JP4868383B2 - 蓄熱効果を利用する自発的フロンタルポリメリゼーションによる改良された屈折率分布型光伝送体の作製方法 - Google Patents

蓄熱効果を利用する自発的フロンタルポリメリゼーションによる改良された屈折率分布型光伝送体の作製方法 Download PDF

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本発明は、蓄熱効果を利用する自発的フロンタルポリメリゼーションを利用した、屈折率が中心軸から徐々に変化する屈折率分布型の光伝送体の作製方法に関する。さらに、本発明はこのような方法により作製された光ファイバー、レンズ等の光伝送体に関する。
半径方向に連続的に屈折率が変化するレンズのことを屈折率分布(GRIN)型レンズと呼び、近年様々な光学デバイスへの応用が期待されている。GRIN型レンズは、均一屈折率レンズに比べ、光学特性に優れており、レンズの薄型化や収差を改善することができる。GRIN型レンズの作製方法として種々の方法が開発されている(特許文献1〜9を参照)。
本発明者は先に、モノマーとアリル基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基のような二重結合を1つ以上有する多官能性モノマーとプロピオン酸系エステルおよびイソ酪酸系エステルあるいはフタル酸系エステルやアジピン酸系エステル等の低分子化合物(低分子ドーパント)と重合開始剤を用いた自発的フロンタルポリメリゼーション(フロンタル重合法)という方法を開発した(特許文献10参照)。自発的フロンタル重合法とは、蓄熱効果、ゲル効果、熱拡散という三つの要素により、重合容器中心部にフロントと呼ばれるポリマーとモノマーの境界面が形成され、このフロントが重合容器周辺部へ移動していく重合法である(図1)。この方法により、重合容器中心部から重合体を形成することが可能なので、気泡の混入を低減化できる。
特許976507号公報 特許1858593号公報 特開平5-173026号公報 特開平5-241036号公報 特開平6-186441号公報 特開平6-194530号公報 特開平8-54520号公報 特開平8-62434号公報 特開平9-269424号公報 WO 2004/068202
本発明は、前処理の必要もなく、また複雑な装置も必要とすることなく、簡易な装置を用いて、重合容器の材質を限定せずに、屈折率が中心軸から徐々に変化する屈折率分布型の光伝送体であって、気泡や空洞の混入がなく、透明性に優れた屈折率分布型の光伝送体を得ることを目的とする。具体的には、本発明は、熱効果を利用する自発的フロンタルポリメリゼーションを利用した、屈折率が中心軸から徐々に変化する屈折率分布型の光伝送体の作製方法であって、材料としてモノマー、ポリマーおよび重合開始剤を用いて、自発的フロンタルポリメリゼーションを重合容器中心部から重合容器周辺部に向かっておよび/または重合容器周辺部から重合容器中心部に向かって進行させることにより、中心軸と周辺との屈折率差が大きい光伝送体の作製方法を提供することを目的とする。また、本発明は自発的フロンタルポリメリゼーションを利用して屈折率分布型の光伝送体を作製する際に、重合容器を傾けることにより、屈折率の中心軸がレンズ中心からオフセットされた屈折率分布型の光伝送体の作製方法を提供することを目的とする。
本発明者は先に、モノマーとアリル基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基のような二重結合を1つ以上有する多官能性モノマーとプロピオン酸系エステルおよびイソ酪酸系エステルあるいはフタル酸系エステルやアジピン酸系エステル等の低分子化合物(低分子ドーパント)と重合開始剤を用いた自発的フロンタルポリメリゼーション(フロンタル重合法)という方法を開発した。
本発明者は、さらに中心の屈折率と周辺の屈折率の差が大きい光伝送体の作製方法について鋭意検討を行った。
その結果、フロンタルリメリゼーションを行わせるときに、モノマー、ポリマーおよび重合開始剤を混合し、ポリマーのモノマーに対する混合比を調節することにより、重合が開始される部位が変動することを見出した。すなわち、ポリマーの混合比が低い場合、重合は重合容器の中心から周辺部に向かって進行し、ポリマーの混合比が高い場合、重合は重合容器の周辺部から中心部に向かい、ポリマーの混合比が中程度の場合は、重合が重合容器中心部から周辺部および重合容器周辺部から中心部に向かう2方向に進行することを見出した。このように、重合の開始部位および進行方向を調整することにより、任意の屈折率分布を有する光伝送体を作製することができ、特に重合を2方向に進行させることにより、中心部と周辺部との屈折率差が大きい光伝送体を作製することができた。
本発明者は、さらにより任意の屈折率分布を有する光伝送体を作製するために、重合容器の中心軸に対して中心がずれた光伝送体の製造方法について鋭意検討を行った。その結果、重合を行わせるときに重合禁止剤を添加し、なおかつ重合容器を鉛直方向から傾けることにより、中心がずれた光伝送体が作製し得ることを見出した。
すなわち、本発明の態様は以下のとおりである。
[1] 屈折率が中心軸から徐々に変化する屈折率分布型の光伝送体の作製方法において、モノマー、ポリマーおよび重合開始剤を重合容器内に充填し、重合容器を加熱し、ポリマーの添加量を調節することにより容器中心部から容器周辺部方向へのフロント形成重合反応および容器周辺部から容器中心方向へのフロント形成重合反応の一方または両方を進行させることを特徴とする屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[2] 屈折率が中心軸から徐々に変化する屈折率分布型の光伝送体の作製方法において、モノマー、ポリマーおよび重合開始剤を重合容器内に充填し、重合容器を加熱し、ポリマーの添加量を調節することにより容器中心部から容器周辺部方向へのフロント形成重合反応および容器周辺部から容器中心方向へのフロント形成重合反応の両方を進行させることを特徴とする[1]の屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[3] 重合容器内に充填する際に、ポリマーがモノマーに対して5〜10重量%含まれる[2]の屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[4] モノマーおよび/またはポリマーを2種類以上重合容器内に充填する、[1]から[3]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[5] 加熱温度が50℃以下である、[1]から[4]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[6] 重合開始剤の10時間半減期温度が20℃から70℃である[5]の屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[7] 重合開始剤が、有機過酸化物、過硫酸塩類およびアゾ系化合物からなる群から選択される[6]の屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[8] モノマーが、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルである[1]から[7]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[9] ポリマーが、ポリアルファメチルスチレンからなる群から選択される[1]から[8]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[10] 重合容器を鉛直方向に対して10度から90度傾けることにより、重合容器内の高さの50%を超える長さの光伝送体を作製する[1]から[9]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[11] 重合容器内の高さの75%以上の長さの光伝送体を作製する[10]の屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[12] さらに、重合容器内に重合禁止剤またはあるいは重合抑制剤を添加し、重合容器を鉛直方向に対して10度から90度傾けることにより、中心が重合容器の中心軸からずれた光伝送体を作製する[1]から[9]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
