JP4876309B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に、フィルタを備えた印字ヘッドユニットであってもその印字ヘッドユニットを小型化することができると共に、インク流路内に侵入するエアを効率良く排除できるインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットプリンタのインク供給系の一形態として、インクタンクからチューブを介して印字ヘッドにインクを供給するチューブ供給形式がある。
【0003】
このチューブ供給形式によれば、インクタンクを印字ヘッド(キャリッジ)に搭載する必要がないので、印字ヘッドを小型化、軽量化することができる。小型化、軽量化された印字ヘッドでは、走査するために必要なトルクが小さくなるので、印字ヘッドを走査させるモータを小型化して、装置本体を小型化することや、印字ヘッドを高速で動作させて高速印字を行うことができる。また、印字ヘッドと別体で配設されるインクタンクを大容量化することができ、インクタンクの交換時期(インクの供給期間)を長くすることができる。
【0004】
しかし、チューブ供給形式の場合には、印字ヘッドとインクタンクがチューブを介して接続されているため、埃、塵等のゴミが、接続箇所から浸入したり、チューブ壁を通して空気が侵入してインク中に気泡を生じやすい。このゴミや気泡は印字ヘッドのインク吐出口をふさぎ、印字品質に支障をきたす要因となるものである。そこで、チューブ供給形式のインクジェットプリンタにおいては、ゴミや気泡を除去する為のフィルタを備えているものがある。
【0005】
ここで、チューブ供給形式のインクジェットプリンタにおいて、フィルタを備えた印字ヘッドユニットの一例を図6に示す。
【0006】
図6(a)はインクに生ずる動圧を吸収するダンパの中にフィルタを備えた印字ヘッドユニットの展開図であり、図6(b)はそのダンパのイ指方向展開図であり、図6(c)はそのダンパのロ指方向展開図である。図6(a)に示すように、印字ヘッドユニット19は、ピエゾ素子20を配置した印字ヘッド21(当然ピエゾ素子20の数と同数のインク吐出口を有する。)と、フィルタ25を組み込んだダンパ22と、図示しないインクタンクとダンパ22をつなぐ第1インクチューブ23と、ダンパ22とヘッド体21をつなぐ第2インクチューブ24等から構成されている。また、図6(c)に示すように、フィルタ25は、壁面が可撓性部材22aから成る凹状キャビティを有する22bと凹状キャビティを有する22cとの2つの部材から成るダンパ22によって挟み込まれるよう配設される。
【0007】
この印字ヘッドユニット19によれば、図示しないインクタンクから供給されるインクは、第1インクチューブ23を経て、ダンパ22内に導かれ、ダンパ22内に配設されたフィルタ25を通過することによりゴミが除去されると共に、可撓性部材22aによりインクに生ずる動圧を吸収することになる。よって、ゴミの除去されたインクは、動圧の吸収された定常流速によって第2インクチューブ24を通して印字ヘッド21に設けられたインク吐出口から吐出され印字が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような、フィルタ25を組み込んだダンパ22は、キャリッジの移動方向と交差する方向に配設されているため印字ヘッドユニット19のキャリッジの移動方向と交差する方向の長さが長くなる。即ち、必然的にインクジェットプリンタ自体のキャリッジの移動方向と交差する方向の長も長くなり、コンパクトなインクジェットプリンタが提供できないという問題点があった。また、第1チューブ23から浸入する気泡は、フィルタ25がダンパ22内のインク流路全面に配設されているため、フィルタ25によって堰き止められ、インク流路を塞ぐ要因となる。かかるフィルタ25によって堰き止められた気泡は、パージ処理(吸引手段)によって、排出されるが、かかるパージ処理の際には、フィルタ25が抵抗となり、高い吸引圧力を必要とすると共に、かかる気泡と共に多量のインクをも排出してしまうことになり、気泡を効率良く排除することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、フィルタを備えた印字ヘッドユニットであってもその印字ヘッドユニットを小型化にすることができると共に、インク流路内に侵入する気泡を効率良く排除できるインクジェットプリンタを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載のインクジェットプリンタは、1又は複数個のインク吐出口からインクを吐出して印字媒体に対して印字を行う印字ヘッドを搭載するキャリッジと、前記印字ヘッドに供給されるインクを貯えるインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドへインクを供給するためのインク流路とを備え、前記印字ヘッドと対向する位置で前記印字媒体を上下方向に搬送する搬送装置と、前記キャリッジに搭載されると共に、前記インク流路と印字ヘッドとの間に設けられ、前記インクタンクから供給されるインクと前記インク流路内で発生する気泡とを貯溜する