JP4654505B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に、インク流路内に気泡が発生した場合にも印字品質を維持すると共に、発生した気泡を排出するために消費されるインクの消費量を削減することができるインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、印字ヘッドからインクを噴射して印字動作を行うインクジェットプリンタにおいて、噴射するインクを貯蔵するインクタンクから、インク供給管(チューブ)を通して、印字ヘッドにインクを供給するチューブ供給形式を採用したインクジェットプリンタがある。
【0003】
従来のチューブ供給形式によるインク供給管20の一例を図8に示す。図8は、インク供給管20の一部を模式的に表した断面図である。図8に示すように、インク供給管20は、ジョイント部材21と、フィルタ22と、可撓性の樹脂で形成される第1チューブ23aと第2チューブ23bとを備えている。
【0004】
ジョイント部材21は、第1チューブ23aと第2チューブ23bとを連通させるものであり、その中央にフィルタ22が配設されている。フィルタ22は、インク内のゴミを捕捉するものであり、ステンレス製の金属(ワイヤ)が網目状に編まれたメッシュで構成されている。このフィルタ22は、インクを通過させると共にインク内のゴミを捕捉するような構成になっている。
【0005】
このジョイント部材21は第1チューブ23aによりインクタンクと連通され、第2チューブ23bにより印字ヘッドと連通されている。インクタンクから第1チューブ23aによりジョイント部材21へ供給されたインクは、ジョイント部材21に設けられたフィルタ22を通過することによりそのインク内のゴミが除去された後、第2チューブ23bへと供給され、この第2チューブ23bにより印字ヘッドへと導かれて印字に供される。
【0006】
このチューブ供給形式によれば、インクタンクを印字ヘッド(キャリッジ)に搭載する必要がないので、印字ヘッドを小型化、軽量化される。小型化、軽量化された印字ヘッドでは、動作するために必要なトルクが小さくなるので、印字ヘッドを動作させるモータを小型化して、装置本体を小型化することや、印字ヘッドを高速で動作させて高速印字を行うことができる。また、印字ヘッドと別体で配設されるインクタンクを大容量化することができ、インクタンクの交換時期(インクの供給期間)を長くすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このインク供給管20内に、何らかの原因(例えば、インクタンクの交換時やチューブ23の壁面からの侵入など)により気泡24が混入することがある。混入した気泡24はインクの流れにより搬送されて、ジョイント部材21のフィルタ22の近傍に溜まってゆき、フィルタ22を閉塞してしまう。このため、印字ヘッドへ潤滑にインクが供給されず、印字ヘッドからのインクの吐出状態を不安定にしたり、吐出を不能にするなどして印字品質を低下させてしまうという問題点があった。
【0008】
かかる場合には、一般に行われているパージ処理によって、インク供給管20内に速いインクの流れを生起してジョイント部材21のフィルタ22の近傍に溜まった気泡24をインク供給管20内から排出することができるが、チューブ供給形式ではチューブ23の壁面を介してその内部に恒常的に空気が侵入し、特に、空気に接する接触面積が大きいチューブ23aの壁面から多くの空気が侵入して気泡24を形成しやすいので、頻繁にパージ処理を実行して気泡24を排出しなくてはならないという問題点があった。また、パージ処理では気泡24を排出するためにインクも排出されるので、チューブ供給形式では、頻繁に行われるパージ処理により多量のインクが無駄になるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、インク流路内に気泡が発生した場合にも印字品質を維持すると共に、発生した気泡を排出するために消費されるインクの消費量を削減することができるインクジェットプリンタを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載のインクジェットプリンタは、1又は複数個のインク吐出口を備え、そのインク吐出口からインクを吐出して印字媒体に対して印字を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドに供給されるインクを貯えるインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドにインクを供給するインク流路とを備えており、前記インクタンクから前記印字ヘッドへインクを供給するインク流路の途中に設けられそのインク流路内で発生する気泡を貯溜する気泡貯溜室と、その気泡貯溜室に溜まった気泡を前記インク吐出口から強制排出してインクの吐出状態を回復させる回復手段と、前記気泡貯溜室の下方部分を前記インクタンク側の第1室と前記印字ヘッド側の第2室とに画設すると共に、印字時にインクを通過させる第1フィルタとを備え、前記気泡貯溜室の、前記第1フィルタよりも上方部分を、その第1フィルタよりもインクの流動抵抗を少なく構成し、前記気泡貯溜室の、前記第2室の内面は前記第1室の内面より濡れ性が良い素材で構成され、印字時には、前記気泡貯溜室の上方部分に気泡を貯溜すると共に、前記回復手段による回復時には、前記第1フィルタの上方を越えるインクの流れを生起して前記気泡貯溜室の上方部分に貯溜した気泡を排出するものである。
【0011】
この請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、インクを貯えるインクタンクから、1又は複数個のインク吐出口からインクを吐出して印字媒体に対して印字を行う印字ヘッドへ、インク流路を介してインクが供給される。このインク流路内で発生する気泡は、インク流路の途中に設けられた気泡貯溜室により貯溜され、気泡貯溜室により貯溜された気泡は、回復手段によりインク吐出口から排出される。
