JP4874506B2 - 摩擦引出しスライド - Google Patents

Description

【０００１】
発明の属する技術分野
本発明は引出しスライドに関し、とりわけ、本発明は入れ子式摩擦引出しスライドに関する。
【０００２】
従来の技術
ファイル引出し等用の入れ子式スライドは、キャビネット及び他のラックに取り付ける用途において使用することが望ましいことが多い。このようなスライドは、引出しの内部を容易に操作することができる。このスライドは、引出しがキャビネットから引かれる距離に関わらず、引出しを水平位置に保持している。また、このスライドは、延伸可能な棚及びキャビネットの取り付けにも有用である。一般的な引出しは、スライドが引出しの外側垂直壁に取り付けられた、引出しをキャビネット又はエンクロージャへ留める二つのスライドを有することがしばしばある。
【０００３】
摩擦引出しスライドは、一般に、摺動係合で互いに対して接触する部材を有する。摩擦引出しスライドの一つの利点は、玉軸受がないということである。一方、一般的な摩擦引出しスライドの一つの不利な点は操作時の騒音である。一般的な摩擦引出しスライドの別の不利な点は、特に磨耗後の大きな摩擦に起因して開けるのが難しいことである。
【０００４】
発明の概要
本発明の一実施例の入れ子式引出しスライドは、長手方向長さを有するウェブとウェブの長手方向縁に沿ったアームとを各々が有する第一、第二及び第三引出しスライドを有する。第二引出しスライドは、第一引出しスライドの弧状アーム内に収納されている。入れ子式引出しスライドは、第二引出しスライドと第一引出しスライドの間のロックを有し、このロックは、回転可能に第二引出しスライドに連結された、付勢されたタブと、第一引出しスライド上のエンボスとを有する。タブは、エンボスを通って移動する時にエンボスの一部分内に移動する。
【０００５】
一実施例において、タブは重力で付勢されている。タブは、第三引出しスライドによってエンボスを通って移動させられ、それにより、第三引出しが第二引出しに関して閉まった後に第二引出しスライドが第一引出しスライドに関して閉まりうる。
【０００６】
一実施例において、エンボスは、第一引出しスライドの弧状アームに向けて傾斜している、角度の付いた部分と、長手方向縁部を有する広い部分と、狭い部分に至る縁部とを有する。第二引出しスライドが第一引出しスライドから引かれる時、タブは狭い部分に移動し、閉まるのが縁部によって防がれる。
【０００８】
一実施例において、第一引出しスライドのアームは、第二引出しスライドのアームに向けて弓状である側部を有する。第二引出しスライドのアームは、第一引出しスライドのアーム内に収納され、アームの弓状部の先端に沿った接触領域と、接触領域に隣接した貯め部とを形成している。
【０００９】
さらなる別の実施例において、第三引出しスライドのアームは、第二引出しスライドのアームに向けて弓状である側部を有する。第三引出しスライドのアームは、第二引出しスライドのアーム内に収納され、第三引出しのアームの弓状部の先端に沿った接触領域と、接触領域に隣接した貯め部とを形成している。
【００１５】
本発明の一実施例の入れ子式引出しスライドは、約０．９５ｃｍ（約０．３７５インチ）の幅で約２．５ｃｍ（約１インチ）の高さの寸法の、引出しとキャビネットの間の空間部の内側に嵌め合わされる。
【００１６】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の記載及び添付図面に一部が記載されている。
【００１７】
発明の詳細な説明
本発明の引出しスライドが図１に示されている。図１に示すように、例示的な引出しスライドは、別個の三つのスライド部材を有する。図１に示す三つのスライド部材は、外側スライド部材（第一引出しスライド）１０と、中間スライド部材（第二引出しスライド）２０と、内側スライド部材（第三引出しスライド）３０である。三つのスライド部材は、全て摺動可能に互いに接続されている。別実施例では、引出しスライドは４つ以上のスライド部材を有する。
【００１８】