[13] 重合容器を鉛直方向に対して75度から90度傾ける[12]の屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[14] 重合禁止剤がハイドロキノン化合物もしくはその誘導体、2,2−ジフェニル−1ピクリルヒドラジルまたはニトロベンゼンである[12]または[13]の屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[15] 重合禁止剤の添加量がモノマーに対して、0.0001〜0.002重量%である[12]から[14]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法、
[16] ポリマーの代わりに、低分子化合物として、プロピオン酸系エステルまたはイソ酪酸系エステルを添加する[10]から[15]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法、ならびに
[17] [1]から[16]のいずれかの屈折率分布型の光伝送体の作製方法により作製された光伝送体。
本発明の方法を用いることにより、重合容器内の中心部、周辺部または中心部および周辺部の両方からフロンタルポリメリゼーションを進行させることができ、作製する光伝送体の屈折率分布を自由に設計することができる。特に、重合容器の中心部および周辺部の両方からフロンタルポリメリゼーションを進行させる場合、中心部と周辺部の屈折率の差が大きい光伝送体を作製することができる。
このように屈折率分布を自由に設計できるので、任意の屈折率分布を有する光学レンズを得ることができる。また、中心部と周辺部の屈折率差が大きい光伝送体は、屈曲状態でも光伝送の損失の少ない光伝送ファイバーとして利用することができる。
さらに、本発明の方法により、中心がずれた光伝送体を作製することができる。中心をずらすことにより、不均一な屈折率を有するレンズを作製することができる。
本発明の方法は、任意の形状の重合容器を用いて、任意の形状および任意の屈折率分布を有する、屈折率分布型光伝送体の製造を可能とする。
本発明に用いる重合容器の形状は、中空の球形状、あるいは中空の卵のような形状、さらには、円筒状など、容器外部から熱が伝わり蓄熱効果が誘発されるような形状であればよい。例えば、動物の水晶体を模した人工レンズを作製しようとする場合、水晶体の形状を有する容器を作製し重合容器として用いればよい。ここで、蓄熱効果とは内部に光伝送体の原料を含んだ重合容器を加熱した場合、加えた熱が容器外側から重合容器内の中心に集まり中心部分が他の部分に比較して加熱されることをいう。すなわち、上記の蓄熱効果が誘発されるような形状とは重合容器周辺から加えた熱が伝導により容器中心部に集中し得る形状をいう。重合容器の形状により、蓄熱される中心部分が決まるため、重合容器形状を設計して任意の位置から重合を開始させることができる。また、重合容器自体の反応性は必要としないため、金属、プラスチック、ガラス、陶磁器、セラミック等どのような材質のものでも用いることができる。さらに、可塑性の材質を用いることにより任意の形状を形成させることができる。
本発明の光伝送体の材料は、モノマー、ポリマーおよび重合開始剤等であり、これらの物質を重合容器内部に充填する。加熱による蓄熱効果により重合容器内の中心が一定温度以上になると、重合開始剤が作用し重合容器内の中心部で重合が始まり、また加熱により容器内部周辺部が一定温度以上になると周辺部でモノマーの重合が始まりモノマーとポリマーの境界面からなるフロントが形成され、フロントが中心部から重合容器内壁に向かっておよび/または周辺部から中心部に向かって移動しながら重合が進行していく(フロンタルポリメリゼーション)。
ポリマーを低分子化合物の代わりに用いて重合させた場合、重合体に光ファイバーのクラッド層的な部分を形成させることが可能となる。すなわち、1回の単なる重合で、光を導波させる部分は屈折率分布を有し、かつ光を漏れないようにするクラッド層付きの光ファイバーの母材を作製することが可能となる。さらに、これを熱延伸すれば屈折率分布型光ファイバーとすることができる。また眼内レンズへの応用を考えた場合、現在生体適合性材料として注目を集めている2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)のポリマーを用いることができる。これをうまく人工水晶体材料表面付近に形成させることにより、その素子の生体適合性を高めることが可能となる。
本発明で用い得るモノマーとしては、アリル基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基のような二重結合を1つあるいはそれ以上有する多官能性モノマーであって、透明な重合体を与えるものであれば限定されず、スチレン(1.592)、パラクロロスチレン(1.610)、アクリロニトリル(1.520)、メタクリロニトリル(1.520)、フェニル酢酸ビニル(1.567)、安息香酸ビニル(1.578)、ビニルナフタレン(1.682)、アクリル酸メチル(1.480)、メタクリル酸メチル(1.490)、アクリル酸エチル(1.469)、メタクリル酸エチル(1.485)、アクリル酸ブチル(1.463)、メタクリル酸ブチル(1.483)、メタクリル酸シクロヘキシル(1.507)、メタクリル酸フェニル(1.571)、メタクリル酸ベンジル(1.568)、メタクリル酸ナフチル(1.635)、メタクリル酸トリフルオロエチル(1.437)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(1.512)等が挙げられる。かっこ内にはそれぞれのモノマーが重合したときの屈折率を示す。
この中でもスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等のアルキル(メタ)アクリレート系モノマーが特に好ましい。
本発明で用い得るポリマーとしては、上記モノマーの重合体や共重合体、さらにはポリアルファメチルスチレンや無水マレイン酸とビニルエーテルの共重合体、また2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)等の生体適合性ポリマー等が挙げられる。用いるポリマーの分子量は3千〜50万である。高分子量のものほど、低い濃度で重合容器周辺部からフロンタルポリメリゼーションが開始する。この中でもポリアルファメチルスチレンが特に好ましい。
また、モノマー、ポリマーともに複数の種類を含んでいてもよく、種類の異なるモノマーの混合比、種類の異なるポリマーの混合比も限定されない。例えば、複数種類のモノマーを用いる場合、より重合しやすいモノマーが光伝送体のより中心部で重合する。用いるモノマーの屈折率、溶解度、重合のしやすさ等を考慮し、モノマーおよびポリマーの種類を選択することにより所望の屈折率分布を有する光伝送体を作製することができる。
光伝送体を、動物の水晶体の屈折率分布を模した人工眼内レンズとして用いる場合、モノマーおよびポリマーは生体適合性物質である必要がある。ここで、生体適合性とは長期間にわたって生体に悪影響も強い刺激も与えず、本来の機能を果たしながら生体と共存できる材料の属性をいう。生体適合性モノマーとしては(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、グリセリンモノメタクリレート等が、生体適合性ポリマーとしてはMPCが例示できるが、これらに限定されるものではない。
