JP2004106514A - 多層フィルムおよびそれを用いた複室容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な条件設定によって、シール強度の安定した易剥離シール部と強シール部とを形成することができ、しかも滅菌処理等による加熱を経た後においても、易剥離シール部や強シール部におけるシール強度の変動を抑制することのできる多層フィルムと、当該多層フィルムを用いてなる複室容器とを提供する。
【解決手段】本発明の多層フィルムは、一方の表面側にポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を配置してなるもの、好ましくは当該一方の表面側以外の層として、ポリオレフィンからなる少なくとも1の層を配置してなるものである。本発明の複質容器10は、この多層フィルムの一方の表面側を内側に、他方の表面側を外側にして袋状に形成する。その際、上記一方の表面側同士を易剥離接着することによって、2以上の室13a,13bに隔離する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の多層フィルムは、一方の表面側にポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を配置してなるもの、好ましくは当該一方の表面側以外の層として、ポリオレフィンからなる少なくとも1の層を配置してなるものである。本発明の複質容器10は、この多層フィルムの一方の表面側を内側に、他方の表面側を外側にして袋状に形成する。その際、上記一方の表面側同士を易剥離接着することによって、2以上の室13a,13bに隔離する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層フィルムとそれを用いた複室容器とに関する。
【0002】
【従来の技術】
複室容器は、例えば保存中に相互作用を引き起こす複数の物質(薬剤等)を2以上の室に隔離して収容する容器であって、当該物質の使用時に収容室間を連通させることによって上記複数の物質が混合されるように設定されている。この複室容器は、主として医薬分野において普及している。
複室容器の各収容室を隔離する手段としては、従来、種々の方法が知られている。中でも、各収容室の隔離を達成するシール部の強度を、通常の条件下で複室容器を保存する際にはシールを維持し、いずれかの収容室に強い押圧を加えた時には剥離して収容室間を連通させる程度の、いわゆる易剥離性を示す程度に調節する方法は、複室容器の大量生産に向いている、品質が確立している、シール部の開封操作が容易である等の利点を有することから広く採用されている。例えば、大塚製薬(株)製の高カロリー輸液用液(製品名「アミノトリパ(R) 」)、味の素ファルマ(株)製の高カロリー輸液用液(製品名「ピーエヌツイン(R) 」)等における容器の製造には上記方法が採用されており、かかる方法によって形成されるいわゆる易剥離シール部を各収容室間の隔壁部に備えている。
【0003】
易剥離シールの形成方法として代表的なものには、例えばポリエチレンとポリプロピレンのような、相溶性が乏しく、融点に数度〜数十度の差がある樹脂の混合物を容器の最内層に使用し、熱シールの条件を調節することでシール部に易剥離性を付与する方法が挙げられる。かかる方法を採用することによって、そのシール強度を、複室容器を通常の条件下で保存する際には各収容室での隔離を維持し、いずれかの収容室に強い押圧を加えた時には収容室間を連通させ得る程度に調節することができる。
【0004】
しかしながら、複室容器内に薬液等を充填した上で、これを加熱滅菌処理に供すると、当該処理時に加えられる熱によって易剥離シール部のシール強度が大きくなってしまい、易剥離性が損なわれるといった問題を生じるおそれがある。
そこで、特許文献1には、加熱滅菌処理にシール強度が増大して各収容室間を隔てるシール部の易剥離性が損なわれてしまうのを防止する目的で、複室容器を形成するフィルムの最内層にポリ環状オレフィンと、ポリエチレンやポリプロピレン等の線状ポリオレフィンとの混合樹脂を用いることが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記公報に記載の複室容器によれば、加熱滅菌処理を経た後も各収容室間のシール部の易剥離性を維持することができるものの、易剥離シール部を形成する際の熱シール条件の至適範囲が極めて狭いことから、易剥離シール部の品質を安定させることが困難であるという問題がある。さらに、複室容器の周縁部のようにシール部の強度を強くすべき部分(強シール部)において、シール強度が加熱滅菌処理を経ることによって低下してしまうという問題もある。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−70331号公報(請求項1,段落〔0006〕)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、簡易な条件設定によって、シール強度の安定した易剥離シール部と強シール部とを形成することができ、しかも滅菌処理等による加熱を経た後においても、易剥離シール部や強シール部におけるシール強度の変動を抑制することのできる多層フィルムを提供することである。
本発明の他の目的は、シール強度が安定しており、滅菌処理等による加熱を経た後においてもシール強度の変動が抑制された易剥離シール部や強シール部を備える複室容器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、多層フィルムにおける複数の層のうち、複室容器の最内層をなす層について、ポリ環状オレフィンと線状ポリオレフィンとの2種の混合樹脂を用いるのではなく、ポリ環状オレフィンと、線状ポリオレフィンとしてのポリエチレンと、ポリプロピレンとの3種の混合樹脂を用いたときには、意外にも、易剥離シール部と強シール部とのいずれを形成する場合においても安定したシール強度を得ることができ、しかも滅菌処理等による加熱を経た後でのシール強度の変動を抑制することができるという新たな事実を見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る多層フィルムは、最内層として、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を備えるものである。
ここで、本発明の多層フィルムにおいて、「最内層」とは、多層フィルム同士を重ね合わせて複室容器等を形成する際に内表面側となる層(すなわち、複室容器の最内層となる層)、あるいはシール部を形成する際にシール面側となる層をいう。一方、「最外層」とは、複室容器等を形成する際に外表面側となる層(すなわち、複室容器の最外層となる層)をいう。
【0010】
本発明の多層フィルムによれば、最内層として、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を備えることによって熱シール条件の至適範囲が広くなり、前述のように、易剥離シール部と強シール部とのいずれを形成する場合においても安定したシール強度を得ることができる。さらに、本発明の多層フィルムによれば、シール部を形成した後で滅菌処理等の加熱処理を施した場合においても、易剥離シール部や強シール部におけるシール強度の変動を極めて小さなものとすることができる。
【0011】
従って、本発明の多層フィルムは、例えば保存中に相互作用を引き起こす複数の物質(とりわけ、容器内への収容・密封後に加熱滅菌処理を必要とする複数の薬剤)を2以上の収容室に隔離して収容するのに用いられる複室容器の形成材料として好適である。
本発明の多層フィルムにおいて、上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンのガラス転移温度は60〜150℃であるのが好ましい。上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンとして、そのガラス転移温度が上記範囲にあるものを用いることにより、易剥離シール部や強シール部を形成する条件の至適範囲をより一層広くすることや、加熱処理後におけるシール強度の変動をより一層小さくすること等の利点を得ることができる。
【0012】
本発明の多層フィルムにおいて、上記混合樹脂におけるポリエチレンの含有割合は10〜80重量%、ポリプロピレンの含有割合は10〜80重量%、およびポリ環状オレフィンの含有割合は10〜80重量%であるのが好ましい。
当該混合樹脂として、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの含有割合が上記範囲にあるものを用いることによって、易剥離シール部や強シール部を形成する条件の至適範囲をより一層広くすることや、加熱処理後におけるシール強度の変動をより一層小さくすること等の利点を得ることができる。
