JP4874784B2 - ポリエチレン系医療用容器及びそれに用いられる積層フィルム - Google Patents

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本発明は、ポリエチレン系医療用容器及びそれに用いられる積層フィルムに関するものであり、特に血液、生理食塩水、注射液等の薬液を収容して使用する袋状のポリエチレン系医療用容器及びそれに用いられる積層フィルムに関する。
図1に示すような袋状のいわゆる輸液バッグは医療用容器として広く利用されている。図1の袋状の医療用容器10は、点滴のチューブを針等により挿入して排出したり、別の薬液を注入したりするためのゴム栓を具備させたポート11、及び輸液等の薬液を収容する薬室12を備えている。また、医療用容器10の周縁は薬室12に外方から力を加えた場合でも剥離しない強シール部13により液密に閉じられている。さらに強シール部13には医療用容器を懸垂するための吊穴14が設けられている。ポート11及び薬室12は、通常、ポリエチレン系樹脂を材質とし、これらポート11及び薬室12を備える医療用容器10は容器由来の溶出物が少なく衛生性が高いため好まれている。
このようなポリエチレン系樹脂を用いた袋状の医療用容器としては次の様な容器が提案されている。
内外層の樹脂密度が0.92g/cm以上、中間層の樹脂密度が0.92g/cm未満の積層体からなる医療容袋(特許文献1参照。)。
内外層の樹脂密度が0.92〜0.94g/cm、中層層の樹脂が密度0.89〜0.93g/cmの直鎖状低密度ポリエチレンと密度0.86〜0.89g/cmのエラストマーとのブレンド物からなる三層フィルムを用いた医療容器用積層体。(特許文献2参照。)。
内層の密度が0.945g/cm以上、中間層の樹脂が0.920g/cm以下の直鎖状低密度ポリエチレンと15重量%未満の密度0.945g/cm以上の高密度ポリエチレンとのブレンド物からなる医療用バッグ(特許文献3参照。)。
内層が高密度ポリエチレン、中間層が密度0.920g/cm未満でシングルサイト系触媒により得られる直鎖状低密度ポリエチレン、外層が高密度ポリエチレン含む材料からなる積層体及び容器(特許文献4参照。)。
ところで、袋状の医療用容器は、一般的にポートをフィルムまたはシート(以下、これらをあわせて「フィルム」という。)からなる薬室内側に挿入して狭持し、シールすることにより製造される。この場合においてポート挿入は、薬室内面を引き離し開口することにより行われる。この開口において、薬室内面同士のブロッキングが強すぎると、うまく開口できず、ポートを挿入しにくくなる。また、薬室の開口は、薬室の両外面を吸着パッドに吸着して薬室内面を引き剥がすことにより通常行われる。従って、吸着パッドによる薬室外面の吸着が不十分である場合にも、開口がうまく実施できない。
また、薬室が開口しやすいことは袋状の医療用容器に薬液を充填する際にも要求され、薬室内面同士のブロッキングが強いと薬液が溢れ出し充填に支障を来すことがあった。
さらに、袋状の医療用容器を複数個まとめて輸送する場合、不規則に重ねて輸送すると、ポート同士、ポートと袋部がぶつかり合って傷がついたり、輸送効率が低下する問題があった。そこで、図2(a)、(b)に示すように、ポート11を少しずつずらして整列したスタッキング形状を作り医療用容器10を輸送する方法が採用されるが、整列したままで輸送する際に、各医療用容器の薬室外面同士のブロッキングが弱いと、各医療用容器がばらばらになってしまう不具合があった。
特開昭62−64363号公報 特許第2790947号公報 特開平5−293160号公報 特開2003−237002号公報
しかしながら、上述の特許文献1〜4に記載された積層体や医療用容器では、これらの上記問題点を十分に満たすことができず、これらの問題点を解決することのできるポリエチレン系医療用容器が求められている。また、袋状のポリエチレン系医療用容器には、落袋強度や透明性も求められている。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、落袋強度や透明性に優れ、薬室内面はブロッキングし難く開口が容易であり、薬室外面は外面同士が滑りにくく吸着パッドにも吸着しやすいブロッキング特性を有し、確実な開口を行うことが可能なポリエチレン系医療用容器及びそれに用いられる積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、薬室内面のブロッキング強度を低くし、薬室外面のブロッキング特性が適切なポリエチレン系の積層フィルムを用いて医療用容器に製袋することにより上記問題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリエチレン系医療用容器は、融点が128℃以上の高密度ポリエチレンのみからなる内層と、メタロセン系触媒で製造されたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体で、密度が0.920g/cm以下の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中層と、融点が128℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンのみからなる外層とからなる積層フィルムで形成されていることを特徴とする。
