まず、本実施形態の回胴式遊技機の概要について説明する。
本実施形態の回胴式遊技機は、種々の図柄が施された図柄列を複数並設させて、各図柄列を回胴表示させると共に停止時の図柄の組合せにより遊技結果を表示する図柄回胴表示装置と、該図柄回胴表示装置を用いた遊技の進行を制御する主制御部と、遊技の進行に応じた演出を行うための演出装置と、該演出装置による演出動作を制御する演出制御部とを備える回胴式遊技機であって、
前記主制御部は、遊技中に所定のタイミングで取得された乱数値を抽選値テーブルに格納されている抽選値と対比する抽選処理を実行して、遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを決定する抽選手段と、前記抽選手段による抽選処理の結果に基づく制御コマンドと、該制御コマンドと対を成すセキュリティコマンドとを、特定の時間間隔を介して前記演出制御部へ送信するタイミングを制御する送信タイミング制御手段とを備え、
前記演出制御部は、前記主制御部から受信した制御コマンドおよびセキュリティコマンドの受信タイミングを計時するタイミング計時手段と、前記タイミング計時手段により計時された前記受信タイミングが、前記送信タイミング制御手段により前記制御コマンドおよび前記セキュリティコマンドが送信された前記送信タイミングとの正当性を判定するタイミング判定手段とを備える。
かかる回胴式遊技機によれば、タイミング判定手段により、主制御部から演出制御部へ送信される制御コマンドおよびセキュリティコマンドの送信タイミングと、タイミング計時手段により計時されたこれらのコマンドの受信タイミングとの正当性が判定される。ここで、主制御部と演出制御部との間に不正基板等が装着され、演出制御部に不正なコマンドが送信された場合にも、その受信タイミングを送信タイミングと比較して正当性を判定することができる。これにより、演出制御部へ不正なコマンドが送信される不正を効果的に防止することができる。
ここで、前記演出制御部は、前記制御コマンドに基づいて、特定の当選役を報知するアシストタイム遊技状態に移行させるか否かを決定し、前記タイミング判定手段により前記受信タイミングと前記送信タイミングとが不当と判定された場合に、前記アシストタイム遊技状態へ移行させるか否かの決定を行わない。
タイミング判定手段により受信タイミングと送信タイミングとが不当と判定された場合には、アシストタイム遊技状態への移行を行わないことで、主制御部と演出制御部との間に不正基板等が装着され、演出制御部に不正なコマンドが送信されることにより、演出制御部により管理されるアシストタイム遊技状態が実現されることを効果的に防止することができる。
さらに、前記送信タイミング制御手段は、前記特定の時間間隔をランダムに決定する。
これにより、前記送信タイミングが解析されることを防止することができる。さらに、不正基板等から演出制御部へ不正なコマンドがあるタイミングで送信されても、前記特定の時間間隔がランダムに設定されることで、不正なコマンドを確実に不当と判定することができ、演出制御部へ不正なコマンドが送信される不正を効果的に防止することができる。
また、前記主制御部と前記演出制御部との制御処理周期を等しくすることにより、前記タイミング計時手段が該主制御基板から該演出制御部へ送信された前記制御コマンドおよび前記セキュリティコマンドの前記受信タイミングを計時可能に構成される。
これにより、正当に主制御部から演出制御部へ送信された制御コマンドおよびセキュリティコマンドの受信タイミングを正確に計時することができ、送信タイミングとの正当性を的確に判定することができる。
さらに、前記主制御部は、入力されたコマンドを順次一定の処理周期で前記演出制御部へ送信するコマンド出力手段を備え、前記送信タイミング制御手段は、前記制御コマンドおよび前記セキュリティコマンドを前記コマンド出力手段へ入力するタイミングを制御することにより、該制御コマンドおよび該セキュリティコマンドを前記演出制御部へ送信するタイミングを制御する。
これにより、コマンド出力手段へコマンドを入力するタイミングを制御することで、制御コマンドおよびセキュリティコマンドとの送信タイミングを特定のタイミングに制御することができ、演出制御部へ不正なコマンドが送信される不正を効果的に防止することができる。
また、前記制御コマンドと前記セキュリティコマンドとの少なくともいずれか一方に、前記送信タイミングに関する情報が含まれる。
これにより、制御コマンドまたはセキュリティコマンドを介して送信タイミングに関する情報を演出制御部に送信することができ、かかる情報を別途演出制御部に送信する情報伝達構造等を不要として、演出制御部へ不正なコマンドが送信される不正を効果的に防止することができる。
次に、図面を参照して、本実施形態の回胴式遊技機の構成について詳細に説明する。
<1.機械的構成>
図1に示すように、本実施形態に係る回胴式遊技機は、遊技機本体として、遊技に供する各種遊技部品を収納するための遊技機筐体1と、遊技機筐体1の前面側に開閉自在に取り付けられた前扉2とを備える。
前扉2には、そのほぼ中央に回胴視認部3が設けられており、その上側に液晶画面視認部4が設けられている。
回胴視認部3には、回胴装置210(本発明の図柄回胴表示装置に相当する)の横並びに3個配設された回胴5a、5b、5c(以下、必要に応じて回胴5aを「左回胴5a」、回胴5bを「中回胴5b」、回胴5cを「右回胴5c」と称する)が、この回胴視認部3に臨ませて、遊技者側から視認し得るように設けられている。
この回胴5a、5b、5cは、その外周に複数種類の図柄が施された図柄配列帯(図示省略)を有しており、各回胴5a、5b、5cの停止時の上記図柄の組み合せによって遊技結果を表示する回胴装置210を構成している。図柄配列帯については、既に種々の図柄配列帯が公知であるのでその詳細な説明は省略するが、図柄配列帯には、各入賞役を構成するための図柄が表示されており、本実施形態では回転方向に21コマの図柄が配置されている。図柄には、たとえば「7」、「ベル」、「オレンジ」、「チェリー」、「JAC」、「BAR」、「人物」、「動物」、「魚」、「乗り物」等、特に制限はなく、種々の図柄を採用することができる。
この回胴5a、5b、5cは、それぞれパルスモータからなる回胴駆動モータ211a、211b、211c(図2参照)により回転駆動されるように構成され、各回胴5a、5b、5cが回転することにより、上記図柄が変動表示可能となっている。
なお、回胴5a、5b、5cは、本実施形態のように、回胴駆動モータ211a、211b、211cのような電気的駆動源を用いて物理的に回転または停止が行われる機械式の回胴に限定されず、後述する液晶表示装置6のような画像表示装置に表示され、画像上で回転または停止が行われる演出的な回胴であってもよい。また、回胴の数は3個に限定されるものではなく、2個、4個等、何個配設されていてもよい。
回胴視認部3には、ここを横および斜めに横断する形で、計5本の入賞ライン3aが施されている。これらの入賞ライン3aは、単位遊技(1ゲーム)に対する遊技メダルの投入枚数に応じて有効として扱われる入賞ライン数が変化する。この有効となった入賞ライン(以下、「有効入賞ライン」と称する)3a上で、3つの回胴5a、5b、5cが停止した際の停止図柄の組み合わせの表示態様が、当選した入賞役のものと一致した場合に入賞が確定し、上記停止図柄の組み合わせに応じた遊技価値が遊技者に付与される。
液晶画面視認部4は、前扉2の裏側に装着された画像表示装置としての液晶表示装置6(LCDユニット)の表示画面6a(液晶画面6aと略す)に対応して、たとえば回胴視認部3よりも少し小さい矩形状に形成されている。遊技者はこの液晶画面視認部4を介して液晶画面6aを前側から視認可能となっている。この液晶画面6aには、遊技に伴う演出が画像により表示される。液晶表示装置6は広義には演出を現出する演出装置として機能し、AT遊技状態において当選役を報知する主たる手段として働く。
なお、本実施形態では、液晶表示装置6を設けているが、これに限らず、電子ペーパを用いた画像表示装置、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等であってもよく、回転式ドラムによる演出表示装置、7セグによる演出表示装置、またはこれらを組合せたものであってもよい。
回胴視認部3の左右両側には、LEDを内蔵し、発光色の種類や発光態様(点滅・点灯、発光強度の増減等)による光の装飾により、遊技に伴う演出を現出する装飾ランプ部13が設けられている。上記装飾ランプ部13は、広義には演出を現出する演出装置として機能するが、AT遊技状態において当選役を報知する手段の一部としても機能する。
本実施形態において、AT遊技状態が発生している間、当選役を遊技者に報知する演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることができる伝達手段であれば採用することができる。
回胴視認部3の下方の段部には、遊技に供する遊技媒体としての遊技メダルを投入するためのメダル投入口7と、貯留装置(遊技機に投入された遊技メダル、または入賞によって獲得した遊技メダルを貯留して、その貯留数を電磁的方法よって記憶可能とする機能を備えた装置)に貯留された範囲、すなわちクレジットされた範囲内で、遊技メダルを最大枚数賭けで一度に擬似投入し得るMAXBETボタン8、押した回数に応じて最大賭け枚数まで加算的に擬似投入し得る貯留メダル投入ボタン9、クレジットされた遊技メダルの精算を行う貯留メダル精算ボタン10が設けられている。
