図3は、本発明の実施の一形態の表示装置10の概観を示す斜視図である。表示装置10は、天井面11に取り付けて用いられる。本実施の形態では、表示装置10は車載用の表示装置であり、前記天井面11は、本実施の形態では車両の天井面である。本実施の形態において、天井面11に沿う仮想一平面に平行であって、かつ相互に垂直な予め定める2方向を、X方向およびY方向とし、天井面11に沿う仮想一平面に垂直であって、前記X方向およびY方向に垂直な方向を、Z方向と定義する。X方向は、車両の前後方向に平行であり、Y方向は車両の幅方向に平行とする。本実施の形態では、前記天井面11に沿う仮想一平面は、水平であるとする。
表示装置10は、取付部12と、表示パネル部13と、ヒンジ部14とを含んで構成される。取付部12は、天井面11が形成される天井に、たとえば、ねじなどの固定部材によって固着される。取付部12は、表示パネル部13を収容可能な収容部15を有する。
表示パネル部13は、液晶表示パネルまたはEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどの薄型表示パネルを含んで構成される。薄型表示パネルは、表示面16が露出するようにパネル筐体13Aに保持される。表示パネル部13は、略直方体形状であり、かつ板状に形成される。表示パネル部13は、その厚み方向の一表面部13aに表示面16を有する。表示面16は矩形状であって、この表示面16の周縁の4つの辺が、表示パネル部13の厚み方向の一表面の4つの辺に、平行または垂直となるように設けられる。
ヒンジ部14は、表示パネル部13を、天井面11に沿う仮想一平面に平行な予め定める第1軸線(以下、第1軸線という)L1まわりに角変位可能に取付部12に連結する。またヒンジ部14は、表示パネル部13の第1軸線L1まわりの角変位位置に独立して、前記仮想一平面に垂直な第2軸線L2まわりに角変位可能に取付部12に連結する。ヒンジ部14は、取付部12のX方向一方の端部17に、たとえばねじによって固着される。X方向一方は、車両の前方である。またヒンジ部15は、表示パネル部13の厚み方向に垂直であって、かつ表示面16の前記4つの辺のいずれかに沿って延びる2つの方向のうちの、一方(以下、第1パネル方向という)の端部18であって、かつ他方(以下、第2パネル方向という)の中央部19に、たとえば、ねじなどの固定部材によって固着される。第2パネル方向は、第1軸線方向に平行である。
第1パネル方向をY方向に平行にして、表示パネル部13を第1軸線L1まわりの一方A1に角変位させて、表示パネル部13の遊端部21を取付部12のX方向他方の端部22に向かって近接させると、表示パネル部13を収容部15に収容することができる。表示パネル部13が収容部15に収容された収容位置に設けられているとき、表示面16は取付部12に対向する。収容部15は、前記表示パネル部13が嵌まる凹部によって形成される。取付部12には、収容位置に表示パネル部13が収容された状態(以下、収容状態という)で、表示パネル部13に係合して、収容位置に表示パネル部13を係止可能な係止手段23が設けられる。係止手段23は、係止解除ボタン24を含んで構成される。係止解除ボタン24は、取付部12のX方向他方の端部22に設けられる。収容状態で、係止解除ボタン24によって表示パネル部13の係合を解除すると、表示パネル部13は自重によって第1軸線L1まわりの他方A2に、表示パネル部13の遊端部21が、収容部15から突出して、手指で表示パネル部13の遊端部21を保持することができる予め定める位置に、予め定める角度変位する。
表示パネル部13によって表示を行わないときには、収容部15に表示パネル部13を収容し、係止手段23によって収容位置で表示パネル部13を係止することによって、表示パネル部13が室内において邪魔になることがない。また収容状態では、表示面16が取付部13に臨んで露出しないので、表示面16に不所望に異物が衝突してしまうことが防止される。
ヒンジ部14は、表示パネル部13を第1軸線L1まわりに予め定める第1角度範囲で角変位可能に取付部12に取付ける。本実施の形態において予め定める第1角度範囲は、180°に選ばれる。このように予め定める第1角度範囲を選ぶことによって、たとえば利用者が表示パネル部13に不所望に接触したときには、表示パネル部13を角変位させることができ、表示パネル部13に不所望な過度の負荷が与えられて表示装置10の損傷してしまうことを防止することができる。
またヒンジ部14は、表示パネル部13を第2軸線L2まわりに予め定める第2角度範囲で角変位可能に取付部12に取付ける。本実施の形態において予め定める第2角度範囲は、60°に選ばれる。ここでは、第1軸線L1がY方向に平行となる位置を基準位置として、第2軸線L2まわりの一方B1および他方B2のそれぞれに予め定める第3の角度範囲で角変位可能とする。予め定める第3の角度範囲は、予め定める第2角度範囲の2分の1に選ばれる。
表示装置10では、第1軸線L1まわりの第1角度範囲において、表示パネル部13がどの角変位位置にあっても、第2軸線L2まわりに取付部12に対して第2角度範囲で角変位可能であるので、表示パネル部13を第1軸線L1まわりで利用者が所望の角変位位置に配置した状態で、表示パネル部13の表示面16を利用者の正面に臨むように第2軸線L2まわりに角変位させても、利用者から見て表示面16の横方向が略水平面に対して斜めになることがないために、表示が見やすくなり、また複数の利用者に対して、1つの表示パネル部13の表示面16を見やすくすることができる。車両に設けられるときには、表示装置10は、たとえば1列目のシートと2列目のシートとの間の天井部分に取り付けられて用いられ、このような位置に表示装置10を取り付けたときに、2列目および3列目のシート、どの座席に利用者が着座しても、利用者の着座位置に合わせて、表示パネル部13の表示面16を利用者に見やすく臨ませることができる。したがって、また利用者に合わせて表示面16の向きを変更することができるので、汎用性が高い表示装置が実現される。
図4は、ヒンジ部14の構成を示す正面図であり、図5はヒンジ部14の構成を示す側面図である。ヒンジ部14は、取付基部25と、一の角変位部である第1角変位部26と、他の角変位部である第2角変位部27とを含んで構成される。ヒンジ部14を構成する取付基部25、第1角変位部26および第2角変位部27の各部は、たとえばアルミニウム合金およびステンレス鋼板などの高い剛性を有する金属によって形成される。図4および図5では、収容状態のときのヒンジ部14を、X方向の他方側から見て示す。
