JP2008125691A - 放射線画像演算方法および装置並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】同一の放射線画像検出器により同一の被写体Bを連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行うとき、残留信号による画質の劣化を抑制するとともに、撮影時間を短縮し、被検者への負担を低減させる。
【解決手段】放射線画像検出器5から取得した放射線画像P2を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像P1を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像P2′を取得し、参考画像の画素値および前記第1の処理済画像P2′の画素値を用いてエネルギーサブトラクション処理の演算を行う。
【選択図】図2
【解決手段】放射線画像検出器5から取得した放射線画像P2を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像P1を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像P2′を取得し、参考画像の画素値および前記第1の処理済画像P2′の画素値を用いてエネルギーサブトラクション処理の演算を行う。
【選択図】図2
Description
本発明は同一の放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行う放射線画像演算方法および装置並びにプログラムに関するものである。
医療診断を目的とする放射線撮影において、放射線を検出して電気信号に変換する放射線画像検出器が知られている。放射線画像検出器としては、放射線を直接電荷に変換して蓄積する直接変換方式と、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、その光を光導電層で電荷に変換して蓄積する間接変換方式がある。また、読取方式から、光の照射により電荷を発生する半導体材料を利用して読み取る、いわゆる光読取方式と、放射線の照射により発生した電荷を蓄積し、その蓄積した電荷を薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)などの電気的スイッチを1画素ずつON・OFFすることにより読み取る方式(以下、TFT方式という)等がある。
今日、このような放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて、より診断に適した画像を取得する技術が各種提案、実用化されている。例えば、被写体の特定の部分が互いに異なるエネルギーを有する放射線に対して異なる放射線吸収率を有することを利用して、同一の被写体に対して互いに異なるエネルギーを有する放射線を照射してこれら互いに異なるエネルギーを有する各放射線による複数の放射線画像を得、これら複数の放射線画像を適当に重み付けしてその差を演算(下記式(1)参照)することによって被写体の特定部分を抽出するいわゆるエネルギーサブトラクション処理がある。
S=Ka・H−Kb・L+Kc (1)
ただし、Sはサブトラクション処理により得られるサブトラクション画像データ、Ka、Kbは重み付け係数、Kcはバイアス成分、Hは高エネルギー側の画像データ、Lは低エネルギー側の画像データをそれぞれ意味する。
ただし、Sはサブトラクション処理により得られるサブトラクション画像データ、Ka、Kbは重み付け係数、Kcはバイアス成分、Hは高エネルギー側の画像データ、Lは低エネルギー側の画像データをそれぞれ意味する。
また、患部をより詳しく観察するために、放射線源、例えばX線管をフラットパネルと平行に移動させたり、円や楕円の弧を描くように移動させて、異なる照射角で被写体を撮影した複数の放射線画像を得、これら複数の放射線画像を再構成して所望の断層画像を作成するトモシンセシス処理がある。以下に、断層画像を再構成する方法を説明する。
図1に示すように、X線管をQ1、Q2 、・・・、Qnの各位置から異なる照射角で被写体5を撮影すると、それぞれ放射線画像I1、I2、・・・、Inが得られるものとする。そこで、例えば、線源の位置Q1から、異なる深さに存在する対象物(O1、O2)を投影すると、放射線画像I1上にはC11、C12の位置に投影され、線源の位置Q2から、対象物(O1、O2)を投影すると、放射線画像I2上にはC21、C22の位置に投影される。このように、繰り返し異なる線源位置Q1、Q2 、・・・、Qnから投影を行なうと、各線源位置に対応して対象物O1は、C11、C21、・・・、Cn1の位置に投影され、対象物O2は、C12、C22、・・・、Cn2の位置に投影される。