回胴視認部3の上記段部の下側に横長状に設けられた操作パネル部14には、メダル投入口7内に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン15、回胴5a、5b、5cの回転を一斉に開始させるための回胴回転始動レバー11、各回胴5a、5b、5cの回転を個別に停止させるための3個の回胴回転停止ボタン12a、12b、12c(以下、必要に応じて、回胴回転停止ボタン12aを「左回胴回転停止ボタン12a」、回胴回転停止ボタン12bを「中回胴回転停止ボタン12b」、回胴回転停止ボタン12cを「右回胴回転停止ボタン12c」と称し、またこれら回胴回転停止ボタンを総称して、単に「回胴回転停止ボタン12」と称する)が設けられている。
また、上記ボタンやレバーには、その内部に、操作が有効であるか否かを遊技者に報知するための発光手段(LED)を設けており、このLEDの発光態様(発光色、点灯、点滅、消灯など)により操作の有効、無効を報知するように構成されている。本実施形態では、上記操作手段として、各回胴回転停止ボタン12a、12b、12cとMAXBETボタン8を利用することとしているので、これらボタンの内部にLEDを設けて、通常遊技や操作型遊技において、上記各ボタン操作が有効であるか無効であるかを、当該LEDの発光態様により遊技者に報知するようにしている。
上記したMAXBETボタン8、貯留メダル投入ボタン9、貯留メダル精算ボタン10、回胴回転始動レバー11、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cのそれぞれには、これらが操作された際に、操作検出情報を生成するスイッチ(8a、9a、10a、11a、12a’、12b’、12c’:図2参照)が備えられている。
また操作パネル部14の下方には、遊技機の魅力をアピールするための色彩や絵柄が施され装飾パネル部17が設けられている。
装飾パネル部17の下方には、前扉2と一体的に装着された横長状のメダル受け皿18が設けられ、このメダル受け皿18には、遊技メダル払出装置から払い出された遊技メダルや返却された遊技メダルを前側に排出するための遊技メダル払出口19が開口している。
また、前扉2の前扉上部両側および前扉下部両側には、遊技に伴う演出効果音を外部に出力する音響出力部としてのスピーカ16が設けられている。スピーカ16は、広義には演出を現出する演出手段として機能するが、AT遊技状態において当選役を報知する手段の一部としても機能する。
<2.回路構成>
次に、本発明に係る回胴式遊技機の回路構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る回胴式遊技機は、遊技動作全般の制御を司る主制御基板(主制御部)400と、主制御基板400から制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出制御を行う演出制御部410と、外部電源から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板440とを中心に構成される。演出制御部410は、具体的には、演出手段を制御するための演出制御基板420と、液晶制御基板460とを含んで構成され、液晶制御基板460には画像表示装置としての液晶表示装置6が接続されている。
主制御基板400には、遊技中継基板370を介して、メダル投入口7からの遊技メダルを検出するメダル検出センサ7aと、MAXBETボタン8の操作を検出するMAXBETスイッチ8aと、貯留メダル投入ボタンの操作を検出する貯留メダル投入スイッチ9aと、貯留メダル精算ボタン10の操作を検出する貯留メダル精算スイッチ10aと、回胴回転始動レバー11の操作を検出する回胴回転始動スイッチ11aと、停止スイッチ基板360とが接続されており、これらからの信号が入力される。また、停止スイッチ基板360には、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作を検出する回胴回転停止スイッチ12a’、12b’、12c’や各回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの内部に設けられるLEDが搭載されている。
また、主制御基板400には、回胴中継基板330を介して回胴装置210の回胴5a、5b、5cを回転駆動するための回胴駆動モータ211a、211b、211cおよび回胴位置検出センサ(各回胴に設けられているセンサであって、図柄の基準となる位置や回胴の回転を検出するためのセンサ)212a、212b、212cが接続されている。主制御基板400は、回胴駆動モータ211a、211b、211cを制御して、各回胴5a、5b、5cの回転動作および目的とする位置への各回胴5a、5b、5cを停止させる停止動作を実現している。
主制御基板400には、払出中継基板350を介してホッパーユニット500が接続されている。ホッパーユニット500には、払出制御基板450、メダル払出センサ520およびホッパーモータ510が配置されており、払出制御基板450は、主制御基板400から送信された遊技メダルの払い出しに関する払出制御コマンドに基づき、ホッパーモータ510を駆動制御し、目的とする枚数の遊技メダルを払い出すようになっている。払い出された遊技メダルは、メダル払出センサ520によって検出される。
さらに、主制御基板400には、外部集中端子基板310が接続されている。外部集中端子基板310は、ホール全体の遊技機を統括的に管理するホールコンピュータHCに所定の遊技情報を送信する。また、さらに主制御基板400には、回胴設定基板430が接続されている。回胴設定基板430は、ホール関係者が所持する設定鍵を挿入するための設定キースイッチ、上記設定鍵が挿入されることを条件に遊技の出玉率に変化をもたらす「設定」を変更したり遊技動作に異常状態が発生した場合にこれを解除したりするためのリセットスイッチ等が設けられている。回胴設定基板430は、上記各スイッチの操作を検出して、その信号を出力する。
主制御基板400には、演出I/F基板340を介して接続された演出制御基板420と液晶制御基板460とが接続されている。
次に、演出制御基板420は、主制御基板400からの制御コマンドを受けて、スピーカ16や装飾ランプ部13やLEDの制御を中心的に司る制御基板であって、主制御基板400から送信される制御コマンドを受けて、これに関連付けられた液晶コマンドを液晶制御基板460に送信する。
液晶制御基板460は、演出制御基板420からの液晶コマンドを受けて、液晶表示装置6を駆動制御し、演出内容に沿った画像を表示して画像による演出を実現している。この液晶制御基板460は、図示しない、液晶制御CPU、液晶制御RAM、液晶制御ROM、画像ROM、ビデオRAM、画像IC等を備えている。液晶制御CPUは、液晶コマンドに基づいて、液晶制御ROMに記憶された画像制御プログラムに従い、液晶表示装置6に表示する演出内容を決定する。液晶制御RAMは、液晶制御CPUによる画像制御プログラムの実行の際、データ(プログラムで使用されるフラグや変数の値)を一時的に記憶する作業領域として利用される。画像ICは、液晶制御CPUで決定された演出に沿った画像データを画像ROMから読み出し画像を形成し、液晶表示装置6に出力する。ビデオRAMは、画像ICが画像を形成する際に発生するデータを一時的に記憶する作業領域として利用される。
なお、本実施形態では、演出制御基板420と液晶制御基板460とを別個の基板で遊技機に設けているが、これらの基板が担う機能を備えた演出部として一体的に構成し、1つの基板に搭載してもよい。
(2−1.主制御基板400)
次に、図3を参照して、主制御基板400および演出制御基板420の回路構成について説明する。
まず、主制御基板400の回路構成について説明する。
主制御基板400は回胴式遊技機の遊技動作全般の制御を司る主制御(メイン)側の制御基板であり、1チップマイクロコンピュータ401を中心に、主制御基板400に接続された各基板との間の信号を入出力するI/Oポート回路402、カウンタ回路403、主制御基板400に接続された外部周辺基板との信号のやり取りを仲介するインターフェース(I/F)回路404〜406、モータ駆動回路407、およびスイッチ入力回路408を備えている。回胴式遊技機における遊技動作制御は、1チップマイクロコンピュータ401を中心として各上記回路が連携し合い、1チップマイクロコンピュータ401は、遊技動作を制御する制御信号(制御コマンドを含む)を周辺基板に送信して遊技動作全般を制御している。
1チップマイクロコンピュータ401は、メインROM401a、メインRAM401b、およびメインCPU401cを備え、その他、一定周期のパルス出力を作成する機能や時間計測の機能を有するCTC(Counter Timer Circuit)401d、メインCPU401cに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路401eを備えている。
メインCPU401cは、CTC401dを利用して計時機能等を発揮し、メインROM401aに記憶された遊技動作制御プログラム(回胴式遊技機全体をどのように動作させるかが記述されているプログラム)を実行して遊技の進行に係る全般的な処理を行う。
そのため、メインCPU401cが、遊技動作制御プログラムに従って本発明の抽選手段(図4参照)、送信タイミング制御手段(図6参照)およびコマンド出力手段(図8参照)として機能する。
