JP7477014B2 - 放射線撮影システム - Google Patents
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Description
また、同じ関心部位であっても、診る目的(例えば、胸部における、呼吸の動きを診たいときと血流の動きを診たいとき等)によって、診断に用いる放射線画像に求められる画質が異なる。
そこで、放射線パルスを繰り返し発生させる放射線発生装置と受けた放射線に応じた放射線画像を繰り返し生成する放射線検出器とを用いて複数のフレームからなる動態画像を生成する動態撮影において、従来、複数の異なるフレームレートの中から、所望の(関心部位やや見る目的に応じた)フレームレートに切り替えて撮影を行うことが行われている。
そこで、従来、例えば特許文献1に記載されたように、放射線照射装置と放射線画像撮影装置とを備えた放射線画像撮影システムにおいて、透視撮影のフレームレートに応じた各フレーム画像を撮影するための各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を12.5%~80%の範囲内として放射線照射装置から放射線画像撮影装置に対して放射線をパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて放射線画像撮影装置で放射線画像の撮影が行われるように制御することが行われている。
また、この立ち上がりと立ち下がり(特に立ち下がり)の傾斜は、図1に示すように、管電流が大きいと急峻になるが、管電流が小さくなるほど緩やかになっていく。
つまり、従来の放射線撮影システムは、上述したような放射線パルスの傾斜特性を考慮していないため、管電流を小さく設定して動態撮影を行うと、放射線パルスの照射時間を蓄積時間に収めようとすることで、放射線パルスの発生開始及び発生終了のタイミングを蓄積時間に収められなくなり、その影響を受けた動態画像を生成してしまう可能性がある。
なお、こうした問題は、フレームレートが高くなる程顕著になる。
放射線パルスを発生させる放射線源を有する放射線発生装置と、受けた放射線に応じて信号値として読み出すための電荷を蓄積して放出する複数の電荷蓄積部を有し複数のフレームからなる動態画像を生成する放射線検出器と、前記放射線発生装置を制御する発生装置制御コンソールと、前記放射線発生装置を特定する特定手段を備える放射線撮影システムであって、
診断者が前記動態画像において診たい部位である関心部位及び前記動態画像を診る目的に応じてビニング数を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定されたビニング数に応じて、前記電荷蓄積部が電荷を蓄積可能な状態でいる蓄積時間の長さ及び管電流の量を算出し、前記特定手段により特定した前記放射線発生装置に応じて、適切な照射時間、管電圧、管電流、及び総線量のうちの少なくともいずれかの適正範囲を算出する算出手段と、
算出した適正範囲にない値を設定することを規制する規制手段と、を備える。
ただし、本発明の技術的範囲は、下記実施形態の説明や図面に例示したものに限定されるものではない。
初めに、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム100)の概略構成について説明する。図2はシステム100を表すブロック図、図3はシステム100が備える放射線検出器(以下、検出器2)のブロック図、図4はシステム100が備える発生装置制御コンソール31のブロック図、図5はシステム100を用いて動態画像の撮影(以下、動態撮影)を行うときの動作を示すタイミングチャートである。
また、本実施形態に係るシステム100は、照射指示スイッチ(以下スイッチ4)と、付加装置5と、を更に備えている。
なお、システム100は、通信ネットワークN(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等)を介して、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)や、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)と通信可能となっていてもよい。