気泡貯溜室と、その気泡貯溜室を前記インクタンク側の第1室と前記印字ヘッド側の第2室とに画設すると共に、前記気泡貯留室の上方部分において前記第1室と第2室とを連通させるように形成され、印字時にインクを通過させ、そのインク中の気泡を気泡貯溜室の上方に貯溜させるフィルタと、前記気泡貯溜室に貯溜された気泡を前記インク吐出口から排出してインクの吐出状態を回復させる回復手段と、を備えており、前記フィルタは、前記搬送装置によって搬送される印字媒体と平行で上下方向に配設され、前記気泡貯溜室の前記第1室と第2室とは、前記キャリッジの移動方向および前記上下方向と直交する方向に並設されると共に、前記貯留室の上方部分が前記フィルタよりもインクの流動抵抗が小さく構成され、前記回復手段による回復処理時には前記フィルタの上方部分を通過するインクの流れが生起されその流れによって気泡が前記気泡貯留室から排出されるものであり、前記第1室の内壁は、前記第2室の内壁に比べて濡れ性が悪く形成されている。
【0011】
この請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、インクタンクから供給されるインクは、インク流路を経てキャリッジに搭載された気泡貯溜室に導かれる。その気泡貯溜室は、搬送装置によって上下方向に搬送される印字媒体と略平行で上下方向に配設されたフィルタによって少なくともその下方部分を画設されており、そのフィルタによってインク流路内で発生する気泡は、気泡貯溜室の上方に貯溜される。この気泡貯溜室に導かれたインクは、気泡貯溜室を経て更に、印字ヘッドに導かれ、印字ヘッドに設けられた1又は複数のインク吐出口から吐出され、印字媒体へ印字が行われる。
また、前記気泡貯溜室に貯溜された気泡は、回復手段により前記インク吐出口から排出され、インクの吐出状態が回復される。ここで、気泡貯溜室は、前記フィルタの上方部分をそのフィルタよりもインクの流動抵抗を小さく構成され、印字時には、貯溜された気泡は、第1フィルタよりもインクの流動抵抗が少なく構成された第1フィルタよりも上方部分に溜められる。一方、回復処理時には、第1フィルタの上方を越えるインクの流れが生起され、この気泡貯溜室の上方部分に貯溜された気泡は排出される。
【0012】
請求項2記載のインクジェットプリンタは、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記気泡貯留室の第1室を前記インクタンクに連通させる部位、及び、前記気泡貯留室の第2室を前記印字ヘッドに連通させる部位が、前記気泡貯留室の下方に配設されている。
【0014】
請求項3記載のインクジェットプリンタは、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記回復手段は、前記第1室内に設けられるサーミスタセンサと、そのサーミスタセンサの抵抗値を検出する手段と、そのサーミスタセンサの抵抗値を検出する手段により検出された前記サーミスタセンサの抵抗値により前記第1室のインク量を判断する手段と、を備えている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。尚、本実施例では、給紙方向が上下方向のインクジェットプリンタを用いて説明する。図1は、本発明の一実施例であるインクジェットプリンタ1の展開側面図である。図1に示すように、このインクジェットプリンタ1は、略箱状体に難燃性のプラスチックで形成されたプリンタ本体2と、その上部に着脱可能に装着された印字ヘッドユニット3と、インクタンク4a〜4dと、印字ヘッドユニット3とインクタンク4a〜4dとを連通させるチューブ5a〜5dと、パージ装置6と、ガイドロッド7とを備えている。
【0020】
印字ヘッドユニット3は、インクを吐出して印字用紙PPに対し印字を行う複数個の印字ヘッド15(図3参照)を搭載するものである。この印字ヘッドユニット3は、プリンタ本体2の下部に設けられたインクを貯溜するインクタンク4a〜4dとチューブ5a〜5dを介して連通されており、かかるインクタンク4a〜4dからチューブ5a〜5dを介してインクの供給を受けている。この印字ヘッドユニット3はキャリッジ3aに搭載されており、かかるキャリッジ3aは公知のようにベルトに装着されている。該ベルトはモータに取着されたローラに巻回されている。このため、モータが回転するとベルトが駆動され、駆動された距離分、キャリッジ3a(印字ヘッドユニット3)を移動させることができるようになっている。この印字ヘッドユニット3の詳細については図2及び図3において後述する。
【0021】
ガイドロッド7は、キャリッジ3aにスライド可能に挿嵌され、キャリッジ3aを印字用紙PPの搬送方向と直交する方向(A)に移動可能に支持している。これにより、キャリッジ3aに搭載された印字ヘッドユニット3は、ガイドロッド7に平行方向、即ち、プリンタ本体2の長手方向(A)へ往復移動することができる。
【0022】
