JP5110672B2 - 血液成分保存容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、血液バッグ、血小板保存バッグ等の血液成分保存容器、特にガス透過性および柔軟性、透明性、接着性に優れ、かつガス透過性を調整可能であり、放射線滅菌可能な、血液成分保存容器(血小板保存バッグ)に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
以下、血液成分保存容器(血小板保存バッグ)の一例について説明する。
従来、献血によって得られた血液はその用途に応じて遠心分離や膜分離などにより濃厚赤血球製剤、乏血小板血漿、多血小板血漿、濃厚血小板製剤等として保存され、その保存期間を向上させるための手段が検討されている。特に血小板を保存する場合には、現在、わが国において3日間しか認められておらず、この保存期間の短さが、血小板製剤の有効利用上の障害となっている。また、血液製剤のウィルス感染検査方法であるNAT試験が導入されたことにより、現在の保存期間では血小板製剤の有効利用は更に厳しい状況になることが考えられる。
【0003】
血小板は、低温にさらされるとその機能を不可逆的に喪失する性質があるため、通常、保存は22℃で行われる。この温度では血小板のエネルギー代謝は活発であり、酸素の供給が十分に行われていれば、「好気的代謝」と呼ばれる状態が維持され、代謝物として水と二酸化炭素が産出されるが、酸素の供給が不十分な環境下であれば、「嫌気的代謝」と呼ばれている状態に陥り、乳酸が産出される。この乳酸により血小板浮遊液のpHが低下し、血小板機能が不可逆的に喪失してしまうという問題が生じる。そのため保存容器としては、高い酸素透過性が要求され、ポリオレフィン製の容器が開発され、上市されてきた。
【0004】
そのポリオレフィン製の容器の材料として、特開平4−210061号、特開平5−237165号、特公平7−34820号等に記載されている高ガス透過性のスチレン系エラストマーを含む組成物は、柔軟性、透明性、接着性のバランスが十分ではなく、放射線滅菌による着色や物性低下が危惧される。また上記保存期間を延長でき得るガス透過性を有しておらず、しかも、酸素ガス透過性と二酸化炭素ガス透過性のバランスが十分ではないため、二酸化炭素ガスによる血小板浮遊液のpHの低下が危惧されており、血液を保存する容器として必ずしも適当であるとはいえない。
【0005】
また、ポリオレフィン製の容器は従来、エチレンオキサイドガスにより滅菌処理されていたが、残留ガスモノマーの問題が危惧されており、血液を保存する容器として必ずしも適当であるとはいえない。
【0006】
さらに、血液成分保存容器に使用されるポリ塩化ビニルや該ポリオレフィン製材料では、容器本体を構成するシートを成形した場合、シートの表面においてブロッキング(融点以下の温度で生ずる材料相互間の接着現象)が生じるため、バッグとしての機能を果たさない可能性があり、これらのシートについては、シート表面にエンボス加工を施し、前述のブロッキングを防止することを余儀なくされていた。すなわち、これらのシートにおいては、下記説明によるTダイ成形法が適用されてきた。例えば図3に示すように、まず、ホッパー56より供給された前述の材料は、押出機57により溶融混練され、Tダイ58を介してシート状に押出される。次に、冷却ロール59によりエンボス加工を施され、引取ロール60を通過して、巻取機61によりロール状に巻き取られる。このTダイ成形法によるシートでは、エンボス加工を施す際、静電気が発生しやすく、シートに異物が付着し、さらには容器本体に異物が混入する可能性があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、ガス透過性を調整可能であり、高いガス透過性および優れた柔軟性、透明性、接着性を有し、さらに、インフレーション成形および放射線滅菌が可能な、特に血液成分保存容器(血小板保存バッグ)等の医療用具を提供することである。そこで本発明者らは上記の観点から鋭意検討を重ねた結果、次の発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
[1]本発明は、少なくとも三層よりなる積層体(2)より構成され、
最内層(5)と最外層(4)との間に少なくとも一層の機能層(3)を有し、
当該機能層(3)は、密度が0.860g/cm以上から0.890g/cm以下であって、メタロセン触媒により重合されるポリエチレンまたはエチレン−α−オレフィン共重合体からなるメタロセンポリエチレンであり、
前記最内層(5)及び前記最外層(4)は、密度が0.880g/cm以上から0.925g/cm以下のメタロセン触媒により重合されるポリエチレンまたはエチレン−α−オレフィン共重合体からなるメタロセンポリエチレンと、プロピレン重合体またはプロピレン−α−オレフィン共重合体からなるポリプロピレンとの重合体組成物であり、