対象物O1の存在する断面を強調したい場合には、放射線画像I2を(C21−C11)分移動させ、放射線画像I3を(C31−C11)分移動させ、・・・、放射線画像In(Cn1−C11)分移動させた画像を加算することにより、対象物O1の深さにある断面上の構造物を強調した断層画像が作成される。また、対象物O2の存在する断面を強調したい場合には、放射線画像I2は(C22−C12)分移動させ、放射線画像I3を(C32−C12)分移動させ、・・・、放射線画像Inを(Cn2−C12)分移動させて加算する。このようにして、必要とする断層の位置に応じて各放射線画像I1、I2、・・・、Inを位置合わせして加算することにより、所望の位置における断層画像を強調した画像を取得することができる。
また、被写体、例えば被検者の肺の動態、心壁の動態、関節の動態等の動いている被写体の動態を連続的に撮影した複数の放射線画像を得、これら複数の放射線画像の差を演算することによって被写体の特定部分の動態を観察し、疾患の診断を行う診断方法もある。
ところで、被写体を透過した放射線に応じて発生した潜像電荷を一旦蓄積し、この蓄積した潜像電荷を電気信号として読み取る上記直接または間接変換方式の放射線画像検出器において、この潜像電荷は読取り、消去等の処理により消去するが、この電荷の消去が不完全である場合には、残った電荷が残留信号として放射線画像検出器内に保持され、比較的に長い時間に亘って徐々に減衰する。このような残留信号が完全に消去されていないまま次の撮影が行われると、保持された残留信号が次の撮影の画像信号とともに検出され、入射した放射線の強度の正確な測定値を得る上で障害となる。この残留信号は、連続してなされる撮影の時間的間隔が小さいほど大きいため、上記エネルギーサブトラクション処理、トモシンセシス処理等の連続的に撮影された複数の放射線画像を用いる処理において、これらの放射線画像における残留信号の悪影響が大きく、問題となる。
そこで、特許文献1では、連続した放射線撮影の間に放射線を照射しないで読取りを行う空読取りをすることにより残留信号を測定し、測定した残留信号を用いて次の撮影で得られた放射線画像中の残像を補正する手法が提案されている。
また、毎回の撮影において、充分な強度と長さで潜像電荷の読取り、消去等を行うことにより、残留信号を充分に低減させ、画像の劣化を抑制する方法も知られている。
特開2004−160238号公報
しかしながら、上記連続した放射線撮影の間に空読取りをすることにより残留信号を測定する特許文献1の手法、または充分な強度と長さで潜像電荷の読取り、消去等を行う従来の技術では、放射線撮影の間にそれらの余分な処理にさらに時間がかかってしまうため、次の撮影を行うまでの待機時間が長く、被検者に負担を強いることになるので、問題となる。
特に、放射線撮影の一種であるマンモグラフィの撮影では乳房を撮影台と圧迫板とで挟み込むように両側から押し付け、乳房を薄く広げた状態で撮影が行なわれるので、長時間の撮影になるほど被検者にとっては苦痛が大きく、撮影時間の短縮が必要となる。
本発明は、上記事情に鑑み、残留信号による画質の劣化を抑制するとともに、撮影時間を短縮し、被検者への負担を低減させることが可能な放射線画像演算方法および装置並びにプログラムを提供することを目的とするものである。
本発明の放射線画像演算方法は、同一の放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行うものであって、放射線画像検出器から取得した放射線画像を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像を取得し、参考画像の画素値および前記第1の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行うことを特徴とするものである。
本発明の放射線画像演算装置は、同一の放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行うものであって、放射線画像検出器から取得した放射線画像を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像を取得する残像除去手段と、参考画像の画素値および第1の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行う画像演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
残像除去手段は、さらに上記参考画像を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて対象画像中の残像を除去した第2の処理済画像を取得する機能を有するものであり、画像演算手段は、第1の処理済画像の画素値および前記第2の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行うものであってもよい。
