JP4875444B2 - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
また、絶縁材料中に含まれる絶縁体粒子や導電材料中に含まれる金属成分粒子の含有量は、積層体の脱灰処理後の脱灰体中のこれら粒子のかさ密度が、実用に耐え得る焼成体密度を得るために充分な密度であることが必要である。そのために成膜性も考慮しつつ、絶縁材料中に含まれる絶縁体粒子や導電材料中に含まれる金属成分粒子の高含有率化を図ることで、焼成前の積層体と焼成後の積層体の体積比として100:50〜35(体積収縮率で50〜65%)となるように含有率を設定するのが一般的である。
この様に従来の積層型電子部品の製造方法は、積層型電子部品の形状を小型化することができず、又積層型電子部品の形状を小型化できたとしてもコイル用導体パターンを安定的に形成することができなかった。
図1は本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品の分解斜視図、図2は本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品の斜視図である。
本発明の積層型電子部品の製造方法の実施例に係る積層型電子部品としては、例えば、図1、2に示す様に、絶縁体層11A〜11Fとコイル用導体パターン12A〜12Eとを積み重ね、積層体内にコイルを形成したものがある。
絶縁体層11A〜11Fは、ガラスセラミックス、誘電体セラミックス等の絶縁体セラミックスで形成される。
絶縁体層11A〜11Eの表面には、それぞれ導体パターン12A〜12Eが形成される。導体パターン12A〜12Eは、銀、銀系、金、金系、銅、銅系等の金属材料で構成される。図1では1ターン未満のコイル用導体パターンが示されており、絶縁体層間の導体パターン12A〜12Eが絶縁体層のスルーホール内の導体を介して螺旋状に接続されて積層体内にコイルが形成される。
コイルの一端を構成する絶縁体層11A上の導体パターン12Aの一端は、絶縁体層11Aの端面に引き出され、積層体の端面に形成された外部端子24に接続される。また、コイルの他端を構成する絶縁体層11E上の導体パターン12Eの他端は、絶縁体層11Eの端面に引き出され、積層体の端面に形成された外部端子25に接続される。
続いて、この感光性絶縁体膜31BのスルーホールH内に、熱重合収縮性を有するバインダ樹脂を含有する導電ペースト(感光性導電ペースト)を充填すると共に、図4(E)に示す様に、感光性絶縁体膜の表面全体又は、表面の製品となる部分に、熱重合収縮性を有するバインダ樹脂を含有する導電ペースト(感光性導電ペースト)を所定の厚みに塗布して感光性導電膜32を形成し、乾燥した後、この感光性導電膜32を露光、現像して、図4(F)に示す様に、感光性絶縁体膜31Bの表面にコイル用導体パターン32Bが形成される。コイル用導体パターン32Bの一端は、感光性絶縁体膜31Bのスルーホール内の導体によってコイル用導体パターン32Aに接続される。
この支持体上に形成された積層体は、図5(C)に示す様に点線の部分で切断機等で切断することにより、製品個々に分割し、支持体30から剥離する。本実施例では、絶縁体層間の線幅30μmのコイル用導体パターンと、このコイル用導体パターンを接続するために絶縁体層のスルーホール内に形成された径が30μmの導体とによって形成されたコイルパターンを切断後の積層体寸法の0.4×0.2×0.2mm内に収まる様に形成し、切断後の製品個々の寸法が図6(A)に示す様に0.4×0.2×0.2mmとなる様に切断した。次に、この分割された素体を低酸素濃度下での加熱処理を行い、熱重合収縮性を有する樹脂の重合鎖を切り離すことなく重合を進めることにより素体の熱重合収縮処理を行った。ここで熱重合収縮を完全に行うには、少なくとも300℃以上、好ましくは500℃〜600℃の加熱処理となるが、この加熱処理を空気中で行った場合、熱重合収縮性を有する樹脂の重合鎖が酸化により切り離されてしまい、収縮が不均一となり、結果として収縮積層体中の絶縁体粒子や金属成分粒子の粒子密度が不均一で不充分なものとなってしまう。この絶縁体粒子や金属成分粒子の粒子密度が不均一で不充分な状態では、後の焼成処理を行ったときに、素体の密度が不充分となり、所望の絶縁材料特性が得られないだけでなく、積層体にクラックを生じるという問題が発生する。従って、本実施例の様に低酸素濃度下での素体の加熱重合収縮処理は、焼成時の絶縁材料特性の劣化やバラツキを低減させるとともに積層体のクラック防止効果を有している。
ここで、酸素濃度と加熱温度と加熱時間によってどの様に焼成状態が変化するか実験を行った。なお、この実験では、酸素濃度を10000ppm、1000ppm、100ppm、10ppmのいずれか、加熱温度を200℃、300℃、400℃、500℃、600℃のいずれか、加熱時間を30分として行った。その結果、酸素濃度が100ppm以下、加熱温度が400℃以上にして加熱重合収縮処理を行った場合、絶縁材料特性の劣化がなく、素体にクラックが認められなかった。また、酸素濃度が1000ppm以上又は加熱温度が300℃以下で加熱重合収縮処理を行った場合、絶縁材料特性が劣化し、素体にクラックが発生した。さらに、加熱温度の上限は、絶縁材料がガラスセラミックスの場合、ガラスセラミックスの軟化温度以上の温度で熱重合収縮処理を行うと、後の脱灰処理を行っても完全にカーボンを除去できないので、用いる絶縁材料に応じて決定する必要がある。従って、本実施例では、酸素濃度を10ppm、加熱温度を600℃、加熱時間を30分として加熱重合収縮処理を行った。素体の寸法は、切断後の0.4×0.2×0.2mmから図6(B)に示す様に0.26×0.13×0.13mmに収縮した。これは、積層体の切断後の体積を100とすると素体の体積は27.5となり、加熱重合収縮処理によって約4分の1の体積に収縮した。
続いて、脱灰と焼成可能な絶縁粉末と導電粉末のかさ密度を得るために、空気中において600℃の温度で4時間の脱脂を行った後、これを焼成した。この焼成後の素体の寸法は、図6(C)に示す様に0.2×0.1×0.1mmとなった。これは、積層体の切断後の体積を100とすると焼成体の体積は12.5となり、高収縮の焼成体を得られた。この時、コイル用導体パターンの線幅は15μmとなり、このコイル用導体パターンを接続するために絶縁体層のスルーホール内に形成された導体の径は15μmとなった。この焼成体の端面に銀を含有する導体ペーストを塗布し、乾燥させて焼成し、はんだ実装性を確保するためにニッケルとスズめっきを施して外部端子を形成することで、積層体内に高精細のコイル用導体パターンが形成された極小形状の積層型電子部品を得ることができた。この様にして本発明の積層型電子部品は、従来0.6×0.3×0.3mmの大きさであったものをその半分以下の大きさまで小型化することができた。
12A〜12E 導体パターン
Claims (1)
- 絶縁体層と導体パターンを積層し、素体内に回路素子を形成した積層型電子部品の製造方法において、
熱重合収縮性を有する樹脂を含有する絶縁材料で形成された絶縁体層と、熱重合収縮性を有する樹脂と銀を含有する導電材料で形成された導体パターンを積層して積層体を形成する工程、該積層体を切断して素体とし、100ppm以下の低酸素濃度中で400℃以上の熱を加える熱重合収縮処理を施す工程及び、該熱重合収縮処理を施した素体を脱灰、焼成する工程を備え、素体の焼成後の体積を素体に熱重合収縮処理を施す前の体積の35%以下にしたことを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
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