JP4875864B2 - バイオマスの処理システム - Google Patents

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Description

本発明は、バイオマスの処理システムに関し、より詳細には、バイオマスから効率的にエネルギーを回収する方法に関する。
生ごみ、家畜糞尿、下水汚泥などの有機性廃棄物は、近年大量に廃棄され、それによる環境汚染が問題となっている。他方、有機性廃棄物からは、微生物を用いて、水素、メタンなどのエネルギーを回収することができる。また、資源作物からのエネルギー生産も注目されている。このように、有機性廃棄物、資源作物などのバイオマスから水素、メタンなどのバイオガスを生産するための研究・開発が盛んに行われている。
バイオマスのうち、資源作物(例えば、トウモロコシ、サトウキビなど)あるいはその廃棄物は、比較的分解されにくいセルロースの含有量が多い。また、有機性廃棄物の中でも有機性汚泥、特に下水汚泥は、水素発酵に寄与する炭水化物の含有量が少なく、さらに、含有されている炭水化物の大部分は、主に微生物(細菌)の細胞壁を構成する成分であるペプチドグリカンであり、一般には分解されにくい複雑な構造を有している。そのため、汚泥の微生物学的処理は困難であり、汚泥のほとんどが焼却処理されているのが現状である。活性汚泥からバイオガスなどを回収する試みとしては、例えば、微生物が利用できる炭水化物、タンパク質、脂質などから、メタン発酵などの嫌気的処理によりメタンガスを回収する方法がある(特許文献1)。また、有機汚泥を小塊とした後、高温で発酵させ、発酵終了と同時に有機汚泥を乾燥させて汚泥を好気的に消化する方法もあるが、得られた発酵物は、コンポストとして、肥料などに利用されている(特許文献2)。
他方、微生物に利用されにくいバイオマスを微生物に利用されやすい形態とするために種々の検討がなされている。例えば、汚泥を前処理して水素発酵あるいはメタン発酵に使用することが検討されている。前処理の方法としては、酸/アルカリによる化学的処理、あるいは超音波処理、湿式ビーズミルなどによる物理的処理がある。例えば、凍結融解、煮沸処理などの前処理もある(非特許文献1)。これらの前処理した汚泥およびその濃縮物などの水素発酵は、一般に酸性〜中性(pH4.5〜7)の条件下行われているが、生産性は低い。また、汚泥をアルカリで前処理し、反応開始時のpHをアルカリ側として回分式で水素発酵を行った例もある(非特許文献2)。しかし、水素の回収は行われるものの、汚泥を効率よく利用しているとはいえない。
汚泥中には水素生成細菌のみならず、水素消費型細菌(例えば、水素資化性メタン生成細菌)が混在しており、水素生成細菌によって生成された水素が水素消費型細菌によって消費されるという問題がある。この問題を解決するために、増殖速度が相違することを利用して、水素生成細菌の優占化、熱処理による芽胞性水素生成細菌の優占化などの検討が行われている。しかし、水素消費細菌を除去することができないため、生成した水素が消費され、効率的に水素が回収されない。
特開平10−156399号公報 特開平6−199586号公報 Wang.Cら、J. Biotechnol.,2003年,102巻,pp.83-92 Mulin CAIら、Environ. Sci. Technol.,2004年,38巻,pp.3195-3202
本発明は、バイオマスからエネルギーを効率よく回収する方法を提供することを目的とする。
本発明は、バイオマスからエネルギーを回収する方法であって、該バイオマスをアルカリ前処理槽でアルカリ処理する工程;該アルカリ処理した前処理後バイオマスを水素発酵槽においてアルカリ条件に制御しながら水素発酵させ、水素発酵ガスを回収し、水素発酵残渣を得る工程;および、該水素発酵残渣をメタン発酵槽においてメタン発酵させ、メタン発酵ガスを回収し、メタン発酵残渣を得る工程;を含む、方法を提供する。
一つの実施形態においては、さらに、前記メタン発酵残渣を固液分離して、分離水を回収する工程;該分離水を生物処理して、生じた有機性汚泥を回収する工程;および、該有機性汚泥を前記アルカリ前処理槽に返送する工程;を含む。
また、1つの実施態様では、上記方法は、上記メタン発酵残渣の少なくとも一部を上記水素発酵槽に返送する工程をさらに含む。
さらなる実施態様では、上記方法は、上記メタン発酵残渣の少なくとも一部を上記アルカリ前処理槽に返送する工程をさらに含む。
なおさらなる実施態様では、上記方法は、上記生物処理により生じた処理水を、上記アルカリ前処理する前に上記バイオマスと混合する工程をさらに含む。
