。この場合、移動体通信端末100からの制御情報には、発信先の電話番号とともに、発信先に通知すべき通知情報が含まれる。
回線選択部213は、端末認証部212からの通知に応じて回線情報格納領域251および端末情報格納領域252にアクセスし、FMCに用いる回線を選択する(ステップS121)。FMC回線を選択すると、回線選択部213は、移動体通信端末100から取得した制御情報とともに、選択した回線を通知情報取得部214に通知する。
通知情報取得部214は、回線選択部213から通知された制御情報に、移動体通信端末100が指定した通知情報が含まれているか否か判別する(ステップS122)。ここで、移動体通信端末100からの制御情報に通知情報が含まれている場合(ステップS122:Yes)、通知情報取得部214は、当該通知情報を、発信時に付加すべき通知情報として取得する。すなわち、移動体通信端末100の制御情報から通知情報を取得する(ステップS123)。
一方、移動体通信端末100からの制御情報に通知情報が含まれていない場合(ステップS122:No)、通知情報取得部214は、回線情報格納領域251にアクセスし、回線選択部213が選択したFMC回線の電話番号を通知情報として取得する。すなわち、FMC回線についての設定情報から通知情報を取得する(ステップS124)。
このようにして通知情報を取得すると、通知情報取得部214は、移動体通信端末100からの制御情報が示す発信先の電話番号、回線選択部213が選択した回線の電話番号、および、取得した通知情報を発信動作制御部215に通知することで、FMC回線を用いた発信を指示する。
発信動作制御部215は、通知情報取得部214からの指示に応じて回線収容部220を制御し、選択されたFMC回線を使い、指定された発信先の電話番号宛に発信する動作をおこなう。この場合、通知情報取得部214から通知された通知情報が示す電話番号が相手先に通知されるよう、当該電話番号を発信元番号とした発信をおこなって(ステップS125)、処理を終了する。
ここで、上述した端末側発信処理(1)においては、FMC回線に設定されている用途と同じ用途が設定されている移動体通信端末100の電話番号(本実施形態ではUIM1の電話番号)が自動的に通知情報として取得されているので、この通信装置側発信処理においては、FMC回線の電話番号ではなく、移動体通信端末100の電話番号が発信元電話番号として相手先に通知されるよう動作する。
このように、本実施形態によれば、移動体通信端末100が固定電話網20を介した通信が可能である場合、固定電話回線の電話番号ではなく、移動体通信端末100の電話番号が発信元電話番号として発信先に通知される。
この場合において、用途に応じて選択的に利用される複数の回線の設定情報を移動体通信端末100に予め格納しておくことで、固定電話網20を用いるときの用途と同じ用途が設定されている移動体通信端末100の電話番号が発信元電話番号として自動的に設定される。これにより、例えば、オフィス内で移動体通信端末100から発信する場合、当該移動体通信端末100にビジネス用で設定してある電話番号を発信元番号として固定電話網20を介した発信をおこなうことができるので、相手先が発信元を個人レベルで認識できる利便性と、固定電話網20を利用する経済性との両立を、使用者による煩雑な操作を要することなく実現することができる。
なお、上記実施形態1では、発信元電話番号を移動体通信端末100が自動的に選択するものとしたが、発信元電話番号として所望する番号を移動体通信端末100の使用者に選択させる画面を表示部142に表示し、使用者が選択した電話番号を発信元電話番号とするように動作してもよい。
(実施形態2)
上記実施形態1では、発信先の電話番号を入力して発信する場合を示したが、本実施形態では、移動体通信端末100のアドレス帳機能を用いて発信する際の動作例を示す。このような場合に移動体通信端末100で実行される「端末側発信処理(2)」を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。この端末側発信処理(2)は、移動体通信端末100の使用者が操作部141を操作し、移動体通信端末100のアドレス帳機能の実行を指示したことを契機に開始される。
すなわち、アドレス帳機能を実行させるための所定のキーが操作されたことに応じた入力信号が操作部141から制御部110に入力されると、インタフェース制御部111が、アドレス情報格納領域163に格納されているアドレス情報に基づいたアドレス帳画面を生成して表示部142に表示することで、アドレス帳機能が実行される。この場合、アドレス情報格納領域163に登録されている名称を選択可能に一覧表示したアドレス帳画面が表示部142に表示される。
