以下に、本発明に係る回胴式遊技機について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る回胴式遊技機として遊技媒体に遊技メダルを用いる回胴式遊技機を例に挙げて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る回胴式遊技機の外観を示す斜視図である。
本実施の形態に係る回胴式遊技機は、図1に示すように、遊技に供する各種遊技部品を収納するための遊技機筐体1aと遊技機筐体1aの前面側に開閉自在に取り付けられた前面枠1bとを備えている。
前面枠1bの前面の上部には、遊技機筐体1a内部に横並びに3個配設された回胴2a、2b、2c(以下、必要に応じて回胴2aを「左回胴2a」、回胴2bを「中回胴2b」、回胴2cを「右回胴2c」と称する)が透明性を有する回胴視認部3に臨ませて設けられている。遊技者は、この回胴視認部3を介して、3個の回胴2a、2b、2cを視認することができるようになっている。
回胴2a、2b、2cは、その外周に複数種類の図柄が表示された図柄配列帯(図示はしていない)を有するものであり、これらの回胴は図柄表示手段を構成している。各回胴2a、2b、2cは、それぞれパルスモータからなる回胴駆動モータ211a、211b、211c(図2参照)によりモータ駆動回路407(図3参照)を介して回転駆動され、各回胴の回転に伴い前記図柄が変動表示される。なお、前記図柄表示手段は、回胴2a、2b、2cのように電気的駆動源等によって物理的に回転または停止が行われる回胴であっても良いし、後述する液晶表示装置6のような画像表示装置に表示され、画像上で回転または停止が行われるような演出的な回胴であっても良い。また、回胴の数は3個に限定されるものではなく、2個、4個等、何個配設されていても良い。また、前記図柄配列帯に表示される図柄の種類も特に限定されるものではなく、例えば、「7」、「ベル」、「プラム」、「オレンジ」、「チェリー」、「JAC」、「BAR」、「人物」、「動物」、「魚」、「乗り物」等、種々の図柄を採用することができる。
また、この回胴2a、2b、2cの内部に、回胴2a、2b、2cを内部から照明するためのバックライト(図示はしていない)を配設し、光の装飾による演出効果を奏するように構成することもできる。バックライトとしては、例えば、ランプ、LED等の発光素子が挙げられる。この場合、上記バックライトは、遊技に伴う演出を現出する演出手段の一つとして機能する。
回胴視認部3には、回胴視認部3を横断するようにして合計5本の入賞ライン5が施されている。この有効ライン表示5は、3本の横有効ライン表示5a、及びこれらと交差する2本の斜め有効ライン表示5bからなり、この入賞ライン5a、5bは、単位遊技(1ゲーム)に対する遊技メダルの投入枚数(賭け数)に応じて有効になる。この有効となった有効入賞ライン5a、5b上で、3つの回胴2a、2b、2cの図柄が内部抽選(後述する主制御基板400(図2および図3参照)よって実行される入賞役に関する抽選処理)により当選した入賞役(以下、「当選役」と称する)に対応する図柄の組み合わせ(以下、「入賞図柄」と称する)で停止表示されると入賞が確定し、入賞図柄に応じた遊技価値が遊技者に付与される(入賞役の種類やその性質についての詳細な説明は後述する)。例えば、遊技メダルの払い出しを伴う入賞役に当選し、これに対応する入賞図柄が有効入賞ライン5上に停止した場合、遊技機筐体1a内のホッパーユニット(メダル払出装置)500(図2参照)が作動して、所定枚数の遊技メダルの払い出しが行われる。この遊技メダルは、遊技者が遊技を開始する際に必要なものであり、遊技価値を有するものといえる。
前面枠1bの前面のほぼ中央部には、遊技に伴う演出(演出には、文字、図形、または画像(動画や静止画)を用いた種々の演出態様を含む)を表示し、演出内容によって遊技者に各種の遊技情報を提供する液晶表示装置(LCDユニット)6が設けられている。この液晶表示装置6は、遊技に伴う演出を現出するものであり、演出手段の一つとして機能する。
また、液晶表示装置6には、過去の遊技の履歴、クレジット数、遊技メダルの投入枚数、または入賞による払い出し枚数等の遊技の進行に伴う遊技情報も表示される。なお、本実施の形態では液晶表示装置6を採用しているが、これに限らず、電子ペーパを用いた表示装置、または7セグメントやLEDを用いた表示装置であっても良く、または、これらを組み合わせた表示装置であっても良い。
また、液晶表示装置6の左右側には、LEDを内蔵した装飾ランプ部15が設けられている。装飾ランプ部15は、遊技に伴う演出を現出するものであり、演出手段の一つとして機能する。
さらに前面枠1bには、液晶表示装置6の下方の段部に、遊技に供する遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口7、貯留装置(遊技機に投入された遊技メダル、または入賞によって獲得した遊技メダルを貯留して、その貯留数を電磁的方法よって記憶可能とする機能を備えた装置、図示はしていない)に貯留された範囲(以下、「クレジット」と称する)内で、遊技メダルを最大枚数賭けで一度に擬似投入し得るMAXBETボタン8、押した回数に応じて最大賭け枚数まで加算的に擬似投入し得る貯留メダル投入ボタン9、クレジットされた遊技メダルの精算を行う貯留メダル精算ボタン10、回胴2a、2b、2cの回転を一斉に開始させるためのレバー式の回胴回転始動レバー11、および各回胴2a、2b、2cの回転を個別に停止させる3個の回胴回転停止ボタン12a、12b、12c(以下、必要に応じて、回胴回転停止ボタン12aを「左回胴回転停止ボタン12a」、回胴回転停止ボタン12bを「中回胴回転停止ボタン12b」、回胴回転停止ボタン12cを「右回胴回転停止ボタン12c」と称する)等が設けられている。また、MAXBETボタン8、貯留メダル投入ボタン9、貯留メダル精算ボタン10、回胴回転始動レバー11、および回胴回転停止ボタン12a、12b、12cのそれぞれには、これらが操作された場合、その旨の検出情報を生成するスイッチが備えられている(図2参照)。
回胴回転停止ボタン12a、12b、12cは、それぞれ、左回胴2a、中回胴2b、右回胴2cに対応しており、例えば、左回胴回転停止ボタン12aが遊技者によって押されると、左回胴2aが停止するようになっている。なお、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの内部には、各回胴回転停止ボタンの操作が有効であるか否かを報知するLED(図示はしていない)が内蔵されており、当該LEDが点灯している場合には回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作が有効となり、消灯している場合には回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作が無効となるようにしている。
なお、本実施の形態に係る回胴式遊技において、回胴回転始動レバー11は、所定の単位遊技開始条件(賭け数設定に基づく遊技開始条件)が成立した際、各回胴2a、2b、2cにおける図柄の変動表示を開始させるための図柄変動表示開始手段として機能し、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cは、各回胴2a、2b、2cのそれぞれに対応して設けられ、各回胴2a、2b、2における図柄の変動表示を個別に停止表示させるための複数の図柄変動表示停止手段として機能する。
液晶表示装置6の下方には、装飾パネル部16が設けられている。装飾パネル部16は、遊技者に対して遊技機本体100の魅力をアピールするための色彩や絵柄が施されているものであり、化粧板としての役割を果たす。
装飾パネル部16の下方には、前面枠1bと一体的に装着されたメダル受け皿部14が設けられている。メダル受け皿部14には、遊技メダルを払い出すための遊技メダル払出口14aが設けられていると共に、遊技メダル払出口14aに臨むようにして遊技メダルを貯留するための遊技メダル貯留皿14bが設けられている。
また、前面枠1bの前面上部両側および前面下部両側には、演出効果音を外部に出力するための音波出力部(スピーカ)16が設けられている。このスピーカ16は、遊技に伴う演出を現出するものであり、演出手段の一つとして機能する。
次に、図2および図3を参照しつつ、本発明に係る回胴式遊技機の制御系について説明する。なお、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付してある。
図2は各種基板と遊技部品との接続状況を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施の形態に係る回胴式遊技機は、遊技動作全般の制御を司る主制御基板400、主制御基板400からの制御コマンドを受けて演出処理を行う演出制御基板420、および外部電源から各基板に対して電源を供給する電源基板440を中心に構成されている。
