JP4003449B2 - プリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタに関し、特に、印字ヘッドユニットの状態に応じて印字ヘッドユニットを制御することができ、多量のデータを高速かつ確実に伝送することができる小型のプリンタを提供することを目的としている。
【0002】
【従来の技術】
従来のプリンタ、例えばインクジェットプリンタでは、キャリッジガイドに印字ヘッドを搭載したキャリッジを滑動自在に装着し、印字媒体を案内搬送するプランテンローラとガイドローラとを設け、キャリッジを主走査方向に移動させ、印字媒体を副走査方向に搬送しながら、キャリッジに搭載した印字ヘッドからインク滴を吐出させて印字媒体に印字を行う。
【0003】
具体的に印字ヘッドは、インク吐出口に連通したインク流路を形成したインク流路基板の片面に、圧電素子等のアクチュエータが重ねられて構成されている。このアクチュエータには、フレキシブルケーブルが接続され、このフレキシブルケーブルを介してアクチュエータに電圧印加が行われるように構成されている。
【0004】
ここで、上記のように構成された印字ヘッドへの電気的伝達経路を図6において説明する。図6はプリンタ本体側の制御回路及び印字ヘッド側の受信回路間の電気的伝達に係わる部分を示したブロック図である。図6に示すように、キャリッジ外に設けられたプリンタ本体側の基板20には、印字ヘッドを制御する制御回路21が実装されている。一方、キャリッジ上に設けられた印字ヘッド側の基板22には制御回路21からの信号を受信する受信回路23が実装されており、制御回路21と受信回路23とは種々の信号線によって連結されている。電力供給線V1は圧電素子を駆動するために必要な電力(+30V)を供給する信号線であり、電源供給線V2は受信回路23に設けられた制御回路を駆動するために必要な電力(+5V)を供給する信号線である。その他、多数の画像信号線S1〜Snが金属導線によって形成され、それら全体がフレキシブルな絶縁シートの上に印刷配線されて帯状のケーブルに形成されている。
【0005】
上記のように構成された印字ヘッドでは、インク流路内にインクを充填し、電力供給線V1及び電源供給線V2により各駆動電圧が供給された状態において、所定の画像信号線S1〜Snに信号が加えられると、それに対応するアクチュエータに電圧が印加され、そのアクチュエータに撓み変形が生じ、インク流路の容積が瞬間的に減少する。その結果、インク流路内のインクをインク吐出口からインク滴として吐出させることができるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近の画像の多階調化、印刷時間の高速化、カラー化によるインクの多色化等に伴って、印字ヘッドへ伝送されるデータはより高速かつ多量になってきている。かかる場合に上述した複数の金属導線を用いてデータの伝送を行ったのでは、印字ヘッドを多吐出口化したり、多階調化のために信号線数を多くしようとしても、ケーブルの幅が大きくなり、キャリッジの移動に支障をきたすだけでなく、プリンタが大型化するという問題点があった。また、金属導線によって高速かつ多量のデータを送信すると、電磁的な干渉による信号波形の鈍りや、外部に放射するノイズによる障害が発生する問題がある。
【0007】
また、印字ヘッドを含む印字ヘッドユニットの状態、例えば、印字ヘッドを駆動させることによるドライバ基板の発熱、エアトラップにおけるインクの残量やエアの有無等の印字ヘッドユニットの状態データを受信回路23から制御回路21に伝送する信号経路を有するプリンタにおいては、受信回路23からの信号を制御回路21へ伝送するための信号線がさらに必要となり信号線数が増え、プリンタが一層大型化するという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、印字ヘッドユニットの状態に応じて印字ヘッドユニットを制御することができ、多量のデータを高速かつ確実に伝送できる小型のプリンタを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載のプリンタは、印字媒体に対してインク吐出口からインクを吐出して印字を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドを搭載するキャリッジとを有する印字ヘッドユニットと、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドユニットを制御する制御回路と、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドに供給する供給するインクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドにインクを供給するフレキシブルなチューブで形成されたインク流路と、前記キャリッジ上に設けられ前記制御回路からの信号を受信する受信回路とを備えており、前記制御回路に設けられ、前記印字ヘッドの駆動データを光信号に変換して発信する第1発信部材と、前記受信回路に設けられ、前記第1発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第1受信部材と、前記受信回路に設けられ、前記印字ヘッドユニットの状態データを光信号に変換して発信する第2発信部材と、前記制御回路に設けられ、前記第2発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第2受信部材と、前記第1発信部材及び第2発信部材から発信される光信号をその第2受信部材及び第1受信部材へ伝達する光ファイバとを備え、前記インク流路は、前記光ファイバに内設されている。
【0010】
この請求項1に記載のプリンタによれば、キャリッジ外に設けられた制御回路からの信号はキャリッジ上に設けられた受信回路により受信される。ここで、印字ヘッドの駆動データは、制御回路に設けられた第1発信部材により光信号に変換され発信され、その光信号は受信回路に設けられた第1受信部材へ光ファイバによって伝達され、第1受信部材により受信され電気信号に変換される。一方、印字ヘッドユニットの状態データは、受信回路に設けられた第2発信部材により光信号に変換され発信され、その光信号は制御回路に設けられた第2受信部材へ光ファイバによって伝達され、第2受信部材により受信され電気信号に変換される。一方、印字ヘッドに供給されるインクはキャリッジ外に設けられたインクタンクからフレキシブルなチューブで形成されたインク流路を介して供給され、印字ヘッドに備えられたインク吐出口から吐出される。ここで、インク流路は、光ファイバに内設される。