インクタンク4は、印字ヘッドユニット3に供給するインクを貯溜しておくためのものであり、印字ヘッドユニット3の下方に配設されている。このインクタンク4と印字ヘッドユニット3との位置関係は、重力方向(B)に対して下であるようになっている。インクタンク4は、キャリッジ3aの移動方向に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが密封されている4つのインクタンク4a〜4dで構成されており、各インクタンク4a〜4dには、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各インクを印字ヘッドユニット3に供給するためのチューブ5a〜5dの一端がそれぞれ取り付けられている。各チューブ5a〜5dの他端は、上記した印字ヘッドユニット3に連通しており、各インクタンク4a〜4d内に充填されているインクは、印字ヘッドユニット3にそれぞれ供給され、更に、各色のインクに対応した各印字ヘッド15から吐出される。これらの各色のインクが、印字ヘッド15から吐出されることにより、印字用紙PPにフルカラー印刷が可能となるのである。
【0023】
プリンタ本体2の左端部分には、パージ処理を行うパージ装置6が配設されている。パージ処理は、印字ヘッド15からのインクの吐出状態を回復させるための処理であり、このパージ処理を実行するパージ装置6には、印字ヘッド15の複数のインク吐出口を密閉することができる吸引キャップ6aと、該インク吐出口の表面を拭うワイパ6bと、吸引キャップ6aから排出チューブ6cを介してインクを吸引する吸引ポンプ(図示せず)とが備えられている(図3参照)。尚、パージ装置6は、インクタンク側からインクに正圧を与えることにより印字ヘッド15からインクを排出する構成のものでもよい。
【0024】
このパージ装置6によってパージ処理を行う場合には、モータを駆動させて印字ヘッド15の搭載された印字ヘッドユニット3をインクジェットプリンタ1の左側へ移動させて、印字ヘッド15におけるインク吐出口を吸引キャップ6aにより密閉する。その後、吸引ポンプを作動させると、インク吐出口から気泡や乾燥して固化したインクが吸引されて排出チューブ6cから排出される。続いて、印字ヘッド15の表面をワイパ6bで拭うことにより、印字ヘッド15のインク吐出口の吐出状態を回復することができる。尚、プリンタ本体2の内部には、インクジェットプリンタ1の動作内容に関する制御プログラムに従って、インクジェットプリンタ1を制御するCPU、ROM、RAM等が搭載された制御回路基板(図示せず)が配設されており、上述したパージ装置6におけるパージ処理も、この制御回路基板により制御されている。
【0025】
次に、印字ヘッドユニット3について図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2は、印字ヘッドユニット3の断面図であり、図1の紙面奥側から見た図である。図2に示すように、キャリッジ3aには、エアトラップユニット11とジョイント部材12とを収納した筐体3bが連設されている。この筐体3b内部に収納されているエアトラップユニット11は、インク流路内で発生した気泡を貯溜するためのものであり、インクタンク4から供給されたインクは、エアトラップユニット11を経由して各印字ヘッド15に供給されるようになっている。このエアトラップユニット11は、4つのインクタンク4a〜4dに対応する4つのインク流路内で発生する気泡を貯溜できるように、4つのインク流路に対応する4つのエアトラップ30〜33が設けられている。
【0026】
このエアトラップユニット11の下方は、各エアトラップ30〜33とインクの供給経路であるチューブ5a〜5dとを仲介して連通するジョイント部材12に結合されており、インクタンク4a〜4dから供給されてチューブ5a〜5dを流動する各インクは、ジョイント部材12を介して、各エアトラップ30〜33に下方から導入される。
【0027】
図3は、図1における断面線III−IIIにおける断面図であり、印字ヘッドユニット3を含む断面図である。給紙ローラ16a〜16dは、印字時に印字用紙PPを搬送するためのローラであり、印字ヘッドユニット3の上方に配設された2個のローラ16c,16dと、印字ヘッドユニット3の下方に配設された2個のローラ16a,16bとで構成されている。この給紙ローラ16a〜16dは、プリンタ本体2の制御回路基板から入力された信号により回転駆動して、印字用紙PPを印字ヘッド15の移動方向(A)に対し垂直方向、即ち鉛直方向((B)方向)の逆方向に搬送するものである。この給紙ローラ16a〜16dにより、印字用紙PPが搬送される搬送ラインは、図中において一点鎖線で示している。
【0028】
印字ヘッドユニット3は、給紙ローラ16a〜16dにより印字用紙PPが搬送される搬送ラインに対峙する位置に配設されている。この印字ヘッドユニット3は、重力方向である(B)方向を下方とし、印字用紙PPの搬送方向に対し平行に、即ち、鉛直方向の向きを上下として設けられている。この印字ヘッドユニット3は、印字用紙PPの搬送される側に各エアトラップ30〜33と対応した複数個の印字ヘッド15を備え、各印字ヘッド15は公知のものと同様に、印字用紙PPに対向する側に開口する複数個のインク吐出口を備え、対応するエアトラップ30〜33から供給されたインクをインク吐出口ごとのインク室に分配し、圧電素子15a等のアクチュエータの変位によりインク室内のインクをインク吐出口から吐出する。