主制御基板400には、遊技中継基板370を介して遊技機本体100に配置された各種スイッチやセンサ類が接続されている。具体的には、主制御基板400には、遊技メダル投入口7からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ7a、MAXBETボタン8の操作を検出するMAXBETスイッチ8a、貯留メダル投入ボタンの操作を検出する貯留メダル投入スイッチ9a、貯留メダル精算ボタン10の操作を検出する貯留メダル精算スイッチ10a、回胴回転始動レバー11の操作を検出する回胴回転始動スイッチ11a、各回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作を検出する各回胴回転停止スイッチ12a’、12b’、12c’が接続されており、これらからの信号が入力される。
また、主制御基板400には、回胴中継基板330を介して回胴2a、2b、2cを回転駆動するための回胴駆動モータ211a、211b、211cおよび回胴位置検出センサ(各回胴に形成されている突起部によって図柄の位置及び回胴の回転を検出するためのセンサ)212a、212b、212cが接続されている。主制御基板400は、回胴駆動モータ211a、211b、211cを制御し、目的とする位置に各回胴2a、2b、2cの停止動作を実現している(回胴の回転制御および停止制御についての詳細な説明は後述する)。
また、主制御基板400には、払出中継基板350を介してホッパーユニット500が接続されている。ホッパーユニット500には、払出制御基板450、メダル払出センサ520およびホッパーモータ510が配置されており、払出制御基板450が主制御基板400から送信された遊技メダルの払い出しに関する払出制御コマンドを受けて、ホッパーモータ510を駆動制御することにより、目的とする枚数の遊技メダルを払い出すように構成されている。払い出された遊技メダルは、メダル払出センサ520によって検出される。
さらに、主制御基板400には、外部集中端子基板310および回胴設定基板430が接続されている。外部集中端子基板310は、ホール全体の遊技機を統括的に管理するホールコンピュータHCに接続されており、所定の遊技情報を送信するものである。回胴設定基板430は、ホール関係者が所持する設定鍵を挿入するための設定キースイッチ、前記設定鍵が挿入されることを条件に遊技の出玉率に変化をもたらす「設定」の変更や遊技動作に異常状態が発生した場合にこれを解除したりするためのリセットスイッチ等が形成されており、上記各スイッチの操作を検出して、その信号を出力するものである。
演出制御基板420には、主制御基板400と演出I/F基板340を介して接続された液晶制御基板460とが接続されている。
演出制御基板420は主制御基板400の制御の下、演出I/F基板340とLED基板380とを介して遊技機本体100に配置されている各LEDを制御し、光による演出を実現している。また、演出制御基板420は主制御基板400の制御の下、演出I/F基板340を介してスピーカ16を駆動制御して音による演出を実現している。また、演出制御基板420は主制御基板400の制御の下、液晶制御基板460を制御し、液晶制御基板460は、液晶表示装置6を駆動制御して画像による演出を実現している。
液晶制御基板460は、演出I/F基板340を介して演出制御基板420からの制御コマンドを受けて液晶表示装置6を駆動制御するものである。液晶制御基板460には、演出内容に沿った画像を表示するための種々の画像データが記憶されており、また、演出出力全般の制御を担うVDP(Video
Display Processor)が搭載されている。
次に、図3を参照しつつ、主制御基板400および演出制御基板420の回路構成について説明する。図3は図2に示す主制御基板400および演出制御基板420の回路構成を示すブロック図である。
先ず、主制御基板400の回路構成について説明する。図3に示すように、主制御基板400は遊技機本体100の遊技動作全般の制御を司る主制御側(メイン)の制御基板であり、1チップマイクロコンピュータ401を中心に、主制御基板400に接続された各基板との間の信号を入出力するI/Oポート回路402、カウンタ回路403、主制御基板400に接続された外部周辺基板との信号のやり取りを仲介するインターフェース(I/F)回路404〜406、モータ駆動回路407、およびスイッチ入力回路408を備えている。主制御基板400は、1チップマイクロコンピュータ401を中心に各上記回路が連携し合って遊技動作全般を制御している。
1チップマイクロコンピュータ(本実施の形態に係る回胴式遊技機ではZ80システム相当品を採用している)401は、メインROM401a、メインRAM401b、およびメインCPU401cを備え、その他、一定周期のパルス出力を作成する機能や時間計測の機能等を有するCTC(Counter
Timer Circuit)401d、およびメインCPU401cに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路401eを備えている。
メインCPU401cは、CTC401dを利用して計時機能やタイマ割り込み機能を発揮し、メインROM401aに記憶されたメイン遊技動作制御プログラム(回胴式遊技機全体をどのように動作させるかが記述されているプログラム)実行して、遊技の進行に係る処理を行い、回胴式遊技機の各制御基板や遊技部品等を直接的または間接的に制御する。メインRAM401bは、メインCPU401cが遊技動作制御プログラム実行する際、データ(プログラムで使用されるフラグや変数の値)を一時的に記憶する作業領域として利用される。
なお、上記メインROM401aに記憶された遊技動作制御プログラムには、回胴の停止制御の際に利用される停止制御図柄テーブルおよび停止制御優先順位テーブル、内部抽選に利用される図柄入賞判定テーブル(入賞役抽選テーブル)、有効入賞ライン5上に停止した図柄が入賞図柄であるか否かの判定等に利用される入賞払出判定テーブル等、その他、遊技動作制御に係る各種テーブルが記憶されている。
カウンタ回路403は、図示はしていないが、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、当該乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路と、を備えている。メインCPU401cは、処理状態に応じて前記サンプリング回路に指示を送ることで、前記乱数発生回路が示している数値を乱数値として取得する。この乱数値は、主に内部抽選の際に利用される。
I/F回路としては、演出制御基板420とのI/F回路404、遊技中継基板370とのI/F回路405、およびその他の基板とのI/F回路406が配置されている。
遊技中継基板370とのI/F回路405のスイッチ入力回路408には、遊技機本体100に配置された各種スイッチやセンサからの信号が入力される。
モータ駆動回路407は、1チップマイクロコンピュータ401の制御の下、回胴駆動モータ211a、211b、211cを制御するための制御信号を生成する。回胴2a、2b、2cの回転制御および停止制御は、1チップマイクロコンピュータ401とモータ駆動回路407とによって行われており、1チップマイクロコンピュータ401とモータ駆動回路407とは停止制御手段を構成する。以下に、回胴2a、2b、2cの回転制御および停止制御について説明しておく。
まず、回胴2a、2b、2cの回転制御について説明する。
モータ駆動回路407は、1チップマイクロコンピュータ401の制御の下、回胴駆動モータ211a、211b、211cに駆動パルス信号を出力する。モータ駆動回路407は、回胴2a、2b、2cを1回転させるための前記駆動パルス信号として、1−2相励磁方式で出力相パターンを504回(図柄ステップ数を24カウントとし、図柄を1コマ進める位置が21箇所あるため)出力し、回胴2a、2b、2cの回転を制御している。
また、1チップマイクロコンピュータ401には、各回胴位置検出センサ212a、212b、212cからの検出信号が入力される。各回胴位置検出センサ212a、212b、212cからの検出信号は、各回胴2a、2b、2cの基準位置を示すリセット信号として1チップマイクロコンピュータ401に入力される。1チップマイクロコンピュータ401は、前記リセット信号が入力されたときに各回胴駆動モータ211a、211b、211cに供給した前記出力相パターンの出力回数を計数する回胴励磁出力カウンタをクリアし、回胴励磁出力カウンタを順次更新しながら、モータ駆動回路407を制御して各回胴の回転動作を実現している。
次に、回胴2a、2b、2cの停止制御について説明する。