発生装置1は、放射線制御装置11と、放射線源12と、を備えている。
各部111,112は、電気的に接続されている。
具体的には、放射線制御部111は、発生装置制御コンソール31から入力されている照射準備信号がONになったことに基づいて、その高電圧発生部112及び付加装置5へ出力している照射準備信号をONにするようになっている。
また、放射線制御部111は、発生装置制御コンソール31から入力されている放射線の照射を指示する照射指示信号がONになったことに基づいて、付加装置5へ出力している照射指示信号をONにするとともに、発生装置制御コンソール31により設定された放射線照射条件に応じた照射信号を高電圧発生部112へ送信するようになっている。
また、高電圧発生部112は、放射線制御部111から照射信号を受信したことに基づいて、予め設定された管電圧を照射出力として放射線源12に印加し、予め設定された量の管電流を放射線源12に供給するようになっている。
検出器2は、図3に示すように、センサー部21と、走査駆動部22と、読み出し部23と、制御部24と、記憶部25と、通信部26と、を備えている。
各部21~26は、電気的に接続されている。
そして、シンチレーターは、放射線を受けることで、放射線よりも波長の長い電磁波(例えば可視光等)を、受けた放射線の線量(mAs)に応じた強度で発するようになっている。
また、シンチレーターは、図示しない筐体の放射線入射面と平行に広がるよう配置されている。
光電変換パネル211は、基板211aと、複数の電荷蓄積部211bと、を有している。
複数の電荷蓄積部211bは、基板におけるシンチレーターと対向する面に、放射線画像の各画素に対応する二次元状(例えば行列状)に配列されている。
各電荷蓄積部211bは、シンチレーターが発生させた電磁波の強度に応じた量の電荷を生成する半導体素子と、各半導体素子と読み出し部23に接続された配線との間に設けられたスイッチ素子と、をそれぞれ有している。
各半導体素子には、図示しない電源回路からバイアス電圧が印加されている。
そして、各電荷蓄積部は、スイッチ素子のON状態/OFF状態を切り替えることにより、受けた放射線に応じて信号値として読み出すための電荷を蓄積して放出するようになっている。
なお、読み出し部23は、信号値を読み出す際にビニングを行うようになっていてもよい。
そして、CPUが、記憶部25に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該処理プログラムに従って各種処理を実行することで、検出器2各部の動作を統括的に制御するようになっている。
また、制御部24は、読み出し部23が読み出した複数の信号値に基づいて放射線画像の画像データを生成するようになっている。
なお、記憶部25は、放射線画像の画像データを記憶することが可能となっていてもよい。
ここで、「蓄積状態」は、各スイッチ素子にOFF電圧が印加され、半導体素子が発生させた電荷が電荷蓄積部211b内に蓄積される状態である。
また、「読み出し状態」は、各スイッチ素子にON電圧が印加され、電荷蓄積部211b内に蓄積されていた電荷が放出されるとともに、読み出し部23が電荷蓄積部211bから流入してきた電荷の量を信号値として読み出す状態である。
そして、検出器2は、蓄積状態及び読み出し状態を繰り返すことにより、複数のフレームからなる動態画像を生成する。
また、検出器2は、必要に応じて、生成した動態画像のデータをコンソール3に送信する。
コンソール3は、図2に示したように、発生装置制御コンソール31と、検出器制御コンソール32と、を備えている。
なお、発生装置制御コンソール31と検出器制御コンソール32とは一つの装置にまとめられていてもよい。
本実施形態に係る発生装置制御コンソール31は、撮影制御装置をなすものである。
この発生装置制御コンソール31の詳細については後述する。
検出器制御コンソール32は、主に検出器2を制御するものである。
また、検出器制御コンソール32は、被検者情報(被検者名、性別、年齢、体格、関心部位等)や撮影条件(蓄積時間、フレームレート、最大撮影枚数、ビニング数等)を検出器2に設定することが可能となっている。