請求項2記載のプリンタは、印字媒体に対してインク吐出口からインクを吐出して印字を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドを搭載するキャリッジとを有する印字ヘッドユニットと、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドユニットを制御する制御回路と、前記 キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドに供給する供給するインクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドにインクを供給するフレキシブルなチューブで形成されたインク流路と、前記キャリッジ上に設けられ前記制御回路からの信号を受信する受信回路とを備えており、前記制御回路に設けられ、前記印字ヘッドの駆動データを光信号に変換して発信する第1発信部材と、前記受信回路に設けられ、前記第1発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第1受信部材と、前記受信回路に設けられ、前記印字ヘッドユニットの状態データを光信号に変換して発信する第2発信部材と、前記制御回路に設けられ、前記第2発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第2受信部材と、前記第1発信部材及び第2発信部材から発信される光信号をその第2受信部材及び第1受信部材へ伝達する光ファイバとを備え、前記光ファイバは、前記インク流路に内設されている。
この請求項2に記載のプリンタによれば、キャリッジ外に設けられた制御回路からの信号はキャリッジ上に設けられた受信回路により受信される。ここで、印字ヘッドの駆動データは、制御回路に設けられた第1発信部材により光信号に変換され発信され、その光信号は受信回路に設けられた第1受信部材へ光ファイバによって伝達され、第1受信部材により受信され電気信号に変換される。一方、印字ヘッドユニットの状態データは、受信回路に設けられた第2発信部材により光信号に変換され発信され、その光信号は制御回路に設けられた第2受信部材へ光ファイバによって伝達され、第2受信部材により受信され電気信号に変換される。一方、印字ヘッドに供給されるインクはキャリッジ外に設けられたインクタンクからフレキシブルなチューブで形成されたインク流路を介して供給され、印字ヘッドに備えられたインク吐出口から吐出される。ここで、光ファイバは、インク流路に内設される。
請求項3記載のプリンタは、印字媒体に対してインク吐出口からインクを吐出して印字を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドを搭載するキャリッジとを有する印字ヘッドユニットと、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドユニットを制御する制御回路と、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドに供給する供給するインクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドにインクを供給するフレキシブルなチューブで形成されたインク流路と、前記キャリッジ上に設けられ前記制御回路からの信号を受信する受信回路とを備えており、前記制御回路に設けられ、前記印字ヘッドの駆動データを光信号に変換して発信する第1発信部材と、前記受信回路に設けられ、前記第1発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第1受信部材と、前記受信回路に設けられ、前記印字ヘッドユニットの状態データを光信号に変換して発信する第2発信部材と、前記制御回路に設けられ、前記第2発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第2受信部材と、前記第1発信部材及び第2発信部材から発信される光信号をその第2受信部材及び第1受信部材へ伝達する光ファイバとを備え、前記光ファイバは、前記チューブの外壁に間隔をあけて凸設された接続部に接合されている。
この請求項3に記載のプリンタによれば、キャリッジ外に設けられた制御回路からの信号はキャリッジ上に設けられた受信回路により受信される。ここで、印字ヘッドの駆動データは、制御回路に設けられた第1発信部材により光信号に変換され発信され、その光信号は受信回路に設けられた第1受信部材へ光ファイバによって伝達され、第1受信部材により受信され電気信号に変換される。一方、印字ヘッドユニットの状態データは、受信回路に設けられた第2発信部材により光信号に変換され発信され、その光信号は制御回路に設けられた第2受信部材へ光ファイバによって伝達され、第2受信部材により受信され電気信号に変換される。一方、印字ヘッドに供給されるインクはキャリッジ外に設けられたインクタンクからフレキシブルなチューブで形成されたインク流路を介して供給され、印字ヘッドに備えられたインク吐出口から吐出される。ここで、光ファイバは、チューブの外壁に間隔をあけて凸設された接続部に接合されている。
【0011】
請求項4記載のプリンタは、請求項1から3のいずれかに記載のプリンタにおいて、前記光ファイバは1本で構成されている。
【0012】
請求項5記載のプリンタは、請求項4記載のプリンタにおいて、前記光ファイバの両端に対応してそれぞれハーフミラーを備え、そのハーフミラーにより反射して前記光ファイバに対向する側に前記発信部材と受信部材の一方を配置し、そのハーフミラーを透過して前記光ファイバに対向する側に前記発信部材と受信部材の他方を配置する。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