【0029】
この印字ヘッド15は、印字ヘッドユニット3の筐体3bに支持され、対応するエアトラップ30〜33と連結路14を介して連通されている。各エアトラップ30〜33は、第1フィルタ13aにより2室11a,11bに画設され、第1フィルタ13aによって画設される2室11a、11bは、キャリッジ3aの移動方向((A)方向(図2参照))に、直角で鉛直方向(B)にも直角な方向(C)に並設される。即ち、インクタンク4側に第1室11aが、印字ヘッド15側に第2室11bが配置される。
【0030】
第1室11aと第2室11bとは、第1フィルタ13aにより完全に画設されておらず、その上方部分13eが連通している構成となっている。インクタンク4からチューブ5a〜5dを介して供給されるインクは、第1室11aの下方に連通するジョイント部材12を経て、この第1室11aに供給される。この第1室11aに流入したインクは、後述する図5で説明するように第1フィルタ13a及びその上方の連通する部分13eを流れて第2室11bへ供給される。
【0031】
この第1室11aには、サーミスタセンサ18aが備えられている。サーミスタセンサ18aは、第1室11a内のインク量を検出するものであり、第1室11a内の天井部から所定の位置に吊り下げられいる。このサーミスタセンサ18aは正極と負極との電極対で構成されており常に通電されている。このため、サーミスタセンサ18aがインクに浸漬されている場合には、大きな温度上昇は生じないが、第1室11aのインク量の減少によってセンサがインク面から露出すれば、大きな温度上昇が生じる。サーミスタセンサ18aは温度変化により大きく抵抗変化を生じるので、この抵抗変化を検出することにより、インクの量を検出することができるのである。該サーミスタセンサ18aのリード線は、本体2に備えられた制御回路基板の信号線に接続されており、制御回路基板に送信された検出信号により抵抗変化が認識されると、エアトラップ30〜33に貯溜される気泡量が所定量を超えたと判断し、制御回路基板からパージ装置6へパージ処理を行わせる信号が送信される。これにより、パージ装置6によりパージ処理が実行され、エアトラップ30〜33内に貯溜されている気泡が除去される。
【0032】
第2室11bには、その下方にガイドノズル11cが連設されており、このガイドノズル11cは上記した連通路14を介して印字ヘッド15に直結されている。これにより、第2室11bから印字ヘッド15に、インクが供給されると共に、チューブ等を介して連結するよりは、前記(C)方向の長さを短くでき、コンパクトな印字ヘッドユニットが実現できる。
【0033】
この第2室11bの容量は、第1室11aの容量より小(約1/2)になるように構成されている。エアトラップ30〜33に貯溜される気泡をパージ処理により吸引する際には、この第2室11bに残存するインクは全て排出されるが、この第2室11bの容量を小さくすることでその排出量を少なくして無駄になるインク量を少なくし、更に、小さな吸引圧力でインクの吸引、即ち、気泡の吸引を実行することができるようになっている。
【0034】
また、第2室11bの内壁はインクに対して濡れ性の良い結晶性の樹脂で構成され、あるいは濡れ性を良くする表面処理がされている。このため、壁面にインクが濡れやすく、パージ処理の実行時に第2室11bを通過して排出される気泡を壁面に溜まり難くして、迅速に気泡を排出することができるようになっている。
【0035】
第1フィルタ13aは、上記したようにエアトラップ30〜33の下方を第1室11aと第2室11bとに画設するものであり、第2室11bの容量を第1室11aの容量より小さく(約1/2)分割する位置において、その第1フィルタのフィルタ面がキャリッジ3aの移動方向((A)方向(図2参照))と平行で第1フィルタ13aの長手方向が上下方向((B)方向)となるように配設されている。ここで、第1フィルタ13aの幅方向を、キャリッジ3aの移動方向((A)方向)と直角になる方向((C)方向)に配設すると、エアトラップ30〜33間の間隔を維持しながら各エアトラップ30〜33の容積を必要量でけ確保するには、各エアトラップ30〜33の(C)方向の長さは、上記実施例以上のものになってしまう。しかし、第1フィルタ13aの幅方向を(A)方向と平行に配設することにより、第1フィルタ13aの幅方向を(A)方向を平行に配設することにより、第1フィルタ13a、エアトラップ30〜33の必要な大きさをそれぞれ確保して、(C)方向の長さを短くでき、コンパクトな印字ヘッドユニットが実現できる。
【0036】
この第1フィルタ13aには、ステンレス製の金属を網目状に編んだメッシュが用いられおり、本実施例では目開き、すなわち開口径16μmのものが使用され、インク流路内で発生した気泡を通過させないようになっている。
【0037】