以下の記載において、内側スライド部材が引出しに取り付けられ、外側スライド部材がキャビネットに取り付けられることを仮定する。実際、外側スライド部材が引出しに取り付けられ、内側スライド部材がキャビネットに取り付けられてもよい。さらに、本発明の実施例による同引出しスライドは、いかなる修正なく引出しの両側に取り付けることができる。
【００１９】
引出しが閉まっている時、スライド部材は互いに嵌め合わされる。一実施例において、引出しスライドは、約０．９５ｃｍ（約０．３７５インチ）の幅で約２．５ｃｍ（約１インチ）の高さの寸法の、引出しとキャビネットの間の空間部の内側に嵌め合わされる。これを実現するために、スライド部材は、内側部材から、中間部材、外側部材に向けて厚さが増している。内側スライド部材３０は中間スライド部材２０内で入れ子式になっており、中間スライド部材２０は外側スライド部材１０内で入れ子式になっている。
【００２０】
図１に示すように、外側スライド部材１０は外側垂直ウェブ１２と二つの外側案内部１４とを有する。各案内部１４は、外側垂直ウェブ１２から引出しに向けて延びている水平部１６と、内側に配向された垂直部１８とを有する。案内部の水平部１６及び垂直部１８は、外側垂直ウェブ１２の一部と組合わせて、中間スライド部材２０の中間案内部を包囲する。
【００２１】
外側案内部の水平部１６はわずかに内側に窪んでいる。以下に説明するように、外側スライド部材の水平部１６の弓状部は、中間スライド部材２０の中間案内部の外側面上で摺動させられる。中間スライド部材２０の中間案内部の外側は、外側スライド部材１０の水平部１６の中間において湾曲部の上部のみと接触する。これにより、外側スライド部材１０と内側スライド部材２０の間の摩擦を低減する。同様に、外側案内部は内側に弓状となっているので、小さなポケット部１９が案内部の縁部に形成されており、このポケット部１９において、外側垂直ウェブ１２が水平部１６と接触し、かつ水平部１６は垂直部１８と接触する。小さなポケット部１９は、外側スライド部材１０の長さに沿って延び、かつ材料を潤滑するための貯め部として機能する。小さなポケット部１９は、スライドの使用中に係合面の磨耗時に生成される材料の微小粒子を保管する場としても機能する。
【００２２】
外側スライド部材１０の外側垂直ウェブ１２は、外側スライド部材をキャビネット又は引出しに取り付けることができる多数の穴を有する。本発明の一実施例において、外側スライド部材はねじでキャビネットに取り付けられている。別実施例において、外側スライド部材は、釘、ナット、接着剤及びナット等の他の取り付け装置を用いて取り付けられている。本発明のさらに別の実施例において、一つ以上のブラケットが外側スライド部材に取り付けられ、ブラケット自体がキャビネット又は引出しに取り付けられる。
【００２３】
中間スライド部材２０は中間案内部２５を有する。中間案内部２５は、中間垂直ウェブ２２に取り付けられた水平部を有して形成されている。各案内部は、反対の案内部に面する垂直部を有する。この水平部及び垂直部は、中間の垂直ウェブと組合わせて、内側スライド部材３０のスライダ部を包囲する包囲空間を形成する。外側スライド部材１０の案内部の水平部とは対照的に、中間案内部２５の水平部は窪んでいない。中間案内部２５の内側は鋭い角部を有する。中間案内部の外側の角部は、前述の外側案内部の内側上にポケット部１９を形成するのを助けるように湾曲している。
【００２４】
中間スライド部材２０は中間垂直ウェブ２２も有する。スライド部材の垂直中心における中間垂直ウェブ２２の一部分は、ハット部２４を形成するように引出しに向けて曲げられている。ハット部２４は、中間垂直ウェブから、中間垂直ウェブよりも引出しに近くに位置決めされた垂直部へ至る角度の付いた二つの部分を有する。ハット部は、外側スライド部材をキャビネット又は引出しに取り付けるために使用されているねじ又は他の手段で嵌め合わされるように形成されている。さらに、ハット部を設けることにより、中間スライド部材の強度及び安定性が増す。一実施例において、ハット部は、８つのねじ頭又は均等なねじ頭から離れるのに十分に内側にへこんでいる。
【００２５】
内側スライド部材３０は、中間スライド部材の中間案内部の内側で摺動するスライダ部３１を有する。スライダ部３１は、それ自体上で１８０°戻って曲げられた垂直片で作られており、中間案内部２５の内側面上で摺動する縁部３２を形成している。縁部３２は、内側スライド部材３０と中間スライド部材２０の間で点接触し、摩擦、及び内側スライド部材を延伸及び後退させるのに必要な力を低減する。