別の実施形態において、本発明は、上記メタン発酵残渣を生物処理して、生じた有機性汚泥を回収する工程;該有機性汚泥を固液分離して、分離水を回収する工程;および、該分離水を該アルカリ前処理槽に返送する工程;をさらに含む。
1つの実施態様では、上記方法は、上記メタン発酵残渣の少なくとも一部を上記水素発酵槽に返送する工程をさらに含む。
さらなる実施態様では、上記方法は、上記メタン発酵残渣の少なくとも一部を上記アルカリ前処理槽に返送する工程をさらに含む。
本発明の方法によれば、バイオマスをアルカリ前処理することにより、バイオマスを発酵に適した形態とするとともに、水素消費型細菌が不活性化される。そして、水素発酵をアルカリ側に制御しながら行うことにより、従来の酸性条件下における水素発酵よりも、水素発酵効率が向上する。そして水素発酵の際に水素とともに発生する二酸化炭素はアルカリ性の発酵液中に溶存する。そのため、純度が100%に近い水素ガスを回収できる。
さらに、アルカリ性の水素発酵残渣をメタン発酵に供することにより、メタン発酵の速度およびメタンガスの回収量が増加する。
また、メタン発酵残渣を、アルカリ前処理槽および水素発酵槽に返送することにより、メタン発酵残渣がさらなる水素発酵およびメタン発酵の基質として使用されるため、排出される廃棄物量が大きく削減される。
その上、メタン発酵残渣を分離した分離水を生物処理することによって発生する有機性汚泥をアルカリ前処理槽に返送することにより、バイオマスの処理過程で生じる有機性汚泥からも水素発酵ガスおよびメタン発酵ガスが回収されるため、全体としてのエネルギー回収効率が大きくなるとともに、排水量も低減される。
また、メタン発酵残渣はアルカリ性であるため、メタン発酵残渣をアルカリ前処理槽および水素発酵槽に返送することにより、それぞれの槽におけるpHの調整に使用するアルカリ量も大きく削減できる。
(バイオマス)
本明細書で、バイオマスとは、生物由来の有機資源を意味する。好ましくは、有機性廃棄物、資源作物あるいはその廃棄物などの有機性物質が用いられる。有機性廃棄物としては、例えば、食品工業、製紙工業、畜産業などにおける有機性廃水、有機廃棄物、あるいは糞尿、または都市下水の汚泥などが例示されるが、有機物を含む廃棄物であれば、これらに制限されない。資源作物としては、例えば、とうもろこし、さとうきびなどが挙げられ、さらにこれらの処理工程で発生する廃棄物なども、本発明に使用される。
以下、本発明のバイオマスからのエネルギー回収方法を、図面に基づいて説明する。
本発明のエネルギー回収方法には、種々の態様がある。図1〜4は、その一例を示すブロック図であり、それぞれ、第1実施態様〜第4実施態様を示す。以下、各実施態様について説明する。
A.第1実施態様
図1は、第1実施態様を示すブロック図である。この第1実施態様は、アルカリ前処理槽2、水素発酵槽4、およびメタン発酵槽8を備えるエネルギー回収システム(第1システム)を用いて行われる。この第1システムにおいて、水素発酵槽4には水素発酵ガス貯留槽7が備えられ、メタン発酵槽8にはメタン発酵ガス貯留槽11が備えられている。この第1実施態様(第1システム)では、上記装置の他に、メタン発酵後の残渣(メタン発酵残渣)9の少なくとも一部は、返送メタン発酵残渣18として、バイオマス1の希釈に使用するか、アルカリ前処理槽2に返送するか、あるいは、前処理後バイオマス3とともに水素発酵槽4に返送するように構成されている。
この第1実施態様では、バイオマス1はアルカリ前処理槽2に導入され、アルカリで前処理される。アルカリ前処理された前処理後バイオマス3は水素発酵槽4に導入され、水素発酵される。水素発酵で生じた水素発酵ガス6は水素発酵ガス貯留槽7に貯留される。水素発酵された残渣(水素発酵残渣5)は、次いでメタン発酵槽8に導入され、メタン発酵される。メタン発酵で生じたメタン発酵ガス10は、メタン発酵ガス貯留槽11に貯留される。バイオマス1のアルカリ前処理を行うことにより、特に有機性汚泥などの微生物では分解あるいは消化されにくい有機物が、微生物に利用あるいは消化されやすい(発酵されやすい)ように処理され、水素発酵ガス6あるいはメタン発酵ガス10のようなバイオガスが、効率よく生産される。すなわち、バイオマス1をアルカリ前処理し、アルカリ条件下で水素発酵およびメタン発酵を行う第1実施態様により、エネルギーが効率よく回収される。
