JP4868806B2 - X線装置 - Google Patents

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本発明は、X線を発生させるX線管を備えたX線装置に関する。より詳しくは、X線装置のX線管のメンテナンスを好適に実施するための技術に関連するものである。
従来から、たとえばX線診断装置やX線CT装置等やX線透視検査装置など、X線を発生させるX線管と、そのX線を検出するX線検出器とを具備したX線装置が各種の分野において使用されている。
X線診断装置は、X線管とX線検出器とを互いに対峙するように配置させ、X線管により発生されたX線を被検体に照射し、被検体を透過したX線をX線検出器によって検出することにより、被検体の内部形態を画像化する装置である。また、X線CT装置は、互いに対峙して配置されたX線管とX線検出器とを被検体の周囲において回転させつつ透過X線を検出し、その検出結果に基づいて被検体の内部形態を表す断層画像を形成する装置である。また、X線透視検査装置は、X線管とX線検出器とを対峙して配置させ、その間を通過する電子部品等の工業製品などの非破壊検査に供される装置である。
X線管は、高電圧が印可されるフィラメント(陰極)とターゲット(陽極)とを備えており、フィラメントから放出された熱電子をターゲットに衝突させることによってX線を発生させるものである。
X線装置を実際に運用する場合、X線管に対して各種のメンテナンスを施してやる必要がある。たとえば、X線管を初めて使用するときや、長い不使用期間の後に使用を再開するときには、高い管電圧を急に印可させずに管電圧を徐々に高くしていくことにより、焦点軌道面の突起等の異物を融解して焦点軌道面をならして耐高電圧特性を向上させる「エージング」と呼ばれる処置が実施される(たとえば特許文献1参照)。なお、エージングは「スクリーニング」などと呼ばれることもある。
また、X線管の動作が不安定なときや、長期使用などによって放電現象が発生したときには、上記のエージングや、ゲッター活性化と呼ばれる処置が実施される。「ゲッター活性化」とは、真空封止されたX線管の内部領域の放出ガスを吸着するゲッター(ガス吸着物質)を加熱(ベーキング)してガス吸着能力を活性化させて、X線管内を十分に低圧な略真空状態に保持するための処置である(たとえば特許文献2参照)。
更に、フィラメントの経年劣化などにより、X線管に印可される管電流の値が設定値からずれた場合には、管電流を調整してやる必要がある。特に、実際の管電流の値が設定値を超えたまま使用を継続するとX線管が破損したり寿命が短くなったりするおそれがあるため、管電流の調整は重要な処置である。
さて、特許文献3には、X線装置が所定時間以上不使用状態とされた後に使用が再開された場合にエージングの実施をユーザに促す警報を発生させる発明が開示されている。この発明は、装置の電源オフに対応してタイマのカウントアップを開始し、そのタイマが所定時間以上カウントした後に電源がオンされた場合に警報音や警報光を発生するように構成されている。
特開平6−168667号公報 特開2003−141985号公報 特開平11−260590号公報
従来、上記のようなメンテナンスの作業は、専門のサービスエンジニアが、X線装置の運用場所(病院、工場等)を訪問し、装置のログ等を基にメンテナンスの要否や種類を決定して実施するのが一般的であった。なお、メンテナンスを実施するときの各種条件(たとえばエージングにおける管電圧等の曝射条件など)は、装置のマニュアル等に記載されており、それを参照してユーザがメンテナンスを実施することも可能である。しかし、そのような作業を自ら行うユーザは少数であるのが現状である。
また、X線管の動作が不安定になった場合などユーザがメンテナンスの必要性を認識した場合には、ユーザはサービスエンジニアの来訪を手配する必要があった。しかし、ユーザからの手配を受けても、サービスエンジニアが直ぐに来訪できない場合も想定される。その場合、ユーザは装置を使用したいにも拘わらず使用できない事態が発生してしまう。一方、サービスエンジニアにとっても、そのような事態は好ましいものではない。更に、サービスエンジニアがサービス提供のスケジュールを容易に管理できないという問題もあった。
また、特許文献3に記載の発明によれば、エージングを実施すべきタイミングをユーザに知らせることができ、ユーザ自身がエージングの実施の有無を判断できるというメリットはあるが、一方、長期に亘る不使用期間中に、停電の発生や電源の不具合などの原因によりタイマの計時が停止したりリセットされたりする事態が生じると、適正なタイミングで警報を出力できなくなるおそれがある。
また、従来のX線装置では、X線管の動作が不安定なときや放電現象が発生したときに、エージングやゲッター活性化の処置を迅速に実施することができず、更に、管電流値が設定値からずれたときの管電流調整処置についても迅速に実施することができなかった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、X線管のメンテナンスの必要性の判断や、実施すべきメンテナンスの種類の決定を自動的に行うことにより、好適なタイミングで的確なメンテナンスを実施でき、X線管の品質保持や長寿命化を図ることが可能なX線装置を提供することを主たる目的とするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、X線を発生するX線管を有するX線装置であって、表示手段と、前記X線管に放電が発生したことを検出する放電検出手段と、前記放電検出手段により放電が検出された回数をカウントする放電回数カウント手段と、前記X線管のメンテナンスを実施したタイミングを記憶する記憶手段と、前記記憶されたタイミングに基づいて、前回のメンテナンスの実施からの経過時間を算出する算出手段と、前記カウントされた放電の検出回数が所定範囲内であり、かつ、前記算出手段により算出された経過時間が所定時間以下である場合に、前記X線管のエージングを実施するか否かユーザに判断させる情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載のX線装置であって、前記制御手段は、前記算出された経過時間が前記所定時間を超える場合に、前記X線管のゲッター活性化を実施するか否かユーザに判断させる情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載のX線装置であって、前記カウントされた放電の検出回数が前記所定範囲を超える場合に、ネットワークを介して通信可能に接続されたメンテナンスサービス提供側の通信装置に報知情報を送信する報知手段を更に備えることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載のX線装置であって、前記表示手段に表示された前記エージングを実施するか否か判断させる情報に基づいてエージングの実施を要求するための要求操作手段と、前記要求に対応して前記X線管のエージングを実施させるエージング手段と、を更に備えることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載のX線装置であって、前記表示手段に表示された前記ゲッター活性化を実施するか否か判断させる情報に基づいてゲッター活性化の実施を要求するための要求操作手段と、前記要求に対応して前記X線管のゲッター活性化を実施させるゲッター活性化手段と、を更に備えることを特徴とする。
請求項に記載のX線装置は、X線管に放電が発生したことを検出してその検出回数をカウントするとともに、カウントされた検出回数が所定範囲内である場合に、X線管のエージングを実施するか否かユーザに判断させる情報を表示するように構成されている。ユーザは、表示された情報を参照してエージングの実施を要求することができる。したがって、放電の発生回数に応じて、的確なメンテナンス(エージング)を好適なタイミングで実施でき、X線管の品質保持や長寿命化を図ることが可能となる。
本発明に係るX線装置の好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、本発明に係るX線装置の一具体例として、被検体の内部形態を画像化するX線診断装置を取り上げて説明する。なお、X線管を具備する他のX線装置についても同様に構成することが可能である。
本実施形態に係るX線装置は、X線管のメンテナンス(エージング、ゲッター活性化、管電流調整)を実施すべきタイミングが到来したかどうかを自動的に判断し、実施タイミングが到来したと判断したときに、メンテナンスを実施するか否かをユーザに判断させるための情報を呈示する。そして、この呈示された情報に基づくユーザからの要求を受けて、メンテナンスを実施するものである。以下、このように動作するX線装置について詳しく説明する。
[全体構成]
まず、本実施形態に係るX線装置(X線診断装置)の構成の一例を説明する。図1は、このX線診断装置の全体構成の概略を表している。また、図2は、このX線診断装置の内部構成を表している。これらの図に示すX線診断装置は、X線を発生するX線管1と、X線を検出するX線検出部2とを具備している。X線管1とX線検出部2とは、略C字形状のアーム3の一端及び他端に、互いに対峙するようにして配設されている。
X線管1とX線検出部2は、検査時に、被検体Pを挟むようにして配置される。それにより、X線管1から発生されたX線は被検体Pに向けて照射され、被検体Pを透過したX線はX線検出部2によって検出されることとなる。
X線管1は、前述のように、高電圧が印可されるフィラメントとターゲットとを備えており、フィラメントから放出された熱電子をターゲットに衝突させることによってX線を発生させる。
このX線管1は、放出ガスを吸着するゲッターを有するものであってもよいし、有さないものであってもよいが、本実施形態では前者として説明する。なお、後者の場合については、[変形例]にて説明することにする。
X線管1のフィラメントからターゲットに向かう熱電子の流れは管電流と呼ばれる。管電流値はフィラメントの温度に応じて変化し、また、フィラメントの温度はフィラメントに通電させる電流(フィラメント電流)の値に応じて変化する。したがって、管電流値の制御は、フィラメント電流の値を制御することによって行う。管電流値を変化させることにより、X線画像の明るさを調整することができる。
また、X線管1のフィラメントとターゲットとの間の電位差は管電圧と呼ばれる。この管電圧値の制御は、単相全波整流式、三相全波整流式、インバータ方式、コンデンサ方式等の一次側制御法や、テトロード方式等の二次側制御法などの公知の手法を用いて行う。この管電圧を変化させることにより、発生するX線の透過力を調整することができる。
管電流電圧検出部20は、X線管1の実際の管電流値を測定する回路と、管電圧値を測定する回路とを含んでいる。管電流値の測定信号及び管電圧値の測定信号は、X線制御部8aを経由して主制御部12のメインCPU50に送られる。