メインRAM401bは、メインCPU401cが上記遊技動作制御プログラムを実行する際、データ(プログラムで使用されるフラグや変数の値)を一時的に記憶する作業領域として利用される。メインROM401aには、上記遊技動作制御プログラムの他、回胴の停止制御の際に用いられる複数種類の停止制御用の停止テーブル(図示省略)、抽選により入賞役を決定する際に用いられる抽選テーブル(図11参照)、有効入賞ライン3a上に停止した図柄の確認や払い出し枚数を決定するための入賞払出判定テーブル(図示省略)も、このメインROM401aに記憶されている。
カウンタ回路403は、図示はしていないが、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と当該乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを備えている。メインCPU401cは、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数発生回路が示している数値を内部抽選用乱数値として取得する。この内部抽選用乱数値は、主に入賞役の抽選に利用される。
ここで上記入賞役の抽選は、「入賞役抽選手段」により行われ、この「入賞役抽選手段」は主制御基板400の1チップマイクロコンピュータ401がその機能を担い、各回胴5a、5b、5cの回転による単位遊技の実行ごとに、ハズレ役を含む複数の入賞役の抽選を行う機能部をいう。より具体的には、1または複数の入賞役若しくはハズレ役に対応付けられた当選領域を遊技状態ごとに定めた抽選領域を対象として抽選を実行し、その抽選結果を示す抽選結果情報を生成する。この入賞役抽選手段による抽選は、抽選テーブル(図11参照)に基づき行われる。
この抽選テーブルは、抽選される入賞役の種類と入賞役ごとの当選確率とを定めたものである。本実施形態における通常遊技抽選テーブルの抽選領域の大きさは65536となっており、この範囲で各入賞役の当選領域が定められている(図11の「当選確率」の欄は、「当選領域/抽選領域」により算出した概算値を示している)。また、図11には通常遊技中における抽選テーブルのみを示しているが、抽選テーブルには各遊技状態(通常遊技、ボーナス遊技等)に対応する複数の抽選テーブルが用意されており、上記入賞役抽選手段は、各遊技状態に応じた抽選テーブルを選択し、入賞役に関する抽選を行っている。
I/F回路としては、演出制御基板420とのI/F回路404、遊技中継基板370とのI/F回路405、およびその他の基板とのI/F回路406が配置されている。I/F回路405のスイッチ入力回路408には、遊技機本体に配置された各種スイッチやセンサからの信号が入力される。
また、モータ駆動回路407は、1チップマイクロコンピュータ401の制御の下、回胴駆動モータ211a、211b、211cを駆動制御する制御信号を出力する。
各回胴5a、5b、5cの回転制御および停止制御は、1チップマイクロコンピュータ401とモータ駆動回路407とによって行われており、これらは停止制御手段を構成している。
次に、上記停止制御手段による回胴5a、5b、5cの回転制御について説明する。モータ駆動回路407は、1チップマイクロコンピュータ401の制御の下、回胴駆動モータ211a、211b、211cに駆動パルス信号を出力する。モータ駆動回路407は、回胴5a、5b、5cを1回転させるために必要な上記駆動パルス信号として、1−2相励磁方式で1回転させるために出力相パターンを504回(1図柄のステップ数を24カウントとし、図柄を1コマ進める位置が21箇所あるため)出力し、回胴5a、5b、5cの回転を制御している。
また、1チップマイクロコンピュータ401には、各回胴位置検出センサ212a、212b、212cからの検出信号が入力される。各回胴位置検出センサ212a、212b、212cからの検出信号は、各回胴5a、5b、5cの基準位置を示すリセット信号として1チップマイクロコンピュータ401に入力される。1チップマイクロコンピュータ401は、上記リセット信号が入力されたときに各回胴駆動モータ211a、211b、211cに供給する上記出力相パターンの出力回数を計数している回胴励磁出力カウンタをクリアし、回胴励磁出力カウンタを順次更新しながら、モータ駆動回路407を制御して各回胴の回転動作を実現している。1チップマイクロコンピュータ401は、回胴ごとの回胴励磁出力カウンタのカウント値を監視することで上記基準位置からの図柄ステップ数を把握し、基準位置(本実施形態では、枠内下段位置)にどの図柄が移動してきているのかを識別する。
次に、回胴5a、5b、5cの停止制御について説明する。1チップマイクロコンピュータ401は、上記入賞役抽選手段による抽選結果と抽選結果に対応する停止制御パターンを定めた停止テーブル(図示せず)とを参照し、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されるごとに有効入賞ライン3a上に停止させる図柄(本実施形態では、基準位置に停止させる図柄を決定することにより有効入賞ライン3a上に停止させる図柄が定まるようにしている)の種類を決定する。そして、決定した図柄を所定の引き込みコマ数範囲内で有効入賞ライン3a上に停止させるように回胴駆動モータ211a、211b、211cへの出力相パターン信号を制御して、目的とする位置に回胴5a、5b、5cの停止動作を実現している。
具体的には、各回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作されたタイミングで、このときに基準位置に存在する図柄情報(停止操作図柄番号)を取得し、この停止操作図柄番号と上記抽選結果に対応する停止制御テーブルとに基づいて、図柄の引き込みコマ数を決定し、回胴を停止させる。上記停止制御テーブルには、図示はしていないが、停止操作タイミングに基づく回胴の停止位置(どの図柄を基準位置に停止させるか)を定めた停止テーブルや回胴の停止操作順に応じた上記停止テーブルを択一的に選択するために用いられる停止用図柄停止テーブル選択テーブルを含み、これら各テーブルは、遊技状態および当選役ごとにそれぞれ設けられている。また上記停止テーブルには、停止操作番号に基づく滑りコマ数が最大引き込みコマ数範囲内で定められている。
したがって、当選役を構成可能な図柄と上記停止操作図柄番号との差が所定の引き込みコマ数(本実施形態では最大引きコマ数を4コマに設定している)範囲内であれば、上記当選役を構成可能な図柄を所定の有効入賞ライン3a上に引き込む形態で、回胴の停止制御が行われることになる(いわゆる、引き込み制御)。なお、有効入賞ライン3a上に停止した図柄は、上記基準位置にどの図柄が停止したかで自然と定まるので、各回胴5a、5b、5cの有効入賞ライン3a上にどの図柄が停止したかは、回胴の停止毎に把握することができるようになっている。
このように、本実施形態では、遊技者による回胴の停止操作のタイミングに従い、当選役を有効入賞ライン3a上で極力一致させるべく、最大引き込みコマ数範囲内で各回胴5a、5b、5cの停止制御が行われる。したがって、上記引き込み制御の特性と有効入賞ラインのライン取りとの関係に基づいて各回胴の図柄配列帯に図柄を配置すれば、遊技者による回胴の停止操作のタイミングにかかわらず、特定の当選役を100%引き込み可能にしたり、停止操作のタイミングに応じて最大引き込みコマ数引き込んでも当選役が有効入賞ライン3a上に停止しないようにしたりすることができる。
(2−2.入賞役)
次に、入賞役について説明する。本実施形態における入賞役の種別としては、図11に示すように、リプレイ役、特殊リプレイ役、チェリー役、特殊チェリー役、ベル役、スイカ役、ミドルボーナス(以下、MB)役などが設定されている。なお、各入賞役に対応する停止図柄の組み合わせについては図示していないが、特に制限はなく、図柄配列帯に施される図柄種によりその構成を適宜変更することができる。
リプレイ役は、入賞が確定した場合に今回の遊技で投入した遊技メダルの枚数と同一の枚数を擬似的に付与して次回の遊技を開始可能とする再遊技を遊技者に付与する入賞役である。すなわち、遊技者が遊技メダルを投入(クレジットからの擬似的な投入を含む)することなく、所定の遊技開始条件を付与し、次回の遊技を開始可能とする入賞役である。したがって、遊技者が遊技メダルを減らすことなく次回の遊技が可能になるという点で、上記再遊技は、遊技メダルと同様に遊技価値を有するものといえる。
チェリー役、ベル役、スイカ役は、入賞が確定した場合、所定枚数の遊技メダルの払い出しを伴う入賞役であり、いわゆる小役と称されるものである。本実施形態では、チェリー役は2枚、ベル役は9枚、スイカ役は15枚の遊技メダルの配当が得られる。
ベル役のうち左押ベル役、中押ベル役、右押ベル役の3種類は、押し順に応じて有効入賞ライン3a上に停止する図柄の組み合わせが異なる、いわゆるAT役である。これらのAT役は押し順が規定され、その押し順が一致した場合、“ベル図柄”が有効入賞ライン3a上に停止し、所定枚数の遊技メダルの配当が得られるようになっている。具体的には、左押ベル役の場合は左回胴5aを第1停止、中押ベル役の場合は中回胴5bを第1停止、右押ベル役の場合は右回胴5cを第1停止させると、それぞれ“ベル図柄”が有効入賞ライン3a上に停止し、それぞれ9枚の配当が得られるようになっている。規定された押し順以外の押し順で回胴を停止させた場合には、配当を得ることのできない図柄の組み合わせが有効入賞ライン3a上に停止し、いわゆる役の取りこぼしが発生する。
押し順不問ベル役は、上記の左押ベル役、中押ベル役、右押ベル役とは異なり、押し順および停止操作タイミングに係わらず、“ベル図柄”が有効入賞ライン3a上に停止するようになっている。