さらに、この第1実施態様においては、メタン発酵残渣9の少なくとも一部は、固液分離装置(図示せず)で分離することなく、返送メタン発酵残渣18として、バイオマス1の希釈に使用するか、アルカリ前処理槽2に返送するか、あるいは、前処理後バイオマス3とともに水素発酵槽4に返送するように構成されている。返送されたメタン発酵残渣9は、再度、水素発酵あるいはメタン発酵に供されるため、さらに水素発酵ガス6あるいはメタン発酵ガス10として回収される。従って、バイオマス1からのエネルギー回収率が向上するとともに、発生する有機廃棄物の量(最終的に焼却あるいはコンポスト化される廃棄物の量)が大きく減少する。
また、メタン発酵残渣9はアルカリ性であるため、アルカリ前処理槽2および水素発酵槽4への返送により、アルカリ前処理槽2および水素発酵槽4におけるpH調整のためのアルカリの使用量が節約できる。
以下、第1実施態様について、詳細に説明する。
まず、バイオマス1は、アルカリ前処理槽2に導入され、アルカリで前処理される。アルカリ処理の方法に特に制限はなく、使用するアルカリ剤としては、例えば、苛性ソーダ、苛性カリなどが挙げられる。バイオマス1のpHは、通常10〜12に調整され、そしてアルカリ前処理時間は、発酵槽の大きさによって異なるが、通常0.5時間〜10時間、好ましくは1時間〜5時間である。連続的にアルカリ前処理を行う場合は、滞留時間が0.5時間〜10時間、好ましくは1時間〜5時間となるように調整される。アルカリ処理中、バイオマス1は攪拌されて、可溶化される。このような処理により、バイオマス1中に含まれる水素消費型細菌、あるいは水素発酵に悪影響を与える微生物(例えば、乳酸菌、メタン生成菌など)の活動が低下し、あるいはこれらの微生物を死滅させることができる。さらに、可溶化したバイオマス1は微生物による分解を受けやすい。また、次の水素発酵工程に用いられる好アルカリ性の水素生成細菌群が生育し、集積されやすくなる。
アルカリ前処理は、加熱下で行ってもよい。加熱温度に特に制限はないが、60℃〜90℃、あるいは70℃〜80℃で行われる。アルカリ処理の効率を高めるために、超音波処理を組み合わせてもよい。超音波処理の条件に特に制限はなく、処理温度、処理量などを考慮して、周波数、処理時間などが適宜決定される。
上記アルカリ前処理された前処理後バイオマス3は、水素発酵槽4に導入され、水素発酵に供される。本発明においては、水素発酵に、好アルカリ性の水素生成細菌、または好アルカリ性水素生成細菌群が用いられる。上記のように、好アルカリ性水素生成細菌群は、バイオマス1、好ましくは活性汚泥もしくは消化汚泥をアルカリ条件下で嫌気的に培養することにより、集積することができる。したがって、水素発酵は、pHを8〜11に、好ましくはpHを9〜10に制御しながら行う。水素発酵により有機酸が生成して発酵の進行とともにpHが低下する。そこで、pHを維持するためには、上記のアルカリ剤(例えば、苛性ソーダ)が添加される。あるいは後述のように、アルカリ性のメタン発酵残渣9を水素発酵槽4に返送し、pHの維持を行ってもよい。
水素発酵は、一般的には、20℃〜60℃、好ましくは30℃〜37℃で行われる。連続水素発酵を行う場合、水素発酵槽4における前処理後バイオマス3の滞留時間は、水素発酵の進行、バイオマスの濃度などを考慮して決定すればよい。一般的には、0.1日〜4日、好ましくは0.5日〜2日である。
水素発酵で生じる水素発酵ガス6は、通常、水素と二酸化炭素との混合ガスである。しかし、本発明においては、水素発酵がアルカリ条件下で行われるため、発生した二酸化炭素は、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンの形態で水素発酵液中に溶解する。pH調整用のアルカリとして苛性ソーダを用いると、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムとして、溶液中に捕捉され、水素発酵ガス6中にはほとんど含まれない。したがって、二酸化炭素をほとんど含まない、すなわち純度が100%に近い水素発酵ガス6が、水素発酵ガス貯留槽7に貯留される。二酸化炭素などの不純物が含まれる場合は、適宜精製して、不純物除去後の水素ガスが、水素発酵ガス貯留槽7に貯留され得る。ただし、後段の利用においてこれらの不純物が問題にならないのであれば、精製の必要はない。
このように、pHをアルカリ側に制御することにより、水素発酵ガス6の発生量は、従来酸性条件下で行われていた場合の水素生成量に比べて、少なくとも1.5倍以上となり、しかも純度の高い水素ガスが得られ得る。
水素発酵された残渣(水素発酵残渣5)は、さらなるエネルギー回収を目的として、メタン発酵槽8に導入され、メタン発酵に供される。水素発酵残渣5には、水素発酵の副生物である有機酸(酢酸、ギ酸、乳酸、酪酸、プロピオン酸など)、ならびに水素発酵で利用されなかった炭水化物、タンパク質、脂質などが含まれている。そこで、これらを基質としてメタン発酵を行い、メタン発酵ガス10を生成する。