【００２６】
内側スライド部材は内側ハット部３３も有する。内側ハット部３３は、垂直部３５に至る角度の付いた側部３４を有する。本発明の一実施例において、内側スライド部材の垂直部３５は、キャビネット又は引出しに取り付けるための穴を有する。一実施例において、内側スライド部材はねじを用いて取り付けられている。別実施例において、内側スライド部材は、釘、ナット、接着剤及びリベットなどの他の取り付け装置を用いて取り付けることができる。内側スライド部材のハット部３３は、８つのねじ又は均等なねじ頭のクリアランスを許容するように、中間スライド部材のハット部から十分に離れて隆起している。内側スライド部材３０のハット部３３は、中間スライド部材のハット部と内側スライド部材のハット部の接触を防ぐように、中間スライド部材のハット部から十分に離れて隆起している。
【００２７】
内側スライド部材は二つの端部を有する。第一端部は、閉位置と対向しており、スライドが開いている時にスライドの一つの終わりの地点を形成している。内側スライド部材の第一端部は、ハット部を横断するタブを有する。内側スライド部材が完全に閉められた時にタブが中間スライド部材に衝突するので、タブは係止部として機能する。
【００２８】
内側スライド部材の第二端部は第一端部と対向している。内側スライド部材は中間スライド部材から取り外し可能である。中間スライド部材から取り外した後、内側スライド部材の第二端部は、再挿入のために中間スライド部材に配向されなければならない。図２に示すように、内側スライド部材の第二端部は傾斜しており、それゆえ、スライダの端部は、内側スライド部材へ戻って角度を付けられている。この内側スライド部材の傾斜した第二端部により、スライド部材を中間スライド部材の端部と整列させることができる。この内側スライド部材の第二端部は、さらに、内側スライド部材と中間スライド部材の間で整列するのにさらに役に立つ。
【００２９】
予め形成された形状の内側スライド部材において、傾斜した第二端部が設けられている。この傾斜により、内側スライド部材を剪断することによって生じるばりを除去する必要をなくす。これは、ばりがあることで表面の時期尚早の欠陥をもたらして干渉を増し、引出しスライドの使用時に内側スライド部材を移動させるのに要求される力を後で増すので有利である。
【００３０】
内側スライド部材、中間スライド部材及び外側スライド部材は、互いに関して摺動する。引出しを両側上で一様に摺動させ続けるために、引出しは、シーケンスと呼ばれる処理で同様に開閉するように形成されている。以下にさらに説明するように、ロック及び戻り止めを使用することによって、中間スライド部材２０は、最初に外側スライド部材１０から引かれる。一旦、中間スライド部材２０は外側スライド部材１０から完全に延ばされると、内側スライド部材３０は中間スライド部材１０から解放される。同様に、引出しスライドを閉める時、内側スライド部材３０は中間スライド部材２０の内側へ戻って閉められる。内側スライド部材３０が中間スライド部材２０の完全に内側にある時、中間スライド部材２０は外側スライド部材１０内で閉まるように解放される。
【００３１】
本発明の別実施例において、中間スライド部材が外側スライド部材１０から開く前に、内側スライド部材３０は中間スライド部材２０から開く。同様に、この別実施例において、内側スライド部材３０が中間スライド部材２０の内側に閉まる前に、中間スライド部材２０は外側スライド部材２０の内側に閉まる。
【００３２】
本発明の第一実施例において、図３に示すように、ロックが内側スライド部材３０と中間スライド部材２０の間に配置されており、内側スライド部材３０を中間スライド部材２０から予め定めた地点を越えて引くことができない。第一実施例において、内側スライド部材は、内側スライド部材の内側上における内側スライド部材の第二端部から約３分の１の位置に位置する、ばねで形成された係止部２６を有する。ばねで形成された係止部は、内側スライド部材から中間スライド部材２０に向けて延びている第一部分を有する。第一部分の端部に矩形部２８がある。矩形部２８は、第一部分によって、中間スライド部材に向けて付勢されている。