X線検出部2は、たとえばイメージインテンシファイア(Image Intensifier;I.I.と略称されることがある。)と光学系とを含んだ従来の構成を有する。イメージインテンシファイアは、被検体Pを透過したX線情報を光学情報に変換する。また、X線検出部2の光学系は、イメージインテンシファイアから出力される光学情報を撮像素子にて撮影し、映像信号に変換して出力する。
なお、イメージインテンシファイアに代えて、X線平面検出器等の検出機器を用いることも可能である。このX線平面検出器は、被検体Pを透過したX線を光電膜に当てて電子正孔を生成し、それを半導体スイッチにて蓄積して電気信号として読み出すことによりX線情報を検出するデバイスである。
X線制御部8及び高電圧発生部9は、本発明の「通電手段」の一例に相当し、X線条件に基づく管電流及び管電圧をX線管1に印可してX線を発生させるための構成を具備している。高電圧発生部9は、X線放射に必要な高電圧を発生してX線管1に印可する。また、X線制御部8は、高電圧発生部9を制御して、X線管1に印可される電圧値や電流値を調整する。それにより、X線管1のフィラメント電流値が適宜変更され、結果として管電流値が変更される。なお、X線制御部8の動作は、主制御部12のメインCPU50によって制御される。
また、X線制御部8は、数値設定部8aを備えている。この数値設定部8aは、メンテナンスの実施の有無の判断や、どの種類のメンテナンスを実施するかを判断するための数値(閾値や範囲)を設定するために用いられる。数値設定部8aは、数値設定用のボタン、スイッチ、コントロールパネル、タッチパネルなど、任意のユーザインターフェイスを用いて構成されている。
この数値設定部8aにより設定される数値としては、前回の電源オフから今回の電源オンまでの経過時間(つまり装置不使用時間)の閾値T1、前回のメンテナンスからの経過時間(メンテナンス間隔)の閾値T2、X線管1の放電の検出回数の閾値N1、X線画像の撮影枚数(X線画像撮影におけるX線管1のX線発生回数)の閾値N2、管電流の設定値に対する実測値の誤差の閾値Δなどがある。
本実施形態では、装置不使用時間の閾値T1=186時間に設定され、メンテナンス間隔の閾値T2=31日に設定され、放電検出回数の閾値N1=4回に設定され、撮影枚数(X線発生回数)の閾値N2=10000枚(回)に設定され、管電流誤差の閾値Δ=(|実測値−設定値|/設定値)=0.2=20%に設定されているものとする。
なお、これらの数値は、デフォルト設定されていてもよいし、このデフォルト設定を数値設定部8aにて変更したものであってもよいし、あるいは、数値設定部8aにて装置運用開始後に設定したものであってもよい。
なお、本実施形態では、上記の各種数値を設定入力する数値設定部をX線制御部8に設けているが、この数値設定部を他の部分に配設することも可能である。たとえば、数値設定用の画面を後述のディスプレイ10に表示させるとともに、後述の操作部11を操作して当該画面にて数値設定を行うように構成することが可能である。
アーム3は、支柱5の側面に設けられた保持部4によって保持されている。また、アーム3は、その背面又は側面にレールを備えている。図2に示すアーム駆動機構31は、アーム3をこのレールに沿って移動させる。また、アーム3は、保持部4によって回動可能に保持されている。アーム駆動機構31は、保持部4を軸にアーム3を回動させて、X線管1とX線検出部2とを一体的に回転させるように動作する。また、アーム駆動機構31は、保持部4に対してアーム3を傾斜させるようにも動作する。
位置センサ32は、アーム3の位置や回転角度や傾斜角度を検出するものであり、たとえば光学式検出器、機械式検出器、磁気式検出器、刷子式検出器、光電式検出器などによって構成されている。この位置センサ32による検出結果は、検出信号として機構制御部7を経由して主制御部50のメインCPU50に送られる。
寝台6は、従来と同様に、被検体Pが載置される天板と、この天板を支持する脚部とを含んで構成される。寝台6の天板は、脚部内に格納された寝台駆動機構61によって垂直方向及び水平方向に移動される。また、寝台駆動機構61は、天板を傾斜させることもできる。
アーム駆動機構31によるアーム3の駆動動作や、寝台駆動機構61による寝台6の天板の駆動動作は、機構制御部7によって制御される。また、この機構制御部7の動作は、主制御部12のメインCPU50により制御される。
本発明に係るX線診断装置は、主制御部12として機能するコンピュータを含んで構成されている。主制御部12のメインCPU50は、X線診断装置の全体制御を実行する。このとき、メインCPU50は、制御プログラムや各種データをRAM等の主記憶装置51に展開することで、X線診断装置の各種制御を行う。
撮影プロトコル記憶媒体52は、各種の撮影術式(撮影部位や検査内容等)に応じた撮影プロトコルをあらかじめ記憶させておくための記憶媒体である。なお、撮影プロトコルとは、撮影術式に応じて事前に設定された管電流値、管電圧値、撮影時間等の設定値と画像処理プログラムとを含むデータである。
位置記憶媒体53は、位置センサ32により検出されたアーム3の位置や回転角度や傾斜角度の情報が記憶される記憶媒体である。また、寝台6の天板の位置や傾斜角度を検出可能な構成を採用する場合(位置センサを具備する場合)には、その検出結果についても位置記憶媒体53に記憶される。
エラーログ記憶媒体54は、X線診断装置の動作や制御処理などにエラー(異常)が発生したときに、メインCPU50がそのエラーの記録(エラーログ)を記憶させるための記憶媒体である。記録されたエラーログは、サービスエンジニア等によって解析され、メンテナンスなどに利用される。
これら撮影プロトコル記憶媒体52、位置記憶媒体53、エラーログ記憶媒体54は、それぞれ、ハードディスクドライブ、PROM、DRAM、SRAM、SDRAM、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体記憶装置などの任意の記憶媒体によって構成される。
なお、主制御部12(特にメインCPU50)の詳細な内部構成については、図3を参照して後述するものとする。
ディスプレイ10には、X線診断装置の各種動作の要求の入力や、各種設定値等の入力を行うための画面などが表示される。この表示制御は、メインCPU50によって行われる。
操作部11は、キーボード、マウス、タッチパネル、コントロールパネル、トラックボールなどの任意の操作デバイスにより構成されている。
ユーザは、ディスプレイ10に表示された画面にしたがって操作部11を操作することにより、管電流値、管電圧値、撮影時間や透視時間(X線曝射時間)等の撮影条件や透視条件の設定入力、電源のオン/オフの切り換え、後述のメンテナンス実施の有無の選択入力などを行う。
ここで、撮影条件や透視条件の設定入力操作については、撮影プロトコル記憶媒体52に記憶された各種の撮影プロトコルのうちから所望のものを選択指定することによって行うことも可能である。
図1や図2に示す構成では、ディスプレイ10と操作部11とが別々に設けられているが、たとえばタッチパネルや、ディスプレイ付属のコントロールパネル等を用いることにより、それらを一体的に構成することが可能である。
画像信号処理部13は、たとえば主制御部12とは別のコンピュータによって構成され、X線検出部2による検出結果(映像信号)に基づいてX線画像データを生成する処理を行う。この画像生成処理は、たとえば、キャリブレーション等の処理を行って、マスク像、コントラスト像、サブトラクション像などの画像データを生成するものである。なお、コンピュータの処理能力が十分である場合などには、主制御部12を構成するコンピュータと画像信号処理部13を構成するコンピュータとを一体にしてもよい。
ディスプレイ14には、画像信号制御部13により生成されたX線画像データに基づく画像が表示される。
画像記憶媒体15は、画像信号制御部13により生成されたX線データを記憶するためのものである。この画像記憶媒体15は、前述の撮影プロトコル記憶媒体52等と同様に任意の記憶媒体により構成されている。
輝度制御部16は、X線検出部2による検出結果に基づいて、X線撮影画像又は透視画像中の所定の基準領域における平均輝度が適切な輝度値となるように、撮影条件や透視条件を再設定してX線制御部8にフィードバックする。
露光タイマ制御部17は、X線検出部2による検出結果に基づいて、X線を遮断するホトタイマ等の露光タイマ(X線制御部8に設けられている。)を制御する。それにより、撮影時間(X線曝射時間)が自動制御されてフィルム濃度が一定に維持される。
なお、輝度制御部16と露光タイマ制御部17は、たとえば、画像信号制御部13を構成するコンピュータに設けられている。
通信インターフェイス(I/F)40は、LANカードやモデム等の通信機器を含んで構成され、LANやインターネット等のネットワークNを介してデータ通信を行う。この通信インターフェイス40は、主制御部12や画像信号制御部13を構成するコンピュータの内部に設けられていてもよいし、それらの外部に設けられていてもよい。
ネットワークNには、メンテナンスサービス提供側の通信装置1000が接続されている。この通信装置1000は、たとえば、メンテナンスサービス提供会社のサーバやコンピュータ端末、又は、サービスエンジニアの携帯電話や通信機能付きのPDA若しくはノートパソコンなどからなる。
[機能的構成]
図3〜図6は、本実施形態に係るX線診断装置の機能的構成を表す機能ブロック図である。図3は機能的構成の概要を表しており、図4〜図6は機能的構成の詳細を表している。これらの図には、X線管1のメンテナンス処理(エージング、ゲッター活性化、管電流調整)を実施するための構成が記載されており、このメンテナンス処理の説明に不用な構成部分については図示を省略している。
[機能的構成の概要]
まず、図3を参照し、本実施形態に係るX線診断装置の機能的構成の概要を説明する。このX線診断装置には、メンテナンス制御部70、表示部71、設定値記憶部72、計時部73、第1メンテナンス処理部100、第2メンテナンス処理部200及び第3メンテナンス処理部300が設けられている。
ここで、第1〜第3メンテナンス処理部100〜300は、それぞれ個別のコンピュータプログラムに基づいて動作するものであってもよいし、単一のコンピュータプログラムに基づいて動作するものであってもよい。
以下、メンテナンス制御部70、表示部71、設定値記憶部72及び計時部73についてそれぞれ説明するとともに、第1メンテナンス処理部100、第2メンテナンス処理部200及び第3メンテナンス処理部300については、それぞれ図4、図5及び図6を参照して詳細に説明する。
〔メンテナンス制御部〕
メンテナンス制御部70は、図2に示すメインCPU50を含んで構成される。このメンテナンス制御部70は、主制御部12内のハードディスクドライブ等にあらかじめ記憶された制御プログラムにしたがって、本実施形態に係るメンテナンス処理の制御を行う。