当該重合体組成物中に、前記メタロセンポリエチレンを、50質量%以上から70質量%以下含有し、前記ポリプロピレンを、30質量%以上から50質量%以下含有し、
前記機能層(3)の肉厚構成比が、該積層体(2)全体の肉厚に対して50%から90%であり、
前記積層体(2)を、インフレーション成形によりチューブ状に作製し、さらに当該チューブ状の積層体(2)の周辺部を溶着することにより血液成分保存容器を作製し、
JIS K7126(差圧法)に基づく、前記積層体(2)の単位厚さ当たりのガス透過率は、
酸素透過率が500(ml・mm/m・day・atm)以上であり、かつ二酸化炭素透過率が3000(ml・mm/m・day・atm)以下であり、かつ二酸化炭素と酸素の透過比(CO/O)が4.5以下であり、
前記血液成分保存容器の溶着部より、10mm幅の短冊状試験片を打ち抜き、ストログラフを使用して、試験速度200mm/minで測定した接着強度が、27〜35N/10mmであり、
前記積層体(2)の300μm厚のシートで、JISK7105に基づき、ヘイズメーターを使用して測定したヘイズが、5.0〜5.5%であり、
前記積層体(2)のJISK7127に基づき、JIS2号ダンベル状試験片を作製し、ストログラフを使用して、試験速度200mm/minで測定した100%モジュラスが、3.3〜3.6MPであり、
前記積層体(2)を2枚重ね合わせ、その上に20cm×20cm、質量1kgの重りを載せ、1時間室温にて放置した後、5×10cmの試験片を作製し、ストログラフを使用して、試験速度200mm/minで測定したブロッキング強度が、12.3〜15.6gfであり、
前記血液成分保存容器を放射線量2.5Mradの条件で放射線滅菌し、前記血液成分保存容器から5×5cmの試験片を作製し、当該試験片の滅菌前後における血小板保存容器の色調の変化(ΔE*ab)を分光測色計により測定した色調の変化が、0.23〜0.46(ΔE*ab)である血液成分保存容器(1)を提供する。
[2]本発明は、前記機能層(3)は、単位厚さ当たりの酸素透過率が700(ml・mm/m・day・atm)以上である[1]に記載の血液成分保存容器(1)を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の血液成分保存容器1を構成する積層体2の一部拡大断面図である。血液成分保存容器1(全体は図示せず)は少なくとも三層よりなる積層体2より構成され、積層体2の周辺部を溶着することで形成され、さらに積層体2は、最外層4と最内層5の間に少なくとも一層以上の機能層3を配置することにより構成される。
【0010】
機能層3の主成分はメタロセン触媒を使用して共重合されるポリエチレンまたはエチレン−α−オレフィン共重合体(以下メタロセンポリエチレンと略記する)であり、メタロセンポリエチレンは最外層4と最内層5の組成物中にも含まれる。
共重合体のα−オレフィンとして、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、一種単独もしくは2種以上の組合せが含まれていても良い。メタロセンポリエチレンは、通常のチーグラー−ナッタ触媒により重合されるポリエチレンに比べ、分子量分布が狭く、ランダム性に富み、均質な構造をとるため、結晶のサイズが均一で結晶のラメラ構造が薄く、ガス透過性、柔軟性および透明性に優れている。
【0011】
また前記機能層3の主成分として使用されるメタロセンポリエチレンの密度は0.890g/cm以下、好ましくは、0.860から0.880g/cmである。密度0.860g/cm未満では、十分な酸素透過率が得られるが、積層体2の機械強度が不足し好ましくない。また、密度0.890g/cmを超えると、機能層3の単位厚さ当たりの酸素透過率が700(ml・mm/m・day・atm)未満となり、機能層3を有する積層体2全体の酸素透過率が不足するので好ましくない。
【0012】
機能層3の厚み構成比は、積層体2の肉厚に対して50から90%、より好ましくは60〜80%である。機能層3の厚み構成比が積層体2の肉厚に対して50%未満であると優れたガス透過性が保持できず好ましくない。また、機能層3の厚み構成比が積層体2の肉厚に対して90%を超えると肉厚の制御が困難であり、加工上の問題が発生するため好ましくない。
【0013】
最外層4と最内層5の組成物中に含まれるポリプロピレンまたはプロピレン−α−オレフィン共重合体(以下ポリプロピレンと略記する)としては、公知技術によりチーグラー−ナッタ触媒により重合されるポリプロピレン、またはランダムあるいはブロックタイプのポリプロピレン共重合体が用いられる。共重合体中のα−オレフィンとしてはエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、一種単独もしくは2種以上の組合せが含まれていても良い。
【0014】