メタン発酵細菌は、活性汚泥や消化汚泥を嫌気条件下で馴養することにより、集積される。メタン発酵は、一般的に25℃〜65℃、好ましくは30℃〜40℃、高温菌の場合は50℃〜60℃で行われる。メタン発酵は、一般的にpH5〜9、好ましくは6〜8のアルカリ側で行われる。メタン発酵槽8内の被処理物がアルカリ性である場合、メタン発酵によって生成する二酸化炭素によって、そのpHは中性に近づく(すなわち、pH7〜8付近となる)。したがって、アルカリ性である水素発酵残渣5は、そのままメタン発酵槽8に投入することができ、pHの制御の必要性が低下し、pH調整のためのアルカリ量を削減することができる。
メタン発酵で生じるメタン発酵ガス10は、適宜精製されてメタン発酵ガス貯留槽11に貯留される。ここで発生するメタン発酵ガス10は、通常、メタン、二酸化炭素、およびその他の不純物の混合ガスであり、適宜精製されて別途利用される。
水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10は、別々に利用しても、あるいは混合して利用してもよい。例えば、ガスエンジンの燃料として使用して発電し、発電した電力や発生した熱を、このバイオマスの処理システム内で使用することができる。また、余剰分は、売却(売電、熱供給など)することもできる。
第1実施態様では、水素発酵をアルカリ側に調整しつつ行うことにより、通常、酸性条件下で行われる水素発酵に比べて、水素発酵効率が大きく上昇する。また、アルカリ性の水素発酵残渣5がアルカリ側のメタン発酵にそのまま用いられるため、メタン発酵効率も上昇する。そして、メタン発酵残渣9の少なくとも一部は、上記説明した通り、固液分離装置で分離することなく、返送メタン発酵残渣18として、再度、水素発酵およびメタン発酵を受けるように構成されている。そのため、メタン発酵残渣9からさらに水素発酵ガス6あるいはメタン発酵ガス10が回収されるので、バイオマス1からのエネルギー回収率が向上するとともに、発生する有機廃棄物の量(最終的に焼却あるいはコンポスト化される廃棄物の量)が大きく削減される。また、上記の通りメタン発酵残渣9はアルカリ性であるため、アルカリ前処理槽2および水素発酵槽4への返送により、アルカリ前処理槽2および水素発酵槽4におけるpH調整のためのアルカリの使用量が節約できる。
(第2実施態様)
図2は、第2実施態様を示すブロック図である。この第2実施態様は、第1システムのアルカリ前処理槽2、水素発酵槽4、メタン発酵槽8、水素発酵ガス貯留槽7およびメタン発酵ガス貯留槽11に加えて、固液分離装置12および生物処理槽15を備えた、第2システムを用いる。
この第2実施態様では、バイオマス1は、第1実施態様と同様にアルカリ前処理され、水素発酵およびメタン発酵処理され、水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10が回収される。第2実施態様においては、メタン発酵残渣9の少なくとも一部は、固液分離装置12に導入され、分離水13と脱水残渣(固形分)14とに分離される。
固液分離装置12としては、通常、汚泥などの分離に用いる脱水機で、十分な固液分離能を有するものであれは特に制限はなく用いられる。このような固液分離機としては、例えば、遠心脱水機、スクリュープレス脱水機、ロータリープレス脱水機などが挙げられる。脱水残渣(固形分)14中の水分含量は、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
分離水13には、メタン発酵により生じた水溶性物質(例えば、有機酸、タンパク質、アンモニアなど)が多く含まれる。従って、この分離水13は、さらに生物処理槽15に導入されて、生物処理される。生物処理の方法は、当業者が通常行う方法であれば特に限定されず、例えば、活性汚泥や散水ろ床による微生物処理が挙げられる。
生物処理によって生じた有機性汚泥17は、少なくともその一部がアルカリ前処理槽2に返送されて、バイオマス1とともにアルカリ前処理されて、水素発酵およびメタン発酵の基質とされる。このような構成を有することにより、バイオマス1からの水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10に加えて、バイオマス1の処理過程で生じる、新たな有機物性廃棄物となりえる有機性汚泥17からも、水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10が回収される。