MB役は、いわゆるボーナス役と称される特別入賞役であり、入賞が確定した場合、次回以降の遊技状態を通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態に移行させるものである。この各MB役への入賞が確定した場合、次回以降の遊技からボーナス遊技と称される特別遊技状態に移行する。本実施形態のボーナス遊技では、特別役物(いわゆる、レギュラーボーナス)を連続的に作動させる役物連続作動装置が作動し、遊技者は短時間で大量の遊技メダルを獲得することができるようになっている。このボーナス遊技は、所定の終了条件、たとえば所定枚数の遊技メダルが払い出されたことを条件に、ボーナス遊技が終了するようになっている。上記各MB役は、大量の遊技メダルを獲得することが可能であり、全入賞役のうちで最も高い遊技価値を有する入賞役として位置付けられている。
特殊リプレイ役はリプレイ役とMB役とに、特殊チェリー役はチェリー役とMB役とに重複して当選する入賞役(いわゆる、重複入賞役)である。また本実施形態の「特殊リプレイ役」はリプレイ役、「特殊チェリー役」はチェリー役と同じ図柄の組み合わせで構成される。この重複入賞役に当選した場合、どの入賞役を優先的に有効入賞ライン3aに引き込むかは、所定の優先順位に基づいて行われる。本実施形態では、「リプレイ役>小役>MB役」の順位で引き込み制御が行われるように、優先順位に関し定められている。これにより、重複当選した遊技では、上記優先順位に基づき停止制御が行われることになる。
なお、リプレイ役、チェリー役、ベル役、スイカ役のそれぞれは、抽選により当選したその遊技でこれに対応する図柄の組み合わせが有効入賞ライン3a上に停止しなかった場合、当該当選が無効となり、当選した権利を次回以降の遊技に持ち越すことができない持越不可能入賞役として設定されている。これに対し、MB役は、抽選により当選したその遊技で有効入賞ライン3a上にこれに対応する図柄の組み合わせが停止しなかった場合であっても、当該当選は無効とされることなく、当選した権利を次回以降の遊技に持ち越すことができる持越可能入賞役として設定されている。
(2−3.演出制御基板420)
再び、図3を参照して演出制御部410の演出制御基板420について説明する。演出制御基板420は、スピーカ16、LED等を制御する副制御(サブ)側の制御基板であり、1チップマイクロコンピュータ421を中心に、演出制御基板420に接続された演出I/F基板340との間の信号を入出力するI/Oポート回路422、カウンタ回路403と同様の機能を有するカウンタ回路423を備えている。
1チップマイクロコンピュータ421は、サブROM421a、サブRAM421b、およびサブCPU421cを備え、その他、周期的な割り込みや一定周期のパルス出力を作成する機能や時間計測の機能を有するCTC421d、およびサブCPU421cに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路421eを備えている。
また、図示はしていないが、演出制御基板420にはスピーカ16を制御するためのサウンドLSI、音声ROM、音処理回路を含む音波制御回路を備えている。音声ROMには演出パターンに対応した各種効果音を発生させるための音波出力用データが記憶されている。サウンドLSIは、サブCPU421cからのスピーカ16制御用の音声コマンドを受けて、所定のタイミングで上記音声ROMからデータを読み出し、所定の処理を施して音処理回路に出力する。上記音処理回路は上記データをD/A変換して音声信号を生成し、音声信号を所定レベルに増幅してスピーカに供給する。
サブCPU421cは、メインCPU401cと同様に、CTC421dを利用して計時機能やタイマ割り込み機能を発揮し、サブROM421aに記憶された演出制御プログラム(主に回胴式遊技機の演出手段(必要に応じて、液晶表示装置6、スピーカ16、LED等の演出を現出するための装置を総称して「演出手段」と称する場合がある)をどのように動作させるかが記述されているプログラム)を実行して、各種LED、スピーカ16を制御したり、液晶制御基板460に対して液晶コマンドを送信したりする。
そのため、サブCPU421cが、演出制御プログラムに従って本発明のタイミング計時手段(図14参照)およびタイミング判定手段(図13参照)として機能する。
サブRAM421bは、サブCPU421cが演出制御プログラムを実行する際、一時的にデータを記憶する作業領域として利用される。サブROM421aには、上記演出制御プログラムの他、遊技に伴う演出内容を定めた演出パターンテーブル(図示はしていない)が記憶されている。上記1チップマイクロコンピュータ421は、主制御基板400からの上記制御コマンドに基づいて、上記演出パターンテーブルから目的とする演出パターンを選択して、選択した演出パターンを現出するに必要なLED制御用の発光コマンド、スピーカ16制御用の音声コマンド、液晶コマンドなどを出力する。
カウンタ回路423は、図示はしていないが、カウンタ回路403と同様に乱数生成回路とサンプリング回路とを備えている。サブCPU421cは、演出処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数発生回路が示している数値を演出用乱数値として取得する。この演出用乱数値は、主として演出パターンテーブルから目的とする演出パターンを決定するために利用される。
ここで、主制御基板400のメインCPU401cと演出制御基板420のサブCPU421cとのインターフェースにおけるハードウェア構成を説明しておく。
主制御基板400のメインCPU401cは、処理状態を特定可能な制御情報としての各種制御コマンド(詳細は後述する)を出力する。この出力した制御コマンドは、演出制御基板420とのI/F回路404が備える出力バッファ回路404aを介して出力される。
主制御基板400の出力バッファ回路404aは、メインCPU401c側の信号を外部に対して出力することを許可する一方、メインCPU401c側の内部に対して信号が入力されることを禁止するように機能している。したがって、メインCPU401c側は、一方向通信における出力側としてのみ機能している。これは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御基板420を介してメインCPU401cに入力されることを防止するためである。
主制御基板400から送信された上記制御コマンドは、演出I/F基板340における入力バッファ回路を通じてI/Oポート回路422、I/F回路(図示省略)を介して演出制御基板420のサブCPU421cに入力される。また主制御基板400からのストローブ信号は、演出I/F基板340を通じてI/Oポート回路422を介してサブCPU421cの割り込み信号として入力される。
I/F回路(図示省略)の入力バッファ回路は、メインCPU401c側の信号が入力されることを許可する一方、メインCPU401c側の内部に対して信号が出力されることを禁止するように機能している。したがって、サブCPU421c側は、一方向通信における入力側としてのみ機能している。
(2−4.制御コマンド)
ここで、主制御基板400が各遊技動作の実行時に演出制御基板420に対して送信する各種制御コマンドについて説明する。主制御基板400が送信する制御コマンドとしては、以下のようなものがある。なお、これらのコマンド名は、発生時期または送信時期に着目して命名されており、その命名の内容の実行を促すものではない。
まず、遊技メダル1枚を投入するごとに発生する「メダル投入コマンド」、回胴回転始動レバー11の操作時発生する「遊技開始コマンド(当選役に関する情報(抽選結果情報)や遊技状態に関する情報を含む)」、回胴回転始動レバー11操作後の回胴回転開始時に発生する「回胴起動(回胴回転開始)コマンド」がある。
ここで、遊技開始コマンドが当選役や遊技状態の情報を含むとは、たとえば遊技開始コマンドが16ビットの符号からなり、そのうちの6ビットが当選役を示す情報(当選情報)に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す情報(遊技状態情報)に割り当てられるような形態を意味する。上記遊技開始コマンドに含まれる「遊技状態情報」には、「通常遊技中」、「ボーナス遊技中」、「ボーナス遊技終了」、「当選情報」等がある。また、ボーナス遊技の作動開始時に発生する「MB終了時のウエイト時間コマンド」がある。
さらにまた、主制御基板400から演出制御基板420に送られる制御コマンドには、回胴回転停止ボタン12aの操作時(左停止操作時)、回胴回転停止ボタン12bの操作時(中停止操作時)、回胴回転停止ボタン12cの操作時(右停止操作時)にそれぞれ発生する「停止ボタン左」、「停止ボタン中」、「停止ボタン右」のコマンド(停止操作順情報を含む)や、引き込み制御後の左回胴停止時、中回胴停止時、または右回胴停止時に発生する「左回胴停止」、「中回胴停止」、「右回胴停止」のコマンド(回胴の「停止位置情報」を含む)がある。これら「停止ボタン左」、「停止ボタン中」、「停止ボタン右」の各コマンドも16ビットの符号からなり、そのうちの3ビットが順押し、逆押し、ハサミ押し等の停止操作順情報に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す遊技状態情報に割り当てられる。