1チップマイクロコンピュータ401のメインROM401aには、停止制御図柄テーブルや停止制御優先順位テーブル等が記憶されている。前記停止制御図柄テーブルは内部当選した入賞役に対応する図柄を有効入賞ライン5上に引き込むための停止制御情報が記憶されているものであり、例えば、各回胴2a、2b、2cの基準位置からの回転量(回転角)に対応した駆動パルス数と各回胴210a、210b、210cの図柄情報とが、さらに、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されたときの有効入賞ライン5上に位置する図柄の図柄情報と回胴2a、2b、2cが停止するまでに要するコマ数とが対応付けて記憶されている。また、停止制御優先順位テーブルは、複数の当選役が存在する遊技の場合(複数の入賞役が重複して内部当選している場合)、どの入賞図柄を優先的に停止制御させるかについての停止制御の優先順位に関する情報が記憶されている。
1チップマイクロコンピュータ401は、内部抽選の結果に基づき前記停止制御図柄テーブルを参照し、回胴ごとの回胴励磁出力カウンタのカウント値を監視することで前記基準位置からの図柄ステップ数を把握し、有効入賞ライン5上にどの図柄が移動してきているのかを識別している。そして、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されるごとに前記停止制御図柄テーブルおよび前記停止制御優先順位テーブルを参照し、有効入賞ライン5上に停止させる図柄の種類を決定する。そして、決定した図柄を引き込みコマ数範囲内で有効入賞ライン5上に停止させるように回胴駆動モータ211a、211b、211cへの出力相パターン信号を制御して、回胴2a、2b、2cの停止位置を制御している。このように、1チップマイクロコンピュータ401とモータ駆動回路407とは、内部抽選の結果と回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されたタイミングとに基づき、各回胴2a、2b、2cの図柄の停止位置を停止制御する停止制御手段として機能している。
本実施の形態に係る回胴式遊技機では、上述したような回胴の停止制御の下、各回胴2a、2b、2cの回転を停止制御する際、入賞図柄を有効入賞ライン5上で極力揃えるように、各回胴2a、2b、2cの回転動作を制御している(引き込み制御)。従来から知られているように、このような引き込み制御の下では、遊技者による回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作に基づいて図柄の番号(以下、「停止操作図柄番号」と称する)が把握され、回胴2a、2b、2cの回転が停止したときに有効入賞ライン5上に停止表示される図柄の番号(以下、「停止図柄番号」と称する)を当選役に基づき決定する。このとき、入賞図柄に対応する各回胴2a、2b、2cの図柄の番号と前記停止操作図柄番号との差のコマ数が所定の引き込みコマ数(例えば、4コマ)範囲内であれば、入賞図柄を有効入賞ライン5上に停止させるように、回胴2a、2b、2cが停止制御される。したがって、例えば、最大引き込みコマ数が4コマの場合、当選した遊技で有効入賞ライン5上に入賞図柄を常に停止させようとする際には、図柄配列帯における入賞図柄を構成し得る一の図柄から他の図柄との間隔を4コマ以内とすれば良い。
なお、上記のような引き込み制御に限らず、遊技者による回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作のタイミングによって前記引き込みコマ数を変動させるような引き込み制御(コマ数変動引き込み制御)や、所定の条件の成立するまで、強制的に有効入賞ライン5上に入賞図柄が揃わないようにスベリ動作を行わせるスベリ制御を採用しても良い。また、これら上記各停止制御を組み合わせて構成しても良い。
演出制御基板420は、主制御基板400の制御の下、各種演出手段を制御する副(サブ)制御側の制御基板であり、1チップマイクロコンピュータ421を中心に、演出制御基板420に接続された演出I/F基板340との間の信号を入出力するI/Oポート回路422、演出I/F基板340を介して演出制御基板420に接続された外部周辺基板との信号のやり取りを仲介するインターフェース(I/F)回路424、425、およびカウンタ回路403と同様の機能を有するカウンタ回路423を備えている。演出制御基板420は、1チップマイクロコンピュータ421を中心として、各上記回路が連携し合って各種演出手段の動作全般の制御を司るものであり、演出制御手段として機能する。
1チップマイクロコンピュータ421は、サブROM421a、サブRAM421b、およびサブCPU421cを備え、その他、一定周期のパルス出力を作成する機能や時間計測の機能等を有するCTC421d、およびサブCPU421cに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路421eを備えている。なお、サブROM421aには、演出内容を記憶した演出パターンテーブル等、その他、演出動作制御に係る各種テーブルが記憶されている。
また、図示はしていないが、演出制御基板420にはスピーカ16を制御するためのサウンドLSI、音声ROM、音処理回路を含む音波制御回路を備えている。音声ROMには演出パターンに対応した各種効果音を発生させるための音波出力用データが記憶されており、サウンドLSIは、サブCPU421cからのコマンドに基づいて、所定のタイミングで前記音声ROMからデータを読み出し、所定の処理を施して前記音処理回路に出力する。前記音処理回路は、前記サウンドLSIからのデータをD/A変換して音声信号を生成し、音声信号を所定レベルに増幅してスピーカに供給する。
サブCPU421cは、メインCPU401cと同様に、CTC421dを利用して計時機能やタイマ割り込み機能を発揮し、サブROM421aに記憶された演出制御プログラム(主に回胴式遊技機の演出手段をどのように動作させるかが記述されているプログラム)を実行して、遊技の進行に伴う演出処理を行うと共に、各種LED、スピーカ16、液晶表示装置6を直接的または間接的に制御する。サブRAM421bは、サブCPU421cが演出制御プログラム実行する際、データ(プログラムで使用されるフラグや変数の値)を一時的に記憶する作業領域として利用される。
カウンタ回路423は、図示はしていないが、カウンタ回路403と同様に、乱数生成回路とサンプリング回路とを備えている。サブCPU421cは、演出処理に応じて前記サンプリング回路に指示を送ることで、前記乱数発生回路が示している数値を乱数値として取得する。この乱数値は、主として演出パターンテーブルから目的とする演出パターンを選択するために利用される。
ここで、主制御基板400のメインCPU401cと演出制御基板420のサブCPU421cとのインターフェースにおけるハードウェア構成を説明しておく。
主制御基板400のメインCPU401cは、処理状態を特定可能な制御情報としての各種演出制御コマンド(詳細は後述する)を出力する。この出力した演出制御コマンドは、演出制御基板420とのI/F回路404が備える出力バッファ回路404aを介して出力される。
出力バッファ回路404aは、メインCPU401c側の信号を外部に対して出力することを許可する一方、メインCPU401c側の内部に対して信号が入力されることを禁止するように機能している。したがって、メインCPU401c側は、一方向通信における出力側としてのみ機能している。これは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御基板420を介してメインCPU401cに入力されることを防止するためである。
演出制御基板420のサブCPU421cが受信する前記各種演出制御コマンドは、演出I/F基板340を通じて主制御基板400とのインターフェース(I/F)回路424の入力バッファ回路424aを介して入力される。また、主制御基板400からのストローブ信号(演出用INT信号)は、サブCPU421cの割り込み信号として入力される。
入力バッファ回路424aは、メインCPU401c側の信号が入力されることを許可する一方、メインCPU401c側の内部に対して信号が出力されることを禁止するように機能している。したがって、サブCPU421c側は、一方向通信における入力側としてのみ機能している。
ここで、遊技者の操作順序に従い、本実施の形態に係る主制御基板400と演出制御基板420の作用を説明すると以下のようになる。
まず、主制御基板400は、所定枚数のメダルが投入されたことを条件に、有効入賞ライン5を設定し、回胴回転始動スイッチ11aを有効にする。そして、遊技者により回胴回転始動レバー11が操作されたことを契機として、入賞役抽選手段(メインCPU401c:図3)により、各種入賞役のうちから一の入賞役を所定の抽選方式(本実施の形態に係る回胴式遊技機では乱数抽選方式)により決定し、回胴2a、2b、2cの回転を開始させる。ここで「入賞役抽選手段」とは、主制御基板400がその機能を担い、回胴回転始動レバー11が操作された際、入賞役に関する抽選(内部抽選)を実行する機能部をいう。