具体的には、メンテナンス制御部70は、たとえば次のような動作を行う:(1)第1〜第3メンテナンス処理部100〜300の切り換えて動作させる;(2)表示部71の表示画面を制御する;(3)設定値記憶部72に記憶されたデータを読み出し、その読み出したデータを第1〜第3メンテナンス処理部100〜300へ送信する;(4)計時部73を参照して計時情報(後述)を取得し、第1〜第3メンテナンス処理部100〜300へ送信する;(5)第1〜第3メンテナンス処理部100〜300によって処理されたデータを取得する。なお、メンテナンス制御部70が実行する他の処理については、以下において随時説明する。
〔表示部〕
表示部71は、本発明の「表示手段」の一例に相当する。この表示手段71は、たとえばディスプレイ10(図1、2参照)によって構成されている。
〔設定値記憶部〕
設定値記憶部72は、数値設定部8a(図2参照)にて設定入力された各種の設定値情報が記憶される。この設定値記憶部72は、たとえば主制御部12を構成するコンピュータのハードディスクドライブ等の任意の記憶媒体により構成される。
前述のように設定値情報がデフォルト設定されている場合には、そのデフォルト値が記憶されている。また、このデフォルト値が数値設定部8aにて変更された場合、たとえば、当該変更された設定値情報とともにデフォルト値も記憶しておくことが望ましい(デフォルト値に戻す場合に必要となる。)
なお、設定値記憶部72に記憶されている設定値情報は、装置不使用時間の閾値T1=186時間、メンテナンス間隔の閾値T2=31日、放電検出回数の閾値N1=4、撮影枚数(X線発生回数)の閾値N2=10000枚(回)、管電流誤差の閾値Δ=20%とされている。
〔計時部〕
計時部73は、時刻を刻み続ける機能を有する。この計時部73の機能は、たとえば主制御部12のメインCPU50の計時機能によるものである。なお、「時刻」とは、年、月、日、時、分、秒を含んでいることが望ましいが、これらのうちのいくつかであってもよい(たとえば月、日、時のみなど)。
メンテナンス制御部70は、適宜なタイミングで計時部73にアクセスし、計時部73が示す現在時刻を取得する。取得された現在時刻は、計時情報として第1〜第3メンテナンス処理部100〜300に送られる。
〔第1メンテナンス処理部〕
第1メンテナンス処理部100は、X線診断装置の電源がオンされたことに対応してメンテナンス制御部70により動作が開始される。この第1メンテナンス処理部100は、前回の電源オフから今回の電源オンまでの間の経過時間(装置不使用時間)の長さに基づいて、X線管1のエージングを実施するための処理を実行する。この第1メンテナンス処理部100について図4を参照しながら詳しく説明する。
第1メンテナンス処理部100には、電源操作部101、電源操作記憶部102、不使用時間算出部103、不使用時間判定部104、表示制御部105、メンテナンス要求操作部106、メンテナンス条件記憶部107及びメンテナンス実施部108が設けられている。以下、これらの各部101〜108についてそれぞれ説明する。
(電源操作部)
電源操作部101は、X線診断装置の電源のオンとオフとを切り換えるための操作手段として機能する。この電源操作部101は、たとえば、X線制御部8、支柱5、アーム3若しくは寝台6など、X線診断装置の任意の位置に配設された電源スイッチによって構成される。
また、主制御部12を成すコンピュータの起動(電源オン)/終了(電源オフ)に対応して、X線診断装置の電源がオン/オフするように構成することもできるが、その場合には、当該コンピュータの電源スイッチが電源操作部101として機能する。
(電源操作記憶部)
電源操作記憶部102は、電源操作部101が操作されたタイミングを記憶する、つまりX線診断装置が電源オンされたタイミングと電源オフされたタイミングとをそれぞれ記憶する記憶手段として機能する。この電源操作記憶部102は、たとえば、主制御部12を成すコンピュータに内蔵されたハードディスクドライブ等の記憶媒体によって構成されている。
ここで、「タイミング」とは、年、月、日、時、分、秒などの時間情報を含むもので、計時部73によって計時される「時刻」に相当する情報である。
電源操作部101の操作タイミングの電源操作記憶部102への記憶処理は、メンテナンス制御部70(メインCPU50)によって実行される。メンテナンス制御部70は、電源操作部101が操作されたことを受けて、計時部73が計時する時刻を取得し、その時刻を電源操作記憶部102に記憶させる。それにより、X線診断装置の電源がオン又はオフされる度毎に、そのタイミングが記憶される。
(不使用時間算出部)
不使用時間算出部103は、電源操作部101によりX線診断装置の電源がオンされたときに動作し、前回の電源オフから今回の電源オンまでの経過時間(装置不使用時間)を算出する算出手段として機能する。この不使用時間算出部103は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成される。
不使用時間算出部103が行う処理について具体的に説明する。その前段階として、電源操作部101が操作されて装置電源がオンされると、メンテナンス制御部70は、前述のように、計時部73を参照して現在時刻を取得して第1メンテナンス処理部100に送る。電源操作記憶部102には、前回電源がオフされたときの時刻が既に記憶されている。不使用時間算出部103は、電源操作記憶部102に記憶された前回の電源オフのタイミングから、メンテナンス制御部70からの現在時刻(今回の電源オンのタイミング)までの経過時間を算出する。
(不使用時間判定部)
不使用時間判定部104は、不使用時間算出部103により算出された経過時間が所定時間以上であるか否か判定する処理を行う。この不使用時間判定部104は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成される。
メンテナンス制御部70は、設定値記憶部72から装置不使用時間の閾値T1を読み出して第1メンテナンス処理部100に送る。この閾値T1が上記「所定時間」となる。不使用時間判定部104は、経過時間の算出結果t1と閾値T1とを比較して大小関係を判定する。
経過時間の算出結果t1が閾値T1未満である場合(t1<T1)、不使用時間判定部104は、メンテナンス制御部70に指示を送る。この指示を受けたメンテナンス制御部70は、第1メンテナンス処理部100の動作を終了させる。
一方、経過時間の算出結果t1が閾値T1以上である場合(t1≧T1)、不使用時間判定部104は、表示制御部105に指示を送る。この指示を受けたときの表示制御部105の動作については後述する。
ここでは、経過時間の算出結果t1と閾値T1との大小関係を、t1<T1の場合とt1≧T1の場合とに分けたが、t1≦T1の場合とt1>T1の場合とに分けて大小関係を比較判定することも可能である。
なお、本明細書では、任意の数値a、bの大小関係の比較判定において、「a>b」と「a≧b」とは同等であるとみなし、「a<b」と「a≦b」とは同等であるとみなすことにする。つまり、「aはbを超える」と「aはb以上」とは同等であるとみなされ、「aはb未満」と「aはb以下」とは同等であるとみなされる。
(表示制御部)
表示制御部105は、不使用時間判定部104からの指示を受けて動作し、X線管1のエージングを実施するか否かユーザに判断させる情報を表示部71に表示させる制御手段として機能する。この表示制御部105は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成される。
ここで、「エージングを実施するか否かユーザに判断させる情報」を「エージング実施判断情報」と呼ぶことにする。このエージング実施判断情報は、主制御部12を成すコンピュータのハードディスクドライブなどの記憶媒体にあらかじめ記憶されている。
表示制御部105は、不使用時間判定部104からの指示を受けると、上記記憶媒体からエージング実施判断情報を取得し、それを表示部71に表示させるようにメンテナンス制御部70に指示を送る。メンテナンス制御部70は、この指示に応じて、エージング実施判断情報を表示部71に表示させる。
なお、表示部71におけるエージング実施判断情報の表示態様としては、ユーザがエージングの実施の要否を判断できるものであり、更に、実施する場合にはエージングを要求できるようなものであることが望ましい。
図7は、エージング実施判断情報の表示態様の一例を表している。同図に示すエージング実施判断情報2000は、表示部71の表示画面71a上に表示されるダイアログであり、エージングを実施するか否かユーザに判断させるための「エージングを実施しますか?」というメッセージ2001を含んでいる。更に、このエージング実施判断情報2000には、選択的に操作可能なソフトキー2002、2003が配設されている。ソフトキー2002には「実施する」と表示されている。また、ソフトキー2003には「実施しない」と表示されている。なお、表示画面71a上の矢印Mは、ユーザによって操作されるマウスポインタである。
(メンテナンス要求操作部)
メンテナンス要求操作部106は、表示部71に表示されたエージング実施判断情報に基づいて、ユーザがエージングの実施を要求するための要求操作手段として機能する。このメンテナンス要求操作部106は、たとえば、操作部11(特にマウス)によって構成される。
メンテナンス要求操作部106の具体例について、図7に示すエージング実施判断情報2000が表示される場合に基づき説明する。ユーザは、エージング実施判断情報2000のメッセージ2001を見て、エージングを実施するか否か判断する。
エージングを実施すると判断した場合、ユーザは、操作部11のマウスを操作して、「実施する」と表示されたソフトキー2002上にマウスポインタMを合わせてクリックする。それにより、エージングの実施要求が為される。このソフトキー2002がクリックされると、メンテナンス実施部108が動作を開始する。
一方、エージングを実施しないと判断した場合には、ユーザは、操作部11のマウスを操作して、「実施しない」と表示されたソフトキー2003上にマウスポインタMを合わせてクリックする。このソフトキー2003がクリックされると、メンテナンス制御部70は、第1メンテナンス処理部100の動作を終了させる。
(メンテナンス条件記憶部)
メンテナンス条件記憶部107は、X線管1のエージングを実施するときのX線条件(エージング条件と呼ぶ。)をあらかじめ記憶している。このメンテナンス条件記憶部107は、たとえば、主制御部12を成すコンピュータのハードディスクドライブ等の記憶媒体によって構成される。