なお、3つの回胴回転停止ボタンのうちで1番目に操作された回胴回転停止ボタンであることは、上記の押し順情報から知ることができ、「第1停止コマンド」として演出制御基板420に送信され、演出制御基板420が1番目停止時に回胴停止時の演出を実行するために利用される。同様にして、2番目、3番目に操作された回胴回転停止ボタンであることも、上記の押し順情報から知ることができ、「第2停止コマンド」、「第3停止コマンド」として演出制御基板420に送信され、利用される。
さらに、主制御基板400から演出制御基板420に送られる制御コマンドには、3番目に回胴回転停止ボタンを離した時に発生する「全回胴停止コマンド(入賞情報コマンド)」がある。この全回胴停止コマンドも16ビットの符号からなり、そのうちの4ビットが有効入賞ライン3a上に揃った入賞役の種類を示す情報(入賞役情報)に割り当てられ、他の3ビットが入賞ライン3aを示す情報(入賞ライン情報)に割り当てられ、他の4ビットがそのときの遊技状態を示す情報(遊技状態情報)に割り当てられる。
この全回胴停止コマンドは、引き込み制御中に停止ボタンから指を離した場合、3番目の回胴の引き込み制御後の回胴停止時に発生する。ここで全回胴停止コマンドに含まれる「入賞ライン情報」とは、回胴において入賞役が揃った入賞ライン3aに関する情報であり、また「入賞役情報」とは実際に揃った図柄に関する情報である。遊技開始コマンドに含まれる「入賞役」の情報では、実際に揃う図柄が未確定であるのに対し、この全回胴停止コマンドに含まれる「入賞役」の情報は、取りこぼしをすることなく実際に揃った図柄を示す情報である点で、両者は異なる。演出制御基板420ではこの入賞ライン情報と入賞役情報に基づいて、全回胴が停止して入賞の当否が確定した後に現出すべき演出内容を決定している。
<3.主制御部の制御>
次に、図4〜図11を参照して、本発明に係る回胴式遊技機の遊技動作制御に関する処理内容について説明する。
<3−1.主制御側のメイン処理>
まず、図4を参照して、本実施形態の主制御基板400が実行する主制御側のメイン処理について説明する。図4は、遊技動作制御プログラムに従い主制御基板400(メインCPU401c)が実行する主制御側のメイン処理を示すフローチャートである。
まず、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、電源基板440から主制御基板400に電源が投入された旨の電源投入信号が送信され、主制御基板400を介して各基板へと電源投入信号が送信される。そして、主制御基板400は、遊技動作開始前における必要な初期設定を行う(図4/STEP101)。
この初期設定では、各種基板や遊技部品(各スイッチ類やセンサ類)の接続状態の確認、CTC401dを含む内蔵レジスタやI/Oの初期化、メインRAM401bのワーク領域を書き込み許可にする等、遊技動作開始前における必要な初期設定を実行する(電源遮断前の遊技状態に復帰可能であれば、遊技復帰処理を実行する)。
次に、初期設定の処理(STEP101)が正常に終了した場合、処理状態に応じて以下に説明するSTEP102〜STEP117の処理を実行する。
まず、主制御基板400は、所定のワーク領域をクリアし、次回の遊技を開始させるために必要なワーク領域を確保するRAM初期化処理を実行する(図4/STEP102)。
次に、主制御基板400は、遊技状態フラグ生成処理を行う(図4/STEP103)。この遊技状態フラグ生成処理は、遊技状態の移行を管理制御するための処理である。すなわち、遊技状態に応じたフラグとして、遊技状態ステータス、作動中フラグ、ボーナス間フラグ、一般遊技フラグ、RB2作動中フラグなどを設定する。
次に、メダル投入処理を実行する(図4/STEP104−1)。このメダル投入処理では、メダル投入口7(クレジットからの擬似的な投入も含む)から遊技機本体に投入された遊技メダルを検出したり、投入された遊技メダルの枚数を計数したり、クレジットされた遊技メダルの精算に関する処理が行われる。このメダル投入処理においては、投入枚数が+1される毎に「メダル投入コマンド」を設定する(正確には、「メダル投入コマンド」をセットし、セットした「メダル投入コマンド」についてコマンドデータ設定処理を行う(図7参照))。
そして、このメダル投入処理において、遊技開始条件を満たしている際、遊技者により回胴回転始動レバー11が操作されたか否かが判定される(図4/STEP104−2)。具体的には、回胴回転始動スイッチ11aからの回胴回転開始信号を受信したか否かをも監視しており、回胴回転開始信号を受信しない限り、STEP105の処理には移行されない。
したがって、本実施形態の回胴式遊技機における遊技は、遊技者による遊技メダル投入により遊技開始の条件が整い、回胴回転始動レバー11を操作して回胴を回転開始させてから、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cを操作して回胴を停止させることで、各回胴の停止位置により定まる図柄の組み合せによって遊技結果が得られるまで(ここでいう遊技結果とは、有効入賞ライン3a上に入賞役が揃い、これに応じた遊技価値が付与されることを意味する)の一連の工程を1回の遊技(単位遊技:1ゲーム)として、繰り返される遊技である。
次に、主制御基板400は、内部抽選用乱数値をカウンタ回路403のカウンタ値に基づいて抽出し、抽出した内部抽選用乱数値に基づき、入賞役に関する抽選(内部抽選処理)を行う(図4/STEP105)。
内部抽選用乱数値を抽出するタイミングは、回胴回転始動レバー11が操作された際、回胴回転始動スイッチ11aからの回胴回転開始信号を主制御基板400が受信したタイミングで行われる。上記抽選用乱数は、主制御基板400のカウンタ回路403によって生成され、本実施形態に係る回胴式遊技機では、8ビットのバイナリカウンタを2個用いて16ビットのハードウェア乱数(0000H〜FFFFH(16進数)の繰り返し)を生成している。なお、上記乱数の生成は、ハードウェア乱数に限られることはなく、CPUに所定のプログラムを実行させることによって生成するソフトウェア乱数を用いてもよい。
また、内部抽選処理では、上記内部抽選用乱数値と抽選テーブル(図11参照)とに基づき、入賞役の当否を決定し、その抽選結果情報(どの入賞役に当選したのかを示す情報をいい、例えば内部当選フラグが該当する)を生成する処理である。この内部抽選処理では、抽選結果情報がメインRAM401bの所定の領域に格納される。この抽選結果情報は毎遊技ごとにクリアされるが、MB役の当選情報に限り、これらの入賞が確定するまで、その情報は次回以降の遊技に持ち越されるようになっている。
次いで、主制御基板400は、STEP105の内部抽選処理に基づき、入賞役の当選情報や遊技状態情報を含む遊技開始コマンドをセットする(図4/STEP106−1)。そして、STEP106−1でセットされた遊技開始コマンドについてコマンドデータ設定処理を行う(図4/STEP106−2)。なお、コマンドデータ設定処理の詳細については後述する(図7参照)。
次に、主制御基板400は、割込み待ち回数をBCレジスタに設定する(図4/STEP107−1)。ここで、割込み待ち回数は、例えば、0〜7の乱数値をカウンタ回路のカウンタ値に基づいて抽出し、抽出した乱数値に所定値(例えば2)を加えた値となっている。後述するように各種コマンドは、コマンド上位バイトと対を成すコマンド下位バイトに分割されて演出制御部410へ送信されるため、後述するセキュリティコマンドを送信するまでに時間間隔を設けるために所定値である2を加え、割込み待ち回数を2以上としている。
次いで、主制御基板400は、後述するセキュリティコマンドの送信タイミングを制御する指定数割込み待ち処理を行う(図4/STEP107−2)。なお、指定数割込み待ち処理の詳細については後述する(図6参照)。
次に、主制御基板400は、セキュリティコマンドをセットする(図4/STEP107−3)。そして、STEP107―3でセットされたセキュリティコマンドについてコマンドデータ設定処理を行う(図4/STEP107−4、図7参照)。
ここで、セキュリティコマンドは、STEP106−1でセットされた遊技開始コマンドが送信されてから、STEP107−1で設定された割込み待ち回数に相当する特定の時間間隔を空けて送信されるコマンドである。すなわち、コマンド自体の情報ではなく、セキュリティコマンドが送信されたタイミングが特定の時間間隔であることに意義があるコマンドである。
なお、本実施形態では、セキュリティコマンドにSTEP107−1で設定された割込み待ち回数に関する情報を付加して演出制御部410へ送信しているが、割込み待ち回数に関する情報は、セキュリティコマンドに付加する代わりに、STEP106−1でセットされる遊技開始コマンドその他のコマンドに付加して演出制御部410へ送信してもよい。
次に、主制御基板400は、停止用初期設定処理を行った後、回胴回転開始設定処理を行う(図4/STEP108)。この回胴回転開始設定処理では、各回胴5a、5b、5cの回転を開始させる回胴回転始動時の設定、具体的には、ボーナス遊技が開始してから特定の回胴演出が発生するまでに要するゲーム数(特定演出ゲーム数)や、MB開始時ウエイト時間などが設定される。そして、「回胴回転開始コマンド」を設定する(正確には、「回胴回転開始コマンド」をセットし、セットした「回胴回転開始コマンド」についてコマンドデータ設定処理を行う(図7参照))。