【0013】
上記混合樹脂におけるポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの含有割合は、上記範囲の中でも特に、ポリエチレンの含有割合が10〜50重量%、ポリプロピレンの含有割合が20〜70重量%、およびポリ環状オレフィンの含有割合が10〜70重量%であるのが好ましい。
本発明の多層フィルムは、最内層以外に、ポリオレフィンの層を少なくとも1層備えるものであるのが好ましい。
【0014】
ポリ環状オレフィンは硬度が高く、柔軟性が乏しいことから、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂のみからなるフィルムでは、例えば複室容器に要求されるような優れた柔軟性が得られにくくなるおそれがある。しかしながら、最内層以外にポリオレフィンの層を少なくとも1層設けることによって、多層フィルム全体としての柔軟性を優れたものとすることができる。
【0015】
本発明の多層フィルムにおいて、最内層以外に少なくとも1層設けられるポリオレフィンの層としては、例えば、
(I) 密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン2〜10重量%と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン90〜98重量%との混合樹脂の層、
(II)最外層側から順に、密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層との2層、
または
(III) 最外層側から順に、密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層との4層、
であるのが、多層フィルムの柔軟性、易剥離シール部および強シール部のシール強度ならびにその安定性、シール部の形成条件の至適範囲等をより一層優れたものにするという観点からより好ましい。
【0016】
特に、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンとして、メタロセン触媒を用いて製造されたものを採用したときには、多層フィルムの諸特性(特に、耐衝撃性やバリア性)をより一層向上させることができる。本発明の多層フィルムは、最内層に隣接して、ポリ環状オレフィンの層またはポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合樹脂の層を備えるのが好ましい。
この場合、多層フィルムのバリア性や薬剤の吸着防止効果をより一層向上させることができる。
【0017】
上記課題を解決するための本発明に係る複室容器は、本発明に係る多層フィルムを袋状に形成してなるものであって、当該フィルムの最内層側の表面同士を易剥離接着させることによって隔てられた2以上の収容室を備えるものである。
本発明の複室容器によれば、本発明に係る多層フィルムを使用して、その最内層側の表面同士を重ね合わせて易剥離シール部や強シール部を形成することから、当該シール部のシール強度を安定したものとすることができ、滅菌処理等による加熱を経た後においてもシール強度が変動するのを抑制することができる。
【0018】
従って、本発明の複室容器は、例えば保存中に相互作用を引き起こす複数の物質(とりわけ、容器内への収容・密封後に加熱滅菌処理を必要とする複数の薬剤)を2以上の収容室に隔離して収容する用途に好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の多層フィルムおよびそれを用いた複室容器について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の多層フィルムを用いてなる複室容器の一実施形態を示す正面図である。
図1に示す複室容器10は、薬液等を収容、保存する室として易剥離シール部11によって隔てられた2つの収容室13a,13bを備えている。複室容器10の周縁部12は、いずれかの収容室13a,13bに強い押圧を加えた程度では容易に剥離することのない、いわゆる強シール部である。
【0020】
〔最内層〕
本発明の多層フィルムは、前述のように、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を最内層とするものである。
この最内層は、本発明の多層フィルムを用いて複室容器を形成する場合において、易剥離シール部等を形成する際のシール面となる方の表面側に配置されるものである。
【0021】
(ポリエチレン)
最内層を形成する上記の混合樹脂に用いられるポリエチレン(PE)の種類、性状は特に限定されるものではなく、当該混合樹脂には、いわゆる高圧法(分岐状)低密度ポリエチレン(HP−LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の、各種のPEを採用することができる。
【0022】
中でも、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、比較的低密度であり、かつ直鎖状であるPEが好適である。
上記混合樹脂に用いられるPEはホモポリマーに限定されるものではなく、コポリマーであってもよい。この場合のコモノマーとしては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1等のα−オレフィン類が好ましい。コモノマーの含有割合は20モル%以下であるのが好ましく、3〜20モル%程度であるのがより好ましい。
【0023】
上記混合樹脂に用いられるPEの密度は、前述のように特に限定されるものではなく、0.900g/cm3 から0.965g/cm3 までの、PEプラスチックとして一般的な密度の全範囲の中から適宜選択することができる。中でも、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、比較的低密度の範囲で、具体的には0.910〜0.930g/cm3 の範囲で設定するのがより好ましい。
【0024】
上記混合樹脂に用いられるPEのメルトフローレート(MFR)は、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、0.2〜20g/10分(190℃)であるのが好ましく、1〜15g/10分(190℃)であるのがより好ましい。
(ポリプロピレン)
上記混合樹脂に用いられるポリプロピレン(PP)の種類、性状は特に限定されるものではないが、PPとして一般的なアイソタクチックPPまたはシンジオタクチックPP(すなわち、結晶性のホモポリマー)、もしくはこれらを主成分とする結晶性のコポリマーを採用するのが好適である。
【0025】
上記結晶性コポリマーにおけるコモノマーとしては、エチレン、ブテンー1等のα−オレフィン類が好ましい。コモノマーの含有割合は30モル%以下であるのが好ましく、より好ましくは2〜30モル%程度、さらに好ましくは3〜25モル%程度である。
上記混合樹脂に用いられるPPのメルトフローレート(MFR)は、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、0.2〜20g/10分(190℃)であるのが好ましく、1〜15g/10分(190℃)であるのがより好ましい。
【0026】
(ポリ環状オレフィン)
上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンの種類、性状は特に限定されるものではなく、当該混合樹脂には従来公知の種々のポリ環状オレフィンを採用することができる。
ポリ環状オレフィンの具体例としては、例えばエチレンとジシクロペンタジエン類との共重合体、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体、シクロペンタジエン誘導体の開環重合体、種々のシクロペンタジエン誘導体の開環共重合体、ならびにそれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体の水素添加物、あるいは1種以上のシクロペンタジエン誘導体の開環(共)重合体水素添加物を用いるのが、多層フィルムの強度やガス・水分バリア性を良好なものとする上で好ましい。
【0027】
上記樹脂としては、例えば、下記一般式(1) で表される繰返し単位と下記一般式(1’)で表される繰返し単位とを有するポリマーや、下記一般式(2) で表される繰返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】
(式(1) および(1’)中、R1 ,R1’,R2 およびR2’は同一または異なって、水素、炭化水素残基、またはハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジル等の極性基を示す。R1 ,R1’,R2 およびR2’は互いに結合して環を形成してもよい。mおよびm’は1以上の整数、nおよびn’は0または1以上の整数である。)