重合開始剤は、モノマーおよびポリマーに混合して用いる。重合開始剤としては公知のものを用いることができるが、本発明の重合反応は比較的低温、好ましくは50℃以下で進行するため重合開始剤も比較的低温で作用するものが好ましく、10時間半減期温度が重合時の温度以下、例えば40℃程度のものが好ましい。また、10時間半減期温度が重合時の温度以上の重合開始剤を用いることもできる。例えば、10時間半減期温度が約70℃以下の重合開始剤を用いることができる。この場合、重合反応の効率は低くなるが、重合が起こるので、本発明の光伝送体を得ることができる。用いる重合開始剤は、重合を進行させる温度により10時間半減期温度を指標に適宜選択することができる。重合開始剤の例として、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物、パーオキシカーボネート類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物、過硫酸塩類、過酸化ベンゾイル(10時間半減期温度約70℃)等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜組合わせて用いることができる。重合開始剤は、モノマーに対して0.1〜10重量%混合すれば良い。
このうち過硫酸塩類は主に水系の重合開始剤として用いられ、過硫酸塩類として過硫酸アンモニウムや、過硫酸ナトリウム、あるいは過硫酸カリウムが挙げられる。また、パーオキシカーボネート類としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度40.5℃)、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(40.5℃)、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(40.8℃)、ジ(2エトキシエチル)パーオキシジカーボネート(43.4℃)、ジ(2エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(43.5℃)等が、パーオキシエステル類としては、クミルパーオキシネオデカノエート(36.5℃)、1,1,3,3テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(40.7℃)、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート(44.5℃)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(46.4℃)等が挙げられる。
必要に応じて分子量調整剤を単独でまたは適宜に組み合わせて用いることもできる。分子量調整剤として、例えば四塩化炭素、四臭化炭素等のアルキルハライド類あるいはブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2−ヒドロキシエチルメルカプタンあるいはチオグリコール酸オクチル等のメルカプタン類等が挙げられる。
また、作製される重合体の透明性を阻害しない限り、多官能性モノマーを添加してもよい。こうすることにより、作製される重合体の剛性が増大すると同時に、耐薬品性にも優れたものとなる。多官能性モノマーとしてはエチレングリコールジメタクリレートや、ジビニルベンゼン等をモノマーに対して20重量%程度用いることができる。また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等が挙げられる。
また、本発明の重合に際しては溶媒を使用することもできるが、溶媒を使用した場合には、重合後の溶媒除去工程が必要となり、また溶媒除去による弊害が生ずるため、通常は溶媒を用いずにモノマーそれ自体あるいは、ポリマーそれ自体を溶媒の代わりとして重合反応を行うことが望ましい。
本発明の方法において、重合容器に上記モノマー、ポリマーおよび重合開始剤等を所定の混合比で混合したものを充填し、重合を開始させる。この際、最初にモノマーにポリマーを溶かし、その溶液に重合開始剤を添加するのが好ましい。また、混合は充填と同時に行ってもよいし、重合容器内に充填してから行ってもよい。この際、混合物中の酸素による重合の抑制を防止するために混合物は窒素置換しておくことが望ましい。充填後重合容器を静置し加熱する。加熱は、例えば、材料を含んだ重合容器を所定の温度の水浴または油浴中に入れるか、あるいは所定の温度雰囲気下に置くことにより行えばよい。本発明の方法では重合を中心部および/または周辺部から開始させているため、重合時の体積収縮などで、気泡の発生が生じやすくなる。この原因は重合容器加熱によるモノマーの重合に伴う粘度上昇に由来するモノマーの供給停止であるが、低温で重合することにより、モノマーの重合が起こりにくくなるために、粘度が上昇せず、モノマーの供給が維持できるため、気泡の発生が抑制される。また高温での重合では、重合溶液自身の対流や、重合体自身が発生する重合熱による蓄熱効果の暴走が起こりやすくなるため、安定なフロントの形成が阻害されてしまい、連続的に変化する屈折率分布が得られなくなるため、より低温で重合することが望ましい。本発明の方法における加熱温度は、60℃以下、好ましくは50℃以下、特に好ましくは45℃以下である。
重合容器を加熱することにより、熱が容器外側から容器内部に伝導していき、熱が容器の中心部に達し、その部分に蓄熱される。ここで容器の中心とは容器が容器表面のすべての点から等距離にある点、または容器表面がそれに対して対称となる点をいう。容器外部表面から与えられた熱は容器内を一定速度で伝導するため、重合は理論的には重合容器の中心で開始される。但し、容器形状や加熱の仕方により常に正確に容器の中心で蓄熱されるとは限らず、重合は容器中心付近で開始される。本明細書において、容器中心部とは上記定義の容器の中心付近の部分をさす。
この際、ポリマーの濃度が低い場合、すなわちモノマーとポリマーの混合溶液の粘性が低い場合、容器中心部が蓄熱により一定温度に達し、容器中心部で重合が開始される。逆にポリマーの濃度が高い場合、すなわちモノマーとポリマーの混合溶液の粘性が高い場合、重合容器周辺部からの熱は中心に伝わりにくい、このため重合容器周辺部の温度が一定温度に達し、容器周辺部で重合が開始され、重合は周辺部から中心部へと進行する。また、ポリマーの濃度が中程度の場合、熱が中心部に蓄熱されるのと同時に、周辺部の温度も高くなる。このため、重合は容器中心部と周辺部の両方で開始される。重合が容器中心部と周辺部の両方で開始される場合のポリマーの濃度は、用いるモノマーおよびポリマーの種類により異なるが、ポリマーがモノマーに対して4重量%〜30重量%、好ましくは6重量%〜15重量%、さらに好ましくは6重量%〜12重量%の場合である。例えば、モノマーにメタクリル酸メチルを用い、ポリマーにポリアルファメチルスチレンの高分子量ポリマーを用いた場合、約6重量%であり、モノマーにメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ベンジルを用い、ポリマーにポリメチルメタクリレートを用いた場合、約10重量%である。
熱の伝導または蓄熱により容器中心部または容器周辺部が一定温度に達したときにその部分で重合が開始される。重合が開始される温度は前述のように、特定の10時間半減期温度を有する重合開始剤を選択することで適宜調節することができる。例えば、10時間半減期温度が20℃から70℃の重合開始剤を用いればよい。
容器中心部または周辺部で重合が開始され重合体ができると重合体のフロントが形成され、フロントが容器中心部から重合容器の内壁へ、あるいは容器周辺部から容器中心部へ進行しながら重合が進んでいく。容器内部で重合が完了するまで、温度を一定に保つ。重合が完了するまでの時間は、容器形状や容器の大きさ等により異なるが数時間から数日である。
前述のように、重合は重合容器中心部または容器周辺部から開始されるため、容器の形状により重合開始部位が決まり、重合開始部位すなわち、屈折率が最大または最小の部分が所望の部分になるように適宜容器形状を設計することができる。
本発明の作製方法により屈折率が中心軸より徐々に変化する屈折率分布型光伝送体を得ることができるが、上述のように用いるモノマー、低分子化合物の種類を変えることにより屈折率分布の制御が可能であり、所望の屈折率分布を有する光伝送体を得ることができる。