次に、主制御基板400は、回胴回転停止ボタン12a、12b、12cが操作された場合、各回胴回転停止ボタンに対応する回胴を停止させる回胴停止処理を実行する(図4/STEP109)。この回胴停止処理では、上記抽選結果情報と回胴回転停止ボタン12a、12b、12cの操作タイミングと操作順序に基づいて、停止制御用テーブル(以下単に「停止テーブル」という)が参照され、当選した入賞役に対応する図柄を停止させるための停止制御データ(引き込みコマ数等)が生成される。この生成されたデータに基づいて、回胴の停止制御が行われる。この回胴停止処理では、回胴回転停止ボタン12を操作したときの回胴位置に関する「停止情報受付コマンド」と、回胴の停止位置に関する「停止結果情報コマンド」とを設定する(正確には、これらのコマンドをセットし、セットしたコマンドについてコマンドデータ設定処理を行う(図7参照))。
次に、主制御基板400は入賞判定処理を実行する(図4/STEP110)。この入賞判定処理では、入賞ラインバッファを元に当り図柄フラグを作成する処理や、当選した入賞役が有効入賞ライン3a上で成立したか否かの判定をする停止図柄判定処理や、入賞確定時における遊技メダルの払い出しの枚数を設定する払出設定処理を行う。この入賞判定処理では、これら入賞に係わる情報を持つ「入賞情報コマンド(全回胴停止コマンド)」を設定する(正確には、これらの「入賞情報コマンド」をセットし、セットした「入賞情報コマンド」についてコマンドデータ設定処理を行う(図7参照))。なお、この「入賞情報コマンド」には、入賞役情報、入賞ライン情報、遊技状態情報が含まれる。
次に、主制御基板400は、上記入賞判定処理(STEP110)で設定される払い出し枚数に基づき、クレジットを加算したり、ホッパーユニット500を駆動制御して遊技メダルを払い出すなどの遊技メダル払出処理を実行する(図4/STEP111)。この遊技メダル払出処理においては「払出コマンド」が設定される(正確には、これらの「払出コマンド」をセットし、セットした「払出コマンド」についてコマンドデータ設定処理を行う(図6参照))。
次に、主制御基板400は、有効入賞ライン3a上に成立した入賞役つまり表示役が、リプレイ図柄なのか、ボーナス図柄なのかを判断し、さらにはボーナス遊技中であるか否かを判断して行く(図4/STEP112〜STEP114)。
まず、主制御基板400は、表示役がリプレイ図柄であるか否かを判定する(図4/STEP112)。表示役がリプレイ図柄である場合(図4/STEP112:YES)、STEP115の再遊技作動開始処理に進み、再遊技の作動を開始する処理を実行する(図4/STEP115)。そして、STEP115の再遊技作動開始処理を実行した後、RAM初期化処理(図4/STEP102)にリターンする。
一方、表示役がリプレイ図柄でなかった場合(図4/STEP112:NO)、次に主制御基板400は、遊技状態フラグが図9のSTEP601で「ボーナス遊技中」に設定されているか否かを判定する(図4/STEP113)。ボーナス遊技中状態である場合(図4/STEP113:YES)、主制御基板400は、ボーナス遊技を継続しまたは終了するための処理(ボーナス遊技作動中処理:STEP116)を実行した後、RAM初期化処理(図4/STEP102)に戻る。このボーナス遊技作動中処理の詳細は、図10において後述する。
一方、ボーナス遊技中でない場合(図4/STEP113:NO)、主制御基板400は、表示役がボーナス図柄(ここではミドルボーナス(以下、必要に応じて「MB」と略す)図柄)であるか否かを判定する(図4/STEP114)。表示役がボーナス(MB)図柄であった場合(図4/STEP114:YES)、ボーナス(MB)遊技の作動を開始し(ボーナス遊技作動開始処理:図4/STEP117)、その後、RAM初期化処理(図4/STEP102)に戻る。一方、表示役がボーナス図柄でない場合(図4/STEP114:NO)、何もせずに、そのままRAM初期化処理(図4/STEP102)に戻る。
(3−2.主制御側のタイマ割り込み処理:図5)
図5は、CTC401dからの一定時間ごとの割り込みで起動される主制御側のタイマ割り込み処理を示すフローチャートである。
1チップマイクロコンピュータ401が備えるCTC401dの時間定数レジスタには、本実施形態に係る回胴式遊技機では1.5msに相当する値が設定されている。前述した主制御側のメイン処理(図4参照)において、1.5msごとにタイマ割り込みが発生するようになっている。なお、このタイマ割り込み処理は、CTC401d内部からのマスク可能な割り込み(maskable interrupt)信号に基づいて実行される。
まず、主制御基板400は、タイマ割り込みが発生した場合、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理を実行する(図5/STEP201)。
次に、主制御基板400は、ポート入力処理を実行する(図5/STEP202)。このポート入力処理は、回胴式遊技機の総てに配置された各種スイッチや各種センサから入力された信号を確認して、入力された信号を管理するデータの作成を行い、作成した入力データを割り込みごとに記憶更新する処理である。
次に、主制御基板400は、各回胴5a、5b、5cの回転制御および停止制御を行うための回胴回転制御処理を実行する(図5/STEP203)。この回胴回転制御処理は、既に説明した各回胴5a、5b、5cの回転制御および停止制御に関する処理を実行するための処理であり、各回胴5a、5b、5cの現在位置を把握するために回胴位置検出センサ212a、212b、212cの検出信号のタイミングと各回胴駆動モータ211a、211b、211cに供給した上記出力相パターンの出力回数を計数する回胴励磁出力カウンタ(駆動パルスの個数)により上記現在位置が把握される。
また、この回胴回転制御処理では、各回胴の回転開始後、各回胴がそれぞれ一定の回転速度になったか否かの検出も行われている。また、本処理において、メイン処理での回胴停止状態に入った際には、停止制御パターンに基づいて停止位置を確認して、回胴を停止させるための励磁パターン信号を出力して目的とする位置に停止させる。
次に、定期更新処理を実行する(図5/STEP204)。この定期更新処理は、各種遊技動作に必要なタイマを割り込みごとに更新したり、1チップマイクロコンピュータ401に内蔵されているウォッチドッグタイマを定期的にクリアしたりする処理である。この定期更新処理が実行されない場合、例えば、遊技動作制御に異常が発生してプログラムが暴走状態となった場合、ウォッチドッグタイマがタイムアップすると、メインCPU401cが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。
なお、この定期更新処理により、後述する指定数割込み待ち処理(図6参照)における割込みカウンタが1インクリメントされる。
次に、コマンド出力処理を実行する(図5/STEP205)。このコマンド出力処理は、詳細は図8を参照して後述するが、遊技の進行に伴う処理状態に応じて、上記制御コマンドを演出制御基板420に送信する処理である。演出制御基板420は、この制御コマンドを受けて所定の演出処理を実行する。なお、主制御基板400は、演出制御基板420に対して上記制御コマンドを1バイト分出力している。1つの制御コマンドは2バイト長であるので、連続する2回のタイマ割り込みで1つの制御コマンドが送信されることになる。
次に、メダル情報出力処理を実行する(図5/STEP206)。このメダル情報出力処理は、遊技メダルが投入された旨のメダル投入信号や遊技メダルが払い出された旨のメダル払出信号等を出力する処理である。上記各信号は、外部集中端子基板310を介して、ホールコンピュータHCに送信される。ホールコンピュータHCは、上記メダル投入信号や上記メダル払出信号等に基づき、遊技島に設置されている各遊技機に投入された遊技メダルの枚数や払い出された遊技メダルの枚数を管理する。
次に、主制御基板400は、遊技機本体に配置されたLEDの発光を制御するための発光制御信号を出力するための表示出力処理を実行する(図5/STEP207)。そして、異常監視処理(図5/STEP208)を行う。
STEP201〜STEP208の処理を実行した後、退避したレジスタの内容を復帰させ(図5/STEP209)、メインCPU401cを割り込み許可状態に設定して(図5/STEP210)、タイマ割り込み処理を終了する。
次に、図6を参照して、図4/STEP107−2の指定数割込み待ち処理の詳細について説明する。
まず、主制御基板400は、割込みカウンタの値を取得する(図6/STEP301)。ここで、割込みカウンタは、1割込み毎に、そのカウンタ値を1インクリメントした値である。
次に、主制御基板400は、STEP301で取得した割込みカウンタの値と、その時点での割込みカウンタの値とを比較し(図6/STEP302)、これらの値が一致している間は(図6/STEP303:YES)、この比較を繰り返し実行する。
そして、実際に1割込みが成されて、その時点での割込みカウンタの値がSTEP301で取得した割込みカウンタの値と異なると(図6/STEP303:NO)、BCレジスタに設定されている割込み待ち回数が0となっているか否かを判定する(図6/STEP304)。
ここで、BCレジスタに設定されている割込み待ち回数は、初期値が図4/STEP107−1で設定された値となっているため0ではない。そこで、BCレジスタに設定されている割込み待ち回数が0でない場合には(図6/STEP304:≠0)、BCレジスタに設定されている割込み待ち回数を1デクリメントして(図6/STEP305)、STEP301に戻って、STEP301以下の処理を繰り返し実行する。
一方、BCレジスタに設定されている割込み待ち回数が0となった場合には(図6/STEP304:=0)、この指定数割込み待ち処理を終了する。ここで、BCレジスタに設定されている割込み待ち回数が0となる場合とは、図4/STEP107−1でBCレジスタに設定された割込み待ち回数の初期値にした割込みが繰り返し実行されたことを意味する。