【0012】
ここで、気泡貯溜室においては、インクタンク側の第1室と前記印字ヘッド側の第2室とに画設すると共に、印字時にインクを通過させる第1フィルタが設けられており、印字時には、貯溜された気泡は、第1フィルタよりもインクの流動抵抗が少なく構成された第1フィルタよりも上方部分に溜められる。一方、回復時には、第1フィルタの上方を越えるインクの流れが生起され、この気泡貯溜室の上方部分に貯溜された気泡は排出される。
【0013】
請求項2記載のインクジェットプリンタは、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記第1フィルタの上方は開放されており、その開放により前記第1室と前記第2室とは互いに連通されている。
【0014】
請求項3記載のインクジェットプリンタは、請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記第1フィルタより粗い網目状に形成されると共に、その第1フィルタと前記気泡貯溜室の内壁とに連接され、その気泡貯溜室を前記第1フィルタと共に前記第1室と前記第2室とに画設する第2フィルタを備えている。
【0015】
請求項4記載のインクジェットプリンタは、請求項3記載のインクジェットプリンタにおいて、前記第2フィルタは、前記第1フィルタの上方に延設されている。
【0016】
請求項5記載のインクジェットプリンタは、請求項1から4のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記気泡貯溜室は、前記第2室の容量が前記第1室の容量より小となるように前記第1フィルタにより画設されている。
【0017】
請求項6記載のインクジェットプリンタは、請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記気泡貯溜室は、前記第1室と前記第2室とを2以上の部品で構成して、前記第1室と前記第2室との間に前記第1フィルタが挟装されて着設されている。
【0019】
請求項記載のインクジェットプリンタは、請求項1からのいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記インクタンクは、前記第1室の下部に連通し、前記印字ヘッドは、前記第2室の下部に連通している。
【0020】
請求項記載のインクジェットプリンタは、請求項1からのいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記気泡貯溜室の所定の位置まで気泡が貯溜されたか否かを判断する判断手段と、その判断手段により前記気泡貯溜室の所定の位置まで気泡が貯溜されたと判断された場合に前記回復手段を作動させる回復処理作動手段とを備えている。
【0021】
この請求項記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1からのいずれかに記載のインクジェットプリンタと同様に作用する上、判断手段により気泡貯溜室の所定の位置まで気泡が貯溜されたか否かが判断される。そして、判断手段により、気泡貯溜室の所定の位置まで気泡が貯溜されたと判断された場合には、回復処理作動手段により回復手段が作動される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例であるインクジェットプリンタ1の展開側面図である。図1に示すように、このインクジェットプリンタ1は、略箱状体に難燃性のプラスチックで形成されたプリンタ本体2と、その上部に着脱可能に装着された印字ヘッドユニット3と、インクタンク4a〜4dと、印字ヘッドユニット3とインクタンク4a〜4dとを連通させるチューブ5a〜5dと、パージ装置6と、ガイドロッド7とを備えている。
【0023】
印字ヘッドユニット3は、インクを吐出して印字用紙PPに対し印字を行う複数個の印字ヘッド15(図3参照)を搭載するものである。この印字ヘッドユニット3は、プリンタ本体2の下部に設けられたインクを貯溜するインクタンク4a〜4dとチューブ5a〜5dを介して連通されており、かかるインクタンク4a〜4dからチューブ5a〜5dを介してインクの供給を受けている。この印字ヘッドユニット3はキャリッジ3aに搭載されており、かかるキャリッジ3aは公知のようにベルトに装着されている。該ベルトはモータに取着されたローラに巻回されている。このため、モータが回転するとベルトが駆動され、駆動された距離分、キャリッジ3a(印字ヘッドユニット3)を移動させることができるようになっている。この印字ヘッドユニット3の詳細については図2及び図3において後述する。
【0024】
ガイドロッド7は、キャリッジ3aにスライド可能に挿嵌され、キャリッジ3aを印字用紙PPの搬送方向と直交する方向(A)に移動可能に支持している。これにより、キャリッジ3aに搭載された印字ヘッドユニット3は、ガイドロッド7に平行方向、即ち、プリンタ本体2の長手方向(A)へ往復移動することができる。
【0025】
インクタンク4は、印字ヘッドユニット3に供給するインクを貯溜しておくためのものであり、印字ヘッドユニット3の下方に配設されている。このインクタンク4と印字ヘッドユニット3との位置関係は、重力方向(B)に対して下であるようになっている。インクタンク4は、キャリッジ3aの移動方向に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが密封されている4つのインクタンク4a〜4dで構成されており、各インクタンク4a〜4dには、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各インクを印字ヘッドユニット3に供給するためのチューブ5a〜5dの一端がそれぞれ取り付けられている。各チューブ5a〜5dの他端は、上記した印字ヘッドユニット3に連通しており、各インクタンク4a〜4d内に充填されているインクは、印字ヘッドユニット3にそれぞれ供給され、更に、各色のインクに対応した各印字ヘッド15から吐出される。これらの各色のインクが、印字ヘッド15から吐出されることにより、印字用紙PPにフルカラー印刷が可能となるのである。
