JP4872477B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその成形部材 - Google Patents
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Description
上記PBの配合量は10重量部以下であることを特徴とする。
部材表面の平均摩擦係数が0.27以下でかつ、最大荷重1cm2当り30gf(3.0×103Pa以下)以下の領域での変位−荷重特性において圧縮回復性が53%以上85%以下であることを特徴とする。
上記成形部材は車両用内装部材であることを特徴とする成形部材である。
EPDM100重量部当たりに、PPを23重量部、鉱物性オイル(パラフィン系プロセスオイル)を60重量部添加して混練し押し出したものをベース材とした。このベース材にEOR、PBR及びシリコンオイルを、EPDM100重量部当たりに、EORが10重量部、PBRが10重量部、シリコンオイルが4重量部となるように、添加して混練し押し出すことによって、当該実施例1に係る熱可塑性エラストマー組成物を得た。
上記実施例及び比較例について、以下の各項目についての評価を行った。
MFR(メルトフローレイト)は、組成物の流動性を評価するものであり、JIS規格のK7120により測定した。測定条件は230℃、2.16kgである。
各例の組成物で成形したサンプル(成形部材)の硬度をJIS Aの硬度ゲージで測定した。
図1に示す摩擦試験装置1(KES摩擦テスター)を用いて供試成形部材の平均摩擦係数及び摩擦係数の変動を求めた。すなわち、サンプルテーブル2上に、各成形部材であるサンプルSを載置して固定し、このサンプルSの上面に、アーム3の先端部に取付固定した接触子4を接触させる。この接触子4は表面にピアノ線が多数回巻かれたものであって、このピアノ線が、アーム3の上側に載せられた錘6によって、サンプルSの上面に接触している。上記アーム3の基端部には、摩擦力センサ5が設けられている。そして、上記テーブル2を水平面内でアーム3が延びる方向に往復移動させることにより、サンプルSの上面と接触子4のピアノ線との間に摩擦力Fが発生し、これを摩擦力センサ5で計測する。尚、アーム3上の錘6の重さを変えることで、サンプルSの上面と接触子4のピアノ線との間に発生する摩擦力を変化させることができ、ここでは、接触子4のサンプルSに対する単位面積当たりの荷重Pが2.0×104Paになるようにした。また、テーブル2の移動速度を1mm/秒とした。
μ=(1/Lmax)∫0 LmaxμdL …(2)
MMD=(1/Lmax)∫0 Lmax|μ−μ|dL …(3)
ここで、Lは接触子4に対するサンプルSの移動距離、Lmaxはその最大移動距離である。
圧縮特性は硬軟感の指標を示すと考えられる。本実施形態では、図2にその概略構成を示す試験装置7(KES圧縮テスター)で、サンプルの圧縮特性を測定した。すなわち、固定テーブル8上にサンプルSを載置した状態で、フラットな下端面を有する押圧子9でサンプルSの表面を圧縮し、圧縮力センサ10で計測を行なった。この場合の単位面積当たりの圧縮荷重は3.0×103Paとした。この装置によって、各サンプルSについて変位−荷重特性を測定し、その特性曲線に基づいて、圧縮仕事量、圧縮回復仕事量、圧縮回復性、圧縮剛さ、圧縮歪量の各パラメータを算出した。図3に変位−荷重特性曲線をモデル化したものを示す。この図3を参照しながら、上記各パラメータを説明する。各パラメータは、以下のようにして求めることができるものである。
・圧縮回復仕事量(gf・cm/cm2)=bの面積
・圧縮回復性(%)=(圧縮回復仕事量/圧縮仕事量)×100
・圧縮剛さ(%)=(aの面積+bの面積)/三角形ABCの面積×100
・圧縮歪量(cm)=Т1−Т2
ここに、Т1はサンプルの初期厚みで、Т2は最大荷重(3.0×103Pa、30gf/cm2)時のサンプル厚みである。
JIS規格のB7753に規定する紫外線カーボンアーク燈式耐光性試験機により、83℃×20時間の照射前後の光沢変化率を次式で求めた。
なお、光沢変化率が負の場合(例えば表2の比較例1では負の値「-0.29」になっている。)は、試験後に光沢が下がったことを示す。
耐摩耗性については、JIS規格のL0823記載の摩擦試験機II型を使用し、各成形部材であるサンプルを荷重4.9N(0.5kgf)、100mm/sの往復速度にて、3000回の往復摩擦を行い、その後に、サンプルSの上面を目視で確認し、以下のような基準で等級づけを行った。その基準は次のとおりである。
等級4.5
等級4.0…しぼ面のつやに変化が認められる
等級3.5
等級3.0…しぼ面の凸面が侵されている
等級2.5
等級2.0…しぼ面の凹面が侵されている
等級1.5
等級1.0…しぼ面の判定ができない
である。