(3−4.通信データ設定処理:図7)
次に、図7を参照して、図4のSTEP106−2、STEP107−4等の通信データ設定処理について説明する。通信データ設定処理は、送信するコマンドを割り当てられたコマンドバッファに書き込む処理である。コマンドバッファは、32バイトの容量が割り当てられており、最大16個のコマンドデータが書き込み可能となっている。
まず、主制御基板400は、割込み禁止状態に設定する(図7/STEP401)。
次に、主制御基板400は、コマンドバッファに空き領域があるか判定する(図7/STEP402)。
そして、空きがある場合には(図7/STEP402:YES)、コマンド未送信カウンタを2インクリメントする(図7/STEP403)。
次に、主制御基板400は、遊技状態に関する情報等をコマンド上位バイトにセットし(図7/STEP404)、メインRAM401bの作業領域においてライトポインタを1インクリメントした上で(図7/STEP405)、そのライトポインタが指示する領域にコマンド上位バイトを格納する(図7/STEP406)。
さらに、主制御基板400は、メインRAM401bの作業領域においてライトポインタを1インクリメントした上で(図7/STEP407)、コマンド上位バイトと対を成すコマンド下位バイトを、そのライトポインタが指示する領域に格納する(図7/STEP408)。
最後に、主制御基板400は、STEP401で設定した割込み禁止状態を解除して(図7/STEP409)、この通信データ設定処理を終了する。なお、STEP402で、コマンドバッファに空き領域がない場合にも(図7/STEP402:NO)、STEP401で設定した割込み禁止状態を解除して(図7/STEP409)、この通信データ設定処理を終了する。
(3−5.コマンド出力処理:図8)
次に、図8を参照して、図5のSTEP205のコマンド出力処理について説明する。コマンド出力処理は、メインRAM401bの作業領域に格納されたコマンドを読み出して、演出制御基板420に出力する。
まず、主制御基板400は、図7/STEP403で設定されたコマンド未送信カウンタが0であるか否か判定する(図8/STEP501)。
そして、コマンド未送信カウンタが0でない場合には(図8/STEP501:≠0)、リードポインタが指示する領域のコマンドデータを取得し(図8/STEP502)、そのコマンドデータを出力すると共にストローブ出力する(図8/STEP503、STEP504)。
次に、リードポインタが指示する領域のコマンドデータをクリアして(図8/STEP505)、リードポインタを1インクリメントし(図8/STEP506)、コマンド未送信カウンタを1デクリメントして(図8/STEP507)、このコマンド出力処理を終了する。なお、STEP501で、コマンド未送信カウンタが0の場合にも(図8STEP501:=0)、この通信データ設定処理を終了する。
(3−6.ボーナス遊技作動開始処理:図9)
次に、図9を参照して、図4/STEP117のボーナス遊技作動開始処理の詳細について説明する。
ボーナス遊技作動開始処理においては、まずボーナス遊技作動時の各種設定として、ボーナス遊技中獲得枚数およびボーナスフラグをゼロに設定するとともに、遊技状態フラグを「ボーナス遊技中」に設定する(図9/STEP601)。
次に、ボーナス(MB:ミドルボーナス)遊技が終了する際のウエイト時間(エンディング時間)として、6秒と20秒のうちのいずれかを抽選により決定し(図9/STEP602)、その抽選結果の情報を所定のRAM領域に記憶する(図9/STEP603)。そして、「MB終了時のウエイト時間コマンド」をセットし、演出制御部410へ同コマンドを送信する(図9/STEP604)。
上記6秒はボーナス遊技が終了した後に通常遊技状態に状態移行することが確定している場合のエンディング時間であり、また20秒はAT遊技状態に状態移行することが確定している場合のエンディング時間である。エンディング時間はこの二種類であるため、ボーナス遊技のエンディング時間が6秒を超える場合は、AT遊技状態に状態移行することが確定する。遊技者は、このエンディング時間の長短を判断の指標として、つまりエンディング時間が6秒を超える長さであるか否かを知ることにより、AT遊技状態に状態移行するか否かを予知することが可能となる。
次いで、「MB開始時ウエイト開始コマンド」をセットするとともに(図9/STEP605)、所定の開始時ウエイト時間(オープニング時間)をセットして(図9/STEP606)、当該オープニング時間が終了するのを待つ(図9/STEP607)。そして、当該オープニング時間が終了したならば「MB開始時ウエイト終了コマンド」をセットして(図9/STEP608)、ボーナス遊技作動開始処理を終了する。
(3−7.ボーナス遊技作動中処理:図10)
次に、図4/STEP116のボーナス遊技作動中処理の詳細について説明する。
このボーナス遊技作動中処理においては、ボーナス遊技中に獲得した遊技メダルの枚数を、あらかじめ設定され許容されている最大獲得枚数と比較する(図10/STEP611)。ボーナス遊技中獲得枚数が最大獲得枚数に達していない間は(図10/STEP612:NO)、ボーナス遊技継続中の各種設定処理を行った後(図10/STEP613)、このボーナス遊技作動中処理を抜ける。
一方、ボーナス遊技中獲得枚数が最大獲得枚数以上に至った場合は(図10/STEP612:YES)、ボーナス遊技作動中の演出用の待ち時間を処理するため、既にSTEP302〜S303で抽選されて記憶されている「MB終了時のウエイト時間(エンディング時間)」について、その抽選結果情報(6秒または20秒)を読み込む(図10/STEP614)。そして、「MB終了時ウエイト開始コマンド」をセットし、演出制御部410に対して送信する(図10/STEP615)。
また、読み込んだ「MB終了時ウエイト時間(エンディング時間)」(6秒または20秒)をセットして(図10/STEP616)、当該エンディング時間が終了するのを待ち(図10/STEP617)、当該エンディング時間が終了したならばボーナス遊技終了時の各種設定を行う(図10/STEP618)。
そして、「MB終了時ウエイト終了コマンド」をセットし(図10/STEP619)、演出制御部410に対して同コマンドを送信する。また、自動精算処理および打ち止め処理を行って(STEP620〜STEP621)、ボーナス遊技作動開始処理を終了する。
<4.演出制御部の制御:図12〜図17>
次に、演出制御部410が実行する演出制御側の処理内容について説明する。
(4−1.演出制御側のメイン処理:図12)
図12は、演出制御プログラムに従い演出制御部410が実行する演出制御側のメイン処理を示すフローチャートである。なお、演出制御部410の制御主体は、正確には演出制御基板420の演出制御CPUや液晶制御基板460のCPUなどを含んだものであるが、説明の便宜上、処理を実行する主体を演出制御部410として説明する。またCPU、RAMなどは、演出制御基板420のサブCPU421c、サブRAM421bなどで代表させる。
まず、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、電源基板440によって各制御基板に電源が投入された旨の電源投入信号が送信される。そして、電源投入信号を受信した演出制御部410は、図12に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、まず、演出制御部410は、電源投入が行われてから初めての処理として、遊技動作開始前における必要な初期設定を実行する(図12/STEP701)。
次に、正常動作時の処理として演出用乱数更新処理を実行する(図12/STEP702)。この演出用乱数更新処理では、主として、演出内容を選択するために利用される演出抽選用の乱数値を定期的に更新している。
次に、コマンド受信割り込み、タイマ割り込み、外部INT等を許可する割り込み許可状態に設定し(図12/STEP703)、その後、割り込み禁止状態に設定する(図12/STEP704)。そして、ウォッチドッグタイマをクリアして(図12/STEP705)、電断が発生しない限り、STEP702からSTEP705の処理を繰り返し実行する。
(4−2.コマンド受信処理:図13)
次に、図13を参照して、演出制御部410が実行する演出制御側のメイン処理において、主制御基板400からのコマンドを受信した場合に実行されるコマンド受信処理について説明する。このコマンド受信処理は、主制御基板400からコマンドを受信した場合、優先的に実行される処理である。
まず、演出制御部410は、主制御基板400からのコマンドを受信した場合、ストローブがONであるか否かを判定し(図13/STEP801)、ストローブがONである場合には(図13/STEP801:ON)、I/Oポート回路422からコマンドデータを取得する(図13/STEP802)。
次に、演出制御部410は、STEP802で取得したコマンドデータがコマンド上位バイトか否かを判定する(図13/STEP803)。
そして、STEP802で取得したコマンドデータがコマンド上位バイトである場合には(図13/STEP803:YES)、そのコマンド上位バイトを上位バイト受信バッファにセットし(図13/STEP804)、STEP801にリターンする。
一方、STEP802で取得したコマンドデータがコマンド上位バイトでない場合には(図13/STEP803:NO)、上位バイト受信バッファにコマンド上位バイトがセットされているか否かを判定する(図13/STEP805)。