残像除去手段は、参考画像の画素値に所定の係数を乗算し、所定の係数が乗算された参考画像の画素値を対象画像の画素値から減算することができる。
対象画像は、参考画像より放射線エネルギーが低い撮影条件のもとで撮影されたものであり、所定の演算は、エネルギーサブトラクション処理を行う演算であってもよい。
対象画像は、参考画像とは放射線源の位置が異なる撮影条件のもとで撮影されたものであり、所定の演算は、トモシンセシス処理を行う演算であってもよい。
対象画像および参考画像は、動いている同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得したものであり、所定の演算は、差分を求める演算であってもよい。
所定の係数は、放射線画像検出器の画像消去特性を基に決定するようにしてもよい。
本発明の放射線画像演算プログラムは、同一の放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行うプログラムであって、コンピュータに、放射線画像検出器から取得した放射線画像を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像を取得し、参考画像の画素値および第1の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行うことを実行させるためのものである。
本発明の放射線画像演算方法および装置並びにプログラムによれば、同一の放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行うとき、放射線画像検出器から取得した放射線画像を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像を取得し、参考画像の画素値および前記第1の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行うので、連続した放射線撮影の間に空読取り、または長時間の潜像電荷の読取り、消去等により残像を除去する従来の技術に比べ、撮影時間を短縮でき、被検者への負担を低減できる。
さらに、上記参考画像を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて対象画像中の残像を除去した第2の処理済画像を取得し、第1の処理済画像の画素値および第2の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行う場合、該所定の演算に供する双方の放射線画像中の残像を除去することができ、より正確な所定の演算を行うことができる。
残像の除去が、放射線画像検出器の画像消去特性を基に決定された所定の係数を参考画像の画素値に乗算し、この所定の係数が乗算された参考画像の画素値を対象画像の画素値から減算することにより行なわれる場合、残像の除去をより高精度に行うことができる。
対象画像が、参考画像より放射線エネルギーが低い撮影条件のもとで撮影されたものである場合、放射線画像は高エネルギーの放射線で撮影された場合の方が、低エネルギーの放射線で撮影された場合よりコントラストが小さくなるので、対象画像中の参考画像の残像のコントラストも小さくなり、残像の除去がしやすくなる効果が得られる。そして、所定の演算が、高エネルギーと低エネルギーの放射線でそれぞれ撮影された放射線画像を用いるエネルギーサブトラクション処理を行う演算である場合には、高エネルギーの放射線画像を先に撮影した後、低エネルギーの放射線画像を撮影することにより、演算に用いる放射線画像中の残像除去の精度を向上させることができる。
対象画像が、参考画像とは放射線源の位置が異なる撮影条件のもとで撮影されたものであり、所定の演算が、トモシンセシス処理を行う演算である場合には、トモシンセシス処理に使用される連続した複数の放射線画像において、残像による画質の劣化を抑制するとともに、撮影時間を短縮し、被検者への負担を低減させることができる。
対象画像および参考画像は、動いている同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得したものであり、所定の演算は、差分を求める演算である場合には、この差分に使用される連続した複数の放射線画像において、残像による画質の劣化を抑制するとともに、撮影時間を短縮し、被検者への負担を低減させることができる。
以下、図面を参照して本発明の放射線画像演算装置の第1の実施の形態について説明する。図2は本発明の第1の実施の形態の概略構成図である。