ここで、「蓄積時間」は、電荷蓄積部211bが電荷を蓄積可能な状態でいる(電荷蓄積部211bのスイッチ素子がOFF状態(半導体素子と読み出し部23との間が非導通状態)になってからON状態(半導体素子と読み出し部23との間が導通状態)になるまでの)期間である。
「最大撮影枚数」は、一回の動態撮影で検出器2が生成するフレームの最大枚数である。
また、検出器制御コンソール32は、付加装置5の動作(照射タイミング信号を出力する周期、回数等)を付加装置5に設定することが可能となっている。
また、検出器制御コンソール32は、発生装置1の放射線照射条件を設定できるようになっていてもよい。
また、検出器制御コンソール32は、発生装置制御コンソール31から放射線照射条件等を受信するようになっていてもよい。
スイッチ4は、撮影者が放射線照射を指示するためのものである。
本実施形態におけるスイッチ4は、二段階操作が可能に構成されている。具体的には、一段目が押下されると発生装置制御コンソール31へ出力する照射準備信号をONにし、二段目が押下されると発生装置制御コンソール31へ出力する照射指示信号をONするようになっている。
なお、図1には、スイッチ4が発生装置制御コンソール31に接続され、スイッチ4が出力した照射準備信号や照射指示信号が、発生装置制御コンソール31を介して放射線制御部111へ入力される構成を例示したが、スイッチ4を放射線制御部111へ接続し、照射準備信号や照射指示信号が放射線制御部111へ直接入力されるようになっていてもよい。
付加装置5は、付加制御部51と、図示しない通信部と、を備えている。
この場合、図示しない記憶部に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該処理プログラムに従って各種処理を実行することとなる。
また、通信部は、スイッチ4が出力した照射指示信号を、放射線制御部111(発生装置)を介して取得するようになっている。
また、通信部は、検出器2から撮影開始信号が入力されるようになっている。
この撮影開始信号は、検出器2が撮影可能な状態になるとONになり、撮影不可の状態になるとOFFになる信号である。
また、通信部は、照射タイミング信号を放射線制御部111へ出力することが可能となっている。
本実施形態に係る付加装置5は、撮影タイミング信号を、照射タイミング信号と同じ周期で繰り返し出力するようになっている。
また、付加装置5は、照射タイミング信号及び撮影タイミング信号を、所定回数出力するまで、又は最初に出力してから所定時間が経過するまで、繰り返し出力するようになっている。
このように構成されたシステム100は、コンソール3に撮影条件の一つとして動態撮影が設定され、ユーザーによって照射指示スイッチ13が押下されると、発生装置1及び検出器2が動態撮影を開始する。
動態撮影では、例えば図4に示すように、検出器2が、予め設定された蓄積時間だけ蓄積状態へ切り替わってから読み出し状態へ切り替わる一連の動作を、予め設定されたフレームレートで繰り返す。
一方、発生装置1が、検出器2が蓄積状態に切り替わるたびに(予め設定されたフレームレートで)、予め設定された照射時間の放射線パルスを、被検者及びその背後の検出器2へ繰り返し照射する。
発生装置1及び検出器2は、こうした動作を、検出器2が予め設定された最大撮影枚数のフレームを生成するまで、又は予め設定された撮影時間が経過するまで繰り返す。
そして、検出器2が複数のフレームからなる動態画像を生成する。
次に、上記システム100のコンソール3が備える発生装置制御コンソール31の詳細について説明する。
図5は発生装置制御コンソール31を表すブロック図、図6は発生装置制御コンソール31の制御部311が実行する撮影準備処理の流れを示すフローチャート、図8は蓄積時間毎の放射線照射条件及び撮影条件の設定例を示す表である。
発生装置制御コンソール31は、図5に示すように、制御部311と、通信部312と、記憶部313と、表示部314と、操作部315と、を備えている。
そして、制御部311のCPUは、記憶部313に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、発生装置制御コンソール31各部の動作を集中制御するようになっている。
各種データを有線又は無線で送受信することが可能となっている。