【0030】
【化2】
【0031】
(式(2) 中、R3 およびR4 は同一または異なって、水素、炭化水素残基、またはハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジル等の極性基を示す。R3 およびR4 は互いに結合して環を形成してもよい。xおよびzは1以上の整数、yは0または1以上の整数である。)
一般式(1) および(1’)で表される繰返し単位を有するポリマーは、1種または2種以上の単量体を公知の開環重合方法によって重合させ、またはこうして得られる開環重合体を常法に従って水素添加したものである。当該ポリマーの具体例としては、日本ゼオン(株)製の水添重合体〔商品名「ゼオノア(R) 」、比重1.01、メルトフローレート(MFR)70g/10分(190℃)、ガラス転移温度(Tg)100℃〕、日本合成ゴム(株)製の商品名「ARTON(R) 」等が挙げられる。
【0032】
一般式(2) で表される構造単位を有するポリマーは、単量体としての、1種または2種以上のノルボルネン系モノマーと、エチレンとを公知の方法によって付加共重合させたもの、および/またはこれを常法に従って水素添加したものである。当該ポリマーの具体例としては、三井化学(株)製の商品名「アペル(R) 6509」〔比重1.02、MFR40g/10分(190℃)、ガラス転移温度(Tg)80℃〕、ティコナGmbH製の商品名「トパス(R) 」等が挙げられる。
【0033】
上記一般式(1),(1’)および(2) で表される繰返し単位を有するポリマーを含む上記例示の樹脂の中でも、その水素添加物は、いずれも飽和ポリマーであることから、ガス遮蔽性や水分遮蔽性に加えて、耐熱性や透明性、さらには安定性の点で優れている。
上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンは、易剥離シール部や強シール部を形成する条件の至適範囲をより一層広くすることや、加熱処理後におけるシール強度の変動をより一層小さくすること等の観点から、前述のように、そのガラス転移温度(Tg )が60〜150℃であるのが好ましく、特に80〜150℃であるのがより好ましい。
【0034】
上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンのメルトフローレート(MFR)は、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、4〜30g/10分(190℃)であるのが好ましい。
上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンの分子量は特に限定されるものではないが、数平均分子量<Mn>において1万〜10万であるのが好ましく、2万〜5万であるのがより好ましい。なお、分子量は、例えばシクロヘキサンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析によって測定することができる。
【0035】
(PEとPPとポリ環状オレフィンとの含有割合)
上記混合樹脂におけるポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とポリ環状オレフィンとの含有割合は特に限定されるものではないが、前述のように、上記いずれの成分についても10重量%以上、80重量%以下の範囲で含有するのが好ましい。
PEとPPとポリ環状オレフィンのいずれかの含有割合が上記範囲を外れると、易剥離シール部や強シール部のシール強度が不安定になったり、それに伴って当該シール部を形成する条件の至適範囲が狭くなったり、滅菌処理等による加熱を経た後でシール強度が大きく変動したりする等の問題を生じるおそれがある。
【0036】
PEとPPとポリ環状オレフィンとの含有割合は、上記範囲の中でも特に、PEの含有割合が10〜50重量%、PPの含有割合が20〜70重量%、およびポリ環状オレフィンの含有割合が10〜70重量%であるのが好ましい。
〔最内層以外の層(最外層または中間層)〕
本発明の多層フィルムにおいて、最内層以外の層には、好ましくは、ポリオレフィンの層が少なくとも1層配置される。
【0037】
上記の層を形成するポリオレフィンには、高密度であるか低密度であるか等を問わず、広い範囲から適宜選択することができる。従って、かかる層を形成するポリオレフィンとしては特に限定されるものではないが、医薬的に許容された樹脂であるのが好ましく、成形性および安全性の観点から、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン〔例えば、三井化学(株)の商品名「TPX」〕、ポリテトラフルオロエチレン等を採用するのが好適である。
【0038】
上記ポリオレフィンのうち、ポリエチレンとポリプロピレンについては、最内層の形成材料として詳細に例示したものと同じものを使用するのが、多層フィルムの成形性や成形品の力学的特性等の観点から、より好ましい。
最内層以外の層として設けられるポリオレフィンの層の好適例としては、前述のように、例えば
(I) 密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン2〜10重量%と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン90〜98重量%との混合樹脂の層、
(II)最外層側から配置される順に、密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、の2層の積層体、
および
(III) 最外層側から配置される順に、密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、の4層の積層体
が挙げられる。
【0039】
なかでも、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンとして、メタロセン触媒を用いて製造されたものを採用すると、耐衝撃性、バリア性等の特性をより一層向上させた多層フィルムを得ることができる。
本発明の多層フィルムにおいては、当該フィルムの熱シール性や柔軟性を損なわない範囲であれば、機械的特性を向上させたり、ガス・水分バリア性を付与・向上させたりすることを目的として、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エチレンビニルアルコール等を含む層を設けてもよい。
【0040】
また、さらに別の例として、例えば最内層に隣接して、ポリ環状オレフィン単独の層、またはポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合樹脂の層を設けることもできる。この場合、前述のように、多層フィルムのバリア性や薬剤の吸着防止効果をより一層向上させることができる。
最内層に隣接して設けられる上記のポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合樹脂の層において、ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合割合は特に限定されるものではないが、例えば重量比で1:4〜4:1とするのが好ましい。
【0041】
〔多層フィルムの製造方法等〕
本発明の多層フィルムを製造するには、水冷式または空冷式共押出しインフレーション法、共押出しTダイ法、ドライラミネーション法、押出しラミネーション法等が使用可能であるが、性能、特に透明性、経済性および衛生性等の点から水冷共押出しインフレーション法および共押出しTダイ法を使用するのが好ましい。
【0042】
いずれの方法においても、各層の樹脂が溶融する温度で実施する必要があるが、温度を上げ過ぎると樹脂の一部が熱劣化を起こし、劣化物による性能低下のおそれが生じる。従って、本発明の多層フィルムを製造する際の温度条件は、通常150〜250℃、好ましくは170〜200℃とするのが望ましい。
上記の方法により製造される本発明の多層フィルムの厚みは、その用途に応じて、例えば当該多層フィルムを用いて形成する複室容器に要求される強度、柔軟性等に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、通常、100〜300μmとなるように、より好ましくは200〜300μmとなるように設定される。但し、多層フィルムの強度等がその用途に応じた充分な値を備えているのであれば、その厚みは例えば80μm程度であってもよい。
【0043】
〔複室容器〕
本発明の複室容器の製造方法、とりわけ易剥離シール部等の形成方法については特に限定されるものではなく、複室容器(あるいは易剥離シール部)に関する従来公知の製造(形成)方法を採用することができる。