取付基部25は、取付部12に、たとえば、ねじなどの固定部材によって固着される。取付基部25は、直方体形状であり、かつ板状に形成され、その厚み方向がZ方向に平行となる。取付基部25の厚み方向に垂直な長手方向はY方向に平行であり、厚み方向に垂直な短手方向はX方向に平行である。取付基部25は、その長手方向および短手方向の中央部には、Z方向に貫通する貫通孔29が形成される。貫通孔29は、第2軸線L2を挿通し、第2軸線L2と同軸に形成される。この貫通孔29に1角変位部26と連結するための連結体28が挿通される。第1角変位部26のZ方向の一端部26aは、第2軸線L2まわりに、予め定める力よりも大きな力を加えることによって、第1角変位部26が取付基部25に相対的に角変位可能となるように取付基部25に、連結体28を介して連結される。連結体28は、その一部が取付基部25に形成される貫通孔29、および第1角変位部26に形成される貫通孔44に挿通されて設けられる。連結体28には、第2軸線L2を挿通する貫通孔150が形成され、貫通孔150は第2軸線L2と同軸に形成される。
第1角変位部26は、第1軸線L1方向に沿う第1部分31と、第1部分31の第1軸線L1方向の中央部32から取付基部25側に突出する第2部分33とを備える。第1部分31は、第1軸線L1方向の両端部間の中間部に設けられる中間部形成体34と、中間部形成体34の第1軸線L1方向の両端部35にそれぞれ設けられる端部形成体36とを含んで構成される。中間部形成体34は、第1軸線L1に垂直な断面が取付基部25側に開口する略コ字形状に形成される。端部形成体36は、円柱形状を有する円柱部分37と、円柱部分37の軸線方向に連なり、固着部材であるねじ38によって中間部形成体34に固着される固着部39とを含んで構成される。中間部形成体34は、第1軸線方向L1の端部35に、Z方向において取付部25とは反対側、および第1軸線L1方向および第2軸線L2に垂直な方向(以下、軸直角方向という)から固着部39を覆い、軸直角方向の両側から固着部39に接触する。中間部形成体34の各端部35において、第1軸線L1方向に所定距離離間して複数設けられる前記ねじ38によって中間部形成体34に固着部が固着される。以上のような構成によって、中間部形成体34と端部形成体36とを組み合わせて第1部分31を構成しても、第2軸線L2まわりに第1部分31の第1軸線L1方向の端部に力が加わったときに、中間部形成体34と端部形成体36とが相対的に変位してしまうことがない。
第2部分33は、第1軸線L1および第2軸線L2を含む仮想一平面における断面が、第1部分31側に開口する略コ字形状に形成される突出部141と、突出部141の第1部分31側の端部で、かつ第1軸線L1方向の両端部に連なる第1連結部とを含んで構成される。突出部141および第1連結部は、一体形成される。第1連結部は、中間部形成体34の両端部35で、それぞれ端部35と円柱部分37とに挟まれて、前記ねじ38によって固定される。突出部141の取付基部25側の端部143には、Z方向に貫通する貫通孔144が形成される。貫通孔144は、第2軸線L2を挿通し、第2軸線L2と同軸に形成される。貫通孔144には、連結体28が嵌合されて設けられる。
連結体28は、取付基部25の厚み方向の両側から取付基部25に板ばね部材145をそれぞれ押し付けた状態で、板ばね部材145と突出部141とを固着する。連結体28は、第1角変位部26に固着される。これによって第2軸線L2まわりに、不所望に表示パネル部13が角変位してしまうことを防止することができる。前記連結体28は、表示パネル部13に2Gの加速度が加わったときでも、第2軸線L2まわりに角変位しないように第1角変位部26と取付基部25とを連結する。これによって、表示装置10が車両に設けられても車両の動作にともなって不所望に表示パネル部13が角変位してしまうことを防止することができる。表示パネル部13の重量は、1kg程度である。連結体28には、第2軸線L2を含む貫通孔が形成される。
取付基部25には、第1角変位部26に臨む表面部に、第1角変位部26の角変位を規制するための角変位規制部145が形成される。第1角変位部26または連結体28には、第2軸線L2まわりに角変位させたときに、前記角変位規制部145に当接可能な当接部分が形成される。
第2角変位部27は、第1角変位部26の第1軸線L1方向の両端部に、第1軸線L1まわりに角変位可能に連結される。第2角変位部27は、円柱部分37の第1軸線L1方向の外方の端部40が挿入されて設けられる挿通部分41と、挿通部分41に一体的に連なり、第1軸線L1方向の外方に延びる第1取付面形成部43と、第1取付面形成部43に一体的に連なる第2取付面形成部44とを含んで構成される。挿通部分41、第1および第2取付面形成部43,44は、板状部材であって、挿通部分41の厚み方向は、第1軸線L1方向であり、第1取付面形成部43の厚み方向は、挿通部分41の厚み方向に垂直であり、第2取付面形成部44の厚み方向は、挿通部分41の厚み方向および第1取付面形成部44の厚み方向に垂直となる。挿通部分41の厚み方向および第1取付面形成部43の厚み方向に平行な仮想一平面における挿通部分41および第2取付面形成部44から成る連結体の断面は、L字形状となる。第1取付面形成部44は、第1軸線L1方向において、挿通部分41の外方に、挿通部分41から離間して設けられる。第1取付面形成部43の厚み方向および第2取付面形成部44の厚み方向に平行な仮想一平面における断面における第1取付面形成部43および第2取付面形成部44から成る連結体の断面は、L字形状となる。第1および第2取付面形成部43,44のぞれぞれに、ねじなどの固定部材によって、表示パネル部13の筐体13Aが固着される。第2角変位部27は、直行する2方向から表示パネル部13の筐体13Aを支持して、表示パネル部13に固着されるので、表示パネル部13を安定して保持することができる。第1取付面形成部43の厚み方向は、第1パネル方向であり、第2取付面形成部44の厚み方向は、表示パネル部13の厚み方向である。
図6は、第2角変位部27の挿通部分41を示す平面図であり、図7は挿通部分41を挟持する挟持板51を示す平面図である。挿通部分41は、中央部に第1軸線L1方向に貫通する貫通孔42が形成される。貫通孔42には、前記円柱部分37の端部40が挿通される。挿通部分41には、第1軸線L1まわりの所定の角度位置に、第1〜第3貫通孔53a,53b,53cおよび第1〜第3切欠き54a,54b,54cが形成される。第1〜第3貫通孔53a,53b,53cおよび第1〜第3切欠き54a,54b,54cは、第1軸線L1まわりに周方向に並んで形成される。第1貫通孔53aおよび第1切欠き54aは、第1軸線L1を挟んで形成され、かつ第1軸線L1から等距離に形成される。第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bは、第1軸線L1を挟んで形成され、かつ第1軸線L1から等距離に形成される。第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cは、第1軸線L1を挟んで形成され、かつ第1軸線L1から等距離に形成される。第1軸線L1に垂直であって、第1貫通孔53aおよび第1切欠き54aをとおる第1角変位軸線55aと、第1軸線L1に垂直であって、第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bをとおる第2角変位軸線55bとは、第1軸線L1まわりに、予め定める角度θ1をなす。また第2角変位軸線55bと、第1軸線L1に垂直であって、第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cをとおる第3角変位軸線55cとが、第1軸線L1まわりに、予め定める角度θ1をなす。また第1角変位軸線55aと第2角変位軸線55bとが、第1軸線L1まわりに、予め定める角度θ1の2倍の角度をなす。予め定める角度θ1は、18°に選ばれる。