前記最外層4と最内層5の組成物中に含まれるメタロセンポリエチレンは、その分子量分布が狭いために均質な分子構造をもつ。そのため、低分子量のポリエチレンに起因するシート表面のべたつきが少なく、ブロッキング性に優れており、ポリオレフィン系ポリマーとの分散性に優れ、ポリプロピレンとのブレンドによる透明性の低下を生じない特徴を有している。
【0015】
また、前記最外層4と最内層5の組成物中に含まれるメタロセンポリエチレンの密度は0.860から0.930g/cm、好ましくは、0.880から0.925g/cmである。密度0.860g/cm未満では、機械強度が不足し好ましくない。また、密度0.930g/cmを超えると(比較例6参照)、ガス透過性と柔軟性が不足するので好ましくない。
【0016】
最外層4および最内層5の組成物中に含まれる、ポリエチレンが組成物中に占める割合は、20から80質量%であり、より好ましくは50から70質量%である。ポリエチレンが組成物中に占める割合が20質量%未満であると(比較例5参照)、バッグの柔軟性が失われるため、バッグ表面に折り曲げによるしわが発生し、各層間の接着強度の低下や放射線滅菌による物性低下が危惧され、好ましくない。また、ポリエチレンの組成物中に占める割合が80質量%を超えると、二酸化炭素透過度が上昇するため、CO/Oのバランスが崩れるため好ましくない。
【0017】
本発明では積層体2の単位厚さ当たりの酸素透過率を500(ml・mm/m・day・atm)以上でかつ二酸化炭素透過率が3000(ml・mm/m・day・atm)以下に設定するのが好ましい。酸素透過率が500(ml・mm/m・day・atm)未満でかつ二酸化炭素透過率が3000(ml・mm/m・day・atm)を超えるといずれも血小板保存性が低下するので好ましくない。
さらに本発明では二酸化炭素と酸素の透過比(CO/O)は4.5以下に設定するのが好ましい。二酸化炭素と酸素の透過比(CO/O)を4.5以下に設定した理由は、血小板保存期間の初期においては、血小板の代謝による二酸化炭素の生成は少なく、血液成分保存容器1の二酸化炭素と酸素の透過比(CO/O)が4.5を超えると容器を透過する二酸化炭素により、pH上昇をきたす原因となることが危惧されるからである。
また本発明では機能層3は、厚さ150μmから400μmの範囲において、酸素透過率を700(ml・mm/m・day・atm)以上に設定することができる。
また本発明では積層体2は、厚さ150μmから400μmの範囲において、酸素透過率を500から700(ml・mm/m・day・atm)の範囲で任意に調整できる。
【0018】
本発明の血液成分保存容器1の製造方法としては、押出成形、ブロー成形が好適である。押出成形は、多層ダイを使用したインフレーション成形やTダイ成形等の共押出成形、ラミネーション成形等が可能であり、同様に多層押出しブロー成形も可能である。その中でもインフレーション成形法が特に好適である。
例えば図2に示すように各機能層(最内層5/機能層3/最外層4)の材料は、それぞれホッパー12,13,14から供給され、押出機15,16,17により溶融混練され、多層ダイ18によりチューブに成形される。次に、サイジングリング19によって適当なサイズに調整され、安定板20とピンチロール21を介してシート状に折りたたまれ、引取ロール22を通過し、巻取機23によりロール状に巻き取られる。このようにして得られた積層体2は、シートの内表面が外雰囲気にさらされることがないため、異物の混入を防止可能である。さらに、積層体2の周辺部を溶着することで血液成分保存容器1を製造することが可能である。
【0019】
また、本発明の組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、核剤、滑剤等のポリオレフィンに添加して使用される各種配合剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しても良い。
【0020】
【実施例】
実施例1
表1のように機能層3の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm日本ポリケム社製)、最外層4の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)50質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)50質量%からなる組成物、最内層5の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)60質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)40質量%からなる組成物を使用した。表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器1を得た。
【0021】
実施例2