すなわち、複室容器10は、本発明の多層フィルム2枚を通常の方法により裁断し、それぞれの最内層(最内層側の表面)同士を重ね合わせてその周縁部12や各収容室13a,13b間の隔壁をヒートシールし、さらにその口部に口部材14等をヒートシール等の手段により取付けることによって製造される。
【0044】
また、本発明の多層フィルムにおける内層を内側にしてチューブ状に成形した上で、周縁部12や隔壁部分をヒートシールすることによって複室容器10を成形することもできる。
周縁部(強シール部)12のヒートシールの条件は、多層フィルムに使用している樹脂の種類やその厚さ等に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、通常、加熱温度は130〜200℃の範囲で、好ましくは140〜180℃の範囲で、加熱時間は0.5〜10秒間の範囲で、好ましくは1〜5秒間の範囲で、それぞれ設定される。
【0045】
易剥離シール部(隔壁部分)11のヒートシールの条件についても、多層フィルムに使用している樹脂の種類やその厚さ等に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、通常、加熱温度は110〜180℃の範囲で、好ましくは120〜170℃の範囲で、加熱時間は0.5〜10秒間の範囲で、好ましくは1〜5秒間の範囲で、それぞれ設定される。
口部材14には、本発明の多層フィルムにおける最内層との溶着性に優れた樹脂、例えばポリエチレンで成形したものを用いるのが好ましい。口部材14を融点約120〜130℃のポリエチレン製とした場合のヒートシールの条件としては、口部材を数秒間予備加熱した上で、約140〜170℃で約0.5〜5秒間の範囲で加熱すればよい。
【0046】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明について説明する。
〔多層フィルムおよび複室容器の製造〕
下記の実施例および比較例に使用した樹脂の性状は次のとおりである。
樹脂A:高密度ポリエチレン〔三井化学(株)製の製品名「ハイゼックス(R) 」,密度0.965g/cm3 ,MFR15g/10分(190℃)〕
樹脂B:メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の製品名「エボリュー(R) 」,密度0.905g/cm3 ,MFR1.5g/10分(190℃)〕
樹脂C:エチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の製品名「ウルトゼックス(R) Uz40」,密度0.940g/cm3 ,MFR2.1g/10分(190℃)〕
樹脂D:エチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の製品名「ウルトゼックス(R) Uz3020」,密度0.930g/cm3 ,MFR2.1g/10分(190℃)〕
樹脂E:ポリプロピレン〔三井化学(株)製の製品名「J103WA」,密度0.910g/cm3 ,MFR4.5g/10分(190℃)〕
樹脂F:エチレン・テトラシクロドデセン共重合体〔三井化学(株)製の製品名「アペル(R) 6509」,比重1.02,MFR40g/10分(190℃),ガラス転移温度80℃〕
(実施例1)
上記樹脂Dと樹脂Eと樹脂Fとを10:40:50の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Aと樹脂Bとを5:95の重量割合で混合してなる厚さ200μmの層(外層)とからなる多層フィルム(2層構造)を用いて、容量300mLの収容室(上室)13aと、容量700mLの収容室(下室)13bとを備える複室容器(輸液バッグ)10を作製した(図1参照)。
【0047】
複室容器10の周縁部(強シール部)12は、多層フィルムを175℃で5秒間加熱することによって形成した。上室13aと下室13bとを隔てる易剥離シール部11は、多層フィルムを128℃、136℃または138℃で4秒間加熱することによって形成した。
(実施例2)
上記樹脂Dと樹脂Eと樹脂Fとを30:50:20の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ160μmの層(中間層)と、上記樹脂Cを用いてなる厚さ50μmの層(外層)と、をこの順で積層してなる多層フィルム(3層構造)を用いたほかは、実施例1と同様にして複室容器10を作製した。
【0048】
(実施例3)
上記樹脂Dと樹脂Eと樹脂Fとを30:50:20の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層1)と、上記樹脂Aを用いてなる厚さ15μmの層(中間層2)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層3)と、上記樹脂Cを用いてなる厚さ15μmの層(外層)と、をこの順で積層してなる多層フィルム(5層構造)を用いたほかは、実施例1と同様にして複室容器10を作製した。
【0049】
(比較例1)
上記樹脂Dと樹脂Fとを80:20の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層1)と、上記樹脂Aを用いてなる厚さ15μmの層(中間層2)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層3)と、上記樹脂Cを用いてなる厚さ15μmの層(外層)と、をこの順で積層してなる多層フィルム(5層構造)を用いたほかは、実施例1と同様にして複室容器10を作製した。
【0050】
(比較例2)
上記樹脂Eと樹脂Fとを80:20の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層1)と、上記樹脂Aを用いてなる厚さ15μmの層(中間層2)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層3)と、上記樹脂Cを用いてなる厚さ15μmの層(外層)と、をこの順で積層してなる多層フィルム(5層構造)を用いたほかは、実施例1と同様にして複室容器10を作製した。
【0051】
上記実施例および比較例における多層フィルムの層構成を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
〔性能評価試験〕
上記実施例および比較例で得られた複室容器の上室13aおよび下室13bに、それぞれ容量分の蒸留水を充填して、115℃で15分間高圧蒸気滅菌を行なった。
滅菌処理前後におけるシール部のシール強度をJIS Z 0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に記載の方法(180度引きはがし法)に従って測定した。すなわち、シール部を幅15mmで切り取ってサンプルとし、このサンプルの200mm/分の速度で180°の方向に引っ張り、シール部が剥がれるときの強度(N/cm)をオートグラフ〔(株)島津製作所製〕で測定した。
【0054】
以上の結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2より明らかなように、実施例1〜3で得られた多層フィルムによれば、強度の安定した易剥離シール部を形成することができ、かかる易剥離シール部は滅菌処理後においてもそのシール強度に変化が見られなかった。さらに、強シール部についてはその強度を十分なものとすることができ、滅菌処理後においてもそのシール強度が低下する問題を生じることがなかった。
これに対し、比較例1および2の多層フィルムを用いて形成された強シール部は、加熱滅菌処理を経ることによってシール強度が低下した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複室容器の一実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
10 複室容器
11 易剥離シール部
12 周縁部(強シール部)
13a 収容室(上室)
13b 収容室(下室)
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層フィルムとそれを用いた複室容器とに関する。
【0002】
【従来の技術】
複室容器は、例えば保存中に相互作用を引き起こす複数の物質(薬剤等)を2以上の室に隔離して収容する容器であって、当該物質の使用時に収容室間を連通させることによって上記複数の物質が混合されるように設定されている。この複室容器は、主として医薬分野において普及している。