本発明の作製方法により得られる屈折率分布型光伝送体は、所望の形状を有する重合容器を用いて作製することにより加工せずに一括成型することもできるし、適当な形状の重合容器を用いて作製し、加工により所望の形状の光伝送体を得ることもできる。例えば、本発明の方法により得られた光伝送体を母材として研磨してレンズ形状に加工することができるし、延伸して光ファイバーとして用いることもできる。本発明の方法により作製された屈折率分布型光伝送体は、光ファイバー、眼鏡用レンズ、コンタクトレンズ等として利用可能である。
さらに、本発明の方法によれば、任意の形状および任意の屈折率分布を有する光伝送体を作製することが可能である。特に重合容器の中心部および周辺部から重合を開始させる場合、中心部と周辺部の屈折率差が大きい光伝送体を作製することやクラッド層を有する重合体を作製することができる。中心部と周辺部の屈折率差が大きくさらにクラッド層を伴う光伝送体は、曲がった状態でも光伝送の損失が少なく、光ファイバーや画像転送用デバイスとして有用である。また、屈折率差の大きい光伝送体は、薄いディスク状態でも用いることができ、薄いレンズの作製に有用である。さらに、屈折率差が例えば動物特にヒトの水晶体を模した眼内レンズを作製することができる。眼内レンズを作製するためには生体適合性材料を用いる必要があり、また屈折率が1.3〜1.4と低いため重合したときの屈折率が低いモノマーやポリマーおよび屈折率の低い低分子化合物を用いる必要がある。これらの要件を満たすモノマーとしてメタクリル酸ヒドロキシエチルが、ポリマーとしてはMPCが低分子化合物としてH2Oが挙げられる。水晶体の形状や屈折率分布は公知であり、例えば劉龍輝ら、光学 30, 6 (2001) 407-413の記載に従って、眼内レンズの形状および屈折率分布を設計することができる。
さらに、本発明は重合容器内で上記の方法でフロンタルポリメリゼーションを行う際に、重合容器を傾けて重合を開始させ、軸方向に長い光伝送体を作製する方法および光伝送体の屈折率分布の中心軸(中心)が重合容器の中心軸からずれた光伝送体を作製する方法を包含する。ここで、重合容器の中心軸とは容器が容器表面のすべての点から等距離にある線、または容器表面がそれに対して対称となる線をいう。また、光伝送体の中心とは、屈折率分布型の光伝送体において、屈折率分布において屈折率が最も大きくなる線または屈折率が最も小さくなる線をいう。
この場合、ポリマーの代わりに低分子化合物(低分子ドーパント)を用いてもよい。用い得る低分子化合物としては、限定されないが高分子材料との相溶性を考えるとプロピオン酸系エステルおよびイソ酪酸系エステルあるいはフタル酸系エステルやアジピン酸系エステル等が挙げられる。低分子化合物の分子量は、用いるモノマーの分子量より大きい。低分子化合物としては、イソ酪酸メチル(1.384)、カプリル酸メチル(1.417)、H2O(1.333)、等が挙げられる。かっこ内は屈折率を示す。
低分子化合物の屈折率は、用いるモノマーが重合して高分子となった場合に示す屈折率とは異なるが、モノマーが重合してできた高分子の屈折率よりも大きくても小さくてもよいが、光ファイバー、人工眼内レンズ等として使用するためには、低分子化合物の屈折率はモノマーからできた重合体の屈折率よりも小さい必要がある。小さい場合は、中心軸から外側に向かって屈折率が減少する屈折率分布型光伝送体が得られ、大きい場合は、中心軸から外側に向かって屈折率が増加する屈折率分布型光伝送体が得られる。用いるモノマーの種類、低分子化合物の種類およびモノマーと低分子化合物の混合比を変えることにより、所望の屈折率分布を有する光伝送体を作製することができる。この際、モノマーが重合してできた高分子化合物および低分子化合物の屈折率、溶解度、モノマーの重合のしやすさ等を考慮して用いるモノマーおよび低分子化合物の種類、混合比を決定することができる。
また、低分子化合物は複数の種類を含んでいてもよい。低分子化合物を用いた重合による光伝送体の作製は、WO 2004/068202の記載に従って行うことができる。
軸方向に長い光伝送体は、フロンタルポリメリゼーションにおいて形成されるフロントが長くなることにより得られる。該光伝送体は、重合容器を軸方向に鉛直にして重合を行わせた場合に得られる光伝送体の長さが重合容器の軸方向の長さ(高さ)の50%程度であるのに対して、70%以上、好ましくは80%以上である。重合容器は、鉛直方向に対して、10度〜90度傾ければよい。
中心軸(中心)が重合容器の中心軸からずれた光伝送体は、重合を開始させるときの材料に重合禁止剤または重合抑制剤を添加すればよい。重合禁止剤や重合抑制剤を添加することにより重合を遅らせることができ、その分フロンタルポリメリゼーションにおいて、フロントの形成が遅れるので、光伝送体の中心をずらすことができる。重合重合禁止剤として、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、パラベンゾキノン等のハイドロキノン系重合禁止剤、2,2−ジフェニル−1ピクリルヒドラジルやニトロベンゼン等が挙げられる。重合禁止剤は、モノマーに対して、0.0001〜0.002重量%添加すればよい。さらに、重合を行わせるときに、重合容器を鉛直方向に対して、10度〜90度、好ましくは45度〜90度、さらに好ましくは、75度以上、特に好ましくは90度傾ければよい。この場合、フロンタルポリメリゼーションにおけるフロント形成が重合容器の中心軸より下方にずれ、光伝送体の上側の屈折率が小さくなる。
中心がずれた光伝送体からは、削ることなく屈折率の不均一なレンズを作製することができ、焦点の位置を調節することができる。例えば、遠近両用レンズ等の作製に利用することができる。
本発明の方法により得られた屈折率分布型光伝送体の屈折率分布は、屈折率分布定数および有効視野半径比を測定することにより大まかに予測することが可能である。さらに、光伝送体の径全域にわたる屈折率分布を測定するには、横方向干渉パターン法、後方散乱パターン法、収束法、空間フィルタリング法、ニアフィールドパターン法等の非破壊測定法と、縦方向干渉パターン法等の破壊測定法等を用いればよい。このうち、光ファイバー等の直径1〜2mm程度の光伝送体の測定には、測定時間、測定精度、試料作製の容易さ、楕円変形補正の容易さなどを考慮すると横方向干渉パターン法が好ましく、直径は10〜20mm程度の光伝送体の測定には、縦方向干渉パターン法が好ましい。光伝送体の屈折率の測定には、干渉顕微鏡を用いればよい。干渉顕微鏡は例えば、東ドイツ Carl Zeiss aus jena 社製の干渉位相差顕微鏡 Interphakoを用いればよい。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 ポリマーとしてポリアルファメチルスチレンを用いた屈折率分布型光伝送体の作製
モノマーとしては、メタクリル酸メチル(Methyl methacrylate; MMA、和光純薬(株))を用いた。市販のMMA中に安定剤として微量に含まれる重合禁止剤を除去するため、様々な洗浄工程を経ていたが、ハイドロキノン及びハイドロキノンモノメチルエーテルという重合禁止剤はMMAを減圧蒸留する際のMMAの気化するような条件下では、液相中に存在し気化しないことが確認された。よって、市販のMMAを洗浄することなく、直接減圧下で得られた主留分(46〜47℃・760mmHg)を精製MMAとして重合に用いた。
ポリマーとしては、ポリアルファメチルスチレン、ロー(Poly(α-methylstyrene),low : PαMS,low、Aldrich Chemical Company)およびポリアルファメチルスチレン、ハイ(Poly(α-methylstyrene),high : PαMS,high、Aldrich Chemical Company)を用いた。ハイとローの違いは分子量である。これらは、市販のものをそのまま用いた。
表1に用いたモノマーとポリマーの分子量と屈折率を示す。
Figure 0004868383