【0026】
プリンタ本体2の左端部分には、パージ処理を行うパージ装置6が配設されている。パージ処理は、印字ヘッド15からのインクの吐出状態を回復させるための処理であり、このパージ処理を実行するパージ装置6には、印字ヘッド15の複数のインク吐出口を密閉することができる吸引キャップ6aと、該インク吐出口の表面を拭うワイパ6bと、吸引キャップ6aから排出チューブ6cを介してインクを吸引する吸引ポンプ(図示せず)とが備えられている(図3参照)。尚、パージ装置6は、インクタンク4側からインクに正圧を与えることにより、印字ヘッド15からインクを排出する構成のものでも良い。
【0027】
このパージ装置6によってパージ処理を行う場合には、モータを駆動させて印字ヘッド15の搭載された印字ヘッドユニット3をインクジェットプリンタ1の左側へ移動させて、印字ヘッド15におけるインク吐出口を吸引キャップ6aにより密閉する。その後、吸引ポンプを作動させると、インク吐出口から気泡や乾燥して固化したインクが吸引されて排出チューブ6cから排出される。続いて、印字ヘッド15の表面をワイパ6bで拭うことにより、印字ヘッド15のインク吐出口15cの吐出状態を回復することができる。尚、プリンタ本体2の内部には、インクジェットプリンタ1の動作内容に関する制御プログラムに従って、インクジェットプリンタ1を制御するCPU、ROM、RAM等が搭載された制御回路基板(図示せず)が配設されており、上述したパージ装置6におけるパージ処理も、この制御回路基板により制御されている。
【0028】
次に、印字ヘッドユニット3について図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2は、印字ヘッドユニット3の断面図であり、図1の紙面奥側から見た図である。図2に示すように、キャリッジ3aには、エアトラップユニット11とジョイント部材12とを収納した筐体3bが連設されている。この筐体3b内部に収納されているエアトラップユニット11は、インク流路内で発生した気泡を貯溜するためのものであり、インクタンク4から供給されたインクは、エアトラップユニット11を経由して各印字ヘッド15に供給されるようになっている。このエアトラップユニット11は、4つのインクタンク4a〜4dに対応する4つのインク流路内で発生する気泡を貯溜できるように、4つのインク流路に対応する4つのエアトラップ30〜33が設けられている。
【0029】
このエアトラップユニット11の下方は、各エアトラップ30〜33とインクの供給経路であるチューブ5a〜5dとを仲介して連通するジョイント部材12に結合されており、インクタンク4a〜4dから供給されてチューブ5a〜5dを流動する各インクは、ジョイント部材12を介して、各エアトラップ30〜33に下方から導入される。
【0030】
図3は、図1における断面線III−IIIにおける断面図であり、印字ヘッドユニット3を含む断面図である。図3において(B)方向は重力方向となっており、紙面の奥側と手前側を結ぶ線が、印字ヘッドユニット3の移動方向(A)方向となっている。
【0031】
給紙ローラ16a〜16dは、印字時に印字用紙PPを搬送するためのローラであり、印字ヘッドユニット3の上方に配設された2個のローラ16c,16dと、印字ヘッドユニット3の下方に配設された2個のローラ16a,16bとで構成されている。この給紙ローラ16a〜16dは、プリンタ本体2の制御回路基板から入力された信号により回転駆動して、印字用紙PPを印字ヘッド15の移動方向(A)に対し垂直方向、即ち鉛直方向((B)方向)の逆方向に搬送するものである。この給紙ローラ16a〜16dにより、印字用紙PPが搬送される搬送ラインは、図中において一点鎖線で示している。
【0032】
印字ヘッドユニット3は、給紙ローラ16a〜16dにより印字用紙PPが搬送される搬送ラインに対峙する位置に配設されている。この印字ヘッドユニット3は、重力方向である(B)方向を下方とし、印字用紙PPの搬送方向に対し平行に、即ち、鉛直方向の向きを上下として設けられている。この印字ヘッドユニット3は、印字用紙PPの搬送される側に各エアトラップ30〜33と対応した複数個の印字ヘッド15を備える。
【0033】
各印字ヘッド15は公知のものと同様に、印字用紙PPに対向する側に閉口する複数個のインク吐出口を備え、対応するエアトラップ30〜33から供給されたインクをインク吐出口ごとのインク室に分配し、圧電素子等のアクチュエータ15aの変位によりインク内のインクをインク吐出口から吐出する。
【0034】
この印字ヘッド15は、印字ヘッドユニット3の筐体3bに支持され、対応するエアトラップ30〜33と連通路14を介して連通されている。各エアトラップ30〜33は、第1フィルタ13aにより2室11a,11bに画設され、印字ヘッドユニット3の筐体3bと平行に、鉛直方向の向きを上下として設けられている。
【0035】
第1室11aは、第1フィルタ13aにより画設され、インクタンク4側(インク流路の上流側)に位置する室である。この第1室11aと第2室11bとは、第1フィルタ13aにより完全に画設されておらず、その上方部分13eが連通している構成となっている。インクタンク4からチューブ5a〜5dを介して供給されるインクは、第1室11aの下方に連通するジョイント部材12を経て、この第1室11aに供給される。この第1室11aに流入されたインクは、後述する図5で説明するように第1フィルタ13a及びその上方の連通する部分13eを流れて第2室11bへ供給される。
【0036】