複室容器の各収容室を隔離する手段としては、従来、種々の方法が知られている。中でも、各収容室の隔離を達成するシール部の強度を、通常の条件下で複室容器を保存する際にはシールを維持し、いずれかの収容室に強い押圧を加えた時には剥離して収容室間を連通させる程度の、いわゆる易剥離性を示す程度に調節する方法は、複室容器の大量生産に向いている、品質が確立している、シール部の開封操作が容易である等の利点を有することから広く採用されている。例えば、大塚製薬(株)製の高カロリー輸液用液(製品名「アミノトリパ(R) 」)、味の素ファルマ(株)製の高カロリー輸液用液(製品名「ピーエヌツイン(R) 」)等における容器の製造には上記方法が採用されており、かかる方法によって形成されるいわゆる易剥離シール部を各収容室間の隔壁部に備えている。
【0003】
易剥離シールの形成方法として代表的なものには、例えばポリエチレンとポリプロピレンのような、相溶性が乏しく、融点に数度〜数十度の差がある樹脂の混合物を容器の最内層に使用し、熱シールの条件を調節することでシール部に易剥離性を付与する方法が挙げられる。かかる方法を採用することによって、そのシール強度を、複室容器を通常の条件下で保存する際には各収容室での隔離を維持し、いずれかの収容室に強い押圧を加えた時には収容室間を連通させ得る程度に調節することができる。
【0004】
しかしながら、複室容器内に薬液等を充填した上で、これを加熱滅菌処理に供すると、当該処理時に加えられる熱によって易剥離シール部のシール強度が大きくなってしまい、易剥離性が損なわれるといった問題を生じるおそれがある。
そこで、特許文献1には、加熱滅菌処理にシール強度が増大して各収容室間を隔てるシール部の易剥離性が損なわれてしまうのを防止する目的で、複室容器を形成するフィルムの最内層にポリ環状オレフィンと、ポリエチレンやポリプロピレン等の線状ポリオレフィンとの混合樹脂を用いることが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記公報に記載の複室容器によれば、加熱滅菌処理を経た後も各収容室間のシール部の易剥離性を維持することができるものの、易剥離シール部を形成する際の熱シール条件の至適範囲が極めて狭いことから、易剥離シール部の品質を安定させることが困難であるという問題がある。さらに、複室容器の周縁部のようにシール部の強度を強くすべき部分(強シール部)において、シール強度が加熱滅菌処理を経ることによって低下してしまうという問題もある。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−70331号公報(請求項1,段落〔0006〕)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、簡易な条件設定によって、シール強度の安定した易剥離シール部と強シール部とを形成することができ、しかも滅菌処理等による加熱を経た後においても、易剥離シール部や強シール部におけるシール強度の変動を抑制することのできる多層フィルムを提供することである。
本発明の他の目的は、シール強度が安定しており、滅菌処理等による加熱を経た後においてもシール強度の変動が抑制された易剥離シール部や強シール部を備える複室容器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、多層フィルムにおける複数の層のうち、複室容器の最内層をなす層について、ポリ環状オレフィンと線状ポリオレフィンとの2種の混合樹脂を用いるのではなく、ポリ環状オレフィンと、線状ポリオレフィンとしてのポリエチレンと、ポリプロピレンとの3種の混合樹脂を用いたときには、意外にも、易剥離シール部と強シール部とのいずれを形成する場合においても安定したシール強度を得ることができ、しかも滅菌処理等による加熱を経た後でのシール強度の変動を抑制することができるという新たな事実を見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る多層フィルムは、最内層として、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を備えるものである。
ここで、本発明の多層フィルムにおいて、「最内層」とは、多層フィルム同士を重ね合わせて複室容器等を形成する際に内表面側となる層(すなわち、複室容器の最内層となる層)、あるいはシール部を形成する際にシール面側となる層をいう。一方、「最外層」とは、複室容器等を形成する際に外表面側となる層(すなわち、複室容器の最外層となる層)をいう。
【0010】
本発明の多層フィルムによれば、最内層として、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を備えることによって熱シール条件の至適範囲が広くなり、前述のように、易剥離シール部と強シール部とのいずれを形成する場合においても安定したシール強度を得ることができる。さらに、本発明の多層フィルムによれば、シール部を形成した後で滅菌処理等の加熱処理を施した場合においても、易剥離シール部や強シール部におけるシール強度の変動を極めて小さなものとすることができる。
【0011】
従って、本発明の多層フィルムは、例えば保存中に相互作用を引き起こす複数の物質(とりわけ、容器内への収容・密封後に加熱滅菌処理を必要とする複数の薬剤)を2以上の収容室に隔離して収容するのに用いられる複室容器の形成材料として好適である。
本発明の多層フィルムにおいて、上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンのガラス転移温度は60〜150℃であるのが好ましい。上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンとして、そのガラス転移温度が上記範囲にあるものを用いることにより、易剥離シール部や強シール部を形成する条件の至適範囲をより一層広くすることや、加熱処理後におけるシール強度の変動をより一層小さくすること等の利点を得ることができる。
【0012】
本発明の多層フィルムにおいて、上記混合樹脂におけるポリエチレンの含有割合は10〜80重量%、ポリプロピレンの含有割合は10〜80重量%、およびポリ環状オレフィンの含有割合は10〜80重量%であるのが好ましい。
当該混合樹脂として、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの含有割合が上記範囲にあるものを用いることによって、易剥離シール部や強シール部を形成する条件の至適範囲をより一層広くすることや、加熱処理後におけるシール強度の変動をより一層小さくすること等の利点を得ることができる。
【0013】
上記混合樹脂におけるポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの含有割合は、上記範囲の中でも特に、ポリエチレンの含有割合が10〜50重量%、ポリプロピレンの含有割合が20〜70重量%、およびポリ環状オレフィンの含有割合が10〜70重量%であるのが好ましい。
本発明の多層フィルムは、最内層以外に、ポリオレフィンの層を少なくとも1層備えるものであるのが好ましい。
【0014】
ポリ環状オレフィンは硬度が高く、柔軟性が乏しいことから、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂のみからなるフィルムでは、例えば複室容器に要求されるような優れた柔軟性が得られにくくなるおそれがある。しかしながら、最内層以外にポリオレフィンの層を少なくとも1層設けることによって、多層フィルム全体としての柔軟性を優れたものとすることができる。
【0015】
本発明の多層フィルムにおいて、最内層以外に少なくとも1層設けられるポリオレフィンの層としては、例えば、
(I) 密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン2〜10重量%と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン90〜98重量%との混合樹脂の層、
(II)最外層側から順に、密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層との2層、
または
(III) 最外層側から順に、密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層との4層、
であるのが、多層フィルムの柔軟性、易剥離シール部および強シール部のシール強度ならびにその安定性、シール部の形成条件の至適範囲等をより一層優れたものにするという観点からより好ましい。
【0016】
特に、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンとして、メタロセン触媒を用いて製造されたものを採用したときには、多層フィルムの諸特性(特に、耐衝撃性やバリア性)をより一層向上させることができる。本発明の多層フィルムは、最内層に隣接して、ポリ環状オレフィンの層またはポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合樹脂の層を備えるのが好ましい。
