JP3739584B2 - 植物からの水素および/またはメタンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物を原料としてエネルギー物質を得る新規な方法に関し、特に植物から水素および/またはメタンを効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業革命以後の化石燃料大量消費の結果、大気中の二酸化炭素濃度が上昇し続け地球温暖化現象が引き起こされつつあり、大きな社会問題となっている。そこで化石燃料に代替するエネルギー物質として水素が20年以上前から注目され、安価で、大量生産を目的とした水素製造方法が研究されている。現時点で最も有力な方法は、太陽電池を用いて水を電解し水素を得る方法である。しかし、この方法では未だ太陽電池のエネルギー回収率が100%を越えるかが明確になっていない、かつ水の電解セルの部分の製造エネルギーについても検討されていない。
【0003】
一方、近年下水汚泥やし尿等からメタンを回収する技術が注目を浴びてきている(特開平2-78493号、2-111498号および9-239397号)が、原料濃度の調製や酸化還電位の調整や発酵槽の保温等、運転技術が難しい問題点がある。
微生物を用いた水素製造方法は、光合成微生物を用いる場合と非光合成微生物を用いる場合とに大別される。水素を製造する光合成微生物としては、らん藻類、緑藻類、光合成細菌が主に挙げられる。らん藻類と緑藻類はまず好気・明条件で培養し細胞内にデンプン等のエネルギー物質を貯蔵させる。次に嫌気・暗条件とし、水素を製造させる方法である。光合成細菌は資化できる有機物の存在下、嫌気・明条件として水素を製造させる方法である。水素を製造する非光合成微生物としては、大腸菌や嫌気性細菌があり、資化できる有機物の存在下、嫌気・暗条件として水素を製造することができる。一方微生物を用いたメタンの製造方法は、メタン発酵に代表されるように、多くの嫌気性細菌の共同作用による。
【0004】
しかし、いずれの場合もまず微生物を人為的に培養するという過程が含まれ、培地等培養に必要な材料および基材が必要となり、かつ人為的に嫌気条件とする必要もあったので、水素およびメタンの製造コストが高くなってしまっていた。また、発酵で水素の他に必ず生成してくる二酸化炭素も地球温暖化が問題になっている現在ではその処理、利用方法についても検討する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のとおり、従来の微生物を用いた水素またはメタンの製造方法では、予めあるいは常に微生物を培地を用いて培養する必要があり、かつ人為的に嫌気条件とする必要もあるため、水素およびメタンの製造コストが高くなる欠点があった。そこで、本発明者等は、安価に水素製造ができ、かつ生成してくる二酸化炭素についても考慮した優れた水素製造方法および装置について発明を完成し、先に出願を行った(特願平10-84273号および10-227159号)。
本発明は、先に出願した水素製造方法の改良に際し、水素製造後の液体から、条件を整えることで更に水素および/またはメタンを製造し、植物から更に多くのエネルギー物質を取り出す方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、容器に水を添加して採取植物を収容して密封し、暗条件下または明条件下に維持することにより水素を製造すると共に、その後の液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、メタンを製造する方法を提供する。
また、本発明は、上記方法で水素およびメタンを製造した後、残った液体を光合成細菌に供給し、光を照射することにより更に水素を製造する方法を提供する。
【0007】
更に本発明は、容器に水を添加して採取植物を収容して密封し、暗条件下または明条件下に維持することによって水素を製造した後の液体を光合成細菌に供給し、光を照射することにより更に水素を製造する方法である。
更にまた本発明は、上記方法で水素を製造した後、残った液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、メタンを製造する方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、適当な容器に適当な大きさにカットした採取植物を入れて水を加え、暗条件下または明条件下に所望の時間維持して水素およびメタンを製造する。上記容器は、その大きさ、形状は問わないものであり、採取植物および水が収容でき、且つ密封可能なものであればいずれでも良い。
使用する水としては、蒸留水、水道水、河水、海水、廃水、雨水、工水あるいは培地液体が挙げられる。採取植物と水との混合比率は重量比で1:0.1〜1:1,000である。
【0009】