そして、演出制御部410は、上位バイト受信バッファにコマンド上位バイトがセットされている場合には(図13/STEP805:≠0)、I/Oポート回路422とサブCPU421cとの間のI/F回路(図示省略)の入力バッファ回路にコマンドデータを保存する(図13/STEP806)。すなわち、当該入力バッファ回路のライトポインタが示す領域に、コマンド上位バイトおよびコマンド下位バイトを保存する。
次いで、演出制御部410は、ライトポイントを更新して(図13/STEP807)、後述するセキュリティチェックを実行して(図13/STEP808)、リターンする。
一方、STEP801でストローブがOFFである場合(図13/STEP801:OFF)、およびSTEP805で上位バイト受信バッファにコマンド上位バイトがセットされていない場合(図13/STEP805:=0)にも、その後の処理を行わずにリターンする。
以上が、コマンド受信処理の詳細である。
(4−3.コマンド受信時間監視処理:図14)
次に、図14を参照して、演出制御部410が実行するコマンド受信時間監視処理について説明する。このコマンド受信時間監視処理は、主制御側のタイマ割込み処理(図5参照)と同じく1.5ms毎にタイマ割り込みが発生するようになっている。
コマンド受信時間監視処理おいて、演出制御部410は、受信カウントフラグがセットされているか否かを判定する(図14/STEP811)。
そして、受信カウントフラグがセットされている場合には(図14/STEP811:ON)、受信カウントを1インクリメントし(図14/STEP812)、リターンする。
一方、受信カウントフラグがセットされていない場合には(図14/STEP811:OFF)、そのままリターンする。
以上が、コマンド受信時間監視処理の詳細であり、この処理により受信カウントフラグがセットされている間の時間を受信カウントにより計時することができる。
(4−4.セキュリティチェック:図15)
次に、図15を参照して、図13/STEP808のセキュリティチェックの詳細について説明する。このセキュリティチェックでは、遊技開始コマンドを受信してからセキュリティコマンドを受信するまでの時間間隔が特定の時間間隔となっているか否か(正確には、セキュリティコマンドに付加された割込み待ち回数に関する情報と整合するか否か)を判定する処理である。
まず、演出制御部410は、受信したコマンドが遊技開始コマンドであるか否かを判定する(図15/STEP821)。
そして、受信したコマンドが遊技開始コマンドの場合には(図15/STEP821:YES)、受信カウントフラグをセットする(図15/STEP822)。
一方、受信したコマンドが遊技開始コマンドでない場合には(図15/STEP821:NO)、STEP822の処理を行うことなく、次のSTEP823以下の処理を実行する。
次に、演出制御部410は、受信したコマンドがセキュリティコマンドであるか否かを判定する(図15/STEP823)。
そして、受信したコマンドがセキュリティコマンドでない場合には(図15/STEP823:NO)、STEP824以下の処理を実行することなくリターンする。これにより、遊技開始コマンドを受信してからセキュリティコマンドを受信するまでの時間間隔が、図14のコマンド受信時間監視処理により計時される。
一方、受信したコマンドがセキュリティコマンドである場合には(図15/STEP823:YES)、受信カウントフラグをクリアする(図15/STEP824)。
次いで、演出制御部410は、受信タイマの整合性を判定する(図15/STEP825)。この処理では、図14のコマンド受信時間管理処理によりカウントされている受信カウントと、セキュリティコマンドに含まれる割込み待ち回数(図4/STEP107−1参照)とが整合するか否かを判定する。
次に、演出制御部410は、受信カウンタをクリアして(図15/STEP826)、STEP825の判定結果が整合していない場合には(図15/STEP827:NO)、コマンド異常フラグをセットして(図15/STEP828)、リターンする。
一方、STEP825の判定結果が整合している場合には(図15/STEP827:YES)、コマンド異常フラグをセットすることなく、リターンする。
以上がセキュリティチェックである。このセキュリティチェックにより、遊技開始コマンドを受信してからセキュリティコマンドを受信するまでの時間間隔が図4/STEP107−1により設定された割込み待ち回数に対応した時間と整合するか否かが判定され、整合しない場合に異常を示すコマンド受信異常フラグがセットされる。
(4−5.受信コマンド対応処理:図16)
次に、図16を参照して、演出制御側のメイン処理に対して、2ms程度ごとに実行される受信コマンド対応処理について説明する。
まず、演出制御部410は、受信コマンドの有無を判定し(図16/STEP901)、受信コマンドがない場合には(図16/STEP901:NO)、STEP902以下の処理を実行することなくリターンする。
一方、受信コマンドがある場合には(図16/STEP901:YES)、受信したコマンドの整合性を判定した上で(図16/STEP902)、整合している場合には(図16/STEP903:YES)、そのコマンドに応じた処理を実行する(図16/STEP904)。
ここで実行されるコマンドに応じた処理は、図13のコマンド受処理で優先的に常に新しいものに更新されたコマンドが処理されることになる。このコマンドの中には、遊技開始コマンド、回胴回転開始コマンド、停止コマンド、全回胴停止コマンド(入賞情報コマンド)の他に、ボーナス遊技の開始時に送信されるMB終了時のウエイト時間コマンドなども含まれる。
一方、受信したコマンドが整合していない場合には(図16/STEP903:NO)、STEP904のコマンドに応じた処理を実行することなくリターンする。
以上が受信コマンド対応処理の詳細である。
(4−6.遊技開始コマンド処理:図17)
次に、図17を参照して遊技開始コマンド処理について説明する。この遊技開始コマンド処理は、図16/STEP904のコマンドに応じた処理の一つであり、受信したコマンドが、図4/STEP106−1の内部抽選処理で送信される遊技開始コマンドであった場合に実施される処理である。
まず、演出制御部410は、図15/STEP828のコマンド受信異常フラグがセットされているか否かを判定する(図17/STEP911)。
そして、コマンド受信異常フラグがセットされていない場合には(図17/STEP911:OFF)、遊技状態および成立役に応じたAT抽選を実行する(図17/STEP912)。
一方、コマンド受信異常フラグがセットされている場合には(図17/STEP911:ON)、STEP912のAT抽選を実行することなく、STEP913以下の処理を実行する。
次に、演出制御部410は、遊技状態および成立役に応じた演出抽選を実行し(図17/STEP913)、抽選結果をセットして(図17/STEP914)、この処理を終了する。
以上が遊技開始コマンド処理の詳細である。この遊技開始コマンド処理によれば、主制御基板400と演出制御部410との間に不正基板等が装着され、演出制御部410に不正なコマンドが送信された場合にも、その受信タイミングの正当性を判定することができ、AT抽選が実行される不正を効果的に防止することができる。
なお、本実施形態では、主制御基板400から演出制御部410へ送信される遊技開始コマンドとセキュリティコマンドとの間の時間間隔を特定の時間間隔とする場合について説明したが、制御コマンドは遊技開始コマンドに限定されるものではなく他の制御コマンドであってもよい。
また、本実施形態では、遊技開始コマンドおよびセキュリティコマンドをメインRAM401bの作業領域に入力するタイミングを制御することにより、遊技開始コマンドとセキュリティコマンドとを特定の時間間隔を介して演出制御部410へ送信する構成について説明したが、送信タイミングの制御はこれに限定されるものではない。例えば、メインRAM401bの作業領域で、割込み待ち回数(図4/STEP107−1)に対応したタイマ等を設けて送信タイミングを制御するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、遊技開始コマンドのコマンド下位バイトからセキュリティコマンドのコマンド上位バイトまでの間を割込み待ち回数(図4/STEP107−1)により特定の時間間隔とする場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、割込み待ち回数(図4/STEP107−1)により特定の時間間隔を、遊技開始コマンドのコマンド上位バイトからセキュリティコマンドのコマンド上位バイトまでの間としてもよく、遊技開始コマンドのコマンド上位バイトからセキュリティコマンドのコマンド下位バイトまでの間としてもよく、遊技開始コマンドのコマンド下位バイトからセキュリティコマンドのコマンド下位バイトまでの間としてもよい。
これに加えてまたは代えて、別の割込み回数を設定して、遊技開始コマンドのコマンド上位バイトおよびコマンド下位バイトと、セキュリティコマンドのコマンド上位バイトおよびコマンド下位バイトとの4つの送信コマンドの間の任意の2つの組み合わせの時間間隔で、コマンドの正当性を判定するようにしてもよい。
また、本実施形態において、図15/STEP828でセットしたコマンド異常フラグは、当該ゲーム終了時にクリアしてもよく、複数のゲームに亘ってセット状態を維持し、所定の条件を満たした場合にクリアするようにしてもよい。