この第1フィルタ13aの縦寸法((B)方向の寸法)は、各エアトラップ30〜33の上方向((B)方向)内寸より短い寸法で構成されている。これにより、エアトラップ30〜33内の上方部に第1フィルタ13aの配設されない空間が形成され、第1室11aと第2室11bとが流路抵抗が少なく連通されるようになっている。また、第1フィルタ13aは、各エアトラップ30〜33の幅方向((A)方向)において、その両側の内壁に連設されており、第1室11aに侵入した気泡が、幅方向から第2室11bへ侵入するのを阻止している。ここで、各エアトラップ30〜33と第1フィルタ13aの長手方向は、鉛直方向上向きになるように配設されている。このため、各エアトラップ30〜33内に侵入した気泡は、第1フィルタ13aを通過することができないので、第1室11a内を上昇して、その上方に貯溜されることとなる。また、第1フィルタ13aを形成するステンレス素材としては、インクに対し濡れ性のよい材料を使用しているので、気泡が第1フィルタ13aに留まりにくく、第1室11aに進入した気泡を、その第1室11aの鉛直方向上方へ導きやすいようになっている。
【0038】
上記したようにエアトラップユニット11を構成することにより、インク流路内で発生した気泡をエアトラップ30〜33により貯溜することができるが、その貯溜方法についての詳細は図5において説明する。また、かかるように構成されるエアトラップユニット11は、その製作の容易さから、部材11d〜11fの3つの部材によって構成されている。このエアトラップユニット11の製作方法については、図4において後述する。
【0039】
第2フィルタ13bは、印字ヘッド15に供給されるインク内に混入しているゴミを捕捉するためのものであり、各エアトラップ30〜33のガイドノズル11cと印字ヘッド15との間の連通路14に配設されている。この第2フィルタは、連通路14を形成する部材11fに熱溶着されて配設されていて、連通路14の断面方向を全て覆うような形状に加工されているものである。また、第2フィルタ13bは、ゴミを補足すると共にインクとパージ処理時における気泡とを通過させることができる開口径で構成されている。
【0040】
印字ヘッドユニット3の筐体3bの上方部には、ドライバ基板17aが配設されている。ドライバ基板17aは、上記したプリンタ本体2に搭載されている制御回路基板により制御されている。具体的には、制御回路基板から送信されるシリアル信号をアクチュエータ15aの各アクチュエータ部に対応したパラレル信号に変換して各アクチュエータ部を駆動するものである。ドライバ基板17aはアクチュエータ15aに接続されたフレキシブルな印刷配線基盤17c上に載っている。
【0041】
インターフェース基板17bは、印字ヘッドユニット3の筐体3bのキャリッジ3a側の側面部に配設されている。インターフェース基板17bは印刷配線基盤17cの端部に接続され、制御回路基板からの信号線をドライバ基板17aに接続するコネクタ及びノイズ除去回路が搭載されている。
【0042】
図4は、エアトラップユニット11とジョイント部材12との分解斜視図である。このエアトラップユニット11は、上記したように、その製作を容易にするために、部材11d〜11fの3つの部材によって形成されている。各部材11d〜11fは、4つのインク流路(チューブ5a〜5d)に対応する4つのエアトラップ30〜33が連なった形状に加工されており、成型性、耐溶剤性、耐汚染性、耐衝撃性、インクに対する濡れ性などの物性を考慮して選択される熱可塑性の樹脂が用いられている。
【0043】
部材11dは4つの第1室11aを形成するための部材であり、予め、第1室11aが仕切壁11h(図2)で区画されかつ4つ連なった形状に加工されている部材である。各第1室11aは、第1フィルタ13aの配設される側が開口されている箱状をなし、各第1室11aの下方にはジョイント部材12との結合部11gを備えている。かかる結合部11gは、4つのインク流路(チューブ5a〜5d)に対応する中空の円筒状の突起構造をなしている。ジョイント部材12は各チューブ5a〜5dと個々に連通する4つの連通路12a〜12dを有し、各連通路12a〜12dが各結合部11gと嵌合されることにより、インクタンク4からチューブ5a〜5dを介して供給されるインクを各エアトラップ30〜33の第1室11aへ導入することができるのである。
【0044】
第1フィルタ13aは部材11eに熱融着される。ここで、この第1フィルタ13aは、その第1フィルタ13aのフィルタ面をキャリッジの移動方向と平行でフィルタ13aの長手方向を上下方向に配設されるため、本実施例のように複数の印字ヘッドに対応する複数のエアトラップ30〜33を備えている場合には、各エアトラップ30〜33毎の4枚のフィルタは、1枚のフィルタ材により形成される。即ち、1のフィルタ材を部材11eに熱融着する工程だけで、各エアトラップ30〜33の全ての第1フィルタ13aを形成することができると共に、部品の点数を削減することができる。
【0045】
具体的には、この第1フィルタ13aの幅方向は、連接する4つのエアトラップ30〜33の全体の幅にその両端の接着しろを加味した寸法で構成されている。また、第1フィルタ13aの縦方向は、エアトラップ30〜33の下方部分を覆う所定の長さに接着しろを加味した寸法で構成されている。かかる寸法で構成される第1フィルタ13aは、第2室を構成する部材11eの開口部において、その上方部を所定寸法開口状態となる位置に熱融着により固着される。これにより、一度の作業で、4つのエアトラップ30〜33の室内を第1室11aと第2室11bとに画設する第1フィルタ13aを配設することができる。