図2に示す第1の実施の形態は、放射線を射出する放射線源3、放射線源3の放射線エネルギーを制御する放射線源制御手段4、放射線源3から射出され、被写体Bを透過した放射線の照射により被写体Bの放射線画像を検出する放射線画像検出器5、および放射線画像演算装置10から構成され、放射線画像演算装置10は、放射線画像検出器5により被写体Bを連続的に2回撮影してそれぞれの撮影で取得した放射線画像P1,P2を取得し、放射線画像P2中の放射線画像P1の残像を除去した処理済画像P2′を取得する残像除去手段11、および放射線画像P1の画素値および処理済画像P2′の画素値を用いてエネルギーサブトラクション処理の演算を行う画像演算手段12を備える。
放射線源制御手段4は、放射線源3の管電圧、ターゲット材料、フィルタ材料等の撮影条件のうち少なくとも一つの条件を変更することにより放射線源3から照射する放射線エネルギーを制御するものである。たとえば、1回目の撮影では、管電圧は49kVp、ターゲット材料はW、フィルタ材料はRh、放射線量は10mAsと設定し、高エネルギーの放射線を射出するようにし、2回目の撮影では、管電圧は28kVp、ターゲット材料はMo、フィルタ材料はMo、放射線量は30mAsと設定し、低エネルギーの放射線を射出するようにすることができる。
放射線画像検出器5は、放射線源3から射出され、被写体Bを透過した放射線を検出して電気信号に変換するものであれば種々のものが使用可能であり、たとえば、電極層、電極層を透過した放射線の照射を受けることにより電荷を発生する光導電層、および光導電層において発生した電荷を収集する収集電極とこの収集電極により収集された電荷を読み出すTFTスイッチとを有する検出素子が2次元上に多数配列された電荷検出層をこの順に積層してなる、いわゆるTFT読取方式の放射線画像検出器を用いる。
この放射線画像検出器5では、被写体Bを透過した放射線が電極層を透過し、光導電層に照射され、照射された放射線量に応じた量の電荷が発生する。この発生した電荷のうち正孔は電極層と収集電極間のバイアス電圧により収集電極に集められ、収集電極に電気的に接続された蓄積容量に蓄積される。その後、走査線を介してTFTスイッチを1画素ずつON状態にする信号を順次加え、データ線を介して各蓄積容量に蓄積された電荷を取り出すことにより検出した放射線画像を読み取ることができる。
なお、上記詳細に説明したTFT読取方式の放射線画像検出器に限らず、光読取方式等の他の直接変換方式の放射線画像検出器、放射線を一度シンチレータで光に変換してその光を電荷に変換する間接変換方式の放射線画像検出器等、いかなるタイプの放射線画像検出器を用いるようにしてもよい。
残像除去手段11は、放射線画像検出器5により被写体Bを連続的に2回撮影してそれぞれの撮影で取得した放射線画像P1,P2(先に撮影して読み取った放射線画像P1、後に撮影して読み取った放射線画像P2であり、放射線画像P2中には放射線画像P1を読み取ったときに放射線画像検出器5中に残った放射線画像P1の残像成分が含まれている)を用いて、放射線画像P2中の放射線画像P1の残像を除去した処理済画像P2′を取得するものである。
具体的には、放射線画像P2(対象画像)の前回に撮影された放射線画像P1(参考画像)の各画素P1(x、y)の画素値に係数αを乗算し、放射線画像P2(対象画像)中の放射線画像P1(参考画像)の残像成分を求め、この残像成分を放射線画像P2(対象画像)の各画素P2(x、y)の画素値から減算して、残像除去の処理済画像P2′(x、y)を得る(下記式(2)参照)。
P2′(x、y)=P2(x、y)-P1(x、y)×α (2)
ここで、係数αは、放射線画像P1を撮影した後、放射線画像P2が撮影されたとき、放射線画像P2の各画素P2(x、y)中に含まれる放射線画像P1の残像成分と放射線画像P1の各画素P1(x、y)の画素値との比率を意味する。
ここで、係数αは、放射線画像P1を撮影した後、放射線画像P2が撮影されたとき、放射線画像P2の各画素P2(x、y)中に含まれる放射線画像P1の残像成分と放射線画像P1の各画素P1(x、y)の画素値との比率を意味する。
この係数αは、放射線画像検出器5の画像消去特性を基に決定することができる。画像消去特性は、放射線画像検出器5において、読み取り、消去等の処理を行うことにより潜像電荷が消去される特性、時間の経過とともに潜像電荷が減衰して消去される特性等を含むものであり、これらの消去特性は放射線撮影後に放射線画像検出器5に残る残像の比率を予めモニターすることにより調べることもできる。
たとえば、この残像成分の比率を示す係数αは、同一の放射線強度で連続的に2回撮影してそれぞれの撮影で取得した放射線画像P1,P2において、放射線画像P2の画素値と放射線画像P1の画素値との差を放射線画像P2の中に含まれる放射線画像P1の残像成分とし、この残像成分と放射線画像P1の画素値との比率を求めることにより決定することができる。