また挿通部分41には、第1軸線L1まわりで、第3貫通孔53cと第1切欠き54aとの間に第4切欠き54dが形成され、また第1軸線L1まわりで、第1貫通孔53aと第2切欠き54cとの間に第4貫通孔53dが形成される。第4切欠き54dと第4貫通孔53dとは、第1軸線L1を挟んで形成される。第4切欠き54dと第4貫通孔53dとは、他の貫通孔および切欠きよりも大きく形成される。
挟持板51は、円環形状を有し、円柱部分37の前記端部40に嵌挿されて、第1軸線L1の両側から挿通部分41に接触して設けられる。挟持板51は、円柱部分37の前記端部40に固着され、第1軸線L1まわりには回転しない。挟持板51は、板ばね部材56と、板ばね部材56を挿通部分41に押し付ける押付部57とを有する。板ばね部材56には、第1軸線L1挟んで、第1軸線L1の周方向に180°離間し、かつ第1軸線L1から予め定める距離T1離間して設けられ、挿通部分41側に突出する突部58が設けられる。予め定める距離T1は、第1軸線L1の半径方向で、第1軸線L1と、第1〜第3貫通孔53a,53b,53cおよび第1〜第3切欠き54a,54b,54cとの各距離T2と等しい。
前記突部58は、板ばね部材56のZ方向の両端部56aにそれぞれ形成され、第2軸線L2に沿って離間する。押付け部材57は、前記突部58が形成される板ばね部材56のZ方向の両端部56aを除く、Z方向の中央部56bに設けられる。板ばね部材56の押付け部材57側の表面部には突部59が設けられ、この突部59が押付け部材57に形成される孔60に嵌挿されて、板ばね部材56と押付け部材57との第1軸線L1まわりの相対的な変位が規制される。
第1貫通孔53aおよび第1切欠き54aの組合せ、第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bの組合せ、第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cの組合せに各突部58が嵌まることによって、第2角変位部27の第1軸線L1まわりの変位を規制するロックすることができる。第1〜第3貫通孔53a〜53cは、突部58とほぼ同じ大きさに形成される。収容状態のとき、第4貫通孔53dおよび第4切欠き54の組合せに各突部58が嵌まっている。第4貫通孔53dおよび第4切欠き54dは、突部58よりも大きく選ばれる。収容状態を基準位置として、基準位置から第1軸線L1まわりに予め定める角度範囲では、前記突部58が第4貫通孔53dおよび第4切欠き54dに嵌まるように、これら第4貫通孔53dおよび第4切欠き54dが形成される。突部58が第4貫通孔53dおよび第4切欠き54dに嵌まっている角度範囲では、表示パネル部13は自重によって角変位することができる。
第1貫通孔53aおよび第1切欠き54aの組合せ、第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bの組合せまたは第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cの組合せに突部58が嵌り込むと、突部58が嵌まり込んだ状態で板ばね部材56が挿通部分41側に突部58を押圧することによって、第1軸線L1まわりの変位が規制され、突部58が前記第1貫通孔53aおよび第1切欠き54aの組合せ、第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bの組合せ、第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cの組合せ、または第4貫通孔54dおよび第4切欠き54dの組合せに突部58が嵌まり込んでいないときよりも、第1軸線L1まわりに大きな力を第2角変位部27に加えなければ、第2角変位部27は、角変位しない。突部58が第1貫通孔53aおよび第1切欠き54aの組合せ、第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bの組合せ、第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cの組合せ、または第4貫通孔53aおよび第4切欠き54dの組合せに突部58が嵌まり込んでいない第1角変位領域では、第2角変位部27に、重力よりも大きな予め定める第1の力を第1軸線L1まわりに加えることによって、第2角変位部27を第1角変位部26に対して相対的に角変位させることができる。また突部58が前記第1貫通孔53aおよび第1切欠き54aの組合せ、第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bの組合せ、または第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cの組合せに突部58が嵌まり込んでいる第2角変位領域では、第2角変位部27に予め定める第1の力よりも大きな予め定める第2の力を与えることによって、第2角変位部27を第1角変位部26に対して相対的に角変位させることができる。第1および第2角変位領域は、第1軸線L1まわりに交互に形成される。
表示パネル部13が基準位置から第1軸線L1まわりの他方A2に、予め定める角度θ2角変位すると、突部58は、第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cに嵌り込む。突部58が、第3貫通孔53cおよび第3切欠き54cに嵌まり込んだ状態から、表示パネル部13が第1軸線L1まわりの他方A2に予め定める角度θ1角変位すると、突部58は、第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bに嵌り込む。突部58が、第2貫通孔53bおよび第2切欠き54bに嵌まり込んだ状態から、表示パネル部13が第1軸線L1まわりの他方A2に予め定める角度θ1角変位すると、突部58は、第1貫通孔53aおよび第1切欠き54aに嵌り込む。予め定める角度θ2は、たとえば102°に選ばれる。これによって、表示パネル部13は、基準位置から第1軸線L1まわりに102°、120°、138°変位した角変位位置で、角変位が規制され、係止される。第1軸線L1まわりで表示パネル部13が係止される角変位位置を、係止位置という。第1角変位部26と、第2角変位部27とは、表示パネル部13に2Gの加速度が加わったときでも、それぞれの係止位置で表示パネル部13を保持するように連結される。これによって、表示装置10が車両に設けられても車両の動作にともなって不所望に表示パネル部13が角変位してしまうことを防止することができる。