また、記憶部313は、制御部311が各種処理を実行するためのプログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
また、本実施形態に係る記憶部313は、放射線画像の画像データを保存可能となっている。
なお、画像データは、記憶部313とは別に設けられた保存手段に保存されるようになっていてもよい。
そして、操作部315は、操作者によってなされた操作に基づく制御信号を制御部311に出力するようになっている。
このように構成された発生装置制御コンソール31の制御部311は、以下のような機能を有している。
例えば、制御部311は、ユーザーによって操作部315になされた操作に基づいて、放射線照射条件(管電圧、管電流、照射時間等)を放射線制御部111に設定する機能を有している。
また、制御部311は、スイッチ4から入力されている照射準備信号や照射指示信号を放射線制御装置11へ出力する機能を有している。
また、制御部311は、通信部312を介して、検出器制御コンソール32が保持する情報(例えば設定されている撮影条件等)を取得する機能を有している。
なお、制御部311は、通信部312を介して、記憶部313が保持する情報(例えば自身に設定されている放射線照射条件等)を出力する機能を有していてもよい。
また、制御部311は、検出器制御コンソール32から取得した撮影条件の一つである撮影モードに動態撮影が設定されている場合、図6又は図7に示すような撮影準備処理を実行する機能を有している。
この撮影準備処理で、制御部311は、まず、取得処理を実行する(ステップS1)。
この取得処理で、制御部311は、他の装置(例えば検出器制御コンソール32)から、蓄積時間の長さを取得する。
この「取得」には、他の装置(例えば、検出器制御コンソール32)が送信してきた値を受信することや、ユーザーが発生装置制御コンソール31に値を直接入力すること等が含まれる。
制御部311は、このステップS1の処理を実行することにより、設定手段をなす。
蓄積時間を設定した後、制御部311は、管電流算出処理を実行する(ステップS2)。
この管電流算出処理で、制御部311は、ステップS1で設定した蓄積時間で撮影を行う場合に、発生装置1による一の放射線パルスの発生開始及び発生終了が一の蓄積時間に収まる管電流の適正範囲を算出する。
本実施形態に係る制御部311は、例えば図8に示すように、適正範囲の上限値は一定とし、蓄積時間が長いほど適正範囲の下限値が下がるような演算を行う。
このような形で放射線パルスの発生開始及び発生終了を規定することにより、放射線の照射時間が放射線パルスの傾斜特性を考慮したものとなる。
制御部311は、このステップS2の処理を実行することにより、算出手段をなす。
管電流の適正範囲を算出した後、制御部311は、設定処理を実行する。
この設定処理で、制御部311は、管電流の量を設定する。
また、制御部311は、この設定処理を実行する際に、算出した適正範囲にない値を設定することを規制する。
管電流の量の設定の仕方としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
・選択肢の選択
・数値入力
・値が適正範囲にない選択肢をグレーダウン表示する(値が適正範囲内にある選択肢は通常表示)
・値が適正範囲にない選択肢に対する選択操作を受け付けない。
・値が適正範囲にない選択肢が選択された場合にエラー(入力された値が適正範囲にない旨)を報知する。
・値の再入力を求める。
・システム100を構成する少なくとも一つの装置の動作を停止させる。
また、エラーの報知は、文字表示で行ってもよいし、音声で行ってもよい。
また、エラーの報知は、発生装置制御コンソール31自身が行うようになっていてもよいし、エラーを報知する指示を他の装置に出力して、他の装置に行わせるようになっていてもよい。
制御部311は、以上のような制御を行うことにより、設定手段、規制手段及び報知手段をなす。
管電圧、照射時間の設定の仕方は、管電流と同様であってもよいし、異なっていてもよい。
なお、撮影制御装置としての機能は、他の装置(例えば、検出器制御コンソール32等)が備えていてもよい。
また、算出手段、設定手段、規制手段としての各機能は、システム100内に分散し手備えられていてもよい。