表1のように機能層3の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)、最外層4の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)70質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)30質量%からなる組成物、最内層5の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)60質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)40質量%からなる組成物を使用した。表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器1を得た。
【0022】
実施例3
表1のように機能層3の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)、最外層4の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)70質量%とポリプロピレン(KS37G1:住友化学工業社製)30質量%からなる組成物、最内層5の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)60質量%とポリプロピレン(KS37G1:住友化学工業社製)40質量%からなる組成物を使用した。表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器1を得た。
【0023】
実施例4
表1のように機能層3の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm日本ポリケム社製)、最外層4の材料としてメタロセンポリエチレン(FV203:密度0.912g/cm:住友化学工業社製)70質量%とポリプロピレン(KS37G1:住友化学工業社製)30質量%からなる組成物、最内層5の材料としてメタロセンポリエチレン(FV202:密度0.925g/cm:住友化学工業社製)70質量%とポリプロピレン(KS37G1:住友化学工業社製)30質量%からなる組成物を使用した。表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器1を得た。
【0024】
実施例5
前記実施例2に示す材料を使用して、各層の肉厚構成比を変えて、表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器1を得た。
【0025】
比較例1
表1のようにスチレン系エラストマー(クレイトンG1652:シェル化学社製)50質量%、ポリプロピレン(S−131:住友化学社製)25質量%、ポリエチレン(VL−200:住友化学社製)25質量%を2軸押出機にて樹脂温度230℃でブレンドし、このエラストマーのペレットを使用して表3に示す成形条件でTダイ成形により厚み300μmのシートを作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器を得た。
【0026】
比較例2
表1のように機能層3の材料としてポリエチレン(VL100:密度0.898g/cm:住友化学工業社製)、最外層4および最内層5の材料としてポリエチレン(VL203:密度0.900g/cm:住友化学工業社製)を使用した。表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器を得た。
【0027】
比較例3
表1のようにポリ塩化ビニル(重合度1300)に可塑剤としてDEHP55重量部、エポキシ化大豆油5重量部、安定剤0.5重量部を配合した樹脂を使用した。表3に示す成形条件でTダイ成形により厚み300μmのシートを作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器を得た。
【0028】
比較例4
表1のように機能層3の材料としてメタロセンポリエチレン(ハーモレクスNC524A:密度0.905g/cm:日本ポリオレフィン社製)、最外層4の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)50質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)50質量%からなる組成物、最内層5の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)60質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)40質量%からなる組成物を使用した。表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器を得た。
【0029】
比較例5