また、図3に示すように、時間の経過とともに残像成分の比率は徐々に減衰するので、放射線画像P1と放射線画像P2の撮影間隔tDをt1、t2、・・・、tNに変化させ、それらの各撮影間隔tDで、同一の放射線強度で連続的に2回撮影してそれぞれの撮影で取得した放射線画像P1,P2において、放射線画像P2の画素値と放射線画像P1の画素値との差を放射線画像P2の中に含まれる放射線画像P1の残像成分とし、その残像成分と放射線画像P1の画素値との比率を求めることにより、撮影間隔tDの変化に対応した係数α(tD)を決定することもできる。
また、放射線画像検出器5の画像消去特性が画素毎にばらつきがある場合には、残像除去の性能をより向上させるため、上記係数αが画素(x、y)毎に決定されるようにしてもよい。たとえば、同一の放射線強度で連続的に2回撮影してそれぞれの撮影で取得した放射線画像P1,P2において、放射線画像P2の各画素(x、y)の画素値と放射線画像P1の各画素(x、y)の画素値との差を放射線画像P2の各画素(x、y)の中に含まれる放射線画像P1の残像成分とし、その残像成分と放射線画像P1の各画素(x、y)の画素値との比率を画素(x、y)毎に求めることにより、画素(x、y)毎に係数α(x、y)を決定することができる。
なお、係数αは、上述した撮影間隔tD、画素毎のばらつき等の要素に加え、残像成分の比率に影響を及ぼす他の要素、たとえば、先に撮影して読み取った放射線画像P1の画素値の大きさにより、時間の経過とともに減衰する残像成分の比率が異なる場合には、放射線画像P1の画素値の大きさをさらに反映させたものであってよい。
画像演算手段12は、放射線画像検出器5から取得した放射線画像P1の画素値および残像除去手段11によって放射線画像P2から残像を除去した処理済画像P2′の画素値を用いてエネルギーサブトラクション処理の演算を行うものである。
エネルギーサブトラクション処理は、被写体の特定の部分が互いに異なるエネルギーを有する放射線に対して異なる放射線吸収率を有することを利用して、同一の被写体に対して互いに異なるエネルギーを有する放射線を照射してこれら互いに異なるエネルギーを有する各放射線による複数の放射線画像を得、これら複数の放射線画像を適当に重み付けしてその差を演算(下記式(3)参照)することによって被写体の特定部分を抽出する処理である。例えば、胸部X線撮影において、鎖骨、肋骨が重なり合う肺尖部は、肺ガン、結核の診断に重要な領域であり、骨と重なった陰影の読影はしばしば困難状況となる。そこで、図4に示すように、この胸部X線撮影を互いに異なるエネルギーを有する放射線を照射して行なった場合、低エネルギーの放射線を照射して得られた画像Lと高エネルギーの放射線を照射して得られた画像Hにおける骨部と軟部組織のコントラストの比が異なることから、これらの低エネルギー画像Lと高エネルギー画像Hに適当な係数を乗算した後、その差を演算することにより骨部画像S2と軟部組織画像S1を分離して抽出することができる。
S=Ka・H−Kb・L+Kc (3)
ここで、Sはサブトラクション処理により得られるサブトラクション画像データ、Ka、Kbは重み付け係数、Kcはバイアス成分、Hは高エネルギー側の画像データ、Lは低エネルギー側の画像データをそれぞれ意味する。
ここで、Sはサブトラクション処理により得られるサブトラクション画像データ、Ka、Kbは重み付け係数、Kcはバイアス成分、Hは高エネルギー側の画像データ、Lは低エネルギー側の画像データをそれぞれ意味する。
以上、詳細に説明したように、放射線画像検出器から取得した放射線画像P2( 対象画像 )の前回に撮影された放射線画像P1(参考画像)の画素値に基づいて、放射線画像 P2中の残像を除去した処理済画像P2′を取得し、放射線画像P1の画素値および処理済画像P2′の画素値を用いてエネルギーサブトラクション処理の演算を行うので、放射線画像P1、P2の連続した放射線撮影の間に空読取り、または長時間の潜像電荷の読取り、消去等により残像を除去する従来の技術に比べ、演算処理により極めて短時間で残像を除去することができ、その結果撮影間隔が短縮し、被検者への負担を低減できる。
さらに、放射線画像P1、P2をこの順に連続して放射線撮影するとき、高エネルギーの放射線画像を先に撮影した後、低エネルギーの放射線画像を撮影することにより、放射線画像P1(参考画像)は高エネルギーの放射線で撮影された場合の方が低エネルギーの放射線で撮影された場合よりコントラストが小さなるので、放射線画像P2(対象画像)中の放射線画像P1(参考画像)の残像のコントラストも小さくなり、残像の除去がしやすくなる効果が得られ、残像除去の精度を向上させることができる。