ヒンジ部14には、図4の仮想線で示されるように、ヒンジ部24の第1角変位部26の、第1軸線L1方向の中間部を覆ってカバー体81が設けられる。カバー体81については、後述する。
図8は、ヒンジ部14と配線保護部材61とを示す分解斜視図である。表示装置10は、配線保護部材61をさらに含んで構成される。第1角変位部26の第1部分31には、第2軸線L2が挿通する貫通孔62が形成され、貫通孔62は第2軸線L2に同軸に形成される。配線保護部材61は、合成樹脂材料から成り、たとえばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)から成る。
配線保護部材61は、筒状部63と、延在部64とを含んで構成される。筒状部63は、取付基部25に形成される貫通孔29、および第1角変位部26に形成される貫通孔44,62、連結体28の貫通孔150に挿通されて、取付基部25および第1角変位部26に挿通される。すなわち筒状部63は、ヒンジ部14の第2軸線L2方向の一方側および他方側とにわたって形成される。
延在部64は、筒状部63の第2軸線L2方向一端部65に連なり、第1軸線L1に沿って第1角変位部26に設けられる。延在部64の、第1角変位部26とは反対側となる第2軸線L2方向一表面66は、略平面に形成される。延在部64は、前記中間部形成体34に接触して、中間部形成体34に固着される。延在部64の第1軸線L1方向の長さは、中間部形成体34の第1軸線L1方向の長さに等しい。
延在部64の第1軸線L1方向の中央部67には、前記第2軸線L2方向一表面66から、ヒンジ部14側に退避する溝68が形成される。また延在部64の第2軸線L2方向一表面部には、Z方向および第1軸線L1方向に垂直な方向の周縁部に、後述するフレキシブルプリント配線基板71の位置決めを行うための位置決め位置決め突起69が形成される。
図9は、ヒンジ部14に配線保護部材61を取り付け、フレキシブルプリント配線基板71を設けて示す平面図である。表示装置10は、表示パネル部13と取付部12とを電気的に接続する配線部であるフレキシブルプリント配線基板(以下、フレキ配線基板という)71をさらに含んで構成される。フレキ配線基板71は、配線保護部材61の筒状部63に挿通されて、表示パネル部13と取付部12との間にわたって配設される。フレキ配線基板71は、配線保護部材61の筒状部63に挿通されて、延在部64の前記一表面66上に沿って配設される。本実施の形態では、2つのフレキ配線基板71a,71bが設けられ、一方のフレキ配線基板71aは、筒状部63の第1軸線L1方向一方の延在部64に沿って、第1軸線L1の一方に延び、他方のフレキ配線基板71bは、筒状部63の第1軸線L1方向他方の延在部64に沿って、第1軸線L1の他方に延びる。
表示パネル部13と取付部12とを電気的に接続するフレキ配線基板71を複数設けることによって、1つで接続する場合と比較して、1つ1つのフレキ配線基板71の幅を小さくすることができ、フレキ配線基板71を通すためにヒンジ部14を大型化する必要がなく、ヒンジ部14を小形に形成することができる。
フレキ配線基板71bは、その厚み方向の一表面を延在部64の一表面66に接触させて配設され、テープ体72によって、延在部64に固定される。延在部64の第2軸線L2方向一表面部67に形成される位置決め突起69の軸直角方向の間隔は、フレキ配線基板71の幅よりもわずかに大きく形成され、この位置決め突起69によって、延在部64に沿って配設されるフレキ配線基板71の位置決めを行うことができる。
フレキ配線基板71は、延在部64上では第1軸線L1方向に沿って延在し、第1角変位部26の第1軸線L1方向の端部で、配線方向が変更される。フレキ配線基板71は、円柱部分37で、第1軸線L1まわりに沿わせて設けられる。本実施の形態では、図9に示すように、収容状態において、円柱部分37の第2軸線L2方向の一方側から、円柱部分37の第2軸線L2方向の他方側までのほぼ半周に、第2軸線L2まわりに配線方向が沿うようにフレキ配線基板71を沿わせて配設する。表示パネル部13を取付部12に対して相対的に角変位させると、表示パネル部13の移動にともなってフレキ配線基板71が引っ張られたり、押されたりするが、フレキ配線基板71を、円柱部分37の外周面に沿わせることによって、フレキ配線基板71が引っ張られたり、押されたりしても、フレキ配線基板71の延在方向に力が加わるので、フレキ配線基板71において断線が生じにくく、したがって表示パネル部13の角変位によって生じる配線の断線を抑制することができる。
円柱部分37には、フレキ配線基板71を沿わせる位置に、位置あわせの印73が設けられる。位置あわせの印73は、円柱部分37の外周部に溝を形成することによって実現される。この溝は、各円柱部分37に第1軸線L1方向に所定距離離間して複数形成される。ヒンジ部14の、第1軸線L1の一方および他方に設けられる円柱部分37は、同形状に形成され、第1軸線L1に垂直な仮想一平面に関して面対称に形成される。フレキ配線基板71を沿わせる位置に形成される位置あわせの印73は、フレキ配線基板71の幅によって異ならせる必要がある。フレキ配線基板71a,71bの幅を異ならせても、位置あわせの印73となる溝が、第1軸線方向に所定距離離間して形成されるので、1種類の位置あわせの印73によって、異なる幅のフレキ配線基板71a,71bの位置あわせに対応することができる。したがって、フレキ配線基板71の幅に応じて、種類の異なる円柱部分37を形成する必要がなく、製造コストを低減することができる。
フレキ配線基板71は、配線保護部材61の筒状部63に挿通されてヒンジ部14に形成される各貫通孔29,44,62を挿通される。フレキ配線基板71を、ヒンジ部14に形成される貫通孔62および連結体28の貫通孔150に直接挿通させると、各貫通孔62,150に臨む部分に形成される角部に接触してしまい、フレキ配線基板71が劣化したり、断線したりしてしまうおそれがあるが、フレキ配線基板71を、前記筒状部63に挿通させることによって、ヒンジ部14との接触を防止して、フレキ配線基板71の劣化および断線を抑制することができる。またヒンジ部14の第2軸線L2方向の一方および他方で、フレキ配線基板71が折れ曲がる部分において、フレキ配線基板71とヒンジ部14の角部とが直接接触することがない。