表1のように機能層3の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm日本ポリケム社製)、最外層4の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)15質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)85質量%からなる組成物、最内層5の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm:日本ポリケム社製)15質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)85質量%からなる組成物を使用した。表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器を得た。
【0030】
比較例6
表1のように機能層3の材料としてメタロセンポリエチレン(カーネルKS240:密度0.880g/cm日本ポリケム社製)、最外層4の材料としてメタロセンポリエチレン(ハーモレクスNC499A:密度0.935g/cm:日本ポリオレフィン社製)50質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)50質量%からなる組成物、最内層5の材料としてメタロセンポリエチレン(ハーモレクスNC499A:密度0.935g/cm:日本ポリオレフィン社製)60質量%とポリプロピレン(LE3300:チッソ石油化学社製)40質量%からなる組成物を使用した。表2に示す肉厚構成内容にて積層体2を表3に示す成形条件でインフレーション成形により作製し、周辺部を熱溶着することで血液成分保存容器を得た。
【0031】
【表1】
Figure 0005110672
【0032】
【表2】
Figure 0005110672
【0033】
【表3】
Figure 0005110672
【0034】
前記、実施例1から5および比較例1から6の積層体2または血液成分保存容器1について次の方法によりガス透過性、接着性、透明性、柔軟性、ブロッキング性、放射線滅菌性を比較した。また、評価結果を表4、表5に示した。
【0035】
(1)ガス透過性試験(ガス透過率ml・mm/m・day・atm)
実施例1から5および比較例1から6の積層体2について、JIS K7126(差圧法)に基づき、(株)東洋精機製作所製ガス透過率測定装置MTC−3を使用して、単位厚さ当たりの酸素および二酸化炭素透過率(ml・mm/m・day・atm)を試験温度23℃にて測定した。表4より、実施例1から5の酸素透過率は、535から650(ml・mm/m・day・atm)であり比較例1から6の酸素透過率(230から490ml・mm/m・day・atm)と比較して、明らかに高いことが分かる。また、実施例1から5の二酸化炭素と酸素の透過比(CO/O)は、4.1から4.3であり、比較例1から3の二酸化炭素と酸素の透過比(CO/O)、4.7から6.2と比較すると明らかに低いことが分かる。
【0036】
(2)接着性(接着強度:N/10mm)
実施例1から5の血液成分保存容器1および比較例1から6の血液成分保存容器の溶着部より、10mm幅の短冊状試験片を打ち抜き、(株)東洋精機製作所製ストログラフE−Lを使用して、試験速度200mm/min、試験温度23±1℃における接着強度を測定した。表4より、実施例1から5の接着強度は、27から35(N/10mm)であり、比較例1の22(N/10mm)と比較して、明らかに高いことが分かる。
【0037】
(3)透明性(ヘイズ:%)
作製した実施例1から5および比較例1から6の積層体2について、JIS K7105に基づき、株)東洋精機製作所製直読ヘイズメーターを使用して約300μm厚のシートのヘイズ(%)を測定した。表5より、実施例1から5のヘイズは、5.0から5.5(%)であり、比較例1から3および6の13.5から17.6(%)と比較して、明らかに透明性に優れていることが分かる。
【0038】
(4)柔軟性(100%モジュラス:MPa)
作製した実施例1から5および比較例1から3の積層体2について、JIS K7127に基づき、JIS2号ダンベル状試験片を作製し、(株)東洋精機製作所製ストログラフE−Lを使用して、試験速度200mm/min、試験温度23±1℃における100%モジュラスを測定した。表5より、実施例1から5の100%モジュラスは、3.3から3.6(MPa)であり、比較例1から3の4.2から6.0(MPa)と比較して、明らかに柔らかいことが分かる。
【0039】
(5)ブロッキング性(ブロッキング強度:gf)
作製した実施例1から5および比較例1から3の積層体2について、各積層体2を2枚重ね合わせ、その上に20cm×20cm、質量1kgの重りを載せ、1時間室温にて放置した後、5×10cmの試験片を作製し、(株)東洋精機製作所製ストログラフE−Lを使用して、試験速度200mm/min、試験温度23±1℃におけるブロッキング強度を測定した。表5より、実施例1から5のブロッキング強度は12.3から15.6(gf)であり、比較例1から3の53.9から70.2(gf)と比較して、明らかにブロッキングしていないことが分かる。