また、前記中層が、密度0.900g/cm以上、0.930g/cm以下である高圧法低密度ポリエチレンを含有することが好ましい。
さらに、前記外層の直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.900g/cm以上、0.925g/cm以下であることが好ましい。
た、薬液を収容する二つ以上の薬室を有し、各薬室同士が剥離可能な易剥離性仕切りシールにより隔たれていることが好ましい。
また、本発明のポリエチレン系医療用容器用積層フィルムは、融点が128℃以上の高密度ポリエチレンのみからなる内層と、メタロセン系触媒で製造されたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体で、密度が0.920g/cm以下の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中層と、融点が128℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンのみからなる外層とが積層して形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、落袋強度や透明性に優れ、薬室内面はブロッキングし難く開口が容易であり、薬室外面は外面同士が滑りにくく吸着パッドにも吸着しやすいブロッキング特性を有し、確実な開口を行うことが可能なポリエチレン系医療用容器及びそれに用いられる積層フィルムを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のポリエチレン系医療用容器(以下、「医療用容器」という。)10の一例である。本発明の医療用容器10は、ポート11、及び薬室12を備えている。また、医療用容器10の周縁は強シール部13により液密に閉じられている。さらに強シール部13には医療用容器の懸垂するための吊穴14が設けられている。
薬室12は、図3にその一例を示すポリエチレン系医療用容器用積層フィルム(以下、「積層フィルム」という。)20からなる。該積層フィルム20は、融点が128℃以上の高密度ポリエチレンを主成分とする内層21と、メタロセン系触媒で製造されたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体で、密度が0.920g/cm以下の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中層22と、融点が128℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする外層23とからなる。
<積層フィルム>
(内層)
本発明におけるポリエチレン系医療用容器10を形成する積層フィルム20で接液側となる内層21は、融点が128℃以上の高密度ポリエチレンを主成分とする。なお、融点の温度範囲については通常市販されている高密度ポリエチンレンの範囲を上限とすることができるが、袋状の医療用容器の成形性に優れることから好ましくは128〜138℃、より好ましくは130〜135℃である。
本発明において融点とは、測定装置として示差走査熱量計(以下「DSC」という。)を用い、試料をおよその融点より約30℃高い温度で10分間保持した後、10℃/分の速度で30℃まで冷却し、次いで、10℃/分の速度で融点より30℃高い温度まで昇温した際に、現れたピークの温度である。
高密度ポリエチレンは、密度が0.940g/cm以上、分子量分布(Mw/Mn)が4以下であることが好ましい。また、メルトフローレート(以下「MFR」という。)は0.1〜10g/10分が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0g/10分である。0.1g/10分未満であると、押出成形時の樹脂圧力が上昇し成形性が低下する。また、10g/10分より大きいとバブル安定性が低下する。
本発明において、密度はJIS K 7112に準拠して測定した値であり、Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という。)により測定し、ポリスチレンを標準試料とした検量線を用いて、計算した質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比であり、MFRはJIS K 7210に準拠して加重21.18N、温度190℃で測定した値である。
なお、内層21には高密度ポリエチレンのみを使用することが好ましいが、必要に応じて他の樹脂として、内層21全体を100質量%としたときに35質量%以下、好ましくは25質量%、より好ましくは15質量%以下の直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいても構わない。このような直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン系触媒またはチーグラー・ナッタ触媒で製造されたものであって、MFRは0.1〜10g/10分であることが好ましく、密度は0.925g/cmを越えることが好ましい、また、融点は125℃以上が好ましく、より好ましくは128℃以上である。