この第1室11aには、サーミスタセンサ18aが備えられている。サーミスタセンサ18aは、第1室11a内のインク量を検出するものであり、第1室11a内の天井部から所定の位置に吊り下げられいる。このサーミスタセンサ18aは正極と負極との電極対で構成されており常に通電されている。このため、サーミスタセンサ18aがインクに浸漬されている場合には、大きな温度上昇は生じないが、第1室11aのインク量の減少によってセンサがインク面から露出すれば、大きな温度上昇が生じる。サーミスタセンサ18aは温度変化により大きく抵抗変化を生じるので、この抵抗変化を検出することにより、インクの量を検出することができるのである。該サーミスタセンサ18aのリード線は、本体2に備えられた制御回路基板の信号線に接続されており、制御回路基板に送信された検出信号により抵抗変化が認識されると、エアトラップ30〜33に貯溜される気泡量が所定量を超えたと判断し、制御回路基板からパージ装置6へパージ処理を行わせる信号が送信される。これにより、パージ装置6によりパージ処理が実行され、エアトラップ30〜33内に貯溜されている気泡が除去される。
【0037】
第2室11bは、第1フィルタ13aにより画設され、印字ヘッド15側(第1室11aに対しインク流路の下流側)に位置する室である。第2室11bには、その下方にガイドノズル11cが連設されており、このガイドノズル11cは上記した連通路14を介して印字ヘッド15に連通している。これにより、第2室11bから印字ヘッド15に、インクが供給されるようになっている。
【0038】
この第2室11bの容量は、第1室11aの容量より小(約1/2)になるように構成されている。エアトラップ30〜33に貯溜される気泡をパージ処理により吸引する際には、この第2室11bに残存するインクは全て排出されるが、この第2室11bの容量を小さくすることでその排出量を少なくして無駄になるインク量を少なくし、更に、小さな吸引圧力でインクの吸引、即ち、気泡の吸引を実行することができるようになっている。
【0039】
更に、第2室11bの内壁はインクに対して濡れ性の良い結晶性の樹脂で構成され、あるいは濡れ性を良くする表面処理がされている。このため、壁面にインクが濡れやすく、パージ処理の実行時に第2室11bを通過して排出される気泡を壁面に溜まり難くして、迅速に気泡を排出することができるようになっている。
【0040】
第1フィルタ13aは、上記したようにエアトラップ30〜33の下方を第1室11aと第2室11bとに画設するものであり、第2室11bの容量を第1室11aの容量より小さく(約1/2)分割する位置において、印字ヘッドユニット3の筐体3bと平行に、鉛直方向の向きを上下として設けられている。この第1フィルタ13aには、ステンレス製の金属を網目状に編んだメッシュが用いられおり、本実施例では目開き、即ち、開口径16μmのものが使用され、インク流路内で発生した気泡を通過させないようになっている。
【0041】
この第1フィルタ13aの縦寸法((B)方向の寸法)は、各エアトラップ30〜33の上方向((B)方向)内寸より短い寸法で構成されている。これにより、エアトラップ30〜33内の上方部に第1フィルタ13aの配設されない空間13eが形成され、第1室11aと第2室11bとが流路抵抗が少なく連通されるようになっている。また、第1フィルタ13aは、各エアトラップ30〜33の幅方向((A)方向)において、その両側の内壁に連設されており、第1室11aに侵入した気泡が、幅方向から第2室11bへ侵入するのを阻止している。ここで、各エアトラップ30〜33と第1フィルタ13aとは、鉛直方向上向きになるように配設されている。このため、各エアトラップ30〜33内に侵入した気泡は、第1フィルタ13aを通過することができないので、第1室11a内を上昇して、その上方に貯溜されることとなる。また、第1フィルタ13aを形成するステンレス素材としては、インクに対し濡れ性のよい材料を使用しているので、気泡が第1フィルタ13aに留まりにくく、第1室11aに進入した気泡を、その第1室11aの鉛直方向上方へ導きやすいようになっている。
【0042】
上記したようにエアトラップユニット11を構成することにより、インク流路内で発生した気泡をエアトラップ30〜33により貯溜することができるが、その貯溜方法についての詳細は図5において説明する。また、かかるように構成されるエアトラップユニット11は、その成形の容易さから、部材11d〜11fの3つの部材によって構成されている。このエアトラップユニット11の製作方法については、図4において後述する。
【0043】
連通路フィルタ13bは、印字ヘッド15に供給されるインク内に混入しているゴミを捕捉するためのものであり、各エアトラップ30〜33のガイドノズル11cと印字ヘッド15との間の連通路14に配設されている。このフィルタは、連通路14を形成する部材に熱溶着されて配設され、連通路14の断面方向を全て覆うような形状に加工されているものである。また、第2フィルタ13bは、ゴミを補足すると共にインクとパージ処理時における気泡とを通過させることができる開口径で構成されている。
【0044】
印字ヘッドユニット3の筐体3bの上方部には、ドライバ基板17aが配設されている。ドライバ基板17aは、上記したプリンタ本体2に搭載されている制御回路基板により制御されている。具体的には、制御回路基板から送信されるシリアル信号をアクチュエータ15aの各アクチュエータ部に対応したパラレル信号に変換して各アクチュエータ部を駆動するものである。ドライバ基板17aは、アクチュエータ15aに接続されたフレキシブルな印刷配線基盤17c上に載っている。
【0045】
インターフェース基板17bは、印字ヘッドユニット3の筐体3bのキャリッジ3a側の側面部に配設されている。インターフェース基板17bは、印刷配線基盤17cの端部に接続され、制御回路基板からの信号線をドライバ基板17aに接続するコネクタ及びノイズ除去回路が搭載されている。
【0046】
図4は、エアトラップユニット11とジョイント部材12との分解斜視図である。このエアトラップユニット11は、上記したように、その製作を容易にするために、部材11d〜11fの3つの部材によって形成されている。各部材11d〜11fは、4つのインク流路(チューブ5a〜5d)に対応する4つのエアトラップ30〜33が連なった形状に加工されており、成型性、耐溶剤性、耐汚染性、耐衝撃性、インクに対する濡れ性などの物性を考慮して選択される熱可塑性の樹脂が用いられている。