使用する採取植物としては、枯れていない、栄養分豊富な新鮮な植物が良い。これら新鮮な植物には微生物の培養に必要な栄養素および水素発酵に必要な基質が多く含まれており、培地を用いる必要がなく低コストで水素を製造することができる。さらに本発明者らの研究でわかったことであるが、ほとんどすべての植物には水素生成能のある微生物が付着あるいは共生しているもので、そのまま植物体を用いれば水素を製造することができる。
【0010】
具体的な採取植物としては、例えば雑草の範疇に属する植物等が用いられ、カゼクサ、スギナ、ベントグラス、芝等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、その植物としては、加熱処理あるいは低温処理により光合成機能を喪失させた植物;土着の水素生成能力を有する微生物、例えばクロストリジウム属に属する微生物、バチルス属に属する微生物、エンテロバクター属に属する微生物、シトロバクター属に属する微生物、光合成細菌等が付着している植物;または土着の水素生成能力を有する微生物が付着し、かつ植物あるいは有機酸や糖質等の有機性廃棄物を前記微生物が資化できる程度まで分解することができる土着の他の微生物、例えばクロストリジウム属に属する微生物、シュードモナス属に属する微生物、ルーメン細菌に属する微生物、放線菌に属する微生物、ペニシリウム属に属する糸状菌、カビ属に属する菌類等が付着している植物等も用いられる。
【0011】
加熱処理および低温処理としては、-80℃〜160℃の温度環境に、0.1 〜24時間放置することである。これにより植物の光合成機能が失われ、明条件において酸素生成が進行せずその結果、生成した水素の酸素による酸化反応が抑えられ、結果として水素生成の総量を向上させることができる。
【0012】
本発明においては、採取植物と別個に微生物を含有する土壌を添加することができる。添加する土壌としては、水素生成能力を有する微生物、例えばクロストリジウム属に属する微生物、バチルス属に属する微生物、エンテロバクター属に属する微生物、光合成細菌等を含んでいる土壌、または水素生成能力を有する微生物および採取植物、栄養源あるいは有機性廃棄物を前記微生物が資化できる程度まで分解することができる他の微生物、例えばクロストリジウム属に属する微生物、バチルス属に属する微生物、エンテロバクター属に属する微生物、シュードモナス属に属する微生物、ルーメン細菌に属する微生物、放線菌に属する微生物、ペニシリウム属に属する糸状菌、カビ属に属する菌類、光合成細菌等を含む土壌が挙げられるが、これらに限定されるものではない。そして、この土壌の使用量は、使用植物100部に対して0.01〜100 部である。土壌を添加することにより、水素生成開始までの誘導期間を短くすることができる。
【0013】
本発明においては、採取植物の酸素生成を阻害する化合物(以下、阻害剤という)を添加することができる。阻害剤としては、例えば、メチルビオローゲン等のビオローゲン誘導体、塩化白金酸、ニッケルイオン、鉄イオン、コバルトイオン、亜鉛イオン、クロムイオン、ルテニウムイオン、ジサリチリデンプロパンジアミン、ポリリジン、アンチマイシンA等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この阻害剤の使用量は、使用植物100部に対して0.001 〜1部である。これら阻害剤を添加することにより、明条件における植物の光合成による酸素生成を抑えることができ、結果的に水素生成開始までの誘導期間を短くすることができ、かつ生成した水素の酸素による酸化反応が抑えられ水素生成の総量を向上させることができる。さらに植物の酸素生成を阻害する方法としては、水銀処理、ヘキサン抽出、トリス処理、アルカリ処理等の方法も有効である。
【0014】
また、本発明においては、栄養源および有機性廃棄物を更に添加することができる。栄養源としては水素生産能力を有する微生物の生育を促進する物質、あるいは植物あるいは有機性廃棄物を前記微生物が資化できる物質にまで分解できる他の微生物の生育を促進する物質であって、その例としては、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトース、フルクトース、グルコース、セロビオース、ソルボース、マンノース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、メリビオース、デンプン、インスクリン、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ペプチドグリカン等の糖質、グルコン酸、クエン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、ペプトン、酵母エキス、肉エキス等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。この栄養源の使用量は、使用植物100部に対して0.001 〜100 部である。栄養源を添加することにより、水素生成開始までの誘導期間を短くすることができる。