請求項6記載のプリンタは、請求項1から5のいずれかに記載のプリンタにおいて、前記印字ヘッドと前記制御回路との間で、100MHz以上の高周波数で電気信号の伝達を行うものである。
【0018】
請求項7記載のプリンタは、請求項6記載のプリンタにおいて、前記印字ヘッドは複数色のインクを、各色についてそれぞれ約1500以上のインク吐出口から吐出頻度約100kHz以上で吐出して、32階調以上の印字を行うインクジェット式のものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例であるインクジェットプリンタ1の展開側面図である。図1に示すように、このインクジェットプリンタ1は、略箱状体に難燃性のプラスチックで形成されたプリンタ本体2と、その上部に着脱可能に装着された印字ヘッドユニット3と、インクタンク4a〜4dと、印字ヘッドユニット3とインクタンク4a〜4dとを連通させるチューブ5a〜5dと、パージ装置6と、ガイドロッド7と、制御回路基板25と、制御回路基板25に搭載された第1光電変換装置29と、受信回路基板26と、受信回路基板26に搭載された第2光電変換装置30と、光ファイバ及び電力供給線の組39とを備えている。
【0020】
印字ヘッドユニット3は、インクを吐出して印字用紙PPに対し印字を行う複数個の印字ヘッド15(図2参照)を搭載するものである。この印字ヘッドユニット3は、プリンタ本体2の下部に設けられたインクを貯溜するインクタンク4a〜4dとチューブ5a〜5dを介して連通されており、かかるインクタンク4a〜4dからチューブ5a〜5dを介してインクの供給を受けている。この印字ヘッドユニット3はキャリッジ3aを有し、かかるキャリッジ3aは公知のようにベルトに装着されている。該ベルトはモータに取着されたローラに巻回されている。このため、モータが回転するとベルトが駆動され、駆動された距離分、キャリッジ3a(印字ヘッドユニット3)を移動させることができるようになっている。この印字ヘッドユニット3の詳細については図2において後述する。
【0021】
ガイドロッド7は、キャリッジ3aにスライド可能に挿嵌され、キャリッジ3aを印字用紙PPの搬送方向と直交する方向(A)に移動可能に支持している。これにより、印字ヘッドユニット3は、ガイドロッド7に平行方向、即ち、プリンタ本体2の長手方向(A)へ往復移動することができる。
【0022】
インクタンク4は、印字ヘッドユニット3に供給するインクを貯溜しておくためのものであり、印字ヘッドユニット3の下方に配設されている。このインクタンク4と印字ヘッドユニット3との位置関係は、重力方向(B)に対して下であるようになっている。インクタンク4は、キャリッジ3aの移動方向に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが密封されている4つのインクタンク4a〜4dで構成されており、各インクタンク4a〜4dには、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各インクを印字ヘッドユニット3に供給するためのチューブ5a〜5dの一端がそれぞれ取り付けられている。各チューブ5a〜5dの他端は、上記した印字ヘッドユニット3に連通しており、各インクタンク4a〜4d内に充填されているインクは、印字ヘッドユニット3にそれぞれ供給され、更に、各色のインクに対応した各印字ヘッド15から吐出される。これらの各色のインクが、印字ヘッド15から吐出されることにより、印字用紙PPにフルカラー印字が可能となるのである。
【0023】
プリンタ本体2の左端部分には、パージ処理を行うパージ装置6が配設されている。パージ処理は、印字ヘッド15からのインクの吐出状態を回復させるための処理であり、このパージ処理を実行するパージ装置6には、印字ヘッド15の複数のインク吐出口を密閉することができる吸引キャップ6aと、該インク吐出口の表面を拭うワイパ6bと、吸引キャップ6aから排出チューブ6cを介してインクを吸引する吸引ポンプ(図示せず)とが備えられている(図2参照)。尚、パージ装置6は、インクタンク4側からインクに正圧を与えることにより、印字ヘッド15からインクを排出する構成のものでも良い。
【0024】
このパージ装置6によってパージ処理を行う場合には、モータを駆動させて印字ヘッド15の搭載された印字ヘッドユニット3をインクジェットプリンタ1の左側へ移動させて、印字ヘッド15におけるインク吐出口を吸引キャップ6aにより密閉する。その後、吸引ポンプを作動させると、インク吐出口から気泡や乾燥して固化したインクが吸引されて排出チューブ6cから排出される。続いて、印字ヘッド15の表面をワイパ6bで拭うことにより、印字ヘッド15のインク吐出口の吐出状態を回復することができる。
【0025】
プリンタ本体2の内部には、印字ヘッドユニット3の動作内容に関する制御プログラムに従って、印字ヘッドユニット3を制御するCPU、ROM、RAM等が搭載された制御回路基板25が配設されており、光信号と電気信号とを変換する第1光電変換装置29が搭載されている。この第1光電変換装置29については図4において後述する。
【0026】
キャリッジ3aに搭載された印字ヘッドユニット3には、制御回路基板25からの電力供給線をドライバ基板17aに接続するコネクタ及びノイズ除去回路の他、光信号と電気信号とを変換する第2光電変換装置30が搭載された受信回路基板26が配設されている。この第2光電変換装置30については図4において後述する。
【0027】
光ファイバ35は、第1光電変換装置29又は第2光電変換装置30から発信される光信号を第2光電変換装置30又は第1光電変換装置29に伝送する。また光ファイバ35は1本で構成され、チューブ5a〜5dに沿って配設される。
【0028】
図2は、図1における断面線III―IIIにおける断面図であり、印字ヘッドユニット3を含む断面図である。図2において(B)方向は重力方向となっており、紙面の奥側と手前側を結ぶ線が、印字ヘッドユニット3の移動方向(A)方向となっている。
【0029】
給紙ローラ16a〜16dは、印字時に印字用紙PPを搬送するためのローラであり、印字ヘッドユニット3の上方に配設された2個のローラ16c,16dと、印字ヘッドユニット3の下方に配設された2個のローラ16a,16bとで構成されている。この給紙ローラ16a〜16dは、プリンタ本体2の制御回路基板から入力された信号により回転駆動して、印字用紙PPを印字ヘッド15の移動方向(A)に対し垂直方向、即ち鉛直方向((B)方向)の逆方向に搬送するものである。この給紙ローラ16a〜16dにより、印字用紙PPが搬送される搬送ラインは、図中において一点鎖線で示している。