【0047】
部材11dは4つの第1室11aを形成するための部材であり、予め、4つの第1室11aが仕切壁11h(図2)で区画され、かつ、4つ連なった形状に加工されている部材である。各第1室11aは、第1フィルタ13aの配設される側が開口されている箱状をなし、各第1室11aの下方にはジョイント部材12との結合部11gを備えている。かかる結合部11gは、4つのインク流路(チューブ5a〜5d)に対応する中空の円筒状の突起構造をなしている。ジョイント部材12は各チューブ5a〜5dと個々に連通する4つの連通路12a〜12dを有し、各連通路12a〜12dが各結合部11gと嵌合されることにより、インクタンク4からチューブ5a〜5dを介して供給されるインクを各エアトラップ30〜33の第1室11aへ導入することができるのである。
【0048】
第1フィルタ13aは部材11eに熱融着され、各エアトラップ30〜33の第1フィルタ13aとして機能するようになっている。この第1フィルタ13aの幅方向は、連接する4つのエアトラップ30〜33の全体の幅にその両端の接着しろを加味した寸法で構成されている。また、第1フィルタ13aの縦方向は、エアトラップ30〜33の下方部分を覆う所定の長さに接着しろを加味した寸法で構成されている。かかる寸法で構成される第1フィルタ13aは、第2室を構成する部材11eの開口部において、その上方部を所定寸法開口状態となる位置に熱融着により固着される。これにより、一度の作業で、各エアトラップ30〜33の室内を第1室11aと第2室11bとに画設する第1フィルタ13aを配設することができる。
【0049】
部材11eは4つの連接される第2室11bを形成する1の部材であり、厚み方向に貫通する4つの開口部を有する。上記したように、その開口部の一方の面には第1フィルタ13aが配設され、他方の面には部材11fが超音波融着されることにより4つの第2室11bを形成する。部材11fは部材11eと共に第2室11bを形成する部材であり、部材11eの4つの開口部に対応する4つの凹部を備えている。各凹部の下方には第2室11bから印字ヘッド15へインクを導入するガイドノズル11cを形成するための溝が凹設されている。かかる溝の先端は、部材11fの裏面(開口部と反対面)へ貫通しており、ガイドノズル11cが連通路14に連通するよう構造になっている。
【0050】
上記した部材11d〜11fで構成されるエアトラップユニット11は、まず、第1フィルタ13aと部材11eが熱融着され、更に、部材11fが超音波融着されて第2室11bが形成される。次いで、部材11dが、作製された第2室11bの第1フィルタ13a側に部材11dが超音波融着され、第1室11aを形成する。かかる工程により、4つの連接するエアトラップ30〜33を備えたエアトラップユニット11を製作することができる。これによれば、1ずつエアトラップ30〜33を形成する場合に比べて、その製作工程が簡易であり、部品点数が少ないのでその工程管理が容易である。また、部品寸法が大きくなるので、第1フィルタ13aの配設作業を容易にして、効率的にエアトラップユニット11を形成することができる。
【0051】
次に、図5を参照して、エアトラップ30〜33でのインクの流動パターン及びエアが貯溜されていく状態について説明する。図5は、印字ヘッドユニット3のエアトラップ機能を模式的に表した縦断面図である。図5(a)は、インクがエアトラップ11内に充填されている初期導入時(パージ処理直後)の図である。図5(a)において、インクタンク4から第1室11aに供給されたインクは、印字ヘッド15でのインクの消費に伴い、第1室11aと第2室11bとが連通している部分13e(第1フィルタ13aの鉛直方向上部の第1フィルタ13aが配設されていない部分)が第1フィルタ13aよりも流路抵抗が小さいので、第1フィルタ13aの上端を越えて第2室11bへと流入する。
【0052】
図5(b)は、インク流路内で発生した気泡が少量、エアトラップ30〜33へ侵入した状態を示した図である。第1室11aに侵入した気泡は、第1フィルタ13aとインクとの濡れ性が良好であるために第1フィルタ13aに張り付くことができない、エアトラップ30〜33が鉛直方向に設置されているために侵入した気泡に浮力による上昇力が生じる、第1フィルタ13aの開口径が小さい等の理由により第1フィルタ13aを通過することができない。このため、自身の浮力とインクの流れに沿って第1室11aの上方へ浮上する。
【0053】
ここで、第1室11aの内壁は、第2室11bの内壁に比べて濡れ性の悪い樹脂で形成されているので、比較的に気泡が溜まりやすくなっている。溜まった気泡の体積がさほど大きくない場合には、流路抵抗の小さな第1室11aと第2室11bとが連通している部分を閉塞されないので、インク流路は変更されず、第1室11aに供給されたインクは、上記した連通部を通って第2室11bへと流入する。尚、印字時に印字ヘッド15へ供されるインクの流速(インクの吸引力)は、エアトラップ30〜33の上方部に溜まった気泡を押し出す(排出する)程大きくないことから、第1室11aの上方部に溜まる。
【0054】
図5(c)は、エアトラップ30〜33に貯溜された気泡が多くなって、流路抵抗の小さな第1室11aと第2室11bとの連通部分が閉塞された状態を示した図である。かかる場合には、第1室11aに供給されたインクは第1室11aと第2室11bとの連通部分を通過することができず、第1フィルタ13aを通過するインク流路により、第1室11aから第2室11bへインクは流入する。