【００３３】
中間スライド部材は、ばねで形成された係止部の矩形部分を捕捉する穴２７を有する。中間スライド部材は二つの端部を有する。中間スライド部材の第一端部は、内側スライド部材が延ばされている時、内側スライド部材の第二端部に配向されている。本発明の一実施例において、ばねで形成された係止部を捕捉する穴２７は、中間スライド部材の第一端部近傍に位置決めされている。中間スライド部材の第二端部は、中間スライド部材の第一端部の反対に配向されている。
【００３４】
ばねで形成された係止部は、中間スライド部材の穴２７を通過する時、ばねで形成された係止部は穴２７内に入る。一旦、ばねで形成された係止部が穴２７内に入ると、ばねで形成された係止部は、中間スライド部材の穴の縁部に衝撃を与え、内側スライド部材が、中間スライド部材からさらに延伸させられるのを防ぐ。これにより、内側スライド部材が中間スライド部材から事故的に取り外されるのを防ぎ、それゆえ、キャビネットから引出しを事故的に取り外されるのを防ぐ。手で押してばねで形成された係止部２６を中間スライド部材の穴２７から外すことによって、内側スライド部材を中間スライド部材から取り外す、それゆえ、キャビネットから引出しを取り外すことが可能である。
【００３５】
一旦、内側スライド部材が全体的に延ばされ、ばねで形成された係止部２６が中間スライド部材の穴２７内にあり、全ての引出し開放力が中間スライド部材２０を外側スライド部材１０から引くので、ばねで形成された係止部２６を配置することでステージングを形成する。
【００３６】
本発明のさらなる実施例において、中間スライド部材の穴２７とばねで形成された係止部２６は、引出しが閉まっている時にばねで形成された係止部が穴の縁部を捕捉しないように形成されている。それゆえ、ばねで形成された係止部により、内側スライド部材が中間スライド部材の内側で閉まるのを防ぐということはない。
【００３７】
図４ａ〜４ｃに示すように、ばねで形成された係止部２７は内側スライド部材に取り付けられている。一実施例において、図４ａに示すように、矩形部２８は矩形スタンピングとして形成される。別実施例において、図４ｂ及び４ｃに示すように、矩形部は、ばねで形成された係止部の第一部に取り付けられた３次元矩形構造である。ばねで形成された係止部２７は、ばねで形成された係止部の一つ以上の穴２９と内側スライド部材の一つ以上の穴を貫通するリベットなどの一つ以上のファスナを用いて取り付けることができる。あるいは、ばねで形成された係止部２７は、ステーキングによって取り付けることができる。この場合、内側スライド部材の一部分は、ばねで形成された係止部周りに嵌め合わされるようにスタンピングされている。
【００３８】
本発明の第二実施例において、内側スライド部材と中間スライド部材の間で異なるタイプのロックが使用される。この別実施例において、図５に示すように、一旦、作動すると、ロックは、内側スライド部材が中間スライド部材に関してさらに開けられる又は閉められるのを防ぐ。
【００３９】
本発明の第二実施例において、内側スライド部材は、内側ハット部の内側に位置決めされた、ばねで付勢されたレバー３７を有する。レバー３７は、外側に配向された角度の付いた部分３８を有する。レバー３７は、さらに、中間スライド部材に隣接した縁部に沿って四角形のカットアウト部３９を有する。四角形のカットアウト部３９が常に中間スライド部材２０に向けて外側に押圧されるように、ばねはレバー３７を付勢する。本発明の一実施例において、レバー３７は、リベットによって内側スライド部材３０に取り付けられている。別実施例において、レバー３７は、ナット、ボルト、ねじ又は他の取り付け手段を用いて取り付けることができ、それにより、レバー３７が取り付け点回りで回転することができる。
【００４０】