この結果、第2実施態様では、第1実施態様と同様、水素発酵をアルカリ側に制御しながら行うため、バイオマス1から、水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10が従来の方法よりも効率的に回収されるだけでなく、メタン発酵残渣9の分離水13の更なる処理工程で発生する有機性廃棄物である有機性汚泥17もまた水素発酵およびメタン発酵に供されるため、有機性汚泥17からのエネルギーの回収が行われ、そして排出する有機廃棄物量の削減が可能となる。
なお、固液分離装置12で分離した脱水残渣14(固形分)は、当業者が通常行うさらなる処理(焼却処理、微生物による好気的処理、コンポスト化処理、硝化処理、脱窒処理など)に付される。例えば、肥料または飼料として利用してもよく、可燃性ガス化してもよい。
(第3実施態様)
図3は、第3実施態様を示すブロック図である。この第3実施態様のシステム(第3システム)は、第1システムと第2システムとを組み合わせたシステムに相当し、生物処理槽15での生物処理によって生じた処理水16をバイオマス1の希釈水としても用いるように構成されている。すなわち、この第3実施態様では、バイオマス1を第1実施態様と同様にアルカリ前処理し、アルカリ側で水素発酵処理を行い、ついでメタン発酵処理を行い、水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10を回収し、メタン発酵残渣9の少なくとも一部が、返送メタン発酵残渣18として、バイオマス1の希釈に使用するか、アルカリ前処理槽2に返送するか、あるいは、前処理後バイオマス3とともに水素発酵槽4に返送するように構成されており、さらに、第2実施態様と同様に、メタン発酵残渣9の残りの一部を固液分離装置12で分離し、分離水13を生物処理槽15で処理し、生じる有機性汚泥17をアルカリ前処理槽2に返送するように構成されている。
従って、第3実施態様では、第1実施態様と同様、水素発酵をアルカリ側に制御しながら行うため、バイオマス1から、水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10が従来の方法よりも効率的に回収される。さらに、メタン発酵残渣9の少なくとも一部が、再度、水素発酵処理およびメタン発酵処理を受けるように構成されているため、メタン発酵残渣9からさらに水素発酵ガス6あるいはメタン発酵ガス10が回収され、バイオマス1からのエネルギー回収率が向上する。さらに、メタン発酵残渣9の分離水13の更なる処理により発生する有機性汚泥17もまた水素発酵およびメタン発酵に供されるため、有機性汚泥17からのエネルギーの回収が行われる。従って、バイオマス1の処理により発生する有機廃棄物の量(最終的に焼却あるいはコンポスト化される廃棄物の量)が大きく削減される。また、メタン発酵残渣9はアルカリ性であるため、アルカリ前処理槽2および水素発酵槽4への返送により、アルカリ前処理槽2および水素発酵槽4におけるpH調整のためのアルカリの使用量が節約できる。さらに、生物処理槽15からの処理水16(排水)をバイオマス1の希釈に用いることにより、バイオマス処理システムの排水量が削減される。
(第4実施態様)
図4は、第4実施態様を示すブロック図である。第4実施態様に用いる第4システムは、第3システムに用いる装置と同じ装置で構成されているが、第3システムとは固液分離装置12と生物処理槽15の配置を逆にしている。すなわち、この第4実施態様において、メタン発酵残渣9の少なくとも一部が、返送メタン発酵残渣18として、バイオマス1の希釈に使用するか、アルカリ前処理槽2に返送するか、あるいは、前処理後バイオマス3とともに水素発酵槽4に返送するように構成されている点は、第1実施態様および第3実施態様と同じであるが、残りのメタン発酵残渣9を生物処理槽15で処理し、生じる有機性汚泥17aを固液分離装置12で分離し、分離水13aをアルカリ前処理槽2に返送するように構成されている点で、第3実施態様とは異なっている。
この第4実施態様では、バイオマス1は、第1実施態様および第3実施態様と同様にアルカリ前処理され、水素発酵およびメタン発酵処理され、水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10が回収される。メタン発酵残渣9の一部は、第3実施態様と同様、返送メタン発酵残渣18として、バイオマス1の希釈に使用するか、アルカリ前処理槽2に返送するか、水素発酵槽4に返送するか、あるいは前処理後バイオマス3とともに水素発酵槽4に返送するように構成されている。