【0030】
印字ヘッドユニット3は、給紙ローラ16a〜16dにより印字用紙PPが搬送される搬送ラインに対峙する位置に配設されている。この印字ヘッドユニット3は、重力方向である(B)方向を下方とし、印字用紙PPの搬送方向に対し平行に、即ち、鉛直方向の向きを上下として設けられている。この印字ヘッドユニット3は、印字用紙PPの搬送される側にエアトラップ11と対応した印字ヘッド15を備える。尚、エアトラップ11は、キャリッジ3aの移動方向に複数設けられ、複数のエアトラップ11に対応した複数の印字ヘッド15が設けられている。
【0031】
各印字ヘッド15は公知のものと同様に、印字用紙PPに対向する側に開口する複数個のインク吐出口を備え、対応するエアトラップ11から供給されたインクをインク吐出口ごとのインク室に分配し、圧電素子等のアクチュエータ15aの変位によりインク内のインクをインク吐出口から吐出する。
【0032】
この印字ヘッド15は、印字ヘッドユニット3の筐体3bに支持されたエアトラップ11と連通路14を介して連通されている。エアトラップ11は、第1フィルタ13aにより2室11a,11bに画設され、印字ヘッドユニット3の筐体3bと平行に、鉛直方向の向きを上下として設けられている。
【0033】
第1室11aは、第1フィルタ13aにより画設され、インクタンク4側(インク流路の上流側)に位置する室である。この第1室11aと第2室11bとは、第1フィルタ13aにより完全に画設されておらず、その上方部分13eが連通している構成となっている。インクタンク4からチューブ5a〜5dを介して供給されるインクは、第1室11aの下方に連通するジョイント部材12を経て、この第1室11aに供給される。この第1室11aに流入されたインクは、後述するように第1フィルタ13aにより堰止められ、内部に保有する気泡を浮上させ、第1室11aの上部に貯溜させる。
【0034】
この第1室11aに対向して後述する受信回路基板26には、インク量の検出をするセンサ18aが設けられている。このセンサ18aは、例えば光学式のものが使用され、発光素子と受光素子から構成されている。それと対向する第1室11aの壁には光学的に透明な樹脂材料で構成されたプリズム11gが形成されている。そのプリズム11gとインクとの屈折率と、プリズム11gと空気との屈折率との関係から、プリズム11gがインクに接触しているときには、センサ18aの発光素子から出射された光は、第1室11aのインク中へ直進するが、第1室11a内のインクが減少しプリズム11gがインク中から露出すると、センサ18aの発光素子から出射された光は、プリズム11g内で反射して受光素子に戻ってくる。これにより、第1室11a内のインク量を検出することができる。
【0035】
また、インク量の検出をするセンサとしては、図7に示すように、電極18bを用いることもできる。電極18aは一対あって、受信回路基板26から第1室11aの壁を貫通してその第1室11aに挿入されている。一対の電極18bがインクに接触しているときと、一方の電極18bがインク中から露出したときとでは、一対の電極18b間のインピーダンスに差が生じ、これにより、インク量を検出することができる。その他インク量の検出には、インクタンクのインク量の検出において公知の種々の構成を用いることができるものである。
【0036】
これらの検出信号は、光ファイバ35を介して、本体2に備えられた制御回路基板25(図1参照)に送信され、制御回路基板25により抵抗変化が認識されると、エアトラップ11に貯溜される気泡量が所定量を超えたと判断し、制御回路基板25からパージ装置6へパージ処理を行わせる信号が送信される。これにより、パージ装置6によりパージ処理が実行され、エアトラップ11内に貯溜されている気泡が除去される。尚、制御回路基板25への信号伝達経路については図3において後述する。
【0037】
第2室11bは、第1フィルタ13aにより画設され、印字ヘッド15側(第1室11aに対しインク流路の下流側)に位置する室である。第2室11bには、その下方にガイドノズル11cが連設されており、このガイドノズル11cは上記した連通路14を介して印字ヘッド15に連通している。これにより、第2室11bから印字ヘッド15に、インクが供給されるようになっている。
【0038】
この第2室11bの容量は、第1室11aの容量より小(約1/2)になるように構成されている。エアトラップ11に貯溜される気泡をパージ処理により吸引する際には、この第2室11bに残存するインクは全て排出されるが、この第2室11bの容量を小さくすることでその排出量を少なくして無駄になるインク量を少なくし、更に、小さな吸引圧力でインクの吸引、即ち、気泡の吸引を実行することができるようになっている。
【0039】
更に、第2室11bの内壁はインクに対して濡れ性の良い結晶性の樹脂で構成され、あるいは濡れ性を良くする表面処理がされている。このため、壁面にインクが濡れやすく、パージ処理の実行時に第2室11bを通過して排出される気泡を壁面に溜まり難くして、迅速に気泡を排出することができるようになっている。
【0040】
第1フィルタ13aは、上記したようにエアトラップ11の下方を第1室11aと第2室11bとに画設するものであり、第2室11bの容量を第1室11aの容量より小さく(約1/2)分割する位置において、印字ヘッドユニット3の筐体3bと平行に、鉛直方向の向きを上下として設けられている。この第1フィルタ13aには、ステンレス製の金属を網目状に編んだメッシュが用いられおり、本実施例では目開き、即ち、開口径16μmのものが使用され、インク流路内で発生した気泡を通過させないようになっている。
【0041】