さらに、本発明の第二実施例において、中間スライド部材２０は、内側にスタンピングで形成されたハット部２４の角度部のセグメントを有する。内側にスタンピングで形成された部分は、内側スライド部材３０のハット部３３内へ延び、突出部４０を形成している。内側スライド部材３０と、取り付けられたばねで付勢されたレバー３７は、中間スライド部材の突出部４０を通過する時、レバーの角度の付いた部分３８は、衝撃の角度により下方に押圧される。内側スライド部材及びレバーをさらに移動させるのに必要な力は、レバーを付勢するばね強度を変えることによって操作することができる。レバーの四角形のカットアウト部３９が中間スライド部材２０の突出部４０をおおった状態で位置決めされるまで、レバーはばね力に抗して押され続ける。この地点において、ばね力は、レバーを突出部をおおった状態で下方に押し込み、レバーは、所定位置でロックされる。ロックから内側スライド部材を解放するために、レバーは突出部を越えて移動させられなければならない。本発明の一実施例において、使用者は単にばね力に抗してレバーを押し、レバーを突出部を越えて移動させ、内側スライド部材を開ける又は閉めることができる。
【００４１】
別実施例において、図６に示すように、ロックを解放する解放レバー４１が内側スライド部材に取り付けられている。解放レバー４１は、ショルダリベット４２を用いて内側スライド部材に取り付けられている。ショルダリベット４２の使用により、レバーを内側スライド部材の長さに沿って移動させることができる。特にタブ４３に沿って解放レバー４１の前端部において解放レバー４１を押すことによって、レバー３７の角度の付いた縁部３８に抗して解放レバー４１の端部４４に押圧させる。その結果、レバー３７の四角形表面３９が突出部４０を越えて回転させられるようにレバー３７が回転し、したがって、ロックを解放する。
【００４２】
ロック機構は、中間スライド部材と外側スライド部材の間にもある。ロック機構は、内側スライド部材が中間スライド部材の内側に閉まるまで、中間スライド部材が外側スライド部材の内側に閉まるのを防ぐ。図７に示すように、本発明の一実施例において、タブ４６は、中間スライドの第二端部に取り付けられている。タブは「Ｔ」字形状である。タブ４６はリベット４８を用いて取り付けられている。別実施例において、タブがナット及びボルトなどの取り付け点回りで回転させうる他の取り付け手段を用いてタブ４６を取り付けることができる。
【００４３】
「Ｔ」の上部は外側スライド部材の案内部に衝撃を与えるので、「Ｔ」字形状は、タブの回転方向の限界を提供する。タブは、スライドの向きに依存して自重で移動させられる。これにより、スライドを引出しの左側又は右側のいずれかにおいて使用することができ、引出しに取り付けられた外側スライド部材又は内側スライド部材のいずれかにスライドを取り付けることができる。
【００４４】
タブ４６は、中間スライド部材の第二端部に向けてより大きな幅に広がるアタッチメントに隣接した第一領域４９を有する。タブは、また、中間スライド部材の端部から外側に延びている第二領域５０を有する。第二領域は、「Ｔ」字形状の上部を形成し、かつ縁部５１を有する。この縁部５１は、折り下げられており、かつ外側スライド部材上に位置するエンボス５２に衝撃を与える。中立位置にある時、第二領域は、中間スライド部材から外へ中間スライド部材に平行に延びている。タブ４６の重力によって付勢される時、第二領域は、一定角度で下方に傾斜し、かつエンボス内でロックする。エンボス５２内でロックされる時、タブの第二領域の角度は、タブが内側スライド部材の通路を閉塞するようなものである。内側スライド部材が角度の付いた第二領域に衝撃を与え、この衝撃の角度により、タブを中立位置へ戻し、タブがエンボス５２から離れることが可能になる。
【００４５】
タブ４６は、さらに、第一領域と第二領域の間でレリーフ６０を有する。レリーフ６０は、タブ内の小さなカットアウト部である。タブが外側スライド部材のエンボス５２内に係合される時、タブに衝撃を与える中間スライド部材の第二端部が歪むことがレリーフ６０により防がれる。
【００４６】
外側スライド部材１０上のエンボス５２は、中間スライド部材２０上のタブ４６についての係止部として機能する。エンボス５２は、矢の頭が閉位置に向いている矢形状である。したがって、エンボス５２は、角度の付いた部分５４と、水平部５６と、水平部５６から狭いステムへ延びている垂直縁部５７とを有する。
【００４７】
