JP4870712B2 - 位相差板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、位相差板およびそれを用いた円偏光板に関する。特に本発明は、液晶表示装置において使用されるλ/4板またはλ/2板、光ディスクの書き込み用のピックアップに使用されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用されるλ/4板として有効な位相差板に関する。
λ/4板およびλ/2板は、反射防止膜や液晶表示装置に関連する多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。しかし、λ/4板あるいはλ/2板と称していても、ある特定波長でλ/4やλ/2を達成しているものが大部分であった。
特許文献1および2には、レターデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板が開示されている。二枚のフイルムのレターデーションの差が可視光域の全体にわたりλ/4またはλ/2であれば、位相差板は理論的には、可視光域の全体にわたりλ/4板またはλ/2板として機能する。
特許文献3に、特定波長においてλ/2となっているポリマーフイルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板が開示されている。
特許文献4にも、二枚のポリマーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板が開示されている。
以上のポリマーフイルムとしては、ポリカーボネートのような合成ポリマーの延伸フイルムが使用されていた。
特開平5−27118号公報 特開平5−27119号公報 特開平10−68816号公報 特開平10−90521号公報
二枚のポリマーフイルムを積層することにより、広い波長領域でλ/4またはλ/2を達成することができる。しかし、そのためには、二枚のポリマーフイルムの角度を厳密に調整しながら積層する必要がある。
一枚のポリマーフイルムからなるλ/4板またはλ/2板も提案されている。しかし、広い波長領域でλ/4またはλ/2が達成されているフイルムは、ほとんどない。さらに、一枚のポリマーフイルムからなるλ/4板またはλ/2板には、別の光学的な問題もある。ポリマーフイルムの面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを、nx>nz>nyの関係を満足するように調節すると、視野角によらずレターデーションがほぼ一定になることが知られている(特許2612196号および同2811392号の各公報記載)。従来の一枚のポリマーフイルムからなるλ/4板またはλ/2板は、nx>nz>nyの関係を満足しないため、波長領域のみならず、視野角が少し変動しても、λ/4またはλ/2を達成できない。
本発明の目的は、一枚のポリマーフイルムを用いて、広い波長領域かつ広い視野角で、λ/4またはλ/2を達成することである。
本発明の目的は、下記(1)〜(7)の位相差板(λ/2板の製造方法により達成された。
(1)ポリマーフイルムの片面または両面に熱収縮性フイルムを接着し、その積層体を加熱一軸延伸処理する位相差板の製造方法であって、波長450nmで測定したレターデーション値が200乃至250nmであり、波長590nmで測定したレターデーション値が270乃至320nmからなる位相差板であって、かつ面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyの関係を満足する一枚のポリマーフイルムからなる位相差板の製造方法
(2)前記ポリマーフイルムの両面に厚さ100μmの熱収縮性フイルムを接着し、その積層体を120℃で加熱一軸延伸する(1)に記載の製造方法
(3)ポリマーフイルムの両面に温度差をつけた状態で曲げる動作を繰り返す位相差板の製造方法であって、波長450nmで測定したレターデーション値が200乃至250nmであり、波長590nmで測定したレターデーション値が270乃至320nmであり、かつ面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyの関係を満足する一枚のポリマーフイルムからなる位相差板の製造方法
(4)前記ポリマーフイルムをロールの円周に巻きつけ、フイルム外側の温度が112℃、内側の温度が131℃となるように、フイルムの表裏に温風と冷風を吹き付け、次に、フイルムの表裏を逆にして、ロールの円周に巻きつけ、フイルムの表裏に温風と冷風を吹き付ける工程を繰り返し、続いて該ポリマーフイルムを145℃で20%の一軸延伸する(3)に記載の製造方法
(5)ポリマーフイルムに電場を印加しながら面内に一軸延伸する位相差板の製造方法であって、波長450nmで測定したレターデーション値が200乃至250nmであり、波長590nmで測定したレターデーション値が270乃至320nmであり、かつ面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyの関係を満足する一枚のポリマーフイルムからなる位相差板の製造方法
(6)前記ポリマーフイルムがセルロースエステルフイルムである、(1)から(5)のいずれか1つに記載の製造方法
(7)前記セルロースエステルフイルムが、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しない分子構造を有する化合物を含む、(6)に記載の製造方法。
本発明者は、研究の結果、ポリマーフイルムの素材と製造方法を調節することにより、広い波長領域かつ広い視野角でλ/4またはλ/2を達成する位相差板を製造することに成功した。
一枚のポリマーフイルムを用いて広い波長領域でλ/4またはλ/2を達成できる位相差板が得られたことで、従来の二枚のポリマーフイルムの角度を厳密に調整しながら積層する工程が不要になった。さらに、本発明の位相差板は、nx>nz>nyの関係を満足するため、広い視野角でλ/4またはλ/2を達成できる。
[位相差板]
位相差板をλ/4板として使用する場合は、波長450nmで測定したレターデーション値が100乃至125nmとなり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値が135乃至160nmとなるようにする。波長450nmで測定したレターデーション値が108乃至117nmであり、波長550nmで測定したレターデーション値が133乃至142nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値が143乃至152nmであることが好ましい。