筒状部63には、第2軸線L2が挿通する中央部に、フレキ配線基板71が相通する挿通空間が形成される。筒状部63は、円筒部と、円筒部の内周面に囲まれる空間に設けられる一対の平板部とを有する。平板部は、円筒部の内周面に連なって形成される。平板部は、相互に平行となるように形成され、相互に対向する表面は、軸直角方向に垂直であって、平面に形成される。平板部は、円筒部63の第2軸線L2方向の両端部間にわたって形成される。平板部の相互に対向する表面と、平板部の対向する表面に連なる円筒部の内周面の一部とによって囲まれて前記挿通空間が形成される。平板部の相互に対向する平面の、第1軸線L1方向の幅は、フレキ配線基板71の幅よりも大きく選ばれる。また平板部の相互に対向する平面間の距離は、少なくとも挿通させる複数のフレキ配線基板71の厚さを加算した厚さよりも大きく、円筒部の半径よりも小さく選ばれる。このような挿通空間に、フレキ配線基板71を相通することによって、プリント配線基板71のうち筒状部63に挿通される部分が、筒状部63内で蛇行することなく配線され、また挿通空間に臨む内周面には、プリント配線基板71を折り曲げてしまうような角部が形成されないので、プリント配線基板71のうちヒンジ部14を通過させる部分の断線を防止することができる。また配線保護部材61を、前述した合成樹脂を用いて形成することによって、配線保護部材61がフレキ配線基板71と接触してもフレキ配線基板71を傷つけてしまうことが抑制され、表示パネル部13の角変位にともなって変位することがあるフレキ配線基板71の断線を抑制して、表示パネル部13と取付部12との接続の信頼性を向上させることができる。
図10および図11は、フレキ配線基板71を示す平面図である。フレキ配線基板71は、複数の導電線71aを、これらを相互に間隔をあけて、電気絶縁性を有し、かつ透光性を有する樹脂フィルム71bに埋め込んで保持させて成る。各導電線71aは、1A程度の電流を流すことができるように設計される。配線部を構成するフレキ配線基板71は、図11に示される直方体形状であって、導電線71aが直線状に形成されるフレキ配線基板71を、このフレキ配線基板71の厚み方向の一表面部74の一部分74a,74b同士を対向するように折り曲げることによって、配線方向が変更される。図11に示すフレキ配線基板71を折り曲げて配線方向を変更する場合では、L字形状に形成され、導電線がL字形状に形成されるフレキ配線基板を用いる場合と比較して、断線を抑制することができ、歩留まりを向上させることができる。また直線状のフレキ配線基板のほうが作製が容易であるので、製造コストを低減することができる。
またフレキ配線基板71には、折り曲げるべき位置に、折り曲げ印75が形成される。折り曲げ印75は、フレキ配線基板71の幅方向の両側に設けられ、かつ幅方向の各端部において、フレキ配線基板71の延在方向に所定の間隔をあけて2つずつ設けられる。折り曲げ印75は、フレキ配線基板71の形成工程において、樹脂フィルムに埋め込まれる導電線71aを、金属膜をエッチングにすることによって形成するときに、この金属膜の一部を残すことによって形成される。これによって、折り曲げ印75を形成する工程を増加する必要がないので、表示装置10の作製工程が増加することがない。また折り曲げ印75は、樹脂フィルムに埋め込まれるので、不所望に消えてしまうことがなく、歩留まりを向上させることができる。
フレキ配線基板71の幅方向の両端部にそれぞれ2つずつ形成される折り曲げ印75に囲まれる領域を折り曲げて、フレキ配線基板71の一表面部74の一部分同士を対向させることによって、フレキ配線基板71の配線方向を所定の角度に容易に変更することができる。フレキ配線基板71を折り曲げるには、たとえば折り曲げ用の治具を用いる。
配線保護部材61に形成される前記溝68には、フレキ配線基板71のうち筒状部63に挿通される部分と、延在部61に沿って配設される部分との間で、フレキ配線基板71のうち折り曲げられる部分(以下、折り曲げ部という)76が収容可能に形成される。フレキ配線基板71は、前述したように折り曲げることによって配線方向が変更され、フレキ配線基板71は弾発性を有するので、前述した図10に示すように折り曲げられても、折り曲げ部分76の対向する表面部分は、密着しないで相互に離反しようとする。このため折り曲げ部分76は、厚み方向に膨らんでしまうが、この折り曲げ部分76を溝68に収容することによって、フレキ配線基板71の他の部材への干渉を防止することができる。
図12は、ヒンジ部14と、ヒンジ部14を覆うカバー体81の分解斜視図である。図13は、カバー体基部82の平面図であり、図14はカバー体基部82の正面図であり、図15はカバー体基部82の側面図である。図16は、カバー体本体83の正面図であり、図17はカバー体本体83の側面図である。ヒンジ部14は、カバー体81によって覆われる。カバー体81は、カバー体基部82と、カバー体本体83とを含んで構成される。カバー体基部82は、第1角変位部26を、軸直角方向から挟み、第1角変位部26に支持される。カバー体基部82は、第1および第2カバー体基部82a,82bを含んで構成される。カバー体基部82は、第1角変位部26のうち、前記突出部41および円柱部分37の一部を覆う。
第1および第2カバー体基部82a,82bは、第1および第2軸線L1,L2を含む仮想一平面に関して、一部分を除いて面対称となるように形成される。第1および第2カバー体基部82a,82bは、第1軸線L1方向に延びる第1側壁部83と、第1側壁部83の第1軸線L1の両端部に設けられる第2側壁部84と、第2側壁部84のZ方向の第1角変位部26に臨む側に設けられ円柱状部37の外周面に沿う軸カバー部85と、ねじによって固定するためのねじ固定部86と、突出部141と中間部形成体34との間の空間に設けられ、筒状部63の外周を第2軸線L2まわりに外囲する筒状カバー部87とをそれぞれ含んで構成される。
第1および第2カバー体基部82a,82bの各第1側壁部83は、相互に略平行に形成され、第1軸線L1に沿って、第1軸線L1の中央部が相互に最も離反し、第1軸線L1方向の外方に向かうに連れて、幅が小さくなるように湾曲する。各第1側壁部83には、第1軸線L1方向の中央で、各第1側壁部83が相互に対向する表面部83aから、相互に近接する方向に突出して、筒状カバー部87が形成される。第1カバー体基部82aの筒状カバー部87の遊端部と、第2カバー体基部82bの筒状カバー部87の遊端部とが突き合わせて設けられる。第1および第2カバー体基部82a,82bの筒状カバー部87は、円柱部分37に離間して円柱部分37を第2軸線L2まわりに外囲する。
また各第1側壁部83には、筒状カバー部87の第1軸線L1方向の両側に、各第1側壁部83が相互に対向する前記表面部83aから、相互に近接する方向に突出して、ねじ固定部86がそれぞれ形成される。第1カバー体基部82aのねじ固定部86の遊端部と、第2カバー体基部82bのねじ固定部86の遊端部とが突き合わされる。第1カバー体基部82aのねじ固定部86aには、ねじ頭が没入可能であり、ねじの軸部が軸直角方向に貫通する貫通孔が形成され、第2カバー体基部82bのねじ固定部86bには、雄ねじが螺着される雌ねじが形成される。ねじ固定部86同士を突き合わされた状態で、ねじによって第1および第2カバー体基部82a,82bが固着される。筒状カバー部87と、ねじ固定部86との間に突出部141の一部が挿通して設けられる。これによって、カバー体基部82の第2軸線L2まわりの変位が規制される。
第2側壁部84は、第1側壁部83の第1軸線L1方向の端部にそれぞれ設けられる。第1および第2カバー体基部82a,82bの第1軸線L1方向一方の第2側壁部84同士の遊端部が突き合わされ、第1および第2カバー体基部82a,82bの第1軸線L1方向他方の第2側壁部84同士の遊端部が突き合わされる。