重合開始剤としては、2,2’- アゾビスイソブチロニトリル(2,2’-Azobisisobutyronitrile : AIBN、和光純薬(株))を用いた。重合開始剤は市販のものをそのまま用いた。
GRINロッドレンズの作製
上記のように、モノマーに精製したMMA、ポリマーにPαMS,lowまたはPαMS,high、重合開始剤にAIBNを用いた。まず、MMAとPαMSを混合し、超音波脱気に1時間ほどかけて溶解させた。この溶液にAIBNを加え、窒素置換を1分間した後、超音波脱気に30分程度かけて脱気した。これを内径12mmのガラス管に入れて45℃の恒温槽(油浴)で約24時間重合させた。AIBNは、MMAに対して2wt%用いた。
ガラス管から取り出したバルク状のレンズを切削し、表面を研磨し、レンズを通してどのように見えるかを確認した。その後、厚さ1〜2mmの測定サンプルを作製し、干渉顕微鏡を用いて屈折率分布を測定した。干渉顕微鏡の概略図を図2に示す。光源(9)を出た光は、スリット(7)、コンデンサーレンズ(8)を通過して、サンプル(4)へと進む。このサンプルは浸漬液で覆われ、ガラスセル(5)内にセットされており、このガラスセルはステージ(6)上に乗せられている。浸漬液には、試料を侵さない流動パラフィン系の透明液体(nd= 1.473 / 23℃ )とNikon immersion oil(nd = 1.515 / 23℃ )を用いてnd= 1.492に調製したものを用いた。サンプルを出てきた光は対物レンズ(3)を通り干渉計内に入る。内部ではプリズムI(Pr-I)により光束が二つに分けられ、一方(左側)は、直接プリズムII(Pr-II)へ向かい、接眼レンズ(1)に到達する。もう一方(右側)は、シェアリング装置(2)により、光束は光軸に垂直にΔYpだけずれてプリズムIIへ向かう。プリズムIIで二つの光束は合成されるが、両者のずれΔYpは、接眼レンズ手前においても保持される。したがって、ここでΔYp離れた光線どうしが互いに干渉を起こし、干渉縞を生じる。
このように、干渉位相差顕微鏡Interphakoを用いると、リファレンス試料を必要とせず、1つのサンプルを出た光線を対象にしているので、測定時の光軸あわせ等が不必要で、操作は簡便となり、測定精度も良い。
屈折率分布は、縦方向干渉パターン法により行った。縦方向干渉パターン法には、Total-splitting法とPartial-splitting法の2種類があり、本実施例ではPartial-splitting法を用いた。これは、図3Aの左図に示されるように、像をシェアリング装置(2)によりサンプルに比べてわずかに移動、つまりサンプルの直径よりも非常に小さくずらす(ΔYp << 2Rp)。この方法は測定しようとするサンプルがある程度大きい場合でも測定が可能であるという利点がある。これに比べて、縦方向干渉パターン法のもう一つの方法であるTotal-splitting法では、シェアリング装置により、図3Bの左図に示されるように像をサンプルの直径よりも大きくずらす(ΔYp > 2Rp)。この方法は測定されるサンプルが小さい場合、例えば非常に細いファイバー等の場合には適している。
実際に観測される干渉縞をそれぞれの場合について示すと、図3Aおよび図3Bの右図のようになる。図中の円の部分はガラスセル(5)内に置かれたサンプルの部分であり、その左右に横方向に見られる縞が干渉縞である。サンプルの左右の部分は、サンプルが入っている浸漬液のみの部分を通過した光による干渉縞であるため、屈折率の変化はなく直線状となる。また、この干渉縞で、サンプルの中心を通る縞を基準干渉縞と呼ぶ。この干渉縞の間隔Dは測定光の1波長のずれに相当する。このように、Partial-splitting法の場合に実際に干渉して縞となって測定されるのは、測定されるサンプルのシェアリングの幅だけ異なった位置を通過してきた光線同士であり、干渉顕微鏡内に見える像を屈折率に関してみると、図4Aのようになる。この図における斜線の重なりあっていない部分がこの干渉縞のずれを引き起こす屈折率の差を示している。このとき、基準干渉縞からの干渉縞のずれをdr(yp)とする。
これに比べて、Total-splitting法の場合は、図4Bのように浸漬液のみを通過した光とサンプルのみを通過した光との干渉が縞となって測定される。そのために干渉縞パターンは中心軸で縞のずれが最大となる。このとき、基準干渉縞からの干渉縞のずれをΔR(Yp)とする。
Partial-splitting法の干渉縞のずれΔR(Yp)とTotal-splitting法の干渉縞のずれR(Yp)の間には、ΔYpをシェアリング幅とすると、以下の式(I)のような関係がある。
Figure 0004868383
GRINロッドの各部分での屈折率の変化は、この干渉縞パターンの基準干渉縞からのずれΔR(Yp)とその位置Ypを測定し、これをΔYp, Dを用いて計算される。
縦方向干渉パターン法により、以下のように中心からの屈折率の変化が求められる。
屈折率分布n(y)を有する厚さtの平板中を光線が通過する際、その光線はn(y)・tの光路を進んだことになる。真空中では、n = 1であるから、この真空をtだけ進んだ光線との波面のずれは、
Figure 0004868383
となる。Partial-splitting法では、屈折率分布がn(y)とn(y+Δy)の部分を通過する光線が波面のずれを生ずるので、そのずれの大きさは、
Figure 0004868383
となる。ここで、干渉縞のずれΔRと基準干渉縞1波長分のずれDと光線の波長λとの間には、
Figure 0004868383
の関係がある。
ここで基準点y0での屈折率をn(y0)、干渉縞のずれをΔR(y0)とすると、各点
Figure 0004868383
において以下の式が成り立つ。
Figure 0004868383
これらの総和をとると、
Figure 0004868383
となり、中心からの屈折率の変化が求められる。
本実施例により得られたサンプルの定常状態である部分を、厚さ約3mmのディスク状に切断し、この両端面を研磨し、厚さ約1〜2mmの測定サンプルを作製し、干渉顕微鏡を用いて測定した。本研究では、GRINロッドの中心から周辺にかけての屈折率分布を求めたいので、n(y) = 0とした。また、実際の測定では、1つのサンプルについて約10点の測定を行い、上記の関係式を用いて、ロッド全域にわたる屈折率分布を求めた。なお、この方法では、実際のサンプル長よりシェアリング幅を除いた部分の測定しかできないが、本研究においては、サンプル長は約10〜20mmに対して、シェアリング幅は0.05mmでよいので、実際上支障はなかった。
モノマーにMMA、ポリマーにPαMS,lowを用いた組み合わせでは、PαMS,low の濃度がMMAに対して2wt%、4wt%、6wt%、8wt%、10wt%の5種類を作製した。開始剤はAIBNをMMAに対して2wt%用い、重合は45℃の恒温槽にて行った。
表2にMMA-PαMS,lowにおける重合の挙動を示す。PαMS,low の濃度が2wt%、4wt%の場合、容器中心部にフロントが形成され、重合は中心部から周辺部に向かって進行したが、PαMS,low の濃度が6wt%、8wt%、10wt%の場合は、中心部にフロントは形成されず、周辺部から中心部に向かって重合が進行した。
さらにPαMS,low の濃度が2wt%、6wt%、10wt%において実際に重合が進行している様子を図5、6および7に示した。図5では、容器中心部にフロントが形成され(図5(2))、容器周辺部に移動している様子がわかる(図5(4))。フロントが形成されてから周辺部に移動するまでおよそ3分で、重合が一気に進行している。図6では、中心部にはフロントは形成されず、周辺部(特に右側)から重合が進行しているように見える(図6(2)〜(4))。最後に図7は、周辺部(左右両側)から重合が進行している様子がわかる。また、図6および7を見れば明らかだが、重合の進行が図5と比べて緩やかである。MMA-PαMS,lowにおいて、中心部にフロントが形成され、中心部から重合が開始した(PαMS,low の濃度が2wt%、4wt%)場合は、重合の進行が激しく、周辺部から重合が開始した(PαMS,low の濃度が6wt%、8wt%、10wt%)の場合は、重合はゆっくりと進行した。