中間スライド部材が延ばされる時、エンボス５２の角度の付いたヘッドにより、タブの重力にも関わらず、タブ４６が角度付き部分５４を通過して水平部５６に至ることが可能となる。水平部５６を一旦通過すると、タブは垂直縁部５７及び狭いステムに到達し、タブの重力により、狭いステム５８に抗してタブを垂直縁部５７の下方に下げる。閉鎖力が中間スライド部材にかけられる時、内側スライド部材が、タブの、下方に向けて角度の付いた第二領域に作用してタブを中立位置に戻すまで、タブの、下方に向けて角度の付いた第二領域は、エンボスの垂直縁部５７に衝撃を与えかつ不動である。内側スライド部材の力はタブの重力に抗して作用し、タブがエンボス５２から離れることができるように、タブを上方に押す。一旦、エンボス５２から離れると、中間スライド部材２０が外側スライド部材の内側で閉まることができる。
【００４８】
本発明のさらなる実施例において、水平縁部５６は、９０°以上内側に向いた縁部に変形している。９０°より大きなさらなる角度により、振動、跳ね返り又は過度の力によってタブがエンボスから離れるのを防ぐ。
【００４９】
中間スライド部材２０が外側スライド部材１０から完全に外れるようになるのを防ぐように、ロックが設けられている。中間スライド部材の第二端部の近傍において、中間スライド部のハット部の角度の付いた側の一部分は、外側スライド部材１０に向けて下方に張り出されて係止部を形成する。
【００５０】
外側スライド部材は、中間スライド部材２０に向けて上方に張り出された、外側垂直ウェブ１２内の一部分を有する。この一部分は、中間スライド部材の下方に張り出された領域が通過するのを防ぐ。一実施例において、外側スライド部材の垂直ウェブの隆起部分は穴を有し、この穴において、二つの片の金属が中間スライド部材に向けて配向されている。二つの片の金属は、中間スライド部材の下方に張り出された領域に衝撃を与える。これにより、中間スライド部材を外側スライド部材から事故的に取り外すのを防ぐ。
【００５１】
本発明の別実施例において、中間スライド部材２０が外側スライド部材１０の内側で閉まる前、内側スライド部材３０が中間スライド部材２０の内側で閉まるように、異なるロックが使用されている。図８、９及び１０に示すように、内側スライド部材の垂直部３８は、第二端部近傍における地点において、「ｃ形状」カットアウト部７０を有する。タブ７２が「ｃ形状」カットアウト部７０内にある。タブ７２は中間スライド部材２０に向けて曲げられている。ボタン７４がタブ７２上にある。
【００５２】
レシーバ８０は、中間スライド部材２０の第二端部近傍において中間スライド部材２０に取り付けられる。レシーバ８０は、リベット８２を用いて中間スライド部材に取り付けられている。さらなる実施例において、レシーバ８０は、ナットとボルト、ねじ、又は、中間スライド部材２０に関してレシーバが内側及び外側に曲がることを可能にする他の取り付け手段を用いて取り付けることができる。
【００５３】
レシーバ８０は、取り付け点から中間スライド部材の第一端部に向けて延びている。レシーバは、その中において穴８６を有するヘッド８４を有する。ヘッド８４は、さらに、中間スライド部材の穴を貫通して外側スライド部材１０の外側垂直ウェブ１２へ延びているフランジ部８８を有する。フランジ部は、中間スライド部材の第二端部により近い側において直線状であり、他方の側において角度が付いている。レシーバは、ばねのような態様を有し、フランジ部を外側スライド部材と接触させ続ける。中間スライド部材の第一端部に最も近いレシーバの端部において、レシーバ８０は、内側スライド部材に向けて上に向いた唇部９０を有する。上に向いた唇部は、「ｃ形状」タブ８２をレシーバ内へガイドするのを助ける。
【００５４】
外側スライド部材は、外側垂直ウェブ１２を通して張り出された穴を有する。中間スライド部材２０及び取り付けられたレシーバ８０が、外側垂直ウェブの穴を通過する時、フランジ部は、フランジ部自身を外側垂直ウェブの穴内に収納する。中間スライド部材２０が押されて外側スライド部材１０内に戻されるので、このフランジ部８８により、中間スライド部材が移動するのを防ぐ。
【００５５】