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム100は、設定した蓄積時間で撮影を行う場合に、発生装置1による一の放射線パルスの発生開始及び発生終了が一の蓄積時間に収まる管電流の適正範囲を算出し、算出した適正範囲にない値を設定することを規制する。すなわち、放射線パルスの照射時間が、放射線パルスの傾斜特性を考慮したものとなる。
その結果、管電流が小さくても品質に問題の無い動態画像を生成することができる。
次に、上記システム100に付加するための各種技術について説明する。
なお、以下の各種技術は、上記システム100以外の(算出手段や規制手段としての機能を有していない)放射線撮影システムに適用することも可能である。
制御部311は、図9に示すように、検出器制御コンソール32に設定されている撮影条件を検出器制御コンソール32から取得し(ステップS8)、発生装置1に設定された蓄積時間及びフレームレートのうちの少なくとも一方の値と、検出器2に設定された蓄積時間及びフレームレートのうちの少なくとも一方の値と、が一致するか否かを判断する(ステップS9)ようになっていてもよい。
そして、制御部311は、発生装置1に設定された値と検出器2に設定された値とが一致していると判断した場合(ステップS9:Yes)に、発生装置1及び検出器2のうちの少なくとも一方に撮影の許可を出力し、一致していないと判断した場合(ステップS9:No)に、エラーを報知する指示を出力する(ステップS10)ようになっていてもよい。
撮影の許可を出力するのではなく、その前に行われる処理(例えば適正範囲の算出)を行うようになっていてもよい。
このようにすれば、制御部311は、判断手段をなすこととなり、発生装置1と検出器2とで設定された撮影条件が異なる状態で撮影が行われてしまうのを防ぐことができる。
放射線が透過しにくい部位や、体厚の大きい被検者を撮影する場合には、放射線の波長を短くするために管電圧を大きくする必要がある。
ところで、放射線パルスの線量の経時推移をグラフにすると、立ち上がりと立ち下がりが傾斜した略台形を描くことは上述した通りであるが、立ち上がりと立ち下がり(特に立ち下がり)の傾斜は、管電流だけでなく管電圧にも依存する。具体的には、図10に示すように、管電流が小さいと急峻になるが、管電圧が大きくなるほど緩やかになっていく。これは、管電圧が大きくなるほど、放射線源12に供給される電荷が多く(Q=CV)なり、管電圧の印加停止後に放射線源12に溜まった電荷が放射線源12から抜け切るのに時間がかかるためである。
このため、上記システム100は、管電圧を大きく設定して動態撮影を行うと、放射線パルスの照射時間を蓄積時間に収めようとすることで、放射線パルスの発生開始及び発生終了のタイミングを蓄積時間に収められなくなり、その影響を受けた動態画像を生成してしまう可能性があった。
なお、こうした問題は、フレームレートが高くなる程顕著になる。
ここでは、例えば図12に示すように、管電圧及び照射時間の適正範囲の下限値は一定とし、蓄積時間が短いほど適正範囲の上限値が下がるような演算を行う。
そして、制御部311は、適正範囲にない管電流の設定を規制するとともに、算出した適正範囲にない管電圧及び照射時間のうちの少なくとも一方の値を設定することを規制する(ステップS11)ようになっていてもよい。
値を設定することを規制する方法は、上述した管電流の場合と同様にすることができる。
このようにすれば、管電流が小さくても品質に問題の無い動態画像を生成することができるだけでなく、管電圧が大きくても品質に問題の無い動態画像を生成することができる。
その結果、撮影可能な部位を増やすことができるし、体厚の大きい被検者の動態撮影を行うこともできる。
一回の動態撮影で照射する放射線の総線量が高くなると、発生装置1にかかる負荷が大きくなり、発生装置1の寿命が短くなってしまうという課題がある。
そこで、制御部311は、例えば図13に示すように、管電流、管電圧及び照射時間のうちの少なくともいずれかのパラメーター(図13は照射時間のみ)の値として第一の値よりも大きい第二の値が設定された場合に、一回の動態撮影における総線量が、第一の値が設定された場合の総線量を超えないように、管電流、管電圧及び照射時間のうち第二の値が設定されなかったパラメーターの値を下げるようになっていてもよい。