【0015】
また、有機性廃棄物としては、有機物を含む廃棄物であればどのような廃棄物でもよく、その例としては例えばセルロースを含む廃棄物、デンプンを含む廃棄物、有機酸を含む廃棄物または糖質を含む廃棄物等が挙げられる。この有機性廃棄物の使用量は、使用植物100部に対して0.01〜1000000 部である。有機性廃棄物を添加することにより、水素生成の総量を向上させることができる。
【0016】
本発明の方法は暗条件下および明条件下のいずれにおいても実施しうる。明条件は、自然光あるいは蛍光灯等の人工光のいずれでもよく、また、暗条件または明条件での維持期間はバッチ式においては5〜80℃で1〜480時間である。明条件とすることにより、水素生成開始までの誘導期間を短くすることができ、かつ水素生成の総量も向上させることができるので好ましい。
【0017】
嫌気条件は、容器を密封した後気相部分をアルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス等で置換し、脱酸素することにより設定することができる。脱酸素することにより、生成した水素の酸素による酸化反応が抑えられ、結果として水素生成の総量を向上させることができる。 本発明は上記のごとく、密封可能な容器内で反応させるものであり、容器内の内圧を高めた状態に保持すれば、発生する水素量が増大することがわかっている。容器を密封した状態のままでも生成するガスのために内圧が高くなるが、容器内圧を高める方法としては、この他外部から二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等のガスを注入する方法等があり、特に限定するものではない。
【0018】
本発明は上記のようにしてまず水素を製造するものであるが、その後の液体のpHを中性またはアルカリ性にすることによって、次にメタンを製造することができる。水素製造後の液体は、採取植物残さの他、微生物、栄養分等の種々の有機物が溶解または分散した状態であり、そのpHはおよそ4〜6である。これに下記アルカリを適宜使用して6〜12、好ましくは7〜9に調整することにより、更にメタンを製造できることが明らかになったのである。
pHを調製する化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリが挙げられるが、これに限定されるものではない。pHを調整する方法は当該技術分野において良く知られている。
【0019】
メタンを生成する微生物としては、メタノバクテリウム属、メタノコッカス属、メタノサルシナ属、メタノブレビバクター属、メタノミクロビウム属、メタノジェニウム属、メタノスピリラム属、メタノシリック属の微生物が挙げられる。これらの微生物は水素製造後の液体に適宜添加しても良いが、水素生成能のある微生物と同様、これら微生物もほとんど全ての植物に付着あるいは共生しているため、特に添加しなくてもメタンを製造することができる。
メタンの製造は静置あるいは撹拌のいずれの方法を用いても良い。このときの容器の温度は、5〜80℃が好ましいが、これに限定されるものではない。また、メタン製造のための時間は1〜2,000時間が好ましいが、これに限定されるものではない。メタンの製造の際、ここに挙げた条件以外は水素製造の条件と同じで良い。
【0020】
更に、上記のような条件でメタンを製造した後、残った液体を光合成細菌に供給し、光を照射することにより更に水素を製造することができる。このとき、液体のpHを6〜9に再調整すると水素製造のためには好ましい。本発明において使用しうる光合成細菌としては、ロドバクター属、ロドシュードモナス属、ロドスピルラム属等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。光合成細菌は水素製造後の液体に適宜添加しても良いが、先の水素製造の際に既に採取植物または土壌に含まれている場合が多いことから、特に添加しなくても更なる水素製造を行うことができる。
【0021】
更なる水素の製造のためには光を照射することが必要である。ここで光源としては自然光あるいは蛍光灯等の人工光のいずれでも良く、1,000〜30,000ルクス程度の照度が供給できるものであれば特に限定されない。光照射の時間は1〜2,000時間が好ましいが、これに限定されるものではない。更なる水素製造の際、ここに挙げた条件以外は最初の水素製造の条件と同じで良い。
【0022】
あるいは、上記のようにしてまず水素を製造した後、残った液体をそのまま、すなわちメタン製造用に供することなく光合成細菌に供給し、光を照射することにより更に水素を製造することができる。ここで、使用しうる光合成細菌の種類、光照射の条件等は上記したものと同じである。更なる水素製造の際、ここに挙げた条件以外は最初の水素製造の条件と同じで良い。
さらに、光合成細菌に供給し、光を照射することによって製造した後の液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、次にメタンを製造することもできる。pHを調整するために使用しうる化合物の種類、反応のために好ましいpHの範囲等は上記したものと同じである。