この第1フィルタ13aの縦寸法((B)方向の寸法)は、エアトラップ11の上方向((B)方向)内寸より短い寸法で構成されている。これにより、エアトラップ11内の上方部に第1フィルタ13aの配設されない空間13eが形成され、第1室11aと第2室11bとが流路抵抗が少なく連通されるようになっている。また、第1フィルタ13aは、エアトラップ11の幅方向((A)方向)において、その両側の内壁に連設されており、第1室11aに侵入した気泡が、幅方向から第2室11bへ侵入するのを阻止している。ここで、エアトラップ11と第1フィルタ13aとは、鉛直方向上向きになるように配設されている。このため、エアトラップ11内に侵入した気泡は、第1フィルタ13aを通過することができないので、第1室11a内を上昇して、その上方に貯溜されることとなる。また、第1フィルタ13aを形成するステンレス素材としては、インクに対し濡れ性のよい材料を使用しているので、気泡が第1フィルタ13aに留まりにくく、第1室11aに進入した気泡を、その第1室11aの鉛直方向上方へ導きやすいようになっている。
【0042】
上記したようにエアトラップ11を構成することにより、インク流路内で発生した気泡をエアトラップ11により貯溜することができる。また、かかるように構成されるエアトラップ11は、その成形の容易さから、部材11d〜11fの3つの部材によって構成されている。
【0043】
連通路フィルタ13bは、印字ヘッド15に供給されるインク内に混入しているゴミを捕捉するためのものであり、エアトラップ11のガイドノズル11cと印字ヘッド15との間の連通路14に配設されている。このフィルタは、連通路14を形成する部材に熱溶着されて配設され、連通路14の断面方向を全て覆うような形状に加工されているものである。また、第2フィルタ13bは、ゴミを捕捉すると共にインクとパージ処理時における気泡とを通過させることができる開口径で構成されている。
【0044】
印字ヘッドユニット3の筐体3bの上方部には、ドライバ基板17aが配設されている。ドライバ基板17aは、上記したプリンタ本体2に搭載されている制御回路基板25により制御されている。具体的には、制御回路基板25から送信されるシリアル信号をアクチュエータ15aの各アクチュエータ部に対応したパラレル信号に変換して各アクチュエータ部を駆動するものである。ドライバ基板17aは、アクチュエータ15aに接続されたフレキシブルな印刷配線基板17c上に載っている。
【0045】
受信回路基板26は、エアトラップ11を挟んで印字ヘッド15と平行に配設されている。受信回路基板26は印刷配線基板17cの端部に接続され、制御回路基板25からの電力供給線をドライバ基板17aに接続するコネクタ、ノイズ除去回路、光信号と電気信号とを変換する第2光電変換装置30等が搭載されている。この第2光電変換装置30については図4において後述する。
【0046】
ここで、上記のように構成された印字ヘッドユニット3(図2参照)への電気的伝達経路を図3において説明する。図3は本体側の制御回路及び印字ヘッド側の受信回路間の電気的伝達に係わる部分を示したブロック図である。図3に示すように、キャリッジ外に設けられたインクジェットプリンタ本体側の制御回路基板25には、印字ヘッドユニット3を制御する制御回路27が実装されている。一方、キャリッジ上に設けられた印字ヘッド側の受信回路基板26には制御回路27からの信号を受信する受信回路28が実装されている。制御回路27には印字ヘッドの駆動データを光信号35aに変換して発信する第1発光ダイオード31と、第2発光ダイオード34から発信される光信号35bを受信して電気信号に変換する第2ホトダイオード33とが備えられている。受信回路28には印字ヘッドユニット3の状態データ(印字ヘッドを駆動させることによるドライバ基板17a(図2参照)の発熱、エアトラップ11(図2参照)におけるインクの残量やエアの有無等)を光信号35bに変換して発信する第2発光ダイオード34と、第1発光ダイオード31から発信される光信号35aを受信して電気信号に変換する第1ホトダイオード32とが備えられている。
【0047】
制御回路27からの電気信号である印字ヘッドの駆動データは第1発光ダイオード31によって光信号35aに変換され発信される。第1発光ダイオード31からの光信号35aは1本の光ファイバ35を介して第1ホトダイオード32に受信され電気信号に変換される。一方、受信回路28からの電気信号である印字ヘッドユニットの状態データは第2発光ダイオード34によって光信号35bに変換され発信される。第2発光ダイオード34からの光信号35bは1本の光ファイバ35を介して第2ホトダイオード33に受信され電気信号に変換される。
【0048】
これにより、印字ヘッドの駆動データが制御回路27から発信され、受信回路28に受信されるという1方向の信号経路ではなく、印字へッドユニットの状態データを受信回路28から発信して制御回路27に受信されるという双方向の信号経路を形成することができ、印字ヘッドユニットの状態データを受信した制御回路27において印字ヘッドユニットの状態に応じた制御をすることができる。例えば、印字ヘッドを長時間駆動するとドライバ基板17a(図2参照)は温度上昇をする。かかる発熱状況は外気温、印字データの容量、プリンタの連続使用等の状況によって異なるものである。そこでドライバ基板17aに設けたセンサからドライバ基板17aの温度データを第2発光ダイオード34により第2ホトダイオード33に発信することにより、制御回路27は駆動データの送信を抑制する等して、ドライバ基板17aの温度上昇を防止するよう制御することができる。
【0049】
また、インクの吐出状態を回復するために行われる通常の回復動作は、定期的に実行されるものである。しかし実際にはエアが貯溜されていなくとも回復動作が実行されて不必要にインクが捨てられてしまう場合もある。そこでエアトラップ11内に設けたインク量センサ18a(図2参照)からの信号により所定の位置までエアが貯溜されたと判断された場合に第2発光ダイオード34により第2ホトダイオード33にその信号を発信して、制御回路27に回復動作処理の実行の要求信号を伝送することにより、回復動作の必要時(インクの吐出状態を回復する必要がある場合)にのみ回復動作を実行することができ、不必要にインクが捨てられることがないという効果がある。
【0050】
また、発光ダイオード31等によって光信号に変換された印字ヘッドの駆動データ等は光ファイバ35を介して対応するホトダイオード32等に受信されるので、何も介すことなく直接光信号を伝送する場合に比べ伝送途中におけるインク、紙粉等のミストによる通信ノイズの影響を受けずに高速かつ確実にデータを伝送することができる。
【0051】