なお、上記実施の形態において、被写体Bとなる被検者に対して行われる上記放射線画像P1、P2の本撮影の前に、潜像電荷の読取り、消去等の処理を行うことにより長期残像を除去し、残像補正の精度をより向上させることができる。
次に、図面を参照して本発明の放射線画像演算装置の第2の実施の形態について説明する。図5は本発明の第2の実施の形態の概略構成図である。第2の実施の形態では、放射線画像検出器5により被写体Bを連続的に3回撮影してそれぞれの撮影で取得した放射線画像P0、P1、P2において、放射線画像P1、P2中の残像を除去した処理済画像P1′、P2′得、それらの画像を用いて所定の演算を行う場合について説明する。また、本実施の形態では、前述の実施の形態と同一のものには、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図5に示す第2の実施の形態は、放射線を射出する放射線源3、放射線源3の放射線エネルギーを制御する放射線源制御手段4、放射線源3から射出され、被写体Bを透過した放射線の照射により被写体Bの放射線画像を検出する放射線画像検出器5、および放射線画像演算装置20から構成され、放射線画像演算装置20は、放射線画像検出器5により被写体Bを連続的に3回撮影してそれぞれの撮影で取得した放射線画像P0、P1、P2において、放射線画像P1、P2 中の残像を除去した処理済画像P1′、P2′取得する残像除去手段21、および処理済画像P1′の画素値および処理済画像P2′の画素値を用いてエネルギーサブトラクション処理の演算を行う画像演算手段22を備える。
残像除去手段21は、放射線画像検出器5により連続的に3回撮影してそれぞれの撮影で取得した放射線画像P0,P1,P2を用いて、放射線画像P1中の放射線画像P0の残像を除去した処理済画像P1′と、放射線画像P2中の放射線画像P1の残像を除去した処理済画像P2′とを取得するものである。具体的には、放射線画像P1(対象画像)の前回に撮影された放射線画像P0(参考画像)の各画素P0(x、y)の画素値に係数α(x、y、tD)を乗算して、放射線画像P1の中に含まれる放射線画像P0の残像成分を求め、この残像成分を放射線画像P1の各画素P1(x、y)の画素値から減算して、残像除去の処理済画像P1′(x、y)を得る。ここで、tDは放射線画像0と放射線画像P1の撮影間隔である。また、放射線画像P2(対象画像)の前回に撮影された放射線画像P1(参考画像)の各画素P1(x、y)の画素値に係数α(x、y、tD)を乗算して、放射線画像P2の中に含まれる放射線画像P1の残像成分を求め、この残像成分を放射線画像P2の各画素P2(x、y)の画素値から減算して、残像除去の処理済画像P2′(x、y)を得る。ここで、tDは放射線画像1と放射線画像P2の撮影間隔である。
画像演算手段22は、放射線画像検出器5から取得した処理済画像P1′の画素値および処理済画像P2′の画素値を用いてエネルギーサブトラクション処理の演算を行うものである。
以上、詳細に説明したように、放射線画像検出器5から取得した放射線画像P1(対象画像)の前回に撮影された放射線画像P0(参考画像)の画素値に基づいて、放射線画像 P1中の残像を除去した処理済画像P1′を取得し、放射線画像P2(対象画像)の前回に撮影された放射線画像P1(参考画像)の画素値に基づいて、放射線画像P2中の残像を除去した処理済画像P2′を取得し、処理済画像P1′の画素値および処理済画像P2′の画素値を用いてエネルギーサブトラクション処理の演算を行うので、放射線画像P1、P2の連続した放射線撮影の間に空読取り、または長時間の潜像電荷の読取り、消去等により残像を除去する従来の技術に比べ、演算処理により極めて短時間で残像を除去することができ、その結果撮影間隔が短縮し、被検者への負担を低減できる。また、画像演算手段22によるエネルギーサブトラクション処理の演算に供する双方の放射線画像中の残像を除去することができ、より正確なエネルギーサブトラクション処理の演算を行うことができる。
なお、上記実施の形態では、放射線画像P0が放射線画像P1、P2と同一の被写体Bを撮影した画像である必要はなく、被写体を用いないで撮影した画像であってもよいし、いかなる被写体を撮影した画像であってもよいが、放射線画像P0が放射線画像P1、P2と同一の被写体Bを撮影した画像である場合、放射線画像から被写体Bの放射線撮影に適した撮影条件を判断する判断手段をさらに備え、放射線画像P0から判断した被写体Bに適した撮影条件を放射線画像P1以降の放射線撮影の撮影条件に反映させることも可能である。たとえば、マンモグラフィの撮影において、放射線画像P0の被写体Bとなる乳房内の乳腺の量、異常陰影の有無等からこの被写体Bの放射線撮影に適した撮影条件を判断し、放射線画像P1以降の放射線撮影の撮影条件を設定することができる。