筒状カバー部87は、各第2側壁部84の円柱部分37に臨む端部に設けられ、第2側壁部84から第1軸線L1の外方に延びる。第1および第2カバー体基部82a,82bの筒状カバー部87によって、円柱部分37の取付基板25側の約半周が覆われる。
第1および第2カバー体基部82a,82bには、ねじ固定部86と、各ねじ固定部86aと、第2側壁部84との間に、表面部83aから立設する補強リブ84が形成される。第1カバー体基部82aに形成される補強リブ84aは、ねじ固定部86から、ねじ固定部86と第2側壁部84との間に中間部まで形成される。第2カバー体基部82bに形成される補強リブ84bは、ねじ固定部86と第2側壁部84との間にわたって形成される。
第1および第2カバー体基部82の第2側壁部84には、内表面に第1および第2カバー体基部82の位置合わせに用いられる突起部88が形成される。第1および第2カバー体基部82の突起部88は、第2軸線L2方向に重なるように形成され、これによって第1および第2カバー体基部82の第2軸線L2方向の位置ずれが防止される。
第1側壁部83の第2軸線L2方向において、取付基板25に近接する端部には、係合溝89が形成される。
カバー体本体83は、第1軸線L1方向に垂直な断面が、略コ字形状に形成される。カバー体本体83は、第1角変位部26の中間部形成体34を、前記配線保護部材61およびフレキ配線基板71とともに取付基部25とは反対側から覆う第1壁部91と、第1壁部91の軸直角方向の両端部から取付基板25側にそれぞれ立設する第2壁部92と、第1および第2壁部91,92の第1軸線L1方向の両端部で第1および第2壁部91,92に連なる第3壁部93と、第3壁部93に連なり、筒状部63の外周を第1軸線L1まわりに外囲する筒状カバー部94とを有する。第2壁部92の相互に対向する内表面は、前記第1側壁部83に沿うように形成され、湾曲する第1側壁部83の軸直角方向の外表面に接触する。第2壁部92は、前記第1側壁部83の前記湾曲する表面に沿って湾曲して形成される。
カバー体本体83は、第1角変位部26の中間部形成体34を、前記配線保護部材61およびフレキ配線基板71とともに取付基部25とは反対側から覆い、カバー体基部82に連結される。またカバー体本体83は、カバー体基部82を、前述した筒状カバー部87の第1軸線L1方向の外方となる端部を除いて、軸直角方向の両側から覆う。カバー体本体83の第2壁部92の取付基部25側の端部には、各第2壁部92が相互に近接する方向に突出する係止爪部95が形成される。この係止爪部95を、カバー体基部82に形成される係合溝88に係合して、カバー体本体83をカバー体基部82に係止する。これによってカバー体基部82を、カバー体基部82に取り付けるために、ねじなどの固定部材が必要なく、カバー体本体83を容易に固定することができる。
筒状カバー部94は、円柱部分37の取付基板25とは反対側の約半周を覆う。筒状カバー部94は、筒状カバー部87とともに円柱部分37を全周を外囲する。第3壁部93は、第2側壁部84とともに、中間部形成体36および突出部141を、第1軸線L1方向の外方側から覆う。第2側壁部84は、第2壁部92に軸直角方向の端部が接触する。
前述したカバー体81によって、ヒンジ部14に特別な加工を施さなくても、ヒンジ部14およびヒンジ部14に設けられるフレキ配線基板71とを覆うことができる。表示パネル部13を角変位させても、ヒンジ部14およびヒンジ部14に設けられるフレキ配線基板71がカバー体81から露出しないので、カバー体81がヒンジ部14およびヒンジ部14に設けられるフレキ配線基板71とに塵埃が付着することを抑制し、また不所望に物体がヒンジ部14およびヒンジ部14に設けられるフレキ配線基板71に接触してしまうことを抑制することができる。またカバー体81を設けることによってヒンジ部14が外観にあらわれないので、デザイン面においても、美観を損なうことがない。
図18は、取付部12の内部構造を模式的に示す平面図であり、Z方向の天井11側から見て示す。取付部12には、回路基板101が固定して設けられる。回路基板101には、ヒンジ部14に設けられる筒状部63を挿通するフレキ配線基板71a,71bの配線方向の一端部102a,102bが接続される。フレキ配線基板71a,71bは、筒状部63から、回路基板101との接続部103a,103bとの間で、クランク状に折り曲げられる折曲げ部104a,104bを有する。折り曲げ部104a,104bは、前述した図10に示すようにフレキ配線基板71a,71bが2回折り曲げられて形成される。このように折り曲げ部104a,104bを設けることによって、表示パネル部13を第2軸線L2まわりに角変位させたときに、フレキ配線基板71a,71bが表示パネル部13側に引っ張られたとしても、折り曲げ部104a,104bが伸縮することによって、接続部103a,103bが引っ張られることが防止される。これによってフレキ配線基板71a,71bと、回路基板101との接続の信頼性を向上させることができる。
図19は、表示装置10の構成を模式的に示す断面図である。第1角変位部26の円柱部分37の近傍に、たるみ防止リブ105が形成される。また取付部12には、表示パネル部13が収容部15に収容された収容位置に設けられているときに、表示パネル部13が接触する位置に設けられ、表示パネル部13の収容状態を検出するための接触型スイッチ部110が設けられる。
図20は、たるみ防止リブ105の斜視図である。たるみ防止リブ105は、表示パネル部13が第1軸線L1まわりに取付部12に対して相対的に角変位したときのフレキ配線基板71のたるみを防止する。たるみ防止リブ105は、円柱部分37に近接して設けられ、フレキ配線基板14のうち、円柱部分37に臨む一表面とは、反対側の表面に接触して設けられ、円柱部分37に沿うフレキ配線基板71が、円柱部分37から離反する位置106と、フレキ配線基板71が表示パネル部13の接続される位置との間で、フレキ配線基板71を、前記フレキ配線基板71が表示パネル部13の接続される位置よりも表示パネル部13の厚み方向の他表面寄りの位置で支持する。たるみ防止リブ105を設けることによって、円柱部分34の外周面に沿って厚み方向の一方に湾曲するフレキ配線基板71を、厚み方向の他方に湾曲させて、フレキ配線基板71の湾曲方向が変更される。これによって、円柱部分37からフレキ配線基板71が表示パネル部13の接続される位置との間における、第1軸線L1に垂直な仮想一平面におけるフレキ配線基板71の断面が、略S字形状となる。このようにたるみ防止リブ105を設けてフレキ配線基板71を配設することによって、表示パネル部13が第1軸線L1まわりに角変位しても、フレキ配線基板71が厚み方向の一方および他方にそれぞれに湾曲した状態が保持される。