この場合、移動体通信端末100の使用者は、例えば、十字キーなどを操作することで、発信先として所望する名称を一覧から選択し、選択した名称宛への送信を指示するためのキー操作をおこなう。このような操作に応じた入力信号が操作部141から制御部110に入力されると、インタフェース制御部111は、アドレス帳からの発信指示が入力されたものと判別する(ステップS211:Yes)。この場合、インタフェース制御部111は、アドレス帳から指定された送信先に設定されている回線が利用可能であるか利用可能回線判別部112に問い合わせるとともに、指定された送信先を利用回線選択部113に通知する。
インタフェース制御部111からの問い合わせに応じて、利用可能回線判別部112は、アドレス情報格納領域163にアクセスし、指定された発信先に対応づけられている通信設定を特定する。ここでは、図3(c)に例示したアドレス情報から、名称「Aさん」が送信先として指定された場合を例に以下説明する。この場合、指定された名称についての属性情報には「UIM1」が設定されているので、指定された送信先への発信に用いる回線(以下、「既定回線」とする)としてUIM1を特定する。すなわち、利用可能回線判別部112は、アドレス帳から指定された発信先についての既定回線を特定する(ステップS212)。
指定された送信先についての既定回線を特定すると、利用可能回線判別部112は、セルラ通信設定格納領域161および非セルラ通信設定格納領域162にアクセスし、特定した既定回線についての設定情報を検索する。ここでは、UIM1が特定されたので、セルラ通信設定格納領域161に記録されているUIM1の設定が検索結果となる。
利用可能回線判別部112は、検索された設定情報を参照することで、特定した既定回線に設定されている用途を特定する(ステップS213)。既定回線に設定されている用途を特定すると、利用可能回線判別部112は、非セルラ通信設定格納領域162にアクセスし、非セルラ通信設定に記録されている用途が、ステップS213で特定した既定回線の用途と同一であるか否かを判別する(ステップS214)。
ここで、既定回線に設定されている用途と、非セルラ通信に設定されている用途とが同一でない場合(ステップS214:No)、本処理を終了する。この場合、特定した既定回線についてのセルラ通信設定に基づき、セルラ通信部120によるセルラ通信での発信がおこなわれる。
一方、既定回線に設定されている用途と、非セルラ通信に設定されている用途が同一である場合(ステップS214:Yes)、利用可能回線判別部112は、非セルラ通信部130を制御し、非セルラ通信が利用可能であるか否か判別する(ステップS215)。
ここで、通信装置200との非セルラ通信が利用不可である場合(ステップS215:No)、本処理を終了し、セルラ通信部120によるセルラ通信での発信がおこなわれる。
一方、非セルラ通信が利用可能である場合(ステップS215:Yes)、利用可能回線判別部112は、ステップS213で特定した既定回線とともに非セルラ通信が利用可能である旨を利用回線選択部113に通知する。この場合、利用回線選択部113は、非セルラ通信設定格納領域162に設定されている非セルラ通信を利用回線として選択するとともに、インタフェース制御部111から通知された発信先の電話番号をアドレス情報格納領域163から取得する。
利用回線選択部113は、アドレス情報格納領域163から取得した発信先電話番号と、特定された既定回線と、使用する回線を通知情報取得部114に通知する。通知情報取得部114は、非セルラ通信によって通信する場合、利用回線選択部113から通知された既定回線の電話番号を通知情報として取得する(ステップS216)。
通知情報を取得すると、通知情報取得部114は、非セルラ通信による発信先電話番号宛への発信要求とともに、ステップS216で取得した通知情報を発信先に通知する旨を発信動作制御部115に通知する。通知情報取得部114からの通知に応じて、発信動作制御部115は、非セルラ通信部130を制御することで通信装置200にアクセスする(ステップS217)。
この場合、FMCをおこなう際に規定されている手順に基づき、発信動作制御部115は、非セルラ通信設定格納領域162に格納されている認証情報などを通信装置200に送信することで、通信装置200との間の通信を確立する。
通信装置200との通信を確立すると、発信動作制御部115は、指定された発信先電話番号への発信を通信装置200に要求するとともに、通知情報取得部114が取得した通知情報を、発信元を示す通知情報とさせる制御情報を生成して通信装置200に送信し(ステップS218)、処理を終了する。
このようにして、移動体通信端末100から通信装置200に制御情報が送信されると、通信装置200では、実施形態1で例示した「通信装置側発信処理」が実行される。すなわち、移動体通信端末100からの制御情報に含まれている通知情報が発信先に通知する発信動作がおこなわれる。