図5(d)は、図5(c)の状態から更に気泡が発生し、その発生した気泡がエアトラップ30〜33に貯溜された状態を示した図である。エアトラップ30〜33室内に貯溜する気泡は、上記したように、印字時のインクの吸引力では、エアトラップ30〜33から排出されない。このため、気泡はエアトラップ30〜33に充満していき、第1室11aに供給されるインクのインク面を押し下げることとなる。インク面が所定量まで下がっても印字ヘッド15に対してインク供給不足にならないように、第1フィルタ13aの開口径及び面積が設定される。図5(e)は、図5(d)の状態から更に発生した気泡がエアトラップ30〜33に貯溜された状態を示した図である。第2室11bは気泡により完全に閉塞されているので、インクが印字ヘッド15には供給されず、印字不能状態となっている。
【0055】
図5(f)は、パージ装置6によりパージ処理が行われ、気泡が排出された状態を示した図である。パージ処理においては、強い吸引力が第2室11bにかかるので、第1フィルタ13aを通過する際にインクに負荷される流路抵抗が非常に大きなものとなる。このため、インクは、第1室11aと第2室11bとが連通している部分13e(第1フィルタ13aの鉛直方向上部の第1フィルタ13aが配設されていない部分)を通過する強いインクの流れが生起され、エアトラップ30〜33に貯溜された気泡が、この流れによってエアトラップ30〜33から排出される。その結果、再びインクが充填されて図5(a)の初期導入時と同様の状態へ復帰する。
【0056】
尚、本実施例においては、サーミスタセンサ18aが設けられており、第1室11aのインク面が所定位置より低下すると直ちにパージ処理が実行され、エアトラップ30〜33の気泡が排出されるようになっている。本実施例で使用されるインクには、粘度1〜10cps、表面張力30〜50mN/mのものが使用されている。かかる物性のインクに対し、開口径16μmの第1フィルタ13aが使用されている。
【0057】
以上説明したように、本実施例のインクジェットプリンタ1によれば、エアトラップ30〜33において、第1フィルタ13aが堰の役割を果たすことによりインク流路(チューブ5a〜5d、ジョイント部材12)内に発生し、印字ヘッド15に流入使用とする気泡をエアトラップ30〜33に貯溜し、印字ヘッド15の吐出状態を長期にわたって維持することができ、気泡除去のためのパージ回数を減らすことができる。また、溜まった気泡をパージ装置6により除去してエアトラップ11の機能を回復することができる上、サーミスタセンサ18aによりパージの必要が検出された場合にのみ、パージ処理を実行することができる。
以上、上記実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0058】
例えば、上記実施例では、第1フィルタ13aのメッシュの開口径(目の粗さ)を16μmとした。しかし、第1フィルタ13aは、エアトラップ11のインク流路の堰となるものであり、インクのゴミを補足するためのものではない。このため、開口径100μm程度以下のメッシュであれば良い。
【0059】
また、第1フィルタ13aを形成する素材としては、ステンレスを用いたが、これに代えて、インクの濡れ性が良好である樹脂を用いても良い。樹脂はステンレスに比べて加工が容易であり又原価が安いので、第1フィルタ13aのコストを低く抑えることができる。
【0060】
更に、チューブ5a〜5dには、可撓性の樹脂で構成されるものを用いたが、エアの透過率を押さえるために、かかるチューブ素材をエアの透過率の低い金属箔で被覆して用いても良い。
【0061】
次に、図6を参照して、第2実施例について説明する。第2実施例のインクジェットプリンタ1は、前記した第1実施例のインクジェットプリンタ1の第1フィルタ13aの上方に第3フィルタ13cを延設したものである。以下、第1実施例と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0062】
図6は、かかる第2実施例のインクジェットプリンタ1の図1における断面線III−IIIにおける断面図であり、印字ヘッドユニット3を含む断面図である。第2フィルタ13cは、その幅寸法が第1フィルタ13aと同寸で構成されている。また、縦方向の寸法は、第1フィルタ13aの上部から各エアトラップ30〜33内の天井部に到達する寸法で形成されている。つまり、第2フィルタ13cは、第1フィルタ13aの上部から延設されて部材11dと部材11e間に挟持されるような形状で構成されている。また、第2フィルタ13cのエアトラップ30〜33の天井部での内接位置は、第1フィルタ13aの上部から鉛直方向に上向きの位置であり、第1フィルタ13aと第3フィルタ13cとは直線状に連設されている。
【0063】
これにより、エアトラップ内を流れるインクは、すべて、第1フィルタ13aまたは第2フィルタ13cを通過して流れることになるので、かかるフィルタ13a,13cにより、インク流路内のゴミを補足することができる。これによれば、流路径の狭い連通路14に、小さな第2フィルタ13bを設ける必要がなく、エアトラップユニット11の製作を容易にすることができる。尚、第2フィルタ13cを形成するメッシュの開口径は、第1フィルタ13aの開口径に比して大きいものが選択される。これにより、第1実施例と同様に、第1フィルタ13aの上方部に第1フィルタ13aを通過するよりも流路抵抗の小さな流路を形成することができるようになっている。
【0064】
次に、図7を参照して、第3実施例について説明する。第3実施例のインクジェットプリンタ1は、上記した第1実施例のインクジェットプリンタ1において、インク面(貯留された気泡量)を検出して、パージのタイミングを指示する検出信号を出力するサーミスタセンサ18aを光センサ18bに変更したものである。以下、第1実施例と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0065】