この場合、多層フィルムのバリア性や薬剤の吸着防止効果をより一層向上させることができる。
【0017】
上記課題を解決するための本発明に係る複室容器は、本発明に係る多層フィルムを袋状に形成してなるものであって、当該フィルムの最内層側の表面同士を易剥離接着させることによって隔てられた2以上の収容室を備えるものである。
本発明の複室容器によれば、本発明に係る多層フィルムを使用して、その最内層側の表面同士を重ね合わせて易剥離シール部や強シール部を形成することから、当該シール部のシール強度を安定したものとすることができ、滅菌処理等による加熱を経た後においてもシール強度が変動するのを抑制することができる。
【0018】
従って、本発明の複室容器は、例えば保存中に相互作用を引き起こす複数の物質(とりわけ、容器内への収容・密封後に加熱滅菌処理を必要とする複数の薬剤)を2以上の収容室に隔離して収容する用途に好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の多層フィルムおよびそれを用いた複室容器について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の多層フィルムを用いてなる複室容器の一実施形態を示す正面図である。
図1に示す複室容器10は、薬液等を収容、保存する室として易剥離シール部11によって隔てられた2つの収容室13a,13bを備えている。複室容器10の周縁部12は、いずれかの収容室13a,13bに強い押圧を加えた程度では容易に剥離することのない、いわゆる強シール部である。
【0020】
〔最内層〕
本発明の多層フィルムは、前述のように、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を最内層とするものである。
この最内層は、本発明の多層フィルムを用いて複室容器を形成する場合において、易剥離シール部等を形成する際のシール面となる方の表面側に配置されるものである。
【0021】
(ポリエチレン)
最内層を形成する上記の混合樹脂に用いられるポリエチレン(PE)の種類、性状は特に限定されるものではなく、当該混合樹脂には、いわゆる高圧法(分岐状)低密度ポリエチレン(HP−LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の、各種のPEを採用することができる。
【0022】
中でも、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、比較的低密度であり、かつ直鎖状であるPEが好適である。
上記混合樹脂に用いられるPEはホモポリマーに限定されるものではなく、コポリマーであってもよい。この場合のコモノマーとしては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1等のα−オレフィン類が好ましい。コモノマーの含有割合は20モル%以下であるのが好ましく、3〜20モル%程度であるのがより好ましい。
【0023】
上記混合樹脂に用いられるPEの密度は、前述のように特に限定されるものではなく、0.900g/cm3 から0.965g/cm3 までの、PEプラスチックとして一般的な密度の全範囲の中から適宜選択することができる。中でも、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、比較的低密度の範囲で、具体的には0.910〜0.930g/cm3 の範囲で設定するのがより好ましい。
【0024】
上記混合樹脂に用いられるPEのメルトフローレート(MFR)は、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、0.2〜20g/10分(190℃)であるのが好ましく、1〜15g/10分(190℃)であるのがより好ましい。
(ポリプロピレン)
上記混合樹脂に用いられるポリプロピレン(PP)の種類、性状は特に限定されるものではないが、PPとして一般的なアイソタクチックPPまたはシンジオタクチックPP(すなわち、結晶性のホモポリマー)、もしくはこれらを主成分とする結晶性のコポリマーを採用するのが好適である。
【0025】
上記結晶性コポリマーにおけるコモノマーとしては、エチレン、ブテンー1等のα−オレフィン類が好ましい。コモノマーの含有割合は30モル%以下であるのが好ましく、より好ましくは2〜30モル%程度、さらに好ましくは3〜25モル%程度である。
上記混合樹脂に用いられるPPのメルトフローレート(MFR)は、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、0.2〜20g/10分(190℃)であるのが好ましく、1〜15g/10分(190℃)であるのがより好ましい。
【0026】
(ポリ環状オレフィン)
上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンの種類、性状は特に限定されるものではなく、当該混合樹脂には従来公知の種々のポリ環状オレフィンを採用することができる。
ポリ環状オレフィンの具体例としては、例えばエチレンとジシクロペンタジエン類との共重合体、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体、シクロペンタジエン誘導体の開環重合体、種々のシクロペンタジエン誘導体の開環共重合体、ならびにそれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、エチレンとノルボルネン系化合物との共重合体の水素添加物、あるいは1種以上のシクロペンタジエン誘導体の開環(共)重合体水素添加物を用いるのが、多層フィルムの強度やガス・水分バリア性を良好なものとする上で好ましい。
【0027】
上記樹脂としては、例えば、下記一般式(1) で表される繰返し単位と下記一般式(1’)で表される繰返し単位とを有するポリマーや、下記一般式(2) で表される繰返し単位を有するポリマーが挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】
(式(1) および(1’)中、R1 ,R1’,R2 およびR2’は同一または異なって、水素、炭化水素残基、またはハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジル等の極性基を示す。R1 ,R1’,R2 およびR2’は互いに結合して環を形成してもよい。mおよびm’は1以上の整数、nおよびn’は0または1以上の整数である。)
【0030】
【化2】
【0031】
(式(2) 中、R3 およびR4 は同一または異なって、水素、炭化水素残基、またはハロゲン、エステル、ニトリル、ピリジル等の極性基を示す。R3 およびR4 は互いに結合して環を形成してもよい。xおよびzは1以上の整数、yは0または1以上の整数である。)
一般式(1) および(1’)で表される繰返し単位を有するポリマーは、1種または2種以上の単量体を公知の開環重合方法によって重合させ、またはこうして得られる開環重合体を常法に従って水素添加したものである。当該ポリマーの具体例としては、日本ゼオン(株)製の水添重合体〔商品名「ゼオノア(R) 」、比重1.01、メルトフローレート(MFR)70g/10分(190℃)、ガラス転移温度(Tg)100℃〕、日本合成ゴム(株)製の商品名「ARTON(R) 」等が挙げられる。
【0032】
一般式(2) で表される構造単位を有するポリマーは、単量体としての、1種または2種以上のノルボルネン系モノマーと、エチレンとを公知の方法によって付加共重合させたもの、および/またはこれを常法に従って水素添加したものである。当該ポリマーの具体例としては、三井化学(株)製の商品名「アペル(R) 6509」〔比重1.02、MFR40g/10分(190℃)、ガラス転移温度(Tg)80℃〕、ティコナGmbH製の商品名「トパス(R) 」等が挙げられる。
【0033】
上記一般式(1),(1’)および(2) で表される繰返し単位を有するポリマーを含む上記例示の樹脂の中でも、その水素添加物は、いずれも飽和ポリマーであることから、ガス遮蔽性や水分遮蔽性に加えて、耐熱性や透明性、さらには安定性の点で優れている。
上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンは、易剥離シール部や強シール部を形成する条件の至適範囲をより一層広くすることや、加熱処理後におけるシール強度の変動をより一層小さくすること等の観点から、前述のように、そのガラス転移温度(Tg )が60〜150℃であるのが好ましく、特に80〜150℃であるのがより好ましい。