残りのメタン発酵残渣9は、生物処理槽15で処理される。生物処理により生じる有機性汚泥17aは固液分離装置12で分離され、分離水13aと脱水残渣(固形分)14aとに分離される。分離水13aは、アルカリ前処理槽2に返送されて、水素発酵の基質とするとともに、バイオマス1の希釈にも使用される。
従って、第4実施態様では、第1実施態様と同様、水素発酵をアルカリ側に制御しながら行うため、バイオマス1から、水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10が従来の方法よりも効率的に回収されるだけでなく、メタン発酵残渣9の少なくとも一部を再度、水素発酵およびメタン発酵を受けるように構成されているため、メタン発酵残渣9からさらに水素発酵ガス6あるいはメタン発酵ガス10が回収されるので、バイオマス1からのエネルギー回収率が向上する。さらに、メタン発酵残渣9を生物処理した後の有機性汚泥17からの分離水13aをアルカリ前処理槽2に返送し、イオマス1の希釈に用いるので、バイオマス処理システムの排水量が削減される。また、メタン発酵残渣9はアルカリ性であるため、アルカリ前処理槽2および水素発酵槽4への返送により、アルカリ前処理槽2および水素発酵槽4におけるpH調整のためのアルカリの使用量が節約できる。
脱水残渣(固形分)14aは、第2実施態様で記載したように、当業者が通常行うさらなる処理に付される。例えば、肥料または飼料として利用してもよく、可燃性ガス化してもよい。
なお、図4には記載していないが、第4実施態様では、生物処理槽15で生じた有機性汚泥17aの少なくとも一部を第2実施態様および第3実施態様同様、アルカリ前処理槽2に返送するように構成することができる。このように構成することにより、バイオマス1の処理過程で生じる有機性汚泥17aからも水素発酵ガス6およびメタン発酵ガス10が回収され、排出する廃棄物量がさらに削減される。
(使用した汚泥)
下水処理場で機械濃縮された最初沈澱池汚泥と最後沈澱池汚泥との混合汚泥を用いた。この汚泥の性状を表1に示す。
Figure 0004875864
(実施例1)
図5に示す水素発酵装置20を用いて、アルカリ処理した汚泥を基質とし、そして、水素発酵のpHをアルカリ側に制御して、水素発酵を行った。
この水素発酵装置20は、恒温水槽21内に、培養槽23が配置され、培養液の温度を35℃に調節できる。培養液の攪拌は、マグネティックスターラー22を用いて培養槽23内のスターラーバー26を回転させることによって行う。培養槽23内のpHは、pHメーター24で測定され、pH調節器27で電磁弁29を開閉し、pH調整液(アルカリ水溶液)28を添加することにより、培養槽23内のpHを制御できる。発生したバイオガスは、ガス測定装置30に導入され、ガスサンプリング口32からサンプリングできる。
本実施例においては、ガス発生量は、酸性飽和食塩水を用いた水上置換法により一定時間毎に測定した。発生ガス中の水素、メタン、および二酸化炭素の割合は、2.0mステンレスカラムを装着したTCDガスクロマトグラフ(SIMADZU GC14B)でキャリアガスとしてアルゴン(50mL/分)を用いて測定した。また、培養液のpHの連続測定には、ガラス電極pH計(本体:HORIBA D−21,電極:HORIBA 6378−1OD)を用いた。
表1に記載の汚泥を、アルカリで処理(pH11、室温、3時間)した後、pHを8.0に調整し、培養中もpHを8.0に制御して水素発酵を行った。結果を図6Aに示す。
(実施例2)
水素発酵のpHを9.5に制御して行ったこと以外は実施例1と同様にして、水素発酵を行った。結果を図6Bに示す。
(実施例3)
水素発酵のpHを11に制御して行ったこと以外は実施例1と同様にして、水素発酵を行った。結果を図6Cに示す。
実施例1〜3における水素の発生量は、それぞれ、7.9、14.9、および3.7mL/g固形分であった。発生ガス中の水素濃度は、実施例2(pH9.5で水素発酵)および実施例3(pH11で水素発酵)では100%であったが、実施例1(pH8.0で水素発酵)ではメタンが1.8%含まれていた。実施例2および3においては、発生した二酸化炭素は、培地中に捕捉されたものと思われる。これらの結果は、pHをアルカリ側に制御することにより、水素が効率よく生成することを示している。
(実施例4)
実施例2の水素発酵残渣を用いて、メタン発酵を行った。メタン発酵の種汚泥として、下水汚泥の高温メタン発酵汚泥を用いた。図7に示す120mL容のバイアル瓶ガス量測定装置に、種汚泥50mLおよび実施例2の水素発酵残渣10mLを投入し、pHの調整を行わずに、気相を窒素ガスで置換し、メタン発酵を行った。メタン発酵の温度は、55℃であった。発生したガスを捕集し、そのガス中のメタンガス量および二酸化炭素ガス量を測定した。なお、ブランクとして、水素発酵を行っていない上記メタン発酵の種汚泥のみを60mL使用して、上記と同様にメタン発酵を行った。結果を表2および図8Aに示す。