なお、エージング条件には、エージングにおいて管電圧を徐々に高くしていくときの各段階の管電圧値、管電流値(フィラメント電流値)、曝射時間(通電時間)などの条件が含まれている。このようなエージング条件は、従来から、X線診断装置のマニュアルやサービスエンジニアのメンテナンスマニュアル等に記載されている。メンテナンス条件記憶部107に記憶されるエージング条件は、このマニュアルに記載されていたものをデータ化して記憶させたものである。
(メンテナンス実施部)
メンテナンス実施部108は、メンテナンス要求操作部106によりエージングの実施が要求されたことに対応してX線管1のエージングを実施させるエージング手段として機能する。このメンテナンス実施部108は、たとえば、主制御部12のメインCPU50を含んで構成される。
メンテナンス実施部108は、メンテナンス要求操作部106によってエージングの実施要求が為されると、メンテナンス条件記憶部107からエージング条件を取得してX線制御部8に送信する。X線制御部8は、このエージング条件にしたがって高電圧発生部9を制御し、X線管1に印可する管電圧や管電流を段階的に変化させる。それにより、ユーザの要求通りにエージングが実施されることになる。以上で、第1メンテナンス処理部100の説明を終了する。
〔第2メンテナンス処理部〕
次に、第2メンテナンス処理部200について説明する。第2のメンテナンス処理部200は、X線診断装置による検査(撮影、透視)の終了後にメンテナンス制御部70により動作が開始される。
第2メンテナンス処理部200は、X線管1の放電回数と、前回のメンテナンスからの経過時間とに基づいて、X線管1のエージングやゲッター活性化を実施するための処理を実行する。この第2メンテナンス処理部200について図5を参照しながら詳しく説明する。
第2メンテナンス処理部200には、メンテナンス操作部201、メンテナンス履歴記憶部202、放電検出部203、放電回数カウント部204、放電回数判定部205、メンテナンス間隔算出部206、メンテナンス間隔判定部207、表示制御部208、メンテナンス要求操作部209、メンテナンス条件記憶部210、メンテナンス実施部211、報知処理部212が設けられている。以下、これらの各部201〜212についてそれぞれ説明する。
(メンテナンス操作部)
メンテナンス操作部201は、X線診断装置のメンテナンスを実施するときに操作されるもので、たとえば、X線制御部8の各種操作スイッチや操作部11などによって構成される。
(メンテナンス履歴記憶部)
メンテナンス履歴記憶部202は、メンテナンス操作部201が操作されたタイミングを記憶する、つまりX線診断装置のメンテナンスが実施されたタイミングを記憶する記憶手段として機能する。このメンテナンス履歴記憶部202は、たとえば、主制御部12を成すコンピュータに内蔵されたハードディスクドライブ等の記憶媒体によって構成されている。ここで、「タイミング」は、第1メンテナンス処理部100において説明したものと同様の情報である。
メンテナンス操作部201の操作タイミングのメンテナンス履歴記憶部202への記憶処理は、メンテナンス制御部70(メインCPU50)によって実行される。メンテナンス制御部70は、メンテナンス操作部201が操作されてメンテナンスが開始されたことを受けて、計時部73が計時する時刻を取得し、その時刻をメンテナンス履歴記憶部202に記憶させる。なお、メンテナンスが終了したときの時刻を取得してメンテナンス履歴記憶部202に記憶させるようにしてもよい。このような処理により、X線診断装置のメンテナンスが実施される度毎に、そのタイミングが記憶される。
メンテナンス履歴記憶部202に記憶させる情報は、過去に実施された全てのメンテナンスのタイミング履歴であってもよいし、また、過去の最新のメンテナンス(前回のメンテナンス)のタイミングであってもよい。後者を採用する場合、メンテナンス制御部70は、メンテナンスを実施する度毎に、過去の最新のメンテナンスのタイミングを、今回のメンテナンスのタイミングに更新するように動作する。
(放電検出部)
放電検出部203は、X線管1に放電が発生したことを検出する放電検出手段として機能する。この放電検出部203は、たとえば、管電流電圧検出部20と、主制御部12のメインCPU50とを含んで構成される。
放電検出部203によるX線管1の放電の発生の検出は、たとえば、管電流電圧検出部20によりX線管1の管電圧を監視し、所定の設定値の2分の1以下の管電圧の値が検出されたときにX線管1に放電が発生したものと判断することにより行う。この放電検出の手法は、従来から用いられている手法である。
(放電回数カウント部)
放電回数カウント部204は、放電検出部203によりX線管1の放電が検出された回数をカウントする放電回数カウント手段として機能する。この放電回数カウント部204は、たとえば、主制御部12のメインCPU50(カウンタ機能を具備する。)によって構成される。
なお、メンテナンス制御部70は、たとえば、X線診断装置の電源オンやオフの度毎に、若しくはメンテナンスが行われる度毎に、放電回数カウント部204によるカウント値をリセットするように構成されている。
(放電回数判定部)
放電回数判定部205は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成され、放電回数カウント部204によりカウントされたX線管1の放電の検出回数に応じて、次のような処理を行う。
まず、カウントされた放電検出回数n1がたとえば0の場合(n1=0)、つまり放電が1度も検出されなかった場合、放電回数判定部205は、メンテナンス制御部70に指示を送る。この指示を受けたメンテナンス制御部70は、第2メンテナンス処理部200の動作を終了させる。
また、放電検出回数n1が1以上の場合(n1≧1)、放電回数判定部205は、メンテナンス制御部70に指示を送り、設定値記憶部72に記憶された放電検出回数の閾値N1を読み出させて第2メンテナンス処理部200に送らせる。更に、放電回数判定部205は、カウントされた放電検出回数n1と閾値N1とを比較して大小関係を判定する。
放電検出回数n1が閾値N1以下である場合(1≦n1≦N1;本発明の「所定範囲」に相当する。)、放電回数判定部205は、メンテナンス間隔算出部206に指示を送る。この指示を受けたメンテナンス間隔算出部206の動作については後述する。
一方、放電検出回数n1が閾値N1を超える場合(n1>N1)、放電回数判定部205は、報知処理部212に指示を送る。この指示を受けた報知処理部212の動作については後述する。
なお、放電検出回数n1と閾値N1との大小関係を、n1≦N1の場合とn1>N1の場合とに分けたが、n1<N1の場合とn1≧N1の場合とに分けて大小関係を比較判定することも可能である。
また、本実施形態では、放電検出回数n1が0の場合にのみ第2メンテナンス処理部200の動作を終了させるようになっているが、当該動作の終了につながる放電検出回数n1は任意に設定できる。たとえば放電検出回数n1=0又は1の場合に、第2メンテナンス処理部200の動作を終了させるように構成できる。
(メンテナンス間隔算出部)
メンテナンス間隔算出部206は、放電回数判定部205からの指示を受けて動作し、記憶されたタイミングに基づいて、前回のメンテナンスの実施から現在までの経過時間を算出する算出手段として機能する。このメンテナンス間隔算出部206は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成される。
メンテナンス間隔算出部206が行う処理についてより具体的に説明する。メンテナンス間隔算出部206は、メンテナンス制御部70に指示を送り、計時部73を参照して現在時刻を取得させて第2メンテナンス処理部200に送らせる。なお、この段階の現在時刻を取得する代わりに、X線診断装置の電源オン時に取得された時刻を用いることも可能である(後述の図11の説明を参照)。
メンテナンス間隔履歴記憶部202には、前回のメンテナンスのタイミングが記憶されている。メンテナンス間隔算出部206は、この前回のメンテナンスのタイミングから現在時刻(若しくは電源オン時の時刻)までの経過時間を算出する。
(メンテナンス間隔判定部)
メンテナンス間隔判定部207は、メンテナンス間隔算出部206により算出された前回のメンテナンスからの経過時間が所定時間以上であるか否か判定する処理を行う。このメンテナンス間隔判定部207は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成される。
メンテナンス制御部70は、設定値記憶部72からメンテナンス間隔の閾値T2を読み出して第2メンテナンス処理部200に送る。この閾値21が当該「所定時間」となる。メンテナンス間隔判定部207は、前回のメンテナンスからの経過時間の算出結果t2と閾値T2とを比較して大小関係を判定する。
経過時間の算出結果t2が閾値T2以下である場合(t2≦T2)、メンテナンス間隔判定部207は、表示制御部208に指示を送る。
一方、経過時間の算出結果t2が閾値T2を超える場合(t2>T2)、メンテナンス間隔判定部207は、t2≦T2の場合とは異なる指示を表示制御部208に送る。なお、t2≦T2の場合の指示の内容と、t2>T2の場合の指示の内容については、後述の表示制御部208の説明中において詳述する。
なお、前回のメンテナンスからの経過時間の算出結果t2と閾値T2との大小関係の比較判定は、t2<T2の場合とt2≧T2の場合とに分けて行うことも可能である。
(表示制御部)
表示制御部208は、メンテナンス間隔判定部207からの指示を受けて動作し、X線管1のエージングを実施するか否かユーザに判断させる情報、若しくは、ゲッター活性化を実施するか否かユーザに判断させる情報を、表示部71に表示させる制御手段として機能する。この表示制御部208は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成される。
ここで、「エージングを実施するか否かユーザに判断させる情報」は、前述のエージング実施判断情報である。また、「ゲッター活性化を実施するか否かユーザに判断させる情報」については、これを「ゲッター活性化実施判断情報」と呼ぶことにする。このゲッター活性化実施判断情報は、主制御部12を成すコンピュータのハードディスクドライブなどの記憶媒体にあらかじめ記憶されている。
表示制御部208は、t2≦T2の場合にメンテナンス間隔判定部207から送られた指示を受けると、エージング実施判断情報を表示部71に表示させるようにメンテナンス制御部70に指示を送る。メンテナンス制御部70は、この指示に応じて、エージング実施判断情報を表示部71に表示させる。このエージング実施判断情報の表示態様は、たとえば図7に示したものとされる。
また、表示制御部208は、t2>T2の場合にメンテナンス間隔判定部207から送られた指示を受けると、ゲッター活性化実施判断情報を表示部71に表示させるようにメンテナンス制御部70に指示を送る。メンテナンス制御部70は、この指示に応じて、ゲッター活性化実施判断情報を表示部71に表示させる。