【0034】
上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンのメルトフローレート(MFR)は、ポリ環状オレフィンを含む混合樹脂の成形性や成形品の力学的特性等の観点から、4〜30g/10分(190℃)であるのが好ましい。
上記混合樹脂に用いられるポリ環状オレフィンの分子量は特に限定されるものではないが、数平均分子量<Mn>において1万〜10万であるのが好ましく、2万〜5万であるのがより好ましい。なお、分子量は、例えばシクロヘキサンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析によって測定することができる。
【0035】
(PEとPPとポリ環状オレフィンとの含有割合)
上記混合樹脂におけるポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とポリ環状オレフィンとの含有割合は特に限定されるものではないが、前述のように、上記いずれの成分についても10重量%以上、80重量%以下の範囲で含有するのが好ましい。
PEとPPとポリ環状オレフィンのいずれかの含有割合が上記範囲を外れると、易剥離シール部や強シール部のシール強度が不安定になったり、それに伴って当該シール部を形成する条件の至適範囲が狭くなったり、滅菌処理等による加熱を経た後でシール強度が大きく変動したりする等の問題を生じるおそれがある。
【0036】
PEとPPとポリ環状オレフィンとの含有割合は、上記範囲の中でも特に、PEの含有割合が10〜50重量%、PPの含有割合が20〜70重量%、およびポリ環状オレフィンの含有割合が10〜70重量%であるのが好ましい。
〔最内層以外の層(最外層または中間層)〕
本発明の多層フィルムにおいて、最内層以外の層には、好ましくは、ポリオレフィンの層が少なくとも1層配置される。
【0037】
上記の層を形成するポリオレフィンには、高密度であるか低密度であるか等を問わず、広い範囲から適宜選択することができる。従って、かかる層を形成するポリオレフィンとしては特に限定されるものではないが、医薬的に許容された樹脂であるのが好ましく、成形性および安全性の観点から、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン〔例えば、三井化学(株)の商品名「TPX」〕、ポリテトラフルオロエチレン等を採用するのが好適である。
【0038】
上記ポリオレフィンのうち、ポリエチレンとポリプロピレンについては、最内層の形成材料として詳細に例示したものと同じものを使用するのが、多層フィルムの成形性や成形品の力学的特性等の観点から、より好ましい。
最内層以外の層として設けられるポリオレフィンの層の好適例としては、前述のように、例えば
(I) 密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン2〜10重量%と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン90〜98重量%との混合樹脂の層、
(II)最外層側から配置される順に、密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、の2層の積層体、
および
(III) 最外層側から配置される順に、密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン層と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、の4層の積層体
が挙げられる。
【0039】
なかでも、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンとして、メタロセン触媒を用いて製造されたものを採用すると、耐衝撃性、バリア性等の特性をより一層向上させた多層フィルムを得ることができる。
本発明の多層フィルムにおいては、当該フィルムの熱シール性や柔軟性を損なわない範囲であれば、機械的特性を向上させたり、ガス・水分バリア性を付与・向上させたりすることを目的として、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エチレンビニルアルコール等を含む層を設けてもよい。
【0040】
また、さらに別の例として、例えば最内層に隣接して、ポリ環状オレフィン単独の層、またはポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合樹脂の層を設けることもできる。この場合、前述のように、多層フィルムのバリア性や薬剤の吸着防止効果をより一層向上させることができる。
最内層に隣接して設けられる上記のポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合樹脂の層において、ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合割合は特に限定されるものではないが、例えば重量比で1:4〜4:1とするのが好ましい。
【0041】
〔多層フィルムの製造方法等〕
本発明の多層フィルムを製造するには、水冷式または空冷式共押出しインフレーション法、共押出しTダイ法、ドライラミネーション法、押出しラミネーション法等が使用可能であるが、性能、特に透明性、経済性および衛生性等の点から水冷共押出しインフレーション法および共押出しTダイ法を使用するのが好ましい。
【0042】
いずれの方法においても、各層の樹脂が溶融する温度で実施する必要があるが、温度を上げ過ぎると樹脂の一部が熱劣化を起こし、劣化物による性能低下のおそれが生じる。従って、本発明の多層フィルムを製造する際の温度条件は、通常150〜250℃、好ましくは170〜200℃とするのが望ましい。
上記の方法により製造される本発明の多層フィルムの厚みは、その用途に応じて、例えば当該多層フィルムを用いて形成する複室容器に要求される強度、柔軟性等に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、通常、100〜300μmとなるように、より好ましくは200〜300μmとなるように設定される。但し、多層フィルムの強度等がその用途に応じた充分な値を備えているのであれば、その厚みは例えば80μm程度であってもよい。
【0043】
〔複室容器〕
本発明の複室容器の製造方法、とりわけ易剥離シール部等の形成方法については特に限定されるものではなく、複室容器(あるいは易剥離シール部)に関する従来公知の製造(形成)方法を採用することができる。
すなわち、複室容器10は、本発明の多層フィルム2枚を通常の方法により裁断し、それぞれの最内層(最内層側の表面)同士を重ね合わせてその周縁部12や各収容室13a,13b間の隔壁をヒートシールし、さらにその口部に口部材14等をヒートシール等の手段により取付けることによって製造される。
【0044】
また、本発明の多層フィルムにおける内層を内側にしてチューブ状に成形した上で、周縁部12や隔壁部分をヒートシールすることによって複室容器10を成形することもできる。
周縁部(強シール部)12のヒートシールの条件は、多層フィルムに使用している樹脂の種類やその厚さ等に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、通常、加熱温度は130〜200℃の範囲で、好ましくは140〜180℃の範囲で、加熱時間は0.5〜10秒間の範囲で、好ましくは1〜5秒間の範囲で、それぞれ設定される。
【0045】
易剥離シール部(隔壁部分)11のヒートシールの条件についても、多層フィルムに使用している樹脂の種類やその厚さ等に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、通常、加熱温度は110〜180℃の範囲で、好ましくは120〜170℃の範囲で、加熱時間は0.5〜10秒間の範囲で、好ましくは1〜5秒間の範囲で、それぞれ設定される。
口部材14には、本発明の多層フィルムにおける最内層との溶着性に優れた樹脂、例えばポリエチレンで成形したものを用いるのが好ましい。口部材14を融点約120〜130℃のポリエチレン製とした場合のヒートシールの条件としては、口部材を数秒間予備加熱した上で、約140〜170℃で約0.5〜5秒間の範囲で加熱すればよい。
【0046】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明について説明する。
〔多層フィルムおよび複室容器の製造〕
下記の実施例および比較例に使用した樹脂の性状は次のとおりである。
樹脂A:高密度ポリエチレン〔三井化学(株)製の製品名「ハイゼックス(R) 」,密度0.965g/cm3 ,MFR15g/10分(190℃)〕