(中層)
本発明におけるポリエチレン系医療用容器10を形成する積層フィルム20の中間部を形成する中層22は、メタロセン系触媒で製造されたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体で、密度が0.920g/cm以下の直鎖状低密度ポリエチレン(以下「m−LLDPE」ということもある。)を主成分とする。
m−LLDPEは、メタロセン系触媒、いわゆるシングルサイト系触媒で製造されたものであり、α−オレフィンとしては、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられる。なお、m−LLDPEは市販品を用いてもよい。市販のm−LLDPEとしては、エボリュー(株式会社プライムポリマー製)、カーネル(日本ポリエチレン株式会社製)、ハーモレックス(日本ポリエチレン株式会社製)、ユメリット(宇部興産社株式会社製)、アフィニティ(ダウ・ケミカル日本株式会社製)などが挙げられる。
m−LLDPEの密度は、0.920g/cm以下である。密度が0.920g/cm以上であると落袋強度、透明性が低下する。m−LLDPEのMFRは0.1〜10.0g/10分が好ましく、0.5〜5.0g/10分がより好ましい。0.1g/10分未満であると、積層フィルム20のインフレーション成形等の押出成形時に樹脂圧力が上昇し成形性が低下する。また、10.0g/10分より大きいとインフレーション成形においてバブル安定性が低下する。
中層22には、実質的にm−LLDPEのみ使用することが好ましいが、高圧法低密度ポリエチレンをブレンドすることができる。高圧法低密度ポリエチレンをブレンドすることにより、成形安定性が向上する。高圧法低密度ポリエチレンは、密度が0.900g/cm以上、0.930g/cm以下であることが好ましい。
中層22に用いる高圧法低密度ポリエチレンの含有量は、中層22全体を100質量%としたときに35質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。35質量%を超えると、落袋強度が低下する傾向にある。
(外層)
本発明におけるポリエチレン系医療用容器10を形成する積層フィルム20で外側となる外層23は、融点が128℃以下の直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE」ということもある。)を主成分とする。ここでの外層23に用いられる直鎖状低密度ポリエチレンは、通常のチーグラー・ナッタ触媒で製造されたものである。128℃以下の融点を示す直鎖状低密度ポリエチレンであればフィルム成形後にその表面が平滑となりやすく、スタッキング性、吸着パッドとの吸着性に優れたものとなる。なお融点は100〜128℃が好ましく、100〜125℃であることがより好ましい。融点が100℃以上であれば、医療用容器の分野で行われる高圧蒸気滅菌に耐えるだけの耐熱性をより容易に満たすことができる。
LLDPEはエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましく、α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などが挙げられる。
LLDPEの密度は0.900g/cm以上、0.925g/cm以下であることが好ましい。LLDPEの密度が0.900g/cm未満では、図2に示すように医療用容器10をスタッキング状に整列させた際に薬室12の外面同士のブロッキングが強すぎて剥すときに白化する。0.925g/cmより大きいと、薬室12の外面同士のブロッキングが低下し、スタッキング性が低下する。
また、LLDPEのMFRは0.1〜10.0g/10分が好ましく、0.5〜5.0g/10分がより好ましい。0.1g/10分未満であると、積層フィルム20のインフレーション成形等の押出成形時に押出圧力が上昇し成形性が低下する。また、10.0g/10分より大きいとインフレーション成形においてバブル安定性が低下する。
外層23は、実質的にLLDPEのみ使用することが好ましいが、高圧法低密度ポリエチレンをブレンドすることができる。高圧法低密度ポリエチレンをブレンドすることにより、成形安定性が向上する。高圧法低密度ポリエチレンは、密度が0.900g/cm以上、0.930g/cm以下であることが好ましい。
高圧法低密度ポリエチレンのMFRは、成形安定性に優れることから0.1〜10.0g/10分であることが好ましく、0.5〜5.0g/10分がより好ましい。
外層23に用いる高圧法低密度ポリエチレンの含有量は、外層23全体を100質量%としたときに35質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。30質量%を超えると、スタッキング性が低下する傾向にある。
(積層フィルムの製造方法)