この写真は、ビデオカメラで撮影し編集したもので、重合の様子は動画であるとわかるが、静止画だとわかりづらい。周辺部から中心部に重合が進行している様子は、特にわかりづらい。
Figure 0004868383
図8にMMA-PαMS,lowにおける屈折率分布を示す。この図において、横軸は規格化半径、縦軸は屈折率差である。PαMS,lowの濃度が2wt%、4wt%のレンズは中心から周辺に向かって屈折率が上昇する分布になった。PαMS,low の濃度が6wt%のレンズは、規格化半径0〜0.7の間では屈折率が中心から周辺に向かって減少し、規格化半径0.7〜1.0では上昇する分布となった。PαMS,low の濃度が8wt%、10wt%のレンズは中心から周辺に向かって屈折率が減少する分布となり、PαMS,low の濃度によって屈折率分布の形状が異なった。
これは、重合が中心部から開始されるか周辺部から開始されるかに関係する。中心部にフロントが形成され、重合が中心部から周辺部に進行した場合は、PαMS,lowが周辺部に押しやられる。そのため、屈折率の高いPαMS,lowが周辺部に多い組成となり、周辺部が中心部より屈折率が高くなる。一方、周辺部から重合が開始される場合、PαMS,lowが中心部に押しやられると考えられる。PαMS,lowが中心部に多い組成になり、中心部が周辺部より屈折率が高くなる。
レンズ中心部と周辺部の屈折率差は、PαMS,lowの濃度が2wt%のレンズが一番大きく、逆に屈折率差が一番小さかったのは、PαMS,lowの濃度が6wt%のレンズだった。
モノマーにMMA、ポリマーにPαMS,highを用いた組み合わせでも、PαMS,lowを用いた場合同様に、PαMS,highの濃度がMMAに対して2wt%、4wt%、6wt%、8wt%、10wt%の5種類を作製した。開始剤はAIBNをMMAに対して2wt%用い、重合は45℃の恒温槽にて行った。
表3にMMA-PαMS,highにおける重合の挙動を示す。PαMS,high の濃度が2wt%、4wt%の場合、中心部にフロントが形成され、重合は中心部から周辺部に向かって進行した。PαMS,high の濃度が6wt%の場合は、重合は周辺部から開始されるが、その後中心部にフロントは形成され、フロントは周辺部に移動した。PαMS,high の濃度が8wt%、10wt%の場合は、中心部にフロントは形成されず、周辺部から中心部に向かって重合が進行した。
さらにPαMS,highの濃度が2wt%、6wt%、10wt%において実際に重合が進行している様子を図9、10および11に示した。図9から、中心部にフロントが形成され(図9(2))、周辺部に移動していく様子がわかる(図9(4))。フロントの形状はPαMS,lowの濃度が2wt%の場合と比べて細長い。モノマー、ポリマー、開始剤が入った混合溶液を重合容器に注入する量は一定にしたので、用いるポリマーによってフロントの形状が変わるのかもしれない。図(10)では、周辺部(右側)から重合が開始され(図10(2)〜図10(4))、中心部にフロントが形成され(図10(5))、周辺部に移動している(図10(6))。図11では、周辺部(左右両側)から重合が進行している様子がわかる。MMA-PαMS,lowのとき同様に、フロントが形成されてから周辺部に移動するまでにかかる時間は数分で、重合が急に進行している。
Figure 0004868383
図12にMMA-PαMS,highにおける屈折率分布を示す。PαMS,highの濃度が2wt%、4wt%のレンズは中心から周辺に向かって屈折率が上昇する分布になった。PαMS,high の濃度が6wt%のレンズは、規格化半径0〜0.7の間では屈折率が中心から周辺に向かって上昇し、規格化半径0.7〜1.0では周辺部に向かって減少する分布となった。PαMS,high の濃度が8wt%、10wt%のレンズは中心から周辺に向かって屈折率が減少する分布となり、MMA-PαMS,low同様にPαMS,high の濃度によって屈折率分布の形状が異なった。PαMS,highの濃度が2wt%、4wt%の場合、PαMS,highが周辺部に押しやられ、周辺部にPαMS,highが多い組成になり、逆にPαMS,highの濃度が8wt%、10wt%の場合、PαMS,highが中心部に押しやられ、中心部にPαMS,highが多い組成になったと考えられる。PαMS,highの濃度が6wt%の場合、まずPαMS,highが周辺部から中心部に押しやられ、その後フロントの移動により周辺部に押しやられるので、図12のような周辺部に向かって上昇し、減少する屈折率分布になったと思われる。
屈折率差は、PαMS,highの濃度が2wt%のレンズが一番大きく、逆に屈折率差が一番小さかったのは、PαMS,highの濃度が8wt%のレンズだった。
系内温度変化の測定
自発的フロンタル重合法は、蓄熱効果、ゲル効果、熱拡散の三つの要素による。これら三つの要素は熱が関係してくるので、系内の温度変化を測定することは重要である。そこで、熱電対を用いて系内温度測定を行った。熱電対を重合容器中心部と周辺部の2箇所に取り付け、1分間隔で2点の温度を測定した。装置の概略を図13に示す。
PαMS,lowの濃度が2wt%の場合において、系内温度変化測定結果を図14に示す。重合を開始してから90分くらいまでは容器中心部と周辺部の温度はほとんど変わらなかった。その後徐々に温度差が生じ、200分後には中心部と周辺部の温度差は2℃程度になった。220分頃に中心部にフロントが形成され、系全体、特に中心部の温度が急に上昇した。フロントが周辺部に達すると、系内の温度は下降した。
次に、PαMS,lowの濃度が10wt%の場合において、系内温度変化測定結果を図15に示す。図14とはかなり異なる温度変化となった。重合が開始してから50分までは、中心部と周辺部にほとんど温度差はない。その後、中心部が1℃ほど高くなり、重合が開始してから315分後に中心部、周辺部ともに温度が一番高くなった。このときの温度は中心部が51.5℃、周辺部が47.3℃で図14のように爆発的に温度が上昇することはなかった。
PαMS,lowの濃度が2wt%の場合は、フロントが形成されたときに温度が爆発的に上昇したことから、重合が一気に進行していることがわかる。一方、PαMS,lowの濃度が10wt%の場合は、あまり温度の上昇もなく、上昇の仕方も緩やかだったことから、重合がゆっくり進行していると言うことができる。
上記実施例より、PαMSの濃度による重合の挙動の違いについて以下のことが判明した。
実施例で示したように、PαMSの濃度によって重合の挙動は異なる。上記表1および表2からPαMS,low、PαMS,highを用いた場合、濃度によって3種類の重合の挙動が見られた。具体的に言うと、一つは中心部にフロントが形成され、周辺部に向かって重合が進行するタイプ、二つ目は周辺部から中心部に重合が進行するタイプ、最後に周辺部から重合が進行するが、その後中心部にフロントが形成され周辺部に向かって重合が進行するタイプである。このようにPαMSの濃度によって重合の挙動が異なるのは、MMA-PαMS混合溶液の粘性の違いによって生じると思われる。以下に3種類のタイプに分けて詳しく述べる。
(a) 中心部にフロントが形成され、周辺部に重合が進行するタイプ
このタイプは、PαMSの濃度が低い、すなわちMMA-PαMS混合溶液の粘性が低い場合で見られた重合の挙動である。
重合を開始してからしばらくは、系の粘性が低いため、系内部で対流が起こる。そのため、周辺部と中心部で温度差は生じない。その後、系全体の転化率が上がり、系の粘性が高くなるので、対流は起きにくくなる。その結果、反応熱が蓄熱され、中心部が周辺部より温度が高くなる。この温度勾配により、中心部にフロントが形成され周辺部に重合が進行していく。図14からも明らかなように、重合が開始してしばらくは周辺部と中心部に温度差は生じていない。
(b) 周辺部から中心部に重合が進行するタイプ
このタイプは、PαMSの濃度が高い、すなわちMMA-PαMS混合溶液の粘性が高い場合で見られた重合の挙動である。