また、主制御基板400は、回胴2a、2b、2cを回転させた後、回胴位置検出センサ212a、212b、212cからの検出信号(回胴2a、2b、2cの原点位置検出信号)を受けて、各回胴が正常に回転していることを確認し、それぞれの回胴が概ね一定の回転速度になったことを条件に、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作を有効にする。
また、主制御基板400は、遊技者により回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが押されて停止操作されると、停止操作されたときの回胴2a、2b、2cの回胴回転位置と前記入賞役抽選手段による抽選結果とに基づいて、各回胴の停止制御を行う。その際、当選役がある場合、これに対応する図柄(入賞図柄を構成する各図柄)を最大引き込みコマ数範囲内で有効入賞ライン5上に引き込むように停止制御する。このとき、有効入賞ライン5上に入賞図柄が停止したことを確認した場合、当該入賞図柄に応じた遊技価値が遊技者に付与される。
なお、主制御基板400は、各遊技動作の実行時に演出制御基板420に対して各種演出制御コマンドを送信する。ここで、主制御基板400が送信する演出制御コマンドとしては、以下のようなものがある。なお、これらのコマンド名は、発生時期または送信時期に着目して命名されており、その命名の内容の実行を促すものではない。
まず、遊技メダル1枚を投入するごとに発生する「メダル投入コマンド」、回胴回転始動レバー11の操作時に発生する「回転開始(遊技スタート)コマンド(内部当選した入賞役に関する情報や遊技状態に関する情報を含む)」、回胴回転始動レバー11操作後の回胴回転開始時に発生する「回胴起動(回胴回転)コマンド」がある。ここで、回転開始コマンドが入賞役や遊技状態の情報を含むとは、例えば回転開始コマンドが16ビットの符号からなり、そのうちの6ビットが当選役を示す情報(内部当選入賞役情報)に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す情報(遊技状態情報)に割り当てられるような形態を意味する。そして、演出制御基板420は、前記回転開始コマンドを受けて、目的とする演出内容を決定する。前記回転開始コマンドに含まれる「遊技状態情報」には後述する「BB遊技中」等がある。
さらにまた、主制御基板400から演出制御基板420に送られる演出制御コマンドには、回胴回転停止ボタン12aの操作時(左停止操作時)、回胴回転停止ボタン12bの操作時(中停止操作時)、回胴回転停止ボタン12cの操作時(右停止操作時)にそれぞれ発生する「停止ボタン左」、「停止ボタン中」、「停止ボタン右」のコマンド(順押し(左停止操作→中停止操作→右停止操作の停止操作順に押した場合)、逆押し(右停止操作→中停止操作→左停止操作の停止操作順に押した場合)、ハサミ押し(左(または右)停止操作→中停止操作→右(または左)停止操作の停止操作順に押した場合)等の「停止操作順情報」を含む)や、引き込み制御後の左回胴2a停止時、中回胴2b停止時、または右回胴2c停止時に発生する「左回胴停止」、「中回胴停止」、「右回胴停止」のコマンド(回胴の「停止位置情報」を含む)がある。これら「停止ボタン左」、「停止ボタン中」、「停止ボタン右」の各コマンドも16ビットの符号からなり、そのうちの3ビットが順押し、逆押し、ハサミ押し等の停止順情報に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す状態情報(遊技状態情報)に割り当てられる。さらに、演出制御基板420は、前記「停止ボタン左」、「停止ボタン中」、「停止ボタン右」、「左回胴停止」、「中回胴停止」、または「右回胴停止」のコマンドを受けて、目的とする演出内容を決定する。
3つの回胴回転停止ボタンのうちで第1番目に操作された回胴回転停止ボタンであることは、上記の停止順情報から知ることができ、「第1停止コマンド」として演出制御基板420に送信され、演出制御基板420が第1停止時に回胴停止時の演出を実行するために利用される。同様にして、第2番目、第3番目に操作された回胴回転停止ボタンであることも、上記の停止順情報から知ることができ、「第2停止コマンド」、「第3停止コマンド」として演出制御基板420に送信され、利用される。
さらに、主制御基板400から演出制御基板420に送られる演出制御コマンドには、第3番目に回胴回転停止ボタンを離した時に発生する「全回胴停止」コマンドがある。この全回胴停止コマンドも16ビットの符号からなり、そのうちの4ビットが有効入賞ライン5上に揃った入賞役の種類を示す情報(入賞役情報)に割り当てられ、他の3ビットが入賞ラインを示す情報(入賞ライン情報)に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す情報(遊技状態情報)に割り当てられる。
この全回胴停止コマンドは、引き込み制御中に停止ボタンから指を離した場合、第3番目の回胴の引き込み制御後の回胴停止時に発生する。ここで全回胴停止コマンドに含まれる「入賞ライン情報」とは、回胴において入賞役が揃った入賞ラインに関する情報であり、また「入賞役情報」とは実際に揃った図柄に関する情報である。回転開始コマンドに含まれる「入賞役」の情報では、実際に揃う図柄が未確定であるのに対し、この全回胴停止コマンドに含まれる「入賞役」の情報は、取りこぼしをすることなく実際に揃った図柄を示す情報である点で、両者は異なる。演出制御基板420ではこの入賞ライン情報と入賞役情報に基づいて、各種演出手段(LED、スピーカ16、液晶表示装置6等)に全回胴が停止して入賞の当否が確定した後に現出すべき演出内容を決定している。
次に、図4A〜図17を参照して、本発明に係る回胴式遊技機の遊技動作の制御に関する処理内容について説明する。
先ず、図4Aおよび図4Bを参照して、本実施の形態の主制御基板400が実行する主制御側のメイン処理について説明する。図4Aおよび図4Bは、メイン遊技動作制御プログラムに従い主制御基板400(メインCPU401c)が実行する主制御側のメイン処理を示すフローチャートである。
まず、遊技機本体100に対して外部から電源が投入されると、電源基板440によって主制御基板400に電源が投入された旨の電源投入信号が送信され、主制御基板400を介して各基板へと電源投入信号が送信される。そして、主制御基板400は、遊技動作開始前における必要な初期設定を行う(ステップS10)。この初期設定では、各種基板や遊技部品(各スイッチ類やセンサ類)の接続状態の確認、CTC401dを含む内蔵レジスタやI/Oの初期化、メインRAM401bのワーク領域を書き込み許可にする等、遊技動作開始前における必要な初期設定を実行する(電源遮断前の遊技状態に復帰可能であれば、遊技復帰処理を実行する)。
そして、上記初期設定の処理(ステップS10)が正常に終了した場合、処理状態に応じて以下に説明するステップS11〜ステップS29の処理を実行する。
主制御基板400は、今回の遊技で用いた内部抽選フラグ等が記憶されている所定のワーク領域をクリアし、次回の遊技を開始させるために必要なワーク領域を確保するRAM初期化処理を実行する(ステップS11)。
次に、主制御基板400は、満杯検知金具600のON、OFF状態を監視し、満杯状態であればエラー処理を実行する(ステップS12)。満杯検知用金具600(図2参照)は、ホッパーユニット500から溢れた遊技メダルを貯留する補助タンク(図示はしていない)に形成された満杯検出センサであり、前記補助タンクが遊技メダルで満杯状態となっているか否かを検出している。
次に、主制御基板400は、メダル投入処理を実行する(ステップS13)。このメダル投入処理は、遊技メダル投入口7(貯留装置からの擬似的な投入も含む)から遊技機本体100に投入された遊技メダルを検出したり、検出した遊技メダルの投入枚数を計数したりする遊技メダル投入に係る処理や、前記貯留装置に貯留された遊技メダルの精算に係る処理である。また、このメダル投入処理においては、単位遊技開始可能条件を満たしている際に、遊技者により回胴回転始動レバー11が操作されたか否か、具体的には、回胴回転始動スイッチ11aからの回胴回転開始信号を受信したか否かをも監視しており、回胴回転開始信号を受信しない限り、ステップS14の処理には移行されないようにしている。したがって、回胴式遊技機100における遊技は、遊技者による遊技メダル投入動作により開始され、回胴回転始動レバー11を遊技者が操作して回胴が回転し、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cを遊技者が操作して停止させられた各回胴2a、2b、2cの停止位置により定まる図柄の組合せによって遊技結果が得られて、その図柄によって遊技価値が遊技者に付与されるまでの一連の工程を1回の遊技(単位遊技:1ゲーム)として、繰り返される遊技である。