位相差板をλ/2板として使用する場合は、波長450nmで測定したレターデーション値が200乃至250nmとなり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値が270乃至320nmとなるようにする。波長450nmで測定したレターデーション値が216乃至234nmであり、波長550nmで測定したレターデーション値が266乃至284nmであり、かつ波長590nmで測定したレターデーション値が286乃至304nmであることが好ましい。
レターデーション値(Re)は、下記式に従って算出する。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり;nyは位相差板の面内の遅相軸方向に垂直な方向の屈折率であり;そしてdは位相差板の厚さ(nm)である。
さらに、本発明の位相差板は、下記式を満足する一枚のポリマーフイルムからなる。
nx>nz>ny
式中、nxは面内の遅相軸方向の屈折であり;nyは面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、nzは厚み方向の屈折率nzである。
位相差板を構成する一枚のポリマーフイルムの厚さは、5乃至1000μmであることが好ましく、10乃至500μmであることがさらに好ましい。
以上のような光学的性質を有する位相差板は、以下に述べる材料と方法により製造することができる。
[ポリマー]
ポリマーフイルムのポリマーとしては、セルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
セルロースアセテートの平均酢化度(アセチル化度)は、45.0乃至62.5%であることが好ましく、55.0乃至61.0%であることがさらに好ましい。
[レターデーション調整剤]
芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しない分子構造を有する化合物を、レターデーション調整剤として使用することが好ましい。
レターデーション調整剤は、ポリマー100重量部に対して、0.2乃至20重量部の範囲で使用することが好ましく、0.5乃至10重量部の範囲で使用することがさらに好ましく、1乃至5重量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーション調整剤を併用してもよい。
少なくとも二つの芳香族環を有する化合物は、炭素原子7個分以上のπ結合性の平面を有する。二つの芳香族環の立体配座を立体障害しなければ、二つの芳香族環は、同一平面を形成する。本発明者の研究によれば、ポリマーフイルムのレターデーションを調整するためには、複数の芳香族環により同一平面を形成することが重要である。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましい。
レターデーション調整剤が有する芳香族環の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがより好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。3以上の芳香族環を有する場合、少なくとも二つの芳香族環の立体配座を立体障害しなければよい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。レターデーション上昇機能の観点では、(a)〜(c)のいずれでもよい。ただし、(b)または(c)の場合は、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しないことが必要である。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。ただし、置換基は、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しないことが必要である。立体障害では、置換基の種類および位置が問題になる。置換基の種類としては、立体的に嵩高い置換基(例えば、3級アルキル基)が立体障害を起こしやすい。置換基の位置としては、芳香族環の結合に隣接する位置(ベンゼン環の場合はオルト位)が置換された場合に、立体障害が生じやすい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。
レターデーション調整剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。レターデーション調整剤の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。
以上述べたレターデーション調整剤は、欧州特許0911656A2号明細書に、セルロースエステルフイルムのレターデーション上昇剤として具体的に記載されている。ただし、本発明では、単にレターデーションを上昇させるためではなく、レターデーション値の波長分散を調整して広い波長領域でλ/4またはλ/2を達成するために使用する。
[ポリマーフイルムの製造]
ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマーを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3乃至12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、30乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でポリマー溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
ポリマーの量は、得られる溶液中に10乃至40重量%含まれるように調整する。ポリマーの量は、10乃至30重量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でポリマーと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもポリマーを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でポリマーを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にポリマーを撹拌しながら徐々に添加する。
ポリマーの量は、この混合物中に10乃至40重量%含まれるように調整することが好ましい。ポリマーの量は、10乃至30重量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100乃至−10℃(好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0乃至200℃(好ましくは0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒中にポリマーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20重量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製造する。
ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃至35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延した2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。本発明に従い調製した溶液(ドープ)は、この条件を満足する。
製造するフイルムの厚さは、40乃至120μmであることが好ましく、70乃至100μmであることがさらに好ましい。
ポリマーフイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25重量%であることが好ましく、1乃至20重量%であることがさらに好ましく、3乃至15重量%であることが最も好ましい。
ポリマーフイルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1重量%であることが好ましく、0.01乃至0.2重量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01重量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1重量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
ポリマーフイルムは、さらに延伸処理により屈折率(面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nz)を調整することが好ましい。
固有複屈折率が正であると、ポリマー鎖が配向した方向に屈折率が高くなる。このような固有複屈折率が正のポリマーを延伸すると、通常、屈折率は、nx>ny≧nzとなる。これは、面内の方向に配向したポリマー鎖が、延伸によってx成分が多くなり、z成分が最も小さくなるためである。nx>nz>nyの関係を満足するためには、ポリマー鎖のz成分をy成分よりも多くし、nzがnyよりも大きくなるようにする必要がある。すなわち、z方向に何らかの形で延伸する必要がある。
具体的には、ポリマーフイルムの片面または両面に熱収縮性フイルムを接着し、その積層体を加熱延伸処理して、ポリマーフイルムの延伸方向と直交する方向に収縮力をかける処理(特許2818983号、特開平5−297223号、同5−323120号の各公報記載)を採用することができる。熱収縮フイルムが収縮する際に、ポリマー鎖のx、y成分が少なくなり、その分z成分が増えることで、nzがnyよりも大きくなる。同時にx方向に延伸することでnxを大きくしている。
また、ポリマーフイルムに電場を印加しながら面内に一軸延伸する方法(特開平6−88909号公報記載)がある。この方法では、電場を印加することで、ポリマー鎖の電場と平行な成分が増加することで、nzを大きくすることができる。
さらに、ポリマーフイルムの両面に温度差をつけた状態で曲げる動作を繰り返す方法(特許2811137号公報記載)もある。外側を低温、内側を高温とした状態で、ポリマーフイルムを円弧状に曲げると、フイルム外側のポリマー鎖はほとんど延伸されずに、フイルム内側のポリマー鎖が圧縮されるという状態が作り出される。圧縮された部分は、ポリマー鎖のz成分が増え、nzが大きくなる。次に、反対側に曲げ、温度差を反対にすることで、厚み方向もう半分のポリマー鎖のz成分を増加させることができる。この動作を交互に繰り返すことで、nx>nz>nyを実現することができる。
以上は、固有複屈折率が正のポリマーを例に説明したが、固有複屈折率が負のポリマーでも、z方向に延伸することで、nx>nz>nyの関係を満足するようなポリマーフイルムが実現できる。
[円偏光板]
λ/4板と偏光膜とを、λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度が実質的に45゜になるように積層すると円偏光板が得られる。実質的に45゜とは、40乃至50゜であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、41乃至49゜であることが好ましく、42乃至48゜であることがより好ましく、43乃至47゜であることがさらに好ましく、44乃至46゜であることが最も好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
偏光膜のλ/4板とは反対側の面には、透明保護膜を設けることが好ましい。
[実施例1]
(位相差板の作製)
室温において、平均酢化度60.9%のセルロースアセテート45重量部、下記のレターデーション調整剤(1)0.675重量部、下記のレターデーション調整剤(2)0.225重量部、メチレンクロリド232.72重量部、メタノール42.57重量部およびn−ブタノール8.50重量部を混合して、溶液(ドープ)を調製した。
Figure 0004870712
得られたドープを、ガラス板上に流延し、室温で1分乾燥後、50℃で5分乾燥した。乾燥後の揮発分は3重量%であった。セルロースアセテートフイルムをガラス板から隔離し、厚さ100μmの熱収縮フイルム(菱チューブ、三菱化成(株)製)をフイルム両面に貼り付け、120℃で一軸延伸した。その後、熱収縮フイルムをフイルム両面から剥離した。得られたセルロースアセテートフイルムの乾燥膜厚は、200μmであった。
得られたセルロースアセテートフイルム(位相差板)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、112.8nm、137.5nmおよび145.1nmであった。従って、このセルロースアセテートフイルムは、広い波長領域でλ/4を達成していた。
さらに、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの角度依存性の測定から、波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算したところ、nx=1.49039、ny=1.48970、nz=1.4900であった。そのため、このセルロースアセテートフイルムは、斜め方向から見てもレターデーション値がほぼ一定(斜め方向からみても、λ/4を達成)であった。
[比較例1]
(位相差板の作製)