最初から系の粘性が高いため、系内部の対流は生じにくい。そのため、油浴からの熱は周辺部には入ってくるが、中心部には伝熱しにくい。しかし、系内部は対流が起きにくいため反応熱は中心部に蓄熱されやすい。この条件では、重合熱が中心部に蓄熱される要素より周辺部に油浴から熱が入ってくる要素の方が強く重合に影響したと思われる。よって、周辺部から重合が進行したと考えられる。図15においても、周辺部の方が中心部より温度が高くなることはなかったが、周辺部と中心部の温度差は図14に比べて小さい。これは、先程述べた二つの要素が生じているためと思われる。
(c) 周辺部から重合が進行するが、中心部にフロントが形成されるタイプ
このタイプは、PαMS,highの濃度が6wt%の場合のみに見られた。これは、(b)の場合より系の粘性が低いので、重合熱が中心部に蓄熱される要素と周辺部に油浴から熱が入ってくる要素の両方による結果と思われる。この二つの要素が同じ程度重合に影響したのであろう。
さらに、上記実施例より屈折率分布の形状について以下のことが判明した。
屈折率分布の形状は、図8および12の結果からPαMSの濃度により異なる。すなわち、重合が中心部から進行するか周辺部から進行するか、つまり中心部にフロントが形成されるかどうかに関係してくる。
中心部にフロントが形成され周辺部にフロントが移動したという過程で重合が進行すれば、屈折率分布形成法により屈折率分布が形成されているはずである。
一方、周辺部から中心部に重合が進行する場合、PαMSが中心方向に押しやられる。図16に概略を示す。まず周辺部にゲル層が形成される。重合の進行に伴いゲル層が中心方向に広がっていく。ここで、分子サイズの大きいPαMSはゲル層に拡散しにくいので、中心部にPαMSが多い組成となる。その結果、中心部から周辺部に向かって屈折率が減少する分布になると考えられる。屈折率分布形成法とは異なり、界面ゲル重合法と類似したことが起こっていると思われる。
モノマーにMMA、ポリマーにPαMSを用いた場合、PαMSの濃度を変化させることで凸型、凹型の分布形状を持つレンズを作製することが可能である。
さらに、実施例より得られた光伝送体の屈折率差について以下のことが判明した。
MMA-PαMS,lowのレンズの屈折率差(Δnlow)を表4に、MMA-PαMS,highのレンズの屈折率差(Δnhigh)を表5にまとめた。ここで、屈折率差とは分布の最大屈折率から最小屈折率を引いたものである。Δnlowが大きい方から並べると、2wt%>4wt%>8wt%>10wt%>6wt%となり、またΔnhighが大きい方から並べると、2wt%>10wt%>6wt%>4wt%>8wt%となる。
一方、表1および表2より、重合が中心部から進行するか周辺部から進行するかの境目は、PαMSの濃度が6wt%程度ということができる。すなわちPαMSの濃度が6wt%の場合は、中心部から重合が進行する要素と周辺部から重合が進行する要素の両方があると思われる。PαMSを中心部に押しやる効果と周辺部に押しやる効果は互いに逆の方向に屈折率分布を形成しようとするため、打ち消しあいが起こり、屈折率差が小さくなると考えられる。
以上の考えをもとにPαMS の濃度による屈折率差の違いを考察する。なお、PαMSの濃度によって重合の挙動が異なるので、(a)2wt%、4wt%、6wt%の比較と(b)6wt%、8wt%、10wt%の比較を行う。
PαMSの濃度2wt%、4wt%、6wt%の比較
PαMSの濃度が6wt%の場合は、先ほど述べた理由より屈折率差は小さいと思われる。PαMSの濃度が4wt%の場合、中心部から重合が進行する要素と周辺部から重合が進行する要素の両方があるが、中心部にフロントが形成されていることから中心部から重合が進行する要素の方が強い。よって屈折率差は6wt%の場合より大きいと考えられる。最後にPαMSの濃度が2wt%の場合は、4wt%の場合に比べて中心部から重合が進行する要素は強く、周辺部から重合が進行する要素は弱いので、この3種類の中では一番屈折率差が大きいと思われる。まとめるとΔnは2wt%>4wt%>6wt%の順になると考えられる。測定結果では、Δnlowは、2wt%>4wt%>6wt%、Δnhighは、2wt%>6wt%>4wt%であった。
PαMSの濃度6wt%、8wt%、10wt%の比較
PαMSの濃度が8wt%の場合は、6wt%の場合と比べて、中心部から重合が進行する要素は弱く、周辺部から重合が進行する要素は強いので、屈折率差は6wt%の場合より大きいと思われる。次に、PαMSの濃度が8wt%の場合は周辺部から重合が進行する要素は強いので、この3種類の中では一番屈折率差が大きいと考えられる。まとめるとΔnは10wt%>8wt%>6wt%の順になると考えられる。測定結果では、Δnlowは、8wt%>10wt%>6wt%、Δnhighは、10wt%>6wt%>8wt%であった。
もちろん、屈折率差には、含まれているPαMSの量という要素も関係する上、レンズの位置によって屈折率分布は異なるので一概に言うことはできないが、重合の挙動から観点から以上のことが考えられる。
実施例2 ポリマーとしてポリメチルメタクリレートを用いての光伝送体の作製
モノマーとして、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ベンジル、ポリマーとしてポリメチルメタクリレートを用いて実施例1と同様に重合を行った。重合管は外径18mm,内径15mmのパイレックスガラスの試験管を用い、重合中は試験管を垂直に保った.重合温度は45℃である。用いたモノマーはMMA8.0g、BzMA2.0g、Poly(MMA)1.0g(モノマーに対して10wt%)であり、重合開始剤としてAIBN 0.2g(モノマーに対して2wt%)を用いた。これらを混ぜた後、30秒窒素置換、20分の超音波脱気を行ったあと、45℃の油浴で重合した。
本実施例によって得られた円柱状サンプルをディスク状に研磨し、干渉顕微鏡により測定した屈折率分布を図17に示す。図17に示すように、中心と周辺で屈折率分布の大きいものが得られた。
実施例3 光伝送体の中心軸が重合容器中心軸からずれた光伝送体の作製
BzMA-EHMA共重合
重合管は外径18mm、内径15mmのパイレックスガラスの試験管を用い、重合中は試験管を水平(90度寝かせた)に保った。重合温度は44℃である。用いたモノマーはベンジルメタクリレート(BzMA) 12.0g、エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)3.0gであり、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)0.15g(モノマーに対して1wt%)、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3g(モノマーに対して2wt%)、重合禁止剤としてモノメチルエーテルハイドロキノン(MEHQ)(1ppm程度)を用いた。これらを混ぜた後、30秒窒素置換、20分の超音波脱気を行ったあと、44℃の油浴で重合した。
上記条件により、重合した結果、重合管中心からずれた位置にフロントが生じた。
重合開始から2時間後にフロントが確認できた。フロントが試験管下側到達したのがフロント形成から5分後、上側に到達したのが10分後であった。
この実験によって得られたサンプルをディスク状に研磨し、干渉顕微鏡により測定した屈折率分布を図19〜21に示す。
図18は作製された円柱状レンズの断面を表しており、図における(1)の方向が重合の際に上になっていた側である。測定した断面を(1)-(2)、(3)-(4)および(5)-(6)であらわし、それぞれの屈折率分布のデータを図19、20および21に示した。
図19〜21に示すように、レンズの中心がずれたものが得られた。
BzMA-MMA共重合
重合管は外径15mm、内径12mmのパイレックスガラスの試験管を用い、重合中は試験管を水平に保った。重合温度は43℃であった。用いたモノマーはBzMA12.0g、MMA3.0gであり、重合開始剤としてAIBN 0.3g(モノマーに対して2wt%)、重合禁止剤としてMEHQ(10ppm程度)を用いた。これらを混ぜた後、30秒窒素置換、20分の超音波脱気を行ったあと、44℃の油浴で重合した。