以上のように、本実施形態によれば、移動体通信端末100のアドレス帳機能で発信先を選択して発信する場合、当該発信先に設定されている用途と、非セルラ通信に設定されている用途が同一であれば、非セルラ通信を使用回線として優先的に選択するとともに、当該非セルラ通信の電話番号ではなく移動体通信端末100の電話番号を発信先に通知する。
なお、上記実施形態2では、発信元電話番号を移動体通信端末100が自動的に選択するものとしたが、発信元電話番号として所望する番号を移動体通信端末100の使用者に選択させる画面を表示部142に表示し、使用者が選択した電話番号を発信元電話番号とするように動作してもよい。
ここで、上記実施形態2においては、これまでに使用されたことのあるアドレス情報をアドレス情報格納領域163に格納し、アドレス情報毎に使用する通信を示す属性情報を記録するものとしたが、セルラ通信設定格納領域161に記録されるセルラ通信設定毎にアドレス情報が記録されていてもよい。この場合に、アドレス帳から相手を選択して固定電話回線21から発信する際、通知する電話番号を、例えば、「アドレス帳の設定にしたがう」、「対応するセルラ通信設定の電話番号にする」、「固定電話の電話番号にする」のいずれにするかを予め設定した設定情報を、例えば、アドレス情報格納領域163に格納しておくことで、設定に基づいて通知情報を取得するよう動作してもよい。
また、選択されたアドレス情報の属性情報として、固定電話回線21に対応する「UIM3」が登録されている場合は、条件設定格納領域162に格納されている固定電話回線21の電話番号を通知情報として取得する、もしくは、通信装置200への制御情報に通知情報を含めないことで、通信装置200からの発呼によって通知される電話番号を固定電話回線21の電話番号にする。これにより、一律に移動体通信端末の電話番号を通知してしまうことがないので、例えば、固定電話の電話番号は知っているが、移動体通信用の電話番号は知らないという相手に対しては、移動体通信端末の電話番号ではなく固定電話の電話番号を通知することができる。
(実施形態3)
上記各実施形態では、セルラ通信の設定として、ビジネス用途とプライベート用途が設定される場合を例示したが、用途が同一の複数のセルラ通信設定がセルラ通信設定格納領域161に記録されていてもよい。また、例えば、UIMカードの追加などによって、複数の非セルラ通信の設定が非セルラ通信設定格納領域162に記録されていてもよい。
このような場合において、FMCによる発信をおこなう際に通知する発信元電話番号をいずれにするかの条件設定によって、移動体通信端末100での通知情報の取得がおこなわれるようにしてもよい。例えば、移動体通信端末100の使用者が、曜日や時間帯によって勤務場所や所属先が変わる業務に従事しているような場合、複数のセルラ通信設定と複数の非セルラ通信設定のそれぞれに、当該設定を利用する曜日や時間帯を示す日時情報を対応づけて記憶部160などに格納する。
このような条件設定をおこなった移動体通信端末100では、発信動作が指示されたときの日時に該当する非セルラ通信が利用可能である場合、当該日時が該当するセルラ通信設定についての電話番号を発信元電話番号とするよう動作することができる。
このような条件設定をおこなうことで、同じ用途の設定が複数ある場合でも、適切な発信元電話番号を発信先に通知することができる。なお、このような条件設定は、日時に限らず任意のものを採用することができる。
以上説明したように、本発明を上記実施形態の如く適用することで、移動体通信端末から固定電話回線を介した発信をおこなう場合に、当該移動体通信端末についての電話番号を通知することができる。これにより、発信元を個人レベルで識別できる利便性と、固定電話回線を利用する経済性を両立することができる。
この場合において、使用する移動体通信端末が、用途に応じた複数の電話番号を選択的に利用可能なデュアルモード端末である場合、利用可能な固定電話網について設定した用途と同一の用途の電話番号を自動的に選択して通知するので、用途に応じて電話番号を使い分けている場合に、適切な電話番号を通知することができる。
また、移動体通信端末のアドレス帳機能に登録されているアドレス情報に、所望する通信設定(電話番号)を登録しておくことで、固定電話網を介した発信をアドレス帳からおこなう場合にも、登録された通信についての電話番号が自動的に選択され、発信元電話番号として通知することができる。これにより、相手によって電話番号を使い分けている場合でも、適切な電話番号を通知することができる。