樹脂B:メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の製品名「エボリュー(R) 」,密度0.905g/cm3 ,MFR1.5g/10分(190℃)〕
樹脂C:エチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の製品名「ウルトゼックス(R) Uz40」,密度0.940g/cm3 ,MFR2.1g/10分(190℃)〕
樹脂D:エチレン・1−ブテン共重合体〔三井化学(株)製の製品名「ウルトゼックス(R) Uz3020」,密度0.930g/cm3 ,MFR2.1g/10分(190℃)〕
樹脂E:ポリプロピレン〔三井化学(株)製の製品名「J103WA」,密度0.910g/cm3 ,MFR4.5g/10分(190℃)〕
樹脂F:エチレン・テトラシクロドデセン共重合体〔三井化学(株)製の製品名「アペル(R) 6509」,比重1.02,MFR40g/10分(190℃),ガラス転移温度80℃〕
(実施例1)
上記樹脂Dと樹脂Eと樹脂Fとを10:40:50の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Aと樹脂Bとを5:95の重量割合で混合してなる厚さ200μmの層(外層)とからなる多層フィルム(2層構造)を用いて、容量300mLの収容室(上室)13aと、容量700mLの収容室(下室)13bとを備える複室容器(輸液バッグ)10を作製した(図1参照)。
【0047】
複室容器10の周縁部(強シール部)12は、多層フィルムを175℃で5秒間加熱することによって形成した。上室13aと下室13bとを隔てる易剥離シール部11は、多層フィルムを128℃、136℃または138℃で4秒間加熱することによって形成した。
(実施例2)
上記樹脂Dと樹脂Eと樹脂Fとを30:50:20の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ160μmの層(中間層)と、上記樹脂Cを用いてなる厚さ50μmの層(外層)と、をこの順で積層してなる多層フィルム(3層構造)を用いたほかは、実施例1と同様にして複室容器10を作製した。
【0048】
(実施例3)
上記樹脂Dと樹脂Eと樹脂Fとを30:50:20の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層1)と、上記樹脂Aを用いてなる厚さ15μmの層(中間層2)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層3)と、上記樹脂Cを用いてなる厚さ15μmの層(外層)と、をこの順で積層してなる多層フィルム(5層構造)を用いたほかは、実施例1と同様にして複室容器10を作製した。
【0049】
(比較例1)
上記樹脂Dと樹脂Fとを80:20の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層1)と、上記樹脂Aを用いてなる厚さ15μmの層(中間層2)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層3)と、上記樹脂Cを用いてなる厚さ15μmの層(外層)と、をこの順で積層してなる多層フィルム(5層構造)を用いたほかは、実施例1と同様にして複室容器10を作製した。
【0050】
(比較例2)
上記樹脂Eと樹脂Fとを80:20の重量割合で混合してなる厚さ30μmの層(内層)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層1)と、上記樹脂Aを用いてなる厚さ15μmの層(中間層2)と、上記樹脂Bを用いてなる厚さ90μmの層(中間層3)と、上記樹脂Cを用いてなる厚さ15μmの層(外層)と、をこの順で積層してなる多層フィルム(5層構造)を用いたほかは、実施例1と同様にして複室容器10を作製した。
【0051】
上記実施例および比較例における多層フィルムの層構成を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
〔性能評価試験〕
上記実施例および比較例で得られた複室容器の上室13aおよび下室13bに、それぞれ容量分の蒸留水を充填して、115℃で15分間高圧蒸気滅菌を行なった。
滅菌処理前後におけるシール部のシール強度をJIS Z 0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に記載の方法(180度引きはがし法)に従って測定した。すなわち、シール部を幅15mmで切り取ってサンプルとし、このサンプルの200mm/分の速度で180°の方向に引っ張り、シール部が剥がれるときの強度(N/cm)をオートグラフ〔(株)島津製作所製〕で測定した。
【0054】
以上の結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2より明らかなように、実施例1〜3で得られた多層フィルムによれば、強度の安定した易剥離シール部を形成することができ、かかる易剥離シール部は滅菌処理後においてもそのシール強度に変化が見られなかった。さらに、強シール部についてはその強度を十分なものとすることができ、滅菌処理後においてもそのシール強度が低下する問題を生じることがなかった。
これに対し、比較例1および2の多層フィルムを用いて形成された強シール部は、加熱滅菌処理を経ることによってシール強度が低下した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複室容器の一実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
10 複室容器
11 易剥離シール部
12 周縁部(強シール部)
13a 収容室(上室)
13b 収容室(下室)
Claims (11)
- 最内層として、ポリエチレンとポリプロピレンとポリ環状オレフィンとの混合樹脂の層を備える多層フィルム。
- 上記ポリ環状オレフィンのガラス転移温度が60〜150℃である請求項1記載の多層フィルム。
- 上記混合樹脂におけるポリエチレンの含有割合が10〜80重量%、ポリプロピレンの含有割合が10〜80重量%、およびポリ環状オレフィンの含有割合が10〜80重量%である請求項1または2記載の多層フィルム。
- 上記混合樹脂におけるポリエチレンの含有割合が10〜50重量%、ポリプロピレンの含有割合が20〜70重量%、およびポリ環状オレフィンの含有割合が10〜70重量%である請求項3記載の多層フィルム。
- 上記最内層以外に、ポリオレフィンの層を少なくとも1層備える請求項1〜4のいずれかに記載の多層フィルム。
- 上記ポリオレフィンの層が、密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン2〜10重量%と、密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン90〜98重量%との混合樹脂の層である請求項5記載の多層フィルム。
- 上記ポリオレフィンの層が、最外層側から順に、
密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、
密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、
である請求項5記載の多層フィルム。 - 上記ポリオレフィンの層が、最外層側から順に、
密度0.930〜0.950g/cm3 の直鎖状ポリエチレン層と、
密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、
密度0.955〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン層と、
密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン層と、
である請求項5記載の多層フィルム。 - 密度0.860〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンがメタロセン触媒を用いて製造されたものである請求項6〜8のいずれかに記載の多層フィルム。
- 上記最内層に隣接して、ポリ環状オレフィンの層またはポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合樹脂の層を備える請求項1〜9のいずれかに記載の多層フィルム。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の多層フィルムを袋状に形成してなる容器であって、当該フィルムの最内層側の表面同士を易剥離接着させることによって隔てられた2以上の収容室を備える複室容器。
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