次に、主制御基板400は、内部抽選に係る乱数値をカウンタ回路403から取得する乱数抽出処理を実行する(ステップS14)。前記抽選用乱数値を抽出するタイミングは、回胴回転始動レバー11が操作された際、回胴回転始動スイッチ11aからの回胴回転開始信号を主制御基板400が受信したタイミングで行われる。
内部抽選に使用される乱数(以下、「抽選用乱数」と称する)は、主制御基板400のカウンタ回路403によって生成される。本実施の形態に係る回胴式遊技機では、8ビットのバイナリカウンタを2個用いて16ビットのハードウェア乱数(0000H〜FFFFH(16進数)の繰り返し)を生成している。なお、前記乱数の生成は、ハードウェア乱数に限られることはなく、CPUに所定のプログラムを実行させることによって生成するソフトウェア乱数を用いても良い。なお、前記乱数を生成する際には、前回の遊技が終了したときから遊技メダル投入口7から遊技メダルが投入されて次回の遊技開始可能条件が成立し、遊技者により回胴回転始動レバー11が操作されるまでの期間、乱数の発生が不規則になるように定期的に更新されている。この結果、同じ乱数値が規則的に生成されることを防止することができるので、遊技者が意図的に特定の入賞役を狙い当てることができないようになっている。
次に、主制御基板400は、ステップS14の処理で抽出した抽選用乱数値に基づき、内部抽選に関する図柄抽選処理を実行する(ステップS15)。この図柄抽選処理は、前記抽選用乱数値と図柄入賞判定テーブルとに基づき当選役を決定したり、当選役に対応する内部当選フラグを成立させたり処理である。図柄抽選処理の詳細については、図5に示すフローチャートを用いて後述する。
ここで、本発明の理解を容易なものとするために、内部抽選される入賞役の種類とその役割について説明しておく。図8〜図10の「抽選される入賞役の種類」の欄に示すように、本実施の形態の入賞役の種類としては、小役、特殊小役、再遊技役、特殊再遊技役等が設定されている。なお、図の「入賞図柄」の欄に掲げる「プラム」、「スイカ」等の記載は、単に入賞図柄の構成する図柄を例示したものであり、例えば、有効入賞ライン5上に、左回胴2aに「プラム1」の図柄、中回胴2b「プラム1」の図柄、右回胴2c「プラム1」の図柄が停止した場合、有効入賞ライン5上における図柄の組み合わせが3枚小役に対応する入賞図柄として表記している(以下、入賞図柄を、左回胴2a「プラム1」−中回胴2b「プラム1」−右回胴2c「プラム1」のように表記する)。もちろん、入賞図柄は、図示した図柄の種類に限定されることはなく、各回胴が有する図柄配列帯に表示される図柄の種類に応じて、入賞図柄の種類も適宜変更可能である。
「小役」は、入賞が確定した場合、所定枚数の遊技メダルの払い出しを伴う入賞役である。本実施の形態の小役には、3枚の遊技メダルの払い出しを伴う3枚小役(入賞図柄:左回胴2a「プラム1」−中回胴2b「プラム1」−右回胴2c「プラム1」、当選確率1/93.62)、3枚の遊技メダルの払い出しを伴う6枚小役(入賞図柄:左回胴2a「ベル1」−中回胴2b「ベル1」−右回胴2c「ベル1」、当選確率1/9.102)、15枚の遊技メダルの払い出しを伴う15枚小役(入賞図柄:左回胴2a「スイカ」−中回胴2b「スイカ」−右回胴2c「スイカ」、当選確率1/131.1)が設定されている。例えば「3枚小役」への入賞が確定した場合、具体的には、有効入賞ライン5上に、左回胴2aに「プラム1」の図柄−中回胴2b「プラム1」の図柄−右回胴2c「プラム1」の図柄が停止した場合、3枚の遊技メダルの払い出しが行われ、遊技者は3枚の遊技メダルを獲得することができる。
「特殊小役」は、入賞が確定した場合に所定枚数の遊技メダルを払い出を伴い、さらに、次回以降の遊技を入賞が確定したときの遊技状態とは異なる遊技状態に移行させる契機となる入賞役(遊技状態移行役)である。本実施の形態の特殊小役には、特殊3枚小役(入賞図柄:左回胴2a「プラム2」−中回胴2b「プラム2」−右回胴2c「プラム2」、当選確率1/218.5)と、特殊6枚小役(入賞図柄:左回胴2a「ベル2」−中回胴2b「ベル2」−右回胴2c「ベル2」、当選確率1/81.92)とが設定されている。例えば、非RT遊技中(通常遊技状態中)に「特殊6枚小役」に当選した場合、次回以降の遊技がRT1遊技中(第1の変更遊技状態中)となる。このように本実施の形態では、所定の遊技移行条件が成立した際(遊技状態移行条件については後述する)、各図柄入賞判定テーブルを変更することにより、複数種類の遊技状態を実現可能としている。
「再遊技役」は、入賞が確定した場合、遊技メダルの払い出しなしに次回の単位遊技の開始条件を付与する(内部当選が成立した遊技において投入した遊技メダルの枚数と同一の枚数を擬似的に再度設定して次回の単位遊技を開始可能にする)入賞役である。すなわち、次回の遊技を開始する際、遊技者が遊技メダルを投入することなく、次回の遊技がそのまま開始可能(再遊技が可能)となる入賞役である。したがって、遊技者が遊技メダルを減らすことなく次回の遊技が可能になるという点で、上記「再遊技」は、遊技メダルと同様に遊技価値を有するものといえる。本実施の形態の再遊技役には、再遊技役1(入賞図柄:左回胴2a「RP」−中回胴2b「RP」−右回胴2c「RP」、当選確率1/8.306)、再遊技役2(入賞図柄:左回胴2a「RP」−中回胴2b「RP」−右回胴2c「BAR」、当選確率1/119.2)の2種類の再遊技役が設定されている。なお、本実施の形態では、再遊技役1および再遊技役2に当選した場合、これら再遊技役に対応する入賞図柄が当選した遊技で有効入賞ライン5上に常に停止可能なように、各回胴2a、2b、2cの図柄配列帯に再遊技役に対応する入賞図柄を構成し得る図柄が配置されている。
「特別入賞役(ビッグボーナス(BB)役)」は、入賞が確定した場合、入賞が確定した遊技の次回以降の遊技状態を通常遊技状態よりも遊技者に対して有利な利益状態である特別遊技状態(ボーナス(BB)遊技)に移行させるための入賞役である。本実施の形態では、このBB役へは単独で当選役としては成立せず(各図柄入賞判定テーブル33、55、77には、BB役の当選領域が設定されていない)、後述する特殊再遊技役の当選により、BB役が当選役として成立するようになっている。もちろん、BB役が単独で当選するように、BB役の単独当選領域を設定していても良い。
上記ボーナス遊技では、小役や再遊技役に内部当選する確率が上昇し、所定の終了条件、例えば所定枚数の遊技メダルが払い出されたことを条件に、BB遊技が終了するようになっている(本実施の形態におけるBB役は、いわゆる第2種特別役物として構成されており、規定枚数(例えば、253枚)以上の払い出しによりBB遊技の終了条件としている)。また、BB遊技中では、小役や再遊技役が有する遊技価値が変化し、例えば、再遊技役の入賞が確定すると15枚のメダルの払い出しが行われる。
このように、BB役は大量の遊技メダルを獲得することができる入賞役であり、全入賞役のうちで最も高い遊技価値を有する入賞役として位置付けられている。なお、本実施の形態に係る回胴式遊技機では、1種類のBB遊技に移行するためのBB役が設定されていると説明しているが、これに限らず、BB遊技の遊技態様が異なる複数種類のBB役を設定しても良い。
「特殊再遊技」は、単位遊技で再遊技役とBB役とに重複して当選する入賞役(いわゆる、重複入賞役)である。本実施の形態の特殊再遊技役は、「再遊技役2」と「BB役」とに重複して当選する特殊再遊技役(入賞図柄:左回胴2a「RP」−中回胴2b「RP」−右回胴2c「BAR」、当選確率1/119.2)が設定されている。本実施の形態では、単独でBB役に当選することはなく、特殊再遊技役に当選した場合に限り、BB役への入賞が許容されるようにしている。また、本実施の形態では、「再遊技役1または再遊技役2>BB役>小役または特殊小役」の順位で引き込み制御が行われるように構成している。したがって、本実施の形態では、特殊再遊技役に当選した場合、当選した遊技においてはまず、再遊技役2に対応する入賞図柄が有効入賞ライン5上に停止し(再遊技役2は、上述したように、当選した遊技で100%揃うようになっているため)、再遊技役2の入賞が確定した次回以降の遊技においてBB役に対応する入賞図柄(入賞図柄:左回胴2a「7」−中回胴2b「7」−右回胴2c「7」)を揃えられるようになっている。