図7は、かかる第3実施例のインクジェットプリンタ1の図1における断面線III−IIIにおける断面図であり、印字ヘッドユニット3を含む断面図である。この第3実施例の印字ヘッドユニット3は、印字ヘッドユニット3の筐体3bの内側であり、エアトラップユニット11の第1室11a側の背面となる位置に光センサ18bが備えられている。光センサ18bは、光源と光源から照射された光の反射光を検出する検出器とで構成されている。エアトラップユニット11の第1室11aを形成する部材11dは透明な部材で構成され、光センサ18bの光源から照射された光が透過するようになっている。ここで、光センサ18bの検出位置より上側にインク面がある場合と、光センサ18bの検出位置より下側にインク面がある(その位置までインクが供給されていない)場合とでは、反射光の光量が異なるので、エアトラップ11内のインク面を検出することができる。
【0066】
このように、インク面を検出するセンサを光センサ18bで構成すれば、インクの中に検出器を投入する必要がないので、センサの長寿命化を図ることができる。尚、各エアトラップ30〜33に個別にセンサを設け、各センサから検出される信号を元に各エアトラップ室毎にパージ処理を実行しても良い。
【0067】
また、単色のインクで印字を行うインクジェットプリンタでは、光センサbの光源が設置されている対面側に検出器を設けて光センサを構成しても良い。
【0068】
【発明の効果】
請求項1記載のインクジェットプリンタによれば、気泡貯溜室をインクタンクから印字ヘッドへインクを供給するインク流路の途中に設けて、そのインク流路内で発生する気泡を貯溜し、印字時には気泡貯溜室に貯溜した気泡を気泡貯溜室の上方部分に貯溜させ、回復手段による回復時には第1フィルタの上方を越えるインクの流れを生起して気泡貯溜室の上方部分に貯溜した気泡を排出することができる。よって、印字時には、インク流路から気泡をトラップすることができるので、気泡が印字時のインクの流れに与える悪影響を取り除いて、印字ヘッドの吐出状態を正常に保つことができ、印字品質を良好に保つことができるという効果がある。
【0069】
また、インク流路内に発生した気泡によりインク流路が直ちに閉塞されにくく、気泡を除去するための回復処理を頻繁に行う必要がない。このため、吸引に伴って廃棄されるインク量を低減することができるという効果がある。更に、回復手段により、気泡貯溜室に貯溜された気泡を排出して、印字時におけるインク吐出口からのインクの吐出状態を回復させることができるので、インク流路内に発生した気泡の総量が、気泡貯溜室に貯溜できる量を超えても、その気泡を容易に排出して、速やかに気泡貯溜室の機能を回復させることができるという効果がある。
また、気泡貯溜室の第2室の内面を第1室の内面より濡れ性の良い素材で構成する。よって、インク流路内で発生した気泡は、第2室に比して第1室により貯溜されやすく、印字時に、貯溜された気泡が印字ヘッド側へ流れることを抑制するという効果がある。更に、気泡貯溜室に溜まった気泡は、回復処理時のインクの流れにより、濡れ性の良い第2室側を滞ることなく容易に移動することができるので、回復処理による気泡の除去を効率的に行うことができるという効果がある。
【0070】
請求項2記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、第1フィルタの上方は開放されており、その開放により第1室と第2室とを互いに連通する。よって、回復処理時に生起される第1フィルタの上方を越えるインクの流れに与える流動抵抗を小さくすることができる。このため、そのインクの流速が減衰しにくく、気泡貯溜室の上方部分に貯溜した気泡を迅速に排出することができるという効果がある。
【0071】
請求項3記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、第1フィルタより粗い網目状に形成されると共に、その第1フィルタと気泡貯溜室の内壁とに連接され、その気泡貯溜室を第1フィルタと共に、第1室と第2室とに画設する第2フィルタを備えている。よって、インク流路を流れるインクは、第1フィルタまたは第2フィルタのいずれかを通過して流れるので、該フィルタによりインク流路内に浮遊するゴミを捕捉することができるという効果がある。
【0072】
請求項4記載のインクジェットプリンタによれば、請求項3記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、第2フィルタを第1フィルタの上方に延設することにより気泡貯溜室を薄型化または小型化することができるという効果がある。
【0073】
請求項5記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1から4のいずれかに記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、気泡貯溜室の第2室の容量が第1室の容量より小となるように、第1フィルタによって第1室と第2室とを画設する。回復処理により気泡貯溜室の上方部分に貯溜した気泡を排出する際には、第2室のインクが気泡と共に排出されので、この第2室の容量を小さくすることによりインクの排出量を低減して、無駄にするインク量を少なくすることができるという効果がある。
【0074】
また、第2室の容量を小さくすることにより、回復処理時には小さな圧力で、気泡を排出することができるという効果がある。これによれば、例えば、回復手段を小さな動力で駆動することができるので、回復動作による消費エネルギーを抑制することや、小さな動力で動作させることのできる小型の回復手段を使用して、装置本体をコンパクトにすることができるという効果がある。
【0075】
請求項6記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、気泡貯溜室は第1室と第2室とを2以上の部品で構成して、第1室と第2室との間に第1フィルタを挟装して着設する。よって、気泡貯溜室の製作工程において、第1フィルタを第1室と第2室との間に簡便に配置することができ、気泡貯溜室の製作を簡便かつ効率的に行うことができるという効果がある。
【0077】