(比較例1)
実施例2のアルカリ側での水素発酵残渣の代わりに、水素発酵する前の汚泥を用いたこと以外は、上記実施例4と同様にして、メタン発酵を行った。結果を表2および図8Bに示す。
Figure 0004875864
なお、表2におけるメタンガスおよび二酸化炭素の発生量は、それぞれ、ブランクの値を差し引いた値である。図8からわかるように、実施例4においては、メタン発酵は20日で終了したが、比較例1では、約30日目までメタンガスおよび二酸化炭素が発生し続けた。また、メタンガスの回収量も実施例4の方が多かった。これらの結果は、pHをアルカリ側に制御して水素発酵を行い、この水素発酵残渣をメタン発酵に供することにより、メタン発酵速度が早くなり、かつメタンの回収量も増加することを示している。
(実施例5)
表1に記載の汚泥を用い、図5に記載の装置を用いて、水素発酵およびメタン発酵を行った。アルカリ前処理をpH11にて室温で1時間行い、水素発酵をpH9.5に制御しながら35℃で行った。水素ガスの発生が終了した後に、この水素発酵残渣を図5と同様の装置に投入し、pHを制御することなく、35℃でメタン発酵を行った。メタンガスの発生が止まった時点で、実験を終了した。発生したガスは、それぞれ上記TCDガスクロマトグラフで測定した。なお、水素発酵を行っていない汚泥を使用してpH無調整でメタン発酵を行い、これをブランクとした。結果を表3に示す。
(比較例2)
pH6.5に調整しながら水素発酵を行ったこと以外は、上記実施例5と同様にして、表1に記載の汚泥の水素発酵およびメタン発酵を行った。結果を表3に示す。
(比較例3)
表1に記載の汚泥をアルカリ処理する代わりに80℃にて30分間熱処理を行ったことおよびpH6.5に調整しながら水素発酵を行ったこと以外は、上記実施例5と同様にして、水素発酵およびメタン発酵を行った。
なお、水素発酵を行っていない汚泥を使用してpH無調整でメタン発酵を行い、これをブランクとした。結果を表3に示す。
Figure 0004875864
表3に示すように、アルカリ前処理後にpHをアルカリ側に制御しながら水素発酵を行うと(実施例5)、pHを酸性側に制御しながら水素発酵を行う従来の方法(比較例2)に比べて、水素ガスおよびメタンガスの発生量が多かった。このことから、汚泥をアルカリ前処理した後、アルカリ側にpHを制御しながら水素発酵を行う方法は、汚泥からのエネルギー回収効率に優れた方法であることがわかる。
(実施例6)
図1に示す第1システムを用いて、連続的な水素およびメタンの生産を行った。用いた汚泥は、実施例1で用いた汚泥と同じ汚泥である。この汚泥をpH11で3時間、常温でアルカリ前処理を行って、アルカリ処理汚泥を得、これを水素発酵槽に供給し、pHを9.5に調整しつつ連続水素発酵を行い、そして、水素発酵残渣を連続メタン発酵に供した。水素発酵槽の平均滞留時間1.5日、およびメタン発酵の平均滞留時間は15日とした。2つの系列について実験を行った。ラン1は、メタン発酵後の汚泥(メタン発酵残渣)の返送がない系であり、アルカリ前処理汚泥の供給量を1L/日として、水素発酵およびメタン発酵を行った。ラン2は、ラン1のシステムに、メタン発酵残渣を水素発酵槽に循環させるシステムである。すなわち、アルカリ前処理汚泥を1L/日の量で供給し、かつ、0.3L/日の量の汚泥(メタン発酵残渣)を水素発酵槽に返送する系である。これらの2つの系列(ラン1およびラン2)の定常状態における水素ガスの発生量、メタンガス発生量およびpH調整に使用する5M NaOHの使用量を表4に示す。
Figure 0004875864
ラン1とラン2とを比較すると、汚泥(メタン発酵残渣)を循環しても、連続的に水素発酵が行われた。この汚泥の返送により、水素ガス発生量を大きく増加させることができることがわかり、かつ、アルカリの使用量が大きく削減できることが明かとなった。
バイオマスをアルカリで前処理し、ついでアルカリ側にpHを制御しながら水素発酵を行い、この水素発酵残渣をメタン発酵に供するという本発明の方法によれば、酸性条件下において水素発酵を行い、ついでこの水素発酵残渣をメタンさせる従来の方法と比べると、水素およびメタンの発生速度および発生量を大きく増加することができる。さらに、アルカリ性の水素発酵残渣をメタン発酵に供することにより、メタン発酵の速度およびメタンガスの回収量が増加する。また、メタン発酵残渣の生物処理によって発生する有機性汚泥は、アルカリ前処理槽に返送することによって、水素発酵およびメタン発酵の基質とすることができるため、エネルギーの回収率が向上し、かつ廃棄物の生成量も低減できる。さらに、メタン発酵残渣を水素発酵槽に返送することにより、より有効にバイオマスからのエネルギーが回収され、かつ、pHの調整に使用するアルカリ量も大きく削減できる。