なお、本発明に係る回胴式遊技機における入賞役は、上記した入賞役に限定されることはなく、様々な遊技価値を有する入賞役を適宜設定することができる。また、各入賞役がどの遊技状態においても必ずしも同一の遊技価値を有するものとして定められているとは限らない。すなわち、同一の入賞役であっても、一の遊技状態と他の遊技状態とで、それぞれ異なる遊技価値を有するように設定しても良い。また、遊技価値を有しない「ハズレ」は、無価値の遊技価値を有するという点で入賞役として扱っても良い。
再び、主制御側のメイン処理の説明に戻る。
次に、主制御基板400は、各回胴2a、2b、2cの回転を開始させるための回胴回転始動時の設定を行う回胴回転開始設定処理を実行し(ステップS16)、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作された場合、各回胴停止ボタンに対応する回胴を停止させる回胴停止処理を実行する(ステップS17)。
各回胴12a、12b、12cの停止制御は、既に説明したように、停止制御図柄テーブルおよび停止制御優先順位テーブルに基づき行われる。主制御基板400は、内部当選フラグがセットされている場合、これに対応する入賞図柄を停止させるための停止制御データを設定し、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されたタイミングに基づいて、引き込みコマ数を決定し、有効入賞ライン5上に入賞図柄が極力揃うように、各回胴12a、12b、12cを停止制御する。なお、前記停止制御優先順位テーブルには、「再遊技役1または再遊技役2>BB役>小役または特殊小役」の順位で引き込み制御が行われるように、停止制御の優先順位に関する情報が記憶されている。これにより、重複して複数の内部当選フラグが成立している遊技では、前記優先順位に基づき停止制御が行われることになる。
次に、主制御基板400は、入賞判定処理を実行する(ステップS18)。この入賞判定処理は、入賞図柄が有効入賞ライン5上で停止したか否かの停止図柄判定処理や入賞の確定時における遊技メダルの払い出しを行うための払出設定処理を行う処理である。
上記入賞判定処理では、図柄抽選処理(ステップS15)においてセットされた内部当選フラグを確認し、これに対応する入賞図柄が有効入賞ライン5上で停止したか否かを判定する停止図柄判定処理が実行される。内部当選フラグに対応した入賞図柄が有効入賞ライン5上で停止したと判定された場合、入賞が確定したとして、遊技メダルの払い出しを行うための払出設定処理が実行される。
前記停止図柄判定処理や前記払出設定処理は、メインROM401aに記憶されている入賞払出判定テーブルを参照して行われる。前記入賞払出判定テーブルには、有効入賞ライン5上に停止した入賞図柄が当選役に対応するものであるか否かを判定するための当たり図柄用判定データと、入賞図柄に応じた払い出し枚数を設定するための払出枚数データと、が記憶されている。なお、再遊技役1、再遊技役2、特殊再遊技役、またはBB役への入賞が確定した場合、これらの入賞役への入賞が確定したことを示すフラグとして、再遊技図柄フラグ、BB図柄フラグがセットされる。これらの各フラグは所定の処理を実行する際に利用されるものであり、毎遊技ごとにクリアされる。
次に、主制御基板400は、上記入賞判定処理(ステップS18)で設定された払い出し枚数に基づき、前記貯留装置におけるクレジットを加算したり、ホッパーユニット500に遊技メダルの払い出しを実行させたりする遊技メダル払出処理を実行する(ステップS19)。
次に、主制御基板400は、RT遊技設定処理を実行する(ステップS20)。このRT遊技設定処理は、特殊小役に内部当選した場合、RT遊技を実行させるための必要な設定を行う処理である。なお、RT遊技設定処理の詳細については、図6に示すフローチャートを用いて後述する。
次に、主制御基板400は、RT遊技管理処理を実行する(ステップS21)。このRT遊技管理処理は、RT遊技を継続させたり、終了させたり等、RT遊技の実行を管理する処理である。なお、RT遊技管理処理の詳細については、図7に示すフローチャートを用いて後述する。
次に、主制御基板400は、BB図柄フラグ(入賞判定処理(ステップS18)参照)がセットされているか否かを判定する(ステップS22)。BB図柄フラグがセットされている場合(ステップS22:YES)、次に、主制御基板400は、BB作動開始処理を実行する(ステップS28)。このBB作動開始処理は、今回のBB遊技を開始させるために必要な初期設定、具体的には、BB遊技払出枚数カウンタ(前回のBB遊技中に遊技者が獲得した獲得枚数(払い出し枚数)を計数するカウンタ)をクリアしたり、BB役の内部当選フラグおよびBB図柄フラグをクリアしたり、BB遊技中である旨を示すBB作動フラグをセットしたりする処理である。そして、主制御基板400は、BB作動開始処理(ステップS28)を実行した後、処理状態をRAM初期化処理(ステップS11)へ移行する。
一方、BB図柄フラグがセットされていない場合(ステップS22:NO)、次に、主制御基板400は、再遊技図柄フラグ(入賞判定処理(ステップS18)参照)がセットされているか否かを判定する(ステップS23)。再遊技図柄フラグがセットされている場合(ステップS23:YES)、再遊技を行うための処理(再遊技作動開始処理)を実行する(ステップS29)。具体的には、前回の遊技の遊技メダル投入枚数と同等の次回の遊技の遊技メダル投入枚数を設定して、遊技者が遊技メダルを投入することなく次回の遊技を開始可能な状態に設定する。そして、再遊技作動開始処理(ステップS29)を実行した後、処理状態をRAM初期化処理(ステップS11)へ移行させる。
一方、再遊技図柄フラグがセットされていない場合(ステップS23:NO)、次に、主制御基板400は、BB作動フラグ(BB作動開始処理(ステップS28)参照)がセットされているか否かを確認し、現在の遊技がBB遊技中であるか否かを判定する(ステップS24)。
BB遊技中である場合(ステップS24:YES)、主制御基板400は、BB遊技の作動に係る必要な設定を行うためのBB遊技管理処理を実行し(ステップS25)、前記BB遊技払出枚数カウンタを確認してBB遊技の終了条件を満たしたか否かを判定する(ステップS26)。BB遊技の終了条件を満たしていない場合(ステップS26:NO)、処理状態をRAM初期化処理(ステップS11)へ移行させる。
BB遊技の終了条件を満たした場合(ステップS26:YES)、主制御基板400は、BB遊技終了時のRAM初期化処理を実行する(ステップS27)。この処理は、BB遊技中に使用したワーク領域をクリアしたり、BB終了後、後述するRT1遊技中に移行したりするための設定処理が行われる。そして、上記BB遊技の終了処理を実行した後、処理状態をステップS12の処理へ移行させる。
次に、図5を参照して、図4Aの主制御側のメイン処理における図柄抽選処理(ステップS15)について詳細に説明する。図5は、図柄抽選処理を示すフローチャートである。本処理では、まず、今回の遊技がどのような遊技中であるか否かが確認され(ステップS150、S154、S156)、各遊技に応じた図柄入賞判定テーブルが選択される(ステップS151、S155、S157、S158)。
ここで、図8〜図10を参照して、本実施の形態に係る回胴式遊技機における図柄入賞判定テーブルについて詳細に説明する。図8〜図10は、各遊技状態ごとに用いられる図柄入賞判定テーブルを示したものである。なお、図示はしていないが、本実施の形態では、機械割(出玉率:「払い出された遊技メダル枚数(OUT枚数)」/「遊技メダルの投入枚数(IN枚数)」)の設定値ごとおよび遊技メダルの投入枚数ごとの図柄入賞判定テーブルを有しており、図8〜図10に示す図柄入賞判定テーブルは、設定値が定められたときの一つを例示したものである。なお、図8〜図10には、説明の便宜上、BB遊技中に参照されるBB遊技図柄入賞判定テーブルについては図示を省略している。また、以下の説明において、非RT遊技図柄入賞判定テーブル33が参照される遊技状態を「非RT遊技中(通常遊技状態中)」、RT1遊技図柄入賞判定テーブル55が参照される遊技状態を「RT1遊技中(第1の変更遊技状態中)」、RT2遊技図柄入賞判定テーブル77が参照される遊技状態を「RT2遊技中(第2の変更遊技状態中)」と称する。
各図柄入賞判定テーブル33、55、77には、抽選される入賞役の種類とその当選確率(抽選領域に対する当選領域の割合)が定められている。各図柄入賞判定テーブル33、55、77における抽選領域は、カウンタ回路403によって生成される抽選用乱数と同じ大きさ(65536)の大きさであり、この範囲でハズレを含む各入賞役の当選領域と非当選領域とが設定され、各入賞役が所定の確率で当選するように各入賞役の当選領域が割り当てられている。
具体的には、各図柄入賞判定テーブル33、55、77には、入賞図柄番号1のハズレ、入賞図柄番号2〜4の小役、入賞図柄番号5〜6の特殊小役、入賞図柄番号7〜8の再遊技役、入賞図柄番号9の特殊再遊技役の当選領域がそれぞれ個別に設定されている。