【0046】
部材11eは4つの連接される第2室11bを形成する1の部材であり、厚み方向に貫通する4つの開口部を有する。上記したようにその開口部の一方の面には第1フィルタ13aが配設され、他方の面には部材11fが超音波融着されることにより4つの第2室11bを形成する。
【0047】
部材11fは部材11eと共に第2室11bを形成する部材であり、部材11eの4つの開口部に対応する4つの凹を備えている。各凹部の下方には第2室11bから印字ヘッド15へインクを導入するガイドノズル11cを形成するための溝が凹設されている。かかる溝の先端は、部材11fの裏面(開口部と反対面)へ貫通しており、ガイドノズル11cが連通路14に連通するよう構造になっている。従って、第2室11bと印字ヘッド15が直結されるため、チューブ等を介して第2室と印字ヘッドとを連結する場合に比べて、印字ヘッドユニット3のキャリッジの移動方向と直交する方向の長さを短くでき、コンパクトな印字ヘッドユニットが実現できる。
【0048】
上記した部材11d〜11fで構成されるエアトラップ11は、まず、第1フィルタ13aと部材11eが熱融着され、更に、部材11fが超音波融着されて第2室11bが形成される。次いで、部材11dが、作製された第2室11bの第1フィルタ13a側に部材11dが超音波融着され、第1室11aを形成する。かかる工程により、4つの連接するエアトラップ30〜33を備えたエアトラップユニット11を製作することができる。これによれば、1ずつエアトラップ30〜33を形成する場合に比べて、その製作工程が簡易であり、部品点数が少ないのでその工程管理が容易である。また、部品寸法が大きくなるので、第1フィルタ13aの配設作業を容易にして、効率的にエアトラップユニット11を形成することができる。
【0049】
次に、図5を参照して、エアトラップ11でのインクの流動パターン及びエアが貯溜されていく状態について説明する。図5は、印字ヘッドユニット3のエアトラップ機能を模式的に表した横断面図である。図5(a)は、インクがエアトラップ11内に充填されている初期導入時(パージ処理直後)の図である。図5(a)において、インクタンク4から第1室11aに供給されたインクは、印字ヘッド15でのインクの消費にともない第1室11aと第2室11bとが連通している部分13e(第1フィルタ13aの鉛直方向上部の第1フィルタ13aが配設されていない部分)が、第1フィルタ13aよりも流路抵抗が小さいので、第1フィルタ13aの上端を越えて第2室11bへと流入する。
【0050】
図5(b)は、インク流路内で発生した気泡が少量、エアトラップ11へ侵入した状態を示した図である。第1室11aに侵入した気泡は、第1フィルタ13aとインクとの濡れ性が良好であるために第1フィルタ13aに張り付くことができない、エアトラップ11が鉛直方向に設置されているために侵入した気泡に浮力による上昇力が生じる、第1フィルタ13aの開口径が小さい等の理由により第1フィルタ13aを通過することができない。このため、自身の浮力とインクの流れに沿って第1室11aの上方へ浮上する。
【0051】
ここで、第1室11aの内壁は、第2室11bの内壁に比べて濡れ性の悪い樹脂で形成されているので、比較的に気泡が溜まりやすくなっている。溜まった気泡の体積がさほど大きくない場合には、流路抵抗の小さな第1室11aと第2室11bとが連通している部分を閉塞されないので、インク流路は変更されず、第1室11aに供給されたインクは、上記した連通部を通って第2室11bへと流入する。尚、印字時に印字ヘッド15へ供されるインクの流速(インクの吸引力)は、エアトラップ30〜33の上方部に溜まった気泡を押し出す(排出する)程大きくないことから、第1室11aの上方部に溜まる。
【0052】
図5(c)は、エアトラップ30〜33に貯溜された気泡が多くなって、流路抵抗の小さな第1室11aと第2室11bとの連通部分が閉塞された状態を示した図である。かかる場合には、第1室11aに供給されたインクは第1室11aと第2室11bとの連通部分を通過することができず、第1フィルタ13aを通過するインク流路により、第1室11aから第2室11bへインクは流入する。
【0053】
図5(d)は、図5(c)の状態から更に気泡が発生し、その発生した気泡がエアトラップ30〜33に貯溜された状態を示した図である。エアトラップ30〜33室内に貯溜する気泡は、上記したように、印字時のインクの吸引力では、エアトラップ30〜33から排出されない。このため、気泡はエアトラップ30〜33に充満していき、第1室11aに供給されるインクのインク面を押し下げることとなる。インク面が所定量まで下がっても、印字ヘッド15に対してインク供給不足にならないように、第1フィルタ13aの開口径及び面積が設定される。図5(e)は、図5(d)の状態から更に発生した気泡がエアトラップ30〜33に貯溜された状態を示した図である。第2室11bは気泡により完全に閉塞されているので、インクが印字ヘッド15には供給されず、印字不能状態となっている。
【0054】