このように、本発明の方法は、環境汚染の可能性のあるバイオマスから、クリーンエネルギー源である水素およびメタンを効率的に生産することができる。また、処理システム内で生じた残渣(メタン発酵残渣および有機性汚泥)や排水(処理水)を返送して再利用できるので、廃棄物量を減少させるとともに、廃棄されるべき残渣からさらなるエネルギーの回収ができ、かつ、水素発酵槽のpHを調節するために必要なアルカリ量を大きく削減できる点でも、産業上有用な方法である。
本発明のエネルギー回収方法に用いられるシステムの第1実施態様を示すブロック図である。 本発明のエネルギー回収方法に用いられるシステムの第2実施態様における一実施態様を示すブロック図である。 本発明のエネルギー回収方法に用いられるシステムの第3実施態様を示すブロック図である。 本発明のエネルギー回収方法に用いられるシステムの第4実施態様を示すブロック図である。 本発明の実施例で用いた水素発酵装置の模式図である。 本発明の方法により水素発酵を行った場合の、ガス発生量の経時変化を示すグラフである。 実施例4および比較例1においてメタン発酵に用いた装置の模式図である。 本発明の方法および比較実験における累積ガス生成量の経持変化を示すグラフである。
符号の説明
1 バイオマス
2 アルカリ前処理槽
3 前処理後バイオマス
4 水素発酵槽
5 水素発酵残渣
6 水素発酵ガス
7 水素発酵ガス貯留槽
8 メタン発酵槽
9 メタン発酵残渣
10 メタン発酵ガス
11 メタン発酵ガス貯留槽
12 固液分離装置
13、13a 分離水
14、14a 脱水残渣
15 生物処理槽
16 処理水
17、17a 有機性汚泥
18 返送メタン発酵残渣
19 希釈水
20 水素発酵装置
21 恒温水槽
22 マグネティックスターラー
23 培養槽
24 pHメーター
25 サンプリング口
26 スターラーバー
27 pH調節器
28 pH調整液
29 電磁弁
30 ガス測定装置
32 ガスサンプリング口

Claims (8)

  1. バイオマスからエネルギーを回収する方法であって、
    該バイオマスをアルカリ前処理槽でアルカリ処理する工程;
    該アルカリ処理した前処理後バイオマスを水素発酵槽においてpH8〜11に制御しながら水素発酵させ、水素発酵ガスを回収し、水素発酵残渣を得る工程;および、
    該水素発酵残渣をメタン発酵槽においてメタン発酵させ、メタン発酵ガスを回収し、メタン発酵残渣を得る工程;を含む、方法。
  2. さらに、前記メタン発酵残渣を固液分離して、分離水を回収する工程;
    該分離水を生物処理して、生じた有機性汚泥を回収する工程;および
    該有機性汚泥を前記アルカリ前処理槽に返送する工程;
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記メタン発酵残渣の少なくとも一部を前記水素発酵槽に返送する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記メタン発酵残渣の少なくとも一部を前記アルカリ前処理槽に返送する工程をさらに含む、請求項1から3のいずれかの項に記載の方法。
  5. 前記生物処理により生じた処理水を、前記バイオマスをアルカリ前処理する前のバイオマスと混合する工程をさらに含む、請求項2から4のいずれかの項に記載の方法。
  6. さらに、前記メタン発酵残渣を生物処理して、生じた有機性汚泥を回収する工程;
    該有機性汚泥を固液分離して、分離水を回収する工程;および
    該分離水を該アルカリ前処理槽に返送する工程;を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記メタン発酵残渣の少なくとも一部を前記水素発酵槽に返送する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記メタン発酵残渣の少なくとも一部を前記アルカリ前処理槽に返送する工程をさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
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