重量平均分子量10万のポリカーボネートを塩化メチレンに溶解して、17重量%溶液を得た。この溶液をガラス板上に、乾燥膜厚が80μmとなるように流延し、室温で30分乾燥後、70℃で30分乾燥した。乾燥後の揮発分は1重量%であった。ポリカーボネートフイルムをガラス板から剥離し、5cm×10cmのサイズに裁断し、158℃で4%延伸し、ポリカーボネートの延伸複屈折フイルムを得た。
得られたポリカーボネートフイルム(位相差板)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、147.8nm、137.5nmおよび134.9nmであった。
さらに、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの角度依存性の測定から、波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算したところ、nx=1.589、ny=1.584、nz=1.584であった。
[実施例2]
(円偏光板の作製)
透明保護膜、偏光膜および実施例1で作製した位相差板を、この順に積層して円偏光板を得た。位相差板の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、45゜に調整した。
得られた円偏光板の光学的性質を調べたところ、広い波長領域(450〜590nm)において、ほぼ完全な円偏光が達成されていた。
[実施例3]
(位相差板の作製)
乾燥膜厚が400μmとなるように、ドープの塗布量を変更した以外は、実施例と同様にしてセルロースアセテートフイルムを作製した。
得られたセルロースアセテートフイルム(位相差板)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、225.6nm、275.1nmおよび190.2nmであった。従って、このセルロースアセテートフイルムは、広い波長領域でλ/2を達成していた。
さらに、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの角度依存性の測定から、波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算したところ、nx=1.49039、ny=1.48970、nz=1.49000であった。そのため、このセルロースアセテートフイルムは、斜め方向から見てもレターデーション値がほぼ一定(斜め方向からみても、λ/2を達成)であった。
[実施例4]
(位相差板の作製)
室温において、平均酢化度60.9%のセルロースアセテート30重量部、平均酢化度55.0のセルロースアセテート15重量部、メチレンクロリド232.72重量部、メタノール42.57重量部およびn−ブタノール8.50重量部を混合して、溶液(ドープ)を調製した。
得られたドープを、ガラス板上に流延し、室温で1分乾燥後、50℃で5分乾燥した。乾燥後の揮発分は3重量%であった。セルロースアセテートフイルムをガラス板から隔離し乾燥させた。得られたセルロースアセテートフイルムの乾燥膜厚は、175μmであった。
セルロースアセテートフイルムをロールの円周に巻きつけ、フイルム外側の温度が112℃、内側の温度が131℃となるように、フイルムの表裏に温風と冷風を吹き付けた。次に、フイルムの表裏を逆にして、ロールの円周に巻きつけ、同様の工程を通した。この一連の工程を10サイクル行った。続いて、このフイルムに、145℃で20%の一軸延伸を行った。
得られたセルロースアセテートフイルム(位相差板)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、115.4nm、137.5nmおよび149.5nmであった。
さらに、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの角度依存性の測定から、波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算したところ、nx=1.4948、ny=1.4941、nz=1.4945であった。そのため、このセルロースアセテートフイルムは、斜め方向から見てもレターデーション値がほぼ一定であった。

Claims (7)

  1. ポリマーフイルムの片面または両面に熱収縮性フイルムを接着し、その積層体を加熱一軸延伸処理する位相差板の製造方法であって、波長450nmで測定したレターデーション値が200乃至250nmであり、波長590nmで測定したレターデーション値が270乃至320nmからなる位相差板であって、かつ面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyの関係を満足する一枚のポリマーフイルムからなる位相差板の製造方法
  2. 前記ポリマーフイルムの両面に厚さ100μmの熱収縮性フイルムを接着し、その積層体を120℃で加熱一軸延伸する請求項1に記載の製造方法
  3. ポリマーフイルムの両面に温度差をつけた状態で曲げる動作を繰り返す位相差板の製造方法であって、波長450nmで測定したレターデーション値が200乃至250nmであり、波長590nmで測定したレターデーション値が270乃至320nmであり、かつ面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyの関係を満足する一枚のポリマーフイルムからなる位相差板の製造方法
  4. 前記ポリマーフイルムをロールの円周に巻きつけ、フイルム外側の温度が112℃、内側の温度が131℃となるように、フイルムの表裏に温風と冷風を吹き付け、次に、フイルムの表裏を逆にして、ロールの円周に巻きつけ、フイルムの表裏に温風と冷風を吹き付ける工程を繰り返し、続いて該ポリマーフイルムを145℃で20%の一軸延伸する請求項3に記載の製造方法
  5. ポリマーフイルムに電場を印加しながら面内に一軸延伸する位相差板の製造方法であって、波長450nmで測定したレターデーション値が200乃至250nmであり、波長590nmで測定したレターデーション値が270乃至320nmであり、かつ面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyの関係を満足する一枚のポリマーフイルムからなる位相差板の製造方法
  6. 前記ポリマーフイルムがセルロースエステルフイルムである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法
  7. 前記セルロースエステルフイルムが、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しない分子構造を有する化合物を含む、請求項6に記載の製造方法
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