なお、この場合には、第一の値が設定された場合と第二の値が設定された場合とで一回の動態画像の撮影における総線量が等しくなるように(第一の値が第二の値のn(但しn>1)倍のときには残りのパラメーターの値を1/nに)制限するのが好ましい。
このようにすれば、発生装置1や検出器2の寿命が短くなってしまうのを防ぐことができる。
関節の動き等を動態撮影する際、撮影前に被検者に施す処置(例えば整復等)によっては撮影時間に個人差が出ることがある。システム100が長時間の動態撮影に対応していればこうした個人差に対応することはできる。しかし、長時間の動態撮影は、短時間の場合に比べて被検者の被曝量が多くなってしまう。
そこで、制御部311は、例えば図14に示すように、最大撮影時間、最大撮影枚数)及び一の放射線パルスの線量のうちの少なくともいずれかのパラメーター(図14は最大撮影時間のみ)の値として第三の値よりも大きい第四の値が設定された場合に、一回の動態撮影における総線量が、前記第三の値が設定された場合の総線量を超えないように、最大撮影時間、最大撮影枚数及び一の放射線パルスの線量のうち第四の値が設定されなかったパラメーターの値を下げるようになっていてもよい。
なお、この場合には、第三の値が設定された場合と第四の値が設定された場合とで一回の動態画像の撮影における総線量が等しくなるように(第三の値が第四の値のn(但しn>1)倍のときには他方のパラメーターを1/nに)制限するのが好ましい。
このようにすれば、比較的長時間の動態撮影を行っても、被検者の被曝量を抑えることができる。その結果、被検者ごとに異なる撮影時間に対応することができる。
動態撮影においては、どこを関心部位とするかによって、また、関心部位の動き方や動きの速度によって、動態撮影を行う際のフレームレートを変える必要がある。
一方、同じ関心部位であっても、診る目的によって、動態画像に求められる画質が異なる。例えば、整形分野の診断においては、関心部位によって高精細な動態画像が必要となる場合がある一方、それほど高い画質が必要とされない場合もある。すなわち、適正な蓄積時間やフレームレートだけでなく、適正な画素ピッチが必要となる。
そこで、上記システム100において、図15に示すように、設定する(検出器2が信号値を読み出す際に行うビニングの)ビニング数(フレームレート/画素ピッチ)を、設定された関心部位に応じて変更するようになっていてもよい。
このようにすれば、必要に応じて高精細な動態画像を提供することができる。
発生装置1が複数ある場合、その特性(設定内容に対する実際の照射時間、管電圧、管電流、総線量等)は発生装置1(メーカー等)毎に異なる。このため、使用する発生装置1を変更すると、発生装置制御コンソール31上の設定が同じであっても得られる動態画像の画質に差が出る場合がある。
そこで、上記システム100において、接続された発生装置1を特定し、算出する値の適正範囲を、特定した発生装置1に応じて調整するようにしてもよい。
発生装置1の特定は、システム100が自動で行ってもよいし、システム100のセットアップを行う者(メーカのサービスマン等)が、所定操作を行う(プリセットを選択する)ことにより行ってもよい。
このようにすれば、制御部311が装置特定手段をなすこととなり、接続される発生装置1が変更されても適切な動態撮影を行うことができる。
上述したように、動態撮影においては、どこを関心部位とするかによって、また、関心部位の動き方や動きの速度によって、動態撮影を行う際のフレームレートを変える必要がある。
このため、動態速度を考慮しないフレームレートを設定して動態撮影を行うと、得られる動態画像から診断に必要な情報を得られず、再撮影を行わなければならなくなる可能性がある。再撮影は、被検者を過剰に被曝させてしまうことになる。
そこで、上記システム100において、動態画像を撮影している間の被写体の特定動作の速度を検出し、コンソール3が、設定する蓄積時間及びフレームレートを、検出した速度に応じて変更するようになっていてもよい。
速度は、例えば、検出器制御コンソール32が、検出器2が生成した複数のフレームを取得し、二フレーム間の信号値の差分をとることで検出することができる。