本発明の積層フィルム20の製造方法としては、水冷式又は空冷式共押出しインフレーション法、共押出しTダイ法、ドライラミネーション法、共押出しラミネーション法等が挙げられる。透明性、経済性、及び衛生性等の点から水冷式共押出しインフレーション法、共押出しTダイ法が好ましい。
このようにして得られる積層フィルム20の厚みは、一般に100〜400μmであることが好ましいが、使用目的に合わせて厚みを適宜増減できる。各層の厚み比は特に限定されないが、中層を厚みの点で最も厚い層となるように構成することが好ましい。
なお、本発明の積層フィルム20の内層21、中層22及び外層23に用いられるポリエチレン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤などを適宜必要に応じて配合することができる。
<医療用容器>
本発明の医療用容器10は、上述した積層フィルム20の高密度ポリエチレンを主成分とする内層同士をヒートシールして図1に示すような薬室12と強シール部13を形成し、さらにポート11を挿入しヒートシールして取り付け、所定の形状及び寸法の容器を製造することができる。この製造された容器に、薬液が収容される。薬液としては、例えば生理食塩水、電解質液、デキストラン製剤、マンニトール製剤、アミノ酸製剤などの輸液、血液成分などが挙げられる。
また、本発明の医療用容器10は、薬液を収容する2つ以上の薬室を有する医療用容器(医療用複室容器)とすることもできる。例えば、図4に示すように薬室32として第一の薬室32aと第二の薬室32bを有する医療用複室容器30が例示できる。該医療用複室容器30は、医療用容器10と同様に、ポート31を備え、周縁には強シール部33により液密に閉じられている。また、強シール部33には医療用容器の懸垂するための吊穴34が設けられている。
このように薬室32を2つ以上有する医療用複室容器30では、配合による変化により使用直前まで溶解または混合できない2種類以上の薬液を、剥離可能な易剥離性仕切りシール、2枚の積層フィルムを挟持して液密に仕切るクランプ、連通可能な仕切り部材などの仕切手段35により仕切られた別々の薬室で保存し、使用時に仕切手段35を連通させることによって、密封された状態で、かつ異物を発生することなく2種類以上の薬液を混合して使用できる。また、薬液に変えて少なくとも一つの薬室が抗生物質などの粉剤であってもよい。なお、仕切手段35としては、剥離可能な易剥離性仕切りシールが好ましい。
以上のように、本発明によれば、薬室内面のブロッキング強度を低くし、薬室外面のブロッキング特性が適切なポリエチレン系積層フィルムを用いて医療用容器に製袋することにより、袋の開口性、梱包及び輸送時のスタッキング性、透明性、落袋強度に優れるポリエチレン系医療用容器及びそれに用いられる積層フィルムが得られる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ここで、実施例に用いたポリエチレン系樹脂の物性測定方法を以下に示す。
(MFR)
JIS K 7210に準拠し、温度190℃、荷重21.18Nで測定した。
(密度)
JIS K 7112に準拠し、測定した。
(融点)
測定装置としてパーキンエルマー社製、「DSC7」を使用し、試料をおよその融点より約30℃高い温度で10分間保持した後、10℃/分の速度で30℃まで冷却し、次いで10℃/分の速度で融点よりおよそ30℃高い温度まで昇温した際に、現れたピークの温度を融点(以下、「Tm」という。)とした。
(Mw/Mn)
GPCにより測定し、ポリスチレンを標準試料とした検量線を用いて、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比を計算した。測定装置及び測定条件を以下に示す。
測定装置:ウォーターズ社製、「150型」。
溶媒:オルトジクロルベンゼン。
カラム温度:135℃。
カラム:東ソー株式会社製、「GMMHR−1」。
実施例に用いたポリエチレン系樹脂を以下に示す。
PE−1:高密度ポリエチレン、密度=0.950g/cm、MFR=3.0g/10分、Tm=130℃、Mw/Mn=3.5。
PE−2:高密度ポリエチレン、密度=0.960g/cm、MFR=0.8g/10分、Tm=135℃、Mw/Mn=4.2。
PE−3:チーグラー・ナッタ触媒で製造されたエチレンとヘキセン−1からなる直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.920g/cm、MFR=2.0g/10分、Tm=121℃。
PE−4:チーグラー・ナッタ触媒で製造されたエチレンとヘキセン−1からなる直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.927g/cm、MFR=2.1g/10分、Tm=122℃。
PE−5:高圧法低密度ポリエチレン、密度=0.921g/cm、MFR=0.7g/10分、Tm=107℃。
PE−6:エチレンとヘキセン−1からなるシングルサイト系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.918g/cm、MFR=2.5g/10分。
PE−7:エチレンとヘキセン−1からなるシングルサイト系直鎖状低密度ポリエチレン、密度=0.908g/cm、MFR=1.0g/10分。