前述の各実施の形態において、放射線源制御手段4が放射線源3から照射する放射線エネルギーを制御するものであって、画像演算手段12、22がエネルギーサブトラクション処理の演算を行うものである場合について説明したが、放射線源制御手段4は、例えば、図1に示すように、放射線源3の位置をQ1、Q2、・・・、Qnに制御する機能を有し、画像演算手段12、22は、放射線をそれらの各位置から異なる照射角で被写体Bを照射してそれぞれ撮影した複数の放射線画像P1、P2、・・・、Pnにおいて、放射線画像P2、P3、・・・、Pn中の残像を除去した処理済画像P2′、P3′、・・・、Pn′得、放射線画像P1および処理済画像P2′、P3′、・・・、Pn′を用いてトモシンセシス処理の演算を行うものであってもよい。
具体的には、放射線画像P2(対象画像)の前回に撮影された放射線画像P1(参考画像)の各画素P1(x、y)の画素値に係数α(x、y、tD)を乗算して、放射線画像P2の中に含まれる放射線画像P1の残像成分を求め、この残像成分を放射線画像P2の各画素P2(x、y)の画素値から減算して、残像除去の処理済画像P2′(x、y)を得る。また、放射線画像P3(対象画像)の前回に撮影された放射線画像P2(参考画像)の各画素P2(x、y)の画素値に係数α(x、y、tD)を乗算して、放射線画像P3の中に含まれる放射線画像P2の残像成分を求め、この残像成分を放射線画像P3の各画素P3(x、y)の画素値から減算して、残像除去の処理済画像P3′(x、y)を得る。このようにして、処理済画像P2′、P3′、・・・、Pn′を取得し、放射線画像P1および処理済画像P2′、P3′、・・・、Pn′を用いてトモシンセシス処理の演算を行うことができる
さらに、放射線画像P1の前回に撮影された放射線画像P0が存在する場合、放射線画像P0(参考画像)の各画素P0(x、y)の画素値に係数α(x、y、tD)を乗算して、放射線画像P1の中に含まれる放射線画像P0の残像成分を求め、この残像成分を放射線画像P1の各画素P1(x、y)の画素値から減算して、残像除去の処理済画像P1′(x、y)を得、処理済画像P1′、P2′、・・・、Pn′を用いてトモシンセシス処理の演算を行うことができる。(下記式(4)参照、m=1、2、・・・、n)。
さらに、放射線画像P1の前回に撮影された放射線画像P0が存在する場合、放射線画像P0(参考画像)の各画素P0(x、y)の画素値に係数α(x、y、tD)を乗算して、放射線画像P1の中に含まれる放射線画像P0の残像成分を求め、この残像成分を放射線画像P1の各画素P1(x、y)の画素値から減算して、残像除去の処理済画像P1′(x、y)を得、処理済画像P1′、P2′、・・・、Pn′を用いてトモシンセシス処理の演算を行うことができる。(下記式(4)参照、m=1、2、・・・、n)。
Pm′(x、y)=Pm(x、y)-Pm-1(x、y)×α(x、y、tD) (4)
ここで、tDは放射線画像Pm-1と放射線画像Pmの撮影間隔である。
ここで、tDは放射線画像Pm-1と放射線画像Pmの撮影間隔である。
また、画像演算手段12、22は、入力された複数の放射線画像の差分を求める演算であってもよい。具体的には、放射線源制御手段4による放射線源3から照射する放射線エネルギー、放射線源3の位置等の撮影条件および他の撮影条件を一定にし、放射線画像検出器5により動いている同一の被写体を連続的に撮影して得られた、被写体の動態、例えば被検者の肺の動態、心壁の動態、関節の動態等の動いている被写体の動態を示す複数の放射線画像に対して、残像除去手段21により各放射線画像中の残像を除去した処理済画像を得、画像演算手段12、22により連続する放射線画像の処理済画像間の差を演算し、被写体の特定部分の動態を観察し、疾患の診断を行うことができる。
なお、高エネルギーの放射線で撮影された放射線画像に対して階調補正を行い、低エネルギーの放射線で撮影された放射線画像に対して粒状抑制処理を行う等、画像演算手段12、22に用いる放射線画像に対してさらに補正を加えるようにしてもよい。
また、低エネルギーの放射線で放射線撮影を行うとき、低エネルギーの放射線は吸収率が高く、被曝量が多くなるので、放射線量を制限することが望ましい。
B 被写体
tD 撮影間隔
α 係数
Pn 放射線画像
H 高エネルギー放射線画像
L 低エネルギー放射線画像
3 放射線源
4 放射線源制御手段
5 放射線画像検出器
10 放射線画像演算装置
11、21 残像除去手段
12、22 画像演算手段
tD 撮影間隔
α 係数
Pn 放射線画像
H 高エネルギー放射線画像
L 低エネルギー放射線画像
3 放射線源
4 放射線源制御手段
5 放射線画像検出器
10 放射線画像演算装置
11、21 残像除去手段
12、22 画像演算手段
Claims (9)