この実験によって得られた円柱状サンプルをディスク状に研磨し、干渉顕微鏡により測定した屈折率分布を以下に示す。
図22は作製されたレンズの断面を表しており、図における(1)の方向が重合の際に上になっていた側である。測定した断面を(1)-(2)、(3)-(4)および(5)-(6)であらわし,それぞれのデータを図23、24および25に示した。
図23〜25に示すように、レンズの中心がずれたものが得られた。
自発的フロンタルポリメリゼーションによる屈折率分布形成を示す図である。 干渉位相差顕微鏡の概略図である。 縦方向干渉パターン法による、屈折率分布測定の原理を示す図である。AはPartial splitting法であり、BはTotal splitting法である。 干渉顕微鏡により観察される干渉パターンを示す図である。AはPartial splitting法のパターンであり、BはTotal splitting法のパターンである。 MMA-PαMS,lowをポリマーとして用いた場合の(2wt%)重合の進行の様子を示す図である。 MMA-PαMS,lowをポリマーとして用いた場合の(6wt%)重合の進行の様子を示す図である。 MMA-PαMS,lowをポリマーとして用いた場合の(10wt%)重合の進行の様子を示す図である。 MMA-PαMS,lowをポリマーとして用いて作製した光伝送体の屈折率分布を示す図である。 MMA-PαMS,highをポリマーとして用いた場合の(2wt%)重合の進行の様子を示す図である。 MMA-PαMS,highをポリマーとして用いた場合の(6wt%)重合の進行の様子を示す図である。 MMA-PαMS,highをポリマーとして用いた場合の(10wt%)重合の進行の様子を示す図である。 MMA-PαMS,highをポリマーとして用いて作製した光伝送体の屈折率分布を示す図である。 熱電対を用いた系内温度測定装置の概略を示す図である。 PαMS,lowの濃度が2wt%の場合における系内温度変化測定結果を示す図である。 PαMS,lowの濃度が10wt%の場合における系内温度変化測定結果を示す図である。 本発明の方法において、周辺部から中心部に向かってフロンタルポリメリゼーションが進行していく様子を示した図である。 モノマーとして、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ベンジル、ポリマーとしてポリメチルメタクリレートを用いて作製した光伝送体の屈折率分布を示す図である。 BzMA-EHMA共重合により中心をずらして作製した光伝送体において測定場所を示す断面図である。 図18の断面図において、(1)-(2)方向で測定した屈折率分布を示す図である。 図18の断面図において、(3)-(4)方向で測定した屈折率分布を示す図である。 図18の断面図において、(5)-(6)方向で測定した屈折率分布を示す図である。 BzMA-MMA共重合により中心をずらして作製した光伝送体において測定場所を示す断面図である。 図22の断面図において、(1)-(2)方向で測定した屈折率分布を示す図である。 図22の断面図において、(3)-(4)方向で測定した屈折率分布を示す図である。 図22の断面図において、(5)-(6)方向で測定した屈折率分布を示す図である。
符号の説明
1 接眼レンズ
2 シェアリング装置
3 対物レンズ
4 サンプル
5 ガラスセル
6 ステージ
7 スリット
8 コンデンサーレンズ
9 光源
10 熱電対
11 測定システム
12 コンピュータ
13 モノマー
14 フロント

Claims (16)

  1. 屈折率が中心軸から徐々に変化する屈折率分布型の光伝送体の作製方法において、モノマー、ポリマーおよび重合開始剤を重合容器内に充填し、重合容器を加熱し、ポリマーの添加量を調節することにより容器中心部から容器周辺部方向へのフロント形成重合反応および容器周辺部から容器中心方向へのフロント形成重合反応の一方または両方を進行させることを特徴とする屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  2. 屈折率が中心軸から徐々に変化する屈折率分布型の光伝送体の作製方法において、モノマー、ポリマーおよび重合開始剤を重合容器内に充填し、重合容器を加熱し、ポリマーの添加量を調節することにより容器中心部から容器周辺部方向へのフロント形成重合反応および容器周辺部から容器中心方向へのフロント形成重合反応の両方を進行させることを特徴とする請求項1記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  3. 重合容器内に充填する際に、ポリマーがモノマーに対して5〜10重量%含まれる請求項2記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  4. モノマーおよび/またはポリマーを2種類以上重合容器内に充填する、請求項1から3のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  5. 加熱温度が50℃以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  6. 重合開始剤の10時間半減期温度が20℃から70℃である請求項5記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  7. 重合開始剤が、有機過酸化物、過硫酸塩類およびアゾ系化合物からなる群から選択される請求項6記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  8. モノマーが、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルである請求項1から7のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  9. ポリマーが、ポリアルファメチルスチレンからなる群から選択される請求項1から8のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  10. 重合容器を鉛直方向に対して10度から90度傾けることにより、重合容器内の高さの50%を超える長さの光伝送体を作製する請求項1から9のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  11. 重合容器内の高さの75%以上の長さの光伝送体を作製する請求項10記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  12. さらに、重合容器内に重合禁止剤または重合抑制剤を添加し、重合容器を鉛直方向に対して10度から90度傾けることにより、中心が重合容器の中心軸からずれた光伝送体を作製する請求項1から9のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  13. 重合容器を鉛直方向に対して75度から90度傾ける請求項12記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  14. 重合禁止剤がハイドロキノン化合物もしくはその誘導体、2,2−ジフェニル−1ピクリルヒドラジルまたはニトロベンゼンである請求項12または13に記載のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  15. 重合禁止剤の添加量がモノマーに対して、0.0001〜0.002重量%である請求項12から14のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
  16. ポリマーの代わりに、低分子化合物として、プロピオン酸系エステルまたはイソ酪酸系エステルを添加する請求項10から15のいずれか1項に記載の屈折率分布型の光伝送体の作製方法。
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