この場合において、アドレス帳から発信をおこなう際に通知する電話番号を、「アドレス帳の登録にしたがう」、「対応する通信の電話番号とする」、「固定電話の電話番号とする」、のいずれにするかを予め設定した設定情報を登録しておくことで、移動体通信端末の使用者が所望する電話番号を通知することができる。
さらに、複数のセルラ通信設定と複数の非セルラ通信設定が移動体通信端末になされている場合には、通知を所望する電話番号を、例えば、日時などに基づいた条件設定をおこなうことで、移動体通信端末で利用可能な複数の電話番号を同一の用途で使い分けている場合であっても、適切な電話番号を通知することができる。
また、セルラ通信に関する設定および非セルラ通信に関する設定のそれぞれは、UIMカードなどといった移動体通信端末に着脱可能な記憶媒体を用いることができるので、固定電話回線で通知する発信元電話番号の拡充や変更と適切な通知を容易におこなうことができる。
また、移動体通信端末からの固定電話回線を介した発信を仲介する通信装置は、例えば、固定電話機のような、固定電話回線との接続を主機能とする装置に移動体通信端末との通信をおこなうための構成を加えることで実現できる他、例えば、無線LANアクセスポイントのような、移動体通信端末との無線通信を主機能とする装置に固定電話回線への接続をおこなうための構成を加えることで実現することができる。すなわち、固定電話機や無線アクセスポイントに機能を付加することで本発明の効果を得ることができるとともに、用途や使用場所に応じた形態の通信装置を採用することができる。
上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態においては、移動体通信端末100が固定電話網20を介した通信(FMC)をおこなうときの利用用途をビジネスとしたが、セルラ通信設定および非セルラ通信設定として設定される用途は任意である。例えば、一般家庭における固定電話回線を利用する場合であれば、家族のそれぞれが所有している移動体通信端末それぞれについての電話番号を相手先に通知することができる。
また、上記実施形態では、ビジネス用とプライベート用で使い分けるための複数のセルラ通信設定が移動体通信端末100に登録されている場合を例示したが、セルラ通信設定の登録数は複数である必要はなく1つであってもよい。すなわち、非セルラ通信で発信をおこなう通信装置が通常用いる電話番号とは異なる電話番号が1以上登録されていればよい。
また、移動体通信端末が固定電話回線を介して通信するための通信装置が設置される場所は、オフィスや家庭に限られるものではない。例えば、宿泊施設の各部屋に設置されている電話機を本発明にかかる通信装置とした場合、宿泊客が本発明にかかる移動体通信端末を使用すれば、自分の移動体通信端末から固定電話網を介して発信できるとともに、自分の移動体通信端末の電話番号を発信先に通知することができる。この他、移動体通信端末の非セルラ通信機能に対応する種々の通信装置を本発明にかかる通信装置とすることで、固定電話網が利用可能な種々の場所で、移動体通信端末の電話番号を通知して発信することができる。
また、上記実施形態では、セルラ通信で用いる電話番号を発信先に通知するものとしたが、移動体通信端末もしくはその使用者を個別に識別できる識別情報であれば、通知情報は電話番号に限られず任意のものとすることができる。例えば、電子メールアドレスや使用者名などを通知情報としてもよい。
なお、上述した移動体通信端末100のように、本発明を実現するための機能を予め備えている移動体通信端末として提供できることはもとより、プログラムの適用によって、これらの機能を備えていない既存の移動体通信端末などを本発明にかかる移動体通信端末として機能させることもできる。
この場合、少なくとも、セルラ通信とは別系統の無線通信機能を有する移動体通信端末に、上述した移動体通信端末100の各機能を実現させたプログラムと同様のプログラムを適用し、当該移動体通信端末を制御するコンピュータ(CPUなど)がそのプログラムを実行することで、本発明にかかる移動体通信端末として機能させることができる。
また、通信装置についても同様に、プログラムの適用によって既存の通信装置などを本発明にかかる通信装置として機能させることもできる。この場合、少なくとも、固定電話網へのアクセスと、移動体通信端末との無線通信とをおこなうことのできる通信装置に、上述した通信装置200の各機能を実現させたプログラムと同様のプログラムを適用し、当該通信装置を制御するコンピュータ(CPUなど)がそのプログラムを実行することで、本発明にかかる通信装置として機能させることができる。
このようなプログラムの適用方法は任意であり、例えば、インターネットなどの通信媒体を介して提供することで任意の装置に適用できる他、所定の記録媒体(例えば、メモリカード、CD−ROM、DVD、など)にプログラムを格納して配布することでも適用可能である。