- 同一の放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行う放射線画像演算方法であって、
前記放射線画像検出器から取得した放射線画像を残像除去の対象画像とし、
該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、
該参考画像の画素値に基づいて前記対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像を取得し、
前記参考画像の画素値および前記第1の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行う
ことを特徴とする放射線画像演算方法。 - 同一の放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行う放射線画像演算装置であって、
前記放射線画像検出器から取得した放射線画像を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて前記対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像を取得する残像除去手段と、
前記参考画像の画素値および前記第1の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行う画像演算手段と
を備えたことを特徴とする放射線画像演算装置。 - 前記残像除去手段が、さらに前記参考画像を残像除去の対象画像とし、該対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて前記対象画像中の残像を除去した第2の処理済画像を取得する機能を有するものであり、
前記画像演算手段が、前記第1の処理済画像の画素値および前記第2の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行うものであることを特徴とする請求項2記載の放射線画像演算装置。 - 前記残像除去手段が、前記参考画像の画素値に所定の係数を乗算し、所定の係数が乗算された前記参考画像の画素値を前記対象画像の画素値から減算するものであることを特徴とする請求項2または3記載の放射線画像演算装置。
- 前記対象画像が、前記参考画像より放射線エネルギーが低い撮影条件のもとで撮影されたものであり、
前記所定の演算が、エネルギーサブトラクション処理を行う演算であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の放射線画像演算装置。 - 前記対象画像が、前記参考画像とは放射線源の位置が異なる撮影条件のもとで撮影されたものであり、
前記所定の演算が、トモシンセシス処理を行う演算であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の放射線画像演算装置。 - 前記対象画像および前記参考画像が、動いている同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得したものであり、
前記所定の演算が、差分を求める演算であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の放射線画像演算装置。 - 前記所定の係数が、前記放射線画像検出器の画像消去特性を基に決定されたものであることを特徴とする請求項4から7のいずれか1項記載の放射線画像演算装置。
- 同一の放射線画像検出器により同一の被写体を連続的に複数回撮影して取得した複数の放射線画像を用いて所定の演算を行うプログラムであって、
コンピュータに、
前記放射線画像検出器から取得した残像除去の対象画像の前回に撮影された放射線画像を残像除去の参考画像とし、該参考画像の画素値に基づいて前記対象画像中の残像を除去した第1の処理済画像を取得し、前記参考画像の画素値および前記第1の処理済画像の画素値を用いて所定の演算を行う
ことを実行させるためのプログラム。
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JP2006312412A JP2008125691A (ja) | 2006-11-20 | 2006-11-20 | 放射線画像演算方法および装置並びにプログラム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2006
- 2006-11-20 JP JP2006312412A patent/JP2008125691A/ja not_active Withdrawn
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