このようにすれば、検出器制御コンソール32が速度検出手段をなすこととなり、被検者の特定動作の速度に応じて放射線量を適正化することができる。
検査目的(診たい被検者の動き)によって、フレームに対する着目点が変わってくる。例えば、連続する複数フレーム間の動きを診る場合もあれば、離れたフレーム同士(例えば1枚目と100枚目)を比較する場合もある。
一方、検出器2は、図16(a)に示すように、起動してウォームアップ(動態画像の撮影を開始する前に信号値の読み出しを繰り返す動作)を開始してから熱ノイズの原因となる読み出し部23の温度変化が安定するまでにある程度の時間を要することが知られている。
離れたフレーム同士を比較する場合は、熱ノイズの差が大きくなるため、読み出し部23の温度変化が安定してから生成したフレーム同士(例えば、図16(a)におけるa,bのタイミングで生成されたフレーム)を比較する必要がある。一方、連続する複数フレーム間の動きを診る場合には、両フレームの熱ノイズの差が小さいため、読み出し部23の温度変化が安定する前に生成したフレーム同士(例えば、図16(a)におけるc、dのタイミングで生成されたフレーム)を比較しても診断への影響は小さい。このような場合にも読み出し部23の温度変化が安定するのを待って撮影を行うのは、時間の無駄となる。
そこで、上記システム100において、コンソール3が、検査目的を設定するようにするとともに、設定された検査目的に応じて、ウォームアップ期間の長さも設定するようにしてもよい。
具体的には、連続する複数フレームを比較する場合には、図16(b)に示すように、ウォームアップ期間を短くする。
このようにすれば、検査目的に応じた適正な長さのウォームアップ期間を設定することができ、動態撮影の効率を上げることができる。
動態撮影においては、前フレームを生成する際の電荷が後フレームに影響するラグと呼ばれる現象が生じることがある。このラグは、多くの場合、図17に示すように、前フレームの画像陰影が後フレームに重畳する形で発生する。
ラグが発生する原因の一つに、放射線の照射を受けた後、比較的長い時定数(数秒程度)で減衰する成分(長時定数ラグ)がある。
この長時定数ラグは、対象フレームに、前フレームを用いた重みづけ差分処理を施すことにより除去することができる。しかし、長時定数ラグは、時間に依存する関数であるため、図18に示すように、フレームレートが小さい(積分時間が長い)ほど発生量が大きくなる。
そこで、上記システム100において、ラグ補正処理の重みづけ係数を、設定されたフレームレートに応じて切り変えるようにしてもよい。
このようにすれば、撮影時のフレームレートによって発生の程度が異なるラグを適切に補正することができる。
このため、補正が必要な撮影のみ適応することが望ましい。
よって、撮影部位、ポジショニング、関心部位によりラグが臨床上問題にならない場合は、同一フレームレートでもON/OFFを切り替えられるようにしてもよい。
動態画像の粒状性を向上させたり横引きノイズを低減したりするために、各フレームにフレーム間画像補正処理(例えばリカーシブフィルター)を施すことがある。
しかし、フレームレートや、撮影部位(動きの速さ)を変更して動態撮影を行い、生成された動態画像に同じフレーム間画像処理を施すと、この処理によるおつりでアーチファクトが発生することがある。
そこで、上記システム100において、リカーシブフィルターの係数を、設定されたフレームレートや撮影部位に応じて切り替えるようにしてもよい。
このようにすれば、フレームレートや撮影部位を変更して動態撮影を行っても、動態画像にアーチファクトが発生するのを防ぎつつ、画質を向上させることができる。
無線通信は、有線通信に比べて安定性に欠けることがある。このため、動態画像のデータを検出器2からコンソール3へ転送するのに時間がかかったり、転送できなかったりする場合がある。
データの転送が遅れると、撮影後に行う再撮影が必要か否かの画像確認が遅れるため、被検者を長時間待たせることになり、被検者にかかる負担が大きくなってしまう。
そこで、上記システム100において、検出器2とコンソール3との間の通信を無線で行う場合には、相対的に高いフレームレートを設定するのを規制して転送するデータ量を低減するようにしてもよい。