図5(f)は、パージ装置6によりパージ処理が行われ、気泡が排出された状態を示した図である。パージ処理においては、強い吸引力が第2室11bにかかるので、第1フィルタ13aを通過する際にインクに負荷される流路抵抗が非常に大きなものとなる。このため、インクは、第1室11aと第2室11bとが連通している部分13e(第1フィルタ13aの鉛直方向上部の第1フィルタ13aが配設されていない部分)を通過する強いインクの流れが生起され、エアトラップ30〜33に貯溜される気泡が、この流れによってエアトラップ30〜33から排出される。その結果、再びインクが充填されて図5(a)の初期導入時と同様の状態へ復帰する。
【0055】
尚、本実施例においては、サーミスタセンサ18aが設けられており、第1室11aのインク面が所定位置より低下すると直ちにパージ処理が実行され、エアトラップ30〜33の気泡が排出されるようになっている。本実施例で使用されるインクには、粘度1〜10cps、表面張力30〜50mN/mのものが使用されている。かかる物性のインクに対し、開口径16μmの第1フィルタ13aが使用されている。
【0056】
以上説明したように、本実施例のインクジェットプリンタ1によれば、第1フィルタ13aを備えた印字ヘッドユニット3において、その印字ヘッドユニット3の一部であるエアトラップ30〜33内に設けた第1フィルタ13aのフィルタ面をキャリッジ3aの移動方向(A)方向と平行する方向に配設することにより、エアトラップユニット11のキャリッジ3aの移動方向(A)方向と直交する(C)方向の長さを短くできる。即ち、第1フィルタ13aを備えた印字ヘッドユニット3を小型化することができる。また、エアトラップ30〜33において、第1フィルタ13aが堰の役割を果たすことによりインク流路(チューブ5a〜5d、ジョイント部材12、)内に発生し印字ヘッド15に流入しようとする気泡をエアトラップ30〜33に貯溜し、印字ヘッド15の吐出状態を長期にわたって維持することができ、気泡除去のためのパージ回数を減らすことができる。また、溜まった気泡をパージ装置6により除去してエアトラップ30〜33の機能を回復することができる上、サーミスタセンサ18aによりパージの必要が検出された場合にのみ、パージ処理を実行することができる。
【0057】
以上、上記実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0058】
例えば、上記実施例では、第1フィルタ13aのメッシュの開口径(目の粗さ)を16μmとした。しかし、第1フィルタ13aは、エアトラップ11のインク流路の堰となるものであり、インクのゴミを補足するためのものではない。このため、開口径100μm程度以下のメッシュであれば良い。また、第1フィルタ13aを形成する素材としては、ステンレスを用いたが、これに代えて、インクの濡れ性が良好である樹脂を用いても良い。樹脂はステンレスに比べて加工が容易であり又原価が安いので、第1フィルタ13aのコストを低く抑えることができる。更に、チューブ5a〜5dには、可撓性の樹脂で構成されるものを用いたが、エアの透過率を押さえるために、かかるチューブ素材をエアの透過率の低い金属箔で被覆して用いても良い。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、フィルタは、搬送装置によって略上下方向に搬送される印字媒体と略平行で上下方向に配設されるので、フィルタを備えた印字ヘッドユニットであっても、印字媒体が搬送される方向に直交する方向の長さを短くできる。よって、この印字ヘッドユニットをプリンタ本体に搭載することにより、印字媒体が搬送される方向と直交する方向のインクジェットプリンタ本体の幅をも短くすることができる。即ち、コンパクトな形状でインクジェットプリンタを提供することができるという効果がある。
また、気泡貯溜室はフィルタにより2つの室に仕切られ、その2つの室はキャリッジの移動方向および上下方向と直交する方向に並設されるので、上述と同様に、コンパクトな形状でインクジェットプリンタを提供することができるという効果がある。
また、気泡貯溜室に貯溜された気泡は、回復手段により排出され、インク吐出口からのインクの吐出状態を回復させることができるという効果がある。これによれば、例えば、インク流路内に発生した気泡の総量が、気泡貯溜室に貯溜できる量を超えても、その気泡を容易に排出して、速やかに気泡貯溜室の機能を回復させることができるという効果がある。
更に、第1室の内壁が第1室の内壁に比べて濡れ性の悪い樹脂で形成されているので、気泡を第1室の上方に溜めることができるという効果がある。一方、パージ処理の実行時に第2室を通過して排出される気泡を壁面に溜まり難くして、迅速に気泡を排出することができるという効果がある。
【0060】
請求項2記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、気泡貯留室の第1室をインクタンクに連通させる部位、及び、気泡貯留室の第2室を印字ヘッドに連通させる部位が、気泡貯留室の下方に配設されているので、気泡貯留室をインクタンクに連通させる部位、及び、気泡貯留室を印字ヘッドに連通させる部位を、気泡が留まる第1室の上方から離間させることができるという効果がある。
【0061】