【0040】
(6)放射線滅菌性(色調の変化:ΔE*ab)
作製した実施例1から5の血液成分保存容器1および比較例1から3の血液成分保存容器を放射線量2.5Mradの条件で放射線滅菌し、容器から5×5cmの試験片を作製し、その試験片について、滅菌前後における血小板保存容器の色調の変化(ΔE*ab)をオリンパス製分光測色計により測定した。表4より、実施例1から5の色調の変化は、0.23から0.46(ΔE*ab)であり、比較例1、比較例3および比較例6の色調の変化は、それぞれ5.74(ΔE*ab)、2.80(ΔE*ab)、1.29(ΔE*ab)であり、これらの比較から、明らかに色調の変化が少ないことが分かる。
【0041】
【表4】
Figure 0005110672
【0042】
【表5】
Figure 0005110672
【0043】
【発明の作用効果】
以上に述べたように、本発明による血液成分保存容器は、高いガス透過性と酸素透過度と二酸化炭素透過度の優れたバランスを保持し、柔軟性、透明性、接着性が高く、さらに、インフレーション成形および放射線滅菌が可能であることから、血液成分保存容器として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液成分保存容器を構成する積層体2の一部拡大断面図である。
【図2】本発明の血液成分保存容器の製造方法の一例を示す概略図である。
【図3】従来の血液成分保存容器の製造方法の概略図である。
【符号の説明】
1 血液成分保存容器
2 積層体
3 機能層
4 最内層
5 最外層
12、13、14 ホッパー
15、16、17 押出機
19 サイジングリング
20 安定板
21 ピンチロール
22 引取ロール
23 巻き取りロール

Claims (2)

  1. 少なくとも三層よりなる積層体(2)より構成され、
    最内層(5)と最外層(4)との間に少なくとも一層の機能層(3)を有し、
    当該機能層(3)は、密度が0.860g/cm以上から0.890g/cm以下であって、メタロセン触媒により重合されるポリエチレンまたはエチレン−α−オレフィン共重合体からなるメタロセンポリエチレンであり、
    前記最内層(5)及び前記最外層(4)は、密度が0.880g/cm以上から0.925g/cm以下のメタロセン触媒により重合されるポリエチレンまたはエチレン−α−オレフィン共重合体からなるメタロセンポリエチレンと、プロピレン重合体またはプロピレン−α−オレフィン共重合体からなるポリプロピレンとの重合体組成物であり、
    当該重合体組成物中に、前記メタロセンポリエチレンを、50質量%以上から70質量%以下含有し、前記ポリプロピレンを、30質量%以上から50質量%以下含有し、
    前記機能層(3)の肉厚構成比が、該積層体(2)全体の肉厚に対して50%から90%であり、
    前記積層体(2)を、インフレーション成形によりチューブ状に作製し、さらに当該チューブ状の積層体(2)の周辺部を溶着することにより血液成分保存容器を作製し、
    JIS K7126(差圧法)に基づく、前記積層体(2)の単位厚さ当たりのガス透過率は、
    酸素透過率が500(ml・mm/m・day・atm)以上であり、かつ二酸化炭素透過率が3000(ml・mm/m・day・atm)以下であり、かつ二酸化炭素と酸素の透過比(CO/O)が4.5以下であり、
    前記血液成分保存容器の溶着部より、10mm幅の短冊状試験片を打ち抜き、ストログラフを使用して、試験速度200mm/minで測定した接着強度が、27〜35N/10mmであり、
    前記積層体(2)の300μm厚のシートで、JISK7105に基づき、ヘイズメーターを使用して測定したヘイズが、5.0〜5.5%であり、
    前記積層体(2)のJISK7127に基づき、JIS2号ダンベル状試験片を作製し、ストログラフを使用して、試験速度200mm/minで測定した100%モジュラスが、3.3〜3.6MPであり、
    前記積層体(2)を2枚重ね合わせ、その上に20cm×20cm、質量1kgの重りを載せ、1時間室温にて放置した後、5×10cmの試験片を作製し、ストログラフを使用して、試験速度200mm/minで測定したブロッキング強度が、12.3〜15.6gfであり、
    前記血液成分保存容器を放射線量2.5Mradの条件で放射線滅菌し、前記血液成分保存容器から5×5cmの試験片を作製し、当該試験片の滅菌前後における血小板保存容器の色調の変化(ΔE*ab)を分光測色計により測定した色調の変化が、0.23〜0.46(ΔE*ab)である、
    ことを特徴とする血液成分保存容器(1)。
  2. 前記機能層(3)は、単位厚さ当たりの酸素透過率が700(ml・mm/m・day・atm)以上であることを特徴とする請求項1に記載の血液成分保存容器(1)。
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