また、現在の通信状況(実際に通信を行った際の実スループット等)に基づいて、無線通信でも動態画像のデータを遅れることなく送信することのできるフレームレートを算出し、算出したフレームレートを報知するようにしてもよい。
なお、フレームレートを算出した結果、フレームレートの変更で対応できない場合には、有線撮影を促す旨の報知を行うようにしてもよい。
このようにすれば、無線でも短時間で確実に動態画像のデータを転送することができる。
また、システム100を構成する装置の処理性能が十分でない(例えば、回診車に搭載されるコンソール等は、撮影室に設置されるものに比べて処理性能が低いことが多い。)と、高いフレームレートの動態画像のデータを検出器2からコンソール3へ転送したり、検出器2やコンソール3において動態画像に画像処理を施したりするのに時間がかかってしまう場合がある。
データの転送や画像処理が遅れると、撮影後に行う再撮影が必要か否かの画像確認が遅れるため、被検者を長時間待たせることになり、被検者にかかる負担が大きくなってしまう。
そこで、上記システム100において、コンソール3の処理性能(制御部311のコア数、メモリー容量等)に応じて、動態撮影を行う際のフレームレートの上限及び下限のうちの少なくとも一方を算出し、その範囲にないフレームレートが設定されるのを規制するようにしてもよい。
このようにすれば、撮影環境(例えば回診と一般撮影とで異なる装置の処理性能)によらず、短時間で動態撮影から画像確認までの作業を終えることができる。
動態画像の最大撮影枚数は、検出器2が備えるメモリー容量に大きく依存する。このため、上記システム100は、検出器2が備えるメモリー次第では、設定したフレームレートでの動態撮影に対応できない場合がある。
そこで、上記システム100において、検出器2のメモリー容量に応じて、撮影時間及びフレームレートを決定するようにしてもよい。
このようにすれば、接続された検出器2に応じた適切な動態撮影を行うことができる。
1 放射線発生装置
11 放射線制御装置
111 放射線制御部
112 高電圧発生部
12 放射線源
13 照射指示スイッチ
2 放射線検出器
21 センサー部
211 光電変換パネル
211a 基板
211b 電荷蓄積部
22 走査駆動部
23 読み出し部
24 制御部
25 記憶部
26 通信部
3 コンソール
31 発生装置制御コンソール(撮影制御装置)
311 制御部
312 通信部
313 記憶部
314 表示部
315 操作部
32 検出器制御コンソール
4 照射指示スイッチ
5 付加装置
51 付加制御部
N 通信ネットワーク
Claims (4)
- 放射線パルスを発生させる放射線源を有する放射線発生装置と、受けた放射線に応じて信号値として読み出すための電荷を蓄積して放出する複数の電荷蓄積部を有し複数のフレームからなる動態画像を生成する放射線検出器と、前記放射線発生装置を制御する発生装置制御コンソールと、前記放射線発生装置を特定する特定手段を備える放射線撮影システムであって、
診断者が前記動態画像において診たい部位である関心部位及び前記動態画像を診る目的に応じてビニング数を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定されたビニング数に応じて、前記電荷蓄積部が電荷を蓄積可能な状態でいる蓄積時間の長さ及び管電流の量を算出し、前記特定手段により特定した前記放射線発生装置に応じて、適切な照射時間、管電圧、管電流、及び総線量のうちの少なくともいずれかの適正範囲を算出する算出手段と、
算出した適正範囲にない値を設定することを規制する規制手段と、を備える放射線撮影システム。 - 複数の前記放射線発生装置を備え、
接続する前記放射線発生装置を切り替え可能である請求項1に記載の放射線撮影システム。 - 前記放射線発生装置ごとに対応可能なフレームレートを判断し、関心部位、及び撮影のアプリケーションのうちの少なくともいずれかに応じて適切なフレームレートを選択する請求項2に記載の放射線撮影システム。
- 選択された前記フレームレートに応じて、リカーシブフィルターの係数、及び残像補正の係数のうちの少なくともいずれかを切り替える請求項3に記載の放射線撮影システム。
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