耐スクラッチ性については、図4に示すようなスクラッチ試験装置11を用いて評価した。すなわち、サンプルテーブル12上に、各成形部材であるサンプルSを載置して固定し、このサンプルSの上面に、触針13の先端を接触させる。この触針13は人の爪を模擬することを狙いに、硬度103のABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂を使用し、先端を直径2mmの円形とした。触針13は、不図示の固定部材に上下動可能に支持された荷重付与部材14に取付固定されている。この荷重付与部材14は、バランスレバー15の一端部と連結されており、このバランスレバー15の他端部には、カウンタウエイト16が設けられている。荷重付与部材14の上面には、錘17を載せることができ、この錘17の重さにより、触針13のサンプルSに対する荷重を調整できるようになっている。すなわち、最初に錘17の重さを、荷重付与部材14等がカウンタウエイト16と釣り合って触針13がサンプルSの上面に丁度接触するような重さにし、その状態から錘17の重さを0.1kg増加させて、上記荷重を0.98N(0.1kgf)とする。そして、テーブル12を200mm/sの速度で往復移動させて、100回の往復スクラッチを行い、その後に、サンプルSの上面を目視で確認し、上記の耐摩耗性試験と同じ基準で等級づけを行った。
汚れ付着性については、学振式摩耗試験機を用い、各成形部材であるサンプルのしぼ面上で、化粧品を塗布した綿ネルが装着された接触子を往復させることによって、評価した。化粧品としては、株式会社ディシラのディシラファインフィニッシュパウダーを採用し、このパウダーに上記綿ネルを5回押さえつけることによって塗布するようにした。摩擦距離は100mm、荷重は500gf、往復回数は1回、摩擦速度は1200mm/分とした。汚れ付着性は、汚染用グレースケールを使用し、目視により5級(優)〜1級(劣)の等級判定を行なった。
サンプルの形状復元性は、組成物におけるPB配合量に依存することから、このPB配合量に基いて推定した。すなわち、PB配合量が20重量部以下であるものを形状復元性が良い「○」とし、20重量部を越えるものは形状復元性が悪い「×」とした。
表2に実施例及び比較例の評価結果を示す。また、表3に実施例及び比較例から抜粋した複数例についての圧縮特性を示す。
図5は上記実施例及び比較例のデータを抜粋して(実施例1−4,比較例1,3,8,21−26,30)、組成物のPB配合量が該組成物のMFRに及ぼす影響をみたグラフである。PB配合量が多くなるに従ってMERが増大する傾向を示しているが、PB配合量が22g以下、或いは10g以下、さらには零であっても、他の配合剤の添加によって、必要なMFR(1.00g/min以上)を確保できることがわかる。
図9は上記実施例及び比較例のデータを抜粋して(実施例1−3,比較例1−4,8,30)、組成物のPB配合量が成形部材の光沢変化率に及ぼす影響をみたグラフである。両者には相関性が認められない。光沢変化率が0.45程度になっている(耐光性が悪い)プロットはPBR配合量24gとした比較例2である。
図13は上記実施例及び比較例のデータを抜粋して(実施例1−3,比較例1−4,8,30)、組成物のPB配合量が成形部材の平均摩擦係数に及ぼす影響をみたグラフである。両者には目立った相関性は認められず、PB配合量22g以下であれば、平均摩擦係数を0.27以下、さらには0.25以下として、良好な乾湿感(べたつき感が少ない)が得られることがわかる。
図18は上記実施例及び比較例のデータを抜粋して(実施例1−3,比較例1−4,8,30)、組成物のPB配合量が成形部材の圧縮仕事量に及ぼす影響をみたグラフである。PB配合量が少なすぎると圧縮仕事量が大きくなる傾向がある。なお、PB配合量零において圧縮仕事量が低くなっているプロットはEOR及びPBRの配合によって硬さを調整した実施例1及び比較例2である。
表2に示すように、実施例では耐摩耗性の等級が「1.0」以上であり、耐摩耗性は実用上差し支えないことを確認することができた。
表2に示すように、実施例では、耐スクラッチ性の等級が「4.0」以上であり、耐スクラッチ性に優れていることを確認することができた。
表2に示すように、実施例では、汚れ付着性の等級が「2.5」以上であり、汚れが付着し難いことを確認することができた。
7 圧縮特性試験装置
11 スクラッチ試験装置
S サンプル(成形部材)
Claims (4)
- エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー100重量部当たりに、ポリプロピレン樹脂が20重量部以上30重量部以下、エチレンオクテンラバーが7重量部以上30重量部以下、プロピレンブテンラバーが7重量部以上23重量部以下、並びに鉱物性オイルが55重量部以上65重量部以下配合され、さらに、エチレン−プロピレン−ジエン−モノマー100重量部当たりのポリ1−ブテン樹脂の配合量が22重量部以下又は零であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1において、
上記ポリ1−ブテン樹脂の配合量は10重量部以下であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - 請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形部材であって、
部材表面の平均摩擦係数が0.27以下でかつ、最大荷重1cm2当り30gf以下の領域での変位−荷重特性において圧縮回復性が53%以上85%以下であることを特徴とする成形部材。 - 請求項3において、
上記成形部材は車両用内装部材であることを特徴とする成形部材。
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