このゲッター活性化実施判断情報の表示態様は、たとえば図7のエージング実施判断情報2000と同様のダイアログとされる。なお、このダイアログに表示されるメッセージは「ゲッター活性化を実施しますか?」などとされる。
(メンテナンス要求操作部)
メンテナンス要求操作部209は、第1メンテナンス処理部100のメンテナンス要求操作部106と同様の構成を有し、表示部71に表示されたエージング実施判断情報又はゲッター活性化実施判断情報に基づいて、ユーザがエージング又はゲッター活性化の実施を要求するための要求操作手段として機能する。
(メンテナンス条件記憶部)
メンテナンス条件記憶部210は、第1メンテナンス処理部100のメンテナンス条件記憶部107と同様の構成を有し、前述のエージング条件とともに、X線管1のゲッター活性化を実施するときのX線条件(ゲッター活性化条件と呼ぶ。)をあらかじめ記憶している。
ゲッター活性化条件には、ゲッターを加熱してそのガス吸着能力を活性化させるための管電圧値、管電流値(フィラメント電流値)、曝射時間(通電時間)などの条件が含まれている。このようなゲッター活性化条件も、エージング条件と同様にサービスエンジニアのマニュアル等に従来から記載されており、メンテナンス条件記憶部210は、このゲッター活性化条件を記憶している。
(メンテナンス実施部)
メンテナンス実施部211は、メンテナンス要求操作部209によりエージング(ゲッター活性化)の実施が要求されたことに対応し、X線管1のエージング(ゲッター活性化)を実施させるエージング手段(ゲッター活性化手段)として機能する。このメンテナンス実施部211は、たとえば、主制御部12のメインCPU50を含んで構成される。
メンテナンス実施部211は、メンテナンス要求操作部209によってエージング(ゲッター活性化)の実施要求が為されると、メンテナンス条件記憶部210からエージング条件(ゲッター活性化条件)を取得してX線制御部8に送信する。X線制御部8は、このエージング条件(ゲッター活性化条件)にしたがって高電圧発生部9を制御し、X線管1に印可する管電圧や管電流を変化させる。それにより、ユーザの要求通りにエージング(ゲッター活性化)が実施されることになる。
(報知処理部)
報知処理部212は、放電回数判定部205により放電検出回数n1が閾値N1を超える(n1>N1)と判定されたときの指示に応じて動作し、ネットワークNを介してメンテナンスサービス提供側の通信装置1000(図2参照)に報知情報を送信する報知手段として機能する。この報知処理部212は、主制御部12のメインCPU50と通信インターフェイス40とを含んで構成される。
通信装置1000に送信される報知情報としては、たとえば、X線診断装置に異常(放電発生)が発生した旨のメッセージや、サービスエンジニアの派遣を要求するメッセージなどが用いられる。この報知情報は、文字メッセージ等の視覚的メッセージでもよいし、音声メッセージでもよい。なお、報知情報は、たとえば主制御部12を成すコンピュータのハードディスクドライブ等の記憶媒体にあらかじめ記憶されている。報知処理部212は、記憶された報知情報を読み出して通信装置1000に向けて送信する。以上で、第2メンテナンス処理部200の説明を終了する。
〔第3メンテナンス処理部〕
続いて、第3メンテナンス処理部300について説明する。第3のメンテナンス処理部300は、X線診断装置による検査(撮影、透視)の終了後にメンテナンス制御部70により動作が開始される。
第3メンテナンス処理部300は、X線診断装置によるX線画像の撮影枚数(X線管1によるX線の発生回数)に基づいて、管電流の設定値とX線管1に実際に通電される管電流との誤差を調査するか否かユーザに判断させる情報を表示させるための処理を実行する。
また、第3メンテナンス処理部300は、この管電流の誤差が所定値以上である場合に、X線管1の管電流調整を実施するための処理を実行する。このような処理を行う第3メンテナンス処理部300について、図6を参照しながら詳しく説明する。
第3メンテナンス処理部300には、管電流設定部301、撮影枚数カウント部302、撮影枚数判定部303、管電流調査操作部304、管電流検出部305、管電流誤差算出部306、管電流判定部307、表示制御部308、メンテナンス要求操作部309、メンテナンス条件記憶部310及びメンテナンス実施部311が設けられている。以下、これらの各部301〜311についてそれぞれ説明する。
(管電流設定部)
管電流設定部301は、X線管1に通電させる管電流値を設定するための設定手段として機能し、たとえば操作部11を含んで構成されている。管電流設定部301により設定された管電流の設定値の情報はX線制御部8に送られる。X線制御部8は、この情報に基づいて高電圧発生部9を制御し、X線管1に管電流を通電させる。
(撮影枚数カウント部)
撮影枚数カウント部302は、X線画像の撮影枚数をカウントする、つまりX線管1によるX線の発生回数をカウントする発生回数カウント手段として機能する。この撮影枚数カウント部302は、たとえば主制御部12のメインCPU50(カウンタ機能を具備する。)によって構成される。
撮影枚数カウント部302の動作の一例について具体的に説明する前に、X線画像撮影におけるX線の発生手順について簡単に説明しておく。X線画像撮影を行う場合、ユーザは、操作部11(管電流設定部301)により撮影条件を設定する。この撮影条件はX線制御部8に送られる。ユーザが操作部11から撮影実行を要求すると、X線制御部8は、高電圧発生部9を制御して、当該撮影条件に応じた管電流をX線管1に通電させてX線を発生させる(このとき、管電圧、撮影時間も当該撮影条件に基づく。)。
X線制御部8は、このようにX線を発生させる度毎に、メインCPU50(撮影枚数カウント部302)に信号を送信するようになっている。撮影枚数カウント部302は、この信号を受ける度毎に、それまでのカウント値に1を加えることで、X線管1によるX線発生回数(撮影枚数)をカウントする。
メンテナンス制御部70は、たとえばメンテナンスが行われる度毎に、撮影枚数カウント部302によるカウント値をリセットするようになっている。
なお、本発明の「発生回数カウント手段」によるカウント手法は、上記のものに限定されるものではない。たとえば、操作部11から撮影実行が要求されたことを受けてカウントを行ってもよいし、撮影条件が設定されたことを受けてカウントを行ってもよいし、画像信号制御部13が撮影画像の画像データを作成したことを受けてカウントを行ってもよい。
(撮影枚数判定部)
撮影枚数判定部303は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成され、撮影枚数カウント部302によりカウントされた撮影枚数(X線発生回数)に応じて、次のような処理を行う。
撮影枚数判定部303による処理には、設定値記憶部72に記憶された撮影枚数の閾値N2が用いられる。この閾値N2は、メンテナンス制御部70より読み出されて第3メンテナンス処理部300に送られる。撮影枚数判定部303は、カウントされた撮影枚数n2と閾値N2とを比較して大小関係を判定する。
撮影枚数n2が閾値N2以上である場合(n2≧N2)、撮影枚数判定部303は、表示制御部308に指示を送る。この指示を受けた表示制御部308は、管電流の実測値と設定値との誤差を調査するか否かユーザに判断させる情報を表示部71に表示させる(詳細は後述する。)。
一方、撮影枚数n2が閾値N2未満の場合(n2<N2)、撮影枚数判定部303は、メンテナンス制御部70に指示を送り、第3メンテナンス処理部300の動作を終了させる。
なお、撮影枚数n2と閾値N2との大小関係は、n2>N2の場合とn2≦N2の場合とに分けて比較判定することも可能である。
(管電流調査操作部)
管電流調査操作部304は、たとえば操作部11によって構成され、撮影枚数判定部303からの指示に応じて表示制御部308により表示される情報に基づいて、管電流の実測値と設定値との誤差の調査を開始させるための操作手段として機能する。
(管電流検出部)
管電流検出部305は、たとえば管電流電圧検出部20を含んで構成され、X線管1に通電された管電流値を検出する管電流検出手段として機能する。
(管電流誤差算出部)
管電流誤差算出部306は、管電流設定部301により設定された管電流値(設定値)と、管電流検出部305により検出された管電流値(実測値)とに基づいて、管電流の設定値に対する実測値の誤差を算出する算出手段として機能する。この管電流誤差算出部306は、たとえばメインCPU50を含んで構成される。
(管電流判定部)
管電流判定部307は、たとえば主制御部12のメインCPU50を含んで構成され、管電流誤差算出部306により算出された管電流の誤差に応じて、次のような処理を行う。
管電流判定部307による処理には、設定値記憶部72に記憶された管電流誤差の閾値Δが用いられる。管電流判定部307は、算出された管電流誤差δと閾値Δとを比較して大小関係を判定する。
管電流誤差δが閾値Δ以上である場合(δ≧Δ)、管電流判定部307は、表示制御部308に指示を送る。この指示に基づく表示制御部308の動作については後述する。
一方、管電流誤差δが閾値Δ未満である場合(δ<Δ)、管電流判定部307は、メンテナンス制御部70に指示を送り、第3メンテナンス処理部300の動作を終了させる。
なお、管電流誤差δと閾値Δとの大小関係は、δ>Δの場合とδ≦Δの場合とに分けて比較判定することも可能である。
(表示制御部)
表示制御部308は、たとえばメインCPU50を含んで構成され、次のような処理を行う制御手段として機能する:(1)撮影枚数判定部303からの指示を受けて、管電流誤差を調査するか否かユーザに判断させる情報(調査判断情報と呼ぶ。)を表示部71に表示させる;(2)管電流判定部307からの指示を受けて、X線管1の管電流調整を実施するか否かユーザに判断させる情報(管電流調整実施判断情報)を表示部71に表示させる。
ここで、調査判断情報及び管電流調整実施判断情報は、それぞれ、主制御部12を成すコンピュータのハードディスクドライブなどの記憶媒体にあらかじめ記憶されている。
(1)表示制御部308は、撮影枚数n2が閾値N2以上である場合に撮影枚数判定部303から送られた指示に基づき、調査判断情報を表示部71に表示させるようにメンテナンス制御部70に指示を送る。メンテナンス制御部70は、この指示に応じて調査判断情報を表示部71に表示させる。
図8は、この調査判断情報の表示態様の一例を表している。同図に示す調査判断情報3000は、図7のエージング実施判断情報2000と同様に、表示部71の表示画面71a上に表示されるダイアログであり、管電流値を調査するか否かユーザに判断させるための「管電流値を調査しますか?」というメッセージ3001と、調査を行うときにクリックされるソフトキー3002と、調査を行わないときにクリックされる2003とが配設されている。
