JP4872726B2 - 車体前部構造 - Google Patents
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Description
ここで、連結フレームを鋼板等をプレスして形成した場合には、特定の方向に折れ曲りやすい方向が生じ、いわゆる異方性が生じることになる。
このため、パイプ部材の途中等に屈曲部が形成されたとしても、パイプ部材では、鋼板等をプレス成形した場合のように異方性が生じないため、その屈曲部で容易に変形することがない。
なお、ここでのパイプ部材とは、プレス成形によらずに、筒状体を構成する部材をいい、筒の形状については、丸、楕円、角等、どのようなものであってもよい。
上記構成によれば、パイプ部材がダッシュパネルより前方に突出した突出部から車幅内方側に延出することになる。
このため、フロントピラーにおけるパイプ部材の支持位置とフロントサイドフレームの結合位置との距離を短くすることができ、パイプ部材の支持剛性を高めることができる。
よって、パイプ部材の荷重伝達機能をより高めることができ、フロントサイドフレームからの衝突荷重をより確実にフロントピラーに伝達することができる。
上記構成によれば、パイプ部材が丸形パイプで構成されるため、パイプ部材とフロントピラー下部との結合強度を高めることができ、また、フロントピラーの断面形状にも影響を与えることなくフロントピラー内にレイアウトできる。
すなわち、丸形パイプであることでパイプ部材に角部がないことから、フロントピラーの貫通穴を丸形で形成して、その周囲をアーク溶接等で均等に溶接することができる。このため、パイプ部材とフロントピラーとの結合強度を高めることができる。
また、角部を考慮してフロントピラーの断面形状を不必要に大型化する必要もないため、フロントピラーの断面形状に制限を与えることなく、パイプ部材をフロントピラー内に配置することができる。
よって、フロントピラーでのパイプ部材の支持剛性を高めることができると共に、フロントピラーの形状に影響を与えることなくパイプ部材をフロントピラー内に配置できる。
上記構成によれば、フロントピラーの突出部内に屈曲部を設定することで、フロントピラーが屈曲部より前側位置でパイプ部材を支持することができる。
このため、フロントピラーは、パイプ部材の屈曲部に生じる応力集中を緩和してパイプ部材を支持することができる。
よって、パイプ部材に屈曲部を設けても、より屈曲部での折れ曲り変形が少なくなり、確実にフロントピラーに衝突荷重を伝達できる。
上記構成によれば、パイプ部材が突出部のインナパネルを貫通してフロントサイドフレームに連結されることになる。
このため、パイプ部材で伝達される衝突荷重は突出部のインナパネルで支持されることになり、突出部のアウタパネルにも圧縮方向で衝突荷重を伝達することができる。
よって、衝突荷重を突出部で受けた際、インナパネルとアウタパネルとの間に剥離方向の荷重が作用しないため、フロントピラーが破損することなく確実に衝突荷重を支持することができる。
上記構成によれば、締結手段でパイプ部材とフロントサイドフレームとを結合することで、フロントサイドフレームの衝突荷重をより確実にパイプ部材に伝達することができる。
すなわち、フロントサイドフレームとパイプ部材を連結する場合に、アーク溶接等で接合すると接合状態が安定せず、一定の結合強度が得られないおそれがあるが、締結手段によると、確実に締結強度が得られるため、荷重伝達を確実に行なうことができる。
よって、パイプ部材の荷重伝達性能をより高めることができる。
上記構成によれば、フロントピラー内のパイプ部材をピラーレイン部材を介してフロントピラーに結合することで、パイプ部材を直接フロントピラーに結合しなくてもよい。
このため、乗員の目にふれることの多いフロントピラー自体に溶接痕等が残らないため、見栄えの悪化を防止できる。
よって、フロントピラーの見栄えを悪化させることなく、パイプ部材をフロントピラー内に配置固定することができる。
上記構成によれば、パイプ部材をフロントサイドフレームの間を連結する中間部材を着脱することにより、一度、中間部材を車体に組付けた後でもサービス作業等の際に取外すことができる。
このため、パイプ部材等で覆われる位置に設置したマスターバック装置等のサービス作業も容易に行なうことができる。
よって、フロントサイドフレームの衝突荷重をパイプ部材でフロントピラーに伝達するように構成したものであっても、サービス作業性を高めることができる。
上記構成によれば、パイプ部材又は中間部材を、サスタワー部に結合することにより、衝突荷重をフロントピラーに伝達する伝達部材を使って、サスペンション装置の支持剛性を高めることができる。
よって、別途サスタワーバー等を設定することなく、サスペンション装置の支持剛性を高めることができる。
上記構成によれば、フロントサイドフレームの後部を、上部フレーム部と中間フレーム部と下部フレーム部に分岐して、中間フレーム部をトンネル部に連結して下部フレーム部をサイドシルに連結し、上部フレーム部をパイプ部材を介してフロントピラーに連結することで、フロントサイドフレームに作用する衝突荷重を車体後方側の剛性部材であるフロントピラー、サイドシル、トンネル部の三部材に分散伝達できる。