内側スライド部材３０が中間スライド部材２０内の閉位置に到達する時、レシーバは内側スライド部材３０上においてタブ５４を捕捉する。フランジ部８８が中間スライド部材を所定位置にロックするので、最初、内側スライド部材３０が中間スライド部材内で摺動させられる。一旦、内側スライド部材が中間スライド部材の閉位置に到達すると、「ｃ形状」タブ７２がレシーバ８０内に入り、レシーバ８０を内側スライド部材３０に向けて引く。このレシーバ８０を引くことにより、フランジ部８８を外側垂直ウェブ１２の穴から移動させ、中間スライド部材が外側スライド部材内で閉まりうる。
【００５６】
一旦、内側スライド部材３０の「ｃ形状」タブ７２がレシーバ８０内に入ると、「ｃ形状タブ」７２上のボタン７４がレシーバ８０の穴８６と係合して戻り止めを形成する。ボタン７４を穴８６から移動させるために大きな力が要求される。これにより、引出し開放力は最初に中間スライド部材２０を外側スライド部材１０から引くので、ステージングを逆にすることも可能である。一旦、中間スライド部材２０が外側スライド部材１０から引かれると、引出し開放力は、ボタン７４をレシーバ８０の穴８６から取り外す。一旦、ボタン７４が穴８６から外れると、内側スライド部材３０は中間スライド部材２０から延ばされうる。
【００５７】
中間スライド部材２０が外側スライド部材から完全に引かれるのを防ぐために、さらなるロックが設けられている。レシーバ８０と内側中間スライド部材の第一端部の間の地点において、中間スライド部材のハット部は、外側スライド部材１０に向けて張り出されており、外側スライド部材に向けて延びている二つのタブ９２を形成している。外側垂直ウェブ１２の一部分は張り出されており、中間スライド部材２０のハット部内へ延びているタブ９４を形成している。中間スライド部材が外側スライド部材から引かれる時、外側スライド部材のタブ９４が中間スライド部材２０のタブ９２に衝撃を与える。これらタブは、中間スライド部材が外側スライド部材から取り外されるのを防ぐ。
【００５８】
三つのスライド部材の各々は、その長さに沿って各スライド部材の剛性及び安定性を最大化するように、それらの中において屈曲部を有する。スライド部材の各々の間におけるクリアランスは、強度、剛性及び磨耗について各スライドの材料厚さを最大化することができるように最小に設計されている。各スライド部材間のクリアランスが小さいので、スライド部材間の遊び及び干渉を防いでいる。
【００５９】
本発明の一実施例において、スライド部材の各々は、ロール成形で形成される。ロール成形により、スライドを安価かつ迅速に大量生産することができる。ロール成形は、さらに、引出しのスライドの特徴において一貫性を提供する。
【００６０】
本発明を特定の実施例で説明してきたが、多くのさらなる修正及び変形が問う業者に明らかである。それゆえ、本発明は、他の方法でも特別に説明した方法でも実施することができるということが理解される。したがって、本発明の実施例は、全ての態様において、例示的であり制限的でないと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の一実施例の入れ子式引出しスライドの断面図である。
【図２】 本発明の一実施例の内側スライド部材の前縁の斜視図である。
【図３】 本発明の第一実施例の内側スライド部材と中間スライド部材の間のロックの斜視図である。
【図４ａ】 本発明の第一実施例の、別にばねで形成された係止部の上面図である。
【図４ｂ】 本発明の第一実施例の、別にばねで形成された係止部の上面図である。
【図４ｃ】 本発明の第一実施例の、別にばねで形成された係止部の上面図である。
【図５】 引出しスライドの側面から見た立面図であり、本発明の第二実施例の内側スライド部材と中間スライド部材の間のロック機構を示す。
【図６】 本発明の第二実施例の内側スライド部材と中間スライド部材のロック関係の斜視図である。
【図７】 本発明の一実施例の中間スライド部材と外側スライド部材の間のロックの別の斜視図である。
【図８】 本発明の別実施例の中間スライド部材と外側スライド部材の間のロックを示す斜視図である。
【図９】 図９の線Ａ−Ａ断面図である。
【図１０】 本発明の別実施例の中間スライド部材と外側スライド部材のロックの斜視図である。

Claims (10)

1. 長手方向長さを有するウェブと前記ウェブの長手方向縁部に沿った案内部とを有する第一引出しスライドと、