制御回路27と受信回路28とは上述した1本の光ファイバによって連結されている他、圧電素子を駆動するために必要な電力(30V)を供給する電力供給線V1、受信回路28に設けられた回路を起動させるために必要な電力(5V)を供給する電源供給線、アース(GND)線等がフレキシブルな電気ケーブルによって連結されている。尚、上述のように印字ヘッド駆動データ及び印字ヘッドユニット状態データを伝送する一本の光ファイバ35と他の電気信号V1、V2等を伝送するフレキシブルケーブル等の電気ケーブルは平行に配置され、1本にまとめたり、すべて分離して配設しても使用できる。
【0052】
図4は、光電変換装置についての構成を模式的に示した図である。図4に示すように、制御回路27(図3参照)に設けられた第1光電変換装置29は、第1発光ダイオード31と、第2ホトダイオード33と、ハーフミラー36と、コンデンサレンズ38とを備えている。一方、受信回路28(図3参照)に設けられた第2光電変換装置30は、第2発光ダイオード34と、第1ホトダイオードと、ハーフミラー37と、コンデンサレンズ38とを備えており、第1光電変換装置29と第2光電変換装置30とは1本の光ファイバ35を介して連結されている。
【0053】
制御回路27(図3参照)からの電気信号である印字ヘッドの駆動データは、第1発光ダイオード31によって電気信号を光信号に変換され発信される。発信された光信号35aはハーフミラー36によって反射され、コンデンサレンズ38により収束され、光ファイバ35を介して受信回路に設けられた光電変換装置30に導かれる。ここで、第1発光ダイオード31に対応する第1ホトダイオード32はハーフミラー37の反射側に設けられているため、第1発光ダイオード31から発信された光信号35aはハーフミラー37によって、反射され第1ホトダイオード32に受信されることができる。
【0054】
一方、受信回路28(図3参照)からの電気信号である印字ヘッドユニットの状態データは、第2発光ダイオードによって電気信号を光信号に変換され発信される。発信された光信号35bはハーフミラー36を透過して、コンデンサレンズ39により収束され、光ファイバ35を介して制御回路に設けられた光電変換装置29に導かれる。ここで、第2発光ダイオード34に対応する第2ホトダイオード33はハーフミラー35の透過側に設けられているため、第2発光ダイオード34から発信された光信号35bはハーフミラー35を透過して第2ホトダイオード33に受信することができる。
【0055】
即ち、1本の光ファイバ35において上述した2組の発光ダイオードとホトダイオードとの間で双方向性のある通信をしようとする場合において、1本の光ファイバの両端に、ハーフミラーを設けることによって、2組の発光ダイオードとホトダイオードとを配設できるので、ハーフミラーと発光ダイオードとホトダイオードとを一体的に構成でき、コンパクトな光電変換装置を実現できる。
【0056】
尚、本実施例では印字ヘッドの駆動データの送受信を行う、第1発光ダイオード31と第1ホトダイオード32とをハーフミラー36,37の反射側に配置し、印字ヘッドユニットの状態データの送受信を行う、第2発光ダイオード34と第2ホトダイオード33とをハーフミラー37,36の透過側に配置したが、かかる配置関係を逆に構成してもよいことはいうまでもない。
【0057】
次に、図5を参照して、光ファイバと前記のようにインクを供給するチューブとの配設方法について説明する。図5は光ファイバとチューブとの配設パターンを示したものである。図5(a)はチューブ5の外壁に適当間隔を開けて凸設された接続部に光ファイバ35の外装を接着させ、チューブ5と光ファイバ35とを一体的に構成したものである。この構成によれば、一体的に構成できるのでまとまりのある光信号とインクとの経路を形成することができる。尚、チューブ5と光ファイバ35の外装部材とを一体に構成してもよい。
【0058】
(b)は光ファイバ35を中空円状に構成し、その光ファイバ35内をインク流路としたものである。この構成によれば、インク流路であるチューブ5を設ける必要がなく、部材点数の削減により製造工程を簡略化することができる。また、光信号とインクとの経路は1の部材により構成されるため、まとまりのある光信号とインクとの経路を形成することができる。(c)はチューブ5内に光ファイバを内設するよう構成したものである。この構成によれば、光ファイバ35を設ける新たなスペースを必要としないため、小さいスペースで光ファイバ35とチューブ5とを配設することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施例のインクジェットプリンタ1によれば、受信回路28に設けられた第2発光ダイオード34により印字ヘッドユニット3の状態(印字ヘッドの駆動によるドライバ基板の発熱、エアトラップのインクの残量、エアの有無等)データが発信され、制御回路27に設けられた第2ホトダイオード33により受信されるので、制御回路27から受信回路28への1方向の通信でなく、双方向性のある通信をすることができる。また、データは光信号に変換され発信されるので、電気信号によって伝送する場合に比べ、多量のデータを伝送する場合であっても多数の信号線を必要とせず、多数の信号線を設けるために必要なスペースを省略できる。
【0060】
例えば、インクジェットプリンタにおいて、4色カラー印刷のための4個の印字ヘッドのそれぞれのノズル数を300、吐出頻度(駆動周波数)を36kHzとしたものがある。各色の各印字ドットのデータの階調数を16階調(=3ビットデータ)として、単位時間当たりのデータ転送速度を計算すると、
4色×300ノズル×36kHz×3ビット=129.6MBit/s
となる。従来のインクジェットプリンタは、このデータを金属導線により電気信号として伝達する構成を採用しており、この場合、電磁的な干渉による信号波形の鈍りや、外部に放射するノイズによる障害が発生する問題があるため、一般的には100MHz以上の高周波で電気信号の伝達を行う場合には、シールド手段を施す必要がある。従って、金属導線により電気信号を伝達する構成を採用する場合には、データを多くの金属導線に割り振って並列化して転送することで、導線1本当たりのデータ転送周波数を下げるようにしている。上記インクジェットプリンタの場合、32本の金属導線で並列に処理させることで、金属導線1本当たりのデータ転送速度を約4MBit/sに低減することが可能であり、信号波形の鈍りや放射ノイズを規制値以内に抑えることをある程度解決することができる。