ここで、再遊技役2と特殊再遊技役に着目すると、本実施の形態の各図柄入賞判定テーブル33、55、77における再遊技役2の当選領域はそれぞれ異なっており、特殊再遊技役の当選領域はそれぞれ同一となっている。
詳述するに、本実施の形態における非RT遊技図柄入賞判定テーブル33においては、再遊技役2の当選領域の大きさは550(当選確率約1/119.2)であり、特殊再遊技役の当選領域の大きさも550(当選確率約1/119.2)である。一方、RT1遊技図柄入賞判定テーブル55においては、再遊技役2の当選領域の大きさが1100(当選確率約1/59.58)であり、特殊再遊技役の当選領域の大きさが550(当選確率約1/119.2)である。そして、RT2遊技図柄入賞判定テーブル77においては、再遊技役2の当選領域の大きさが1650(当選確率約1/39.72)であり、特殊再遊技役の当選領域の大きさが550(当選確率約1/119.2)である。
このように、各図柄入賞判定テーブル33、55、77は、それぞれ異なる再遊技役2の当選領域(当選確率)を有しており、かつ特殊再遊技役の当選領域が同一のため、再遊技役2に対応する入賞図柄が有効入賞ライン5上に停止したときのBB役の当選期待度(以下、BB役当選期待度」と称する)がそれぞれ異なることになる。これは、既に説明したように、本実施の形態では、「再遊技役1または再遊技役2>BB役>小役または特殊小役」の順位で引き込み制御が行われるため、特殊再遊技役に当選した場合、まず、当選した遊技においては、再遊技役2に対応する入賞図柄が有効入賞ライン5上に停止する。このため、遊技者は、再遊技役2に対応する入賞図柄が有効入賞ライン5上に停止した遊技においては再遊技役2に当選したか特殊再遊技に当選したかが判別することができないが、再遊技役2に対応する入賞図柄が有効入賞ライン5上に停止した際には常に、BB役への当選期待感を得ることができるようになっている。なお、上記「BB役当選期待度」とは、再遊技役2の当選領域と特殊再遊技役の当選領域とを合算した当選領域に対する当該特殊再遊技役の当選領域の占める割合を意味する。
ここで、本実施の形態の各遊技中における前記BB役当選期待度は、非RT遊技中は50%(当選期待度の算出式:100%×「再遊技役2の当選領域の大きさ550」/(「再遊技役2の当選領域の大きさ550」+「特殊再遊技役の当選領域の大きさ550」)=50%)、RT1遊技中は33%、RT2遊技中は25%となっている。またさらに、再遊技役2の当選領域がそれぞれ異なるため、再遊技役2に対応する入賞図柄の出現率(有効入賞ライン5上に出現する度合い)が常に一定ではない。このように、本発明に係る回胴式遊技機おいては、遊技の進行に伴い、再遊技役2に対応する入賞図柄の出現率を変動させることができると共に、BB役当選期待度も変動させることができる。この結果、従来よりも遊技性を向上させることができるようになる。
また、RT1遊技中やRT2遊技中のように、非RT遊技中よりも高い確率で再遊技役2に当選する遊技中においては、遊技者は、再遊技役2が揃えられる機会をより多く得ることができる。この結果、再遊技役2に対応する入賞図柄の出現率が増加するので、遊技者はより多くのBB役への当選期待感を得ることがきるようになる。
ところで、前記演出手段を用いて非RT遊技中、RT1遊技中、またはRT2遊技中である旨を遊技者に対して報知するように演出処理を構成しても良いが、前記演出手段を用いて非RT遊技中、RT1遊技中、またはRT2遊技中である旨を遊技者に対して報知しないように演出処理を構成することが好ましい。これは、以下の理由からである。
例えば、RT2遊技中である旨を特定の演出を用いて遊技者に対して報知するように構成した場合、再遊技役2に対応する入賞図柄が出現しても、RT2遊技中ではBB役当選期待度は25%と低くなっているため、遊技者が感じるBB役への当選期待感は薄れ、RT2遊技中であると認識しているが故に、遊技意欲が低下する恐れがある。このような事態に鑑み、前記演出手段を用いて非RT遊技中、RT1遊技中、またはRT2遊技中である旨を遊技者に対して報知しないように演出処理を構成することが好ましい。このようにすれば、現在の遊技がどのような遊技中であるかということを遊技者に察知され難いので、非RT遊技中よりもBB当選期待度が低下しているRT1遊技中やRT2遊技中であっても、再遊技役2が揃う度に、遊技者は、非RT遊技中であるかのようなBB役当選期待感を得ることができるようになる。
本実施の形態では、特殊6枚小役と6枚小役とを異なる入賞図柄とし、特殊3枚小役と3枚小役とを異なる入賞図柄としているが、これに限らず、特殊6枚小役と6枚小役とを同一または類似(形状、色彩、模様等が酷似している)する入賞図柄とし、特殊3枚小役と3枚小役とを同一または類似する入賞図柄としても良い。特に、特殊6枚小役と6枚小役とを同一の入賞図柄とし、特殊3枚小役と3枚小役とを同一の入賞図柄とした場合、前記演出手段を用いて非RT遊技中、RT1遊技中、またはRT2遊技中である旨を遊技者に対して報知しなければ、遊技者が有効入賞ライン5上に停止した入賞図柄を見ても、単なる小役の入賞であるか、若しくは特殊小役が入賞であるかが、外見上判別することが困難となる。この結果、どのタイミングで遊技状態が変化したかどうかが分からないので、さらに効果的である。また、小役と特殊小役とを異なる入賞図柄としている場合に特殊小役に当選しても、必ずしも遊技状態の移行が成されないように設定されている場合、例えば、特殊小役入賞時にさらに抽選による遊技状態移行の抽選がある場合にも同様に効果的である。
また、本実施の形態の非RT遊技図柄入賞判定テーブル33では、再遊技を付与する入賞役の当選領域を総て合算した当選領域、すなわち、再遊技役1、再遊技役2、および特殊再遊技役の当選領域を合算した当選領域(以下、「再遊技合算当選領域」と称する)の大きさは8990であり、これらの入賞役への合算当選確率は、約1/7.29である。一方、RT1遊技図柄入賞判定テーブル55およびRT2遊技図柄入賞判定テーブル77では、再遊技合算当選領域の大きさは9150で合算当選確率は約1/7.16であり、非RT遊技中よりもその当選確率は若干上昇しているが、その当選確率はほぼ同一である。また、各小役または各特殊小役への当選確率は、各図柄入賞判定テーブル33、55、77でそれぞれ同一に設定されている。
このように、再遊技が付与される各入賞役(再遊技役1、再遊技役2、および特殊再遊技役)や遊技媒体の払い出しを伴う入賞役(3枚小役、6枚小役、15枚小役、特殊3枚小役、および特殊6枚小役)の当選確率をほぼ同じに設定することで、機械割を概ね一定に保つことができる。特に、所定回数の遊技を行った際に機械割を所定の範囲内に収まるように決定付けられているような回胴式遊技機の場合、機械割を概ね一定に保ちつつ、複数種類の遊技状態を実現することができるので、遊技状態移行の自由度が増え、遊技性を向上させることができるようになる。なお、前記機械割を概ね一定に保つ場合、一の図柄入賞判定テーブルの再遊技合算当選領域に対する他の図柄入賞判定テーブルの再遊技合算当選領域の変化の割合は1割程度であることが好ましい。また、各図柄入賞判定テーブル33、55、77における再遊技合算当選領域は他の入賞役との兼ね合いにより、前記再遊技合算当選領域がそれぞれ異なっていても良いし、それぞれ同一であっても良い。また、本実施の形態のように、一の図柄入賞判定テーブルを除く他の図柄入賞判定テーブルそれぞれが同一の前記再遊技合算当選領域を有していても良い。
再び、図5を参照して、図柄抽選処理(ステップS15)の説明に戻る。
まず、主制御基板400は、今回の遊技がどのような遊技中であるか否かを判定し(ステップS150、S154、S156)、次に、各遊技に対応する図柄入賞判定テーブルを選択する(ステップS151、S155、S157、S158)。なお、BB遊技中ではなく(ステップS150:NO)、RT1遊技中でもなく(ステップS154:NO)、RT2遊技中でもない場合(ステップS156:NO)、この場合は非RT遊技中であるので、非RT遊技図柄入賞判定テーブル33が選択される(ステップS158)。
次に、主制御基板400は、選択された図柄入賞判定テーブルと乱数抽出処理(ステップS14:図4A参照)で抽出された抽選用乱数値とに基づき、当選役を決定するための判定処理を実行する(ステップS152)。
そして、主制御基板400は、ステップS152による判定処理の結果、当選役がある場合には、当該当選役に対応する内部当選フラグを成立させて(ステップS153)、図柄抽選処理を終了する。前記内部当選フラグは、メインRAM401bの内部当選フラグ格納領域に一時的に記憶(セット)される。前記内部当選フラグは毎遊技ごとにクリアされるが、本実施の形態に係る回胴式遊技機では、BB役の内部当選フラグのみ、有効入賞ライン5上にBB役に対応する入賞図柄が停止表示されるまで、次回の遊技へ持ち越されるようにしている。なお、ハズレの場合には、その旨を示すフラグが設定される(内部当選フラグを設定する領域に何もフラグが設定されていない場合には、ハズレであると識別できるようにしても良い)。