よって、フロントサイドフレームに作用する衝突荷重を、車体後方側の剛性部材に効果的に分散して吸収させることができる。
よって、車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームを備えた車体前部構造において、連結フレームをサスタワー等から独立したフレーム部材で構成しつつ、途中に屈曲部を形成したとしても容易に変形が生じないため、異方性を考慮することなく、連結フレームで確実にフロントサイドフレームからフロントピラーへ荷重伝達することができる。
まず、図1〜図6により本発明の第一実施形態に係る車体前部構造の全体構造について説明する。図1は車体前部構造の全体斜視図である。図2は右側フロントサイドフレーム近傍を車幅内方側からみた側面図、図3は右側フロントサイドフレーム近傍を車幅外方側からみた側面図、図4は右側フロントサイドフレーム近傍の正面図、図5は右側フロントサイドフレーム近傍の平面図、図6は右側フロントサイドフレーム近傍の底面図である。なお、図3のボディサイドパネルはアウタパネルを取り除いた状態としている。
この固定部分では、丸形パイプ33の延出部33bを、インナパネル71に形成した円形穴74に挿通して、この円形穴74のフランジ部75と延出部33bの周囲をアーク溶接w等で接合することで、丸形パイプ33をインナパネル71に溶接固定している。このようにバーリング加工によるフランジ部75に対して丸形パイプ33を接合することで、突出部70内における気密性を確保した上で、丸形パイプ33を突出部70に貫通配置できる。
すなわち、アウタレインパネル73に丸形パイプ33の外周面に沿って円弧受け部73aを形成して、この円弧受け部73aに対して丸形パイプ33の外周面を当接させて、その上下位置をそれぞれアーク溶接w等により接合することで、丸形パイプ33をアウタレインパネル73に固定する。この丸形パイプ33を固定したアウタレインパネル73の上端部73bと下端部73cを、それぞれフロントピラー11のアウタパネル72とインナパネル71の接合フランジ71b,71c,72b,72cで挟持した上で、スポット溶接することにより、丸形パイプ33の本体部33aをフロントピラー11内に配置固定することができる。
この実施形態では、フロントピラー11内で略前後方向に延設されると共に、そのフロントピラー11下部から車幅内方側に延出する丸形パイプ33を設け、その丸形パイプ33の前端とフロントサイドフレーム1の上部分岐フレーム部30とを連結したものである。
このため、丸形パイプ33の途中等に屈曲部33cが形成されたとしても、丸形パイプ33には、鋼板等をプレス成形した場合のように異方性が生じないため、その屈曲部33c(図11参照)で容易に変形することがない。
よって、車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム1,1を備えた車体前部構造において、丸形パイプ33をサスタワー3等から独立したフレーム部材で構成しつつ、異方性を考慮することなく、丸形パイプ33で確実にフロントサイドフレーム1からフロントピラー11へ荷重伝達することができる。
これにより、フロントピラー11における丸形パイプ33の支持位置とフロントサイドフレーム1との結合位置(締結位置)との距離を短くすることができ、丸形パイプ33の支持剛性を高めることができる。
よって、丸形パイプ33の荷重伝達機能をより高めることができ、フロントサイドフレーム1からの衝突荷重をより確実にフロントピラー11に伝達することができる。
これにより、連結部材と突出部70との接合強度を高めることができ、また、フロントピラー11の断面形状にも影響を与えることなく、丸形パイプ33をフロントピラー11内にレイアウトできる。
例えば、丸形パイプ33の代わりに角形パイプとした場合には、パイプに角部があるため、貫通する穴での溶接が角部で困難となり全周にわたり均等に溶接することができなかったり、フロントピラー11の形状に制限を与えることになるが、丸形パイプ33とした場合には、こうした問題が生じない。
よって、突出部70での丸形パイプ33の支持剛性を高めることができると共に、フロントピラー11の形状を比較的に自由に設定することができる。
これにより、フロントピラー11下部が屈曲部33cより前側位置で丸形パイプ33を支持することができる。
このため、フロントピラー11は、丸形パイプ33の屈曲部33cに生じる応力集中を緩和して丸形パイプ33を支持することができる。
よって、丸形パイプ33に屈曲部33cを形成しても、より屈曲部33cでの折れ曲り変形が少なくなり、確実にフロントピラー11に衝突荷重を伝達できる。
これにより、丸形パイプ33で伝達される衝突荷重が、突出部70のインナパネル71で支持されることになり、突出部70のアウタパネル72にも圧縮方向で衝突荷重を伝達することができる。
よって、衝突荷重を突出部70で受けた際、インナパネル71とアウタパネル72との間に剥離方向の荷重が作用しないため、フロントピラー11が破損することなく確実に衝突荷重を支持することができる。
これにより、フロントサイドフレーム1からの衝突荷重をより確実に丸形パイプ33に伝達することができる。