【0061】
ところが、インクジェットプリンタのさらなる多色化、高画質化、高解像度化、高階調化がすすむにつれて、並列処理のためにさらに多数の導線が必要となり、ケーブルのサイズが増大することとなって、キャリッジ移動の障害となったり、プリンタ全体が大型化してしまう。また、導線1本当たりのデータ転送速度をあげ、導線の本数を低減することでケーブルのサイズの増大を抑えることができるが、その際には、前述の放射ノイズの問題を解決するために、プリンタに高価なシールド手段を備える必要が生じ、コストアップが避けられない。
【0062】
6色カラー、各色の印字ヘッドノズル数1500、吐出頻度100kHzで、32階調(=4ビットデータ)の印字をする場合、
6色×1500ノズル×100kHz×4ビット=3.6GBit/s
のデータ転送速度が必要で、これを従来のように32本の金属導線で転送しようとすると、112.5MHzの転送周波数が必要となり、シールド手段を用いないで放射ノイズを規制値以内に抑えることが困難であるが、本実施の形態のプリンタによれば、上記以上の数値の仕様でも実現することができる。
【0063】
以上、上記実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0064】
例えば、上記実施例では、インク供給形式のインクジェットプリンタを用いて説明した。しかし、インクタンクをキャリッジ上に搭載したプリンタにおいては、キャリッジ上に搭載されたインクの残量をセンサにより判断して、受信回路に設けられた発光ダイオードにより本体側の制御回路にインクの残量データを伝送することにより、印字データの容量に応じて印字動作の開始の可否を予め判断できるように制御回路を構成することも可能となる。よって、印字途中においてインクがなくなるといる状況を回避することができる。
【0065】
【発明の効果】
請求項1から3のいずれかに記載のプリンタによれば、第1発信部材及び第2発信部材により発信され、第1受信部材及び第2受信部材に受信される信号は光信号によって伝送されるので、電気ケーブルによって伝送する場合に比べ、多数の信号線を必要とすることなく、高解像度、多階調、高速印字のために大量のデータを高い周波数で転送することができる。また、双方向性を有するプリンタであっても多数の信号線を必要とせず、多数の信号線を設けるために必要なスペースを省略することができる。よって、小型のプリンタを提供することができるという効果がある。
また、請求項1から3のいずれかに記載のプリンタによれば、第1発信部材及び第2発信部材から発信される光信号は光ファイバにより第2受信部材及び第1受信部材に伝達されるので、何も介すことなく直接光信号を伝送する場合に比べ伝送途中のインク、紙粉等のミストによる通信ノイズの影響を受けずに高速かつ確実にデータを伝送することができるという効果がある。
ここで、請求項1記載のプリンタによれば、インク流路は光ファイバに内設されるので、インク流路と光ファイバという異種の2本の経路を1本にすることができる。よって、まとまりのある信号とインクとのコンパクトな経路を形成することができるという効果がある。
一方で、請求項2記載のプリンタによれば、光ファイバはインク流路に内設されるので、インク流路と光ファイバという異種の2本の経路を1本にすることができる。よって、まとまりある信号とインクとのコンパクトな経路を形成することができるという効果がある。
また、請求項3記載のプリンタによれば、光ファイバとインク流路とを一体的に構成できるので、まとまりのある光信号とインクとの経路を形成することができるという効果がある。
【0066】
請求項4記載のプリンタによれば、請求項1から3のいずれかに記載のプリンタの奏する効果に加え、光ファイバは1本で構成されるので、複数本から成るの電気ケーブルによりデータを伝送する場合に比べ伝送手段を配設するためのスペースを小さくできる。よって、コンパクトなプリンタを提供することができるという効果がある。
【0067】
請求項5記載のプリンタによれば、請求項4に記載のプリンタの奏する効果に加え、1本の光ファイバの両端にはハーフミラーが備えられるので、ハーフミラーに入射する一部の光束を反射し、一部の光束を透過させることができる。よって1本の光ファイバにおいて2組の発光ダイオードとホトダイオードとの間で双方向性のある通信をする場合において、各ハーフミラーの反射側と透過側において発信部材と受信部材とを配設することにより両部材を一体的に構成できるので、コンパクトな光電変換装置が実現でき、小型のプリンタを提供できるといる効果がある。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
請求項6記載のプリンタによれば、請求項1から5のいずれかに記載のプリンタの奏する効果に加え、印字ヘッドと制御回路との間で、高解像度、多階調、高速印字のためのデータを100MHz以上の高周波数で伝達することができる。
【0072】
請求項7記載のプリンタによれば、請求項6記載のプリンタの奏する効果に加え、複数色のインクを、各色についてそれぞれ約1500以上のインク吐出口から吐出頻度約100kHz以上で吐出して、32階調以上の印字を高速で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるインクジェットプリンタの展開側面図である。
【図2】印字ヘッドユニットのエアトラップとパージ装置と給紙ローラとの横断面図である。
【図3】プリンタ本体側の制御回路及び印字ヘッド側の受信回路間の電気的伝達に係わる部分を示したブロック図である。
【図4】光電変換装置の構成の模式図である。
【図5】光ファイバとチューブとの配設パターンの模式図である。
【図6】従来のプリンタ本体側の制御回路及び印字ヘッド側の受信回路間の電気的伝達に係わる部分を示したブロック図である。
【図7】エアトラップ11内のインク量センサの他の例を示す図2の要部断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ(プリンタ)
3 印字ヘッドユニット
3a キャリッジ
4a〜4d インクタンク
5、5a〜5d チューブ(インク流路)
15 印字ヘッド
27 制御回路