   長手方向長さを有するウェブと前記ウェブの長手方向縁部に沿った案内部とを有し、かつ前記第一引出しスライドの案内部内に収納されている、第二引出しスライドと、
   長手方向長さを有するウェブと、前記ウェブの長手方向縁部に沿ったスライダ部とを有し、かつ前記第二引出しスライドの案内部内に収納されている、第三引出しスライドと、
   前記第二引出しスライドと前記第一引出しスライドの間にあり、かつ前記第二引出しスライドに回転可能に連結されているタブと前記第一引出しスライド上のエンボスとを有するロックとを備え、
   前記エンボスは、角度の付いたヘッド部と、前記ヘッド部に接続された、離間した二つの縁部とを備え、
   前記タブは自重の作用によって中立位置から固定位置へ移動可能であり、前記第二引出しスライドの閉鎖方向への移動により、前記タブは前記エンボスの前記二つの縁部の中の一つと係合し、それにより、前記第二引出しスライドの閉鎖方向へのさらなる移動を防ぐ、入れ子式引出しスライド。
2. 前記第三引出しスライドの閉鎖方向への移動により、前記タブを前記エンボスから取り外し、それにより、前記第二引出しスライドの前記閉鎖方向における前記エンボスを越えたさらなる移動が可能となる請求項１に記載の入れ子式引出しスライド。
3. 前記第一引出しスライドの前記案内部の各々は、前記第二引出しスライドの案内部に向けて曲げられている側部を有し、前記曲げられた側部は、摺動しつつ前記第二引出しスライドの案内部と接触するための接触領域を形成するとともに、前記接触領域に隣接して、第二引出しスライドの案内部との間に貯め部であるポケット部を形成している請求項１に記載の入れ子式引出しスライド。
4. 前記第二引出しスライドの前記案内部の各々は、摺動しつつ前記第一引出しスライドの案内部と接触するための摺動領域を形成している側部を有し、前記摺動領域に隣接した、前記第二引出しスライドの一部分が、前記第一引出しスライドとの間に貯め部である前記ポケット部を形成している請求項３に記載の入れ子式引出しスライド。
5. 前記第二引出しスライドの前記ウェブは、前記長手方向長さに沿って延びているハット部を有し、前記ハット部は、前記第一引出しスライド上の前記エンボスから離れており、前記第三引出しスライドの前記ウェブは、前記長手方向長さに沿って延びているハット部を有し、前記第三引出しスライドの前記ハット部は、前記第二引出しスライドの前記ハット部から離れておりかつ包囲する請求項１に記載の入れ子式引出しスライド。
6. 前記第一引出しスライド、前記第二引出しスライド及び前記第三引出しスライドの全てが、約０．９５ｃｍ（約０．３７５インチ）の幅で約２．５ｃｍ（約１インチ）の高さの寸法の、引出しとキャビネットの間の空間内に嵌め合わされる請求項１に記載の入れ子式引出しスライド。
7. 前記タブは軸線に関してほぼ対称的である請求項１に記載の入れ子式引出しスライド。
8. 前記エンボスは軸線に関してほぼ対称的である請求項１に記載の入れ子式引出しスライド。
9. 前記エンボスはほぼ矢形状である請求項８に記載の入れ子式引出しスライド。
10. 長手方向長さを有するウェブと前記ウェブの長手方向縁部に沿った案内部とを有する第一引出しスライドと、
    長手方向長さを有するウェブと、前記ウェブの長手方向縁部に沿った案内部とを有し、かつ前記第一引出しスライドの案内部内に収納されている、第二引出しスライドと、
    長手方向長さを有するウェブと、前記ウェブの長手方向縁部に沿ったスライダ部とを有し、かつ前記第二引出しスライドの案内部内に収納されている、第三引出しスライドと、
    前記第一引出しスライドの案内部は、前記第二引出しスライドの案内部に向けて曲げられている側部を有し、前記曲げられている側部は、摺動しつつ前記第二引出しスライドの案内部と接触している接触領域を形成しており、
    前記第三引出しスライドのスライダ部は、それ自体上で１８０°戻って曲げられた垂直片で作られており、それにより、前記第二引出しスライドの案内部上で摺動している縁部を形成している、入れ子式引出しスライド。

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