すなわち、フロントサイドフレーム1と丸形パイプ33を連結する場合に、アーク溶接等で接合すると接合状態が安定せず、一定の結合強度が得られないおそれがあるが、締結ボルト34とウェルドナット35によって締結固定することで、確実に締結強度が得られるため、荷重伝達を確実に行なうことができるのである。
よって、丸形パイプ33の荷重伝達性能をより高めることができる。
これにより、丸形パイプ33を直接フロントピラー11に結合しなくてもよい。
このため、乗員の目にふれることの多いフロントピラー11自体に溶接痕等が残らないため、見栄えの悪化を防止できる。
よって、フロントピラー11の見栄えを悪化させることなく、丸形パイプ33をフロントピラー11内に配置固定することができる。
これにより、中間分岐フレーム部40をトンネル部14に連結して下部分岐フレーム部50をサイドシル13に連結し、上部分岐フレーム部30を丸形パイプ33を介してフロントピラー11に連結することで、フロントサイドフレーム1に作用する衝突荷重を車体後方側の三つの剛性部材(14,13,11)に分散伝達できる。
よって、フロントサイドフレーム1に作用する衝突荷重を、車体後方側の剛性部材に効果的に分散して吸収させることができる。
これにより、一度、分離フレーム部材200を車体側に組付けた後でもサービス作業等の際に取り外すことができる。
このため、丸形パイプ33等で覆われる位置に設置したマスターバック装置等のサービス作業も容易に行なうことができる。
よって、フロントサイドフレーム1の衝突荷重を丸形パイプ33でフロントピラー11に伝達するように構成したものであっても、サービス作業性を高めることができる。
なお、その他の作用効果については、前述の第一実施形態と同様である。
これにより、衝突荷重をフロントピラー11に伝達する伝達部材を使って、サスペンション装置の支持剛性を高めることができる。
よって、別途サスタワーバー等を設定することなく、サスペンション装置の支持剛性を高めることができる。
なお、本実施形態では、分離フレーム部材300にサスタワー補強メンバー部301を設けたが、丸形パイプ33にサスタワー補強メンバー部301を設けるように構成してもよい。この場合も、この実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、その他の作用効果については、前述の第一実施形態と同様である。
この発明のパイプ部材は、実施形態の丸形パイプ33に対応し、
以下、同様に
ピラーレイン部材は、アウタレインパネル73に対応し、
中間部材は、分離フレーム部材200、分離フレーム部材300に対応するも
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる車体前部構造の実施形態を含むものである。
11…フロントピラー
13…サイドシル
14…トンネル部
30…上部分岐フレーム部
33…丸形パイプ
33c…屈曲部
70…突出部
200…分離フレーム部材
301…サスタワー補強メンバー部
Claims (10)
- 車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、車体上方に延びるフロントピラーとを備えた車体前部構造であって、
前記フロントピラー内で略前後方向に延設されると共に該フロントピラー下部から車幅内方側に延出するパイプ部材を設け、
該パイプ部材の前端と前記フロントサイドフレームとを連結した
車体前部構造。 - 車幅内方側にエンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルを設け、
前記フロントピラーの下部にダッシュパネルより前方に突出する突出部を形成し、
該突出部から前記パイプ部材が車幅内方側に延出する
請求項1記載の車体前部構造。 - 前記パイプ部材が丸形パイプである
請求項1又は2記載の車体前部構造。 - 前記パイプ部材に車幅内方側に屈曲する屈曲部を形成して、
該屈曲部を前記フロントピラー下部の突出部内に設定した
請求項2又は3記載の車体前部構造。 - 前記パイプ部材が前記突出部のインナパネルを貫通して車幅内方側へ延出した
請求項4記載の車体前部構造。 - 前記パイプ部材の前端と前記フロントサイドフレームを締結手段を介して連結した
請求項1〜5いずれか記載の車体前部構造。 - 前記パイプ部材を、前記フロントピラー内でピラーレイン部材を介して該フロントピラーに結合した
請求項1〜6いずれか記載の車体前部構造。 - 前記パイプ部材と前記フロントサイドフレームとの間に、両者を連結する中間部材を設け、
該中間部材を着脱可能に構成した
請求項1〜7いずれか記載の車体前部構造。 - 前記パイプ部材又は前記中間部材を、サスペンション装置を支持するサスタワー部に結合した
請求項1〜8いずれか記載の車体前部構造。 - 前記フロントサイドフレームの後部を、
車幅外方側上方に延びる上部フレーム部と、
車幅内方側に延びてトンネル部に連結される中間フレーム部と、
車幅外方側下方に延びてサイドシルに連結される下部フレーム部とに分岐して、
前記パイプ部材の前端を前記上部フレーム部に結合した
請求項1〜9いずれか記載の車体前部構造。
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