28 受信回路
31 第1発光ダイオード(第1発信部材)
32 第1ホトダイオード(第1受信部材)
33 第2ホトダイオード(第2受信部材)
34 第2発光ダイオード(第2発信部材)
35 光ファイバ
36、37 ハーフミラー
Claims (7)
- 印字媒体に対してインク吐出口からインクを吐出して印字を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドを搭載するキャリッジとを有する印字ヘッドユニットと、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドユニットを制御する制御回路と、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドに供給する供給するインクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドにインクを供給するフレキシブルなチューブで形成されたインク流路と、前記キャリッジ上に設けられ前記制御回路からの信号を受信する受信回路とを備えたプリンタにおいて、
前記制御回路に設けられ、前記印字ヘッドの駆動データを光信号に変換して発信する第1発信部材と、
前記受信回路に設けられ、前記第1発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第1受信部材と、
前記受信回路に設けられ、前記印字ヘッドユニットの状態データを光信号に変換して発信する第2発信部材と、
前記制御回路に設けられ、前記第2発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第2受信部材と、
前記第1発信部材及び第2発信部材から発信される光信号をその第2受信部材及び第1受信部材へ伝達する光ファイバとを備え、
前記インク流路は、前記光ファイバに内設されていることを特徴とするプリンタ。 - 印字媒体に対してインク吐出口からインクを吐出して印字を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドを搭載するキャリッジとを有する印字ヘッドユニットと、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドユニットを制御する制御回路と、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドに供給する供給するインクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドにインクを供給するフレキシブルなチューブで形成されたインク流路と、前記キャリッジ上に設けられ前記制御回路からの信号を受信する受信回路とを備えたプリンタにおいて、
前記制御回路に設けられ、前記印字ヘッドの駆動データを光信号に変換して発信する第1発信部材と、
前記受信回路に設けられ、前記第1発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第1受信部材と、
前記受信回路に設けられ、前記印字ヘッドユニットの状態データを光信号に変換して発信する第2発信部材と、
前記制御回路に設けられ、前記第2発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第2受信部材と、
前記第1発信部材及び第2発信部材から発信される光信号をその第2受信部材及び第1受信部材へ伝達する光ファイバとを備え、
前記光ファイバは、前記インク流路に内設されていることを特徴とするプリンタ。 - 印字媒体に対してインク吐出口からインクを吐出して印字を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドを搭載するキャリッジとを有する印字ヘッドユニットと、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドユニットを制御する制御回路と、前記キャリッジ外に設けられ前記印字ヘッドに供給する供給するインクを貯留するインクタンクと、そのインクタンクから前記印字ヘッドにインクを供給するフレキシブルなチューブで形成されたインク流路と、前記キャリッジ上に設けられ前記制御回路からの信号を受信する受信回路とを備えたプリンタにおいて、
前記制御回路に設けられ、前記印字ヘッドの駆動データを光信号に変換して発信する第1発信部材と、
前記受信回路に設けられ、前記第1発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第1受信部材と、
前記受信回路に設けられ、前記印字ヘッドユニットの状態データを光信号に変換して発信する第2発信部材と、
前記制御回路に設けられ、前記第2発信部材から発信された光信号を受信して電気信号に変換する第2受信部材と、
前記第1発信部材及び第2発信部材から発信される光信号をその第2受信部材及び第1受信部材へ伝達する光ファイバとを備え、
前記光ファイバは、前記チューブの外壁に間隔をあけて凸設された接続部に接合されていることを特徴とするプリンタ。 - 前記光ファイバは1本で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプリンタ。
- 前記光ファイバの両端に対応してそれぞれハーフミラーを備え、そのハーフミラーにより反射して前記光ファイバに対向する側に前記発信部材と受信部材の一方を配置し、そのハーフミラーを透過して前記光ファイバに対向する側に前記発信部材と受信部材の他方を配置したことを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
- 前記印字ヘッドと前記制御回路との間で、100MHz以上の高周波数で電気信号の伝達を行うものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のプリンタ。
- 前記印字ヘッドは複数色のインクを、各色についてそれぞれ約1500以上のインク吐出口から吐出頻度約100kHz以上で吐出して、32階調以上の印字を行うインクジェット式のものであることを特徴とする請求項6に記載のプリンタ。
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