表示パネル部13が収容位置に配置されたときに、フレキ配線基板71のうち円柱部分37に沿う部分の長さ、すなわち円柱部分37に巻き付く長さが最も長くなり、表示パネル部13を収容位置から第1軸線L1まわりに角変位させると、フレキ配線基板71のうち円柱部分37に沿う部分の長さが最も短くなる。したがって、表示パネル部13が収容位置から第1軸線L1まわりに最大角度角変位したときに、フレキ配線基板71のたるみが最も大きくなる。たるみ防止リブ105によってフレキ配線基板71を、円柱部分37に沿う部分とは反対側に反らせて配設することによって、フレキ配線基板71が不所望にたるんでしまい、他の部材と干渉してしまうことを抑制することができる。また雰囲気の温度が低いときには、フレキ配線基板71が硬くなってしまい、フレキ配線基板71がたるんでしまうと、フレキ配線基板71の湾曲方向が変化するときに異音が発生したりすることがあるが、このような異音の発生を防止することができる。
たるみ防止リブ105は、表示パネル部13の筐体から立設するリブ本体107と、リブ本体107のフレキ配線基板71が接触する遊端部108で、フレキ配線基板71の幅方向の両側に設けられるリブ突起部108とを有する。リブ突起部108によって、フレキ配線基板71が幅方向に移動して、たるみ防止リブ105から離脱してしまうことが防止される。
図21および図22は、接触型スイッチ部110の近傍を拡大して示す断面図であり、図21は表示パネル部13が収容部15に収容されていない状態を示し、図22は表示パネル部13が収容部15に収容されている状態を示す。接触型スイッチ部110は、表示パネル部13が収容部15に収容されているか否か、すなわち表示パネル部13が収容位置にあるか否かの収容状態を検出する。
接触型スイッチ部110は、取付部12に設けられる。接触型スイッチ部110は、接触型スイッチ部110は、レバー型スイッチ素子111と、レバー押圧部112とを含んで構成される。レバー型スイッチ素子111は、レバー片113と、レバー片113の変位に応じて、接点が開閉するスイッチ本体114とを含んで構成される。
レバー型スイッチ素子110は、回路基板101に実装して設けられる。回路基板101は、その厚み方向が、第2軸線L2方向に平行となるように、取付部12の筐体12Aの内部空間に設けられる。取付部12に形成される収容部15は、収容位置に表示パネル部13が収容されたときに、表示パネル部13の厚み方向の一表面部13aに対向する収容底面121を有する。収容底面121は、Z方向に垂直な平面に形成される。また収容部15は、前記収容底面121のX方向およびY方向のそれぞれの端部に連なり、Z方向に平行な収容側面122を有する。収容側面122と収容底面121とが連なる角部123の表面124は、表示パネル部13が収容される収容空間から見て外方に突となるように所定の曲率で湾曲する。
取付部12の筐体12Aは、収容部15を形成する収容部分形成体125と、天井面11に接触させる接触部分形成体126とを含んで構成される。収容部分形成体124と、接触部取付体125との間に囲まれる空間に、前記回路基板101が設けられる。回路基板101は、収容部分形成体124に固着される。
収容部形成体124の、収容部15のX方向他方の端部127には、収容底面121が形成される部分および収容側面122が形成される部分にわたって形成される開口128が形成される。回路基板101の一部は、前記開口128に臨んで設けられる。回路基板101の前記開口128に臨む表面部129に、レバー型スイッチ素子110が実装される。レバー型スイッチ素子101のレバー片113が、前記開口128に臨むようにスイッチ素子本体114が回路基板101に設けられる。レバー片113は、収容底面121および収容側面122によって囲まれる収容空間131には、突出しない。
レバー型スイッチ素子101は、図示しない電源部と表示パネル部13との間で、電力を供給する配線ラインに挿入される。表示パネル部13が収容位置に配置されると、レバー片113が押圧されてスイッチング態様がOFF状態となり、すなわち接点が開放されて、電源部から表示パネル部13への電力の供給が停止する。また表示パネル部13が、収容位置から角変位すると、レバー片113の押圧が解除されてスイッチング態様がON状態となり、すなわち接点が閉鎖されて、電源部から表示パネル部13への電力の供給が開始される。これによって、表示パネル部13を第1軸線L1まわりに角変位させるだけで、表示パネル部13への電力の供給または停止を行うことができ、収容状態では、無駄な電力を消費しない。
収容部15の開口128には、レバー片113を収容空間131側から覆っているレバー押圧部112が設けられる。レバー押圧部112は、開口128から一部が露出して設けられ、収容空間131に突出する押圧部132と、押圧部132を、Z方向に変位可能に保持する保持部133とを有する。保持部133は、筐体12Aの内部空間に設けられ、レバー押圧部112は、レバー型スイッチ素子111を覆う。レバー押圧部112は、シリコーンゴムによって形成される。シリコーンゴムは、温度変化に対して変形量が小さく、車内のように高温になる場所であっても安定して用いることができ、また電気絶縁性が高いので、レバー型スイッチ素子111および回路基板101に接触しても回路がショートしてしまうことがない。レバー押圧部112は、表示パネル部13に当接可能に開口128から突出する。収容部15に表示パネル部13が収納されていないとき、突出部15は、収容底面121から収容空間側に、予め定める距離L1突出する。予め定める距離L1は、たとえば5mm程度に選ばれる。レバー押圧部112の一部分は、回路基板101と筐体12Aとの間、スイッチ素子本体114と筐体12Aとの間、筐体12Aと接触部分形成体126との間にそれぞれ挟まれて設けられ、これによってレバー押圧部112が移動してしまうことが防止される。
Z方向のレバー型スイッチ素子111側に当接部132が変位することによって、当接部132がレバー片113を押圧する。表示パネル部13が収容位置に配置されると、当接部132を介してレバー片113が押圧される。このように当接部132を介してレバー片113を変位させる場合には、レバー片113に表示パネル部13を直接接触させてレバー片113を変位させる場合と比較して、レバー押圧部112が押圧によって変形するので、表示パネル部13の移動によってレバー片113が変位し始めてから、その変位が停止するまでに、表示パネル部13を移動させることができるストローク量を大きくすることができる。ここでは、レバー片113のZ方向の変位量が2mmに対して、表示パネル部12を第1軸線L1まわりの一方A1に角変位させたときに当接部132に接触し始める位置から表示パネル部12が係止される収容位置までの、表示パネル部12のZ方向の変位量を4mm程度にすることができる。ストローク量が小さい場合では、表示パネル部13のわずかに角変位しただけでも、レバー型スイッチ素子111のスイッチング態様が変化してしまい車両の振動などによってスイッチング態様が変化し、チャタリングが発生してしまうおそれがあるが、ストローク量を大きくすることができるので、車両の振動などのわずかな角変位では、スイッチング態様が変化せず、不所望にスイッチング態様が変化してしまうことを防止し、チャタリングを防止することができる。