【0023】
容器から回収されるガスには水素、メタンの他、二酸化炭素およびその他の微量ガスが含まれるが、これらは容易に分離することができる。まず、ガスを水洗し、活性炭やゼオライトのような細孔材料に通すことにより、水素、メタン、二酸化炭素以外の微量ガスは除去される。水素の捕獲は水素吸蔵合金や水素分離膜を用いて行い、また二酸化炭素の捕獲はアルカリ性物質を主体とした二酸化炭素吸収液あるいは固体を用いたり、二酸化炭素分離膜を用いて行うことができる。ただし、水素、メタン、および二酸化炭素の分離方法はこれらに限定されるものではない。
【0024】
上記の如く、本発明において、反応のための条件を整えることにより、採取植物を原料として水素製造を行った後、残った液体から更に水素および/またはメタンを製造することが可能となった。また、上記のように、本発明においては、同じ採取植物を原料として、水素製造→メタン製造→水素製造、あるいは水素製造→水素製造→メタン製造と、三段階で水素および/またはメタンを製造・回収することができ、エネルギー物質として使用しうるガスの収量を非常に多くすることが可能となった。
本発明によって分離獲得できた水素およびメタンは、燃料電池や化学合成の原料等既存の多くの利用方法に適用できる。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例にその技術的範囲を限定するものではない。尚、生成した水素およびメタンの量は常温および常圧における体積で表す。
〔参考例1〕
コウライシバを20g採取し、これを容量1,200mlのガラス容器に蒸留水1,000mlと共に入れて、ガラス容器の出口からチューブをつなぎ、生成するガスを大気圧開放で回収した。この反応系から69時間では水素が73ml生成した。
【0026】
〔参考例2〕
コウライシバを20g採取し、これを容量1,200mlのガラス容器に蒸留水1,000mlと共に入れて、1気圧の圧力がかかると開放する圧力弁を付けて密封した。この反応系から69時間で水素が97ml生成した。
参考例1および2から明らかなように、容器の内圧を高めた状態に保持した場合、生成する水素の量が増大することが確認された。従って、以下反応系においては容器を密封して実施した。
【0027】
〔実施例1〕
ベントグラスを519g採取し、これを容量12リットルのガラス容器に入れ、さらに蒸留水を10リットル入れて密封した。気相部分をアルゴンガスで置換して嫌気条件とした後、明条件下で水素発酵を行い、生成するガスを水上置換で回収したところ、10日間で46mlの水素が生成した。残った液体のpHを水酸化ナトリウムで7.1に調製し、pH以外は同じ条件下に更に維持した。pH調製後77日間でメタンが16,000ml生成した。
【0028】
〔実施例2〕
芝を200 g採取し、これを容量12リットルのガラス容器に入れ、さらに蒸留水を10リットル、阻害剤として1mMメチルビオローゲンを40ml入れて密封した。気相部分をアルゴンガスで置換して嫌気条件とした後、明条件で水素発酵を行い、生成するガスを水上置換で回収したところ、3日間で1,640mlの水素が生成した。残った液体のpHを水酸化ナトリウムで9.6に調製し、pH以外は同じ条件下に更に維持した。pH調製後41日間でメタンが1,900ml生成した。
【0029】
〔実施例3〕
芝を200 g採取し、これを容量12リットルのガラス容器に入れ、さらに蒸留水を10リットル入れて密封した。気相部分をアルゴンガスで置換して嫌気条件とした後、明条件で水素発酵を行い、生成するガスを水上置換で回収したところ、3日間で1,260mlの水素が生成した。残った液体のpHを水酸化ナトリウムで7.6に調製し、pH以外は同じ条件下に更に維持した。pH調製後32日間でメタンが1,460ml生成した。
さらに残った液体をOD660nm=2の菌体濃度まで生育させた光合成細菌(ロドバクター)4,000mlに供給し、10,000 luxの光を120時間照射したところ、2,000mlの水素が生成した。
【0030】
〔実施例4〕
道端に生育しているカゼクサを100g採取し、これを容量2リットルのガラス容器に入れ、さらに水を1.8リットル入れて密封した。気相部分をアルゴンガスで置換して嫌気条件とした後、明条件で水素発酵を行い、生成するガスを水上置換で回収したところ、9日間で1,100mlの水素が生成した。残った液体をOD660nm=2の菌体濃度まで生育させた光合成細菌(ロドバクター)800mlに供給し、10,000 luxの光を90時間照射したところ、300mlの水素が生成した。
【0031】
〔実施例5〕