(2)表示制御部308は、管電流誤差δが閾値Δ以上である場合に管電流判定部307から送られた指示に基づき、管電流調整実施判断情報を表示部71に表示させるようにメンテナンス制御部70に指示を送る。メンテナンス制御部70は、この指示に応じて管電流調整実施判断情報を表示部71に表示させる。
この管電流調整実施判断情報の表示態様は、たとえば図7のエージング実施判断情報2000と同様のダイアログとされる。なお、このダイアログに表示されるメッセージは「管電圧調整を実施しますか?」などとされる。
(メンテナンス要求操作部)
メンテナンス要求操作部309は、第1メンテナンス処理部100のメンテナンス要求操作部106と同様の構成を有し、表示部71に表示された管電流調整実施判断情報に基づいて、ユーザが管電流調査の実施を要求するための要求操作手段として機能する。
(メンテナンス条件記憶部)
メンテナンス条件記憶部310は、第1メンテナンス処理部100のメンテナンス条件記憶部107と同様の構成を有し、X線管1の管電流調整を実施するときのX線条件(管電流調整条件と呼ぶ。)をあらかじめ記憶している。
この管電流調整条件は、エージング条件等と同様にマニュアルに記載された、管電流調整の実施の際の管電圧値、管電流値(フィラメント電流値)、曝射時間(通電時間)などの条件が含まれている。
(メンテナンス実施部)
メンテナンス実施部311は、たとえばメインCPU50を含んで構成され、メンテナンス要求操作部309により管電流調整の実施が要求されたことに対応し、X線管1の管電流調整を実施させる管電流調整手段として機能する。管電流値の調整は、従来と同様の手法によって実施される。
メンテナンス実施部311は、メンテナンス要求操作部309によって管電流調整の実施要求が為されると、メンテナンス条件記憶部310から管電流調整条件を取得してX線制御部8に送信する。X線制御部8は、この管電流調整条件に基づいて高電圧発生部9を制御し、当該条件に示す値の管電流をX線管1に印可してX線を曝射させる。
管電流検出部305は、このときのX線管1の管電流値を検出し、メンテナンス実施部311にフィードバックする。メンテナンス実施部311は、この管電流値のフィードバックと管電流調整条件に示す管電流値とを比較して、当該条件の管電流値を補正する。そして、この補正された管電流値をX線制御部8に送り、再度X線を曝射させる。このような、「曝射−検出−フィードバック−補正」のサイクルを、管電流の設定値と実測値とが所定誤差内に収まるまで反復する。それにより、ユーザの要求通りに管電流調整が実施される。以上で、本実施形態に係るX線診断装置の構成についての説明は終了する。
[動作]
以下、本実施形態に係るX線診断装置の動作の一例を説明する。図9〜図12は、このX線診断装置の動作を説明するためのフローチャートである。図9に示すフローチャートは、X線診断装置の電源オンから電源オフまでの間に実行される一連の動作の概要を表すものである。図10に示すフローチャートは、X線診断装置の電源オン時に実行される動作を表すものである。図11、図12に示すフローチャートは、それぞれ、X線診断装置による検査(X線撮影、X線透視)を終了し、電源をオフする前に実行される動作を表すものである。
〔動作の概要:図9〕
まず、ユーザが、図4に示す電源操作部101を操作してX線診断装置の電源をオンする(S1)。
メンテナンス制御部70は、装置の電源オンを受けて、第1メンテナンス処理部100による処理を開始させる(S2)。第1メンテナンス処理部100は、図10のフローチャートに示す処理(後述)を実行し(S3)、メンテナンス制御部70によって動作が終了される(S4)。それにより、X線診断装置は、被検者に対する検査が可能な状態に移行する。
被検者に対するX線撮影やX線透視の検査を行う(S5)。全ての検査が終了したら、ユーザは、検査終了を要求する(S6)。この検査終了要求は、たとえば、操作部11を操作して行う。
なお、検査を行っている間、第2メンテナンス処理部200の放電検出部203は、X線管1の放電の発生を監視し、その発生の回数が放電回数カウント部204によりカウントされている。また、検査中、第3メンテナンス処理部300の撮影枚数カウント部302は、X線画像の撮影枚数(X線管1によるX線発生回数)をカウントしている。
さて、検査終了要求が為されると、メンテナンス制御部70は、第2メンテナンス処理部200による処理を開始させる(S7)。第2メンテナンス処理部200は、図11のフローチャートに示す処理(後述)を実行し(S8)、メンテナンス制御部70によって動作が終了される(S9)。
次に、メンテナンス制御部70は、第3メンテナンス処理部300による処理を開始させる(S10)。第3メンテナンス処理部300は、図12のフローチャートに示す処理(後述)を実行し(S11)、メンテナンス制御部70によって動作が終了される(S12)。
メインCPU50は、第3メンテナンス処理部300の動作が終了されたことに対応して、主制御部12を為すコンピュータ及び画像信号制御部13を為すコンピュータのシャットダウン処理を行い(S13)、装置の電源をオフする(S14)。以上が、本実施形態に係るX線診断装置の動作の概要である。
なお、図9に示す動作においては、検査終了要求に対応して第2メンテナンス処理部200を動作させ、その動作の終了後に第3メンテナンス処理部300を動作させるようになっているが、逆に、検査終了要求に対応して第3メンテナンス処理部300を動作させ、その動作の終了後に第2メンテナンス処理部200を動作させるように制御することも可能である。
以下、図9のステップS3、S8、S11に示した第1、第2、第3メンテナンス処理部100、200、300の動作について、それぞれ詳細に説明する。
〔ステップS3の第1メンテナンス処理部による処理:図10〕
図4と図10を参照する。電源がオンされると(S1)、メンテナンス制御部70は、第1メンテナンス処理部100による処理を開始させるとともに(S2)、計時部73を参照して現在時刻(ステップS1にて電源がオンされた時刻)を電源操作記憶部102に記憶させる(S101)。
次に、不使用時間算出部103が、電源操作記憶部102に記憶されている前回の電源オフの時刻と今回の電源オンの時刻とに基づいて、前回の電源オフから今回の電源オンまでの経過時間のt1を算出する(S102)。不使用時間判定部104は、経過時間の算出結果t1と装置不使用時間の閾値T1との大小関係を判定する(S103)。
経過時間の算出結果t1が閾値T1未満(t1<T1)である場合(S104;N)、第1メンテナンス処理部100の動作は終了となる(S4)。
一方、経過時間の算出結果t1が閾値T1以上(t1≧T1)である場合(S104;Y)、表示制御部105が、図7に示すエージング実施判断情報2000を表示部71に表示させる(S105)。
ユーザは、表示されたエージング実施判断情報2000を見て、エージングを実施するか否か判断する。エージングを実施しない場合にはソフトキー2003がクリックされ(S106;N)、第1メンテナンス処理部100の動作は終了となる(S4)。
一方、エージングを実施する場合には、ソフトキー2002をクリックしてエージングの実施要求を行う(S106;Y)。メンテナンス実施部108は、このエージングの実施要求に応じてX線管1のエージングを実施する(S107)。エージング終了に対応して、第1メンテナンス処理部100の動作は終了となる(S4)。
〔ステップS8の第2メンテナンス処理部による処理:図11〕
図5と図11を参照する。なお、前述のように、ステップS5の検査の間、放電回数カウント部204は、放電検出部203によるX線管1の放電の発生回数をカウントしている。
検査が終了し(S6)、第2メンテナンス処理部200による処理が開始されると(S7)、放電回数判定部205が、放電回数のカウント値(放電検出回数n1)が0であるか又は1以上であるか判定する(S201)。
放電検出回数n1=0の場合(S202;N)、メンテナンス制御部70は、第2メンテナンス処理部200の動作を終了させる(S9)。
一方、放電検出回数n1≧1の場合(S202;Y)、放電回数判定部205は、カウントされた放電検出回数n1と、放電検出回数の閾値N1との大小関係を判定する(S203)。
放電検出回数n1が閾値N1を超える(n1>N1)場合(S204;N)、報知処理部212が、メンテナンスサービス提供側の通信装置1000に対し、ネットワークNを介して報知情報を送信し(S214)、第2メンテナンス処理部200の動作は終了となる(S9)。
一方、放電検出回数n1が閾値N1以下(1≦n1≦N1)である場合(S204;Y)、メンテナンス間隔算出部206は、現在時刻と、メンテナンス間隔履歴記憶部202に記憶された前回のメンテナンスのタイミングとに基づいて、前回のメンテナンスからの経過時間t2を算出する(S205)。
なお、図10のステップS101にて電源オン時の時刻が取得された後に、この図11に示す処理に移行してきた場合には、この電源オン時の時刻を「現在時刻」として用いて経過時間t2を算出することができる。
メンテナンス間隔判定部207は、前回のメンテナンスからの経過時間の算出結果t2と、メンテナンス間隔の閾値T2との大小関係を判定する(S206)。
経過時間の算出結果t2が閾値T2以下(t2≦T2)である場合(S207;Y)、表示制御部208が、図7のエージング実施判断情報2000を表示部71に表示させる(S208)。
ユーザは、このエージング実施判断情報2000を見て、エージングを実施するか否か判断する。エージングを実施しない場合にはソフトキー2003がクリックされ(S209;N)、第2メンテナンス処理部200の動作は終了となる(S9)。
一方、エージングを実施する場合には、ソフトキー2002をクリックしてエージングの実施要求を行う(S209;Y)。メンテナンス実施部211は、このエージングの実施要求に応じてX線管1のエージングを実施する(S210)。エージングが終わると、第2メンテナンス処理部200の動作は終了となる(S9)。
また、ステップS207において、経過時間の算出結果t2が閾値T2を超える(t2>T2)場合(S207;N)、表示制御部208が、前述のゲッター活性化実施判断情報を表示部71に表示させる(S211)。
ユーザは、このゲッター活性化実施判断情報を見て、ゲッター活性化を実施するか否か判断する。実施しない場合には、対応するソフトキーがクリックされ(S212;N)、第2メンテナンス処理部200の動作は終了となる(S9)。
一方、ゲッター活性化を実施する場合には、対応するソフトキーをクリックしてゲッター活性化の実施要求を行う(S212;Y)。メンテナンス実施部211は、この実施要求に応じてX線管1のゲッター活性化を実施する(S213)。ゲッター活性化が終わると、第2メンテナンス処理部200の動作は終了となる(S9)。