以上に説明したように、図柄抽選処理(ステップS15)は、遊技状態に応じて前記複数種類の入賞役抽選テーブルを択一的に選択する抽選テーブル選択手段、各回胴の図柄の変動表示を伴う単位遊技の実行ごとに、前記入賞役抽選テーブルにおける前記抽選領域に属する判定値を抽出し、抽出した判定値と前記抽選テーブル選択手段によって選択された入賞役抽選テーブルとに基づき、複数種類の入賞役のうちから一つの入賞役を抽選する入賞役抽選手段として機能している。
次に、図6を参照して、図4Aの主制御側のメイン処理におけるRT遊技設定処理(ステップS20)について説明する。図6は、RT遊技設定処理を示すフローチャートである。このRT遊技設定処理では、一の遊技状態から他の遊技状態へ移行させるための処理が行われる。
まず、主制御基板400は、非RT遊技中であるか否かを判定する(ステップS200)。非RT遊技中であるか否かの判定は、各RT遊技フラグ(ステップS202、S205参照)を確認することによって行われる。
非RT遊技中である場合(ステップS200:YES)、次に、主制御基板400は、特殊6枚小役に当選したか否かを判定する(ステップS201)。特殊6枚小役に当選したか否かの判定は、対応する内部当選フラグを確認することによって行われる。
特殊6枚小役に当選していない場合(ステップS201:NO)、そのままRT遊技設定処理を終了する。一方、特殊6枚小役に当選している場合(ステップS201:YES)、次に、主制御基板400は、RT1遊技初期設定処理を実行する(ステップS202)。このように、本実施の形態では、非RT遊技中においては、「特殊6枚小役」に当選した場合に限り、RT1遊技に移行することが可能となっている。
上記RT1遊技初期設定処理(ステップS202)では、RT1遊技に移行させるための必要な設定処理が行われ、具体的には、およびRT1遊技が実行中である旨を示すRT1遊技中フラグと、RT1遊技を継続させるための遊技数(以下、「RT1継続遊技数」と称する)とがセットされる。RT1継続遊技数を例えば50回とする場合、継続遊技数を管理するカウンタ(以下、「RT遊技数カウンタ」と称する)に「51」がセットされる(本実施の形態では、RT1継続遊技数は50回であるが、後述するRT遊技管理処理(ステップS21)にて、初回分が減算されてしまうため、RT遊技数カウンタには51がセットされる)。そして、主制御基板400は、RT1遊技初期設定処理(ステップS202)を実行した後、RT遊技設定処理を終了する。
一方、非RT遊技中ではない場合(ステップS200:NO)、次に、主制御基板400は、RT1遊技中であるか否かを判定する(ステップS203)。RT1遊技中であるか否かの判定は、ステップS202の処理でセットされるRT1遊技フラグを確認することによって行われる。
RT1遊技中ではない場合(ステップS203:NO)、そのままRT遊技設定処理を終了する。一方、RT1遊技中である場合(ステップS203:YES)、次に、主制御基板400は、特殊3枚小役に当選したか否かを判定する(ステップS204)。
特殊3枚小役に当選していない場合(ステップS204:NO)、そのままRT遊技設定処理を終了する。一方、特殊3枚小役に当選している場合(ステップS204:YES)、次に、主制御基板400は、RT2遊技初期設定処理を実行する(ステップS205)。このように、本実施の形態では、RT1遊技中において「特殊3枚小役」に当選した場合に限り、RT2遊技に移行することが可能となっている。
上記RT2遊技初期設定処理(ステップS205)では、RT2遊技に移行させるための必要な初期設定処理が行われ、具体的には、およびRT2遊技が実行中である旨を示すRT2遊技中フラグと、RT2遊技を継続させるための遊技数(以下、「RT2継続遊技数」と称する)とがセットされる。RT2継続遊技数を例えば30回とする場合、RT遊技数カウンタに「31」がセットされる。そして、主制御基板400は、RT2遊技初期設定処理(ステップS205)を実行した後、RT遊技設定処理を終了する。
以上のように、本実施の形態では、RT1遊技へ移行するための移行条件として、非RT遊技中に「特殊6枚小役」に当選した場合か、またはBB遊技が終了した場合(ステップS27:図4B参照)を移行条件としている。また、RT2遊技へ移行するための条件は、RT1遊技中に「特殊3枚小役」に当選した場合を移行条件としている。したがって、非RT遊技中に「特殊3枚小役」に当選してもRT1遊技に移行されず、RT1遊技中に「特殊6枚小役」に当選してもRT2遊技には移行されないようになっている。なお、前記移行条件は特に限定されず、目的に応じて適宜変更することができる。
次に、図7を参照して、図4Aの主制御側のメイン処理におけるRT遊技管理処理(ステップS21)について詳細に説明する。図7は、RT遊技管理処理を示すフローチャートである。
まず、主制御基板400は、BB遊技中であるか否かを判定する(ステップS210)。BB遊技中であるか否かの判定は、BB作動フラグ(BB作動開始処理(ステップS28):図4B参照)を確認することによって行われる。
BB遊技中である場合(ステップS210:YES)、そのままRT遊技管理処理を終了する。一方、BB遊技中ではない場合(ステップS210:NO)、次に、主制御基板400は、RT1遊技中であるか否かを判定し(ステップS211)、RT1遊技中ではない場合(ステップS211:NO)、次にRT2遊技中であるか否かを判定する(ステップS212)。BB遊技中、RT1遊技中、RT2遊技中のいずれの遊技中ではない場合(ステップS212:NO)、この場合は、非RT遊技中であるのでRT遊技管理処理を終了する。
一方、RT1遊技中である場合(ステップS211:YES)か、またはRT2遊技中である場合(ステップS212:YES)、RT遊技継続遊技数の残余遊技数を1減算する(ステップS213)。具体的には、RT遊技数カウンタ値から1減算する。
次に、主制御基板400は、ステップS213の処理において減算したRT遊技数カウンタ値が0であるか否かを判定する(ステップS214)。
RT遊技数カウンタ値が0である場合(ステップS214:YES)、後述するRT遊技終了設定処理(ステップS216)を実行する。一方、RT遊技数カウンタ値が0ではない場合(ステップS212:NO)、次に、主制御基板400は、BB成立可能遊技状態中であるか否かを判定する(ステップS215)。具体的には、BB役の内部当選フラグまたはBB図柄フラグがセットされているか否かを確認する。
BB成立可能遊技状態中ではない場合(ステップS215:NO)、そのままRT遊技管理処理を終了する。一方、BB成立可能遊技状態中である場合(ステップS215:YES)、RT遊技終了設定処理を実行する(ステップS216)。このRT遊技終了設定処理では、RT遊技中を示すフラグをクリアしたり(RT1遊技中の場合にはRT1遊技中フラグをクリアし、RT2遊技中の場合にはRT2遊技中フラグをクリアする)、RT遊技数カウンタをクリアしたりして各RT遊技中を終了させるための必要な設定を行う処理である。
本実施の形態に係る回胴式遊技機では、RT継続遊技数が残存している場合であっても、BB役に対応する入賞図柄が有効入賞ライン5上に揃った場合はもちろんのこと、BB役の内部当選フラグが持ち越されている場合にもRT1遊技、またはRT2遊技を強制的に終了させる非完走型のRT遊技としている。しかしながら、本実施の形態はこれに限定されず、RT継続遊技数を完全に消化した後、BB役を揃えられることを許容する完走型のRT遊技を採用しても良い。
また、RT1遊技やRT2遊技とは別に、他のRT遊技を設けることにより、RT継続遊技数が消化された後、再遊技役への当選確率を著しく上昇させた再遊技高確率当選遊技に移行したり、BB役に当選したりする等、いわゆる、規定遊技数を消化したことを条件に天井機能を発動させるための天井機能発動手段を備えていても良い。
そして、主制御基板400は、RT遊技終了設定処理(ステップS216)を実行した後、RT遊技管理処理を終了する。
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい一実施の形態について説明したが、これは、本発明を単に例示したものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。また、本発明の逸脱しない範囲において、回胴式遊技機を構成する要素、各種パラメータを適宜変更することができる。
また、上記実施の形態では、遊技メダルを使用する回胴式遊技機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、他の遊技媒体を使用する遊技機、例えば、遊技媒体として遊技球を使用する回胴式遊技機にも本発明を適用することができる。