またレバー押圧部112を設けることによって、レバー型スイッチ素子111に与えられる当接時の衝撃を緩和させることができ、表示パネル部13との接触によって表示パネル部13に傷を付けることがなく、さらにレバー片113を覆うことになるので、レバー片113に塵埃などの異物が付着してしまうことを防止して、レバー型スイッチ素子111の故障を防止して、検出の信頼性を向上させることができる。
図23は、レバー押圧部112の斜視図であり、図24はレバー押圧部112の裏面図であり、図25はレバー押圧部112の断面図である。レバー押圧部112は、当接部132と、保持部133とを含んで構成される。当接部132は、直方体形状に形成される。当接部132のレバー型スイッチ素子111に臨む表面部には、レバー片113が当接する当接面141と、当接面141からレバー型スイッチ素子111側に立ち上がるレバー片保護部142とが形成される。レバー片保護部142は、Z方向の断面がコ字形状に形成され、当接部132が回路基板101寄りに最も変位したときに回路基板101に当接して、当接面141のZ方向の変位を阻止することによって、レバー片113が不要に押圧されてしまうことを防止し、レバー片113の損傷を防止する。
保持部133は、開口128から露出する露出面134を有する。露出面134は、収容底面121および収容側面122に沿って湾曲し、収容底面121および収容側面122よりも収容空間から離反する側にわずかに退避するように形成される。保持部133のX方向において収容面134が設けられる露出面形成部135とは反対側には、平面部136が設けられる。平面部136は、スイッチ素子本体114と筐体12Aとの間に挟まれる。当接部132、露出面形成部135のうち当接部132寄りの部分、および平面部136には、Z方向に垂直な方向の周縁に、回路基板101側に段差をなす段差部137が設けられる。段差部137はZ方向に変形可能に形成される。段差部137を設けることによって、組み立て時に筐体12Aと回路基板101との間に挟まれるレバー押圧部112の変形を許容することができる。
露出面形成部135には、X方向において当接部132から離反する位置に筐体12Aと接触部分形成体126とに挟まれて固定される挟持部138が設けられる。当接部132と挟持部138との間、平面部136および段差部137は、所定の厚さに形成され、当接部132のZ方向への変位を許容する。また露出面形成部135には、筐体12Aに形成される溝に沿うように形成され、位置決めを行う位置決め突部139が形成される。
表示パネル部13の第2パネル方向の遊端部151には、開口部152が形成される。係止手段23は、収容位置で表示パネル部13の前記開口部152の開口に挿入され、表示パネル部13を係合して係止可能な係止片153を有する。係止片153は、収容部15の表示パネル部13が収容された状態で、前記開口部152に臨む収容側面122から収容空間に突出可能に設けられ、たとえば圧縮コイルばねによって収容側面122から突出した突出位置に配置されるように付勢される。係止片153は、係止解除ボタン24に連動して、動作する。係止片153の天井面11に臨む部位は、Z方向に垂直な平面に形成され、係止片153のZ方向の天井面11とは反対側の面は、X方向一方の端部17に向かうに連れて、天井面11に向かう方向に傾斜する傾斜面に形成される。表示パネル部13を収容位置に収容するときに、前記係止片153の傾斜面に表示パネル部13が当接して、係止片153をばね力に反して突出位置から退避させて、表示パネル部13を収容位置に収容させる。表示パネル部13を収容位置に設けると、係止片153がばね力によって開口部152に挿入されて、表示パネル部13が係止される。係止解除ボタン24を操作することによって、係止片153を突出位置から退避させて、開口部152から退避させることによって、表示パネル部13の係止状態が解除される。
接触型スイッチ部110は、係止手段23の近傍に設けられ、係止片153の近傍に設けられる。係止片153と、接触型スイッチ部110とは、半径2〜3cm以内に形成され、好ましくは半径1cm以内に形成される。このように表示パネル部13は、収容状態において係止片153に係止される部分の変位を小さくすることができるので、このような変位を小さくすることができる部位に近接して、接触型スイッチ部110を設けることによって、収容状態において、表示パネル部13が接触型スイッチ部110を安定して押圧することができ、接触型スイッチ部110における不所望のスイッチング態様の変化を防止することができる。
図26は、表示装置10における接触型スイッチ部110の配置位置を示す斜視図である。接触型スイッチ部110は、第2軸線L2を含み、表示パネル部13が収容位置に設けられているときに第1軸線L1に垂直な仮想一平面上に設けられる。接触型スイッチ部110は、第2軸線L2を含み、Y方向に垂直な仮想一平面上に、その一部が配置されて設けられる。ヒンジ部14は、第2軸線L2まわりに角変位可能な構成であり、これにともなってY方向において1箇所で表示パネル部13と取付部12とが1箇所で接続されるので、第2軸線L2を含みY方向に垂直な仮想一平面に関して、表示パネル部13がわずかではあるが、車両の振動によって傾斜する場合がある。接触型スイッチ部110を前述した位置に設けることによって、表示パネル部13が車両の振動によって傾斜したとしても、表示パネル部13の変位が最も小さいので、接触型スイッチ部110のスイッチング態様が変化してしまうことが防止される。本実施の形態では、第2軸線L2を含みY方向に垂直な仮想一平面上が、表示パネル部13の第2パネル方向の中央を通るので、接触型スイッチ部110は、表示パネル部13の第2パネル方向の中央に当接する。
また係止手段23の係止片153は、第2軸線L2を含み、表示パネル部13が収容位置に設けられているときに第1軸線L1に垂直な仮想一平面上に設けられる。係止片153は、第2軸線L2を含み、Y方向に垂直な仮想一平面上に、その一部が配置されて設けられる。接触型スイッチ部110と同じ前記仮想一平面上に係止片153が設けられるので、前述したように表示パネル部13の変位が最も小さいので、安定して表示パネル部13を係止することができる。
本発明の実施の他の形態では、前述したレバー押圧部112を、アクリル樹脂によって形成してもよい。
また本発明のさらに実施の他の形態では、前述したレバー押圧部112を、板ばね部材に変えて表示装置を構成してもよい。板ばね部材によって、レバー型スイッチ素子111のレバー片113のストローク量よりも、表示パネル部13が板ばね部材に接触した状態で移動するストローク量を大きくすれば、前述の実施の形態のレバー押圧部112を用いる場合と同様の効果を達成することができる。板ばね部材は、たとえば導電性を有する金属材料を用いて形成され、接地して設ける。
本発明の実施のさらに他の形態では、表示パネル部13には、厚み方向の他表面部にも表示面が設けられてもよい。