請求項3記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、回復手段が、第1室内に設けられるサーミスタセンサと、そのサーミスタセンサの抵抗値を検出する手段と、そのサーミスタセンサの抵抗値を検出する手段により検出されたサーミスタセンサの抵抗値により第1室のインク量を判断する手段とを備えるので、第1室のインク面が所定位置より低下すると直ちにパージ処理を実行して、気泡を排出できるという効果がある。また、パージ処理の必要が検出された場合のみ、パージ処理を実行することができるという効果がある。
【0065】
請求項6記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1から5いずれかに記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、印字ヘッドは複数設けられ、その複数の印字ヘッドに対応した複数の気泡貯溜室は、キャリッジの移動方向に並設されており、各気泡貯溜室に配設されるフィルタはその複数の気泡貯溜室にまたがって配設される。よって、各気泡貯溜室に各1のフィルタを配設するよりも部品の数を削減することができる上、大きな部品を使って各気泡貯溜にフィルタを形成することができる。このため、気泡貯溜室の製作工程を簡易にすることができ、また、インクジェットプリンタの製造コストを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるインクジェットプリンタの展開側面図である。
【図2】ジョイント部材によりエアトラップとチューブとが接続されていることを模式的に表した断面図である。
【図3】印字ヘッドユニットのエアトラップと吸引装置と給紙ローラとの横断面図である。
【図4】印字ヘッドユニットの分解斜視図である。
【図5】印字ヘッドユニットのエアトラップ機能を模式的に表した横断面図である。
【図6】従来のフィルタを備えた印字ヘッドユニットの展開図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
3a キャリッジ
4 インクタンク
5a〜5d チューブ(インク流路の一部)
6 パージ装置(吸引手段)
11 エアトラップ(気泡貯溜室)
11a 第1室
11b 第2室
11g 結合部(気泡貯留室の第1室をインクタンクに連通させる部位の一部)
11c ガイドノズル(気泡貯留室の第2室を印字ヘッドに連通させる部位)
13a フィルタ
13e 上方部分
15 印字ヘッド
15c インク吐出口
16a〜16d 給紙ローラ(搬送装置)
18a サーミスタセンサ
Claims (3)
- 1又は複数個のインク吐出口からインクを吐出して印字媒体に対して印字を行う印字ヘッドを搭載するキャリッジと、前記印字ヘッドに供給されるインクを貯えるインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドへインクを供給するためのインク流路とを備えたインクジェットプリンタにおいて、
前記印字ヘッドと対向する位置で前記印字媒体を上下方向に搬送する搬送装置と、
前記キャリッジに搭載されると共に、前記インク流路と印字ヘッドとの間に設けられ、前記インクタンクから供給されるインクと前記インク流路内で発生する気泡とを貯溜する気泡貯溜室と、
その気泡貯溜室を前記インクタンク側の第1室と前記印字ヘッド側の第2室とに画設すると共に、前記気泡貯留室の上方部分において前記第1室と第2室とを連通させるように形成され、印字時にインクを通過させ、そのインク中の気泡を気泡貯溜室の上方に貯溜させるフィルタと、
前記気泡貯溜室に貯溜された気泡を前記インク吐出口から排出してインクの吐出状態を回復させる回復手段と、を備えており、
前記フィルタは、前記搬送装置によって搬送される印字媒体と平行で上下方向に配設され、
前記気泡貯溜室の前記第1室と第2室とは、前記キャリッジの移動方向および前記上下方向と直交する方向に並設されると共に、前記貯留室の上方部分が前記フィルタよりもインクの流動抵抗が小さく構成され、前記回復手段による回復処理時には前記フィルタの上方部分を通過するインクの流れが生起されその流れによって気泡が前記気泡貯留室から排出されるものであり、
前記第1室の内壁は、前記第2室の内壁に比べて濡れ性が悪く形成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記気泡貯留室の第1室を前記インクタンクに連通させる部位、及び、前記気泡貯留室の第2室を前記印字ヘッドに連通させる部位が、前記気泡貯留室の下方に配設されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
- 前記回復手段は、
前記第1室内に設けられるサーミスタセンサと、
そのサーミスタセンサの抵抗値を検出する手段と、
そのサーミスタセンサの抵抗値を検出する手段により検出された前記サーミスタセンサの抵抗値により前記第1室のインク量を判断する手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
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