請求項記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1からのいずれかに記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、インクタンクを第1室の下部に連通し、印字ヘッドを第2室の下部に連通するよう配設する。よって、インク流路内で発生した気泡が、その浮力により、気泡貯溜室の上部に集まり易くなるので、インク流路内の気泡を効率的に気泡貯溜室に貯溜することができるという効果がある。
【0078】
請求項記載のインクジェットプリンタによれば、請求項1からのいずれかに記載のインクジェットプリンタの奏する効果に加え、判断手段により気泡貯溜室の所定の位置まで気泡が貯溜されたと判断した場合に、回復手段を作動させることができる。ここで、インクの吐出状態を回復するために行われる通常の回復動作は、定期的に実行されるものであるので、実際には気泡が貯溜されていなくとも回復動作が実行されて不必要にインクが捨てられてしまう。しかし、気泡貯溜室の所定の位置まで気泡が貯溜されたと判断した場合に回復動作を実行することにより、回復動作の必要時(インクの吐出状態を回復する必要がある場合)にのみ回復動作を実行することができ、不必要にインクが捨てられることがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるインクジェットプリンタの展開側面図である。
【図2】 ジョイント部材によりエアトラップとチューブとが接続されていることを模式的に表した断面図である。
【図3】 印字ヘッドユニットのエアトラップとパージ装置と給紙ローラとの横断面図である。
【図4】 印字ヘッドユニットの分解斜視図である。
【図5】 印字ヘッドユニットのエアトラップ機能を模式的に表した縦断面図である。
【図6】 第2実施例のインクジェットプリンタの印字ヘッドユニットの横断面図である。
【図7】 第3実施例の反射型センサを用いた印字ヘッドユニットの横断面図である。
【図8】 従来のインクジェットプリンタのインク供給管を模式的に表した断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
4 インクタンク
5a〜5d チューブ(インク流路の一部)
6 パージ装置(回復手段)
11 エアトラップユニット(気泡貯溜室)
11a 第1室
11b 第2室
12 ジョイント部材(インク流路の一部)
13a 第1フィルタ
13c 第2フィルタ
15 印字ヘッド
17a ドライバ基板
18a サーミスタセンサ
18b 光センサ

Claims (8)

  1. 1又は複数個のインク吐出口を備え、そのインク吐出口からインクを吐出して印字媒体に対して印字を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドに供給されるインクを貯えるインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドにインクを供給するインク流路とを備えたインクジェットプリンタにおいて、
    前記インクタンクから前記印字ヘッドへインクを供給するインク流路の途中に設けられそのインク流路内で発生する気泡を貯溜する気泡貯溜室と、
    その気泡貯溜室に溜まった気泡を前記インク吐出口から強制排出してインクの吐出状態を回復させる回復手段と、
    前記気泡貯溜室の下方部分を前記インクタンク側の第1室と前記印字ヘッド側の第2室とに画設すると共に、印字時にインクを通過させる第1フィルタとを備え、
    前記気泡貯溜室の、前記第1フィルタよりも上方部分を、その第1フィルタよりもインクの流動抵抗を少なく構成し、
    前記気泡貯溜室の、前記第2室の内面は前記第1室の内面より濡れ性が良い素材で構成され、
    印字時には、前記気泡貯溜室の上方部分に気泡を貯溜すると共に、前記回復手段による回復時には、前記第1フィルタの上方を越えるインクの流れを生起して前記気泡貯溜室の上方部分に貯溜した気泡を排出することを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 前記第1フィルタの上方は開放されており、その開放により前記第1室と前記第2室とは互いに連通されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
  3. 前記第1フィルタより粗い網目状に形成されると共に、その第1フィルタと前記気泡貯溜室の内壁とに連接され、その気泡貯溜室を前記第1フィルタと共に前記第1室と前記第2室とに画設する第2フィルタを備えていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記第2フィルタは、前記第1フィルタの上方に延設されていることを特徴とする請求項3記載のインクジェットプリンタ。
  5. 前記気泡貯溜室は、前記第2室の容量が前記第1室の容量より小となるように前記第1フィルタにより画設されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
  6. 前記気泡貯溜室は、前記第1室と前記第2室とを2以上の部品で構成して、前記第1室と前記第2室との間に前記第1フィルタが挟装されて着設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
  7. 前記インクタンクは、前記第1室の下部に連通し、前記印字ヘッドは、前記第2室の下部に連通していることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
  8. 前記気泡貯溜室の所定の位置まで気泡が貯溜されたか否かを判断する判断手段と、
    その判断手段により前記気泡貯溜室の所定の位置まで気泡が貯溜されたと判断された場合に前記回復手段を作動させる回復処理作動手段とを備えていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
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