[実施例1]
<医療用容器の製造>
表1に示すポリエチレン系樹脂を用い、水冷式共押出インフレーション法で積層フィルムを成形した。各層の厚みを表1に示す。
次いで、積層フィルムをヒートシールし、ポートを取付け、図1に示す薬室内容量500mLの医療用容器を作成した。その後、ポートより500mLの蒸留水を入れ、ゴム栓で封をした後、105℃、20分の高圧蒸気滅菌を実施した。
得られた積層フィルム及び医療用容器を下記に示す評価方法にて評価した。結果を表2に示す。
<評価>
(透明性)
高圧蒸気滅菌後の医療用容器について、450nmにおける光線透過率を測定した。
(落袋試験)
高圧蒸気滅菌後、4℃で24時間放置した後、5個の医療用容器について、2mの高さから落下させた時の破袋の有無を確認した。5個全て破袋しなかった場合を○、1個でも破袋した場合を×とした。
(ブロッキング性試験)
高圧蒸気滅菌前の積層フィルムについて、内層同士、外層同士のブロッキング性を評価した。
内層同士、外層同士を重ね合わせ、10cm×10cmあたり10kgの荷重をかけて、50℃で24時間放置した後、さらに23℃で24時間放置し、その後10cm×10cmに切り抜き、300mm/分の速度で剥離強度を測定した。
内層同士のブロッキング性の評価は、剥離強度が5Nより小さい場合を開口性が良好であり○とし、5N以上の場合を×とした。
外層同士のブロッキング性の評価は、剥離強度が5N以上の場合にスタッキング性が良好であり○とし、5Nより小さい場合を×とした。
[実施例2、3、5、参考例4、6、比較例1〜3]
表1に示す各層に用いるポリエチレン系樹脂を変化させた以外は、実施例1と同様にして積層フィルム及び医療用容器を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004874784
Figure 0004874784
表1から明らかなように、実施例の医療用容器は何れも透明性、落袋強度に優れていた。また、積層フィルムの内層同士は剥離しやすく開口性が良好であり、一方、外層同士は剥離しにくくスタッキング性が良好であった。
一方、比較例の医療用容器は、透明性、落袋強度、開口性、スタッキング性の全てを同時に満たすものではなかった。
1つの薬室が形成された医療用容器の一例を示す平面図である。 スタッキングした医療用容器の一例を示す図であり、(a)はポート側から見た側面図、(b)は平面図である。 本発明の積層フィルムの一例を示す断面図である。 2つの薬室が形成された医療用容器の一例を示す平面図である。
符号の説明
10:医療用容器、11:ポート、12:薬室、13:強シール部、14:吊穴、20:積層フィルム、21:内層、22:中層、23:外層、30:医療用容器(医療用複室容器)、31:ポート、32:薬室、32a:第一の薬室、32b:第二の薬室、33:強シール部、34:吊穴、35:仕切手段。

Claims (5)

  1. 融点が128℃以上の高密度ポリエチレンのみからなる内層と、メタロセン系触媒で製造されたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体で、密度が0.920g/cm以下の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中層と、融点が128℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンのみからなる外層とからなる積層フィルムで形成されていることを特徴とするポリエチレン系医療用容器。
  2. 前記中層が、密度0.900g/cm以上、0.930g/cm以下である高圧法低密度ポリエチレンを含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン系医療用容器。
  3. 前記外層の直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.900g/cm以上、0.925g/cm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエチレン系医療用容器。
  4. 薬液を収容する二つ以上の薬室を有し、各薬室同士が剥離可能な易剥離性仕切りシールにより隔たれていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載のポリエチレン系医療用容器。
  5. 融点が128℃以上の高密度ポリエチレンのみからなる内層と、メタロセン系触媒で製造されたエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体で、密度が0.920g/cm以下の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする中層と、融点が128℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンのみからなる外層とが積層して形成されていることを特徴とするポリエチレン系医療用容器用積層フィルム。
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