道端に生育しているカゼクサを100g採取し、これを容量2リットルのガラス容器に入れ、さらに水を1.8リットル、阻害剤として1mMメチルビオローゲンを5ml入れて密封した。気相部分をアルゴンガスで置換して嫌気条件とした後、明条件で水素発酵を行い、生成するガスを水上置換で回収したところ、4日間で1,600mlの水素が生成した。残った液体をOD660nm=2の菌体濃度まで生育させた光合成細菌(ロドバクター)800mlに供給し、10,000 luxの光を90時間照射したところ、200mlの水素が生成した。
【0032】
〔実施例6〕
道端に生育しているカゼクサを100g採取し、これを容量2リットルのガラス容器に入れ、水を1.8リットル、阻害剤として1mMメチルビオローゲンを5ml入れて密封した。気相部分をアルゴンガスで置換して嫌気条件とした後、明条件で水素発酵を行い、生成するガスを水上置換で回収したところ、4日間で1,600mlの水素が生成した。残った液体をOD660nm=2の菌体濃度まで生育させた光合成細菌(ロドバクター)800mlに供給し、10,000 luxの光を90時間照射したところ、200mlの水素が生成した。
さらに残った液体のpHを水酸化ナトリウムで7.5に調製し、pH以外は同じ条件下に更に維持した。pH調製後40日間でメタンが800ml生成した。
【0033】
【発明の効果】
通常、不要になった植物体は燃やして処理するか、腐敗させて堆肥として使用されてきた。しかしながら、この方法では大気中に二酸化炭素を放出したり、腐敗臭を漂わせる問題点があった。本発明は、植物体を水と共に容器に密封することにより水素および/またはメタンを回収する方法で、環境にやさしい水素および/またはメタンの製造方法である。しかも本方法は、通常の微生物を用いた発酵方法に比べて、工程が単純で培地が要らず、また予め微生物を培養する必要がないことから低コストで水素および/またはメタンを製造できる。 本発明において、反応のための条件を整えることにより、採取植物を原料として水素製造を行った後、残った液体から更に水素および/またはメタンを製造することが可能となった。また、上記のように、本発明においては、同じ採取植物を原料として、水素製造→メタン製造→水素製造、あるいは水素製造→水素製造→メタン製造と、三段階で水素および/またはメタンを製造・回収することができ、エネルギー物質として使用しうるガスの収量を非常に多くすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素を製造した後にメタンを製造する方法を示すフロー図。
【図2】水素を製造した後にメタンを製造し、更に水素を製造する方法を示すフロー図。
【図3】水素を製造した後に更に水素を製造する方法を示すフロー図。
【図4】水素を製造した後に更に水素を製造し、更にメタンを製造する方法を示すフロー図。
Claims (6)
- 容器に水及び植物の酸素生成を阻害する化合物を添加して採取植物を収容して密封し、暗条件下または明条件下に維持することにより水素を製造すると共に、その後の液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、メタンを製造する方法。
- 容器に水を添加して採取植物を収容して密封し、内圧を高めた状態を保持して暗条件下または明条件下に維持することにより水素を製造すると共に、その後の液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、メタンを製造する方法。
- 容器に水及び植物の酸素生成を阻害する化合物を添加して採取植物を収容して密封し、暗条件下または明条件下に維持することにより水素を製造すると共に、その後の液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、メタンを製造した後、残った液体を光合成細菌に供給し、光を照射することにより更に水素を製造する方法。
- 容器に水を添加して採取植物を収容して密封し、内圧を高めた状態を保持して暗条件下または明条件下に維持することにより水素を製造すると共に、その後の液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、メタンを製造した後、残った液体を光合成細菌に供給し、光を照射することにより更に水素を製造する方法。
- 容器に水及び植物の酸素生成を阻害する化合物を添加し採取植物を収容して密封し、暗条件下または明条件下に維持することによって水素を製造した後の液体を光合成細菌に供給し、光を照射することにより更に水素を製造し、残った液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、メタンを製造する方法。
- 容器に水を添加し採取植物を収容して密封し、内圧を高めた状態を保持して暗条件下または明条件下に維持することによって水素を製造した後の液体を光合成細菌に供給し、光を照射することにより更に水素を製造し、残った液体のpHを中性またはアルカリ性にすることにより、メタンを製造する方法。
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