なお、ステップS210のエージングの終了後、或いはステップS213のゲッター活性化の終了後に、放電回数カウント部204のカウント値のリセット処理、及び/又は、メンテナンス履歴記憶部202への履歴の書き込み処理を行ってもよい。
〔ステップS11の第3メンテナンス処理部による処理:図12〕
図6と図12を参照する。なお、前述したように、ステップS5の検査の間、撮影枚数カウント部302は、X線画像の撮影枚数(X線管1によるX線発生回数)をカウントしている。
第2メンテナンス処理部200の動作が終了されると(S9)、第3メンテナンス処理部300による処理が開始される(S10)。管電流設定部301は、所定の管電流値に設定されている。撮影枚数判定部303は、撮影枚数カウント部302によりカウントされた撮影枚数n2と、撮影枚数の閾値N2との大小関係を判定する(S301)。
撮影枚数n2が閾値N2未満(n2<N2)の場合(S302;N)、メンテナンス制御部70により第3メンテナンス処理部300の動作が終了される(S12)。
一方、撮影枚数n2が閾値N2以上(n2≧N2)である場合(S302;Y)、表示制御部308が、図8の調査判断情報3000を表示部71に表示させる(S303)。
ユーザは、この調査判断情報3000を見て、管電流値を調査するか否か判断する。調査しない場合にはソフトキー3003がクリックされ(S304;N)、第3メンテナンス処理部300の動作は終了となる(S12)。
一方、管電流の調査を行う場合には、ソフトキー3002をクリックして管電流の調査要求を行う(S304;Y)。これを受けて、管電流設定部301にて設定されている管電流値がX線管1に印可され、管電流検出部301がX線管1に実際に流れる管電流値を検出する(S305)。
管電流誤差算出部306は、管電流の設定値に対する、管電流の検出値(実測値)の誤差δを算出する(S306)。管電流判定部307は、算出された管電流誤差δと、管電流の閾値Δとの大小関係を判定する(S307)。
管電流誤差δが閾値Δ未満(δ<Δ)である場合(S308;N)、メンテナンス制御部70により第3メンテナンス処理部300の動作が終了される(S12)。
一方、管電流誤差δが閾値Δ以上(δ≧Δ)である場合(S308;Y)、表示制御部308は、管電流調整実施判断情報を表示部71に表示させる(S309)。
ユーザは、この管電流調整実施判断情報を見て、管電流調整を実施するか否か判断する。実施しない場合には、対応するソフトキーがクリックされ(S310;N)、第3メンテナンス処理部300の動作は終了となる(S12)。
一方、管電流調整を実施する場合には、対応するソフトキーをクリックして管電流調整の実施要求を行う(S310;Y)。メンテナンス実施部311は、この実施要求に応じてX線管1の管電流調整を実施する(S311)。管電流調整が終わると、メンテナンス制御部70は、撮影枚数カウント部302のカウンタをリセットし(S312)、第3メンテナンス処理部300の動作を終了させる(S12)。
[作用・効果]
以上のように動作する本実施形態に係るX線診断装置によれば、エージング、ゲッター活性化及び管電流調整のそれぞれを好適なタイミングで実施することができる。以下、本実施形態の作用及び効果について、これら各種類のメンテナンス毎に説明する。
まず、エージングに関する本実施形態の作用、効果について説明する。エージングは、長時間使用されなかった装置の使用を再開するときに実施されるメンテナンスである。このX線診断装置は、電源がオンに切り換えられたときに、前回の電源オフのタイミングと今回の電源オンのタイミングとに基づいて、前回の電源オフから今回の電源オンまでの経過時間を算出するとともに、この算出された経過時間が所定時間(装置不使用時間の閾値T1)以上である場合に、X線管1のエージングを実施するか否かユーザに判断させるエージング実施判断情報2000を表示部71に表示させるように作用する。
このように、このX線診断装置によれば、従来はサービスエンジニアが行っていたメンテナンス(エージング)を実施すべきかどうかを、前回の電源オフのタイミングと今回の電源オンのタイミングとに基づいて自動的に判断することができ、実施すべき場合にはエージング実施判断情報2000を表示することができる。
それにより、ユーザは、表示されたエージング実施判断情報2000を参照し、たとえば急患に対する緊急検査が必要な場合などを除いて、エージングの実施を要求できる。したがって、本実施形態によれば、装置が長時間使用されなかった後に使用を再開する場合に、好適なタイミングで的確なメンテナンス(エージング)を実施でき、X線管1の品質保持や長寿命化を図ることが可能となる。
更に、エージング実施の要求は、エージング実施判断情報2000のソフトキー2002をクリックするだけでよく、その要求を受けたX線診断装置がX線管1のエージングを自動的に実施するようになっている。したがって、エージングのやり方について装置マニュアルを参照する必要がないので、容易にエージングを行うことが可能である。また、サービスエンジニアの訪問を待つ必要もないことから、エージングを迅速に好適なタイミングで行うことが可能である。
なお、前述の特許文献3に記載の従来の構成は、装置の電源オフに対応してタイマのカウントアップを開始し、そのタイマが所定時間以上カウントした後に電源がオンされた場合に警報を発生するものであったため、装置不使用中にタイマの停止やリセットが起こると、使用再開時に適正なタイミングで警報を発生できなくなるという不都合があった。一方、本実施形態は、電源オフのタイミング(時刻)を記憶しておくとともに、使用再開時には、記憶された電源オフのタイミングと現在時刻とに基づいて経過時間を算出するように構成されている。したがって、本実施形態によれば、特許文献3の装置のような不都合は生じない。
X線管1のエージングを実施すべき他のケースとして、X線管1に放電が発生した場合がある。このようなケースに対処するため、本実施形態に係るX線診断装置は、X線管1のメンテナンスが実施されたタイミングを記憶しておくとともに、X線管1に放電が発生したことを検出し、その検出回数をカウントするようになっている。そして、そのカウント値n1が所定範囲内(1≦n1≦N1)となった場合に、前回のメンテナンスから現在までの経過時間t2を算出し、更に、この経過時間t2が所定時間(閾値T2)以下である場合には、表示部71にエージング実施判断情報2000を表示させるように構成されている。
それにより、ユーザは、表示されたエージング実施判断情報2000に基づいてエージングの実施を要求できる。したがって、X線管1に放電が発生した場合に、好適なタイミングで的確なメンテナンス(エージング)を実施でき、X線管1の品質保持や長寿命化を図ることが可能となる。更に、要求に応じてエージングが自動的に実施されるので、エージングの実施作業の容易化及び迅速化を図ることができる。
次にゲッター活性化に関する本実施形態の作用、効果について説明する。X線管1がゲッターを具備している場合、放電の発生に対処するためのメンテナンスとしてゲッター活性化が実施される。本実施形態に係るX線診断装置は、X線管1のメンテナンスが実施されたタイミングを記憶しておくとともに、X線管1の放電検出回数をカウントし、そのカウント値n1が所定範囲内(1≦n1≦N1)となった場合に、前回のメンテナンスから現在までの経過時間t2を算出する(上記と同様)。そして、この経過時間t2が閾値T2を超える場合、X線管1のゲッター活性化を実施するか否かユーザに判断させるゲッター活性化実施判断情報を表示部71に表示させるように構成されている。
それにより、ユーザは、表示されたゲッター活性化実施判断情報に基づいてゲッター活性化の実施を要求できる。したがって、X線管1に放電が発生した場合に、好適なタイミングで的確なメンテナンス(ゲッター活性化)を実施でき、X線管1の品質保持や長寿命化を図ることができる。更に、要求に応じてゲッター活性化を自動的に実施することができるので、ゲッター活性化の実施作業の容易化及び迅速化を図ることが可能である。
また、本実施形態は、X線管1の放電検出回数のカウント値n1が閾値N1を超えると、メンテナンスサービス提供側の通信装置1000に報知情報を自動的に送信するように構成されている。したがって、放電の発生回数が増加し、専門的なメンテナンスが必要と想定される事態が発生したことをサービス提供側に迅速に知らせることができる。それにより、X線管1の品質保持や長寿命化を促進することが可能である。
続いて、管電流調整に関する本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態に係るX線診断装置は、X線管1によるX線の発生回数(X線画像の撮影枚数)をカウントし、そのカウント値n2が所定回数(閾値N2)以上になると、管電流の設定値と実測値との誤差を調査するか否かユーザに判断させる調査判断情報3000を表示部71に表示させる。調査開始が要求されると、管電流値の設定値に対する実測値の誤差δを算出するようになっている。
ユーザは、算出された管電流誤差δを参照して、管電流調整を実施するか否か判断し、その実施を要求することができる。したがって、X線管1によるX線発生回数が増加した場合に、好適なタイミングで的確なメンテナンス(管電流調整)を実施でき、X線管1の品質保持や長寿命化を図ることができる。
また、このX線診断装置は、算出された管電流誤差δが所定値(閾値Δ)以上である場合に、X線管1の管電流調整を実施するか否かユーザに判断させる管電流調整実施判断情報を表示部71に表示させるようになっている。ユーザは、この管電流調整実施判断情報に基づいて、管電流調整の実施を簡単な操作で要求できる。要求が為されると、X線診断装置が自動的に管電流調整を実施するように構成されているので、管電流調整の実施作業の容易化及び迅速化を図ることが可能である。
本実施形態に係るX線診断装置によれば、以上で説明したように、サービスエンジニアによって提供されるメンテナンスサービスの量や頻度の減少を図ることができる。したがって、X線診断装置を運用する側にとっては、ランニングコストの低減が期待される。一方、本実施形態によれば、通常の運用時に発生するメンテナンスについては、装置が自動的に行うことができるので、メンテナンスサービス提供側にとっては、そのようなメンテナンスのためにサービスエンジニアを派遣する必要が無くなるなど、サービス提供の効率化を図ることが可能となる。
[変形例]
以上に説明した実施形態は、本発明に係るX線装置の一つの具体例に過ぎないものである。したがって、任意の変形を適宜に施すことができる。以下、そのような変形の一例について説明する。
〔変形例1〕
上記実施形態のX線装置は、エージング、ゲッター活性化及び管電流調整の3種類のメンテナンスに関する情報をそれぞれ表示できるように構成されているが、本発明に係るX線装置は、それらのうちの少なくとも1種類に関する情報を表示できるもので十分である。
たとえば、本発明として、(1)装置不使用時間が所定所定時間以上であるときに、エージング実施判断情報を表示するX線装置、(2)X線管の放電回数が所定範囲内であり、かつ、前回のメンテナンスからの経過時間が所定時間以下であるときに、エージング実施判断情報を表示するX線装置、(3)X線管の放電回数が所定範囲内であり、かつ、前回のメンテナンスからの経過時間が所定時間を超えるときに、ゲッター活性化実施判断情報を表示するX線装置、(4)X線管によるX線発生回数(X線画像の撮影枚数)が所定回数以上であるときに、管電流値の調査判断情報を表示するX線装置、(5)この(4)の構成に加え、当該調査により得られた管電流誤差が所定値以上であるときに、管電流調整実施判断情報を表示するX線診断装置、などを採用することができる。
このとき、(1)のX線装置は、上記実施形態における第1メンテナンス処理部100を備えた構成とされ、(2)のX線装置は、第2メンテナンス処理部200(ゲッター活性化に関する部分を除く。)を備えた構成とされ、(3)のX線装置は、第2メンテナンス処理部200(エージングに関する部分を除く。)を備えた構成とされ、(4)のX線装置は、第3メンテナンス処理部300(管電流調整実施判断情報に関する部分を除く。)を備えた構成とされ、(5)のX線装置は、第3メンテナンス処理部300を備えた構成とされる。
〔変形例2〕
上記実施形態のX線装置は、ゲッターを具備するX線管を有するものであったが、ゲッターを具備しないX線管を有するX線装置に本発明を適用することも可能である。その場合には、ゲッター活性化に関する処理の実行は不要である。
ゲッターを具備しないX線管のメンテナンスとしては、エージングや管電流調整がある。〔変形例1〕の(1)、(2)、(4)、(5)の構成は、このようなX線装置に対してそのまま適用することが可能である。
なお、(2)の構成については簡素化することが可能である。たとえば、放電検出手段によりX線管の放電を検出し、放電回数カウント手段により放電の検出回数をカウントするとともに、カウント値n1が所定範囲内(1≦n1≦N1)となった場合に、制御手段がエージング実施判断情報を表示手段に表示させる構成を採用することができる。すなわち、(2)の構成における前回メンテナンスからの経過時間の判定処理は、エージングを行うか若しくはゲッター活性化を行うか選択するための処理であるから、ゲッターを具備しないX線管のメンテナンスについては、当該判定を行う必要がないからである。
〔変形例3〕
X線管に実際に流れる管電流の値が設定値を超えたままて使用を継続すると、X線管が破損したり寿命が短くなったりするおそれがあることは前述した。そのような事態に対処するために、本発明のX線装置に次のような構成を付加することができる。
上記実施形態の第3メンテナンス処理部300の管電流誤差算出部306は、管電流の設定値に対する実測値の誤差を算出するよう機能する。この算出結果より、実測値と設定値との大小関係を判定することが可能である。この判定処理は、たとえば管電流判定部307が行う。実測値の方が大きい場合、表示制御部308が、表示部71に警告(たとえば「管電流調整を行って下さい」)を表示させる。このとき、誤差が所定値(たとえば誤差5%)以上の場合にのみ警告を表示させてもよい。
なお、管電流の設定値と実測値との誤差から大小関係を取得する代わりに、設定値と実測値の大小関係のみを判定するように構成することも可能である。
〔変形例4〕
上記実施形態のX線装置は、管電流調整を実施する前段階の管電流誤差の調査を実施するか否かについて、調査判断情報3000を表示させ、ユーザの要求に応じて調査を実施するようになっているが、X線管1によるX線の発生回数(X線画像の撮影枚数)が所定回数以上になったときに、自動的に管電流誤差の調査を実施するように構成しても、同様の作用、効果が奏される。
ただし、管電流誤差の調査後に、ユーザが管電流調整を実施しないと判断した場合、調査に要した装置の動作やCPUリソースが無駄になってしまう。この点を考慮すると、上記実施形態は、装置運用の効率性の面において変形例よりも優れている。また、後述の〔変形例5〕にて説明するように、上記実施形態は、安全性の面においても本変形例より優れている。一方、本変形例は、ユーザの要求によらずに自動的に調査が実施されるという操作性の面で優れている。
〔変形例5〕
上記実施形態のX線装置は、特定の条件(装置不使用時間等)が満たされたことに対応して、メンテナンスの実施するか否かユーザに判断させる情報(エージング実施判断情報等)を表示させる構成を備えているが、特定の条件が満たされたことに対応してメンテナンスを自動的に開始するように構成することも可能である。
その場合、メンテナンスを開始することやメンテナンスを実施中であることを示すメッセージや警告を、ユーザ等に報知することが望ましい。すなわち、検査室内に人がいるときにメンテナンスが開始されたり、メンテナンスの最中に検査室内に人が入ってきたりすると、当該人に被曝のおそれがあるからである。上記実施形態は、このようなことも考慮した上で、メンテナンスの実施をユーザの判断に委ねている。
本発明に係るX線装置の好適な実施形態の全体構成の一例を表す概略外観図である。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の機能的構成の一例を表す概略ブロック図である。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の機能的構成における第1メンテナンス処理部の構成の一例を表す概略ブロック図である。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の機能的構成における第2メンテナンス処理部の構成の一例を表す概略ブロック図である。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の機能的構成における第3メンテナンス処理部の構成の一例を表す概略ブロック図である。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態により表示されるエージング実施判断情報の概要を表す概略説明図である。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態により表示される調査判断情報の概要を表す概略説明図である。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の動作の一例を説明するためのフローチャートである。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の動作の一例を説明するためのフローチャートである。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の動作の一例を説明するためのフローチャートである。 本発明に係るX線装置の好適な実施形態の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 X線管
2 X線検出部
8 X線制御部
8a 数値設定部
9 高電圧発生部
10、14 ディスプレイ
11 操作部
12 主制御部
50 メインCPU
13 画像信号制御部
20 管電流電圧検出部
70 メンテナンス制御部
71 表示部
72 設定値記憶部
73 計時部
100 第1メンテナンス制御部
101 電源操作部
102 電源操作記憶部
103 不使用時間算出部
104 不使用時間判定部
105 表示制御部
106 メンテナンス要求操作部
107 メンテナンス条件記憶部
108 メンテナンス実施部
200 第2メンテナンス処理部
201 メンテナンス操作部
202 メンテナンス履歴記憶部
203 放電検出部
204 放電回数カウント部
205 放電回数判定部
206 メンテナンス間隔算出部
207 メンテナンス間隔判定部
208 表示制御部
209 メンテナンス要求操作部
210 メンテナンス条件記憶部
211 メンテナンス実施部
300 第3メンテナンス処理部
301 管電流設定部
302 撮影枚数カウント部
303 撮影枚数判定部
304 管電流調査操作部
305 管電流検出部
306 管電流誤差算出部
307 管電流判定部
308 表示制御部
309 メンテナンス要求操作部
310 メンテナンス条件記憶部
311 メンテナンス実施部
1000 (メンテナンスサービス提供側)通信装置
2000 エージング実施判断情報
3000 調査判断情報
N ネットワーク

Claims (5)

  1. X線を発生するX線管を有するX線装置であって、
    表示手段と、
    前記X線管に放電が発生したことを検出する放電検出手段と、
    前記放電検出手段により放電が検出された回数をカウントする放電回数カウント手段と、
    前記X線管のメンテナンスを実施したタイミングを記憶する記憶手段と、
    前記記憶されたタイミングに基づいて、前回のメンテナンスの実施からの経過時間を算出する算出手段と、
    前記カウントされた放電の検出回数が所定範囲内であり、かつ、前記算出手段により算出された経過時間が所定時間以下である場合に、前記X線管のエージングを実施するか否かユーザに判断させる情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、
    を備えることを特徴とするX線装置。
  2. 前記制御手段は、前記算出された経過時間が前記所定時間を超える場合に、前記X線管のゲッター活性化を実施するか否かユーザに判断させる情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  3. 前記カウントされた放電の検出回数が前記所定範囲を超える場合に、ネットワークを介して通信可能に接続されたメンテナンスサービス提供側の通信装置に報知情報を送信する報知手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  4. 前記表示手段に表示された前記エージングを実施するか否か判断させる情報に基づいてエージングの実施を要求するための要求操作手段と、
    前記要求に対応して前記X線管のエージングを実施させるエージング手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  5. 前記表示手段に表示された前記ゲッター活性化を実施するか否か判断させる情報に基づいてゲッター活性化の実施を要求するための要求操作手段と、
    前記要求に対応して前記X線管のゲッター活性化を実施させるゲッター活性化手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項に記載のX線装置。
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